定量分取具およびその製造方法
【課題】nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することが可能な定量分取具およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具1およびその製造方法。定量分取具1は、基材1aに形成される孔或いは凹部からなる液体保持部1bを有し、液体保持部1bは液体に対する親和性が基材1aの他の部分に比べて相対的に高い。液体保持部1bは、基材1aに画成され、他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高いので、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができるという効果を奏する。
【解決手段】液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具1およびその製造方法。定量分取具1は、基材1aに形成される孔或いは凹部からなる液体保持部1bを有し、液体保持部1bは液体に対する親和性が基材1aの他の部分に比べて相対的に高い。液体保持部1bは、基材1aに画成され、他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高いので、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができるという効果を奏する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量分取具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、nL〜μLオーダーの微量液体を分取する手段として、上に微小な親水性領域を配置し、この親水性領域に液滴を保持させて液体を分取するハンドリングツールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−304666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたハンドリングツールは、疎水性の平面に囲まれた、微小な親水性平面領域に液滴を保持することから、液滴の大きさが均一に揃わず、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することが可能な定量分取具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る定量分取具は、液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具であって、基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高いことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、1nL〜100μLの液体を分取することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、前記孔の直径が0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、前記孔或いは凹部が外に向かって拡大していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る定量分取具は、上記の発明において、さらに、前記基材に振動を付与する振動発生手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る定量分取具は、上記の発明において、前記基材は、前記液体保持部から先が先細に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項7に係る定量分取具の製造方法は、液体に対する非親和性を基材に付与する非親和処理を行う工程と、前記液体を保持する孔或いは凹部からなる液体保持部を前記基材に形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる定量分取具は、基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高く、また、本発明にかかる定量分取具の製造方法は、液体に対する非親和性を付与する非親和処理を行う工程と、前記液体を保持する液体保持部を形成する工程とを含むので、所定量の液体を分取する液体保持部を基材に画成することができ、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の定量分取具およびその製造方法にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係る定量分取具の斜視図である。図2は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図1の定量分取具の断面図である。
【0015】
定量分取具1は、1nL〜100μLの液体を分取する際に使用するもので、図1に示すように、合成樹脂,ガラス,シリコン,金属等からなる基材1aの一端側に液体保持部1bが形成されている。基材1aは、それ自体で液体、例えば、血液や尿等の生体試料に対する非親和性、特に撥水性を有しているか、或いは撥水処理が可能なものを使用する。基材1aは、例えば、合成樹脂の場合にはポリカーボネート,ポリプロピレン,アクリル,シクロオレフィンコポリマー(COC),シクロオレフィンポリマー(COP)等を使用することができ、金属の場合にはステンレス(SUS316)等を使用することができる。液体保持部1bは、液体の分取量に応じて直径0.1mm〜3.0mmの範囲で形成される円形の孔であり、他の部分に比べて液体対する親和性、特に親水性が相対的に高く、この親和性を利用して液体を保持する。ここで、液体保持部1bは、この実施の形態では1つであるが、分取する液体の量によっては複数設けてもよい。
