局部インピーダンスファクタを推定する方法及び装置
患者を処置するための電磁エネルギーシステム(10)において局部インピーダンスファクタを決定する方法及び装置が開示される。各測定信号が患者処置ゾーン(12)を通して送られ、この測定信号に基づいて局部インピーダンスファクタが推定される。その推定された局部インピーダンスファクタを使用して、患者処置のための適切な治療エネルギーレベルが決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部インピーダンスファクタを推定する方法及び装置に係る。より詳細には、本発明は、患者を非侵襲的に処置するのに使用される電磁エネルギー付与装置において局部インピーダンスファクタを決定するための方法及び装置に係る。
【0002】
関連出願へのクロスレファレンス:本出願は、2005年10月5日に出願された米国プロビジョナル特許出願第60/723,695号の利益を主張するもので、その開示は、参考としてそのままここに援用される。
【背景技術】
【0003】
電磁エネルギー付与装置は、種々の医療、美容及び治療上の理由で、患者を処置するのにしばしば利用される。例えば、このような装置は、組織を選択された温度範囲内に加熱して、希望の効果を生じさせ、例えば、しわをとったり減らしたり、皮膚をピンと張ったり、除毛したり、等々により、患者の外見を改善するのに利用される。このような装置は、光学、赤外線、マイクロ波、又は高周波(RF)信号のような信号を発生し、これは、次いで、患者に付与されて組織を希望の仕方で加熱する。このような電磁エネルギー付与装置の例が、共通に譲渡された米国特許第5,660,836号及び第6,350,276号に開示されており、その各々の開示は、参考としてそのままここに援用される。
【0004】
これらの信号に関連したエネルギー及び患者へのその付与のために、これらシステムの形成及び使用は、患者を傷つけることなく充分な治療効果を達成するに充分なエネルギーが付与されるよう保証すべく制御されねばならない。エネルギーの付与を監視し制御するために、種々の高周波装置は、付与された電流及び電圧を感知し、これらのパラメータが予め決定された動作範囲内に入るよう保証する。又、これらの装置は、全システムインピーダンスを測定し又は計算し、そして測定されたインピーダンスに一致して電圧及び電流を制御し、所定範囲の高周波エネルギーのみが装置により患者へ付与されるようにする。しかしながら、付与される電流及び電圧を単に感知して、制御された量のエネルギーを与えるだけでは、適切なレベルの処置が各患者に施されることを必ずしも表わさない。というのは、各患者は、一般に、付与されたエネルギーにより独特に作用される異なる身体的特性を示すからである。
【0005】
例えば、装置により付与されたエネルギーの一部分は、患者の処置ゾーンにより吸収されて、このゾーンを加熱する。付与されたエネルギーの別の部分は、処置ゾーンから離れた位置において患者により吸収され、その結果、その離れた位置に非治療加熱が生じる。付与されたエネルギーの更に別の部分は、装置の供給及び戻りワイヤ、コネクタ、及び他のコンポーネントにより吸収される。エネルギー吸収の分布は、所与の患者に対して処置ゾーンごとに変化すると共に、異なる患者間でも変化する。特定の数値例として、50ジュールのエネルギーを処置ゾーンへ付与しようとする場合に、処置ゾーンの局部インピーダンスが全システムインピーダンスの1/3であるときには、150ジュールの装置エネルギー付与設定で充分である。処置ゾーンの局部インピーダンスがそれより大きい場合には、過剰なエネルギーが処置ゾーンへ付与され、組織にダメージを及ぼすことがある。逆に、処置ゾーンの局部インピーダンスがそれより小さい場合には、不充分なエネルギーしか処置ゾーンに付与されず、従って、望ましい治療結果(例えば、組織をピンと張らす)が得られない。
【0006】
患者の局部的な処置ゾーンによって吸収されるエネルギーの断片、ひいては、量の決定は、処置ゾーン及び他の装置に関連した局部インピーダンス並びにシステムインピーダンスのある知識を必要とする。これらのインピーダンスは、患者ごとに異なり、そして所与の患者においても処理エリアが異なると一定ではないので、医師は、患者の痛みのフィードバックに基づいて、治療上のエネルギー量を処置ゾーンへ付与するようにこれら装置のエネルギー付与設定を適切にセットすることができる。患者のフィードバックが米国特許公告第20030236484号に説明されており、その開示は、参考としてそのままここに援用される。患者のフィードバックに依存するのは、欠点である。というのは、一方では、あまり痛みに耐えない患者に付与されるエネルギーの量では治療にならず、他方では、言葉による痛みのフィードバックがないことで過度に痛みに耐える患者には過剰なエネルギーが付与されるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、患者の処置ゾーン及び他の装置に関連したインピーダンス並びにシステムインピーダンスを推定し、適切なエネルギーレベルを患者の処置ゾーンに付与して、治療結果を得ると共に、患者を傷つけないようにする装置及び方法が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した問題、並びに従来の処置方法及び装置に伴う他の問題を克服すると共に、患者の特定処置ゾーンにおいて患者を処置するための改良された方法及び電磁エネルギー装置を提供する。適切な治療エネルギーレベルを良好に決定するために、本発明は、患者の各処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定し、そしてそれらの推定されたファクタを使用して、エネルギーレベルを決定する。一般的に、本発明の患者処置方法は、第1及び第2の測定信号を患者処置ゾーンに一部分通して送信して、それに対応する測定値を決定し、そしてその決定された測定値を使用して、局部インピーダンスファクタを推定することを含む。
【0009】
本発明の実施形態では、第1及び第2の測定信号に関連した電流及び電圧より成るグループから選択された少なくとも1つのパラメータを測定することにより、第1及び第2の測定値を決定することができる。或いは又、処置ゾーンに関連した局部インピーダンスと装置の全システムインピーダンスとの間の比として、推定局部インピーダンスファクタを測定してもよい。
【0010】
電気的インピーダンスは、複素数の実数部を構成する抵抗Rと、複素数の虚数部を構成する容量性リアクタンスとにより特徴付けられた複素数である。局部インピーダンスファクタを推定するのに使用される第1及び第2の測定値は、当業者により明らかなように、測定信号の電圧、電流、インピーダンス、及び電圧と電流との間の位相角の関係を反映する。
【0011】
実際の処置の実行において、患者は、通常、個々の処置ゾーンを通して、各治療信号を繰り返し送信することによって処置される。このようなケースでは、これら処置ゾーンの各々について個々の推定局部インピーダンスファクタが決定され、そしてこのような局部インピーダンスファクタを使用して、それに対応する治療エネルギーの大きさが決定される。
【0012】
改良された電磁エネルギー患者処置装置は、電磁エネルギージェネレータと、該ジェネレータに作動的に結合されて、患者の処置ゾーンに電磁エネルギーを付与する処置チップとを備えている。ジェネレータは、このエネルギージェネレータと共に収容されるか又はそこから離れたコントローラであって、少なくとも第1及び第2の測定信号をチップに付与して患者の処置ゾーンへ通すためのコントローラを備えている。このコントローラは、測定信号から導出されたデータを使用して患者処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定するように動作できる。
【0013】
本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示するもので、以上に述べた本発明の一般的な説明と、以下に述べる実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する上で役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1a、1b及び5を参照すれば、システム10は、一般に、処置信号及び1つ以上の測定信号を発生するためのジェネレータ16と、ハンドピース20に取り付けられる処置電極18と、第2の戻り電極22とを備えている。電極18、22は、ケーブル24、26を各々経てジェネレータ16に結合される。システム10は、それが適した治療、医療及び/又は美容関連処置を遂行するのに使用される。
