説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法と装置は、容器をブロー成形するために用いる。パリソン(1)を、ブロー成形機のブロー成形型内部で熱コンディショニングした後に、ブロー圧を作用させることで容器(2)に変形させる。必要なブローガス(P1,P2)は供給装置から供給する。ブロー成形される容器の内部に蓄積される空気圧エネルギーの少なくとも一部を他のエネルギー形態に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パリソンを、ブロー成形機のブロー成形型内部で熱コンディショニングした後に、ブロー圧を作用させることで容器に変形させ、ブローガスを供給装置から供給するようにした、容器をブロー成形するための方法に関するものである。
さらに、本発明は、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションを有し、該ブローステーションが空気圧供給機構と連結されている、容器をブロー成形するための装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー圧の作用によって容器を成形する場合、熱可塑性材料から成るパリソン、たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成るパリソンが、ブロー成形機内部の種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱機構とブロー成形機構とを有し、ブロー成形機構の領域で、予め温度調整されたパリソンを双方向配向によって膨張させて容器を形成させる。膨張は加圧空気を用いて行われ、加圧空気は膨張されるパリソン内へ導入される。このようにパリソンを膨張させる際の方法技術的プロセスに関しては、特許文献1に記載されている。冒頭で述べた、加圧状態にあるガスの導入には、成長している容器内への加圧ガスの導入と、ブロー成形工程開始時のパリソン内への加圧ガスの導入をも含まれている。
【0003】
容器成形用のブローステーションの基本構成は特許文献2に記載されている。パリソンの温度調整に関しては特許文献3に記載されている。
【0004】
ブロー成形機構の内部では、パリソンとブロー成形される容器とを異なる操作機構を用いて搬送させることができる。パリソンを差し込むことができる搬送心棒を使用することが特に有利であることが明らかになった。しかし、他の搬送機構を用いてパリソンを操作することもできる。パリソンを操作するためのやっとこの使用および保持のためにパリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用も、使用可能な構造に属する。
【0005】
受け渡しホイールを使用した容器の操作は、たとえば、ブローホイールと搬出区間との間に受け渡しホイールを配置した特許文献4に記載されている。
【0006】
すでに述べたパリソンの操作は、一方では、いわゆる2段階方式で行われ、すなわちパリソンをまず射出成形法で形成し、次に中間蓄積し、その後初めてその温度に関しコンディショニングを行い、ブロー成形で容器を形成させる。他方では、いわゆる1段階方式が適用され、すなわちパリソンを射出成形で形成し、十分に固化した直後に、パリソンを適当に温度調整し、引き続きブロー成形する。
【0007】
使用するブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。ブローステーションが回転搬送ホイール上に配置されている場合は、型担持体を書物を開くように開閉することができる。しかし、互いに相対的にスライドする型担持体または他の誘導態様の型担持体を使用することもできる。ブローステーションが定置の場合、特に複数の容器成形用キャビティを受容するのに適したブローステーションの場合には、典型的には、互いに並列に配置されるプレートが型担持体として使用される。
【0008】
ブローステーションへのブローガスの供給、特に加圧ガスの供給は、通常は1個または複数個のコンプレッサを介して行われる。典型的には、使用されるコンプレッサはコンプレッサ制御部を備え、コンプレッサとブロー成形機との間には加圧空気蓄積器が設置されている。コンプレッサ制御部は、加圧空気蓄積器の領域に所定の圧力レベルが維持されるようにコンプレッサを制御する。典型的には、加圧空気蓄積器の領域にほぼ38バールの圧力レベルが提供されるようにコンプレッサ制御部が設定されている。ブロー成形機は圧力制御機構を備え、圧力制御機構は加圧空気蓄積器から供給される圧力を容器の成形に必要な一定の圧力レベルに減少させる。
【0009】
容器をブロー技術で製造するための稼働コストの大部分は、必要なブローエアの供給から発生する。このコストを削減するため、使用するブローエアを何度も使用し、高圧レベルの使用済みブローエアを低圧レベルに減少させて新たに容器成形に供給することが知られている。このようなブローエアのリサイクルはどのようなケースでも広範囲に適用できるものではないので、この種のリサイクルを実現するだけでは、稼働コストを著しく削減するという要求を完全に満足に満たすことはできない。
【0010】
すでに公知のブローエアリサイクル方法においても、容器内に含まれている圧縮加圧空気の大部分は大気中に放出される。使用したブローエアを回転するブローエアホール部分から定置のホール部分へフィードバックする場合、かなり長いパイプが必要であり、複雑な空気圧システムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、稼働コストが削減されるように冒頭で述べた種類の方法を改善することである。
