説明

定量吐出容器

【課題】操作性及び吐出正確性を向上させた定量吐出容器を提供する。
【解決手段】本発明の定量吐出容器1は、計量室45と、計量室45を含む空間と容器本体2内を連通させる開閉機構50とを備えており、開閉機構50は、吐出部材3の吐出口32と対向する頂壁部44と、頂壁部44の開口部44aから下方に延びる支持筒部46と、支持筒部46の壁面を貫通して形成された内容物連通孔及び空気連通孔48と、支持筒部46の外周面から径方向の外側に向かって広がる平面視扇形の断面形状を有し空気連通孔を介して計量室45と連通する空気供給路51aと、支持筒部46内を上下方向に移動可能に設けられ内容物連通孔及び空気連通孔48を押下部材66の操作により開閉する開閉部材52と、開閉部材52を上方に付勢する弾性部材53とを有しており、吐出口32の内径D1は、頂壁部44の外径よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の口部に定量キャップを備え、内容物を一定量ずつ吐出させることができる定量吐出容器において、オーバーキャップを取り付けた状態で容器を一度倒立姿勢にし、その後正立姿勢に戻すことで計量を行い、オーバーキャップを取り外して内容物を吐出させるものが知られている(特許文献1,2参照)。
また定量吐出容器において、容器本体から計量室への内容物の注出を円滑にするために、計量室と容器本体とを連通する空気置換管を設けることも知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4176367号公報
【特許文献2】特許第3771091号公報
【特許文献3】実公平2−13314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2記載の容器では、容器を傾けたときに貯留室に貯留されている内容物が吐出口に向かって真っ直ぐに移動するため、内容物の粘度によっては吐出速度や吐出位置の調整が難しくなる場合があった。
また特許文献1,2記載の容器では、計量室と容器本体とを連通する開口部を開閉する機構を有しているため、内容物の注出を円滑化するために特許文献3に記載されたような空気置換管を設けようとしても、その設置スペースの確保が困難であった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、操作性及び吐出正確性を向上させた定量吐出容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の定量吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着されるとともに天壁部に内容物が吐出される吐出口が形成された有頂筒状の吐出部材と、前記吐出部材の内側に設けられ、前記吐出部材との間に形成された計量室、及び前記計量室と前記容器本体とを連通する連通孔を開閉する開閉機構を有する中栓部材と、前記容器本体に装着され前記吐出口を閉塞するオーバーキャップと、前記オーバーキャップの内側に設けられ前記開閉機構を押下操作する押下部材と、を備え、前記計量室は、前記容器本体の口部内に嵌合される嵌合筒部と、前記嵌合筒部の内側に配設された内周筒部と、前記嵌合筒部と前記内周筒部との間隙の下端開口部を閉塞する底壁部とを有し、前記開閉機構は、前記内周筒部の上端開口部に設けられ前記吐出口と対向する頂壁部と、前記頂壁部の中央部に設けられた開口部の端縁から下方に延びる支持筒部と、前記支持筒部の壁面を貫通して形成された内容物連通孔及び空気連通孔と、前記支持筒部の外周面から径方向の外側に向かって広がる平面視扇形の断面形状を有し前記空気連通孔を介して前記計量室と連通する空気供給路と、前記支持筒部内を上下方向に移動可能に設けられ前記内容物連通孔及び前記空気連通孔を前記押下部材の操作により開閉する開閉部材と、前記開閉部材を上方に付勢する弾性部材とを有しており、前記吐出口の内径は、前記頂壁部の外径よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
この構成の定量吐出容器は、オーバーキャップを装着した状態で倒立姿勢にすることで容器本体から内容物連通孔を介して計量室を含む空間に内容物を注ぎ、その後に正立姿勢に戻すことで計量室に内容物を満たして計量を行う。そして、計量後にオーバーキャップを取り外して傾倒させることで、計量室内の内容物を吐出口から吐出させる容器である。
この場合、計量室は嵌合筒部、内周筒部、底壁部、によって形成されるリング状の筒状空間となっている。
上記構成によれば、吐出口の内径が、吐出口と対向する位置に設けられた頂壁部の外径よりも小さく形成されているので、計量室に貯留されている内容物を吐出口から吐出する際に、計量室から吐出部材側へ移動する内容物の移動方向が、吐出部材の天壁部裏面によって吐出口側へ折り曲げられる。このときに内容物の流動速度が減殺されるため、内容物は緩やかな吐出速度で吐出口から吐出される。これにより、内容物を狙った位置に吐出することが容易になるので、優れた操作性を得ることができる。