【0015】
ジェネレータ16は、信号発生要素に加えて、他の要素、例えば、コントローラ44及び少なくとも1つのセンサ46を含む。センサ46は、信号電流、電圧、抵抗、インピーダンス、及び/又は他の信号パラメータのいずれかを検出することができる。コントローラ44及びセンサ46は、ジェネレータ16の他の要素と同じハウジング、例えば、共通のジェネレータハウジング内に一体的であってもよいし、或いはコントローラ44、センサ46、及び他のジェネレータ要素、例えば、信号発生要素が、個別のハウジング、例えば、多数のハウジング又はユニット内に配置されてもよい。ジェネレータ16は、一般的に知られた及び従来の信号発生要素を使用して、高周波信号又はマイクロ波信号のような信号を発生するように動作できる。ジェネレータ16は、周波数が約1MHzから約20MHzの範囲の高周波信号のような高周波信号を発生するように動作できる。
【0016】
使用中に、ジェネレータ16は、処置信号28を発生し、これは、ジェネレータケーブル24を経て処置ハンドピース20へ流れ、処置電極18を経、患者の皮膚面14を経、そして処置ゾーン12を経て流れる。皮膚面14に接触する処置電極18の部分は、処置信号28の発生及び転送中に冷却されてもよい。次いで、処置信号28は、ゾーン12の外側の身体組織30を通り、患者の遠隔組織ゾーン32及び皮膚面34を通り、戻り電極22を通り、そして最終的にジェネレータ戻りケーブル26を通って流れる。
【0017】
処置信号28が高周波信号であるときには、信号に関連したエネルギーを、図1bにおいて放射線36で概略的に示された電磁界ベクトルにより表わすことができる。処置ゾーン12における組織の治療加熱を促進するために、電極18は、電極18付近に電磁界36が集中するように充分に小さいサイズとすることができる。ゾーン12における組織の熱除去容量を遥かに越える割合でゾーン12に熱が蓄積され、エネルギーが付与されるにつれて組織温度の治療上の上昇が生じる。電極18から離れたある距離38では、蓄積する熱の密度が減少する程度まで電磁界が拡散される。その結果、電極18から距離38を越えたところでは、治療上の加熱が生じない。これは、蓄積される熱の量がこの深部組織ゾーンの局部温度を治療上のレベルに上昇するには不充分なためであり、且つこの深部組織ゾーンにおける組織の熱除去容量のためである。
【0018】
エネルギーを処置ゾーン12内の組織に容量性結合する処置電極18は、約0.10cm2ないし約20cm2程度に小さいが、ゾーン12の治療上の加熱を生じさせる。処置ゾーン12は、エネルギー付与の量及び割合、並びに他のシステム及び生理学的パラメータに基づいて、その深さが約1mmないし約40mmである。面積が約0.25cm2ないし約10cm2の範囲の治療電極が、極めて一般的である。本発明に使用するのに適した容量性結合の処置電極18は、米国特許第6,413,255号に開示されており、その開示を、参考としてここにそのまま援用する。
【0019】
逆に、戻り電極22の付近のゾーン32における治療上の加熱は、特に、本発明の実施形態の代表であるRF単極システムでは、一般的に望まれない。このような加熱は、ゾーン32に蓄積される熱の割合が、ゾーン32から身体が熱を除去する割合以下となるように、戻り電極22を充分に大きくすることで防止される。典型的に、戻り電極22は、ゾーン32における加熱を防止又は最小とし、そしてゾーン32における加熱を治療上の量より低く保つように、一般的に、処置電極18の約10倍ないし約100倍の大きさにされる。
【0020】
図1cは、図1a、1b及び5の装置の簡単な電気回路図である。図1cにおいて、抵抗器r1は、処置ゾーン12の全抵抗又はインピーダンスr1(以下、「局部インピーダンス」と称する)を表わし、そして抵抗器r2は、システム10に関連した電気回路の残り部分の全抵抗又はインピーダンスr2(以下、「バルクインピーダンス」と称する)を表わす。全システムインピーダンスr3は、r1とr2との和に等しい。r1とr2の比が変化する場合には、処置ゾーン12により吸収されるエネルギーの相対的な量も変化する。この比が未知の仕方で変化する場合には、処置ゾーン12に蓄積するエネルギーが多過ぎるか又は不充分になり得る。r1とr2の比は、「局部インピーダンスファクタ」を表わし、r1とr3の比、及びr1と全システムインピーダンスの他の部分との比も同様である。このような比は、ジェネレータ16により付与されて患者の処置ゾーン12により吸収されるエネルギーの分数又は割合を表わす。
【0021】
本発明の理解を助けるために、50ジュールのエネルギーが、このエネルギーを付与するための予想患者処置時間周期(例えば、約1秒ないし約10秒)中に、ある処置ゾーン12に付与される場合に、最適な治療結果が達成されることを実験が示していると仮定する。r1とr2の比が0.5である(即ち、r1は、全インピーダンスr1+r2の1/3)場合には、ジェネレータは、150ジュールのエネルギーを付与するように調整されねばならない。これで、希望通りに、50ジュールのエネルギーが処置ゾーンに蓄積される。しかしながら、比が0.5未満である場合には、処置ゾーンには僅かなエネルギーが蓄積されず、そして比が0.5より大きい場合には、著しいエネルギーが蓄積される。本発明は、この比を推定し、そしてr1が他のシステムインピーダンスに対してどのように変化するかも推定して、ジェネレータ16により発生されるエネルギーを調整し、その結果、希望のそして適切な量のエネルギーが処置ゾーンに蓄積されるようにする。
【0022】
システム10は、該システム10により処置される皮膚面14の付近の患者処置ゾーン12に対する局部インピーダンスファクタを決定するように動作できる。
【0023】
本発明の第1の特定の実施形態によれば、バルクインピーダンスr2の近似値を計算するために1つ又は一連の第1測定信号がジェネレータ16により発生され、そして全システムインピーダンスr3の近似値を計算するために第2測定信号が発生される。r2及びr3の近似値が与えられると、r1を種々の局部インピーダンスファクタとして容易に推定することができる。r3は、処置電極18を配置した状態で全システムインピーダンスを測定することにより近似されてもよい。これは、ケーブル24に沿ってジェネレータの測定信号を送信し、そして測定信号に関連した電流、電圧、及びインピーダンスの組み合せを測定することにより達成される。次いで、処置電極18を、この電極の付近の局部インピーダンスが最小となり、最適には、ほぼ0になるように充分に大きなサイズの大面積電極48(図2)と置き換えることにより、r2を近似することができる。例えば、大面積電極48が、戻り電極22(これは、その付近で治療加熱が生じないように一般的に充分大きなものである)とほぼ同程度のサイズである場合には、r1が最小となる。
【0024】
本発明の第2の特定の実施形態によれば、そして図4aを参照すれば、番号1ないし9で示された個々の電極セグメントの3x3アレーを有するマルチプレクス構造の形態の測定電極50を使用して、上述したように、r3を測定することができる。次いで、一連の測定信号が、電極50の個々の電極セグメントの異なるグループに印加され、次第にエリアの増加する付勢された電極ブロック、例えば、エリア又は個々の電極1、それに続いてエリア1、2、4及び5、次いで、エリア1−9、を画成する。或いは又、アレー内の全ての電極セグメントを同時に付勢し、次いで、アレー内の隣接電極セグメントのグループを同時に付勢し、そしてアレー内の各電極セグメントを個々に付勢することにより、一連の測定信号を形成してもよい。
【0025】
この一連の各測定信号に対してインピーダンスが測定される。アレーのサイズが戻り電極22より小さい場合には、これらのインピーダンスを、近似的に大きなサイズの電極48に対して外挿するように曲線適合で使用して、バルクインピーダンスr2を与えることができる。図4bは、このような3つの測定インピーダンス201−203と、バルクインピーダンスを推定するためにこれらのインピーダンス201−203をどのように外挿するかを示している。多数の電極を有するアレー、例えば、4x4、5x5、6x6、・・・100x100、及びそれ以上のアレーを使用し、そしてこの一連の電極に関連した対応的に多数の測定信号を使用することにより、良好な推定を達成することができる。
【0026】