【0013】
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置を、稼働コストの削減が達成されるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、方法によれば、ブロー成形される容器の内部に蓄積される空気圧エネルギーの少なくとも一部を他のエネルギー形態に変換することによって解決される。
【0015】
上記課題は、装置によれば、ブロー成形される容器の内部に蓄積される空気圧エネルギーの少なくとも一部を他のエネルギー形態に変換可能であるようにブローステーションが変換機構と連結されていることを特徴とするものである。
【0016】
空気圧エネルギーを、空気圧エネルギーと異なるエネルギー形態に変換することにより、消費したエアブローの中に含まれているエネルギーの大部分を回収することが可能である。加圧空気の空気圧をそのまま再利用する公知の方法では、元の圧力レベルを達成することが不可能であるという深刻な問題がある。それ故、使用したブローエアを特定の作業空気範囲でしか使用できず、或いは、ブロー成形工程を実施する際の予圧として使用できるにすぎない。エネルギーの大部分は利用されないままである。圧力エネルギーを他のエネルギー形態に変換することにより、このエネルギーを使用してガスを基本的に任意の予め設定可能ないかなる圧力レベルにも圧縮することができ、特にこれによって必要なメインブロー圧を再び提供することが可能になる。
【0017】
特に、圧力エネルギーの他のエネルギー形態への変換も新たなブロー圧発生もブロー成形機自体の領域で実施することができる。これによって非常にコンパクトで見通しのよいプラントが提供され、作業者が空間的に分割された複雑なプラント要素に煩わされることがない。
【0018】
空気圧エネルギーを、ブロー成形機のブローホイールのための機械的駆動エネルギーに変換することによって、コンパクトな構成が得られる。
【0019】
システムの実現の際に構成上の遊び空間を大きくするには、空気圧エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0020】
機械的に安定な実施態様は、空気圧エネルギーを少なくとも1つのピストンシリンダ機構を使用して変換することによって達成される。
【0021】
加圧時および減圧時の十分な動力平衡を可能にするため、ブローホイール上に少なくとも2つのブローステーションを配置する。
【0022】
簡単なエネルギー変換は、空気圧エネルギーを、カムローラと曲線軌道との間の接触によって機械的駆動エネルギーに変換することによって得られる。
【0023】
動力吸収のため、カムローラをブローホイールを用いて回転させ、曲線軌道を位置固定して配置するのが有利である。
【0024】
稼働パラメータをコンスタントにして連続的に稼働するため、ブローホイールの駆動エネルギーの一部を、少なくとも1つのピストンシリンダ機構を使用して空気圧エネルギーに変換し、この空気圧エネルギーを貯留タンクに供給する。
【0025】
正確に再現可能なプロセスは、エネルギー変換の少なくとも一部をカム制御して実施することによって達成される。
【0026】
所定の圧力レベルの維持は、予め設定可能なガス流動方向を、少なくとも1つの逆止弁によって設定することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、本発明の実施形態を説明する。
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸し膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器ブロー成形装置の基本構成を説明するための概略図である。
【図4】加熱容量を大きくした加熱区間の変形実施形態を示す図である。
【図5】ブロー成形機の領域でエネルギーを変換しブロー圧を生成する構成を示す図である。
【図6】ブロー圧の推移と筒状の変換機構の領域における圧力の推移とを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
パリソン(1)を容器(2)に成形するための装置の基本構成が図1および図2に図示されている。
【0029】
容器(2)を成形するための装置は実質的にブローステーション(3)から成っている。ブローステーション(3)はブロー成形型(4)を備え、ブロー成形型(4)にはパリソン(1)を挿入可能である。パリソン(1)はポリエチレンテレフタラートから射出成形された部材であってよい。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿入し且つ完成した容器(2)の取り出しを可能にするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部部分(7)とから成り、底部部分(7)は昇降装置(8)によって位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域で搬送心棒(9)によって保持されていてよい。搬送心棒(9)はパリソン(1)とともに装置内部の複数の処理ステーションを通過する。しかし、パリソン(1)をたとえばやっとこまたは他の操作手段を介してダイレクトにブロー成形化(4)に挿入するようにしてもよい。
【0030】
