説明

定着装置および画像形成装置

【課題】昇温時間を短縮するための断熱層をローラに用いた場合の定着性能の低下を防止できる構成を備えた定着装置を提供する。
【解決手段】記録媒体上のトナー像に接触する定着部材30Aと定着部材30Aに対向当接して記録媒体を加圧する加圧部材30Bとを備えた定着装置30において、前記加圧部材30Bとして、芯金30B1とこれの外周に一体化されている炭化コルク粒から成る断熱層30B2を備えた加圧ローラが用いられ、前記炭化コルク粒は耐熱硬質樹脂を結着剤として上記芯金30B1に接合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、定着に用いられる部材の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などを対象とした電子写真方式を用いる画像形成装置においては、感光体などの潜像担持体からシートなどの記録媒体に転写されたトナー像を加熱定着する工程が実行される。
【0003】
定着工程には、熱源を内蔵した定着ローラとこれに対峙して定着ニップ部を形成可能な加圧ローラとを組み合わせた熱ローラ定着方式、定着ローラ以外の位置に熱源を持つ加熱ローラを備え、加熱ローラと定着ローラとの間には定着ベルトなどの熱伝導率の高い部材を捲装して定着ローラと加圧ローラとの定着ニップ部にて加熱定着するベルト定着方式が知られている。
【0004】
近年、地球環境保全意識の高まりにより、省資源および省エネルギー化が要望されてきている。画像形成装置において省エネルギー化に関係する装置としては、発熱の際の電力消費が顕著な定着装置がある。
【0005】
定着装置では、定着に必要な温度に立ち上げるための電力消費があるが、電力消費を抑制するには、熱の損失を抑える必要がある。熱損失は定着ローラとこれに当接している加圧ローラとの温度差が大きな原因となり、特に、非稼働時には、加熱側に位置する定着ローラの熱が加圧ローラ側に奪われることでいわゆる放熱状態となり、稼働に転じた際の温度立ち上がりに必要な消費電力が増加することになる。
【0006】
このような電力消費を抑える方法としては、電磁誘導加熱方式による瞬時の昇温作用を利用する方法やキャパシタを用いた初期投入電力増加を行う方法などがあるが、いずれの場合にも高コストな構成を必要とする。
【0007】
そこで、従来では、加圧ローラ側での断熱構造を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0008】
上記特許文献には、加圧ローラの表層部と芯金との間に多数の気孔を有する剛体あるいは発泡性シリコンゴムを用いた断熱層に関する構成が開示されている。
【0009】
また、断熱層の構成として、シリコン樹脂中に高い断熱特性を有し、低い熱容量を有する固体材料を分散含有あるいは固定する構成があり、その固定材料としてカーボン樹脂やカーボングラファイトなどの炭素材料、コルクや木材チップなどの植物材料、コルクや木材チップを炭化処理したものなどを用いることが提案されている(例えば、特許文献3,4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3,4に開示されているように、断熱層への添加材料として炭化コルクなどを用いてこれを分散させた場合、コルク自体の弾性があるのに加えてシリコン樹脂中に分散されていると、断熱層全体が弾性層として機能する。
【0011】
一般に定着装置では、記録媒体上のトナーを融解・浸透させるための定着ニップを形成されることが多く、このためには、定着ローラ側あるいは加圧ローラ側のいずれかが他方のローラ周面に沿った変形を周面に発生させる構成が用いられる。
【0012】
定着ニップ部は上述したように、一方のローラ周面が他方のローラ周面に倣った形状に変形することで周面同士が密着した状態となることで構成される。
しかし、特許文献3,4に開示されている構成を用いて加圧ローラを構成した場合、ローラ自体が断熱層の性質により弾性変形しやすいので、ローラ同士が接触した時点でローラ全体が変形しやすくなり、対向する周面同士が遠ざかる状態に変形して周面同士の密着領域が少なくなる場合がある。
また、トナーは定着ローラ側へ接着しており、これを分離する為には積極的に定着面から画像をめくり取る方向、即ち、分離方向が加圧ローラ側へ巻く方向である必要があり、定着ローラより加圧ローラの方がより硬質で変形しにくい材料でなければならない。
【0013】