また空気連通孔及び空気供給路を介して計量室を含む空間の空気を置換することができるので、容器本体からの内容物の注出が円滑に行われ、計量操作が正確に行われる。そして、空気供給路の断面形状が、径方向外側に向かって広がる平面視扇形であることから、支持筒部に形成する空気連通孔の周方向の幅に対して、空気供給路の周方向の幅が大きくなる。これにより、支持筒部における空気連通孔の大きさを必要最小限に抑えつつ、十分な空気流路を確保することができる。また、支持筒部における空気連通孔を小さくできることから、内容物連通孔を大きく確保することができ、内容物を円滑に注出させることができる。
【0008】
前記支持筒部の外周面から容器軸方向の下方に延び前記空気供給路を形成する空気供給筒部を有し、前記空気供給筒部の前記容器本体側の先端にカット部が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、定量吐出容器を倒立姿勢にしたときに空気の置換がより円滑に行われるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作性及び吐出正確性を向上させた定量吐出容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図2】図1のA−A線に沿う位置における断面図。
【図3】図1のB−B線に沿う位置における部分断面図。
【図4】計量操作における倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図5】計量操作における正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図6】吐出操作における正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図7】吐出操作における倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図8】カット部の複数の構成例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態の定量吐出容器を示す部分断面図である。図2は、図1のA−A線に沿う位置における断面図である。図3は、図1のB−B線に沿う位置における部分断面図である。
【0012】
本実施形態の定量吐出容器1は、図1から図3に示すように、内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部21に装着された吐出部材3と、吐出部材3の内側に設けられ口部21に嵌合された中栓部材4と、吐出部材3を覆い口部21に螺着されるオーバーキャップ6と、を備えている。
【0013】
なお、本実施形態では、容器本体2、吐出部材3、中栓部材4、及びオーバーキャップ6の各中心軸線は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿った吐出部材3側を上側、容器本体2側を下側という。また、容器軸Oに直行する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
吐出部材3は、有頂筒状の部材であり、天壁部31と、天壁部31の中央部に形成された吐出口32と、天壁部31の外周端から下方に延びる外筒部33と、天壁部31の下面から下方へ延びる内筒部34と、を有する。
【0015】
中栓部材4は、吐出部材3の内側において容器本体2の口部21に嵌合された嵌合筒部41と、嵌合筒部41の内側に配設された内周筒部42と、嵌合筒部41と内周筒部42との間隙の下端開口部を閉塞する底壁部43と、内周筒部42の上端開口部に設けられ吐出部材3の吐出口32と対向する頂壁部44と、頂壁部44の平面視中央部に設けられた開口部44aの端縁から下方に延びる支持筒部46と、支持筒部46内で上下方向に移動可能に設けられた開閉部材52と、開閉部材52を上方に付勢する弾性部材53と、支持筒部46の外周面に配設され容器軸Oに沿う方向に延びる空気供給筒部51と、を有する。支持筒部46には、壁面を径方向に貫通する2つの内容物連通孔47と、空気連通孔48とが形成されている。
【0016】
中栓部材4において、嵌合筒部41と内周筒部42と底壁部43とに囲まれた平面視略リング状の凹溝部が計量室45を構成している。また、内周筒部42の内側に設けられた頂壁部44、支持筒部46、開閉部材52、及び弾性部材53が、内容物連通孔47及び空気連通孔48を開閉する開閉機構50を構成している。
【0017】
嵌合筒部41の上側の開口端には、嵌合筒部41の外周側へ突出するフランジ部41aが設けられている。中栓部材4は、その嵌合筒部41が容器本体2の口部21の内側に嵌め込まれ、嵌合筒部41上端のフランジ部41aが口部21の上端面に載置された状態とされる。そして、フランジ部41aを覆うようにして口部21に装着された吐出部材3により固定されている。より詳しくは、吐出部材3の外筒部33と内筒部34とがフランジ部41aと口部21の先端部とを挟持しており、外筒部33の内周面に周方向に沿って形成された凸条33aは口部21の先端部外周面に周方向に沿って形成された凸条21aにアンダーカット嵌合され、凸条33aより上方に位置し外筒部33の内周面に周方向に沿って形成された凸条33bはフランジ部41aの外周面に周方向に沿って形成された凸条41bにアンダーカット嵌合されている。
