屋根構造
【課題】破風の上面を流れ落ちる雨水を塞き止める塞止め部を従来より低くすることができる屋根構造を提供する。
【解決手段】破風10が、前記屋根1のけらば側の上面側に配置される上面部10aと、この上面部10aの端部に形成され、前記屋根1のけらば側の端面側に配置される端面部10bとを備え、上面部10aと端面部10bとの交差部に凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面部10aに、凸条10kの側部から屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
【解決手段】破風10が、前記屋根1のけらば側の上面側に配置される上面部10aと、この上面部10aの端部に形成され、前記屋根1のけらば側の端面側に配置される端面部10bとを備え、上面部10aと端面部10bとの交差部に凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面部10aに、凸条10kの側部から屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この屋根構造は、屋根のけらば側の端部にけらば水切(破風)が設けられており、この破風の上面の下部に、破風の上面を流れ落ちる水滴を屋根上面側に送るためのせき止め片を固定したものである。
このような屋根構造によれば、破風の上面に降る雨は、破風の上面を伝って流れ落ち、せき止め片のところにやってくるが、せき止め片は破風の上面を流れ落ちる雨水を屋根上面側に送るように形成されているので、かかる雨水は軒樋に回収される。したがって、雨水が破風の軒側の端部を伝って地面に落ちることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−42088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の屋根構造では、破風の上面を流れ落ちてきた雨水がせき止め片の上端を越えないように、確実にせき止めて屋根上面側に送るために、せき止め片を比較的高く形成する必要がある。せき止め片が高くなればなるほど、屋根の外観意匠性を損なうのは勿論のこと、屋根工事や屋根補修等の際にせき止め片が損傷するおそれもある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、破風の上面を流れ落ちる雨水を塞き止める塞止め部を従来より低くすることができる屋根構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、屋根1のけらば側の端部に破風10が設けられた屋根構造において、
前記破風10は、前記屋根1のけらば側の上面側に配置される上面部10aと、この上面部10aの端部に形成され、前記屋根1のけらば側の端面側に配置される端面部10bとを備えており、
前記上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、
前記破風10の先端部の前記上面部10aに、前記凸条10kの側部から前記屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、
この塞止め部30の上部にこの上部から前記破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、破風10の上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面部10aに、前記凸条10kの側部から前記屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から前記破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、破風10の上面部10aを流れ落ちてきて、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
また、破風10の上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されているので、破風10の上面部10aを流れ落ちる雨水が端面部10b側に流れ落ちるのを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根構造において、
前記塞止め部30には、塞止め面30aが前記破風10の後端側に対向して形成されており、この塞止め面30aは、前記凸条10kの側面10sと連続していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、破風10の上面部10aを流れ落ちる雨水が凸条10kの側面10sに沿って流れ、さらに塞止め面30aに沿って斜め下方に流れて屋根1側に流れ落ちるので、破風10の上面に降った雨水を確実に屋根1の上面側または屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記凸条10kの上面と前記延出部31の上面とが面一であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、凸条10kの上面と前記延出部31の上面とが面一であるので、けらば側から屋根1を見たときに、延出部31や塞止め部30が見えず、秀麗な仕上がりとなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記破風10の先端部に、破風先端固定板32が設けられており、
この破風先端固定板32が前記屋根1の軒先部に固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、破風先端固定板32が屋根1の軒先部に固定されているので、破風10の先端部を確実に固定できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記屋根1を支持する外壁本体15に、中間部品(破風ランナー18)18が取り付けられており、
この中間部品(破風ランナー18)18に前記破風10が連結されており、