【0016】
以上のように構成される定量分取具1は、以下のようにして製造される。例えば、上述の合成樹脂を用いて射出成形やホットエンボス等によって成形した液体保持部1bのない基材1aを、図3に示すように、PTFE(4フッ化エチレン樹脂),PFA(4フッ化エチレン パーフルオロアルコキシエチレン共重合体樹脂),FEP(4フッ化エチレン
6フッ化プロピレン共重合体樹脂)等を溶剤に溶解させたコーティング剤Awrに浸漬して引き上げることにより、基材1aの表面に撥水処理剤をコーティングして非親和(非親水性)処理を行う。そして、基材1aの表面に撥水処理剤Awrをコーティング処理した後、液体保持部1bとなる孔を機械加工或いはレーザ加工により高精度に形成し、図4及び図5に示す定量分取具1を製造する。このため、定量分取具1は、所定量の液体を分取する液体保持部1bが基材1aに画成されている。
【0017】
このようにして製造すると、定量分取具1は、液体保持部1bを除き基材1aの表面に撥水層1c(図5参照)が形成されているため、液体保持部1bの部分が他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高くなる。また、定量分取具1は、合成樹脂を用いると、安価に製造することができるので、使い捨てが可能になるという利点がある。
【0018】
このとき、定量分取具1は、スピンコーティングやスプレーコーティングによっても撥水処理剤をコーティングすることができるが、エッジ部分であっても良好なコーティングを施すことが可能な点で上述のディップコーティングが好ましい。また、定量分取具1は、基材1aがガラスや金属等からなる場合には、上記ウエット処理の他に、スパッタリング等のドライ処理によって撥水処理を施すことも、また、エッチングによって基材1aの表面粗さを制御することによって撥水性を付与してもよい。
【0019】
ここで、上述のようにして製造した定量分取具1は、さらに液体保持部1bに酸素プラズマ処理、親水性のガラスや合成樹脂の積層又はレーザで表面を荒らす等の親水化処理を施し、図6に示すように、液体保持部1bの表面に親水層1dを形成してもよい。また、液体保持部1bは、例えば、OH基が導入され易い酸素雰囲気や液体中等の一定条件下においてレーザ加工することにより親水化することも可能である。更に、定量分取具1は、図7に示すように、撥水処理を施していない基材1aに形成した液体保持部1bの表面に親水層1dを設けてもよい。
【0020】
このようにして製造される定量分取具1は、図8に示すように、試料容器3に保持された液体試料Ls中に液体保持部1bが沈むまで浸漬した後、引き上げる。すると、定量分取具1は、基材1aに画成され、他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高い液体保持部1bによって、図9に示すように、液体試料Lsが所定量分取される。このようにして所定量の液体試料Lsを分取した後、定量分取具1は、図10に示すように、試薬容器5内の試薬液Ra内に液体保持部1bまで浸漬し、試薬液Ra中へ液体試料Lsを洗い出す。これにより、定量分取具1は、複雑な分注機構を使用しなくとも、1nL〜100μLの液体試料Lsを試薬容器5に所定量精度良く分取することができる。
【0021】
このとき、定量分取具1は、基材1aに画成された液体保持部1bによって液体試料Lsを分取するので、液体の粘度の相違による分取量のばらつきが小さい。しかも、定量分取具1は、液体試料Ls中に浸漬することによって液体試料Lsを分取するので、大量の液体を滴下して微小な親水性領域に液滴を保持し、残りの液体を流下させてしまう特許文献1のハンドリングツールに比べて液体試料Lsの無駄がなく、僅かな液体試料Lsであっても分取可能である。
【0022】
但し、液体試料Lsは、図11に示すように、上下に凹状のメニスカスMが形成されて液体保持部1bに保持される。このため、分取される液体試料Lsは、上下に形成されるメニスカスMによって上下の部分が僅かに欠落し、液体保持部1bの幾何学形状から決まる体積よりも僅かに少なくなる。ここで、定量分取具1は、液体保持部1bに保持する液体の量が同じ場合、基材1aの厚さは厚い方が好ましい。これは、基材1aが厚い分、液体保持部1bが厚さ方向に長くなり、これに対応して液体保持部1bの直径が小さくなる。この結果、定量分取具1は、メニスカスMによって欠落する体積が液体保持部1bに保持される液体の体積に比べて無視し得る程に小さくなるからである。
【0023】
従って、上述のメニスカスの影響を考慮し、定量分取具1は、図12に示すように、液体保持部1bの壁面1eを傾斜させ、孔が一方の面に向かって拡大するように液体保持部1bの形状を変形させ、液体試料Lsによって形成される上側のメニスカスMUが基材1aの表面に対して面一となるように制御する。これにより、定量分取具1は、メニスカスMによる分取量のばらつきが小さく抑えられる。このとき、定量分取具1は、図13に示すように、液体保持部1bの上部及び下部に傾斜面1fを設ける。すると、定量分取具1は、液体試料Lsによって形成される上側のメニスカスMUと下側のメニスカスMLが共に基材1aの表面に対して面一となり、分取量のばらつきがさらに抑えられる。
