説明

射出成形複合容器およびその製造方法

【課題】樹脂材料中にラベルを内包する複合容器であって、容器の外側または内側からラベルを鮮明に視認することができて、容器に入れる内容物に対する安全上の懸念が無いものを提供すること。
【解決手段】金型の内壁にラベルを配置して第1樹脂材料を射出成形し、得られた第1樹脂材料部上のラベルを完全に内包するように、第1樹脂材料部と金型とで型閉じして第2樹脂材料を射出成形することにより、ラベルが樹脂材料に内包されており、且つ、ラベルの両面が樹脂材料に融着して一体化している複合容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、薬品、化粧品等を収容する樹脂製の容器とその方法に関する。より具体的には、ラベルを内包する樹脂製容器であって、著しく外観が改良されており、容器内に収容する内容物を汚染する懸念がなく、ラベルと樹脂が一体化している容器と、その簡便な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラベルが貼着した樹脂成形体を一体成形によって製造する方法として、インモールド成形法が知られている。この方法は、金型の内壁にあらかじめラベルやブランクを装着しておき、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの成形用樹脂を溶融して該金型内に直接供給し、金型内で樹脂の賦形に併せて溶融樹脂にラベルを貼着するものである(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。またこの様な金型内で貼着するラベルをインモールドラベル(In-Mold Label, IML )と呼んでいる。
【0003】
このようなインモールドラベルとしては、グラビア印刷された樹脂フィルム、オフセット多色印刷された合成紙(例えば、特許文献3、特許文献4参照)、あるいは、アルミニウム箔の裏面に高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などをラミネートし、その箔の表面にグラビア印刷したアルミニウムラベルなどが知られている。
【0004】
このようなインモールドラベルは、通常、成形体の外周を形作る雌金型の内壁に吸引や静電気を利用して装着固定され、次いで金型内に溶融樹脂を供給して成形体を形成してこれに一体化するために、成形体の外周に貼着している。
このようなラベル付き成形体において、より意匠性を高める目的から、ラベルを成形体の外側ではなく内側に配して、透明または不透明な成形体を介してラベルを視認できるようにする種々の試みが行われた。
【0005】
例えば特許文献5〜8には、内側容器と外側容器からなる二重構造の容器の間に、ラベル(印刷物、装飾フィルム)を装填する(挟む、配する、埋め込む)複合容器が記載されている。これらの容器は、ラベルが透明または半透明の外側容器を介して外部から目視することができ、高級製品にふさわしい外観を提供するとしている。
【0006】
しかし同発明においてラベルは、外側容器には融着しておらず、接しているだけであり一体とはなっていない。容器外観からラベル内容は視認できるものの、両者間には空気の層が有り、容器内側の表面とラベルの表面のそれぞれの界面で個別に光反射や回折が起こるために、ラベルの表面に施された印刷等の装飾は光の拡散によりぼやけて見え、容器とラベルとの一体感は乏しいという問題点があった。より高級感を高めるためには、外側容器とラベルは融着しており一体となっている事が望まれた。更に特許文献7、8の発明は製法上、パリソンの吹込み成形によって内側容器を形成してラベルを固定化するまで、ラベルが自由に動いてしまうためにズレや落下が生じやすく、製品品質が安定しないという問題点があった。
【0007】
容器の内側にラベルを配してこれを一体化する発明としては、特許文献9〜11の手法が見られる。これらは金型内にあらかじめラベルを挿入しておき、成形体の成形時にこの内側にラベルを貼着して一体化するインモールド成形法の応用発明を開示している。
【0008】
特許文献9には、熱収縮性のあるラベルを雄金型の形状に合わせて加熱収縮させておき、次いで雌金型と型閉じして射出成形を行う、ラベル付き容器の製造方法が記載されている。同方法によれば、内側にラベルがズレ無く一体化した容器を得ることができるが、同方法はラベル素材の選択肢に乏しく、また製法上、ラベルを雄金型の定位置に設置し、ラベルを加熱収縮させるために時間を要するものなので、容器1個成形するためのショットサイクルが非常に長くなるために生産性がよいものではない。
【0009】
なにより特許文献9で得られる容器の問題点は、内容物が直接ラベルに触れるために、安全上の懸念があることである。今般の製品安全に対する消費者要望を鑑みれば、食品や薬品、化粧品など人体に直接用いられる内容物を収容する容器について、これら内容物が長期間に接するのは樹脂容器本体であるべきでありこの点、上述の特許文献5〜8の様態のように、ラベルが二重容器の間に配置されて内容物から隔離されている方が好ましい。特許文献9の様態では、印字面が容器内部側ではないといえども、ラベル端面からの印刷インキの溶出の可能性を回避できない。同発明がラベルのデザインまでコントロールすることができないからである。更には内容物成分(油分)がラベルに浸透して膨潤し容器外観が悪化する恐れや、ラベル自身が剥離して内容物に接する恐れがある。
【0010】
特許文献10には、あらかじめ金型外壁に固定しておいたインモールドラベルを、流入樹脂の流れによって内側に押し込み、最終的に内周面にラベルを貼り付ける筒状容器の成形方法の記載がある。しかしこの方法によれば、ラベル移動時の位置ズレや、樹脂圧力によるラベルの穴あきや印刷の流れ、流入樹脂のラベル表裏回り込みによる製品外観悪化や歩留まり低下などの生産性悪化の問題は避けられない。
【0011】
特許文献11には、カップ状の一次成形品の内部に、外周面にラベルを装着したコア金型を挿入し、加熱により一次成形品をコア金型に密着するように収縮させてラベルを容器の内周面に接着するカップ状容器の成形方法の記載がある。しかしこの方法も、ラベルをコア金型の定位置に設置し、容器を加熱収縮させるために時間を要するものなので、容器1個を成形するためのショットサイクルが非常に長くなるために生産性が良いものではない。さらに、特許文献10、11においても、上記特許文献9と同様にラベルが内容物と直接接触するために、安全面からの懸念は解決されていない。
【0012】
また、特許文献9〜11に記載の、容器の内側にラベルを配してこれを一体化する発明は生産性が良くないことから実現化されておらず、そのためこれらと特許文献5〜8を組み合わせた複合容器もまた、未だ実現化されていない。特に、特許文献5〜8に記載の、個別に内側容器と外側容器を作り組み合わせる手法や、先に外側容器を作ってから後に内側容器をブロー成形で作る手法では、ラベルを外側容器に一体化できない問題、ラベルを確実に定位置で固定できない問題、あるいは煩雑で時間が掛かり現実的でない作業工程を回避することができない問題が依然として残されていた。
【0013】
上記の技術分野とは別に、特許文献12には、食器の製造方法に関して、内側部材を射出成形する工程と、この内側部材の背面で外側部材を射出成形する場合の射出口と対応する位置に外側部材の射出成形時の溶融樹脂材の熱や圧力に耐えうるシートを、接着剤を用いて接着もしくは凹部に設置することで取付ける工程と、このシートを取付けた内側部材の外側に外側部材を射出成形する工程とからなる食器の製造方法の記載がある。
しかし特許文献12の発明は、内部に挿入するシートの両面が内側部材、外側部材の各樹脂材に融着して一体化しているものではないので、特許文献5〜8の発明と同様に、容器とラベルとの一体感に乏しいという問題点があった。また特許文献12の発明は、その主旨から、内部に挿入するシートは外側部材を射出成形する場合の射出口と対応する位置に配置すれば足りるものであり、この点からも、市場で受け入れられる程度の外観改良の観点で不十分である。
さらにその製造方法の観点でも、一度内側部材を射出成形した後、この内側部材の背面にシートを取付ける別工程を有するものであり、複雑である。
【0014】
また特許文献13には、片面に図柄が形成された第一の透明樹脂からなる成形品を、図柄側が雄型に面するようにインサート成形用金型の雌型に配置し、金型を閉じた後に第一の透明樹脂からなる成形品と金型の雄型との間に第二の透明樹脂を射出することによって、第一の透明樹脂と第二の透明樹脂とで図柄を挟み込む成形品が得られる図柄付成形品の製造方法の記載がある。
しかし特許文献13の発明は本来、家電製品や自動車などのメーカー名や商品名などをあらわすエンブレムとして好適な図柄付成形品の製造方法に関するものである。この発明をラベルを内包する容器の製造方法として転用した場合は、まず容器の内側にラベルを配した外側容器を第一の透明樹脂からなる成形品として得、次いで第一の成形品を雌型の一部としてその内側に第二の透明樹脂を射出することによって内側容器とし、第一の透明樹脂と第二の透明樹脂とで図柄を挟み込む容器を製造することになる。
ここで容器の内側にラベルを配した第一の成形品を成形するためには、上記特許文献9〜11に記載の発明のような技術を使用せざるを得ず、実施は困難である。更に外側容器を形成した後に、この内側に射出成形により内側容器を形成する製造方法によれば、外側容器との界面であるラベル部分に浮きが発生してラベルと樹脂材料が一体化した容器が得られないという問題点がある。
【0015】
このように、内側容器と外側容器の間にラベルを配し、さらに隙間なく3者を密着させることによって外観が改良された安全性の高い複合容器はいまだ実現に至っていないものであった。また、この複合容器を、ラベルのズレ無く、高い生産性で製造する方法についても実現に至っていないものであった。
【特許文献1】特開昭58−069015号公報
【特許文献2】特開平01−125225号公報
【特許文献3】特公平02−007814号公報
【特許文献4】特開平02−084319号公報
【特許文献5】特開平08−301262号公報
【特許文献6】特開2006−062751号公報
【特許文献7】特開2000−142684号公報
【特許文献8】特開2001−287260号公報
【特許文献9】特開平06−091692号公報
【特許文献10】特開平11−245260号公報
【特許文献11】特開2006−096012号公報
【特許文献12】特開昭58−096533号公報
【特許文献13】特開平09−011275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は樹脂材料中にラベルを内包する複合容器であって、容器の外側または内側からラベルを鮮明に視認することができて、容器に入れる内容物に対する安全上の懸念が無い複合容器を提供することにある。また、本発明の別の目的は、この複合容器をラベルのズレ無く、生産性良く容易に作り得る製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、まずラベルを融着した内側容器を射出成形により形成し、次いでラベルが内包されるように外側容器を射出成形により形成することによって、ラベルの両面が内側容器と外側容器に融着して一体化した複合容器を提供しうることを見いだし、以下に記載される本発明を完成させるに至った。なお、以下に記載される本発明では、内側容器は第1樹脂材料部の一態様とし、外側容器は第2樹脂材料部の一態様として表記している。
【0018】
[1] 第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成される射出成形複合容器であって、前記ラベルは前記第1樹脂材料部と前記第2樹脂材料部との間に内包されており、且つ、前記ラベルの両面が前記の各樹脂材料に融着して一体化していることを特徴とする射出成形複合容器(内包とは、ラベルが樹脂材料の内部に含み持たれることを意味し、ラベルが樹脂材料の外に露出していない状態を指す)。
[2] 前記第1樹脂材料と前記第2樹脂樹脂材料が、各々独立に、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、ポリアリルサルホン、およびアイオノマーよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であることを特徴とする[1]に記載の射出成形複合容器。
[3] 前記第1樹脂材料が、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、およびポリアリルサルホンよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であり、且つ、前記第2樹脂材料が、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、エラストマー、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリブテン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、ポリアリレート、およびポリアリルサルホンよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の射出成形複合容器。
