説明

巻取り体

【課題】超平滑表面を有するフィルムを巻き取った巻取り体であって、巻き始めの段差に起因するピンプル状欠点が抑制され、また同時にしわが抑制された、巻き外観が良好な巻取り体を提供すること。
【解決手段】巻芯本体1と、該巻芯本体の表面に設けられた被覆層2とを有する巻取り芯、及び該巻取り芯に巻き付けられたフィルム4を有し、該被覆層の表面硬度が45度以上、60度未満であって、該フィルムの中心線平均表面粗さRaが20nm以下である巻取り体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯本体と該巻芯本体の表面に設けられた被覆層とを有する巻取り芯に巻き付けられたフィルムを有する巻取り体に関する。さらに詳しくは、巻き始めにおけるフィルム端などの段差に起因する欠点およびしわの発生が抑制された巻取り体に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムの巻取りに用いる巻芯としては、紙管、金属管、FRP管などが使用されており、その巻芯にフィルムを巻き付けるには、フィルム先端を巻芯表面に、例えば両面テープを用いて接着して固定する方法、あるいは、フィルム先端領域を巻芯外周に複数回手で巻き付けて固定する方法等が採られている。ところで、これらの方法でフィルムを巻芯に巻き付けると、フィルムの巻き始めの領域には、フィルム端や両面テープの厚み分の段差に起因するしわ、折り目などの段差跡が発生する。特に、フィルムの巻取りの際、たけのこ状(巻取りフィルム幅方向へフィルムが円錐状にずれること)になるのを防止するため、巻取りテンションを高くした場合には、段差跡が顕著に生じる。巻き取ったフィルムが、光学用フィルム、例えばディスプレイ用の反射防止フィルム、防眩フィルム、電磁波カットフィルム等のわずかな欠陥も許されない用途のものである場合には、巻き始めの段差跡を生じている領域は、不良品として除去せざるを得ず、このため、製品歩留りの低下の原因となっている。
【0003】
そこで、巻き始めのフィルムに段差跡が残るのを防止するため、外周面に発泡樹脂シートを巻き付けた巻芯(特許文献1)、外周面を圧縮応力0.01〜0.1kgf/cmの発泡樹脂製のクッション材で被覆した巻芯(特許文献2)、外周面をゴム硬度60〜75度のゴムで被覆した巻芯(特許文献3)などが提案されている。
しかしながら、外周面に発泡樹脂系のシートやクッション材を巻き付けた巻芯では、被覆層を構成する発泡体の表面にフィルムの先端を固定して巻き付けて行く際、フィルムのテンションが強いと、そのフィルムで押された発泡体自体がゆがんでしわが発生し、そのしわがフィルムの巻き付けにつれて移動し、フィルムを1周巻き付けた際に発泡体のしわがフィルム先端を固定した位置に押し付けられるようにしてその位置に残り、その上に巻かれるフィルムに転移して欠陥となるという問題があった。また、巻芯外周面に発泡樹脂系のシートやクッション材を巻き付けているため、つなぎ目が発生し、そのつなぎ目の段差跡がフィルムに残るという問題もあった。一方、特許文献3のごとく硬いゴムを被覆した巻芯では、フィルム端や両面テープの厚み分の段差を吸収しきれず、依然としてかなりの長さ部分に段差跡が生じるという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決すべく、巻芯本体に被覆層を備え、該被覆層を、ヤング率が1kPa〜2,000kPaのゲルで形成する技術が報告されている(特許文献4)。
ところで、例えばタッチパネル等の支持体として用いられるような光学フィルムは、必要強度を得るために、一般的に50〜250μm程度の厚みを有するフィルムが多く用いられているが、優れた透明性が要求されるため、通常内部添加粒子を最小限にする、もしくは添加粒子を全く用いずに、超平滑表面を有するフィルムである場合が多く、このような超平滑表面を有するフィルムにおいては、上記特許文献4に報告されているごとく、非常に柔らかい被覆層を用いる技術では、巻取り時の微妙な張力バラツキによりしわが発生してしまう場合があり、未だしわの抑制効果が不十分であり、近年の要求を達成できないことが新たに分かった。また、これらの先行技術では、巻き始めの段差に起因するピンプル状欠点(突起状盛り上がり)が依然として完全には解消していないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−53249号公報
【特許文献2】特開平9−142739号公報
【特許文献3】実公平7−39912号公報
【特許文献4】特開2005−96927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、超平滑表面を有するフィルムを巻き取った巻取り体であって、巻き始めの段差に起因するピンプル状欠点(突起状盛り上がり)が抑制され、また同時にしわが抑制された、巻き外観が良好な巻取り体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用するものである。
(1)巻芯本体と、該巻芯本体の表面に設けられた被覆層とを有する巻取り芯、及び該巻取り芯に巻き付けられたフィルムを有し、該被覆層の表面硬度が45度以上、60度未満であって、該フィルムの中心線平均表面粗さRaが20nm以下である巻取り体。
(2)被覆層が段差を有し、かつその段差高さが25〜300μmである、(1)に記載の巻取り体。