【0024】
ここで、液体保持部1bは、円形の孔に限定されるものではない。定量分取具1は、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができれば、例えば、図14に示すように、基材1aに形成する液体保持部1gを四角形の孔とするか、或いは、図15に示すように、液体保持部1hを長手方向に沿って形成される長方形の孔とすることも可能である。
【0025】
(実施の形態2)
次に、本発明の定量分取具にかかる実施の形態2について説明する。実施の形態1の定量分取具は、基材の幅が全体に亘って同じであったが、実施の形態2の定量分取具は、基材の先端側が細くなるように形成されている。図16は、実施の形態2に係る定量分取具の斜視図である。図17は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図16の定量分取具の断面図である。図18は、定量分取具の先端側を細くする利点を説明する図である。
【0026】
定量分取具6は、図16に示すように、基材6aの一端側に液体保持部6bが形成され、液体保持部6bから先が両側のテーパ面6cによって先細に形成されている。このとき、定量分取具6は、定量分取具1と同様に、液体保持部6bの親水性が他の部分に比べて相対的に高くなるように加工されている。液体保持部6bは、機械加工或いはレーザ加工により高精度に形成されている。
【0027】
このように液体保持部6bから先を先細に形成すると、定量分取具6は、図18に示すように、基材6aに付着した液体試料Lsを基材6aが引っ張る力Fは、重力方向に対して斜めになるうえ、力Fの鉛直成分Fzよりも液体試料Lsの表面張力Tが大きくなる。このため、定量分取具6は、液体保持部6bを液体試料Lsから引き上げた場合、基材6aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、液切れが良好になる。これに対し、図19に示すように、液体保持部1bから先が平坦な実施の形態1の定量分取具1の場合、基材1aに付着した液体試料Lsの液滴Dを基材1aが引っ張る力Fは、重力方向上方を向いており、液滴Dに作用する液体試料Lsの表面張力Tよりも大きい。このため、定量分取具6は、定量分取具1に比べて基材6aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、基材6aに画成された液体保持部6bによって1nL〜100μLの液体試料Lsを定量分取具1よりも精度良く分取することができる。
【0028】
ここで、定量分取具6は、図20に示すように、基材6aの厚さ方向にもテーパ面6dを設けることにより、基材6aの幅方向だけでなく、液体保持部6bから先を基材6aの厚さ方向にも先細に形成してもよい。このように構成すると、基材6aの表面に更に液体試料Lsが付着し難くなり、液体試料Lsを精度良く分取することができる。このとき、定量分取具6は、図21に示すように、液体保持部6bの壁面を傾斜させ、孔が一方の面に向かって拡大するようにしてもよい。定量分取具6は、このようにすることで液体保持部6bに保持される液体試料Lのメニスカスの形状を制御し、メニスカスによる分取量のばらつきを小さく抑えることができる。
【0029】
また、定量分取具6は、図22に示すように、液体保持部6bと長手方向に対向する端部に振動子7を設けてもよい。振動子7は、圧電基板7a上に櫛型電極(IDT)7bを設けたもので、液体試料を分取する場合や分取した液体試料を試薬液中へ洗い出す場合に使用する。振動発生手段は、この他、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やボルト締めランジュバン振動子等を使用してもよい。
【0030】
振動子7を設けた定量分取具6は、分取の際には、振動子7を駆動し、液体試料を均一に攪拌しながら、試料容器3に保持された液体試料Ls中に液体保持部6bが沈むまで浸漬した後、図23に示すように引き上げる。これにより、定量分取具6は、所定量の液体試料Lsを分取する。このようにして所定量の液体試料Lsを分取した後、定量分取具6は、図24に示すように、振動子7を駆動しながら試薬容器5内の試薬液Ra内に液体保持部6bまで浸漬し、保持した液体試料Lsを振動によって液体保持部6bから試薬液Ra中へ洗い出す。これにより、定量分取具6は、1nL〜100μLの液体試料Lsを試薬容器5に所定量精度良く分取することができる。
【0031】
(実施の形態3)
次に、本発明の定量分取具にかかる実施の形態3について説明する。実施の形態1の定量分取具は、基材に設けた液体保持部が孔であったが、実施の形態3の定量分取具は、基材に設ける液体保持部が凹部である。図25は、実施の形態3に係る定量分取具の斜視図である。図26は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図25の定量分取具の断面図である。
【0032】
定量分取具8は、図25及び図26に示すように、基材8aの一端側に形成される液体保持部8bが凹部である。このとき、定量分取具8は、定量分取具1と同様に、液体保持部8bの親和性が他の部分に比べて相対的に高くなるように加工されている。また、定量分取具8は、機械加工或いはレーザ加工により液体保持部8bが高精度に形成されている。
【0033】