本発明のこれらの特定の実施形態の各々について、これらインピーダンス推定の厳密な実施に関る2つの仮定がなされる。第1の仮定は、2つの大きな電極を使用すると、著しい局部インピーダンス成分をもたない正確なバルクインピーダンス推定がなされることである。第2の仮定は、局部インピーダンスが局部だけであって、バルクインピーダンス成分をもたないことである。ある形式の処置電極18、及び/又は処置されている身体のあるエリアでは、これら仮定の一方が誤りであると考えられる。1つ以上の倍率ファクタが実験で導出され、これを使用して、これらの仮定で導入される不正確さを補償することができる。実験測定で、全ての処置電極に有用な単一の倍率ファクタが見つかるか、又はおそらく、異なる処置電極に対して異なる倍率ファクタが見つかる。典型的な倍率ファクタと、全、バルク及び局部インピーダンスに対するそれらの関係は、次の式で与えられる。
ZL=(ZT−KBZB)/KL
但し、ZLは、局部インピーダンスであり、ZTは、全インピーダンスであり、ZBは、バルクインピーダンスであり、KBは、実験で導出されたバルク定数であり、そしてKLは、実験で導出されたバルク定数である。
【0027】
図4cを参照すれば、そして本発明の第3の特定の実施形態によれば、実際上患者処置には使用されない大面積電極48(図2)ではなく、患者処置電極52を使用して、測定インピーダンスを取得し、ここから、r1、r2、及びr3が推定される。先の実施形態と同様に、処置電極52は、少なくとも2つの電極セグメント54、56のアレーを含む。各個々の電極セグメント54、56は、断面積サイズが異なる。例えば、図4cを参照すれば、処置電極52は、電極セグメント54の面積が、電極セグメント56の面積の1/4であり、即ち面積54が面積56のサブセットであるように構成される。
【0028】
第1測定信号は、処置電極52により表わされたアレーの第1電極セグメント54を通して送信され、そしてインピーダンスが測定される。次いで、第2測定信号が、アレーの別の電極セグメント56を通して送信され、そして第2インピーダンスが測定される。第1電極セグメント54の面積が、第2電極セグメント56の面積とは異なる限り、当業者に知られたアルゴリズムを使用して、これら2つの測定値から局部、バルク及び全インピーダンスを推定することができる。図4cの電極52は、処置及び測定の両方の電極として同様に使用できることが容易に明らかであろう。
【0029】
例示的なアルゴリズムでは、2つの測定電極セグメント54、56を使用して測定信号が得られ、第2電極セグメント56は、局部インピーダンスファクタの推定がなされた後に治療エネルギー又は処置信号を付与するのに使用される電極エリアに対応する。測定信号は、電極セグメント54を通して送信され、そして第1の全抵抗rT1が測定される。次いで、第2の測定信号が電極セグメント56を通して送信され、そして第2の全抵抗rT2が測定される。これら2つの測定信号の電気回路図が、図1d、1eに示されており、ここで、添字L及びBは、各々、局部及びバルクを表わし、それ以外では、これらの図は、図1cに一致する述語を使用している。電極セグメント54、56が、各々面積A1及びA2を有し、そして2つの電極エリア54、56の処置深さが同一であると仮定すれば、各処置ゾーンの組織抵抗率が同じであり、そしてバルクインピーダンスは、各電極に対して同じであり、局部インピーダンスは、次の式で与えられる。
rL1=(rT1−rT2)/(1−(A1/A2))、及びrL2=rT2+rL1−rT1
【0030】
全システムインピーダンスは、rT2により表わされるので、希望の局部インピーダンスファクタを容易に計算し、推定することができる。
【0031】
先の2つの実施形態と同様に、実験で導出される倍率ファクタを決定し、前記で使用された種々の仮定により導入される不正確さを補償することができる。
【0032】
患者の処置ゾーン12における局部インピーダンス値及び全インピーダンスの分数を計算するためのアルゴリズムをシステム10に組み込むことができる。このプロセスは、患者ごとにより安全な処置範囲を予想する能力を生じる。患者ごとに安全且つ有効な処置設定がシステムにより予想され推定された後に、患者は、より深い麻酔のもとで処置され、従って、処置中の患者の不快感をなくすことができる。
【0033】
リレー、スイッチ、及び他の制御可能な素子を測定電極50に結合して、上述したように、種々の電極エリア1−9を選択的に付勢すると共に、測定電極52に結合して、電極セグメント54、56を選択的に付勢することができる。例えば、コントローラ44をリレーに結合し、測定電極50の選択された電極エリア1−9又は測定電極52の電極セグメント54、56を通してエネルギーを伝播できるように種々のリレーを選択することができる。種々の制御要素は、電極50、52、ハンドピース20、ジェネレータ16及び/又はシステム10の他の要素と一体的であってもよい。システム10は、更に、従来のコンピューティング要素及び/又はデータ記憶要素のような他の要素を含んでもよい。例えば、従来のコンピューティング要素及びデータ記憶要素は、システム10が、センサにより感知されるか又は別の仕方でシステム10に入力された種々のデータを記録、記憶、追跡及び分析できるようにする。更に、ある実施形態では、処置電極18、50、52、及び/又はハンドピース20は、使用されている特定の電極に関する特定のデータを記憶するために、EPROMのようなデータ記憶要素を含んでもよい。従って、患者の以前の処置、決定された患者インピーダンスファクタ、等の患者の処置に対応するデータは、処置の間に使用するために記憶され、そしてコンピューティング要素又はコントローラ44により後で呼び戻すことができる。更に、ジェネレータ16は、記憶されたデータを使用して、以前に記憶されたデータに基づき患者の局部、バルク及び全インピーダンスファクタを推定するように動作することができる。
【0034】
患者の処置全体にわたり、局部、バルク及び/又は全システムインピーダンスの測定を繰り返して、各処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを連続的に決定することができる。例えば、システム10は、処置電極50、52の使用による患者の処置中に局部インピーダンスファクタを連続的に決定するように使用できる。従って、例えば、3cm2面積のRF処置チップにより患者の顔全体を処置する場合には、治療エネルギー又は処置信号を患者に繰り返し付与し、例えば、顔の異なるエリアを加熱するときに、100回、200回、300回、或いは600回程度、繰り返し付与するのが一般的である。局部インピーダンスファクタを繰り返し決定し、そしてそのように決定された局部インピーダンスファクタに応答して付与エネルギーを繰り返し変更することができる。
【0035】
システム10は、治療、医療、及び/又は美容関連の処置に使用することができる。例えば、システム10は、高周波、マイクロ波、超音波、赤外線、光学、レーザー、音響、電磁、又は他の同様のエネルギー発生装置でよい。システム10を含むこのようなエネルギーベースのシステムは、一般に、エネルギーを患者に向けて組織を加熱し、患者の種々の肉体的特性、例えば、組織の見栄え、肉体的な組織構造、等を変更する。特に、システム10は、Thermage社(カリフォルニア州、ヘイワード)から商業的に入手できるThermaCool(登録商標)システムのような高周波ベースのシステムで、ここに開示したように、エネルギー付与のために局部インピーダンスファクタを推定するように変更されたものである。
【0036】
局部インピーダンスファクタは、2006年6月8日に出願された“Treatment Apparatus and Methods for Delivering Energy at Multiple Selectable Depths in Tissue”と題する米国特許出願第11/423,068号に開示された電極アッセンブリを使用して推定することができ、この特許出願の開示は、参考としてここにそのまま援用する。
【0037】
以上、種々の実施形態について本発明を例示し、そしてそれら実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲は、このような詳細に限定されるものではない。当業者であれば、付加的な効果や変更が容易に明らかであろう。従って、本発明は、その広い観点において、ここに図示して説明した特定の細部、代表的な装置及び方法、実施例に限定されず、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1a】処置を受けている患者に適用される本発明の種々の実施形態の原理に基づき構成されたシステム又は装置の概略図である。
【図1b】図1aのシステムのエネルギー伝達特性を示す図である。
【図1c】図1aのシステムの簡単な電気回路図である。
【図1d】本発明の実施形態に関連した電気回路図である。