加圧空気の供給を可能にするため、搬送心棒(9)の内部には接続ピストン(10)が配置され、接続ピストン(10)はパリソン(1)に加圧空気を供給するとともに、同時に搬送心棒(9)に対する密封をも行う。しかし、変形実施形態では、位置固定加圧空気供給管を使用することも考えられる。
【0031】
この実施形態では、パリソン(1)の延伸は延伸棒(11)を用いて行う。延伸棒(11)はシリンダ(12)によって位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックオフローラの作用を受けるカムセグメントを介して延伸棒(11)の機械的位置決めを実施する。カムセグメント使用は、特に複数個のブローステーション(3)が1つの回転ブローホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0032】
図1に図示した実施形態の場合、延伸システムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。本来の延伸工程を開始する前にまず1次シリンダ(13)によって延伸棒(11)をパリソン(1)の底部(14)の領域まで走行させる。本来の延伸工程を行っている間に、延伸棒を走出させた1次シリンダ(13)を、該1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに2次シリンダ(16)によって、または、カム制御部を介して位置決めする。特に、延伸工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)によって実際の延伸位置が設定されるように、2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は2次シリンダ(16)によって案内軌道に対して押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0033】
担持体(19,20)の領域に配置されている型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて担持体(19,20)を互いに相対的にロックする。
【0034】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状への適合のため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に設けられる別個のねじ込みインサート(22)を使用する。
【0035】
図2は、ブロー成形される容器(2)に加えて、パリソン(1)と成長している容器ブロー(23)をも破線で示している。
【0036】
図3は、加熱区間(24)と回転ブローホイール(25)とを備えたブロー成形機の基本構成を示している。パリソン(1)は、パリソン装入部(26)を起点として受け渡しホイール(27,28,2)により加熱区間(24)の領域へ搬送される。パリソン(1)を温度調整するため、加熱区間(24)に沿って放射加熱器(30)とファン(31)とが配置されている。パリソン(1)は、十分に温度調整した後、ブローホイール(25)へ受け渡される。該ブローホイールの領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を終了した容器(2)は他の受け渡しホイールによって搬出区間(32)へ送られる。
【0037】
容器(2)内部に充填される食材、特に飲料物の長期使用を保証する材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形できるようにするには、パリソン(1)の加熱時および配向時に特殊な方法ステップを維持しなければなない。さらに、特殊なサイズ規定を維持することによって有利な作用を得ることができる。
【0038】
熱可塑性材料として種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用することができる。
【0039】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は、加圧空気の供給によって行われる。加圧空気の供給は、低圧力レベルのガス(たとえば圧縮空気)を供給するプレブロー段階と、これに続く、より高圧のガスを供給するメインブロー段階とに分割されている。プレブロー段階では、典型的には10バールないし25バールの間の圧力をもった加圧空気を使用し、メインブロー段階では、25バールないし40バールの間の圧力をもった加圧空気を使用する。
【0040】
また、図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱区間(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)は互いにチェーン状に転向ホイール(34)に沿って案内されている。特に、チェーン状に配置することによりほぼ長方形の基本輪郭を張ることが考慮されている。図示した実施形態の場合、加熱区間(24)の、受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)側の領域に、比較的大きなサイズの転向ホイール(34)が配置され、反対側の転向領域には比較的小さなサイズの転向ホイール(36)が使用される。しかし、任意の他のガイドも考えられる。