定量分取具8は、定量分取具1,6と同様にして使用することにより、基材8aに画成された液体保持部8bによって1nL〜100μLの液体試料Lsを精度良く分取することができる。このとき、液体保持部8bは、深さ方向に同一直径の円からなる凹部である。このため、図27に示すように、液体試料Lsは、上面に凹状のメニスカスMが形成されて液体保持部8bに保持される。従って、液体試料Lsは、メニスカスMによって上部が僅かに欠落し、液体保持部8bの幾何学形状から決まる体積よりも僅かに少なくなる。
【0034】
このため、メニスカスの影響を考慮し、定量分取具8は、図28に示すように、液体保持部8bの壁面8dを傾斜させて外に向かって半径を大きくする。これにより、定量分取具8は、液体保持部8bの形状を変形させ、液体試料Lsによって形成されるメニスカスMが基材8aの表面に対して面一となるように制御する。従って、定量分取具8は、メニスカスMによる分取量のばらつきが小さく抑えられる。このとき、定量分取具8は、図29に示すように、液体保持部8bから先の部分をテーパ面8eとすることによって先細に形成する。このようにすると、定量分取具8は、基材8aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、液切れが良好になる。
【0035】
また、定量分取具8は、図28に示す液体保持部8bの変形例として、図30に示すように、基材8aに形成する液体保持部8fを深さHが半径よりも小さい半球状の凹部としても良い。このような凹部にすると、定量分取具8は、液体保持部8fが分取する液体によって形成されるメニスカスが基材8aの表面に対して面一となるように制御でき、液体保持部8fに液体が入り易くなり、液体保持部8fを簡単に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1に係る定量分取具の斜視図である。
【図2】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図1の定量分取具の断面図である。
【図3】定量分取具の製造方法を説明するもので、基材表面に撥水処理剤をコーティングする工程を示す断面図である。
【図4】撥水処理剤をコーティングした基材に液体保持部となる孔を形成して製造した定量分取具の正面図である。
【図5】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図4の定量分取具の断面図である。
【図6】液体保持部の表面に親水層を形成した図5の定量分取具の断面図である。
【図7】撥水処理を施していない基材に形成した液体保持部の表面に親水層を設けた定量分取具の断面図である。
【図8】定量分取具を用いた液体試料の分取を説明する図である。
【図9】液体試料を分取した定量分取具の正面図である。
【図10】液体保持部から試薬液中へ液体試料を洗い出す様子を示す図である。
【図11】定量分取具の液体保持部を示す断面図である。
【図12】液体保持部の第1の変形例を示す断面図である。
【図13】液体保持部の第2の変形例を示す断面図である。
【図14】液体保持部の第3の変形例を示す斜視図である。
【図15】液体保持部の第4の変形例を示す斜視図である。
【図16】実施の形態2に係る定量分取具の斜視図である。
【図17】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図16の定量分取具の断面図である。
【図18】定量分取具が先細にする利点を説明する図である。
【図19】定量分取具が先細でない場合を説明する図である。
【図20】定量分取具の第1の変形例を示す斜視図である。
【図21】定量分取具の第2の変形例を示す断面図である。
【図22】定量分取具の第3の変形例を示す正面図である。
【図23】定量分取具を用いた液体試料の分取を説明する図である。
【図24】液体保持部から試薬液中へ液体試料を洗い出す様子を示す図である。
【図25】実施の形態3に係る定量分取具の斜視図である。
【図26】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図25の定量分取具の断面図である。
【図27】定量分取具の液体保持部を示す断面図である。
【図28】液体保持部の第1の変形例を示す断面図である。
【図29】定量分取具の変形例を示す断面図である。
【図30】液体保持部の第2の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1,6,8 定量分取具
1a,6a,8a 基材
1b,6b,8b 液体保持部
1c 撥水層
1d 親水層
1e 壁面
1f 傾斜面
1g,1h 液体保持部
3 試料容器
5 試薬容器
6c,6d テーパ面
7 振動子
7a 圧電基板
7b 櫛型電極(IDT)
8d 壁面
8e テーパ面
8f 液体保持部
Awr 撥水処理剤
Ls 液体試料
M メニスカス
MU,ML メニスカス
Ra 試薬液
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量分取具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、nL〜μLオーダーの微量液体を分取する手段として、上に微小な親水性領域を配置し、この親水性領域に液滴を保持させて液体を分取するハンドリングツールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−304666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたハンドリングツールは、疎水性の平面に囲まれた、微小な親水性平面領域に液滴を保持することから、液滴の大きさが均一に揃わず、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