【図1e】本発明の実施形態に関連した別の電気回路図である。
【図2】測定電極が処置電極から離れた本発明の別の実施形態に基づくシステムの概略図である。
【図3】測定電極としても働く処置電極を使用した本発明の実施形態の概略図である。
【図4a】図3の処置/測定電極の斜視図である。
【図4b】本発明の一実施形態に関連した補間推定技術を示すグラフである。
【図4c】本発明の測定/処置電極の別の実施形態を示す図である。
【図5】種々のシステム要素を示す本発明の実施形態のブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部インピーダンスファクタを推定する方法及び装置に係る。より詳細には、本発明は、患者を非侵襲的に処置するのに使用される電磁エネルギー付与装置において局部インピーダンスファクタを決定するための方法及び装置に係る。
【0002】
関連出願へのクロスレファレンス:本出願は、2005年10月5日に出願された米国プロビジョナル特許出願第60/723,695号の利益を主張するもので、その開示は、参考としてそのままここに援用される。
【背景技術】
【0003】
電磁エネルギー付与装置は、種々の医療、美容及び治療上の理由で、患者を処置するのにしばしば利用される。例えば、このような装置は、組織を選択された温度範囲内に加熱して、希望の効果を生じさせ、例えば、しわをとったり減らしたり、皮膚をピンと張ったり、除毛したり、等々により、患者の外見を改善するのに利用される。このような装置は、光学、赤外線、マイクロ波、又は高周波(RF)信号のような信号を発生し、これは、次いで、患者に付与されて組織を希望の仕方で加熱する。このような電磁エネルギー付与装置の例が、共通に譲渡された米国特許第5,660,836号及び第6,350,276号に開示されており、その各々の開示は、参考としてそのままここに援用される。
【0004】
これらの信号に関連したエネルギー及び患者へのその付与のために、これらシステムの形成及び使用は、患者を傷つけることなく充分な治療効果を達成するに充分なエネルギーが付与されるよう保証すべく制御されねばならない。エネルギーの付与を監視し制御するために、種々の高周波装置は、付与された電流及び電圧を感知し、これらのパラメータが予め決定された動作範囲内に入るよう保証する。又、これらの装置は、全システムインピーダンスを測定し又は計算し、そして測定されたインピーダンスに一致して電圧及び電流を制御し、所定範囲の高周波エネルギーのみが装置により患者へ付与されるようにする。しかしながら、付与される電流及び電圧を単に感知して、制御された量のエネルギーを与えるだけでは、適切なレベルの処置が各患者に施されることを必ずしも表わさない。というのは、各患者は、一般に、付与されたエネルギーにより独特に作用される異なる身体的特性を示すからである。
【0005】
例えば、装置により付与されたエネルギーの一部分は、患者の処置ゾーンにより吸収されて、このゾーンを加熱する。付与されたエネルギーの別の部分は、処置ゾーンから離れた位置において患者により吸収され、その結果、その離れた位置に非治療加熱が生じる。付与されたエネルギーの更に別の部分は、装置の供給及び戻りワイヤ、コネクタ、及び他のコンポーネントにより吸収される。エネルギー吸収の分布は、所与の患者に対して処置ゾーンごとに変化すると共に、異なる患者間でも変化する。特定の数値例として、50ジュールのエネルギーを処置ゾーンへ付与しようとする場合に、処置ゾーンの局部インピーダンスが全システムインピーダンスの1/3であるときには、150ジュールの装置エネルギー付与設定で充分である。処置ゾーンの局部インピーダンスがそれより大きい場合には、過剰なエネルギーが処置ゾーンへ付与され、組織にダメージを及ぼすことがある。逆に、処置ゾーンの局部インピーダンスがそれより小さい場合には、不充分なエネルギーしか処置ゾーンに付与されず、従って、望ましい治療結果(例えば、組織をピンと張らす)が得られない。
【0006】
患者の局部的な処置ゾーンによって吸収されるエネルギーの断片、ひいては、量の決定は、処置ゾーン及び他の装置に関連した局部インピーダンス並びにシステムインピーダンスのある知識を必要とする。これらのインピーダンスは、患者ごとに異なり、そして所与の患者においても処理エリアが異なると一定ではないので、医師は、患者の痛みのフィードバックに基づいて、治療上のエネルギー量を処置ゾーンへ付与するようにこれら装置のエネルギー付与設定を適切にセットすることができる。患者のフィードバックが米国特許公告第20030236484号に説明されており、その開示は、参考としてそのままここに援用される。患者のフィードバックに依存するのは、欠点である。というのは、一方では、あまり痛みに耐えない患者に付与されるエネルギーの量では治療にならず、他方では、言葉による痛みのフィードバックがないことで過度に痛みに耐える患者には過剰なエネルギーが付与されるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、患者の処置ゾーン及び他の装置に関連したインピーダンス並びにシステムインピーダンスを推定し、適切なエネルギーレベルを患者の処置ゾーンに付与して、治療結果を得ると共に、患者を傷つけないようにする装置及び方法が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した問題、並びに従来の処置方法及び装置に伴う他の問題を克服すると共に、患者の特定処置ゾーンにおいて患者を処置するための改良された方法及び電磁エネルギー装置を提供する。適切な治療エネルギーレベルを良好に決定するために、本発明は、患者の各処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定し、そしてそれらの推定されたファクタを使用して、エネルギーレベルを決定する。一般的に、本発明の患者処置方法は、第1及び第2の測定信号を患者処置ゾーンに一部分通して送信して、それに対応する測定値を決定し、そしてその決定された測定値を使用して、局部インピーダンスファクタを推定することを含む。
【0009】
本発明の実施形態では、第1及び第2の測定信号に関連した電流及び電圧より成るグループから選択された少なくとも1つのパラメータを測定することにより、第1及び第2の測定値を決定することができる。或いは又、処置ゾーンに関連した局部インピーダンスと装置の全システムインピーダンスとの間の比として、推定局部インピーダンスファクタを測定してもよい。
【0010】
電気的インピーダンスは、複素数の実数部を構成する抵抗Rと、複素数の虚数部を構成する容量性リアクタンスとにより特徴付けられた複素数である。局部インピーダンスファクタを推定するのに使用される第1及び第2の測定値は、当業者により明らかなように、測定信号の電圧、電流、インピーダンス、及び電圧と電流との間の位相角の関係を反映する。
【0011】
実際の処置の実行において、患者は、通常、個々の処置ゾーンを通して、各治療信号を繰り返し送信することによって処置される。このようなケースでは、これら処置ゾーンの各々について個々の推定局部インピーダンスファクタが決定され、そしてこのような局部インピーダンスファクタを使用して、それに対応する治療エネルギーの大きさが決定される。
【0012】
改良された電磁エネルギー患者処置装置は、電磁エネルギージェネレータと、該ジェネレータに作動的に結合されて、患者の処置ゾーンに電磁エネルギーを付与する処置チップとを備えている。ジェネレータは、このエネルギージェネレータと共に収容されるか又はそこから離れたコントローラであって、少なくとも第1及び第2の測定信号をチップに付与して患者の処置ゾーンへ通すためのコントローラを備えている。このコントローラは、測定信号から導出されたデータを使用して患者処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定するように動作できる。
【0013】
本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示するもので、以上に述べた本発明の一般的な説明と、以下に述べる実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する上で役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1a、1b及び5を参照すれば、システム10は、一般に、処置信号及び1つ以上の測定信号を発生するためのジェネレータ16と、ハンドピース20に取り付けられる処置電極18と、第2の戻り電極22とを備えている。電極18、22は、ケーブル24、26を各々経てジェネレータ16に結合される。システム10は、それが適した治療、医療及び/又は美容関連処置を遂行するのに使用される。