【0018】
内周筒部42は、平面視略リング状の底壁部43を介して嵌合筒部41と接続されている。内周筒部42の上端は容器軸Oに沿う方向において嵌合筒部41の上端よりも低い位置に配置されている。内周筒部42の上部開口端に設けられた頂壁部44は、容器軸Oに沿う方向において吐出部材3の吐出口32と対向して配置されている。頂壁部44と吐出部材3の天壁部31との間隙が、吐出される内容物の流動経路となる。
【0019】
図3に示すように、頂壁部44の外径D2は、吐出口32の内径D1よりも大きく形成されている。また本実施形態の場合、図2に示すように、空気供給筒部51の外側面は内周筒部42の外周面よりも径方向外側に突出して形成されている。したがって図1に示す頂壁部44の外径D3は、上記した外径D2よりもやや大きい。
つまり、平面視において前記吐出口32は前記頂壁部44の内部に配置されている。
【0020】
頂壁部44の内周端から下方に延びる支持筒部46の下端開口部には、平面視リング状の底壁部46aが設けられており、底壁部46aに棒状の開閉部材52が挿通されている。支持筒部46の上部側に形成された2つの内容物連通孔47と空気連通孔48は、容器軸Oに沿う方向における同等位置に形成されている。
尚、支持筒部46は、前記内容物連通孔47及び空気連通孔48が形成される大径の上方部分、前記上方部分より小径の下方部分とからなる二段筒状に形成されている。
【0021】
開閉部材52は、支持筒部46の上方部分における内径に相当する直径を有し支持筒部46の内周面を摺動するシール部材52aと、シール部材52aの底面に接続され容器軸Oに沿う方向に延びる棒状の本体部52bと、本体部52bの下端外周面に突設された凸条52cとを有する。
開閉部材52の本体部52bの周囲に、例えばコイルスプリングからなる弾性部材53が配設されている。弾性部材53は、シール部材52aの下面と底壁部46aの上面とを押圧し、開閉部材52を上方に付勢している。
【0022】
空気供給筒部51は、容器軸Oに沿った方向に延びる有頂筒状の角管であり、その上端部の内側面において支持筒部46の空気連通孔48に接続されている。空気供給筒部51は、図2に示すように、径方向に延びる2つの側壁部56、57と、側壁部56、57の径方向外側の端部同士を周方向に接続する外面部58とを有し、支持筒部46の外周面から径方向外側に向かって広がる平面視扇形の断面形状に形成されている。
【0023】
空気供給筒部51は、空気連通孔48との接続位置から下方へ延び、底壁部43よりもさらに下方へ突出した位置に開口部51bを有する。空気供給筒部51内部の空気供給路51aは、空気連通孔48を介して計量室45が形成された空間と連通し、開口部51bを介して容器本体2内の空間と連通している。
【0024】
本実施形態の場合、空気供給筒部51の下側の開口部51bに、径方向視(側面視)で円弧状(凹曲線状)に切り欠かれたカット部が設けられている。すなわち、下方へ突出する先端部51cがより鋭い先窄まり状を成すように開口部51bが切り欠かれている。
【0025】
オーバーキャップ6は、天板61と、天板61の外周縁から垂下する周壁部62と、周壁部62の内側に設けられ容器本体2の口部21に螺合される装着筒部63と、装着筒部63の内側に設けられ吐出部材3と天板61との間隔を規制するとともに吐出口32を収容する空間を形成するシール筒部64と、シール筒部64の内側に設けられ吐出口32を閉塞する閉塞筒部65と、閉塞筒部65の内側に形成され、天板61の裏面中央から容器軸Oに沿って下方に延びる棒状の押下部材66と、を有する。
【0026】
オーバーキャップ6の装着筒部63の内周面には雌ねじ部63aが形成されている。雌ねじ部63aは容器本体2の口部21の外周面に形成された雄ねじ部21bに螺合されている。オーバーキャップ6はこの螺合によって、容器本体2に対して着脱可能に装着されている。
オーバーキャップ6の装着により、閉塞筒部65が吐出口32の径方向内側から嵌合されるとともに、押下部材66がシール部材52aの上面を押圧して開閉部材52を押し下げる。これにより、吐出口32が閉塞された状態で、計量室45を含む空間に対して内容物連通孔47及び空気連通孔48が開口され、計量室45を含む空間と容器本体2の内部とが連通される。
【0027】
シール筒部64の先端面(下端面)が吐出部材3の天壁部31に突き当てられることにより、天板61と吐出部材3とが所定の間隔に規制される。これにより、吐出口32内の所定位置に閉塞筒部65が配置されるとともに、押下部材66に押下された開閉部材52が所定の深さ位置に配置される。またシール筒部64は、天壁部31に密着することで、吐出口32をシール筒部64の内側に閉じこめ、内容物が外に漏れ出るのを抑える機能を奏する。
【0028】