[4] 前記射出成形複合容器が第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成されており、前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料に同一の樹脂材料よりなる樹脂組成物を用いることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。なかでも、射出成形により形成され蓋との嵌着部を有する容器の形状を有する第1樹脂材料部と、射出成形により形成され前記第1樹脂材料部の外側に位置する第2樹脂材料部と、ラベルから構成される射出成形複合容器であって、前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料は同一の樹脂材料よりなる樹脂組成物を用い、前記ラベルは第1樹脂材料部の側壁に沿って配置されており、且つ前記第1樹脂材料部と前記第2樹脂材料部との間に内包されており、且つ、前記ラベルの両面が前記の各樹脂材料に融着して一体化していることを特徴とする射出成形複合容器。
[5] 前記射出成形複合容器が第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成されており、前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料とは互いに樹脂の組成が異なることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[6] 前記第1樹脂材料部が射出成形により形成され、蓋との嵌着部を有する容器の形状を有することを特徴とすることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の射出成形複合容器。
[7] 前記第2樹脂材料部が前記第1樹脂材料部の外側に位置することを特徴とする[6]に記載の射出成形複合容器(外側とは、複合容器の内容物を収容する領域からより遠い側を指す)。
[8] 前記第2樹脂材料部も容器の形状を有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の射出成形複合容器。
[9] 前記第1樹脂材料部か前記第2樹脂材料部の少なくとも一方が透明であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[10] 前記ラベルの基材がポリオレフィン系フィルムまたはポリエステル系フィルムで構成されることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[11] 前記ラベルの基材の表面と裏面が互いに異なる材質で構成されていることを特徴とする[10]に記載の射出成形複合容器。
[12] 前記ラベルが容器の形状を有する前記第1樹脂材料部の外周壁に沿って配置されていることを特徴とする[6]〜[11]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[13] 前記ラベルが装飾を有することを特徴とする[1]〜[12]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[14] 前記装飾が印刷よりなるものであることを特徴とする[13]に記載の射出成形複合容器。
[15] 前記装飾が金属箔よりなるものであることを特徴とする[13]または[14]に記載の射出成形複合容器。
[16] 前記ラベルの装飾が前記樹脂材料を通して視認できることを特徴とする[13]〜[15]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[17] 前記ラベルの装飾が容器内側から視認できる位置に設けられていることを特徴とする[16]に記載の射出成形複合容器(内側とは、複合容器の内容物を収容する領域またはその領域を見込む空間を指す)。
[18] 前記ラベルがその少なくとも片面にヒートシール層を有することを特徴とする[1]〜[17]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[19] 前記ラベルが貫通孔を有することを特徴とする[1]〜[18]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
[20] 前記射出成形複合容器の外表面が装飾を有することを特徴とする[1]〜[19]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【0019】
[21] 第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成される射出成形複合容器の製造方法であって、
(1)第1金型の雌金型側の内壁にラベルを配置して固定し、型閉じした後に、前記第1金型内に第1樹脂材料を射出して成形することによりラベルが融着した第1樹脂材料部を形成する工程、および、
(2)前記第1樹脂材料部上のラベルを完全に内包するように、雄型または雄型の一部としての前記第1樹脂材料部と雌型としての第2金型とで型閉じし、第2樹脂材料を射出して成形することにより、前記第1樹脂材料部上のラベルを覆うように第2樹脂材料部を形成する工程
を含むことを特徴とする射出成形複合容器の製造方法。
[22] 前記工程(1)において、前記第1樹脂材料部を蓋との嵌着部を有する容器の形状に成形することを特徴とする[21]に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[23] 前記第2樹脂材料部を前記第1樹脂材料部の外側に形成することを特徴とする[21]または[22]に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[24] 前記第2樹脂材料部も容器の形状に成形することを特徴とする[22]または[23]に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[25] 前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料とは互いに樹脂の組成が異なることを特徴とする[21]〜[24]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[26] 前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料が同一の樹脂材料よりなる樹脂組成物であることを特徴とする[21]〜[24]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[27] 前記ラベルが装飾を有しており、その装飾が前記第1樹脂材料部、前記第2樹脂材料部またはその両方を通して視認できるように、前記第1樹脂材料部と前記第2樹脂材料部の不透明度を決めることを特徴とする[21]〜[26]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
[28] 前記ラベルがその少なくとも片面にヒートシール層を有することを特徴とする[21]〜[27]のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の複合容器は、容器を構成する樹脂材料に内包されているラベルを、樹脂材料を介して鮮明に視認できるので、外観が著しく改良されている。また、ラベルは容器の内容物に直接触れることがないので、内容物に対する安全上の懸念は無い。そして、本発明の複合容器の製造方法によればラベルのズレ無く容易に上記の特徴を有する複合容器を供し得る、という顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の複合容器及び該複合容器の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0022】
樹脂材料
(第1樹脂材料部)
本発明の複合容器の第1樹脂材料部は、樹脂材料を射出成形することにより形成されるものであり、複合容器の樹脂材料の一部を構成するものである。第1樹脂材料部は、容器の形状を有していることが好ましく、なかでも複合容器の本体となる構造を有していることがより好ましい。第1樹脂材料部は、特に複合容器の内側容器となる構造を有していることが好ましい。ここでいう内側容器は、少なくとも底部と側壁部を有していて、複合容器に入れる内容物に接する容器である。上方が開放した筒状、カップ状、またはボトル状など様々な形状をとることが可能であり、その上端部には蓋を嵌合するための螺合嵌着等の嵌着部が形成されていてもよい。厚みについては特に制限はなく、側壁部において連続的に厚みが変化するようなものであってもよい。
【0023】
第1樹脂材料部は、透明であってもよいし、半透明や不透明であってもよい。半透明や不透明にする場合には、既存の充填剤を使用してもよい。また、第1樹脂材料部は自然色であっても、着色していてもよい。着色する場合には、既存の着色剤を使用してもよい。複合容器の内部から複合容器内に内包されているラベルの視認を可能にしたい場合は、内側容器となる第1樹脂材料部に透明または半透明の樹脂材料を用いる必要がある。例えば外側容器を不透明、内側容器を透明とすることで、外側容器を介してラベルの視認はできないが、内側容器を介してラベル上の印刷を視認できる構成となり、意匠性やデザイン性を高めることができる。また、蓋を開けたり容器の不透明な内容物をある程度使ったりすることにより初めてラベル内側の情報や装飾を視認できるようにすることもでき、例えば偽装や偽造を防止するためのセキュリティ情報や、懸賞や運勢などを記載しておくことができる。ラベル上の装飾を複合容器の外側から視認できればよいのであれば、内側容器となる第1樹脂材料部は必ずしも透明または半透明である必要はなく、不透明とすることも可能である。
【0024】
第1樹脂材料部を形成する樹脂材料としては、射出成形が可能な、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ボリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のスチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、ポリアリルサルホン等の熱可塑性樹脂を使用することができる。またこれらの樹脂は、単独重合体のみならず、共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0025】
これらの中でもポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂が加工適性や安全性の観点から好ましい。さらに、同じく加工適性や安全性の観点からポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン系樹脂を用いることがより好ましく、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレートやその共重合体を用いることがより好ましい。
これらの樹脂は耐熱性、強度、光反射性、その他の物性および意匠性を向上させる観点から結晶性を高める処理を施してもよく、またはこれらの樹脂に公知の充填剤や着色剤、添加剤を加えた樹脂組成物を用いることもできる。
【0026】
(第2樹脂材料部)
本発明の複合容器の第2樹脂材料部は、樹脂材料を射出成形することにより形成されるものであり、複合容器の樹脂材料の一部を構成するものである。第2樹脂材料部は、容器の形状を有していることが好ましく、なかでも複合容器の外側容器となる構造を有していることが好ましい。ここでいう外側容器は、少なくとも底部と側壁部を有していて、複合容器に入れる内容物に直接接することがない容器である。通常は複合容器の外側を構成する容器である。第2樹脂材料部は、上方が開放した筒状、カップ状、またはボトル状など様々な形状をとることが可能であり、第1樹脂材料部の一部または全部と相似形を有していてもよい。
例えば、第2樹脂材料部は第1樹脂材料部の嵌着部の下端部から側壁部(ラベル部)および底部へ渡って融着一体化する構造を有していてもよい。第2樹脂材料部の上端部は、図3に示すように、第1樹脂材料部の嵌着部の下端部へ巻き込み係止するようにして内側に折り曲げた折曲部を形成して第1樹脂材料部と一体化していることが好ましい。第2樹脂材料部の厚みについては特に制限はなく、側壁部において連続的に厚みが変化するようなものでもよい。
【0027】
第2樹脂材料部を構成する樹脂材料としては、射出成形が可能な、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、ポリオレフィン系エラストマー、ポリオレフィン系アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、アモルファスPET、ポリエステル系エラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン系エラストマー、スチレン系アイオノマー等のスチレン系樹脂;ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリブテン、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン等の(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリアリルサルホン、ウレタン系エラストマー、ウレタン系アイオノマー等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。さらに、バイオプラスチックや生分解性樹脂などのいわゆるグリーンプラを用いることも可能である。
またこれらの樹脂は、単独重合体のみならず、共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0028】
第2樹脂材料部に用いる樹脂材料は、第1樹脂材料部に用いた樹脂材料と同一であっても、異なっていてもよい。また、第2樹脂材料部に用いる樹脂材料は、第1樹脂材料部に用いた樹脂材料と同系列であっても、異系列であってもよい。
【0029】