【0015】
ジェネレータ16は、信号発生要素に加えて、他の要素、例えば、コントローラ44及び少なくとも1つのセンサ46を含む。センサ46は、信号電流、電圧、抵抗、インピーダンス、及び/又は他の信号パラメータのいずれかを検出することができる。コントローラ44及びセンサ46は、ジェネレータ16の他の要素と同じハウジング、例えば、共通のジェネレータハウジング内に一体的であってもよいし、或いはコントローラ44、センサ46、及び他のジェネレータ要素、例えば、信号発生要素が、個別のハウジング、例えば、多数のハウジング又はユニット内に配置されてもよい。ジェネレータ16は、一般的に知られた及び従来の信号発生要素を使用して、高周波信号又はマイクロ波信号のような信号を発生するように動作できる。ジェネレータ16は、周波数が約1MHzから約20MHzの範囲の高周波信号のような高周波信号を発生するように動作できる。
【0016】
使用中に、ジェネレータ16は、処置信号28を発生し、これは、ジェネレータケーブル24を経て処置ハンドピース20へ流れ、処置電極18を経、患者の皮膚面14を経、そして処置ゾーン12を経て流れる。皮膚面14に接触する処置電極18の部分は、処置信号28の発生及び転送中に冷却されてもよい。次いで、処置信号28は、ゾーン12の外側の身体組織30を通り、患者の遠隔組織ゾーン32及び皮膚面34を通り、戻り電極22を通り、そして最終的にジェネレータ戻りケーブル26を通って流れる。
【0017】
処置信号28が高周波信号であるときには、信号に関連したエネルギーを、図1bにおいて放射線36で概略的に示された電磁界ベクトルにより表わすことができる。処置ゾーン12における組織の治療加熱を促進するために、電極18は、電極18付近に電磁界36が集中するように充分に小さいサイズとすることができる。ゾーン12における組織の熱除去容量を遥かに越える割合でゾーン12に熱が蓄積され、エネルギーが付与されるにつれて組織温度の治療上の上昇が生じる。電極18から離れたある距離38では、蓄積する熱の密度が減少する程度まで電磁界が拡散される。その結果、電極18から距離38を越えたところでは、治療上の加熱が生じない。これは、蓄積される熱の量がこの深部組織ゾーンの局部温度を治療上のレベルに上昇するには不充分なためであり、且つこの深部組織ゾーンにおける組織の熱除去容量のためである。
【0018】
エネルギーを処置ゾーン12内の組織に容量性結合する処置電極18は、約0.10cm2ないし約20cm2程度に小さいが、ゾーン12の治療上の加熱を生じさせる。処置ゾーン12は、エネルギー付与の量及び割合、並びに他のシステム及び生理学的パラメータに基づいて、その深さが約1mmないし約40mmである。面積が約0.25cm2ないし約10cm2の範囲の治療電極が、極めて一般的である。本発明に使用するのに適した容量性結合の処置電極18は、米国特許第6,413,255号に開示されており、その開示を、参考としてここにそのまま援用する。
【0019】
逆に、戻り電極22の付近のゾーン32における治療上の加熱は、特に、本発明の実施形態の代表であるRF単極システムでは、一般的に望まれない。このような加熱は、ゾーン32に蓄積される熱の割合が、ゾーン32から身体が熱を除去する割合以下となるように、戻り電極22を充分に大きくすることで防止される。典型的に、戻り電極22は、ゾーン32における加熱を防止又は最小とし、そしてゾーン32における加熱を治療上の量より低く保つように、一般的に、処置電極18の約10倍ないし約100倍の大きさにされる。
【0020】
図1cは、図1a、1b及び5の装置の簡単な電気回路図である。図1cにおいて、抵抗器r1は、処置ゾーン12の全抵抗又はインピーダンスr1(以下、「局部インピーダンス」と称する)を表わし、そして抵抗器r2は、システム10に関連した電気回路の残り部分の全抵抗又はインピーダンスr2(以下、「バルクインピーダンス」と称する)を表わす。全システムインピーダンスr3は、r1とr2との和に等しい。r1とr2の比が変化する場合には、処置ゾーン12により吸収されるエネルギーの相対的な量も変化する。この比が未知の仕方で変化する場合には、処置ゾーン12に蓄積するエネルギーが多過ぎるか又は不充分になり得る。r1とr2の比は、「局部インピーダンスファクタ」を表わし、r1とr3の比、及びr1と全システムインピーダンスの他の部分との比も同様である。このような比は、ジェネレータ16により付与されて患者の処置ゾーン12により吸収されるエネルギーの分数又は割合を表わす。
【0021】
本発明の理解を助けるために、50ジュールのエネルギーが、このエネルギーを付与するための予想患者処置時間周期(例えば、約1秒ないし約10秒)中に、ある処置ゾーン12に付与される場合に、最適な治療結果が達成されることを実験が示していると仮定する。r1とr2の比が0.5である(即ち、r1は、全インピーダンスr1+r2の1/3)場合には、ジェネレータは、150ジュールのエネルギーを付与するように調整されねばならない。これで、希望通りに、50ジュールのエネルギーが処置ゾーンに蓄積される。しかしながら、比が0.5未満である場合には、処置ゾーンには僅かなエネルギーが蓄積されず、そして比が0.5より大きい場合には、著しいエネルギーが蓄積される。本発明は、この比を推定し、そしてr1が他のシステムインピーダンスに対してどのように変化するかも推定して、ジェネレータ16により発生されるエネルギーを調整し、その結果、希望のそして適切な量のエネルギーが処置ゾーンに蓄積されるようにする。
【0022】
システム10は、該システム10により処置される皮膚面14の付近の患者処置ゾーン12に対する局部インピーダンスファクタを決定するように動作できる。
【0023】
本発明の第1の特定の実施形態によれば、バルクインピーダンスr2の近似値を計算するために1つ又は一連の第1測定信号がジェネレータ16により発生され、そして全システムインピーダンスr3の近似値を計算するために第2測定信号が発生される。r2及びr3の近似値が与えられると、r1を種々の局部インピーダンスファクタとして容易に推定することができる。r3は、処置電極18を配置した状態で全システムインピーダンスを測定することにより近似されてもよい。これは、ケーブル24に沿ってジェネレータの測定信号を送信し、そして測定信号に関連した電流、電圧、及びインピーダンスの組み合せを測定することにより達成される。次いで、処置電極18を、この電極の付近の局部インピーダンスが最小となり、最適には、ほぼ0になるように充分に大きなサイズの大面積電極48(図2)と置き換えることにより、r2を近似することができる。例えば、大面積電極48が、戻り電極22(これは、その付近で治療加熱が生じないように一般的に充分大きなものである)とほぼ同程度のサイズである場合には、r1が最小となる。
【0024】
本発明の第2の特定の実施形態によれば、そして図4aを参照すれば、番号1ないし9で示された個々の電極セグメントの3x3アレーを有するマルチプレクス構造の形態の測定電極50を使用して、上述したように、r3を測定することができる。次いで、一連の測定信号が、電極50の個々の電極セグメントの異なるグループに印加され、次第にエリアの増加する付勢された電極ブロック、例えば、エリア又は個々の電極1、それに続いてエリア1、2、4及び5、次いで、エリア1−9、を画成する。或いは又、アレー内の全ての電極セグメントを同時に付勢し、次いで、アレー内の隣接電極セグメントのグループを同時に付勢し、そしてアレー内の各電極セグメントを個々に付勢することにより、一連の測定信号を形成してもよい。
【0025】
この一連の各測定信号に対してインピーダンスが測定される。アレーのサイズが戻り電極22より小さい場合には、これらのインピーダンスを、近似的に大きなサイズの電極48に対して外挿するように曲線適合で使用して、バルクインピーダンスr2を与えることができる。図4bは、このような3つの測定インピーダンス201−203と、バルクインピーダンスを推定するためにこれらのインピーダンス201−203をどのように外挿するかを示している。多数の電極を有するアレー、例えば、4x4、5x5、6x6、・・・100x100、及びそれ以上のアレーを使用し、そしてこの一連の電極に関連した対応的に多数の測定信号を使用することにより、良好な推定を達成することができる。
【0026】