前記中間部品(破風ランナー18)18に、前記外壁本体15に取り付けられた外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、シーリング材24としては、形状があらかじめ定まっている定型シーリング材や、形状があらかじめ定まっていないペースト状の油性のコーキング材が使用される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、外壁本体の上端部に中間部品(破風ランナー18)を取り付けておき、この中間部品(破風ランナー18)に破風10を連結し、一方、前記中間部品(破風ランナー18)に外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着することができるので、破風10の取付けと、外装材22の施工とを別々に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、破風の上面部と端面部との交差部に、上方に突出する凸条がけらばに沿って形成されており、破風の先端部の上面部に、前記凸条の側部から前記屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部が設けられこの塞止め部の上部にこの上部から前記破風の後端側に向けて延出する延出部が設けられているので、破風の上面部を流れ落ちてきて、塞止め部に当たった雨水は、延出部によって塞止め部を越えるのを防止される。したがって、塞止め部を従来より低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る屋根構造の一例を示すもので、その要部を示す斜視図である。
【図2】同、破風先端部の拡大斜視図である。
【図3】同、破風の先端部をけらば側から見た斜視図である。
【図4】同、破風の要部の拡大斜視図である。
【図5】同、屋根構造の断面図である。
【図6】同、外壁本体に破風ランナーを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図7】同、屋根本体に破風を取り付ける状態を示す断面図である。
【図8】同、屋根本体に破風を取り付ける方法を示す斜視図である。
【図9】同、屋根本体に破風を取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る屋根構造の要部を示す斜視図、図2は破風先端部の拡大斜視図、図3は、破風の先端部をけらば側から見た斜視図、図4は破風の要部の斜視図、図5は屋根構造の断面図である。
これらの図に示すように、屋根1を構成する屋根本体2のけらば側の端部には破風10が設けられている。屋根1は、複数の屋根パネルを建物躯体上に敷設することによって屋根本体2を構成し、この屋根本体2の上面にルーフィングを挟んで屋根材3を敷設してなるものである。なお、屋根パネルは框材を矩形枠状に組み立て矩形枠を形成するとともに、この矩形枠内に補強桟材を縦横に取り付け、さらに矩形枠の上面に合板等からなる面材を取り付けたものである。
【0020】
図5に示すように、屋根本体2の端部上面には唐草4と捨て水切り5とが設けられており、唐草4は屋根本体2の端部上面に釘6によって固定されている。捨て水切り5は設置板5aと立上り板5bとによって断面略L型に形成されており、設置板5aが屋根本体2の上面に設置され、立上り板5bが唐草4に当接されている。設置板5aの端部は、押え板7によって屋根本体2の上面に押え付けられている。なお、押え板7は釘7aによって屋根本体2の上面に固定されている。また、立上り板5bの上端部には係止部5cが形成されている。
【0021】
また、屋根本体2の端部には、前記破風10が取り付けられている。破風10は断面略コ字型に形成されており、屋根1のけらば側の上面側に配置される上面板(上面部)10aと、この上面板10aの端部に形成され、屋根1のけらば側の端面側に配置される端面板(端面部)10bと、端面板10bの下端に形成された下面板10cとを有している。
端面板10bの上下方向の中央部には、凹溝10dが端面板10bの長手方向(図4において紙面と直交する方向)に沿って形成されており、この凹溝10dからビス11を屋根本体2の端部を構成する框材2aにねじ込むことによって、端面板10bが屋根本体2の端面に固定されている。
また、上面板10aの端部には、下方に向けて折曲された固定板10eが形成されており、この固定板10eの下端部に係合フック10fが形成されている。そして、固定板10eは捨て水切り5の係止部5cに当接され、係合フック10fは、捨て水切り5の係止部5cの先端に係合されている。この状態で、固定板10eから係止部5cに向けてビス12がねじ込まれている。これによって、上面板10aの端部が捨て水切り5の立上り板5bの上端部に固定されている。
また、下面板10cの端部に段差部10gが形成され、この段差部10gの端部に立上り部10hが形成され、この立上り部10hの上端部に当接部10jが形成されている。そして、この当接部10jが屋根本体2の下面に当接固定されている。
さらに、上面板10aと端面板10bとの交差部には、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されている。凸条10kは断面矩形状に形成されている。
【0022】
前記屋根本体2は、外壁本体15によって下方から支持されている。外壁本体15は壁パネルを複数接合することによって構成されている。壁パネルは、框材を矩形枠状に組み立て矩形枠を形成するとともに、この矩形枠内に補強桟材を縦横に取り付け、さらに矩形枠の両面に合板等からなる面材を取り付けたものである。
外壁本体15の上端部には、合板胴縁16が釘17によって固定さており、この合板胴縁16に破風ランナー(中間部品)18がビス19によって固定されている。
破風ランナー18は、固定板18aと、この固定板18aの下端部に形成された下面板18bと、この下面板18bの端部に形成された断面略L型の連結部18cとを有している。そして、この連結部18cに、前記破風10の段差部10gが当接されたうえで、ビス20によって連結されている。これによって、破風ランナー18に破風10が連結されている。
また、破風10の下面板10cの下面と、破風ランナー18の下面板18bの下面とは面一となっている。
【0023】
また、前記合板胴縁16には、バックアップ金物21が固定されている。このバックアップ金物21は固定板21aとこの固定板21aの上端部に形成された凸条21bとから構成されており、この凸条21bは破風ランナー18の下面板18bに当接されている。固定板21aは合板胴縁16に固定されており、固定板18aに外装材22の上端部が当接されている。外装材22は外壁本体15の表面に、図示しない胴縁を介して取り付けられたものであり、この外装材22の上端面は前記凸条21bに当接している。