従って、シリコン樹脂中に炭化コルクなどの植物性の固体材料を分散させて断熱層を形成した場合には、断熱効果がある程度得られる反面、定着ニップを確保することが困難となる虞がある。これにより、定着効率の低下を招いたり、定着面への巻きつきが発生したりすることがある。
【0014】
本発明の目的は、上述した断熱層を備えたローラを用いる定着装置における問題に鑑み、昇温時間を短縮するための断熱層をローラに用いた場合の定着性能の低下を防止できる構成を備えた定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)記録媒体上のトナー像に接触する定着部材と定着部材に対向当接して記録媒体を加圧する加圧部材とを備えた定着装置において、
前記加圧部材として、芯金とこれの外周に一体化されている炭化コルク粒から成る断熱層を備えた加圧ローラが用いられ、前記炭化コルク粒は耐熱硬質樹脂を結着剤として上記芯金に接合されていることを特徴とする定着装置。
(2)前記加圧部材として加圧ローラが用いられ、該加圧ローラの径方向での炭化コルクの厚さとして、0.5〜4mmが選択されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
(3)前記耐熱硬質樹脂として、エポキシ系接着剤が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
(4)前記断熱層の外表面には、弾性層、PFA層(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が積層されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の定着装置。
(5)前記断熱層の外表面と前記弾性層との間には、耐熱樹脂層が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
(6)少なくとも前記弾性層、PFA層は耐熱接着剤により接合されていることを特徴とする請求項4または5に記載の定着装置。
(7)請求項1乃至6のうちの一つに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐熱硬質樹脂を結着剤とする炭化コルク粒からなる断熱層を芯金に固定することで加圧部材が構成されているので、安価な不燃材料である炭化コルク粒のみを用いた断熱構造とする場合に比べて加圧部材の硬度を高めることができる。これにより、熱の漏洩を抑制する断熱層に安価な不燃材料である炭化コルク粒を用いて昇温時間の短縮が可能となると共に、炭化コルク粒を用いた場合でも加圧部材の硬度を高めて加圧部材自体の変形を抑えることにより定着部材への密着性を阻害しないようにできる。
この結果、定着ニップを確保でき、定着効率を高めることが可能となる。つまり、耐熱性樹脂を含む断熱層は、炭化コルク粒のみによる断熱層に比べて硬度を高められているので、定着部材と当接により断面形状が楕円形状となるのではなく、定着部材の表面に食い込んで定着部材側の表面との密着性を高めて定着ニップを確保しやすくなっている。これにより、断熱層を設けることで熱損失を抑えて昇温時間を短縮する際に定着性能が低下するのを防止することができる。
上述した密着性を阻害しないようにできることは、定着部材への加圧部材の食い込みが良好となることであり、これにより、定着ニップ部を通過した紙の腰の強さによる反り返りを利用する曲率分離性能を向上させることも期待でき、定着面への巻き付き等を防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による定着装置を用いる画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明による定着装置の要部構成を示す模式図である。
【図3】図2に示した要部構成に用いられる加圧ローラの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により本発明を実施得るための形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明による定着装置が適用される画像形成装置の本体100における内部機構の全体概略構成を示している。
【0020】
図1において符号10c、10m、10y、10bは、それぞれシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4つの画像形成ユニットであり、タンデム式に並べて設けられている。
【0021】