本発明のこれらの特定の実施形態の各々について、これらインピーダンス推定の厳密な実施に関る2つの仮定がなされる。第1の仮定は、2つの大きな電極を使用すると、著しい局部インピーダンス成分をもたない正確なバルクインピーダンス推定がなされることである。第2の仮定は、局部インピーダンスが局部だけであって、バルクインピーダンス成分をもたないことである。ある形式の処置電極18、及び/又は処置されている身体のあるエリアでは、これら仮定の一方が誤りであると考えられる。1つ以上の倍率ファクタが実験で導出され、これを使用して、これらの仮定で導入される不正確さを補償することができる。実験測定で、全ての処置電極に有用な単一の倍率ファクタが見つかるか、又はおそらく、異なる処置電極に対して異なる倍率ファクタが見つかる。典型的な倍率ファクタと、全、バルク及び局部インピーダンスに対するそれらの関係は、次の式で与えられる。
ZL=(ZT−KBZB)/KL
但し、ZLは、局部インピーダンスであり、ZTは、全インピーダンスであり、ZBは、バルクインピーダンスであり、KBは、実験で導出されたバルク定数であり、そしてKLは、実験で導出されたバルク定数である。
【0027】
図4cを参照すれば、そして本発明の第3の特定の実施形態によれば、実際上患者処置には使用されない大面積電極48(図2)ではなく、患者処置電極52を使用して、測定インピーダンスを取得し、ここから、r1、r2、及びr3が推定される。先の実施形態と同様に、処置電極52は、少なくとも2つの電極セグメント54、56のアレーを含む。各個々の電極セグメント54、56は、断面積サイズが異なる。例えば、図4cを参照すれば、処置電極52は、電極セグメント54の面積が、電極セグメント56の面積の1/4であり、即ち面積54が面積56のサブセットであるように構成される。
【0028】
第1測定信号は、処置電極52により表わされたアレーの第1電極セグメント54を通して送信され、そしてインピーダンスが測定される。次いで、第2測定信号が、アレーの別の電極セグメント56を通して送信され、そして第2インピーダンスが測定される。第1電極セグメント54の面積が、第2電極セグメント56の面積とは異なる限り、当業者に知られたアルゴリズムを使用して、これら2つの測定値から局部、バルク及び全インピーダンスを推定することができる。図4cの電極52は、処置及び測定の両方の電極として同様に使用できることが容易に明らかであろう。
【0029】
例示的なアルゴリズムでは、2つの測定電極セグメント54、56を使用して測定信号が得られ、第2電極セグメント56は、局部インピーダンスファクタの推定がなされた後に治療エネルギー又は処置信号を付与するのに使用される電極エリアに対応する。測定信号は、電極セグメント54を通して送信され、そして第1の全抵抗rT1が測定される。次いで、第2の測定信号が電極セグメント56を通して送信され、そして第2の全抵抗rT2が測定される。これら2つの測定信号の電気回路図が、図1d、1eに示されており、ここで、添字L及びBは、各々、局部及びバルクを表わし、それ以外では、これらの図は、図1cに一致する述語を使用している。電極セグメント54、56が、各々面積A1及びA2を有し、そして2つの電極エリア54、56の処置深さが同一であると仮定すれば、各処置ゾーンの組織抵抗率が同じであり、そしてバルクインピーダンスは、各電極に対して同じであり、局部インピーダンスは、次の式で与えられる。
rL1=(rT1−rT2)/(1−(A1/A2))、及びrL2=rT2+rL1−rT1
【0030】
全システムインピーダンスは、rT2により表わされるので、希望の局部インピーダンスファクタを容易に計算し、推定することができる。
【0031】
先の2つの実施形態と同様に、実験で導出される倍率ファクタを決定し、前記で使用された種々の仮定により導入される不正確さを補償することができる。
【0032】
患者の処置ゾーン12における局部インピーダンス値及び全インピーダンスの分数を計算するためのアルゴリズムをシステム10に組み込むことができる。このプロセスは、患者ごとにより安全な処置範囲を予想する能力を生じる。患者ごとに安全且つ有効な処置設定がシステムにより予想され推定された後に、患者は、より深い麻酔のもとで処置され、従って、処置中の患者の不快感をなくすことができる。
【0033】
リレー、スイッチ、及び他の制御可能な素子を測定電極50に結合して、上述したように、種々の電極エリア1−9を選択的に付勢すると共に、測定電極52に結合して、電極セグメント54、56を選択的に付勢することができる。例えば、コントローラ44をリレーに結合し、測定電極50の選択された電極エリア1−9又は測定電極52の電極セグメント54、56を通してエネルギーを伝播できるように種々のリレーを選択することができる。種々の制御要素は、電極50、52、ハンドピース20、ジェネレータ16及び/又はシステム10の他の要素と一体的であってもよい。システム10は、更に、従来のコンピューティング要素及び/又はデータ記憶要素のような他の要素を含んでもよい。例えば、従来のコンピューティング要素及びデータ記憶要素は、システム10が、センサにより感知されるか又は別の仕方でシステム10に入力された種々のデータを記録、記憶、追跡及び分析できるようにする。更に、ある実施形態では、処置電極18、50、52、及び/又はハンドピース20は、使用されている特定の電極に関する特定のデータを記憶するために、EPROMのようなデータ記憶要素を含んでもよい。従って、患者の以前の処置、決定された患者インピーダンスファクタ、等の患者の処置に対応するデータは、処置の間に使用するために記憶され、そしてコンピューティング要素又はコントローラ44により後で呼び戻すことができる。更に、ジェネレータ16は、記憶されたデータを使用して、以前に記憶されたデータに基づき患者の局部、バルク及び全インピーダンスファクタを推定するように動作することができる。
【0034】
患者の処置全体にわたり、局部、バルク及び/又は全システムインピーダンスの測定を繰り返して、各処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを連続的に決定することができる。例えば、システム10は、処置電極50、52の使用による患者の処置中に局部インピーダンスファクタを連続的に決定するように使用できる。従って、例えば、3cm2面積のRF処置チップにより患者の顔全体を処置する場合には、治療エネルギー又は処置信号を患者に繰り返し付与し、例えば、顔の異なるエリアを加熱するときに、100回、200回、300回、或いは600回程度、繰り返し付与するのが一般的である。局部インピーダンスファクタを繰り返し決定し、そしてそのように決定された局部インピーダンスファクタに応答して付与エネルギーを繰り返し変更することができる。
【0035】
システム10は、治療、医療、及び/又は美容関連の処置に使用することができる。例えば、システム10は、高周波、マイクロ波、超音波、赤外線、光学、レーザー、音響、電磁、又は他の同様のエネルギー発生装置でよい。システム10を含むこのようなエネルギーベースのシステムは、一般に、エネルギーを患者に向けて組織を加熱し、患者の種々の肉体的特性、例えば、組織の見栄え、肉体的な組織構造、等を変更する。特に、システム10は、Thermage社(カリフォルニア州、ヘイワード)から商業的に入手できるThermaCool(登録商標)システムのような高周波ベースのシステムで、ここに開示したように、エネルギー付与のために局部インピーダンスファクタを推定するように変更されたものである。
【0036】
局部インピーダンスファクタは、2006年6月8日に出願された“Treatment Apparatus and Methods for Delivering Energy at Multiple Selectable Depths in Tissue”と題する米国特許出願第11/423,068号に開示された電極アッセンブリを使用して推定することができ、この特許出願の開示は、参考としてここにそのまま援用する。
【0037】
以上、種々の実施形態について本発明を例示し、そしてそれら実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲は、このような詳細に限定されるものではない。当業者であれば、付加的な効果や変更が容易に明らかであろう。従って、本発明は、その広い観点において、ここに図示して説明した特定の細部、代表的な装置及び方法、実施例に限定されず、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1a】処置を受けている患者に適用される本発明の種々の実施形態の原理に基づき構成されたシステム又は装置の概略図である。
【図1b】図1aのシステムのエネルギー伝達特性を示す図である。
【図1c】図1aのシステムの簡単な電気回路図である。