そして、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面板18bの下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にコーキング材(シーリング材)24が充填されている。これによって、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されている。
【0024】
前記破風10の先端部は、図1〜図3に示すように、屋根1の軒先部より斜め下前方に突出しており、この先端部の上面は前記上面板10aの上面(表面)より一段高くなっている。また、この先端部は先細りするように形成されている。つまり先端部の下面板10mは上面板10aに対して、破風10の先端にいくほど接近するように形成されている。
また、破風10の先端部の上面板10aには、塞止め部30が設けられている。この塞止め部30は前記凸条10kの側部から屋根1側に向けて斜め下方に傾斜するようにして設けられている。
塞止め部30は塞止め面30aを有している。この塞止め面30aは、破風10の後端側に対向して形成された矩形状の平面であり、上面板10aの表面に対して直角に配置されている。また、塞止め面30aは前記凸条10kの側面10sに対して鈍角に配置されており、該側面10sと連続している。
また、前記塞止め部30の上部には、この上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられている。この延出部31は長方形板状に形成されており、その幅は塞止め面30aの長辺と等しくなっている。この延出部31の上面と前記凸条10kの上面とは面一となっている。また、延出部31より先端側の破風10の上面は、延出部31の上面と面一となっている。
このように、破風10の先端部には、塞止め面30a、延出部31、上面板10aとによって断面略コ字型の雨水受部が構成されており、この雨水受部の一方の端部は凸条10kの側面で閉塞され、他方の端部は屋根側に向けて開口している。
【0025】
また、破風10の先端部の側面には、破風先端固定板32が設けられており、この破風先端固定板32は、屋根1の軒先部に設けられた調整桁材33の端部に釘34によって固定されている。この調整桁材33の前面には、図示しない鼻隠しと軒樋が取り付けられている。
なお、上記のような破風10は屋根1のけらばに沿って長尺なものであり、けらばの長さが破風10の長さより長い場合には、複数の破風10を用意しておき、これら破風10が接合されることになる。
隣り合う破風10,10のうちの、一方の破風10の接合端部には、接合部35が形成されており、この接合部35に他方の破風10の接合端部を接合することによって隣り合う破風10,10が接合されることになる。
図1〜図3には、複数の破風10のうち、屋根1の軒先側に位置する破風10を示しているが、他の破風10は、軒先側に位置する破風10と横断面が等しくなっており、先端部は先細りしない形状となっている。
【0026】
次に上記構成の屋根構造を施工する方法について説明する。
まず、図6に示すように、屋根本体2を支持する外壁本体15の上端部に、合板胴縁16をけらばに沿って所定間隔で釘打ちによって固定する。なお、屋根本体2の端部上面には唐草4が取り付けられている。
また、屋根本体2の端部上面に、捨て水切り5の設置板5aを押え板7によって固定するとともに、立上り板5bを唐草4に当接する。
【0027】
次に、合板胴縁16の略上半分に破風ランナー18を取り付ける。この場合、破風ランナー18の固定板18aを合板胴縁16の表面に当接したうえで、ビス19によって取り付ける。なお、けらばの長さが破風ランナー18の長さより長い場合、破風ランナー18を複数用意しておき、隣り合う破風ランナー18,18を破風ランナー継手25によって接続する。
次に、図7に示すように、合板胴縁16の下半分に、バックアップ金物21を取り付ける。この場合、バックアップ金物21の固定板21aを合板胴縁16の表面に当接して固定するとともに、凸条21bを破風ランナー18の下面板18bの下面に当接する。
【0028】
次に、図7および図8に示すように、破風10を屋根本体2の端部に取り付けるとともに、この破風10を前記破風ランナー18に連結する。
この場合、図7に示すように、破風10の係合フック10fを捨て水切り5の係止部5cの先端に係止したうえで、破風10を屋根本体2の先端面に被せるようにして回転させる。そして、図9に示すように、破風10の端面板10bを屋根本体2の先端面と平行に配置するとともに、破風10の段差部10gを破風ランナー18の連結部18cに当接し、さらに、破風10の当接部10jを屋根本体2の下面に当接する。
【0029】
ここで、屋根1の軒先側に位置する破風10においては、図8に示すように、この破風10を捨て水切り5より先端側に突出させた状態で、破風10の係合フック10fを捨て水切り5の係止部5cの先端に係止したうえで、破風10を屋根本体2の先端面に被せるようにして回転させた後、該破風10を後端側にスライドさせる。
そして、破風10の破風先端固定板32を屋根1の軒先の調整桁材33に釘34によって固定した後、捨て水切り先端部材36を前方に引き出して、その周辺部にコーキング材を塗布する(図2参照)。
捨て水切り先端部材36は、前記捨て水切り5の先端部に前後にスライド可能に取り付けられたものであり、その断面形状は捨て水切り5とほぼ等しくなっている。また、捨て水切り先端部材36の先端部には、捨て水切り先端部材36の表面から直角に立上る立上り板36aと、斜め下方に延出する延出板36bとが形成されている。そして、捨て水切り36を前方に引き出す場合、立上り板36aが前記塞止め面30aと隣り合って、連続するようにして引き出す。また、延出板36bは図示しない軒樋に向けて延びている。
【0030】
次に、破風10の凹溝10dからビス11を屋根本体2の框材2aにねじ込むことによって、端面板10bを屋根本体2の端面に固定する。また、破風10の固定板10eから捨て水切り5の係止部5cに向けてビス12をねじ込むことによって、上面板10aの端部を捨て水切り5の立上り板5bの上端部に固定する。さらに、破風ランナー18の連結部18cから破風10の段差部10gにビス20をねじ込むことによって、破風10を破風ランナー18に連結する。
なお、屋根のけらばの長さが破風10の長さより長い場合、複数の破風10を用意し、隣り合う破風10,10を前記接合部35によってコーキング材を使用して水密に接合する。つまり接合部35にコーキング材を塗布したうえで、他方の破風10を上から被せて接合する。
