説明

導電性床材およびその製造方法

【課題】本発明の目的は、電気伝導性および寸法安定性を著しく向上させることが可能な導電性床材およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維を含む導電性寸法補強層を含む導電性床材を提供する。他の手段として、本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維に高分子樹脂ゾルを含浸させる第1段階を含む、導電性床材の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性床材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電気(Electron Static Discharge:ESD)は、通常、人体に不快感を与える程度であるが、電子装備には誤作動や内部回路損傷などの致命的な被害を引き起こすおそれがある。
【0003】
また、半導体分野では、静電気により浮遊粒子の微細汚染が発生し、これにより半導体チップの不良が生じることもある。
【0004】
かかる問題点により、クリーンルームや電子装備の組立、実験室、コンピュータ、電子装備設置地域、医療設備などでは帯電防止性または導電性を有する床材を適用している。また、引火性または爆発危険のある場所においてもこのような導電性床材の活用が増えている。
【0005】
導電性床材の性能向上、すなわち電気抵抗を低めるために、従来では導電性可塑剤と導電性カーボンを用いてきた。
【0006】
前記導電性可塑剤を用いて床材の電気伝導性を向上させる場合、製品製作が容易で多様な外観を実現することができるという利点がある。但し、価格が高価であり、可塑剤の移行(migration)が問題になるおそれがあるうえ、長期的に性能を持続することが難しいという問題点があった。
【0007】
一方、導電性カーボンを用いる場合、価格が低く、可塑剤を用いる場合のような移行(migration)現象が発生するおそれはない。ところが、製品製作が難しく、固有の黒い色相により美麗な外観を実現することが難しいという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、電気伝導性および寸法安定性を著しく向上させることが可能な導電性床材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維を含む導電性寸法補強層を含む導電性床材を提供する。
【0010】
また、上記課題を解決するための他の手段として、本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維に高分子樹脂ゾルを含浸させる第1段階を含む、導電性床材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気伝導性および寸法安定性を共に向上させる導電性寸法補強層に含有される導電性繊維が最適の含量でガラス繊維およびカーボン繊維を含む。したがって、優れた電気伝導性および寸法安定性を有する導電性床材を提供することができる。これにより、静電気の発生を抑制させようとする様々な産業分野で有用な導電性床材として使用できる。
【0012】
しかも、本発明に係る導電性床材は、特に、タイルだけでなく、寸法安定性に著しく優れるので消費者の要求が増えている長尺シートの形で容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の一例に係る導電性床材の製造方法を概略的に示す工程流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維を含む導電性寸法補強層を含む導電性床材に関する。
【0015】
以下、本発明に係る導電性床材についてより具体的に説明する。
【0016】
前述したように、本発明に係る導電性床材は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維を含む導電性寸法補強層を含む。
【0017】
前記導電性繊維は、寸法安定性に優れたガラス繊維と、電気伝導性に優れたカーボン繊維とを配合して形成されたものである。このように優れた寸法安定性および電気伝導性を有する繊維の形態はいずれも含むことができ、その形態が特に限定されるのではない。
【0018】
また、導電性繊維に含有されるガラス繊維およびカーボン繊維の含量も特に限定されるものではない。但し、例えば、導電性繊維は、ガラス繊維100重量部に対し、カーボン繊維3重量部〜30重量部を含有することができる。具体的には、ガラス繊維100重量部に対してカーボン繊維5重量部〜10重量部を含有することができる。導電性繊維がガラス繊維100重量部に対してカーボン繊維を3重量部未満の量で含有する場合、左右上下方向に通電性能が微弱であって静電気が発生するおそれがある。ガラス繊維100重量部に対してカーボン繊維を30重量部超過の量で含有する場合、カーボン繊維の分散が難しくなって繊維物質またはガラス繊維の面が不均一に変化するおそれがある。
【0019】
一方、前記導電性繊維は、内部に高分子樹脂が含浸されているものであってもよい。
【0020】