することが可能な定量分取具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る定量分取具は、液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具であって、基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高いことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、1nL〜100μLの液体を分取することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、前記孔の直径が0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る定量分取具は、上記の発明において、前記液体保持部は、前記孔或いは凹部が外に向かって拡大していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る定量分取具は、上記の発明において、さらに、前記基材に振動を付与する振動発生手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る定量分取具は、上記の発明において、前記基材は、前記液体保持部から先が先細に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項7に係る定量分取具の製造方法は、液体に対する非親和性を基材に付与する非親和処理を行う工程と、前記液体を保持する孔或いは凹部からなる液体保持部を前記基材に形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる定量分取具は、基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高く、また、本発明にかかる定量分取具の製造方法は、液体に対する非親和性を付与する非親和処理を行う工程と、前記液体を保持する液体保持部を形成する工程とを含むので、所定量の液体を分取する液体保持部を基材に画成することができ、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の定量分取具およびその製造方法にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係る定量分取具の斜視図である。図2は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図1の定量分取具の断面図である。
【0015】
定量分取具1は、1nL〜100μLの液体を分取する際に使用するもので、図1に示すように、合成樹脂,ガラス,シリコン,金属等からなる基材1aの一端側に液体保持部1bが形成されている。基材1aは、それ自体で液体、例えば、血液や尿等の生体試料に対する非親和性、特に撥水性を有しているか、或いは撥水処理が可能なものを使用する。基材1aは、例えば、合成樹脂の場合にはポリカーボネート,ポリプロピレン,アクリル,シクロオレフィンコポリマー(COC),シクロオレフィンポリマー(COP)等を使用することができ、金属の場合にはステンレス(SUS316)等を使用することができる。液体保持部1bは、液体の分取量に応じて直径0.1mm〜3.0mmの範囲で形成される円形の孔であり、他の部分に比べて液体対する親和性、特に親水性が相対的に高く、この親和性を利用して液体を保持する。ここで、液体保持部1bは、この実施の形態では1つであるが、分取する液体の量によっては複数設けてもよい。
【0016】
以上のように構成される定量分取具1は、以下のようにして製造される。例えば、上述の合成樹脂を用いて射出成形やホットエンボス等によって成形した液体保持部1bのない基材1aを、図3に示すように、PTFE(4フッ化エチレン樹脂),PFA(4フッ化エチレン パーフルオロアルコキシエチレン共重合体樹脂),FEP(4フッ化エチレン
6フッ化プロピレン共重合体樹脂)等を溶剤に溶解させたコーティング剤Awrに浸漬して引き上げることにより、基材1aの表面に撥水処理剤をコーティングして非親和(非親水性)処理を行う。そして、基材1aの表面に撥水処理剤Awrをコーティング処理した後、液体保持部1bとなる孔を機械加工或いはレーザ加工により高精度に形成し、図4及び図5に示す定量分取具1を製造する。このため、定量分取具1は、所定量の液体を分取する液体保持部1bが基材1aに画成されている。
【0017】
このようにして製造すると、定量分取具1は、液体保持部1bを除き基材1aの表面に撥水層1c(図5参照)が形成されているため、液体保持部1bの部分が他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高くなる。また、定量分取具1は、合成樹脂を用いると、安価に製造することができるので、使い捨てが可能になるという利点がある。
【0018】
このとき、定量分取具1は、スピンコーティングやスプレーコーティングによっても撥水処理剤をコーティングすることができるが、エッジ部分であっても良好なコーティングを施すことが可能な点で上述のディップコーティングが好ましい。また、定量分取具1は、基材1aがガラスや金属等からなる場合には、上記ウエット処理の他に、スパッタリング等のドライ処理によって撥水処理を施すことも、また、エッチングによって基材1aの表面粗さを制御することによって撥水性を付与してもよい。
【0019】