同系列の樹脂を用いる場合は、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部との強固な融着を得たり、使用後のリサイクルを容易にしたりすることができる点で好ましい。例えば第1樹脂材料部、第2樹脂材料部ともに、ポリオレフィン系樹脂組成物かポリエステル系樹脂組成物のいずれかからなることが好ましい。その中でも特に、例えば第1樹脂材料部にポリプロピレン系樹脂組成物を用い、第2樹脂材料部にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー樹脂およびポリオレフィン系アイオノマー樹脂よりなる群より選ばれたポリオレフィン系樹脂を用いることが両者の接着性の観点から好ましい。更に第1樹脂材料部、第2樹脂材料部とも同一の樹脂を用いるのが接着性の観点からより好ましい。例えば第1樹脂材料部、第2樹脂材料部ともにポリプロピレン系樹脂組成物、またはポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物からなることが両者の収縮率の観点から好ましい。なお、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部に同一の樹脂を用いても、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部に添加する染料や色素を異なるものとすることにより、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の色を違えることが可能である。
【0030】
一方、第1樹脂材料部に用いる樹脂材料と第2樹脂材料部に用いる樹脂材料を異なるものとすることによって、それぞれの樹脂による機能や特性を組み合わせた複合容器を実現できる。このような組み合わせを用いれば、従来の容器に存在していた性能上の問題を改善することが可能になるとともに、容器の用途に応じた設計が容易になる。また、第1樹脂材料部に用いる樹脂材料と第2樹脂材料部に用いる樹脂材料を異なるものとすることによって、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の間に異質感を出し、ラベルを際だたせたり、意匠的な審美性を向上させたりすることもできる。このような態様は特に化粧品の容器において有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【0031】
第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の樹脂材料が異なる系列である場合としては、例えば、第1樹脂材料部の樹脂材料にポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオキシアルキレン系樹脂組成物からなる群より選ばれた樹脂組成物を用い、第2樹脂材料部の樹脂材料にポリエステル系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂組成物、(メタ)アクリル樹脂組成物、アイオノマー系樹脂組成物、エラストマー系樹脂組成物よりなる群より選ばれた樹脂組成物を用いる場合を挙げることができ、なかでも、第1樹脂材料部の樹脂材料にポリオレフィン系樹脂組成物、ポリオキシアルキレン系樹脂組成物からなる群より選ばれた樹脂組成物を用い、第2樹脂材料部の樹脂材料にポリエステル系樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂組成物、アイオノマー系樹脂組成物、エラストマー系樹脂組成物よりなる群より選ばれた樹脂組成物を用いる場合を挙げることができる。
【0032】
第1樹脂材料部に用いる樹脂材料と第2樹脂材料部に用いる樹脂材料を異なるものとした場合の好ましい具体例を幾つか例示する。例えば、内側容器となる第1樹脂材料部には、耐内容物性(耐油性、耐アルコール性、耐薬品性等)に優れたポリプロピレンやポリオキシメチレン等を選択して用い、外側容器となる第2樹脂材料部には、高透明で且つ2次加飾性に優れたポリエチレンテレフタレートやアイオノマー、耐光性・耐候性に優れたポリカーボネート、耐落下性・耐受傷性に優れたエラストマーやアイオノマー等を選択して用いることができる。また、蓋との嵌着部(ネジ部)を有する内側容器を成形する場合には、その嵌着部付き内側容器となる第1樹脂材料部にはスリップ性が優れた(蓋との軋みが生じない)ポリプロピレン等を選択して用い、なおかつ外側容器となる第2樹脂材料部には滑り性が無く手に馴染みやすいエラストマー等を選択して用いることができる。さらには、高透明樹脂の組合せとして、内側容器となる第1樹脂材料部には硬くガスバリア性の高いポリエチレンテレフタレート等を選択し、外側容器となる第2樹脂材料部には弾力性があり、2次装飾も容易なアイオノマー等を選択することもできる。ここに例示する組み合わせを採用することにより、2つの樹脂の特徴を足し合わせた効果に加えて、射出成形複合容器としたときのラベルの一体化、安定性、視認性もより優れたものになるという効果が得られる。
【0033】
なお、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部を仲介するラベルには、その少なくとも片面、好ましくは両面にヒートシール層を設けたり、貫通孔を設けて物理的な嵌合の効果を持たせたり、あるいはラベルの表裏に異なる処理を施したりするなどの工夫を施すことで、両者間の接着を促すこともできる。
【0034】
複合容器の外部から複合容器内に内包されているラベルの視認を可能にしたい場合は、外側容器となる第2樹脂材料部に透明または半透明の樹脂材料を用いる必要がある。しかし、ラベル上の装飾を複合容器の内側から視認できればよいのであれば、外側容器となる第2樹脂材料部は必ずしも透明または半透明である必要はなく、不透明な樹脂材料を用いたり、あるいは吹き付け塗装や金属蒸着を行ったりすることにより不透明とすることも可能である。第2樹脂材料部もまた、既存の着色剤を使用して着色したものであってもよい。また、公知の充填剤や着色剤、添加剤を加えたものであってもよい。また、第1樹脂部材同様に結晶性を高める処理をしてもよい。
【0035】
第2樹脂材料部の外表面は、平滑な鏡面として光沢を有するものであってもよいし、梨地等の粗面として艶消しにしてもよいし、エンボスとして凹凸を付与してもよい。好ましくは平滑な表面である。また、外表面にのみ結晶性を高める処理をしてもよい。
【0036】
表面が平滑であれば高光沢による更なる高級感を付与することができる。また、表面が平滑であれば第2樹脂材料部の外表面にラベルとは個別の装飾を施しやすい。ここでいう装飾としては、粘着ラベル、インモールドラベル、ストレッチラベル、シュリンクラベル、直接印刷、塗装、金属箔転写、金属蒸着、粗面化加工、エンボス加工等によるものが挙げられる。表面が平滑であれば粘着ラベルやインモールドラベルの貼着、ストレッチラベルやシュリンクラベルの装着、シルク印刷などによる直接印刷、吹き付けなどによる塗装、ホットスタンプなどによる金属箔転写、金属蒸着、等による装飾(二次的加飾)を容易に付加することができる。
梨地の表面とすれば、ぼかしの表現を意図的に付与することができる。またエンボスを付与した場合、該凹凸がレンズとして働き、内部のラベルの装飾と組み合わせることで立体感やホログラムの効果などを付加することができる。
【0037】
第2樹脂材料部の外表面には、複合容器に内包されるラベルとは別のラベルが融着されていてもよい。このような場合、内包されるラベルに風景写真、外側のラベルに窓枠や額縁などの装飾を施し、絵柄の重なりにより臨場感や立体感などを演出することができる。しかし、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部は一体として形成されているために、例えば、特開2006−143270号公報に記載されるような外側容器(第2樹脂材料部)の変形によるモアレの変化等の視覚的効果までは期待できない。
【0038】
なお、本発明の複合容器は、さらに第3樹脂材料部を有するものであってもよい。すなわち、第1樹脂材料部の表面、第2樹脂材料部の表面、あるいはこれらの両表面にまたがるように第3樹脂材料部が形成されていてもよい。このとき、第2樹脂材料部の表面に融着されたラベルは、第3樹脂材料部により内包され一体化していてもよい。また、第3樹脂材料部の表面にはさらに別のラベルが融着されていてもよい。
【0039】
ラベル
(ラベルの視認性)
本発明の複合容器を構成するラベルは、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の間に完全に内包され一体に融着している。好ましくは、ラベルは内側容器を構成する第1樹脂材料部の外周と外側容器を構成する第2樹脂材料部の内周に一体に融着している。ラベルは、透明または半透明な樹脂材料を介して視認できる。本発明では、透明または半透明の外側容器(第2樹脂材料部)を介して容器の外部からラベルを視認できることが好ましいが、透明または半透明の内側容器(第1樹脂材料部)を介して容器内側より視認できるものであってもよい。更にはこれらを組み合わせたものであってもよい。ラベルの装飾面は、外側容器(第2樹脂材料部)の内周の面並びに内側容器(第1樹脂材料部)の外周の面と界面を同一としているので、容器の光沢等が直接ラベルの装飾に反映して、より高級感を高めることができるものである。
またこれらのラベルは第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の間に埋設されるので、容器の内容物と直接触れることはない。このため、内容物がラベルの印刷インキ等により汚染されるなどの安全衛生面での懸念がない。
【0040】
(ラベルの基材)
基材とはラベルの支持体として、ラベルに強度や印刷適性、場合により不透明性等を付与するものである。またラベル成形に際してはヒートシール層を支持して成形しやすくするものであり、原料リサイクルの観点でも有利に機能しうるものである。
【0041】
本発明では、ラベルの基材として、樹脂フィルム、アルミニウムラベル、パルプ天然紙を始めとする種々の素材や材料を使用することができる。中でも透明、不透明を自由に選択できる樹脂フィルムをラベル基材に用いることが好ましい。更には容器との接着性が良く、容器のリサイクルが容易な、容器と同系列の樹脂材料を用いた樹脂フィルムをラベル基材に用いることが特に好ましい。
【0042】
基材として用いうる樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含むものである。熱可塑性樹脂としてはフィルム成形が可能な、ポリプロピレン系樹脂、あるいは高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0043】
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン系樹脂を用いることがより好ましく、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレートやその共重合体を用いることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体またはシンジオタクティック重合体を用いることが好ましい。また、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとプロピレンとを共重合させた様々な立体規則性を有するプロピレンを主成分とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0044】
ポリエチレンテレフタレートやその共重合体としては、エチレングリコールを主体とするジオールと、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸とからなる共重合体、あるいはこれらの原料と共重合可能なヒドロキシカルボン酸とからなる共重合体を用いることが好ましい。これらは2元系でも3元系以上の多元系でもよい。
【0045】
本発明に用いるラベルは、透明であっても、半透明であっても、不透明であってもよい。樹脂フィルム等を基材として用い、これらを半透明、不透明とする場合は、樹脂フィルム中に充填剤として無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有させてもよいし、無機微細粉末及び/又は有機フィラー含有樹脂フィルムを延伸して、充填剤を核として形成された微細な空孔を多数有する微多孔性の延伸樹脂フィルムとしてもよいし、印刷や塗工により隠蔽層を設けて光線透過率を調整してもよいし、これらの手法を組み合わせてもよい。
【0046】
ここで「透明」とは、用いるラベルの不透明度が0〜20%であり、「半透明」とは不透明度が20%を超えて80%以下であり、「不透明」とは不透明度は80%を超えて100%以下であることを示す。不透明度とはJIS P−8149:2000に基づき、ラベル試験片に標準黒色板を裏当てして測定した視感反射率を、同じく試験片に標準白色板を裏当てして測定した固有視感反射率で除した値を百分率で示したものである。
【0047】
樹脂フィルム中に用いうる無機微細粉末の種類は特に限定されない。無機微細粉末としては例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、硫酸バリウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素、シリカ、アルミナなどが挙げられ、またこれらは脂肪酸等で表面処理されていてもよい。なかでも、重質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルクが、安価で成形性が良く好ましい。