次に、上記構成を備えた定量吐出容器1の作用について、図4から図7を参照して説明する。
図4は、計量操作における倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。図5は、計量操作における正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。図6は、吐出操作における正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。図7は、吐出操作における倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。
【0029】
本実施形態の定量吐出容器1における内容物の計量、吐出操作では、まず、図4に示すように、定量吐出容器1を、オーバーキャップ6を装着した状態で倒立姿勢とする。オーバーキャップ6が装着された定量吐出容器1では、押下部材66により開閉部材52が押し下げられ、内容物連通孔47及び空気連通孔48が開口しているため、容器本体2内の内容物Wが2つの内容物連通孔47から流出し、吐出部材3と頂壁部44との間の一時貯留室70に注ぎ込まれる。このとき、空気連通孔48及び空気供給路51aを介して一時貯留室70内の空気が容器本体2内に置換されるため、内容物Wは一時貯留室70に円滑に注がれる。
【0030】
その後、一時貯留室70内に貯留された内容物Wの液面によって空気供給路51aが閉塞されると、内容物Wと空気との置換が停止され、内容物連通孔47から一時貯留室70への内容物Wの流出が停止される。内容物Wの注出が停止した状態では、図4に示すように、少なくとも吐出部材3と頂壁部44との間の一時貯留室70には内容物Wが満たされている。
【0031】
その後、図5に示すように、定量吐出容器1を正立姿勢に戻すと、一時貯留室70に貯留されていた内容物Wが、中栓部材4の計量室45に移動し、貯留される。このとき、支持筒部46の内側に満たされていた内容物Wや、一時貯留室70から支持筒部46の内側に流れ込んだ内容物Wは、内容物連通孔47及び空気連通孔48を介して容器本体2内へ戻される。その結果、中栓部材4と吐出部材3とに囲まれる空間内には、計量室45に満たされた所定量の内容物Wのみが貯留された状態となる。
【0032】
上記のように計量室45に内容物Wを貯留した状態としたならば、図6に示すように、オーバーキャップ6を取り外す。すると、オーバーキャップ6の押下部材66により押し下げられていた開閉部材52が弾性部材53の弾性復帰力によって押し上げられる。そして、開閉部材52のシール部材52aが内容物連通孔47及び空気連通孔48よりも上側の位置で支持筒部46の上側開口部を閉塞することで、内容物連通孔47及び空気連通孔48が閉状態となる。
【0033】
その後、図7に示すように、定量吐出容器1を傾倒させて倒立姿勢にすることで、計量室45に貯留されている内容物Wを吐出口32から吐出させることができる。このとき、内容物Wは、図7に矢印破線で経路を示すように、嵌合筒部41の内周面を伝って吐出部材3側へ移動する。そして、吐出部材3の内筒部34と天壁部31との接続部において吐出口32側へ曲がって移動し、その後に吐出口32から吐出される。
以上の図4から図7に示した動作を繰り返すことで、所定量の内容物Wを繰り返し吐出させることができる。
【0034】
以上に説明した本実施形態の定量吐出容器1では、吐出口32の内径D1が、頂壁部44の外径D2よりも小さく形成されていることで、優れた操作性を得ることができる。具体的には、定量吐出容器1を傾倒させて計量室45に貯留されている内容物Wを吐出する際に、内容物Wは計量室45から吐出口32へ真っ直ぐに移動するのではなく、吐出部材3の天壁部31の裏面に当たって移動方向を折り曲げられた後に、吐出口32から吐出される。
【0035】
この移動方向を折り曲げられる際に、内容物Wの流動速度が減殺されるため、内容物Wは緩やかな速度で吐出口32からの吐出される。これにより、内容物Wを狙った位置に正確に吐出させることが容易になり、優れた操作性を得ることができる。
【0036】
また、本実施形態の定量吐出容器1では、支持筒部46の外周面に空気供給筒部51が設けられており、支持筒部46の壁面を貫通して形成された空気連通孔48を介して一時貯留室70の空気を置換することができるので、容器本体2から一時貯留室70へ内容物Wの注出が円滑に行われ、計量操作が正確に行われる。
【0037】
そして本実施形態では、空気供給筒部51(空気供給路51a)が、径方向外側に向かって広がる平面視扇形の断面形状を有するものとされている。この構成によれば、支持筒部46に形成する空気連通孔48の周方向の幅に対して、空気供給路51aの周方向の幅が大きくなるので、支持筒部46における空気連通孔48の大きさを必要最小限に抑えつつ、十分な空気流路を確保することができる。また、支持筒部46における空気連通孔48を小さくできることから、内容物連通孔47を大きく確保することができ、内容物Wを円滑に注出させることができる。
【0038】