導電性繊維の内部に含浸されている高分子樹脂としては、耐久性、加工性、耐汚染性および装飾性などに優れるものを使用することができ、その種類は特に限定されない。但し、例えば、高分子樹脂はポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ゴム、エチレンビニルアセテート共重合体およびエチレンプロピレン共重合体よりなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレンビニルアセテート共重合体およびエチレンプロピレン共重合体などを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。より具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂を使用することができる。
【0021】
ポリ塩化ビニル樹脂は、フィルム、シート、パイプ、板材、床装飾材、電線被覆、玩具、日用雑貨などの様々な成形用素材として用いられている。特に、可塑剤の配合された軟質ポリ塩化ビニル樹脂は、成形加工性が改善されるうえ、着色も容易である。よって、装飾性が向上するため、建材分野における壁紙などのビニルガラス、床装飾材などの多様な用途で幅広く使用できる。
【0022】
本発明で使用されるポリ塩化ビニル樹脂は、通常、塩化ビニルなどの単量体を当該分野における公知の重合法によって重合させて製造されたものはいずれも含むことができる。例えば、懸濁重合法、塊状重合法または乳化重合法によって重合させて製造されたものであってもよい。また、塩化ビニルを主成分としてアクリル酸エステル、エチレン、プロピレンおよび塩化ビニリデンなどの共単量体を加えて共重合させたものであってもよい。
【0023】
一方、本発明に係る導電性床材は、導電性寸法補強層上に形成され、カーボンチップおよび有色チップを含有する導電性チップ層をさらに含むことができる。
【0024】
本発明において、「カーボンチップ」とは、カーボンを含有する高分子樹脂硬化物を一定の大きさに粉砕して導電性を有するチップとして製造したものであって、その種類が特に限定されるものではない。また、「有色チップ」とは、美麗な外観を実現するために一定の色相を示すチップであって、当該分野で通常用いられる有色チップをいずれも含むことができる。
【0025】
ひいては、前記導電性チップ層は、有色チップ100重量部に対してカーボンチップ5重量部〜30重量部を含むことができる。前記導電性チップ層内に有色チップ100重量部に対してカーボンチップが5重量部未満の量で含有される場合、電気伝導性能がまともに発揮できないおそれがある。カーボンチップが30重量部超過の量で含有される場合、相対的に美麗な外観を実現することが難しくなるおそれがある。
【0026】
また、本発明に係る導電性床材は、導電性チップ層上に形成され、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物の硬化物を含む導電性UVコーティング層をさらに含むことができる。
【0027】
前記光硬化型樹脂組成物内に含有される導電性微粒子は、導電性を有する微細サイズの粒子であって、その種類および大きさが特に限定されるものではない。例えば、導電性微粒子は炭素ナノチューブ、アンチモンドーピング錫酸化物(ATO)、インジウムドーピング錫酸化物(ITO)およびアンチモンドーピング亜鉛酸化物(AZO)などを含むことができ、平均直径が5nm〜200nmであってもよい。
【0028】
また、光硬化型樹脂組成物は、当該分野で通常用いられるものであって、その種類が特に限定されるものではない。例えば、光硬化性アクリレートオリゴマー、反応性希釈剤および光開始剤を含むことができる。
【0029】
例えば、光硬化性アクリレートオリゴマーは、当該分野で通常用いられるポリエステル系アクリレートオリゴマー、エポキシ系アクリレートオリゴマーおよびウレタン系アクリレートオリゴマーの中から選ばれた1種以上であってもよい。
【0030】
また、反応性希釈剤も、当該分野における公知の単官能または多官能アクリレートモノマーを使用することができ、その種類が特に限定されるものではない。例えば、単官能アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコール(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリル酸エポキシ(メタ)アクリレートおよびエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0031】
また、多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ジタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0032】
一方、光開始剤もその種類が特に限定されるものではなく、当該分野で通常使用される光開始剤が使用できる。例えば、ベンゾフェノン系光開始剤、ケタール系光開始剤、アセトフェノン系光開始剤およびヒドロキシアルキルフェノール系光開始剤よりなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0033】
前記光硬化型樹脂組成物内に含有される導電性微粒子、光硬化性アクリレートオリゴマー、反応性希釈剤および光開始剤の含量が特に制限されるものではない。床材の表面に導電性のUVコーティング層を形成することができるように、当該分野における公知の含量範囲内で適切な量を採用して使用することができる。
【0034】
しかも、本発明に係る導電性床材は、前記導電性UVコーティング層の他にも、上述した導電性チップ層上に形成される導電性ワックス層をさらに含むことができる。