各画像形成ユニットには、それぞれドラム状の像担持体11c、11m、11y、11bが備えられ、その図中時計まわりの回転にともない、まず各帯電装置12c、12m、12y、12bで表面を一様に帯電し、次いで共通の書込み装置13からのレーザ光Lc、Lm、Ly、Lbで書き込みを行い、その後、各現像装置14c、14m、14y、14bによるトナー供給によって像担持体11c、11m、11y、11b上に色毎の単色画像が形成されるようになっている。
【0022】
各画像形成ユニットにおいて形成された色毎の画像は、各像担持体11c、11m、11y、11bと対面する展張面を有した無端状ベルトからなる中間転写体15に対し、各1次転写装置16c、16m、16y、16bからの転写バイアスにより順次転写されて重畳される1次転写工程によりフルカラー画像として形成される。
【0023】
一方、詳細な図示はしないが、複数段の給紙カセット21を備えた給紙部200からは、適宜タイミングで給送ローラ20の1つが選択的に回転され、給紙カセット21から所定要旨(記録媒体)22が繰り出されるようになっている。
【0024】
繰り出された所定用紙(記録媒体)は、用紙搬送路(記録媒体搬送路)23を通して搬送されて一対のレジストローラ24間に突き当てられることで中間転写体15上のフルカラー画像の位置との整合を採るためのレジストタイミングが設定された上で2次転写装置25の位置に向けて給送され、2次転写装置25による転写バイアスを介して重畳画像を一括転写されるようになっている。
【0025】
一括転写による2次転写工程を終了した所定用紙(記録媒体)22は、用紙搬送路23を通過して定着装置30の定着ニップ部に送られ、定着ニップ部を通過する際に作用する熱・圧力によってトナーが融解・浸透されることで定着され、排出ローラ26によって画像形成装置本体100上の排紙トレイ27に排出される。定着装置30の構成については図2において詳述する。
【0026】
1次転写終了後の各像担持体11c、11m、11y、11bは、一次クリーニング装置17c、17m、17y、17bによりクリーニングされることにより残トナーや紙粉などの異物が除去される。また、2次転写終了後の中間転写体15は、2次クリーニング装置18によってクリーニングされることにより残トナーが除去される。
【0027】
一方、2次転写行程を終えた所定用紙(記録媒体)22に対して表裏両面への画像を形成する場合には、定着装置30を通過した所定用紙(記録媒体)22が搬送路切換爪33によって搬送方向を切り換えられて両面ユニット92に向け搬送される。
【0028】
両面ユニット92では、スイッチバック路93において所定用紙(記録媒体)22をスイッチバックさせて表裏反転してから再給紙路94を通過させて再度画像形成装置本体100側のレジストローラ24に向け給送するようになっており、所定用紙(記録媒体)22は、レジストローラ24によるレジストタイミング設定によって再度2次転写工程を実施される。なお、両面ユニット92は、支軸35を支点として開閉可能(符号Rで示す方向)に設けられており、所定用紙(記録媒体)22のジャムが発生した場合には、その搬送経路および給紙部36を外部に露呈できる状態に開放することができるようになっている。
【0029】
なお、図1中、符号28c、28m、28y、28kは、図示しない粉体搬送装置を用いて各色の現像装置10c、10m、10y、10kに向け太補給トナーを収容しているトナーボトルを示している。
【0030】
以上のような構成を備えて画像形成装置に用いられ定着装置30の要部構成が図2に示されている。
【0031】
図2において定着装置30は、定着部材としての定着ローラ30Aとこれに対向当接して記録紙を押圧する加圧部材としての加圧ローラ30Bとを備え、定着ローラ30Aは、これとは別の位置に設けられている加熱ローラ30Cとの間に掛け回された定着ベルト30Dによりトナー像の加熱を行うようになっている。
【0032】
同図において符号30C1は熱源を示し、符号30Eは定着ベルト30Dの張力付加用テンションローラを示し、符号30Fは張力付加用テンションローラ30Eに当接するクリーニングローラを示している。
【0033】
定着装置30では、熱容量の小さい定着ベルト30Dを加熱媒体として用いることで昇温時間を短縮できる構成である。
【0034】
定着ローラ30Aは、芯金30A1に断熱部材30A2を一体化した構成であり、加圧ローラ30Bは、図3に示す構成が用いられている。
【0035】
図3において加圧ローラ30Bは、芯金30B1の外周面に炭化コイルを用いた断熱層30B2が設けられている。断熱層30B2は、耐熱硬質樹脂を結着剤とする炭化コルクが芯金30B1に接合された構成とされ、炭化コルクを用いただけの場合と違って、断熱層30B2を硬質化している。