【図1d】本発明の実施形態に関連した電気回路図である。
【図1e】本発明の実施形態に関連した別の電気回路図である。
【図2】測定電極が処置電極から離れた本発明の別の実施形態に基づくシステムの概略図である。
【図3】測定電極としても働く処置電極を使用した本発明の実施形態の概略図である。
【図4a】図3の処置/測定電極の斜視図である。
【図4b】本発明の一実施形態に関連した補間推定技術を示すグラフである。
【図4c】本発明の測定/処置電極の別の実施形態を示す図である。
【図5】種々のシステム要素を示す本発明の実施形態のブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の処置ゾーンを電磁エネルギー付与装置で処置する方法において、
第1測定信号を前記電磁エネルギー付与装置から前記処置ゾーンを少なくとも一部分通して送信して、前記電磁エネルギー付与装置へ戻るようにするステップと、
前記第1測定信号から第1測定値を決定するステップと、
第2測定信号を前記電磁エネルギー付与装置から前記処置ゾーンを少なくとも一部分通して送信して、前記電磁エネルギー付与装置へ戻るようにするステップと、
前記第2測定信号から第2測定値を決定するステップと、
前記第1及び第2の測定値を使用して前記処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
第1測定値を決定する前記ステップは、更に、前記第1測定信号に関連した電流又は電圧を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2測定値を決定する前記ステップは、更に、前記第2測定信号に関連した電流又は電圧を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、前記処置ゾーンに関連した患者の局部インピーダンスと、装置の全システムインピーダンスとの間の比として前記局部インピーダンスファクタを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記推定された局部インピーダンスファクタに少なくとも一部分基づいて治療信号のエネルギーを選択するステップと、
前記治療信号を前記電磁エネルギー付与装置から治療ゾーンへ送信するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者の処置の過程中に局部インピーダンスファクタを繰り返し推定することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
患者の処置の過程中に前記推定された局部インピーダンスファクタが変化するときに、前記処置ゾーンへ送られる治療信号のエネルギーを変化させることを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記局部インピーダンスファクタは、前記患者処置ゾーンにより吸収される治療信号のエネルギーの断片に関係している、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1測定信号、第2測定信号、及び治療信号を、前記処置ゾーンに隣接配置された異なる電極を通して送信することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第2測定信号を送信するのに使用される電極の面積は、前記治療信号を送信するのに使用される電極の面積に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2測定信号を送信するのに使用される電極の面積は、前記治療信号を送信するのに使用される電極の面積とは異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1測定信号、第2測定信号、及び治療信号を、前記処置ゾーンに各々隣接配置された複数の電極を通して送信することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記装置は、高周波エネルギーを付与し、そして戻り路は、非治療電極を含み、この非治療電極は、その付近の患者ゾーンへ非治療量のエネルギーが付与されるに充分なサイズのものである、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記処置ゾーンを通して3つ以上の測定信号を送信ステップと、
前記3つ以上の測定信号から対応する数の測定値を決定するステップと、
前記対応する数の測定値から局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項15】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、外挿により局部インピーダンスファクタを推定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、
前記第1測定値から前記第2測定値を減算して差を生じさせ、そして
前記差を、前記第1測定信号を送信するのに使用される第1電極の表面積と、前記第2測定信号を送信するのに使用される第2電極の表面積との比を1から差し引いたもので、除算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、1つ以上の倍率ファクタを使用して、局部インピーダンスファクタを推定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記局部インピーダンスファクタが推定された後に患者処置工程を開始するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
個々の処置ゾーンを通して各治療信号を繰り返し送信するステップと、
処置ゾーンの各々に関連した局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項20】
推定された局部インピーダンスファクタが変化するときに治療信号のエネルギーを変化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び第2の測定値の1つは、前記電磁エネルギー付与装置の全インピーダンスにほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2の測定値の1つは、前記電磁エネルギー付与装置のバルクインピーダンスにほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
患者の皮膚面を通してその下の処置ゾーンへ電磁エネルギーを付与する装置において、
電磁エネルギーを発生するジェネレータと、
前記ジェネレータに作動的に結合された電極を含み、前記皮膚面を経て患者処置ゾーンへ電磁エネルギーを付与するための処置チップと、
前記ジェネレータに電気的に結合されたコントローラであって、前記ジェネレータが、前記処置ゾーンへ付与するために前記電極へ少なくとも第1及び第2の測定信号を供給するようにさせると共に、前記第1及び第2の測定信号から前記患者処置ゾーンの局部インピーダンスファクタを推定するように構成されたコントローラと、
を備えた装置。
【請求項24】
前記ジェネレータは、高周波エネルギーを発生する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記電極は、更に、表面積の異なる第1及び第2の電極セグメントを含み、そして前記コントローラは、前記第1電極を経て第1測定信号を、且つ前記第2電極を経て第2測定信号を付与するように構成された、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記電極は、複数の電極セグメントを含み、そして前記コントローラは、電極セグメントの第1グループを経て第1測定信号を、且つ電極セグメントの第2グループを経て第2測定信号を付与するように構成され、前記電極セグメントの第1及び第2グループは、包括的表面積が異なる、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、このコントローラにより推定された局部インピーダンスファクタに基づいて前記ジェネレータが前記電極へ治療信号を供給するようにさせる、請求項23に記載の装置。
【請求項1】
患者の処置ゾーンを電磁エネルギー付与装置で処置する方法において、
第1測定信号を前記電磁エネルギー付与装置から前記処置ゾーンを少なくとも一部分通して送信して、前記電磁エネルギー付与装置へ戻るようにするステップと、
前記第1測定信号から第1測定値を決定するステップと、