【0035】
前記導電性ワックス層は、導電性を示すワックスを塗布してなる層を意味するものであって、例えば、前述した導電性微粒子を含むワックスを使用することができる。前述したような機能を行うワックスであれば、当該分野における公知のワックスをいずれも含むことができ、その種類が特に限定されるものではない。
【0036】
前記導電性ワックス層内に含有される導電性微粒子およびワックスの含量も特に限定されるものではない。本発明で目的とする機能を実現することが可能な範囲内で適切な量を採用して使用することができる。
【0037】
しかも、本発明に係る導電性床材は、導電性寸法補強層の下面に形成され、炭素系物質を含有する導電性裏面層をさらに含むことができる。
【0038】
導電性裏面層は、導電性寸法補強層の下面に形成され、床材が歪むことを防止し、全般的なバランス(balance)を取る役目をし、炭素系物質が含有されて電気伝導性を示すものであれば、炭素系物質の種類を問わずいずれも本発明に係る導電性裏面層として使用できる。
【0039】
より具体的に、前記炭素系物質は、天然鱗状黒鉛、天然土状黒鉛、人造黒鉛、炭素繊維、カーボンブラックおよびグラファイトよりなる群から選ばれた1種以上であってもよい。
【0040】
前記導電性裏面層は、前述した炭素系物質と共に高分子樹脂を含有することができ、この際、含有される高分子樹脂の場合、前述した導電性寸法補強層に含有された導電性繊維に含浸される高分子樹脂と同一のものを使用することができる。
【0041】
また、導電性裏面層内に含有される高分子樹脂および炭素系物質の含量が特に限定されるのではない。例えば、高分子樹脂100重量部に対し、炭素系物質10重量部〜300重量部を含有することができる。
【0042】
本発明に係る導電性床材は、優れた電気伝導性を有するものであって、前記導電性床材の電気抵抗が特に限定されるものではない。例えば、電気抵抗が103Ω〜1010Ωであってもよく、具体的には103Ω〜108Ωであってもよく、より具体的には103Ω〜105Ωであってもよい。
【0043】
本発明に係る導電性床材の電気抵抗が103Ω未満の場合には導体になってスパークが発生し或いはショックや感電などが生ずるおそれがあり、前記電気抵抗が1010Ω超過の場合には静電気が発生するおそれがある。
【0044】
また、本発明に係る導電性床材は、前述した電気伝導性と共に優れた寸法安定性を有するものであって、前記導電性床材の寸法安定性が特に限定されるものではない。例えば、80℃の温度で6時間放置した後、測定された寸法変化率が0.1%以下であってもよく、具体的には0.05%以下であってもよい。
【0045】
本発明に係る導電性床材は、前述したように、寸法変化率が0.1%以下であってもよく、これにより安定な寸法を維持することができ、平滑度に優れて施工が便利であり、施工後の製品の寸法安定性を大幅に向上させることができる。
【0046】
前記寸法変化率を測定する機器または方法が特に限定されるのではない。当該分野における公知の機器または方法を用いて導電性床材の寸法変化率を測定することができる。例えば、80℃の乾燥オーブンで6時間放置したとき、変化する寸法を測定する方法で寸法変化率を測定することができる。
【0047】
本発明に係る導電性床材は、前述したように、優れた電気伝導性を有するうえ、寸法安定性にも優れるため、タイルだけでなく、製品施工および維持管理が容易な長尺シートの形でも有用に使用できる。
【0048】
それだけでなく、本発明は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維に高分子樹脂ゾルを含浸させる第1段階を含む本発明に係る導電性床材の製造方法に関する。
【0049】
本発明に係る導電性床材の製造方法において、前記第1段階は、ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維に高分子樹脂ゾルを含浸させて製造された生地で導電性寸法補強層を製造する段階である。
【0050】
前記で製造された生地を巻き取ることにより、当該分野における通常要求される厚さおよび幅を有する長尺シート状の導電性床材を製造することができる。このように長尺シート状に製造された生地を裁断することにより、タイル状の導電性床材を製造することができる。
【0051】
これにより得られた伝導性寸法補強層は、前述したように、電気伝導性および寸法安定性に優れて静電気防止効果が優れるうえ、長尺シート状に製造することができるため、施工が容易で維持管理が容易である。
【0052】
また、本発明に係る導電性床材の製造方法は、第1段階で得られた導電性寸法補強層上に導電性チップを分散塗布する第2段階と、前記第2段階で塗布された導電性チップを熱圧着させる第3段階とをさらに含むことができる。
【0053】
すなわち、第1段階で得られた導電性寸法補強層上に、前記カーボンチップおよび有色チップを含有する導電性チップを分散塗布(scattering)することができ、塗布された導電性チップを熱圧着によって導電性寸法補強層上に一体に形成することができる。
【0054】
しかも、本発明に係る導電性床材の製造方法は、第3段階で得られた導電性チップ層に、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物を塗布する第4段階と、前記第4段階で塗布された組成物に紫外線を照射して硬化させる第5段階とをさらに含むことができる。
【0055】