【0036】
この場合の耐熱硬質樹脂としては、硬質シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポロアミド、ポリイミドなどが用いられている。
【0037】
本形態における加圧ローラ30Bは、円筒形状に成形された炭化コルクの中空部に芯金30B1を圧入した状態で結着剤となる耐熱硬質樹脂を含む炭化コルクを接合することにより、両者が一体化され、回転時でのトルク発生時でも両者の接合面での剥離などを防止して回転に対する強度を高めるようになっている。
【0038】
一方、芯金30B1に接合されている断熱層30B2を構成する炭化コルクの表面には、図3に示すように、ローラ自体の剛性を高めること、特に表面での剛性を高めるための構成として、耐熱硬質樹脂層、弾性層そしてPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)層のうちで少なくとも、弾性層30B3、PFA層30B4が積層されている。
これら各層同士は上述した耐熱硬質樹脂を用いた結着剤により接合されている。
【0039】
以上のような構成の加圧ローラ30Bは、断熱層30B2を設けることで定着ローラ30A側からの伝熱を抑えて定着ローラ30Aと直接接触した際の温度差を、安価な不燃性の材料である炭化コルクを用いて小さくできることにより昇温時間の短縮化が図れると共に、定着ローラ30Aの周面に当接した際には、炭化コルトを用いただけの場合よりも硬くしてあることにより定着ローラ30Aに食い込みやすい剛性を持たせて、定着ローラ30Aに食い込みやすくなり、定着ローラ30Aの周面との密着性を高めて定着ニップを確保することができる。
【0040】
本形態では、上述したように、加圧ローラ30Bの断熱層30B2での硬度が炭化コルクのみを用いた場合と違って剛性を高められているので、定着ローラ30Aに接触して加圧される際の圧力により周面の形状変化、換言すれば、全体が押し潰されるような状態となるのを防止されて定着ローラ30Aの周面に食い込みやすくなる。このため、周面同士の密着性が高められて定着ニップを形成しやすくすることができ、定着ニップを確保して定着性能の低下を防止することができる。
【0041】
しかも、定着ローラ30Aに対する食い込みが容易となることで、定着ニップを通過した用紙の腰の強さを利用する曲率分離を容易化することができ、定着ローラからの用紙分離性を向上させることもできる。
【0042】
以下に、定着ローラ30Aと加圧ローラ30Bとの構成に関する諸元を挙げて実施例を説明する。
【0043】
なお、比較例として、RICOH製 imagio MP 3000に用いられる定着装置を対象とした。この定着装置は、図2に示した定着装置の構成のうちで、定着ローラの構成として、芯金の外周にスポンジ層が設けられた構成が用いられ、加圧ローラの構成として、芯金の外周にスポンジよりも硬いゴムを設けた構成が用いられ、加圧ローラが定着ローラへ食い込む状態が得られ、用紙は腰の強さを利用した下向きの曲率分離状態で排出されるようになっている。
【0044】
以下に挙げる実施例での諸元は、加圧ローラを対象とするものである。
(実施例1)
炭化コルク層 外径 φ30
内径 φ26
結着剤 耐熱性エポキシ接着剤(鐘通株式会社製 Duralco 4525IP) (1PHR)
芯金 SUS304 中実 φ26
表層 PFAチューブ 厚さ30μm
比較例に用いた加圧ローラを実施例1に挙げた諸元のものに交換して実験したところ、昇温時間は、22secという結果を得た。
(実施例2)
炭化コルク層 外径 φ30
内径 φ22
結着剤 耐熱性エポキシ接着剤(鐘通株式会社製 Duralco 4525IP) (1PHR)
芯金 SUS304 中実 φ26
弾性層 シリコンゴム Hs20 厚さ0.5mm
表層 PFAチューブ 厚さ30μm
比較例の構成で加圧ローラのみ交換し昇温時間を測定したところ18secであり炭化コルク層が厚い方が効果は高いという結果を得た。
【0045】
なお、結着剤として用いた上記の耐熱エポキシ接着剤の代わりに硬質シリコン樹脂、ポリアミド、ポリイミドを用いた場合についても結果は同様であった。
【0046】
しかし、結着剤として上記の耐熱性エポキシ接着剤に代えて硬質シリコン樹脂、ポリアミド、ポリイミドを用いた場合トナーの定着ベルトへの巻き付きが厳しくなり、分離板スジが発生した。これは加圧ローラの定着ローラに対する食い込みが下がった影響と考えられる。実施例1,2においては、回転によるねじれが断熱層に作用し芯金と炭化コルク層との間で滑りが生じることがあるので、これを防止するために接着層を設けることが望ましい。