【0041】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することを可能にするには、図示した配置が特に合目的であることが明らかになった。というのは、加熱区間(24)の膨張領域には3つの転向ホイール(34,36)が配置され、すなわち加熱区間(24)の直線走行部への移行領域により小さな転向ホイール(36)が配置され、受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)に直接接続する受け渡し領域にはより大きな転向ホイール(34)が配置されているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用することも可能である。
【0042】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によってブローステーション(3)の領域から取り出され、受け渡しホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出区間(32)へ搬送される。
【0043】
図4に図示した加熱区間(24)の変形実施形態では、より多数の放射加熱器(30)によって単位時間当たりより多数のパリソン(1)を温度調整することができる。ファン(31)は冷却空気を冷却空気通路(39)の領域へ導入させ、冷却空気通路(39)は付設の放射加熱器(30)にそれぞれ対向配置されて、排流穴を介して冷却空気を放出する。排流方向を選定することにより、冷却空気の排流方向はパリソン(1)の搬送方向に対しほぼ横方向に実現される。冷却通路(39)は、放射加熱器(30)に対向している表面の領域に加熱放射線用のリフレクタを備えていてよく、放射された冷却空気を介して放射加熱器の冷却をも実現することができる。
【0044】
図5はブローステーション(4)のための空気圧供給装置を示している。ブローステーション(4)はそれぞれ弁ブロック(41)を備え、弁ブロック(41)は、主加圧弁(42)と、予圧弁(43)と、搬送弁(44)と、典型的には消音器(46)に接続されている脱気弁(45)とを有している。適当な予圧は典型的には5バールないし10バールの範囲であり、有利にはほぼ8バールである。予圧は予圧供給部(47)によって提供される。前記弁(41,42,43,44)を操作するため制御圧力供給部(48)が設けられ、制御圧力供給部(48)はほぼ10バールの圧力で作動する。
【0045】
メインブロー圧に対応する圧力レベルをもった加圧ガスは、貯留タンク(49)の領域で調達される。貯留タンク(49)は連通管(50)を介して主加圧弁(42)と連通している。これにより、主加圧弁(42)を通電すると、膨張すべきパリソン(1)または成長している容器(2)の内部空間に主圧力が導入される。
【0046】
図示した実施形態の場合、それぞれのブローステーション(3)には少なくとも1つのシリンダ(51)が付設され、シリンダ(51)内にはピストン(52)が案内されている。ピストン(52)はピストン棒(53)を介してカムローラ(54)と結合されている。カムローラ(54)は曲線軌道(55)に沿って案内されている。シリンダ内部空間(56)は、ピストン棒(53)とは反対の側で、管(57)と逆止弁(58)とを介して貯留タンク(49)に接続されている。逆止弁(58)は、シリンダ内部空間(56)から貯留タンク(49)の方向でのみガスの流動が可能であるように配置されている。さらに、シリンダ内部空間(56)の管(57)側領域は、接続管(59)と逆止弁(60)とを介して貯留タンク(47)と連通している。
【0047】
さらに、接続管(59)は他の逆止弁(61)と管(62)とを介して搬送弁(44)と連通している。逆止弁(60)は、予圧供給部(47)からシリンダ内部空間(56)の方向でのみガスの流動が可能であるように接続されている。逆止弁(61)は、搬送弁(44)からシリンダ内部空間(56)の方向でのみガスの流動が可能であるように接続されている。
【0048】
図5は、1つの回転ブローホイール(25)上に配置された4つのブローステーション(3)を備える配置構成を示している。図面で左側に示した位置でパリソン(1)を付属のブローステーション(3)に装入する。図5で右側に示したブローステーション(3)の作動状態で、すでに完成した容器(2)内部の圧力を降下させる。他の図示はプロセス技術上の中間位置を示している。
【0049】
次に、本発明の方法上のステップを簡単に説明する。ブロー成形工程の開始時に、まずパリソン(1)に予圧供給部(47)から予圧を供給し、次に主加圧弁(42)を通電した後に貯留タンク(49)から主ブロー圧をパリソン(1)に供給する。容器(2)のブロー成形を終了した後、搬送弁(44)を開いて、加圧状態にあるブロー媒体を、ブロー成形した容器(2)からシリンダ内部空間(46)内へ流動させる。この開始時に、ピストン(52)は、シリンダ内部空間(56)の一部分であって、ピストン(52)と管(57)の付設の接続領域との間に閉じ込められている前記一部分の最小容積に相当する位置を占めている。
【0050】
シリンダ内部空間(56)内に流入するブローエアは、シリンダ内部空間(56)内に圧力を生じさせる。この圧力はカムローラ(54)を介して曲線軌道(55)へ伝達される。このピストン(52)の運動の範囲内で曲線軌道(55)はブローホイール(25)の周方向に対し相対的に傾斜した配置を有し、その結果カムローラ(54)によって力が曲線軌道に伝えられ、その反力はブローホイール(25)の運動方向に力成分を有し、これによりブローホイール(25)が駆動される。これにより、加圧状態にあるブローガスの、ブロー成形される容器(2)内に蓄積されている圧力エネルギーは、ブローホイール(25)のための機械的駆動エネルギーに変換される。