無機微細粉末は、安定した樹脂混練やフィルム延伸、均一な空孔形成の観点から、平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.02〜8μm、さらに好ましくは0.03〜4μmのものを使用することができる。
【0048】
樹脂フィルム中に用いうる有機フィラーの種類は特に限定されない。有機フィラーとしては、樹脂フィルムの主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、マトリクス樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメタクリル酸メチル、メラミン樹脂、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(4−メチル−ペンタ−1−エン)、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等のポリオレフィン系樹脂と非相溶で、融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃であるものを使用することができる。
有機フィラーは、無機微細粉末同様、分散後の平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.02〜8μm、さらに好ましくは0.03〜4μmのものを使用することができる。
【0049】
上記の無機微細粉末及び/又は有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。樹脂フィルムを半透明または不透明としたい場合、樹脂フィルム中の無機微細粉末及び/又は有機フィラーの含有量は0.5〜65重量%が好ましく、3〜50重量%であることがより好ましい。
【0050】
樹脂フィルムは、さらに必要により、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、滑剤、蛍光増白剤、着色剤等を含有してもよい。
【0051】
基材を構成する樹脂フィルムは、無延伸のものであっても、延伸されたものであってもよい。射出成型時の曲面追従性の観点から無延伸のものでもよいが、空孔形成による軽量化や、分子配向による剛度向上、薄膜化や厚み均一性の向上等の観点から、少なくとも一軸方向に延伸されたものであることが好ましい。また、前記基材は複数の層から構成され、表面と裏面が互いに異なる材質で構成されていることが好ましい。このように表面層と裏面層を別の基材とすることで、例えば装飾を施しやすい表面層と、裏面層として後述するヒートシール層からなるラベルが得られる。基材が複数の層から構成されるときは、少なくともその一層が延伸されていることが好ましい。複数層を延伸する場合は、各層を積層する前に個別に延伸しておいてもよいし、積層した後に延伸してもよい。また、延伸した層を積層後に再び延伸しても差し支えない。さらに、基材にヒートシール層を成形した後に全体を延伸してもよい。
【0052】
基材を構成する樹脂フィルムの延伸には、従来公知の種々の方法を使用することができる。例えば、スクリュー型押出機に接続されたTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出し成形した後、該シートを、ロール群の周速差を利用して延伸するロール間縦延伸法、テンターオーブンを利用して延伸する横延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせにより延伸する同時二軸延伸法、テンターオーブンとパンタグラフ型延伸装置を用いて延伸する同時二軸延伸法、該シートをカットした後パンタグラフ型延伸装置を用いて延伸する同時二軸延伸法、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込み延伸する同時二軸延伸(インフレーション成形)法などが挙げられる。
【0053】
延伸の温度は、熱可塑性樹脂が非結晶樹脂の場合は使用する樹脂のガラス転移点以上、結晶性樹脂の場合には、非結晶部分のガラス転移点以上から結晶部の融点以下に設定することができる。具体的には使用する熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度であり、例えば樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)のときは152〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)のときは110〜120℃が好ましい。また、延伸速度は20〜350m/分が好ましい。延伸速度が同範囲内であれば、樹脂フィルムの生産性が安定し、好ましい。
【0054】
(ヒートシール層)
本発明に用いるラベルには、ラベルの最外層にヒートシール剤(一般的にはヒートシール樹脂)の層を設けることで、ヒートシール層を少なくとも片面に設けることが好ましい。本発明において、ヒートシール層とは、ラベルと容器との接着を促進するものであり、常温では固体状であるが、金型内で第1樹脂材料部または第2樹脂材料部を成形する際に溶融した樹脂の熱で活性化し、溶融樹脂と融着して、冷却後は再度固形状となり強固な接着力を発揮しえるものである。
【0055】
本発明に用いるラベルにおいて、ヒートシール層は、上記基材に積層してラベルの一部として設けられる。より具体的には、基材の片面に塗工により設けるか、基材に溶融ラミネートにより設けるか、基材が樹脂フィルムであればその製造過程において基材と共押出しすることより設けることができる。
【0056】
ヒートシール層の形成を含む具体的なラベルの製造例として、まずフィルム等の基材の片面にヒートシール剤を塗工や押出ラミネート等の手法により施す、あるいはフィルム成形時にこれに一体にヒートシール層を積層共押出して施すことにより、ヒートシール層を設け、次いで基材のもう一方の面にオフセット印刷等により装飾を施す方法を挙げることができる。この手法により基材の片面に装飾を設けることができる。ラベルの両面に異なる装飾を設けたい場合は、基材の両面にオフセット印刷等によりそれぞれ装飾を施した後に、ヒートシール剤を塗工や押出ラミネート等の手法により施しヒートシール層を設けることができる。
【0057】
ヒートシール層に用いられる熱可塑性樹脂素材としては、射出成形により容器を形成する際に加熱によりラベルを樹脂材料部に接着する機能を有するものであればその種類は特に制限されない。
【0058】
本発明におけるヒートシール層を構成する熱可塑性樹脂は、DSC測定によりピーク温度として求めた融点が60〜130℃であることが好ましい。60℃未満であると常温でのべた付きによりラベルのスベリ性が悪くなり、ブロッキング等を起こしやすい。その為ラベルを金型へインサートする際に、2枚挿し等のトラブルが多発しやすい。また130℃を超えて大きいとラベルと成形体との接着性が悪くなりやすいため、好ましくない。
【0059】
具体的な熱可塑性樹脂の例としては、ポリオレフィン系樹脂である、低密度ないし中密度の高圧法ポリエチレン、直鎖線状ポリエチレン、エチレン、α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン光重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等の融点が60〜130℃のポリエチレン系樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】
ヒートシール層には、ヒートシール層に要求される性能を阻害しない範囲で、他の公知の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。そのような添加剤としては、染料、核剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、分散剤等を挙げることができる。
【0061】
ヒートシール層は、インモールド成形時のラベルと第1樹脂材料部との間の空気巻き込みによるブリスター(フクレ)の発生を防止するため、その表面がJIS−B−0601:2001に基づく三次元中心面平均粗さ(SRa)が1〜10μmの凹凸形状を有することが好ましく、2〜8μmの凹凸を有することがより好ましい。このような凹凸形状を付与するため、必要であればヒートシール層にはエンボス加工をすることができる。エンボス加工はヒートシール層成形時、もしくは成形後にエンボスロール等に圧着して該ロールパターンを転写することで実施できる。凹凸形状が1μmより小さくては射出成形時に成形体とラベルの間に空気が閉じこめられ、ブリスターという外観不良が発生しやすく好ましくない。また10μm以上であると凹凸模様がラベル装飾面側の外観にも現われ、印刷時に印刷ムラが発生しやすく、また金属箔転写時に転写ムラが発生しやすく好ましくない。このようなエンボス形状には、正四角錘の頂点を削った形の凸部(頭切ピラミッド形)や半球状の凸部を等間隔で並べた規則的な凹凸形状、あるいは梨地を例示できる。
【0062】
(装飾)
本発明に用いるラベルは、最外層に印刷や金属箔転写等の装飾を施すことができる。この場合ラベルの少なくとも一方の面が装飾面であり、あるいは両面が装飾面である。また、本発明においてラベル上の装飾は、容器と接着して一体となり、容器を介して視認できることが好ましい。
【0063】
本発明に用いるラベルには、装飾として、商品名、ブランド名、製造元、販売会社名、使用方法、使用上の注意、連絡先、バーコードや2次元バーコード等の情報や、コーポレートマーク、サービスマーク、ロゴ、キャラクター、デザインやパターン等の意匠を印刷により設けることができる。印刷方法としては、枚葉オフセット印刷、輪転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷等の各種印刷方式が使われているが、印刷物の鮮明さと生産コストから枚葉オフセット印刷やグラビア印刷が多く使われている。
【0064】
印刷インキとしては、油性オフセットインキ、UV硬化型オフセットインキ、グラビアインキ、水性フレキソインキ、UVフレキソインキ、油性スクリーンインキ、UVスクリーンインキ等が挙げられる。これらのインキは各種の染料、顔料を含むものであり、例えば塩基性染料、酸性染料、直接染料、蛍光染料、分散染料、反応性染料等の染料が使用でき、例えば金属の酸化物あるいは硫化物を主成分とする無機顔料や、通常レーキと言われている溶解した染料に沈殿剤を加えて不溶性にした有機顔料など広く使用できる。本発明により製造された複合容器では、ラベルが容器内容物に直接触れることはないため、内容物へのインキ漏れは起こりえない。そのため、特に安全性を考慮することは必要なく、幅広い印刷インキを選択して用いることができる。
【0065】
具体的な無機顔料としては、チタンホワイト(二酸化チタン)、亜鉛華(酸化亜鉛)、炭酸カルシウム、カオリン、黒鉛(カーボンブラック)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、黄土(イエローオーカー)、黄鉛(クロムイエロー)、亜鉛黄(ジンクイエロー)、ニッケルチタンイエロー、ビスマスバナジウムイエロー、カドミウムイエロー、弁柄(酸化鉄)、鉛丹、辰砂(硫化水銀)、カドミウムレッド、沈降性硫酸バリウム、バライタ粉等が挙げられる。有機顔料としてはレーキ顔料の他に、多環式系、フタロシアニン系、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、ポリアゾ系、染付け系のもの等が挙げられる。
【0066】
顔料はプロセス4色、白色、特色、体質顔料の他に、パール顔料(酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄等の無機塩で表面処理したタルク粒子、カオリン粒子、マイカ粒子、板状シリカ、板状アルミナ、板状炭酸カルシウム等)、金属粉(ブロンズ粉、ブロンズペースト、リーフィングタイプアルミニウムペースト、ノンリーフィングタイプアルミニウムペースト等)などを含むものである。これらは組み合わせて用いてもよい。
【0067】
また、上記印刷手法の他にインキ印刷面の形成は塗布による方法も可能であり、インキの塗布方法としては、ロールコート、グラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、ダイコート等の通常の塗装方式を挙げることができる。
【0068】
本発明に用いるラベルには、更に意匠性を高めるため、ホットスタンプやコールドスタンプ等の金属箔転写、金属直接蒸着、金属転写蒸着、感光性樹脂に干渉縞を露光して現像する(ホログラムの成形)方法などにより形成することができる。これらの装飾は組み合わせて用いてもよい。
【0069】
(穿孔)
本発明に用いるラベルは、穿孔による貫通孔を有することができる。貫通孔を有することで、第1樹脂材料部および第2樹脂材料部との融着の際に、溶融樹脂が貫通孔に流入して、物理的な嵌合による接着性向上の効果を得て、より一体化しやすくなり、好ましい様態となる。
【0070】
ラベルを貫通して穿孔構造を形成する方法としては、ダイヤモンド粒子付きローラー、熱針、抜き刃を利用した機械的穿孔法、レーザー光照射穿孔法、電子ビーム照射穿孔法、プラズマ穿孔法、高圧放電穿孔法から選ばれた少なくとも一つの穿孔法が適用でき、ラベルの材質、肉厚、通過速度、穿孔径に応じて適宜選択することができる。
【0071】
ラベルに形成する穿孔は、隣り合った穿孔間のピッチが、好ましくは3〜30mmの範囲で分布し、より好ましくは4〜20mmの範囲で分布し、特に好ましくは5〜15mmの範囲で分布している。ピッチが3mm未満である場合は、穿孔が装飾外観上目立つようになり好ましくない。30mmを超える場合は、嵌合による接着性向上の効果が所望する程度に得られない。また穿孔はラベル上に均一に分布していることが均一な接着性を得られる点で好ましい。