また本実施形態の定量吐出容器1では、空気供給筒部51の容器本体2側の開口部51bにカット部が形成されている。このような形状を有していることで空気置換が円滑に行われ、内容物Wを確実に一時貯留室70に注ぐことができる。
【0039】
本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、空気供給筒部51の容器本体2側の先端に形成されたカット部の形状は、図1に示した形状に限られるものではなく、種々の形状が採用可能である。図8は、カット部の複数の構成例を示す側面図である。
【0041】
図8(a)〜(f)には、それぞれ、カット部51A〜51Fを備えた空気供給筒部51の先端部分が図示されている。
図8(a)に示すカット部51Aは、図1に示したカット部と同様のものであり、空気供給筒部51の先端部を側面視円弧状(凹曲線状)に斜めに切り欠いた形状である。
図8(b)に示すカット部51Bは、空気供給筒部51の先端部を側面視円弧状に切り欠いた切断面71と、切断面71に連続し、側面視で空気供給筒部51の長さ方向に延びる直線状に切り欠いた切断面72とを有する形状である。
図8(c)に示すカット部51Cは、空気供給筒部51の先端部を側面視L形に切り欠いた形状である。
図8(d)に示すカット部51Dは、空気供給筒部51の先端部を側面視で階段状に切り欠いた形状である。
図8(e)に示すカット部51Eは、空気供給筒部51の先端部を側面視で斜め方向に延びる直線状に切り欠いた切断面74と、切断面74に連続するとともに切断面74よりも空気供給筒部51の長さ方向に対して浅い角度で直線状に切り欠いた切断面75とを有する形状である。
図8(f)に示すカット部51Fは、空気供給筒部51の先端部を側面視で斜め方向に延びる直線状に切り欠いた形状である。
【0042】
また例えば、オーバーキャップ6は、螺合により容器本体2に着脱自在に装着されるねじ式キャップであるが、これに限定されるものではなく、例えば、押し込み操作により容器本体2に着脱自在に装着される打栓式キャップであっても構わない。また、オーバーキャップ6は、ヒンジを介して容器本体2や吐出部材3に一体化され、該ヒンジを中心に回動して容器本体2又は吐出部材3に着脱自在に装着されるヒンジ式キャップであってもよい。
【0043】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…定量吐出容器、2…容器本体、3…吐出部材、4…中栓部材、6…オーバーキャップ、O…容器軸、W…内容物、21…口部、31…天壁部、32…吐出口、41…嵌合筒部、42…内周筒部、43,46a…底壁部、44…頂壁部、44a,51b…開口部、45…計量室、46…支持筒部、47…内容物連通孔、48…空気連通孔、50…開閉機構、51…空気供給筒部、51A,51B,51C,51D,51E,51F…カット部、51a…空気供給路、52…開閉部材、53…弾性部材、66…押下部材、D1…内径、D2,D3…外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着されるとともに天壁部に内容物が吐出される吐出口が形成された有頂筒状の吐出部材と、
前記吐出部材の内側に設けられ、前記吐出部材との間に形成された計量室、及び前記計量室と前記容器本体とを連通する連通孔を開閉する開閉機構を有する中栓部材と、
前記容器本体に装着され前記吐出口を閉塞するオーバーキャップと、
前記オーバーキャップの内側に設けられ前記開閉機構を押下操作する押下部材と、
を備え、
前記計量室は、前記容器本体の口部内に嵌合される嵌合筒部と、前記嵌合筒部の内側に配設された内周筒部と、前記嵌合筒部と前記内周筒部との間隙の下端開口部を閉塞する底壁部とを有し、
前記開閉機構は、前記内周筒部の上端開口部に設けられ前記吐出口と対向する頂壁部と、前記頂壁部の中央部に設けられた開口部の端縁から下方に延びる支持筒部と、前記支持筒部の壁面を貫通して形成された内容物連通孔及び空気連通孔と、前記支持筒部の外周面から径方向の外側に向かって広がる平面視扇形の断面形状を有し前記空気連通孔を介して前記計量室と連通する空気供給路と、前記支持筒部内を上下方向に移動可能に設けられ前記内容物連通孔及び前記空気連通孔を前記押下部材の操作により開閉する開閉部材と、前記開閉部材を上方に付勢する弾性部材とを有しており、
前記吐出口の内径は、前記頂壁部の外径よりも小さいことを特徴とする定量吐出容器。
【請求項2】
前記支持筒部の外周面から容器軸方向の下方に延び前記空気供給路を形成する空気供給筒部を有し、前記空気供給筒部の前記容器本体側の先端にカット部が形成されている、請求項1に記載の定量吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−82473(P2013−82473A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223104(P2011−223104)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】