【0031】
次に、図5に示すように、外壁本体15に外装材22をその上端部が破風ランナー18にシーリング材24を介して密着するようにして取り付ける。
この場合、外装材22の上端面をバックアップ金物21の凸条21bに当接し、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面板18bの下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にコーキング材(シーリング材)24を充填する。これによって、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着させる。
【0032】
本実施の形態によれば、破風10の上面板10aと端面板10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面板に、前記凸条10kの側部から屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、破風10の上面板10aを流れ落ちてきて、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
そして、塞止め部30によって塞止められた雨水は、塞止め面30aに沿って斜め下方に流れ、さらに立上り板36aに沿って斜め下方に流れたうえで、延出板36bに沿って軒樋に向けて流れ落ちる。したがって、破風10の上面に降った雨水を屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
また、破風10の上面板10aと端面板10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されているので、破風10の上面板10aを流れ落ちる雨水が端面板10b側に流れ落ちるのを防止できる。
【0033】
また、塞止め部30には、塞止め面30aが破風10の後端側に対向して形成されており、この塞止め面30aは、凸条10kの側面と連続しているので、破風10の上面板10aを流れ落ちる雨水が凸条10kの側面に沿って流れ、さらに塞止め面30aに沿って斜め下方に流れて屋根側に流れ落ちるので、破風10の上面に降った雨水を確実に屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
さらに、凸条10kの上面と延出部31の上面とが面一であるので、けらば側から屋根を見たときに、延出部31や塞止め部30が見えず、秀麗な仕上がりとなる。
加えて、破風10の先端部に、破風先端固定板32が設けられており、この破風先端固定板32が屋根1の軒先部の調整桁材33に固定されているので、破風10の先端部を確実に固定できる。
【0034】
また、外壁本体15の上端部に取り付けられた合板胴縁16に破風ランナー18が取り付けられており、この破風ランナー18に破風10が連結されており、同破風ランナー18に、外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されているので、外壁本体15の上端部に合板胴縁16を介して破風ランナー18を取り付けておき、この破風ランナー18に破風10を連結し、一方、破風ランナー18に外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着することができるので、破風10の取付けと、外装材22の施工とを別々に行うことができる。
また、破風ランナー18の下面と破風10の下面とが面一であるので、破風ランナー18と破風10とを下から見上げた場合に、段差のない秀麗な仕上がりとなる。
さらに、破風ランナー18の下面が破風10の下面と面一になっているので、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着させる場合に、シーリング材24を破風ランナー18の下面と外装材22の上面との間に容易に充填できる。
【0035】
さらに、バックアップ金物21の凸条21bが外装材22の上端面と破風ランナー18の下面との間に介在するようにして設けられているので、外装材22の上端面がバックアップ金物21の凸条21bに当接されており、これによって、外装材22の上端の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にシーリング材24が充填されているので、シーリング材24を外装材の上端面と中間部品の下面との間に確実に充填できる。
【符号の説明】
【0036】
1 屋根
10 破風
10a 上面板(上面部)
10b 端面板(端面部)
10k 凸条
10s 側面
15 外壁本体
18 破風ランナー(中間部品)
22 外装材
24 コーキング材(シーリング材)
30 塞止め部
30a 塞止め面
31 延出部
32 破風先端固定板
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この屋根構造は、屋根のけらば側の端部にけらば水切(破風)が設けられており、この破風の上面の下部に、破風の上面を流れ落ちる水滴を屋根上面側に送るためのせき止め片を固定したものである。
このような屋根構造によれば、破風の上面に降る雨は、破風の上面を伝って流れ落ち、せき止め片のところにやってくるが、せき止め片は破風の上面を流れ落ちる雨水を屋根上面側に送るように形成されているので、かかる雨水は軒樋に回収される。したがって、雨水が破風の軒側の端部を伝って地面に落ちることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−42088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の屋根構造では、破風の上面を流れ落ちてきた雨水がせき止め片の上端を越えないように、確実にせき止めて屋根上面側に送るために、せき止め片を比較的高く形成する必要がある。せき止め片が高くなればなるほど、屋根の外観意匠性を損なうのは勿論のこと、屋根工事や屋根補修等の際にせき止め片が損傷するおそれもある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、破風の上面を流れ落ちる雨水を塞き止める塞止め部を従来より低くすることができる屋根構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、屋根1のけらば側の端部に破風10が設けられた屋根構造において、