【0072】
ラベルに形成する穿孔は、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、特に好ましくは0.2〜0.8mmの孔径を有する。ここで孔径とは、孔の断面形状が円の場合は直径、それ以外の場合は長径(最大径)を指す。穿孔径が0.05mmに満たない場合は、溶融樹脂が穿孔に流入せず、初期の目的を達し得ない。穿孔径が2mmを超えては、穿孔が装飾外観上目立つようになり好ましくない。
【0073】
本発明に用いるラベルが、基材に樹脂フィルムを用いる場合、穿孔周縁部は穿孔処理により熱変形または塑性変形することによって、貫通後に該フィルムの厚み方向に捲れあがり、該フィルムの本来の厚みよりも厚みが増加した突起部位(隆起部位、バリ)が形成されたものでもよい。
該突起部は、第1樹脂材料部または第2樹脂材料部の射出成形によりラベルと一体化する際、容器側へ飛び出した錨として、容器/ラベル界面で嵌合した構造を形作り、更に接着力向上に寄与する。
【0074】
(ラベルの形状)
本発明に用いるラベルは、前述のラベル基材が装飾、ヒートシール層の付与、穿孔などの工程を経た後、複合容器に用いられるサイズや形状に打ち抜かれて成り、複合容器の形成に用いられる。
【0075】
本発明に用いるラベルは、第1樹脂材料部の形状に対して、外周壁に一体化するものでもよく、底部に一体化するものでもよく、これらを組合せたものでもよい。外周壁のみならず底部にもラベルを介在させることで、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とに異なる樹脂組成物を用いる場合でも、その接合面の殆どをこれらラベルが仲介することで、両者間の接着力を向上させて一体化しやすくし、ラベルの設計により遮光性やガスバリア性を向上させることができる。
【0076】
これらのラベルの形状としては、第1樹脂材料部の形状に合わせて、側壁部には長方形や台形、扇形の形状、底部には円形やドーナツ形、正方形を含む多角形の形状とすることができる。例えば、実開平01−055970号公報の第1図や特開平07−232723号公報の図2、図3に示されるブランクの平面図(展開図)の様に、側壁部と底部に用いるラベルを一体とした形状でもよい。本発明の複合容器の構成によれば、内容物とラベルは直接接していないため、ラベルの形状としてどのような形状を選択したとしても、ラベル端部からインキ漏れを起こすことはない。
【0077】
樹脂材料とラベルの関係
(組み合わせ)
内側容器となる第1樹脂材料部と外側容器となる第2樹脂材料部が共に透明または半透明で、かつ、ラベルが透明または半透明である場合は、複合容器を介して内容物や内容量が確認できる。
外側容器および内側容器が透明または半透明で、かつラベルが不透明である場合は、複合容器の内外からラベルを視認できるので、例えばラベルの表裏に異なる装飾を施して、
内側容器が不透明で、かつ、外側容器およびラベルが透明または半透明である場合は、内側容器の地合を容器外観から視認することにより、実用新案登録第3114093号と同様の奥行きの深い色相を有する容器に、更にラベル情報を付与したものを提供できる。
外側容器が透明または半透明で、内側容器およびラベルが不透明である場合は、ラベル上の情報や装飾を従来の複合容器よりも鮮明に視認することができる。本発明の複合容器は内側容器、外側容器およびラベルが一体化されていて、内側容器または外側容器とラベルの間に空気層が存在しないため、界面での光の反射や回折が抑制できるためである。その結果、ラベルの表面に施された印刷等の装飾は光の拡散によりぼやけることなく、鮮明に視認される。
【0078】
ラベルを挟む外側容器と内側容器の厚さについては、両者が透明、半透明あるいは不透明であるかに関わらず、用途に合わせて適宜決めることができる。例えば、透明または半透明の着色樹脂を複合容器の材料として用いる場合、内側容器と外側容器の側壁部の厚さを変えることにより、本発明の複合容器において立体的なグラデーションを表現することができる。
【0079】
(融着と一体化)
本発明の製造方法では、ラベルは第1樹脂材料部と第2樹脂材料部との間に内包されており、且つ、ラベルの両面が各樹脂材料に融着して一体化していることを特徴とする。本発明において「融着」とは、互いに接合しようとする2つの面を構成する各部材が熱により溶融・拡散し、2つの面が接した状態で冷却することによって当該2つの面が接合することを意味する。また本発明において「一体化」とは、複数の部材の各接面に浮きや空気溜まりがない状態で密着接合していることを意味する。
【0080】
複合容器の製造方法
(製造方法の説明)
本発明の複合容器の製造方法は、特許請求の範囲に記載される複合容器を提供することができるものであれば特に制限されない。好ましい製造方法は、ラベル付き第1樹脂材料部を射出成形により形成し、次いでラベルを内包するように第2樹脂材料部を射出成形により形成する方法である。特に好ましい製造方法は、以下の2つの工程を含む本発明の製造方法である。
(1)第1金型の雌金型側の内壁にラベルを配置して固定し、型閉じした後に、前記第1金型内に第1樹脂材料を射出して成形することによりラベルが融着した第1樹脂材料部を形成する工程、および、
(2)前記第1樹脂材料部上のラベルを完全に内包するように、雄型または雄型の一部としての前記第1樹脂材料部と雌型としての第2金型とで型閉じし、第2樹脂材料を射出して成形することにより、前記第1樹脂材料部上のラベルを覆うように第2樹脂材料部を形成する工程
【0081】
工程(1)では、第1金型の雌金型側内壁にラベルを配置して固定する。ここでいう第1金型は、形成しようする第1樹脂材料部の形状に対応したキャビティ構造を有している。ラベルは、第1樹脂材料部に融着することを予定している位置に対応する場所に配置して固定する。その際、ラベルを吸引や静電気など周知の手法を利用して金型内壁に固定する。より具体的には、第1金型は雌金型と雄金型からなるものである。すなわち、雌金型内壁にラベルを固定しておき、雄金型と型閉じする。
【0082】
次いで、雌金型側の内壁にラベルを固定した第1金型内に第1樹脂材料を射出して成形する。ここでいう射出と成形は、通常の射出成形技術に用いられている方法を適宜選択し、必要に応じて組み合わせて行うことができる。この工程(1)を実施することにより、所望の位置にラベルを融着させた所望の形状を有する第1樹脂材料部を得ることができる。第1樹脂材料部は容器の形状を有するように成形することが好ましく、なかでも、製造しようとしている複合容器の主たる容器を構成するように成形することがより好ましい。ラベルは、上記のように目的や用途に応じてさまざまな位置に融着することができる。例えば、容器の形状を有する第1樹脂材料部の側壁部および/または底部にラベルを融着することができる。このとき、複数のラベルを同時に融着してもよいし、1枚のラベルだけを融着してもよい。
【0083】
射出成形時にラベルを固定する雌金型内壁は、湾曲または屈曲していることが本発明の効果をより良く享受することができる点で好ましく、湾曲していることがより好ましい。換言すれば、ラベルを固定する雌金型内壁は、曲面または谷線を含むことが好ましく、曲面を含むことがより好ましい。曲面を含む場合、ラベルを固定する雌金型内壁は、全体にわたって一定の曲率で湾曲していてもよいし、曲率が連続的に変化していてもよい。また、雌金型内壁の一部が湾曲していて、その他の部分が平面状であってもよい。ラベルを固定する雌金型内壁が谷線を含む場合、谷線には平面が連接していてもよいし、曲面が連接していてもよい。また、谷線は複数あっても構わない。
【0084】
このような第1金型を用いて射出成形することによって、例えば、断面が円形または楕円形の側壁部と底部からなる第1樹脂材料部であって、側壁部に外側からラベルを融着したもの(外周壁にラベルを融着したもの)を得ることができる。また、側壁部が曲率を有する部分と曲率を有しない部分からなっていて、曲率を有する部分に外側からラベルを融着したものを得ることもできる。さらに、複数の山線とそれと同数の平面状側板からなる断面が多角形の側壁部と底部からなる第1樹脂材料部であって、少なくとも1本の山線をまたぐようにラベルを融着したものを得ることもできる。なお、これらの具体例において、曲率を有しない部分や谷線を含まない部分にラベルを形成することも可能である。また、ラベルが側壁部を一周して鉢巻き状に形成されている態様も好ましい例として挙げることができる。
【0085】
第1樹脂材料部を形成する装置としては、従来から公知の、射出装置と型締め装置、場合によりラベルインサーターや容器取り出しロボットなどを組み合わせたものを用いることができる。ラベルの金型内への挿入及び成形された第1樹脂材料部の金型からの取り出しはロボットにより連続で行ってもよいし1ショット毎に手で行ってもよい。第1樹脂材料部を形成する際に、ラベルは金型内壁の所望の位置に装着固定されるが、吸引固定のための吸引穴の加工を金型に施したくない場合、帯電装置でラベルを帯電させて金型内壁に帯電吸着させるか、また図2のように第1樹脂材料部の形状を肩部および容器底部の角を立たせたエッジ形状とすることで、金型内でラベルを自立させて、ラベルを金型内壁に固定することもできる。このような形状を金型に施すことは、従来インモールドフィルムで行っている吸引穴の加工を金型に施すことが不必要となり経済的となるため、好ましい。また、図2において第1樹脂材料部の肩部を完全に角にしてもよい。
【0086】
第1樹脂材料部を形成し、工程(2)の第2樹脂材料部の形成に移る前に、第1樹脂材料部には更にスクリーン印刷等による直接印刷、ホットスタンプ等による箔押し、インクジェットやレーザーによる印字(刻印)、粘着ラベル貼付などによる装飾を施してもよい。
【0087】
工程(2)では、工程(1)で得られたラベル付き第1樹脂材料部の表面に、ラベルが完全に覆われるように第2樹脂材料部を射出成形により形成する。ここでは、型閉じを第2金型で行う。このとき、ラベルが型の中に完全に内包されるように型閉じを行う。第2金型のキャビティ形状は、形成しようとする第2樹脂材料部の形状に応じて決定する。第1樹脂材料部が容器の形状をしているとき、第2金型は第1樹脂材料部の外側に型閉じできる形状であることが好ましい。このとき、第1樹脂材料部は第2金型の内部に装着され、第2樹脂材料部の内側を形作る金型(雄金型)または金型(雄金型)の一部の役割をなす。その後にキャビティ構造を有する雌金型としての第2金型とで型閉じし、第2樹脂材料を射出して複合容器を形成する。
【0088】
この工程(2)を実施することにより、所望の形状を有する第2樹脂材料部を所望の位置に形成した複合容器を得ることができる。さらに第2樹脂材料部も容器の形状を有するように成形することが好ましく、これによって、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部は一体となりラベルを内包する複合容器となる。
工程(2)の実施に際して、第2金型(雌型)内壁に新たなラベルを固定して射出成形を行うこともできる。これによって、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部との間に内包されたラベルの他に、第2樹脂材料部の外表面に融着された第2のラベルも有する複合容器を製造することができる。
【0089】
第2樹脂材料部を形成する装置としては、第1樹脂材料部の場合と同様に、公知の射出装置と型締め装置、場合により容器挿入及び取り出しロボット、ラベルインサーター等を組み合わせた機器を用いることができる。同装置への第1樹脂材料部の挿入および複合容器の取り出しは1ショット毎に手で行ってもよい。
【0090】
第2樹脂材料部の外表面は、用いる第2金型(雌金型)の内壁を加工することで、平滑な鏡面として光沢を生じさせてもよいし、梨地等の粗面として艶消しにしてもよいし、エンボスとして凹凸を付与してもよい。好ましくは平滑な表面である。また、これらの第2樹脂材料部の外側に個別に設ける装飾は、第2樹脂材料部の形成と同時に行ってもよいし、第2樹脂材料部の形成後に行ってもよい。
【0091】
このようにして、ラベルが第1樹脂材料部と第2樹脂材料部との間に内包されており、且つ、ラベルの両面が各樹脂材料に融着して一体化している射出成形複合容器を製造することができる。例えば、側壁部と底部からなる容器であって、側壁部内にラベルが鉢巻状に内包されているものや、側壁部内に湾曲または屈曲した1枚または2枚以上のラベルが内包されているもの等を製造することができる。このようなラベルを内包する容器を従来の方法にしたがって製造しようとしても、樹脂材料からラベルが浮いてしまったり、樹脂材料とラベルの間に空気溜まりができてしまったり、ラベルに皺や波打ちが生じてしまったりして、結局ラベルを樹脂材料に融着して一体化させることができなかった。ラベルの融着一体化は、本発明の斬新な製造方法によって初めて可能になったものであり、それによってラベルの両面が各樹脂材料に融着して一体化している射出成形複合容器が初めて提供されるに至ったものである。
【0092】
得られた複合容器に対して、さらに工程(2)に準じた工程を実施することにより、さらに第3樹脂材料部を形成することも可能である。このとき、第3樹脂材料部は、第1樹脂材料部の表面に形成してもよいし、第2樹脂材料部の表面に形成してもよいし、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部の各表面にまたがるように形成してもよい。また、工程(2)で第2のラベルを融着した場合には、その第2のラベルを内包するように第3樹脂材料部を形成してもよい。さらに、第3樹脂材料部の表面には第3のラベルを融着させることも可能である。
同様にして、第4樹脂材料部を形成したり、その表面にラベルを融着させたりすることもできる。これらの応用や改変は当業者により容易に行うことができる。