ここで、上述のようにして製造した定量分取具1は、さらに液体保持部1bに酸素プラズマ処理、親水性のガラスや合成樹脂の積層又はレーザで表面を荒らす等の親水化処理を施し、図6に示すように、液体保持部1bの表面に親水層1dを形成してもよい。また、液体保持部1bは、例えば、OH基が導入され易い酸素雰囲気や液体中等の一定条件下においてレーザ加工することにより親水化することも可能である。更に、定量分取具1は、図7に示すように、撥水処理を施していない基材1aに形成した液体保持部1bの表面に親水層1dを設けてもよい。
【0020】
このようにして製造される定量分取具1は、図8に示すように、試料容器3に保持された液体試料Ls中に液体保持部1bが沈むまで浸漬した後、引き上げる。すると、定量分取具1は、基材1aに画成され、他の部分に比べて液体に対する親水性が相対的に高い液体保持部1bによって、図9に示すように、液体試料Lsが所定量分取される。このようにして所定量の液体試料Lsを分取した後、定量分取具1は、図10に示すように、試薬容器5内の試薬液Ra内に液体保持部1bまで浸漬し、試薬液Ra中へ液体試料Lsを洗い出す。これにより、定量分取具1は、複雑な分注機構を使用しなくとも、1nL〜100μLの液体試料Lsを試薬容器5に所定量精度良く分取することができる。
【0021】
このとき、定量分取具1は、基材1aに画成された液体保持部1bによって液体試料Lsを分取するので、液体の粘度の相違による分取量のばらつきが小さい。しかも、定量分取具1は、液体試料Ls中に浸漬することによって液体試料Lsを分取するので、大量の液体を滴下して微小な親水性領域に液滴を保持し、残りの液体を流下させてしまう特許文献1のハンドリングツールに比べて液体試料Lsの無駄がなく、僅かな液体試料Lsであっても分取可能である。
【0022】
但し、液体試料Lsは、図11に示すように、上下に凹状のメニスカスMが形成されて液体保持部1bに保持される。このため、分取される液体試料Lsは、上下に形成されるメニスカスMによって上下の部分が僅かに欠落し、液体保持部1bの幾何学形状から決まる体積よりも僅かに少なくなる。ここで、定量分取具1は、液体保持部1bに保持する液体の量が同じ場合、基材1aの厚さは厚い方が好ましい。これは、基材1aが厚い分、液体保持部1bが厚さ方向に長くなり、これに対応して液体保持部1bの直径が小さくなる。この結果、定量分取具1は、メニスカスMによって欠落する体積が液体保持部1bに保持される液体の体積に比べて無視し得る程に小さくなるからである。
【0023】
従って、上述のメニスカスの影響を考慮し、定量分取具1は、図12に示すように、液体保持部1bの壁面1eを傾斜させ、孔が一方の面に向かって拡大するように液体保持部1bの形状を変形させ、液体試料Lsによって形成される上側のメニスカスMUが基材1aの表面に対して面一となるように制御する。これにより、定量分取具1は、メニスカスMによる分取量のばらつきが小さく抑えられる。このとき、定量分取具1は、図13に示すように、液体保持部1bの上部及び下部に傾斜面1fを設ける。すると、定量分取具1は、液体試料Lsによって形成される上側のメニスカスMUと下側のメニスカスMLが共に基材1aの表面に対して面一となり、分取量のばらつきがさらに抑えられる。
【0024】
ここで、液体保持部1bは、円形の孔に限定されるものではない。定量分取具1は、nL〜μLオーダーの微量液体を精度良く分取することができれば、例えば、図14に示すように、基材1aに形成する液体保持部1gを四角形の孔とするか、或いは、図15に示すように、液体保持部1hを長手方向に沿って形成される長方形の孔とすることも可能である。
【0025】
(実施の形態2)
次に、本発明の定量分取具にかかる実施の形態2について説明する。実施の形態1の定量分取具は、基材の幅が全体に亘って同じであったが、実施の形態2の定量分取具は、基材の先端側が細くなるように形成されている。図16は、実施の形態2に係る定量分取具の斜視図である。図17は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図16の定量分取具の断面図である。図18は、定量分取具の先端側を細くする利点を説明する図である。
【0026】
定量分取具6は、図16に示すように、基材6aの一端側に液体保持部6bが形成され、液体保持部6bから先が両側のテーパ面6cによって先細に形成されている。このとき、定量分取具6は、定量分取具1と同様に、液体保持部6bの親水性が他の部分に比べて相対的に高くなるように加工されている。液体保持部6bは、機械加工或いはレーザ加工により高精度に形成されている。
【0027】
このように液体保持部6bから先を先細に形成すると、定量分取具6は、図18に示すように、基材6aに付着した液体試料Lsを基材6aが引っ張る力Fは、重力方向に対して斜めになるうえ、力Fの鉛直成分Fzよりも液体試料Lsの表面張力Tが大きくなる。このため、定量分取具6は、液体保持部6bを液体試料Lsから引き上げた場合、基材6aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、液切れが良好になる。これに対し、図19に示すように、液体保持部1bから先が平坦な実施の形態1の定量分取具1の場合、基材1aに付着した液体試料Lsの液滴Dを基材1aが引っ張る力Fは、重力方向上方を向いており、液滴Dに作用する液体試料Lsの表面張力Tよりも大きい。このため、定量分取具6は、定量分取具1に比べて基材6aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、基材6aに画成された液体保持部6bによって1nL〜100μLの液体試料Lsを定量分取具1よりも精度良く分取することができる。