前記破風10は、前記屋根1のけらば側の上面側に配置される上面部10aと、この上面部10aの端部に形成され、前記屋根1のけらば側の端面側に配置される端面部10bとを備えており、
前記上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、
前記破風10の先端部の前記上面部10aに、前記凸条10kの側部から前記屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、
この塞止め部30の上部にこの上部から前記破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、破風10の上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面部10aに、前記凸条10kの側部から前記屋根1側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から前記破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、破風10の上面部10aを流れ落ちてきて、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
また、破風10の上面部10aと端面部10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されているので、破風10の上面部10aを流れ落ちる雨水が端面部10b側に流れ落ちるのを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根構造において、
前記塞止め部30には、塞止め面30aが前記破風10の後端側に対向して形成されており、この塞止め面30aは、前記凸条10kの側面10sと連続していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、破風10の上面部10aを流れ落ちる雨水が凸条10kの側面10sに沿って流れ、さらに塞止め面30aに沿って斜め下方に流れて屋根1側に流れ落ちるので、破風10の上面に降った雨水を確実に屋根1の上面側または屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記凸条10kの上面と前記延出部31の上面とが面一であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、凸条10kの上面と前記延出部31の上面とが面一であるので、けらば側から屋根1を見たときに、延出部31や塞止め部30が見えず、秀麗な仕上がりとなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記破風10の先端部に、破風先端固定板32が設けられており、
この破風先端固定板32が前記屋根1の軒先部に固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、破風先端固定板32が屋根1の軒先部に固定されているので、破風10の先端部を確実に固定できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記屋根1を支持する外壁本体15に、中間部品(破風ランナー18)18が取り付けられており、
この中間部品(破風ランナー18)18に前記破風10が連結されており、
前記中間部品(破風ランナー18)18に、前記外壁本体15に取り付けられた外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、シーリング材24としては、形状があらかじめ定まっている定型シーリング材や、形状があらかじめ定まっていないペースト状の油性のコーキング材が使用される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、外壁本体の上端部に中間部品(破風ランナー18)を取り付けておき、この中間部品(破風ランナー18)に破風10を連結し、一方、前記中間部品(破風ランナー18)に外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着することができるので、破風10の取付けと、外装材22の施工とを別々に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、破風の上面部と端面部との交差部に、上方に突出する凸条がけらばに沿って形成されており、破風の先端部の上面部に、前記凸条の側部から前記屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部が設けられこの塞止め部の上部にこの上部から前記破風の後端側に向けて延出する延出部が設けられているので、破風の上面部を流れ落ちてきて、塞止め部に当たった雨水は、延出部によって塞止め部を越えるのを防止される。したがって、塞止め部を従来より低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る屋根構造の一例を示すもので、その要部を示す斜視図である。
【図2】同、破風先端部の拡大斜視図である。
【図3】同、破風の先端部をけらば側から見た斜視図である。
【図4】同、破風の要部の拡大斜視図である。
【図5】同、屋根構造の断面図である。
【図6】同、外壁本体に破風ランナーを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図7】同、屋根本体に破風を取り付ける状態を示す断面図である。
【図8】同、屋根本体に破風を取り付ける方法を示す斜視図である。
【図9】同、屋根本体に破風を取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る屋根構造の要部を示す斜視図、図2は破風先端部の拡大斜視図、図3は、破風の先端部をけらば側から見た斜視図、図4は破風の要部の斜視図、図5は屋根構造の断面図である。
これらの図に示すように、屋根1を構成する屋根本体2のけらば側の端部には破風10が設けられている。屋根1は、複数の屋根パネルを建物躯体上に敷設することによって屋根本体2を構成し、この屋根本体2の上面にルーフィングを挟んで屋根材3を敷設してなるものである。なお、屋根パネルは框材を矩形枠状に組み立て矩形枠を形成するとともに、この矩形枠内に補強桟材を縦横に取り付け、さらに矩形枠の上面に合板等からなる面材を取り付けたものである。