前記第4段階において、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物を導電性チップ層上に塗布する方法は、当該分野における公知の塗布方法を用いて行うことができる。前記塗布方法は特に限定されるものではないが、例えば、スプレーコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティングおよびバーコーティングなどの塗布方法を使用することができる。
【0056】
また、前記塗布方法によって導電性チップ上に塗布される光硬化型樹脂組成物の厚さも特に限定されるものではない。例えば、5μm〜10μmであってもよい。前記塗布された光硬化型樹脂組成物の厚さが5μm未満の場合、以後のUV硬化工程によって純水が除去されて純水の含量分だけ厚さが減少するため、十分な帯電防止特性を維持することができないうえ、コーティング被膜が形成されていない部分が発生するおそれがある。前記塗布された光硬化型樹脂組成物の厚さが10μm超過の場合には、耐スクラッチ性が減少して外観特性が低下し、磨耗粒子の発生量が増加するおそれがある。
【0057】
また、第5段階において、紫外線照射に使用されるエネルギー源も特に限定されるものではなく、当該分野における公知の多様な機器を用いて紫外線を照射することができる。例えば、高電圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザーなどを用いることができる。
【0058】
また、前記で照射される紫外線の波長も特に限定されるものではないが、例えば、300nm〜400nmであってもよい。これによる光量も特に限定されるものではないが、例えば50mJ/cm2〜3000mJ/cm2であってもよい。
【0059】
ひいては、本発明に係る導電性床材の製造方法は、第1段階で得られた導電性寸法補強層の下面に炭素系物質含有の導電性裏面層を熱圧着する第6段階をさらに含むことができる。
【0060】
前記第6段階は、第1段階の後に行ってもよいが、前述した第2段階〜第5段階のいずれか1段階の後に行ってもよい。本発明に係る導電性床材を製造することが可能な範囲内で第6段階を行う時系列順が特に限定されるものではない。
【0061】
前記第6段階において、熱圧着は、当該分野における公知の多様な方法によって行うことができ、熱圧着方法が特に限定されるのではない。例えば、ロール圧着方法または熱プレス方法などを用いて行ってもよい。
【0062】
図1は本発明の一例に係る導電性床材の製造方法を概略的に示す工程流れ図である。
【0063】
図1を参照すると、本発明の一例に係る導電性床材の製造方法では、まず、前述したように、導電性寸法補強層を構成する導電性繊維(導電性G/ファイバー)にポリ塩化ビニルゾル(PVCゾル)を含浸させて導電性寸法補強層を製造することができる。
【0064】
次いで、導電性チップ(chip)を分散塗布して導電性チップ層を製造することができる。この場合、チップの表面にさらに美麗で多様な外観を実現するためにエンボスパターンを形成することができる。
【0065】
一方、前述したように炭素系物質および高分子樹脂を含有する別途の生地をカレンダー加工工法を用いて製造し、製造された生地を前記導電性寸法補強層と同一のサイズに裁断して前記導電性寸法補強層の下面に熱圧着させることができる。
【0066】
これにより、前記導電性寸法補強層の下面に導電性裏面層が付着した床材を製造することができる。
【0067】
しかも、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物を公知の塗布方法によって前記導電性チップ層上に塗布し、紫外線を照射して硬化させることができる。
【0068】
これにより製造された床材を、巻取工程を介して長尺シート状の導電性床材に製造することもでき、裁断工程を介してタイル状の導電性床材に製造することもできる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明に係る実施例および本発明に係らない比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
[実施例1]
ガラス繊維69重量部、カーボン繊維9重量部、パルス22重量部、バインダー3重量部を配合して厚さ0.35mm、重量50g/m2の導電性繊維生地を製造した。ポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤95重量部、充填剤100重量部および添加剤10重量部を配合した塩化ビニルゾルを前記導電性繊維生地に含浸して導電性寸法補強層を製造した。
【0071】
次に、ポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤50重量部、充填剤100重量部、添加剤5重量部および平均粒径0.5μmの導電性カーボン15重量部を含む塩化ビニルコンパウンドを0.5mm〜2.0mmサイズのグラニュールチップ状に粉砕して得られたカーボンチップ15重量部、ポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤50重量部、充填剤100重量部、色相顔料5重量部および添加剤5重量部を含む塩化ビニルコンパウンドを0.5mm〜2.0mmサイズのグラニュールチップ状に粉砕して得られた有色チップ85重量部を含む混合チップを前記導電性寸法補強層上に分散塗布した。そして、200℃の温度でゲル化した後、7kgf/cm2の圧力で熱圧着して前記導電性寸法補強層上に導電性チップ層を一体に形成した。