【0028】
ここで、定量分取具6は、図20に示すように、基材6aの厚さ方向にもテーパ面6dを設けることにより、基材6aの幅方向だけでなく、液体保持部6bから先を基材6aの厚さ方向にも先細に形成してもよい。このように構成すると、基材6aの表面に更に液体試料Lsが付着し難くなり、液体試料Lsを精度良く分取することができる。このとき、定量分取具6は、図21に示すように、液体保持部6bの壁面を傾斜させ、孔が一方の面に向かって拡大するようにしてもよい。定量分取具6は、このようにすることで液体保持部6bに保持される液体試料Lのメニスカスの形状を制御し、メニスカスによる分取量のばらつきを小さく抑えることができる。
【0029】
また、定量分取具6は、図22に示すように、液体保持部6bと長手方向に対向する端部に振動子7を設けてもよい。振動子7は、圧電基板7a上に櫛型電極(IDT)7bを設けたもので、液体試料を分取する場合や分取した液体試料を試薬液中へ洗い出す場合に使用する。振動発生手段は、この他、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やボルト締めランジュバン振動子等を使用してもよい。
【0030】
振動子7を設けた定量分取具6は、分取の際には、振動子7を駆動し、液体試料を均一に攪拌しながら、試料容器3に保持された液体試料Ls中に液体保持部6bが沈むまで浸漬した後、図23に示すように引き上げる。これにより、定量分取具6は、所定量の液体試料Lsを分取する。このようにして所定量の液体試料Lsを分取した後、定量分取具6は、図24に示すように、振動子7を駆動しながら試薬容器5内の試薬液Ra内に液体保持部6bまで浸漬し、保持した液体試料Lsを振動によって液体保持部6bから試薬液Ra中へ洗い出す。これにより、定量分取具6は、1nL〜100μLの液体試料Lsを試薬容器5に所定量精度良く分取することができる。
【0031】
(実施の形態3)
次に、本発明の定量分取具にかかる実施の形態3について説明する。実施の形態1の定量分取具は、基材に設けた液体保持部が孔であったが、実施の形態3の定量分取具は、基材に設ける液体保持部が凹部である。図25は、実施の形態3に係る定量分取具の斜視図である。図26は、液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図25の定量分取具の断面図である。
【0032】
定量分取具8は、図25及び図26に示すように、基材8aの一端側に形成される液体保持部8bが凹部である。このとき、定量分取具8は、定量分取具1と同様に、液体保持部8bの親和性が他の部分に比べて相対的に高くなるように加工されている。また、定量分取具8は、機械加工或いはレーザ加工により液体保持部8bが高精度に形成されている。
【0033】
定量分取具8は、定量分取具1,6と同様にして使用することにより、基材8aに画成された液体保持部8bによって1nL〜100μLの液体試料Lsを精度良く分取することができる。このとき、液体保持部8bは、深さ方向に同一直径の円からなる凹部である。このため、図27に示すように、液体試料Lsは、上面に凹状のメニスカスMが形成されて液体保持部8bに保持される。従って、液体試料Lsは、メニスカスMによって上部が僅かに欠落し、液体保持部8bの幾何学形状から決まる体積よりも僅かに少なくなる。
【0034】
このため、メニスカスの影響を考慮し、定量分取具8は、図28に示すように、液体保持部8bの壁面8dを傾斜させて外に向かって半径を大きくする。これにより、定量分取具8は、液体保持部8bの形状を変形させ、液体試料Lsによって形成されるメニスカスMが基材8aの表面に対して面一となるように制御する。従って、定量分取具8は、メニスカスMによる分取量のばらつきが小さく抑えられる。このとき、定量分取具8は、図29に示すように、液体保持部8bから先の部分をテーパ面8eとすることによって先細に形成する。このようにすると、定量分取具8は、基材8aの表面に液体試料Lsが付着し難くなり、液切れが良好になる。
【0035】
また、定量分取具8は、図28に示す液体保持部8bの変形例として、図30に示すように、基材8aに形成する液体保持部8fを深さHが半径よりも小さい半球状の凹部としても良い。このような凹部にすると、定量分取具8は、液体保持部8fが分取する液体によって形成されるメニスカスが基材8aの表面に対して面一となるように制御でき、液体保持部8fに液体が入り易くなり、液体保持部8fを簡単に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1に係る定量分取具の斜視図である。
【図2】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図1の定量分取具の断面図である。
【図3】定量分取具の製造方法を説明するもので、基材表面に撥水処理剤をコーティングする工程を示す断面図である。
【図4】撥水処理剤をコーティングした基材に液体保持部となる孔を形成して製造した定量分取具の正面図である。
【図5】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図4の定量分取具の断面図である。
【図6】液体保持部の表面に親水層を形成した図5の定量分取具の断面図である。
【図7】撥水処理を施していない基材に形成した液体保持部の表面に親水層を設けた定量分取具の断面図である。
【図8】定量分取具を用いた液体試料の分取を説明する図である。
【図9】液体試料を分取した定量分取具の正面図である。