【0051】
ピストン(52)と管(57)の接続領域との間に閉じ込められている容積が達成可能な最大容積になるような位置をピストン(52)がシリンダ内部空間(56)内で占めた後、ピストン(52)が戻り行程運動を実施し、その際に閉じ込められていた空気が再び圧縮されるように曲線軌道(55)が機能する。メインブロー圧に達すると、逆止弁(58)が開き、加圧状態にあるガスが貯留タンク(48)に供給される。これにより、ブローホイール(25)の機械的運動エネルギーが再び空気圧エネルギーに置換される。達成可能な空気圧の大きさは、選定した機械的な構造境界条件だけに依存している。
【0052】
従って、結果的に、ブローガスの膨張時に発生する機械的駆動エネルギーは、次のプロセス段階で加圧ガスを新たに発生させるために利用される。
【0053】
ブロー成形される容器(2)内部で圧力降下工程を特定の時間に実施するため、空気圧エネルギーを機械的駆動エネルギーに変換するエネルギー変換を、予め設定可能な圧力閾値までの間だけ実施する。圧力閾値はたとえば8バール程度であってよい。この圧力閾値に達すると、脱気弁(45)が開き、容器(2)内にある残留圧力は周囲圧力に向けて脱気される。周囲圧力に完全に圧力降下した後、ブロー成形した容器(2)をブローステーション(3)から取り出すことができる。逆止弁(61)は、容器(2)の領域で完全に圧力降下しても、シリンダ内部空間(56)内で所定の圧力閾値に対応する圧力が維持されるように機能する。
【0054】
最後のプロセス段階で容器(2)の内部空間を周囲圧へ脱気することにより、空気圧機械システム内部での完全なエネルギーフィードバックは不可能である。従って、ガス膨張時には、十分な量のブローガスを圧縮するために必要なほどの多量の機械的駆動エネルギーがブローホイール(25)に対し解放されない。対応するエネルギー差はブローホイール(25)の駆動原動機によって提供される。従って通常のブローホイール駆動に比べて、より強力な駆動原動機、典型的には三相交流電動機を使用する必要がある。なるほどこの種の電動機の電力が上昇することでエネルギー消費量が大きくなるが、高圧コンプレッサを使用するケースに比べるとエネルギー消費量をかなり節約できる。
【0055】
システム設計が最適であれば、ブローホイールの駆動パワーが高圧コンプレッサに必要なパワーに比べてほぼ20%増大することが期待される。その結果、エネルギーの節約は、通常必要な高圧コンプレッサの駆動電力のほぼ80%のオーダーである。
【0056】
図2の実施形態で述べたように、空気圧エネルギーをブローホイールのための機械的駆動エネルギーに変換し、ブローホイール(25)の運動から新たに加圧ガスを発生させることで、環境との相互作用が比較的少なくて済む極めてコンパクトな構成が得られるという重要な利点が得られる。しかしこれとは択一的に、エネルギー回収または変換するための他の変形実施形態も考えられる。
【0057】
たとえば、1つの実施形態によれば、ブロー成形される容器(2)内部に蓄積される圧力エネルギーをブローホイール(25)のための機械的駆動エネルギーに変換せずに、加圧ガスを利用して、加圧ガスエネルギーを電気エネルギーに変換する発電機を駆動することが考えられる。この電気エネルギーは別個のコンプレッサへの供給用に使用することができる。しかし、ブローホイール(25)によって制御されるシリンダ装置を使用してガス圧縮のみを行い、対応的に比較的大型のブローホイール(25)用駆動電動機に、対応的に発電した電流を供給することも考えられる。
【0058】
本発明の基本思想に関し重要なことは、製造される容器(2)のブローガス内に蓄積されるエネルギーを利用して、メインブローガス圧の圧力レベルと同じ圧力レベルにある加圧状態のブローガスを発生させること、或いは、導出した加圧ガスを新たに再びこの圧力レベルに引き上げることにある。
【0059】
前記実施形態で説明したように、シリンダ(51)内部の内圧を周囲圧とメインブロー圧との間の値へ降下させると、これによりシリンダ(51)の容積の減少が可能であるので有利である。シリンダ(51)の容積は、1つの容器(2)をブロー成形するために必要なブローガスの体積と、圧縮段階の間にシリンダ(51)内で必要な圧力上昇ファクタとから得られる。
【0060】
図6は、ブロー成形工程を実施している間に容器(2)の内部に発生するブロー圧の推移(63)とシリンダ内部空間(56)内部の圧力の推移(64)とを示している。時間(65)の間に圧縮が行われ、時間(66)内で容器(2)の内部空間からシリンダ内部空間(56)内への圧力供給が行われる。プロセス全体は、ブローホイール(25)が完全に1回転する角度に対応する図示した360゜のプロセス角度にわたって経過する。圧力P2は30バールないし40バールの範囲の値に相当し、典型的にはほぼ32バールに相当している。圧力PLCはシリンダ内部空間(56)の残留圧力であり、ほぼ8バールである。
【0061】
ブロー成形機の始動に関しては、予圧供給部(47)を使用してまずシリンダ内部空間(56)を予め負荷し、次に、容器のブロー技術による製造をせずに、貯留タンク(49)の領域に作動圧が発生するまでブローホイール(25)の主駆動部を使用して該ブローホイール(25)を回転させる。従って、始動に対しても外部の高圧は必要ない。この始動過程の間の作動エネルギーが高すぎないようにするため、この負荷段階の間、通常の生産速度よりもかなり低い周速でブローホイール(25)を作動させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パリソンを、ブロー成形機のブロー成形型内部で熱コンディショニングした後に、ブロー圧を作用させることで容器に変形させ、ブローガスを供給装置から供給するようにした、容器をブロー成形するための方法において、