【0072】
また、ポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤50重量部、充填剤100重量部、添加剤10重量部および平均粒径0.5μmの導電性カーボン15重量部を混合して得られた樹脂組成物をカレンダー加工で圧延して厚さ0.7mmのシート状をする導電性裏面層を製造した。
【0073】
前記導電性裏面層を前記導電性寸法補強層と同一の幅に裁断して導電性寸法補強層の下面に付着させ、ローラーを用いて熱圧着した。
【0074】
次いで、導電性チップ層上にイオン錯体とエチレンオキシド7重量部を含有するウレタンアクリレート系導電性光硬化型樹脂組成物をコートした後、紫外線硬化した。
【0075】
これにより得られた材料を巻取工程を用いて巻き取ることにより、実施例1に係る長尺シート状の導電性床材を製造した。
【0076】
[比較例1]
実施例1の導電性寸法補強層の代わりに、100%のガラス繊維からなる寸法補強層を積層した以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る床材を製造した。
【0077】
[試験例]
本発明に係る実施例1および比較例1に係る床材の物性を下記方法によって測定した。
【0078】
1.電気伝導性の測定
前記実施例1および比較例1に係る床材の電気抵抗性能をJIS A 1454の規格基準に基づいて測定し、結果を下記表1に示した。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維を含む導電性寸法補強層を含む導電性床材。
【請求項2】
導電性繊維はガラス繊維100重量部に対してカーボン繊維3重量部〜30重量部を含有する、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項3】
導電性繊維は内部に高分子樹脂が含浸されている、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項4】
高分子樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ゴム、エチレンビニルアセテート共重合体およびエチレンプロピレン共重合体よりなる群から選ばれた1種以上を含む、請求項3に記載の導電性床材。
【請求項5】
導電性寸法補強層上に形成され、カーボンチップおよび有色チップを含有する導電性チップ層をさらに含む、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項6】
導電性チップ層は有色チップ100重量部に対してカーボンチップ5重量部〜30重量部を含む、請求項5に記載の導電性床材。
【請求項7】
導電性チップ層上に形成され、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物の硬化物を含む導電性UVコーティング層をさらに含む、請求項5に記載の導電性床材。
【請求項8】
導電性寸法補強層の下面に形成され、炭素系物質を含有する導電性裏面層をさらに含む、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項9】
電気抵抗が103Ω〜1010Ωである、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項10】
80℃の温度で6時間放置した後で測定された寸法変化率が0.1%以下である、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項11】
長尺シート状またはタイル状に形成した、請求項1に記載の導電性床材。
【請求項12】
ガラス繊維およびカーボン繊維を含有する導電性繊維に高分子樹脂ゾルを含浸させる第1段階を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性床材の製造方法。
【請求項13】
第1段階で得られた導電性寸法補強層上に導電性チップを分散塗布する第2段階と、
前記第2段階で塗布された導電性チップを熱圧着させる第3段階とをさらに含む、請求項12に記載の導電性床材の製造方法。
【請求項14】
第3段階で得られた導電性チップ層に、導電性微粒子を含有する光硬化型樹脂組成物を塗布する第4段階と、
前記第4段階で塗布された組成物に紫外線を照射して硬化させる第5段階とをさらに含む、請求項13に記載の導電性床材の製造方法。
【請求項15】
第1段階で得られた導電性寸法補強層の下面に炭素系物質含有の導電性裏面層を熱圧着する第6段階をさらに含む、請求項12に記載の導電性床材の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−524851(P2012−524851A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508411(P2012−508411)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006057
【国際公開番号】WO2011/037338
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】20,Yoido−dong,youngdungpo−gu,Seoul150−721,Republic of Korea
【Fターム(参考)】