【0093】
(具体的な製造態様)
上記の本発明の製造方法を実施するための具体的な製造態様例について以下に説明する。ただし、以下に記載する製造態様は一例に過ぎず、本発明の製造方法はこの製造態様によって限定的に解釈されるべきものではない。
本製造態様では、第1樹脂材料部と第2樹脂材料部がともに容器の形状を有しており、内側の第1樹脂材料部と外側の第2樹脂材料部の間にラベルが内包されている複合容器を製造する。ここでは、第1樹脂材料部を内側容器といい、第2樹脂材料部を外側容器という。
【0094】
この複合容器は、図1に示す様に、内側容器成形機および外側容器成形機の2台の射出成形機1aおよび1b、ラベルインサーター(不図示)、内側容器取り出しロボット2、取り出した内側容器を外側容器成形機に搬送する走行機4、内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5、複合容器搬送用コンベアー3、等からなる複合容器の成形機から形成することができる。
【0095】
成形手順としては、始めに内側容器を射出装置と型締め装置の組み合わせからなる前段の内側容器の射出成形機1aで成形する。この際にラベルを、ラベルインサーター等を用いてあらかじめ金型内に挿入し、吸引や静電気など周知の手法を利用して雌金型内壁の所望の位置に装着固定しておく。次いで雄金型と型閉じして金型内部に第1樹脂材料の溶融樹脂を射出することで、外周にラベルが融着し一体化した内側容器を成形できる。射出成形機1aの大きさは、容器の大きさ、取数、金型の大きさにより選択する。
次いで内側容器取り出しロボット2によって、ラベルが融着した内側容器が金型から取り出され、引き続き内側容器取り出しロボット2によって内側容器は走行機4上のジグに装填される。内側容器が装填されたジグは走行機4によって後段の成形機1b側に送られる。この走行機4上で、内側容器への更なる装飾、例えばレーザーによる印字(刻印)など、を追加で行うこともできる。
【0096】
次いで内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5によって、ラベルが融着した内側容器がジグから取り出され、引き続き内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5によって外側容器の成形機1bの金型内に挿入され、雄金型のコア部に設置され、コア部に接続した吸引装置により内側容器を吸引して容器を金型の所定位置に固定する。こうして内側容器は外側容器を形成する際の雄型(またはその一部)として用いられる。
次いで雌金型と型閉じして金型内部に第2樹脂材料の溶融樹脂を射出することで、内周にラベルが融着し一体化した外側容器を成形でき、最終的に内側容器、外側容器、及びラベルがそれぞれ融着した複合容器が成形される。射出成形機1bの大きさは、容器の大きさ、取数、金型の大きさにより選択する。
外側容器の射出成形機1bにより複合容器の成形が終わると、内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5は複合容器を金型より取り出し、次のバッチの内側容器を金型内に再装填し、複合容器を複合容器搬送用コンベアー3上に置き、更に次のバッチの内側容器が走行機4のジグにより搬送されてくるまで待機する。上記作業の繰り返しにより複合容器は成形できる。
【0097】
上記した成形設備において、内側容器取り出しロボット2は1ショット当たりの取数に応じた吸引器の付いたチャック盤1枚を有している。また内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5は、内側容器を走行機4から後段の射出成形機へ運送するための挿入用チャック盤と、後段の射出成形機で成形した複合容器を金型から取り出すチャック盤の2枚構成となっている。この様な特徴を有することで複合容器を効率よく成形することができる。
【0098】
こうした複合容器の成形方法において、特に重要なことは、外側容器の金型へ内側容器を金型内の上下左右のズレ無く装填することである。外側容器の成形時に内側容器が金型コア部よりずれていたり、斜めになっていたり等により定位置に完全に設置できていない場合、所望の品質の製品が得られないばかりか、場合によっては金型や押出機に致命的な損傷を与えかねない。そのために各射出成形機1aおよび1b、内側容器取り出しロボット2、走行機4、走行機のジグ、内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット5、金型の製品間のピッチなどの全てにおいて位置決めを行い、各機器を地震や成形時の振動によりずれることが無いよう床上にボルト固定するなどの対策をとることが重要である。
【実施例】
【0099】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下に記載される方法やそれに準じた方法によって、ラベルが樹脂材料に内包されており、且つ、ラベルの両面が樹脂材料に融着して一体化していることを特徴とする本発明の射出成形複合容器を製造することができる。すなわち、以下の製造例、実施例に示す材料、使用量、割合、製造手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0100】
以下に本発明で用いることのできるラベル基材の製造例を示す
(ラベル基材の製造例1)
プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA8Q」、日本ポリプロ(株)製)88重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)10重量%および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末2重量%よりなる樹脂組成物(A)を、押出機を用いて250℃で溶融混練したのち、ダイよりフィルム状に押し出し、約50℃の温度となるまでフィルムを冷却した。このフィルムを約153℃に再度加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、コア層となる一軸延伸フィルムを得た。
一方、プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3AQ」、日本ポリプロ(株)製)85重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)5重量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末10重量%よりなる樹脂組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記一軸延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層して、表面層/コア層(B/A)の積層体を得た。
【0101】
さらに、裏面層としてプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3AQ」、日本ポリプロ(株)製)93重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)6重量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末1重量%よりなる樹脂組成物(C)と、ヒートシール層としてメタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)75重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3、結晶化度(X線法)が40%、数平均分子量が18,000である高圧法低密度ポリエチレン25重量%の混合物よりなる樹脂組成物(D)をそれぞれ別々の押出機を用いて230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給してダイ内で積層(C/D)し、ダイよりフィルム状に押し出し、前記積層体(B/A)のコア層側(A側)にヒートシール層が最外層となるように積層して、表面層/コア層/裏面層/ヒートシール層の四層構造の積層体(B/A/C/D)を得た。得られた積層体のヒートシール層側を金属ロールとゴムロールよりなるエンボスロール(1インチあたり150線、深さ40μm、逆グラビア型)に通し、ヒートシール層(D)側に0.17mm間隔のパターンをエンボス加工した。
【0102】
この四層構造の積層体をテンターオーブンに導き、160℃まで再加熱した後、テンターを用いて横方向に7倍延伸し、次いで164℃で熱セットして、さらに55℃迄冷却し耳部をスリットして、本発明のラベルに用いる透明なポリオレフィン系フィルム(合成紙)を得た。このものの厚みは75μm、不透明度は14%であった。
【0103】
(ラベル基材の製造例2)
プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA8Q」、日本ポリプロ(株)製)67重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)10重量%および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23重量%よりなる樹脂組成物(A)を、押出機を用いて250℃で溶融混練したのち、ダイよりフィルム状に押し出し、約50℃の温度となるまでフィルムを冷却した。このフィルムを約150℃に再度加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、コア層となる一軸延伸フィルムを得た。
一方、プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3AQ」、日本ポリプロ(株)製)51.5重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)3.5重量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量%よりなる樹脂組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記一軸延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層して、表面層/コア層(B/A)の積層体を得た。
【0104】
さらに、裏面層としてプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3AQ」、日本ポリプロ(株)製)51.5重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ580」、日本ポリエチレン(株)製)3.5重量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量%および平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量%よりなる樹脂組成物(C)と、ヒートシール層としてメタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)75重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3、結晶化度(X線法)が40%、数平均分子量が18,000である高圧法低密度ポリエチレン25重量%の混合物よりなる樹脂組成物(D)をそれぞれ別々の押出機を用いて230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給してダイ内で積層(C/D)し、ダイよりフィルム状に押し出し、前記積層体(B/A)のコア層側(A側)にヒートシール層が最外層となるように積層して、表面層/コア層/裏面層/ヒートシール層の四層構造の積層体(B/A/C/D)を得た。得られた積層体のヒートシール層側を金属ロールとゴムロールよりなるエンボスロール(1インチあたり150線、深さ40μm、逆グラビア型)に通し、ヒートシール層(D)側に0.17mm間隔のパターンをエンボス加工した。
【0105】
この四層構造の積層体をテンターオーブンに導き、155℃に加熱した後、テンターを用いて横方向に7倍延伸し、次いで164℃で熱セットして、さらに55℃迄冷却し耳部をスリットして、本発明のラベルに用いる不透明なポリオレフィン系フィルム(合成紙)を得た。このものの厚みは100μm、不透明度は94%であった。
【0106】
(ラベル基材の製造例3)
プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA8Q」、日本ポリプロ(株)製)81重量%、高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HJ360」、日本ポリエチレン(株)製)3重量%、及び炭酸カルシウム16重量%を混合した樹脂組成物(A)を、250℃の温度に設定した押出機にて溶融混練した後、これをダイよりシート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。次いで、このシートを150℃の温度にまで再度加熱した後、周速の異なるロール群を用いて縦方向5倍の延伸を行い、5倍縦延伸フィルム(コア層)を得た。