(3)被覆層が合成高分子ゴムからなり、かつ被覆層の厚さが0.5〜5mmである、(1)または(2)に記載の巻取り体。
(4)フィルムが粒子を実質的に含有しないポリエステルフィルムである、(1)〜(3)いずれかに記載の巻取り体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超平滑な表面を有するフィルムを巻き取った巻取り体であって、巻き始めの段差に起因するピンプル状欠点が抑制され、また同時にしわが抑制された、巻き外観が良好な巻取り体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る巻取り芯を示す概略斜視図、(b)はその概略断面図、(c)は巻取り芯にフィルムが巻きつけられた巻取り体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。図1(a)は本発明の好適な実施形態に係る巻取り芯を示す概略斜視図、図1(b)はその概略断面図である。図1(c)は、巻取り芯にフィルムが巻きつけられた巻取り体の概略断面図である。巻取り芯は、巻芯本体1とその巻芯本体1外周面の、少なくともフィルム4を巻き取るフィルム巻取り領域に形成された被覆層2を備えている。巻芯本体1はフィルム4を巻取り且つ保持するのに必要な強度、剛性を備えたものであればその材質は任意であり、具体的には、FRP管、ABS等の樹脂管、金属管、紙管、などが使用される。被覆層2は、巻取り芯に巻き付けるフィルムのフィルム端による段差やフィルム接着用の両面テープによる段差を吸収するために設けるもので、表面硬度45度以上、60度未満の弾性体で形成されている。
さらに、フィルムカット面の段差を吸収する効果をさらに高めるため、被覆層2にフィルムカット面の形状に合わせた段差3を設けるとさらに好ましい。
以下、本発明の巻取り体を構成する各構成成分について、さらに詳細に説明する。
【0011】
<巻取り芯>
本発明における巻取り芯は、上記の巻芯本体1の表面に特定の硬度を有する被覆層2を設けたものである。
【0012】
[被覆層]
(表面硬度)
本発明における被覆層2は、その表面硬度が45度以上、60度未満である。被覆層2の表面硬度が上記数値範囲にあると、巻き形状に優れる。また、例えば光学用フィルムとして用いることができるような高平滑フィルムは、重力等の影響により、経時によりロール内部で巻きズレが発生し、フィルム表面に微細なキズが発生してしまう問題を生じるが、かかる問題を抑制することができる。表面硬度は、小さいほどフィルム端による段差やフィルム接着用の両面テープによる段差を吸収する効果が大きくなるが、低すぎる場合は巻き芯しわになる傾向にある。また、上記のごとくフィルム表面キズが発生しやすくなる傾向にある。さらに、弾性体の入手が困難であったり、被覆層2が剥がれたり傷ついたりしやすくなり、取り扱いが困難となる問題もある。かかる観点から、被覆層2の表面硬度は、好ましくは48度以上である。他方、表面硬度が高すぎる場合は、フィルム端に起因する段差欠点が発生しやすくなる傾向にあり、それに起因するピンプル状欠点が発生しやすくなる。かかる観点から、被覆層2の表面硬度は、好ましくは56度以下、さらに好ましくは52度以下である。
このような表面硬度とするためには、被覆層の材質や厚みを適宜調整すれば良く、例えばこれらを後述する態様とすればよい。
【0013】
(材質)
本発明における被覆層2に用いる弾性体は、上記表面硬度の数値範囲を満足するものであれば特にその材質は限定されないが、調達しやすく、加工しやすいという観点から、合成高分子ゴムが好ましい。かかる合成高分子ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられるが、とりわけアクリルニトリルブタジエンゴムがコスト的にも有利であり好ましい。また、被覆層を形成する弾性体として、粘着質のもの(粘着質合成高分子ゴム)、たとえば、ブチルゴムを用いることも好ましく、これによって、ピンプル状欠点の発生をより高度に抑制することができる。また、被覆層の外周面にフィルムを巻き付ける際に、フィルム先端を両面テープで固定することなく、巻き付けることが可能となり、巻芯に対するフィルム4巻き付け作業を簡易とすることができる。
【0014】
(厚み)
被覆層2の厚さは、薄くなると段差の吸収効果が小さくなり、一方厚くなるとコストアップすると共に傷つき易くなるので、0.5〜5mm程度に選定することが好ましく、更には、1〜3mm程度に選定することが一層好ましい。
【0015】
(段差)
本発明における被覆層2には、図1(c)に具示されているように、段差3を設けることが好ましい。段差3は、フィルムカット面の形状に合わせるために設けられるものであり、その高さは巻き取るフィルムの厚み相当が適当であり、好ましくは25〜300μm、さらには50〜250μm程度が望ましい。
【0016】
<巻取り体>
本発明の巻取り体は、図1(b)に具示されるように、巻芯本体1と、該巻芯本体の表面に設けられた被覆層2とを有する巻取り芯にフィルム4が巻き付けられたものである。
【0017】
[フィルム]
(表面粗さ)