【0020】
図5に示すように、屋根本体2の端部上面には唐草4と捨て水切り5とが設けられており、唐草4は屋根本体2の端部上面に釘6によって固定されている。捨て水切り5は設置板5aと立上り板5bとによって断面略L型に形成されており、設置板5aが屋根本体2の上面に設置され、立上り板5bが唐草4に当接されている。設置板5aの端部は、押え板7によって屋根本体2の上面に押え付けられている。なお、押え板7は釘7aによって屋根本体2の上面に固定されている。また、立上り板5bの上端部には係止部5cが形成されている。
【0021】
また、屋根本体2の端部には、前記破風10が取り付けられている。破風10は断面略コ字型に形成されており、屋根1のけらば側の上面側に配置される上面板(上面部)10aと、この上面板10aの端部に形成され、屋根1のけらば側の端面側に配置される端面板(端面部)10bと、端面板10bの下端に形成された下面板10cとを有している。
端面板10bの上下方向の中央部には、凹溝10dが端面板10bの長手方向(図4において紙面と直交する方向)に沿って形成されており、この凹溝10dからビス11を屋根本体2の端部を構成する框材2aにねじ込むことによって、端面板10bが屋根本体2の端面に固定されている。
また、上面板10aの端部には、下方に向けて折曲された固定板10eが形成されており、この固定板10eの下端部に係合フック10fが形成されている。そして、固定板10eは捨て水切り5の係止部5cに当接され、係合フック10fは、捨て水切り5の係止部5cの先端に係合されている。この状態で、固定板10eから係止部5cに向けてビス12がねじ込まれている。これによって、上面板10aの端部が捨て水切り5の立上り板5bの上端部に固定されている。
また、下面板10cの端部に段差部10gが形成され、この段差部10gの端部に立上り部10hが形成され、この立上り部10hの上端部に当接部10jが形成されている。そして、この当接部10jが屋根本体2の下面に当接固定されている。
さらに、上面板10aと端面板10bとの交差部には、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されている。凸条10kは断面矩形状に形成されている。
【0022】
前記屋根本体2は、外壁本体15によって下方から支持されている。外壁本体15は壁パネルを複数接合することによって構成されている。壁パネルは、框材を矩形枠状に組み立て矩形枠を形成するとともに、この矩形枠内に補強桟材を縦横に取り付け、さらに矩形枠の両面に合板等からなる面材を取り付けたものである。
外壁本体15の上端部には、合板胴縁16が釘17によって固定さており、この合板胴縁16に破風ランナー(中間部品)18がビス19によって固定されている。
破風ランナー18は、固定板18aと、この固定板18aの下端部に形成された下面板18bと、この下面板18bの端部に形成された断面略L型の連結部18cとを有している。そして、この連結部18cに、前記破風10の段差部10gが当接されたうえで、ビス20によって連結されている。これによって、破風ランナー18に破風10が連結されている。
また、破風10の下面板10cの下面と、破風ランナー18の下面板18bの下面とは面一となっている。
【0023】
また、前記合板胴縁16には、バックアップ金物21が固定されている。このバックアップ金物21は固定板21aとこの固定板21aの上端部に形成された凸条21bとから構成されており、この凸条21bは破風ランナー18の下面板18bに当接されている。固定板21aは合板胴縁16に固定されており、固定板18aに外装材22の上端部が当接されている。外装材22は外壁本体15の表面に、図示しない胴縁を介して取り付けられたものであり、この外装材22の上端面は前記凸条21bに当接している。
そして、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面板18bの下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にコーキング材(シーリング材)24が充填されている。これによって、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されている。
【0024】
前記破風10の先端部は、図1〜図3に示すように、屋根1の軒先部より斜め下前方に突出しており、この先端部の上面は前記上面板10aの上面(表面)より一段高くなっている。また、この先端部は先細りするように形成されている。つまり先端部の下面板10mは上面板10aに対して、破風10の先端にいくほど接近するように形成されている。
また、破風10の先端部の上面板10aには、塞止め部30が設けられている。この塞止め部30は前記凸条10kの側部から屋根1側に向けて斜め下方に傾斜するようにして設けられている。
塞止め部30は塞止め面30aを有している。この塞止め面30aは、破風10の後端側に対向して形成された矩形状の平面であり、上面板10aの表面に対して直角に配置されている。また、塞止め面30aは前記凸条10kの側面10sに対して鈍角に配置されており、該側面10sと連続している。
また、前記塞止め部30の上部には、この上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられている。この延出部31は長方形板状に形成されており、その幅は塞止め面30aの長辺と等しくなっている。この延出部31の上面と前記凸条10kの上面とは面一となっている。また、延出部31より先端側の破風10の上面は、延出部31の上面と面一となっている。
このように、破風10の先端部には、塞止め面30a、延出部31、上面板10aとによって断面略コ字型の雨水受部が構成されており、この雨水受部の一方の端部は凸条10kの側面で閉塞され、他方の端部は屋根側に向けて開口している。
【0025】
また、破風10の先端部の側面には、破風先端固定板32が設けられており、この破風先端固定板32は、屋根1の軒先部に設けられた調整桁材33の端部に釘34によって固定されている。この調整桁材33の前面には、図示しない鼻隠しと軒樋が取り付けられている。
なお、上記のような破風10は屋根1のけらばに沿って長尺なものであり、けらばの長さが破風10の長さより長い場合には、複数の破風10を用意しておき、これら破風10が接合されることになる。