ブロー成形される前記容器(2)の内部に蓄積される空気圧エネルギーの少なくとも一部を他のエネルギー形態に変換することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記空気圧エネルギーを、前記ブロー成形機のブローホイール(25)のための機械的駆動エネルギーに変換することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気圧エネルギーを電気エネルギーに変換することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記空気圧エネルギーを少なくとも1つのピストンシリンダ機構を使用して変換することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記ブローホイール(25)上に少なくとも2つのブローステーション(3)を配置することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記空気圧エネルギーを、カムローラ(54)と曲線軌道(55)との間の接触によって機械的駆動エネルギーに変換することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記カムローラ(54)を前記ブローホイール(25)を用いて回転させ、前記曲線軌道(55)を位置固定して配置することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブローホイール(25)の前記駆動エネルギーの一部を、少なくとも1つのピストンシリンダ機構を使用して空気圧エネルギーに変換し、この空気圧エネルギーを貯留タンク(49)に供給することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
エネルギー変換の少なくとも一部をカム制御して実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
予め設定可能なガス流動方向を、少なくとも1つの逆止弁によって設定することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションを有し、該ブローステーションが空気圧供給機構と連結されている、容器をブロー成形するための装置において、
ブロー成形される前記容器(2)の内部に蓄積される空気圧エネルギーの少なくとも一部を他のエネルギー形態に変換可能であるように前記ブローステーション(3)が変換機構と連結されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記変換機構が機械的駆動エネルギーを発生させるように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記変換機構が電気エネルギーを発生させるように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記変換機構が少なくとも1つのピストンシリンダ機構を含んでいることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
少なくとも2つのブローステーション(3)が回転するブローホイール(25)上に配置されていることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
前記ブローホイール(25)の領域に、加圧ガスを発生させるためのすくなとも1つのピストンシリンダ機構が配置されていることを特徴とする、請求項11から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
前記ピストンシリンダ機構が、前記ブローホイール(25)上に配置され、且つカムローラ(54)を介して定置の曲線軌道(55)に係合していることを特徴とする、請求項11から16までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
前記ピストンシリンダ機構が加圧空気用の貯留タンク(49)と結合されていることを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記変換機構がカム制御部と連結されていることを特徴とする、請求項11から18までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
加圧ガスの誘導ラインが流動方向を設定するための少なくとも1つの逆止弁を含んでいることを特徴とする、請求項11から19までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523971(P2012−523971A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505046(P2012−505046)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000389
【国際公開番号】WO2010/118728
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー (15)
【Fターム(参考)】