【図10】液体保持部から試薬液中へ液体試料を洗い出す様子を示す図である。
【図11】定量分取具の液体保持部を示す断面図である。
【図12】液体保持部の第1の変形例を示す断面図である。
【図13】液体保持部の第2の変形例を示す断面図である。
【図14】液体保持部の第3の変形例を示す斜視図である。
【図15】液体保持部の第4の変形例を示す斜視図である。
【図16】実施の形態2に係る定量分取具の斜視図である。
【図17】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図16の定量分取具の断面図である。
【図18】定量分取具が先細にする利点を説明する図である。
【図19】定量分取具が先細でない場合を説明する図である。
【図20】定量分取具の第1の変形例を示す斜視図である。
【図21】定量分取具の第2の変形例を示す断面図である。
【図22】定量分取具の第3の変形例を示す正面図である。
【図23】定量分取具を用いた液体試料の分取を説明する図である。
【図24】液体保持部から試薬液中へ液体試料を洗い出す様子を示す図である。
【図25】実施の形態3に係る定量分取具の斜視図である。
【図26】液体保持部を通って長手方向に沿って切断した図25の定量分取具の断面図である。
【図27】定量分取具の液体保持部を示す断面図である。
【図28】液体保持部の第1の変形例を示す断面図である。
【図29】定量分取具の変形例を示す断面図である。
【図30】液体保持部の第2の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1,6,8 定量分取具
1a,6a,8a 基材
1b,6b,8b 液体保持部
1c 撥水層
1d 親水層
1e 壁面
1f 傾斜面
1g,1h 液体保持部
3 試料容器
5 試薬容器
6c,6d テーパ面
7 振動子
7a 圧電基板
7b 櫛型電極(IDT)
8d 壁面
8e テーパ面
8f 液体保持部
Awr 撥水処理剤
Ls 液体試料
M メニスカス
MU,ML メニスカス
Ra 試薬液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具であって、
基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高いことを特徴とする定量分取具。
【請求項2】
前記液体保持部は、1nL〜100μLの液体を分取することを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項3】
前記液体保持部は、前記孔の直径が0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項2に記載の定量分取具。
【請求項4】
前記液体保持部は、前記孔或いは凹部が外に向かって拡大していることを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項5】
さらに、前記基材に振動を付与する振動発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項6】
前記基材は、前記液体保持部から先が先細に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定量分取具。
【請求項7】
液体に対する非親和性を基材に付与する非親和処理を行う工程と、
前記液体を保持する孔或いは凹部からなる液体保持部を前記基材に形成する工程と、
を含むことを特徴とする定量分取具の製造方法。
【請求項1】
液体に接触させて所定量の液体を分取する定量分取具であって、
基材に形成される孔或いは凹部からなる液体保持部を有し、該液体保持部は前記液体に対する親和性が前記基材の他の部分に比べて相対的に高いことを特徴とする定量分取具。
【請求項2】
前記液体保持部は、1nL〜100μLの液体を分取することを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項3】
前記液体保持部は、前記孔の直径が0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項2に記載の定量分取具。
【請求項4】
前記液体保持部は、前記孔或いは凹部が外に向かって拡大していることを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項5】
さらに、前記基材に振動を付与する振動発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定量分取具。
【請求項6】
前記基材は、前記液体保持部から先が先細に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定量分取具。
【請求項7】
液体に対する非親和性を基材に付与する非親和処理を行う工程と、
前記液体を保持する孔或いは凹部からなる液体保持部を前記基材に形成する工程と、
を含むことを特徴とする定量分取具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2007−47003(P2007−47003A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231323(P2005−231323)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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