隣り合う破風10,10のうちの、一方の破風10の接合端部には、接合部35が形成されており、この接合部35に他方の破風10の接合端部を接合することによって隣り合う破風10,10が接合されることになる。
図1〜図3には、複数の破風10のうち、屋根1の軒先側に位置する破風10を示しているが、他の破風10は、軒先側に位置する破風10と横断面が等しくなっており、先端部は先細りしない形状となっている。
【0026】
次に上記構成の屋根構造を施工する方法について説明する。
まず、図6に示すように、屋根本体2を支持する外壁本体15の上端部に、合板胴縁16をけらばに沿って所定間隔で釘打ちによって固定する。なお、屋根本体2の端部上面には唐草4が取り付けられている。
また、屋根本体2の端部上面に、捨て水切り5の設置板5aを押え板7によって固定するとともに、立上り板5bを唐草4に当接する。
【0027】
次に、合板胴縁16の略上半分に破風ランナー18を取り付ける。この場合、破風ランナー18の固定板18aを合板胴縁16の表面に当接したうえで、ビス19によって取り付ける。なお、けらばの長さが破風ランナー18の長さより長い場合、破風ランナー18を複数用意しておき、隣り合う破風ランナー18,18を破風ランナー継手25によって接続する。
次に、図7に示すように、合板胴縁16の下半分に、バックアップ金物21を取り付ける。この場合、バックアップ金物21の固定板21aを合板胴縁16の表面に当接して固定するとともに、凸条21bを破風ランナー18の下面板18bの下面に当接する。
【0028】
次に、図7および図8に示すように、破風10を屋根本体2の端部に取り付けるとともに、この破風10を前記破風ランナー18に連結する。
この場合、図7に示すように、破風10の係合フック10fを捨て水切り5の係止部5cの先端に係止したうえで、破風10を屋根本体2の先端面に被せるようにして回転させる。そして、図9に示すように、破風10の端面板10bを屋根本体2の先端面と平行に配置するとともに、破風10の段差部10gを破風ランナー18の連結部18cに当接し、さらに、破風10の当接部10jを屋根本体2の下面に当接する。
【0029】
ここで、屋根1の軒先側に位置する破風10においては、図8に示すように、この破風10を捨て水切り5より先端側に突出させた状態で、破風10の係合フック10fを捨て水切り5の係止部5cの先端に係止したうえで、破風10を屋根本体2の先端面に被せるようにして回転させた後、該破風10を後端側にスライドさせる。
そして、破風10の破風先端固定板32を屋根1の軒先の調整桁材33に釘34によって固定した後、捨て水切り先端部材36を前方に引き出して、その周辺部にコーキング材を塗布する(図2参照)。
捨て水切り先端部材36は、前記捨て水切り5の先端部に前後にスライド可能に取り付けられたものであり、その断面形状は捨て水切り5とほぼ等しくなっている。また、捨て水切り先端部材36の先端部には、捨て水切り先端部材36の表面から直角に立上る立上り板36aと、斜め下方に延出する延出板36bとが形成されている。そして、捨て水切り36を前方に引き出す場合、立上り板36aが前記塞止め面30aと隣り合って、連続するようにして引き出す。また、延出板36bは図示しない軒樋に向けて延びている。
【0030】
次に、破風10の凹溝10dからビス11を屋根本体2の框材2aにねじ込むことによって、端面板10bを屋根本体2の端面に固定する。また、破風10の固定板10eから捨て水切り5の係止部5cに向けてビス12をねじ込むことによって、上面板10aの端部を捨て水切り5の立上り板5bの上端部に固定する。さらに、破風ランナー18の連結部18cから破風10の段差部10gにビス20をねじ込むことによって、破風10を破風ランナー18に連結する。
なお、屋根のけらばの長さが破風10の長さより長い場合、複数の破風10を用意し、隣り合う破風10,10を前記接合部35によってコーキング材を使用して水密に接合する。つまり接合部35にコーキング材を塗布したうえで、他方の破風10を上から被せて接合する。
【0031】
次に、図5に示すように、外壁本体15に外装材22をその上端部が破風ランナー18にシーリング材24を介して密着するようにして取り付ける。
この場合、外装材22の上端面をバックアップ金物21の凸条21bに当接し、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面板18bの下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にコーキング材(シーリング材)24を充填する。これによって、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着させる。
【0032】
本実施の形態によれば、破風10の上面板10aと端面板10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されており、破風10の先端部の上面板に、前記凸条10kの側部から屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部30が設けられ、この塞止め部30の上部にこの上部から破風10の後端側に向けて延出する延出部31が設けられているので、破風10の上面板10aを流れ落ちてきて、塞止め部30に当たった雨水は、延出部31によって塞止め部30を越えるのを防止される。したがって、塞止め部30を従来より低くすることができる。
そして、塞止め部30によって塞止められた雨水は、塞止め面30aに沿って斜め下方に流れ、さらに立上り板36aに沿って斜め下方に流れたうえで、延出板36bに沿って軒樋に向けて流れ落ちる。したがって、破風10の上面に降った雨水を屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
また、破風10の上面板10aと端面板10bとの交差部に、上方に突出する凸条10kがけらばに沿って形成されているので、破風10の上面板10aを流れ落ちる雨水が端面板10b側に流れ落ちるのを防止できる。
【0033】
また、塞止め部30には、塞止め面30aが破風10の後端側に対向して形成されており、この塞止め面30aは、凸条10kの側面と連続しているので、破風10の上面板10aを流れ落ちる雨水が凸条10kの側面に沿って流れ、さらに塞止め面30aに沿って斜め下方に流れて屋根側に流れ落ちるので、破風10の上面に降った雨水を確実に屋根の軒先に設けられた軒樋に導くことができる。
さらに、凸条10kの上面と延出部31の上面とが面一であるので、けらば側から屋根を見たときに、延出部31や塞止め部30が見えず、秀麗な仕上がりとなる。