第2測定信号を前記電磁エネルギー付与装置から前記処置ゾーンを少なくとも一部分通して送信して、前記電磁エネルギー付与装置へ戻るようにするステップと、
前記第2測定信号から第2測定値を決定するステップと、
前記第1及び第2の測定値を使用して前記処置ゾーンに関連した局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
第1測定値を決定する前記ステップは、更に、前記第1測定信号に関連した電流又は電圧を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2測定値を決定する前記ステップは、更に、前記第2測定信号に関連した電流又は電圧を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、前記処置ゾーンに関連した患者の局部インピーダンスと、装置の全システムインピーダンスとの間の比として前記局部インピーダンスファクタを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記推定された局部インピーダンスファクタに少なくとも一部分基づいて治療信号のエネルギーを選択するステップと、
前記治療信号を前記電磁エネルギー付与装置から治療ゾーンへ送信するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者の処置の過程中に局部インピーダンスファクタを繰り返し推定することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
患者の処置の過程中に前記推定された局部インピーダンスファクタが変化するときに、前記処置ゾーンへ送られる治療信号のエネルギーを変化させることを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記局部インピーダンスファクタは、前記患者処置ゾーンにより吸収される治療信号のエネルギーの断片に関係している、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1測定信号、第2測定信号、及び治療信号を、前記処置ゾーンに隣接配置された異なる電極を通して送信することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第2測定信号を送信するのに使用される電極の面積は、前記治療信号を送信するのに使用される電極の面積に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2測定信号を送信するのに使用される電極の面積は、前記治療信号を送信するのに使用される電極の面積とは異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1測定信号、第2測定信号、及び治療信号を、前記処置ゾーンに各々隣接配置された複数の電極を通して送信することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記装置は、高周波エネルギーを付与し、そして戻り路は、非治療電極を含み、この非治療電極は、その付近の患者ゾーンへ非治療量のエネルギーが付与されるに充分なサイズのものである、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記処置ゾーンを通して3つ以上の測定信号を送信ステップと、
前記3つ以上の測定信号から対応する数の測定値を決定するステップと、
前記対応する数の測定値から局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項15】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、外挿により局部インピーダンスファクタを推定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、
前記第1測定値から前記第2測定値を減算して差を生じさせ、そして
前記差を、前記第1測定信号を送信するのに使用される第1電極の表面積と、前記第2測定信号を送信するのに使用される第2電極の表面積との比を1から差し引いたもので、除算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
局部インピーダンスファクタを推定する前記ステップは、更に、1つ以上の倍率ファクタを使用して、局部インピーダンスファクタを推定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記局部インピーダンスファクタが推定された後に患者処置工程を開始するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
個々の処置ゾーンを通して各治療信号を繰り返し送信するステップと、
処置ゾーンの各々に関連した局部インピーダンスファクタを推定するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項20】
推定された局部インピーダンスファクタが変化するときに治療信号のエネルギーを変化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び第2の測定値の1つは、前記電磁エネルギー付与装置の全インピーダンスにほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2の測定値の1つは、前記電磁エネルギー付与装置のバルクインピーダンスにほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
患者の皮膚面を通してその下の処置ゾーンへ電磁エネルギーを付与する装置において、
電磁エネルギーを発生するジェネレータと、
前記ジェネレータに作動的に結合された電極を含み、前記皮膚面を経て患者処置ゾーンへ電磁エネルギーを付与するための処置チップと、
前記ジェネレータに電気的に結合されたコントローラであって、前記ジェネレータが、前記処置ゾーンへ付与するために前記電極へ少なくとも第1及び第2の測定信号を供給するようにさせると共に、前記第1及び第2の測定信号から前記患者処置ゾーンの局部インピーダンスファクタを推定するように構成されたコントローラと、
を備えた装置。
【請求項24】
前記ジェネレータは、高周波エネルギーを発生する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記電極は、更に、表面積の異なる第1及び第2の電極セグメントを含み、そして前記コントローラは、前記第1電極を経て第1測定信号を、且つ前記第2電極を経て第2測定信号を付与するように構成された、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記電極は、複数の電極セグメントを含み、そして前記コントローラは、電極セグメントの第1グループを経て第1測定信号を、且つ電極セグメントの第2グループを経て第2測定信号を付与するように構成され、前記電極セグメントの第1及び第2グループは、包括的表面積が異なる、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、このコントローラにより推定された局部インピーダンスファクタに基づいて前記ジェネレータが前記電極へ治療信号を供給するようにさせる、請求項23に記載の装置。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【公表番号】特表2009−511119(P2009−511119A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534612(P2008−534612)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/038536
【国際公開番号】WO2007/041540
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(501356341)サーメイジ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/038536
【国際公開番号】WO2007/041540
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(501356341)サーメイジ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]