さらに表面層として、プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3AQ」、日本ポリプロ(株)製)54重量%と、炭酸カルシウム46重量%を混合した樹脂組成物(B)を別の押出機にて250℃で溶融混練した後、これをダイよりシート状に押出し、上記工程で得た5倍縦延伸フィルムの両面に積層して、3層構造の積層フィルムを得た。次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、オーブンにより155℃の温度にまで再加熱し、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し(面積延伸倍率:37.5倍)、165℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして、3層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の厚み60μm(B/A/B=15μm/30μm/15μm)の熱可塑性樹脂延伸フィルムで、不透明度95%の、本発明のラベルに用いる不透明なポリオレフィン系フィルムを得た。
【0107】
(ラベル基材の製造例4)
プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3U」、日本ポリプロ(株)製)100重量%よりなる樹脂組成物(A)、エチレン・1−ヘキセン共重合体(商品名「カーネル KF360T」、日本ポリエチレン(株)製)100重量部に、添加剤として帯電防止剤(商品名「ノバテックLL LX−AS」、日本ポリエチレン(株)製)を5重量部、ブロッキング防止剤(商品名「カーネル KMB32F」、日本ポリエチレン(株)製)を5重量部配合した樹脂組成物(B)、およびプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MA3U」、日本ポリプロ(株)製)50重量%と、プロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP FB3C」、日本ポリプロ(株)製)20重量%と、マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体(商品名「モディックAP A515」、日本ポリエチレン(株)製)30重量%の混合物100重量部に、ブロッキング防止剤(商品名「ノバテックPP FMB1650B」、日本ポリプロ(株)製)を2重量部配合した樹脂組成物(C)をそれぞれ別々の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これらを1台の共押出T−ダイに供給し、T−ダイ内でB/A/Cの順で3層に積層し、次いで240℃でT−ダイよりシート状に押し出し、これをセミミラー調チルロールと、マット調ゴムロールとの間に導き、挟圧(線圧約1.5kg/cm)しながら冷却し、耳部をスリットして、本発明のラベルに用いる透明で無延伸のポリオレフィン系フィルムを得た。このものの厚みは80μm、不透明度は13%であった。
【0108】
(ラベル基材の製造例5)
市販のポリエステルフィルム(商品名「O300E」、三菱樹脂(株)製、厚さ100μm)の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系のヒートシール剤(商品名「アドコート AD1790−15」、東洋モートン(株)製)を固形分量で3g/m2となるようにグラビア塗工し、乾燥させて、本発明のラベルに用いる透明なポリエステル系フィルムを得た。このものの不透明度は10%であった。
【0109】
以下に本発明の複合容器に用いるラベルの製造例を示す。
(ラベルの製造例1)
ラベル基材の製造例1で得た透明なポリオレフィン系フィルムを菊半サイズに断裁した後、表面層(B層)側の表面を装飾面とし、これに枚葉オフセット印刷機およびUVオフセットプロセスインキを用いてロゴ及び幾何学模様を印刷した。印刷後に幾何学模様を施した印刷面側にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系のヒートシール剤(商品名「アドコート AD1790−15」、東洋モートン(株)製)を固形分量で2g/m2となるようにメイヤーバー塗工し、乾燥させてヒートシール層を設け、容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0110】
(ラベルの製造例2)
ラベル基材の製造例2で得た不透明なポリオレフィン系フィルムを菊半サイズに断裁した後、表面層(B層)側の表面を装飾面とし、これに枚葉オフセット印刷機および油性オフセットプロセスインキを用いてロゴ及び幾何学模様を印刷した。更にこの印刷物の印刷面上にホットスタンプにて箔押しを施した。同基材より印刷後に容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、抜きと同プロセスにて抜き刃を利用した機械的穿孔にて穿孔間のピッチ10mm、穿孔径0.6mmの貫通孔を施して、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0111】
(ラベルの製造例3)
ラベル基材の製造例3で得た不透明なポリオレフィン系フィルムを菊半サイズに断裁した後、その両面を装飾面とし、これに枚葉オフセット印刷機およびUVオフセットプロセスインキを用いて片面には商品名やバーコードなどの情報、もう片面には幾何学模様を印刷した。印刷後に幾何学模様を施した表面側にポリオレフィン系のホットメルト接着剤(商品名「Fコート」、日本化工塗料(株)製)をメイヤーバー塗工し乾燥させて、容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0112】
(ラベルの製造例4)
ラベル基材の製造例4で得た透明なポリオレフィン系フィルムのC層側の表面を装飾面とし、これにレタープレス印刷機およびUVオフセットプロセスインキを用いてロゴ及び幾何学模様を印刷した。印刷後に容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0113】
(ラベルの製造例5)
ラベル基材の製造例5で得た透明なポリエステル系フィルムのヒートシール剤非塗工面に、RI転色試験器およびUV硬化型インキ(商品名「UV161藍」、(株)T&K TOKA製)を用いてベタ印刷した。硬化後の印刷面側にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系のヒートシール剤(商品名「アドコート AD1790−15」、東洋モートン(株)製)を固形分量で2g/m2となるようにメイヤーバー塗工し、40℃に設定したオーブン中で2分間乾燥させて印刷面側にもヒートシール層を設け、容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0114】
(ラベルの製造例6)
ラベル基材の製造例1で得た透明なポリオレフィン系フィルムのB層側の表面を装飾面とし、グラビア印刷機およびリーフィングタイプメタリックインキを用いてロゴ及び幾何学模様を印刷し、更に印刷面上にラミネートフィルム(商品名「ルミラー P025」、東レ(株)製、厚さ12μm)および接着剤(商品名「TM595/CAT56」、東洋モートン(株)製、2液型)を用いて、PETフィルムをドライラミネートした。同基材より容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、抜きと同プロセスにて抜き刃を利用した機械的穿孔にて穿孔間のピッチ10mm、穿孔径0.6mmの貫通孔を施して、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0115】
(ラベルの製造例7)
ラベル基材の製造例2で得た不透明なポリオレフィン系フィルムを菊半サイズに断裁した後、表面層(B層)側の表面を装飾面とし、これに枚葉オフセット印刷機および油性オフセットプロセスインキを用いてロゴ、会社名、連絡先、幾何学模様を印刷した。印刷後の幾何学模様を施した表面側にポリオレフィン系ホットメルト型接着剤(製品名「ZAP−426」、(株)三羽研究所製、試作品)を固形分量で1g/m2となるようにメイヤーバー塗工し乾燥させて印刷面側にもヒートシール層を設け、同基材より印刷後に容器形状に合わせて扇形状に打ち抜き、本発明の複合容器に用いるラベルを得た。
【0116】
以下に本発明の複合容器の製造例を示す。
(実施例1)
樹脂押出機と型締め装置よりなる射出成形機(商品名「ES3000 ELJECT」、日精樹脂工業(株)製)に、図2の断面形状を有する内径55mm、内容積約60mlの内側容器を1度に4個形成できる金型を取り付けた。同金型の雌金型内にラベルの製造例1で得たラベルを手で印刷面が金型表面に接する様に挿入し、約150tの型締力にて型締めした後、内側容器の樹脂材料としてプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MG2T」、日本ポリプロ(株)製)を用い、これを押出機にて溶融混練した後に約2tの射出圧力で金型内に射出した。冷却後に金型内より、外周にラベルの融着した内側容器を取り出して得た。次いで樹脂押出機と型締め装置よりなる別の射出成形機(商品名「ES3000ELJECT」、日精樹脂工業(株)製)に、外側容器を1度に4個形成できる金型を取り付け、同金型の雄金型側に得られた内側容器を手で挿入し、吸引により固定した後、約150tの型締力にて型締めし、外側容器の樹脂材料としてプロピレン単独重合体(商品名「プライムポリプロ J850NA」、(株)プライムポリマー製)を用い、押出機にて溶融混練した後に約2tの射出圧力でこれを金型内に射出して外側容器を形成し、冷却後にこれを取り出し、図3に示すように内側容器21、外側容器22、ラベル23が融着し一体化した複合容器20を得た(図3)。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器を介してラベル上の印刷を視認でき、ラベルと容器が一体化しているのでラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0117】
(実施例2)
ラベルの製造例2で得たラベルを用い、内側容器の樹脂材料としてプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MG2T」、日本ポリプロ(株)製)にチタンマスターバッチを混合して二酸化チタン濃度が2重量%となるように調整した樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が白色不透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベル上の印刷を視認でき、ラベルと外側容器が一体化しているのでラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0118】
(実施例3)
ラベルの製造例3で得たラベルを用い、内側容器成形時に、ラベルの商品名やバーコードなどの情報を印刷した面が金型に接する様に挿入する以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、ラベルの両面に施された装飾を外側容器および内側容器を介してそれぞれ個別に情報および模様として視認でき、ラベルと容器が一体化しているのでラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0119】
(実施例4)
ラベルの製造例4で得たラベルを用いる以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器外部より外側容器を介してラベル上の印刷を視認でき、更には容器内容物まで確認することもできるものであった。また容器の内側からもラベル上の印刷を視認できるものでもあった。ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0120】
(実施例5)
ラベルの製造例5で得たラベルを用い、内側容器および外側容器の樹脂材料としてポリエチレンテレフタレート(商品名「IP 142B」、(株)ベルポリエステルプロダクツ製)を用いる以外は、実施例1と同様の装置、金型、手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器外部より外側容器を介してラベル上の印刷を視認でき、更には内容物まで確認することもできるものであった。また容器の内側からもラベル上の印刷を視認できるものでもあった。ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0121】
(実施例6)
ラベルの製造例6で得たラベルを用い、外側容器の樹脂材料としてポリエチレンテレフタレート(商品名「IP 142B」、(株)ベルポリエステルプロダクツ製)を用いる以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0122】
(実施例7)
ラベルの製造例2で得たラベルを用い、前段の内側容器の成形時に実施例1とはラベルの表裏を逆に印刷面が金型表面に接しない(キャビティ側)向きに金型内に挿入する以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。次いでこの複合容器の外側容器表面のみにアルミニウム蒸着による金属光沢の装飾を施し、さらにその上にスクリーン印刷にて直接印刷を施した。この複合容器は内側容器が透明、外側容器は金属蒸着により不透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベルの視認はできないが、内側容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。ラベルと容器は一体化して、複合容器の内側からラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0123】
(実施例8)