加えて、破風10の先端部に、破風先端固定板32が設けられており、この破風先端固定板32が屋根1の軒先部の調整桁材33に固定されているので、破風10の先端部を確実に固定できる。
【0034】
また、外壁本体15の上端部に取り付けられた合板胴縁16に破風ランナー18が取り付けられており、この破風ランナー18に破風10が連結されており、同破風ランナー18に、外装材22の上端部がシーリング材24を介して密着されているので、外壁本体15の上端部に合板胴縁16を介して破風ランナー18を取り付けておき、この破風ランナー18に破風10を連結し、一方、破風ランナー18に外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着することができるので、破風10の取付けと、外装材22の施工とを別々に行うことができる。
また、破風ランナー18の下面と破風10の下面とが面一であるので、破風ランナー18と破風10とを下から見上げた場合に、段差のない秀麗な仕上がりとなる。
さらに、破風ランナー18の下面が破風10の下面と面一になっているので、破風ランナー18の下面に、外装材22の上端部をシーリング材24を介して密着させる場合に、シーリング材24を破風ランナー18の下面と外装材22の上面との間に容易に充填できる。
【0035】
さらに、バックアップ金物21の凸条21bが外装材22の上端面と破風ランナー18の下面との間に介在するようにして設けられているので、外装材22の上端面がバックアップ金物21の凸条21bに当接されており、これによって、外装材22の上端の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、外装材22の上端面と破風ランナー18の下面とバックアップ金物21の凸条21bの表面とで形成された凹溝23にシーリング材24が充填されているので、シーリング材24を外装材の上端面と中間部品の下面との間に確実に充填できる。
【符号の説明】
【0036】
1 屋根
10 破風
10a 上面板(上面部)
10b 端面板(端面部)
10k 凸条
10s 側面
15 外壁本体
18 破風ランナー(中間部品)
22 外装材
24 コーキング材(シーリング材)
30 塞止め部
30a 塞止め面
31 延出部
32 破風先端固定板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造において、
前記破風は、前記屋根のけらば側の上面側に配置される上面部と、この上面部の端部に形成され、前記屋根のけらば側の端面側に配置される端面部とを備えており、
前記上面部と端面部との交差部に、上方に突出する凸条がけらばに沿って形成されており、
前記破風の先端部の前記上面部に、前記凸条の側部から前記屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部が設けられ、
この塞止め部の上部にこの上部から前記破風の後端側に向けて延出する延出部が設けられていることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根構造において、
前記塞止め部には、塞止め面が前記破風の後端側に対向して形成されており、この塞止め面は、前記凸条の側面と連続していることを特徴とする屋根構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記凸条の上面と前記延出部の上面とが面一であることを特徴とする屋根構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記破風の先端部に、破風先端固定板が設けられており、
この破風先端固定板が前記屋根の軒先部に固定されていることを特徴とする屋根構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記屋根を支持する外壁本体に、中間部品が取り付けられており、
この中間部品に前記破風が連結されており、
前記中間部品に、前記外壁本体に取り付けられた外装材の上端部がシーリング材を介して密着されていることを特徴とする屋根構造。
【請求項1】
屋根のけらば側の端部に破風が設けられた屋根構造において、
前記破風は、前記屋根のけらば側の上面側に配置される上面部と、この上面部の端部に形成され、前記屋根のけらば側の端面側に配置される端面部とを備えており、
前記上面部と端面部との交差部に、上方に突出する凸条がけらばに沿って形成されており、
前記破風の先端部の前記上面部に、前記凸条の側部から前記屋根側に向けて斜め下方に傾斜する塞止め部が設けられ、
この塞止め部の上部にこの上部から前記破風の後端側に向けて延出する延出部が設けられていることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根構造において、
前記塞止め部には、塞止め面が前記破風の後端側に対向して形成されており、この塞止め面は、前記凸条の側面と連続していることを特徴とする屋根構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屋根構造において、
前記凸条の上面と前記延出部の上面とが面一であることを特徴とする屋根構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記破風の先端部に、破風先端固定板が設けられており、
この破風先端固定板が前記屋根の軒先部に固定されていることを特徴とする屋根構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋根構造において、
前記屋根を支持する外壁本体に、中間部品が取り付けられており、
この中間部品に前記破風が連結されており、
前記中間部品に、前記外壁本体に取り付けられた外装材の上端部がシーリング材を介して密着されていることを特徴とする屋根構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−159596(P2010−159596A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3428(P2009−3428)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
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