(実施例3)
炭化コルク層 外径 φ30
内径 φ22
芯金と炭化コルクの接着層
耐熱性エポキシ接着剤(鐘通株式会社製 Duralco 4525IP) 厚さ1μm
芯金 sus304 中実 φ26
PFAチューブ 30μm
弾性層 シリコンゴム Hs20 0.5mm
表層 PFAチューブ 30μm
芯金と炭化コルクの接着層
耐熱エポキシ(鐘通株式会社製 Duralco 4525IP) 厚さ 1μm
PFAチューブと炭化コルク接着層
耐熱性エポキシ接着剤(鐘通株式会社製 Duralco 4525IP) 厚さ1μm
PFAとシリコンゴム接着層
シランカップリング剤(信越化学製 KBA603) (0.5μm)
比較例の構成で加圧ローラのみ交換し昇温時間を測定したところ18secであった。
【0047】
2000Kの耐久テストで問題の発生はなかった。
(実施例4)
炭化コルク 外径 φ30
内径 φ22
芯金 sus304 中実 φ26
比較例の構成で加圧ローラのみ交換し昇温時間を測定したところ15secであった。
【0048】
以上実施例より炭化コルクの断熱性能により昇温時間が短縮されることは明らかであり、また断熱層は2mmより4mmの方が高いので厚ければ厚いほど良いことがわかる。
【0049】
また、炭化コルク層の上に形成される層は薄ければ薄い方が良いこともわかる。
これによりRICOH製 imagio MP C3000のような構成の定着方法と定着装置を対象として炭化コルク層を備えた加圧ローラを使用することによって昇温時間短縮が可能となる。
【0050】
またこれは定着ベルトを使用した一例であって、勿論定着ローラとの組み合わせであっても良いしまた加圧ベルトと加圧ローラの組み合わせであっても良い。
【符号の説明】
【0051】
30 定着装置
30A 定着ローラ
30B 加圧ローラ
30B1 芯金
30B2 断熱層
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2004−86219号公報
【特許文献2】特開2005−157303号公報
【特許文献3】特開2005−314466号公報
【特許文献4】特開2006−154711号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上のトナー像に接触する定着部材と定着部材に対向当接して記録媒体を加圧する加圧部材とを備えた定着装置において、
前記加圧部材として、芯金とこれの外周に一体化されている炭化コルク粒から成る断熱層を備えた加圧ローラが用いられ、前記炭化コルク粒は耐熱硬質樹脂を結着剤として上記芯金に接合されていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加圧部材として加圧ローラが用いられ、該加圧ローラの径方向での炭化コルクの厚さとして、0.5〜4mmが選択されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記耐熱硬質樹脂として、エポキシ系接着剤が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記断熱層の外表面には、弾性層、PFA層(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が積層されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の定着装置。
【請求項5】
前記断熱層の外表面と前記弾性層との間には、耐熱樹脂層が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
少なくとも前記弾性層、PFA層は耐熱接着剤により接合されていることを特徴とする請求項4または5に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちの一つに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−53464(P2012−53464A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172431(P2011−172431)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】