外側容器の樹脂材料としてオレフィン系熱可塑性アイオノマー(商品名「サーリン PC2000」、デュポン製)を用いる以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0124】
(実施例9)
外側容器の樹脂材料としてオレフィン系熱可塑性アイオノマー(商品名「ハイミラン 1705」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)を用いる以外は、実施例2と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が不透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0125】
(実施例10)
外側容器の樹脂材料としてオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名「ゼラス MC717」、三菱化学(株)製)を用いる以外は、実施例1と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0126】
(実施例11)
ラベルの製造例7で得たラベルを用いる以外は、実施例2と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が不透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0127】
(実施例12)
ラベルの製造例7で得たラベルを用い、且つ外側容器の樹脂材料としてオレフィン系熱可塑性アイオノマー(商品名「ハイミラン 1705」、三井・デュポンポリケミカル(株)製)を用いる以外は、実施例2と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが融着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が不透明、外側容器が透明、ラベルが不透明であり、外側容器を介してラベル上の印刷を視認できるものであった。さらに、ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0128】
(実施例13)
外側容器の樹脂材料としてオレフィン系熱可塑性アイオノマー(商品名「サーリン PC2000」、デュポン製)を用いる以外は、実施例5と同様の手順で外側容器、内側容器、ラベルが接着し一体化した複合容器を得た。この複合容器は内側容器が透明、外側容器が透明、ラベルが透明であり、容器外部より外側容器を介してラベル上の印刷を視認でき、更には容器内容物まで確認することもできるものであった。また容器の内側からもラベル上の印刷を視認できるものでもあった。ラベルと容器は一体化してラベル上の印刷がぼやけずに鮮明に見えるものであった。
【0129】
(比較例1)
樹脂押出機と型締め装置よりなる射出成形機(商品名「ES3000 ELJECT」、日精樹脂工業(株)製)に、断面がテーパー形状を有する外側容器を成形できる金型を取り付けた。同金型は雄金型のコア部を吸引によりラベルを固定できる様に加工し、雌金型側にゲート部を設けて樹脂を射出出来るように作成した。同金型の雄金型のコア部に製造例1で得たラベルを印刷面がキャビティ側に向くように手で巻き付け、吸引により固定した。約150tの型締力にて型締めした後、内側容器の樹脂材料としてプロピレン単独重合体(商品名「プライムポリプロ J850NA」、(株)プライムポリマー製)を用い、これを押出機にて溶融混練した後に約2tの射出圧力で金型内に射出した。冷却後に金型内より、内面周壁にラベルの融着した外側容器を取り出して得た。次いで樹脂押出機と型締め装置よりなる別の射出成形機(商品名「ES3000ELJECT」、日精樹脂工業(株)製)に、内側容器を形成できる別の金型を取り付けた。同金型は、前段の金型よりも小さなコア部を有する雄金型であって、これにゲート部を設けて樹脂を射出出来るように作成した。同金型の雌金型側に得られた外側容器を手で挿入し、約150tの型締力にて型締めし、内側容器の樹脂材料としてプロピレン単独重合体(商品名「ノバテックPP MG2T」、日本ポリプロ(株)製)を用い、押出機にて溶融混練した後に約2tの射出圧力でこれを金型内に射出して内側容器を形成し、冷却後にこれを取り出し、内側容器、外側容器、ラベルを有する複合容器を得た。しかしこの複合容器は、非常に生産性が悪いものであり、また品質面でも内側容器の成形後に、内側容器の型収縮によって、一旦接着したラベルの界面剥離によりラベルの浮きが発生した。結果的に、容器を介してラベル上の印刷を視認できるものの、ラベル上の印刷がぼやけて鮮明には見えず、ラベルと容器が一体化していないものであった。
この結果は、他の製造例で得られたラベルを用いた場合や、実施例で用いた他の樹脂を用いた場合も同様であり、ラベルと容器が一体化した二重容器は得られない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の複合容器を製造する射出成形機の一態様を示す概要図である。
【図2】本発明の複合容器に用いられる第1樹脂材料部(内側容器)の一実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明の複合容器の一実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0131】
1a 第1樹脂材料部(内側容器)射出成形機
1b 第2樹脂材料部(外側容器)射出成形機
2 内側容器取り出しロボット
3 複合容器搬送用コンベアー
4 走行機
5 内側容器挿入兼複合容器取り出しロボット
11 第1樹脂材料部(内側容器)の底部の角
12 第1樹脂材料部(内側容器)の肩部
20 複合容器
21 第1樹脂材料部(内側容器)
22 第2樹脂材料部(外側容器)
23 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成される射出成形複合容器であって、前記ラベルは前記第1樹脂材料部と前記第2樹脂材料部との間に内包されており、且つ、前記ラベルの両面が前記の各樹脂材料に融着して一体化していることを特徴とする射出成形複合容器。
【請求項2】
前記第1樹脂および前記第2樹脂材料が、各々独立に、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、ポリアリルサルホン、およびアイオノマーよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形複合容器。
【請求項3】
前記第1樹脂材料が、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、およびポリアリルサルホンよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であり、且つ、前記第2樹脂材料が、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、エラストマー、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリブテン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリルスチレン、ポリアリレート、およびポリアリルサルホンよりなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂よりなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形複合容器。
【請求項4】
前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料に同一の樹脂材料よりなる樹脂組成物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項5】
前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料とは互いに樹脂の組成が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項6】
前記第1樹脂材料部が射出成形により形成され、蓋との嵌着部を有する容器の形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項7】
前記第2樹脂材料部が前記第1樹脂材料部の外側に位置することを特徴とする請求項6に記載の射出成形複合容器。
【請求項8】
前記第2樹脂材料部が射出成形により形成され、容器の形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の射出成形複合容器。
【請求項9】
前記第1樹脂材料部か前記第2樹脂材料部の少なくとも一方が透明であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項10】
前記ラベルの基材がポリオレフィン系フィルムまたはポリエステル系フィルムで構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項11】
前記ラベルの基材の表面と裏面が互いに異なる材質で構成されていることを特徴とする請求項10に記載の射出成形複合容器。
【請求項12】
前記ラベルが容器の形状を有する前記第1樹脂材料部の外周壁に沿って配置されていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項13】
前記ラベルが装飾を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項14】
前記装飾が印刷よりなるものであることを特徴とする請求項13に記載の射出成形複合容器。
【請求項15】
前記装飾が金属箔よりなるものであることを特徴とする請求項13または14に記載の射出成形複合容器。
【請求項16】
前記ラベルの装飾が前記樹脂材料を通して視認できることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項17】
前記ラベルの装飾が容器内側から視認できる位置に設けられていることを特徴とする請求項16に記載の射出成形複合容器。
【請求項18】
前記ラベルがその少なくとも片面にヒートシール層を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項19】
前記ラベルが貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項20】
前記射出成形複合容器の外表面が装飾を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の射出成形複合容器。
【請求項21】
第1樹脂材料部と第2樹脂材料部とラベルから構成される射出成形複合容器の製造方法であって、
(1)第1金型の雌金型側の内壁にラベルを配置して固定し、型閉じした後に、前記第1金型内に第1樹脂材料を射出して成形することによりラベルが融着した第1樹脂材料部を形成する工程、および、
(2)前記第1樹脂材料部上のラベルを完全に内包するように、雄型または雄型の一部としての前記第1樹脂材料部と雌型としての第2金型とで型閉じし、第2樹脂材料を射出して成形することにより、前記第1樹脂材料部上のラベルを覆うように第2樹脂材料部を形成する工程
を含むことを特徴とする射出成形複合容器の製造方法。
【請求項22】
前記工程(1)において、前記第1樹脂材料部を蓋との嵌着部を有する容器の形状に成形することを特徴とする請求項21に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項23】
前記第2樹脂材料部を前記第1樹脂材料部の外側に形成することを特徴とする請求項21または22に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項24】
前記第2樹脂材料部も容器の形状に成形することを特徴とする請求項22または23に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項25】
前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料とは互いに樹脂の組成が異なることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項26】
前記第1樹脂材料と前記第2樹脂材料が同一の樹脂材料よりなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項27】
前記ラベルが装飾を有しており、その装飾が前記第1樹脂材料部、前記第2樹脂材料部またはその両方を通して視認できるように、前記第1樹脂材料部と前記第2樹脂材料部の不透明度を決めることを特徴とする請求項21〜26のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。
【請求項28】
前記ラベルがその少なくとも片面にヒートシール層を有することを特徴とする請求項21〜27のいずれか一項に記載の射出成形複合容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−263006(P2009−263006A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263506(P2008−263506)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【出願人】(000177117)三洋化学工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】