本発明におけるフィルム4の中心線平均表面粗さRaは、20nm以下である。ここで、中心線平均表面粗さは、後記するように、JIS B 0601−2001に準じて測定された値である。このような中心線平均表面粗さが上記数値範囲にあるフィルムを、上述した巻取り芯に巻き付けて巻取り体を作成すると、巻き形状に優れた巻取り体が得られる。表面粗さが大きすぎる場合は巻きズレとなる傾向にある。このような観点から、表面粗さは、好ましくは15nm以下である。
このような表面粗さとするためには、フィルムに添加する粒子やフィルム厚み、フィルムに設けられてもよいコーティング層に添加する粒子やコーティング層厚み、製膜条件(延伸倍率、延伸温度、熱固定温度)等を適宜調整すれば良い。
【0018】
(材質)
本発明におけるフィルム4としては、それを構成する樹脂は特に限定されないが、例えば光学用途などに用いる場合は、機械的特性、耐熱性、ハンドリング性などの観点から、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリエステルフィルムなどが挙げられ、汎用性の面からポリエステルフィルムが好ましい。
【0019】
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを例示することができる。ポリエステルは、これらの共重合体またはこれと少割合の他樹脂とのブレンド物であってもよい。これらのポリエステルのうち、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので好ましい。
ポリエステルフィルムは、剛性が高いためしわが発生しやすい。そのため、本発明の巻取り体とすることは、かかるしわの問題を抑制するのに効果的である
【0020】
(粒子)
本発明におけるフィルムには、必要に応じて適当な粒子を含有させてもよいが、透明性を良好にする観点から、フィルム中の粒子は少ない方がよく、粒子を実質的に含有しない(フィルムの質量に対して10ppm以下、好ましくは5ppm以下)ことが好ましい。粒子を用いる場合、粒子としては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものを用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子を挙げることができる。
【0021】
(厚み)
本発明におけるフィルムの厚みは、光学用フィルム、例えばハードコート、タッチパネル、防眩処理等の支持体として使用する場合に必要な強度を得るために25〜300μmであることが好ましく、特に50〜250μmであることが好ましい。
【0022】
(コーティング層)
本発明においては、フィルムの滑り性、接着性等を向上させる目的において、高分子樹脂及び微粒子からなるコーティング層を、片面もしくは両面に有することが好ましい。なお、かかるコーティング層における微粒子の態様は、フィルムの表面粗さが前述した範囲となるように調整すればよい。
【0023】
<巻取り芯の製造方法>
本発明においては、巻芯本体1に被覆層2を設けて巻取り芯を作成する方法は特に限定はされないが、例えば以下のような方法を例示することができる。
巻取り芯の製造は、押出機を用いて芯棒(巻芯本体)の外周に加硫剤または架橋剤を含む未加硫のゴムを押出被覆させた成形物、あるいはカレンダーロール機を用いて芯棒の外周にシート状の未加硫ゴムを巻き付けてなる成形物を加熱加硫または架橋する方法によって行うことができる。
【0024】
<巻取り体の製造方法>
本発明における巻取り体は、以上のようにして得られる巻取り芯を用い、シート状のフィルムを延伸して二軸延伸フィルムを製膜する製膜工程に含まれる連続巻取り装置(1つの連続巻取り装置に2つの巻取りリーラーA、Bを有し、交互に切替え動作を行なうことで連続巻取り可能な装置)でフィルムが巻き取られる巻取り体である。また、製膜工程において、一旦その巻き取られたフィルムを巻き返し、必要サイズにスリット、二次加工等を行なうスリッター工程における巻取り装置で巻き取られる巻取り体でもよい。
例えば、連続巻取り装置においては、既に巻取りが開始されている巻取りリーラー側(仮にリーラーAとする)の巻取り芯に巻き付けられたフィルムが所定の長さになるとフィルムカット装置が幅方向(横方向)に作動し、巻取りが完了する。それと同時に、フィルム搬送速度に合わられたリーラーB側の巻取り芯(巻取り芯には、事前にフィルム粘着用の両面テープが貼り付けられることが一般的)へフィルムが巻き取られて、巻取りリーラーの切替え動作が完了する。切替え動作後は、巻取り芯は速度制御から張力制御へ切り替わり、所定の巻き外観を得ることが出来る。
巻取り芯にフィルムを巻きつかせるためには、フィルム接着用の両面テープを使用することが一般的であり、フィルム端による段差に加えて、両面テープ等による段差もピンプル状欠点の原因となりうる為、被覆層にブチルゴムのような粘着質のものを用いることも効果的となる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例における測定項目は次のようにして測定したものである。
(1)表面硬度
JISスプリング式(デュロメータ)硬さ試験機 タイプAを使用し、ゴム表面に計器を加圧面に押し付けて軽く接触させ、硬度を測定した(JIS K6253)。
(2)フィルムの表面粗さ
二次元表面粗さ測定器(メーカー:小坂研究所、タイプ:サーフコーダSE−30D)使用し、中心線平均表面粗さRaを求めた(JIS B 0601−2001)。
(3)ピンプル状欠点
ピンプル状欠点(突起状盛り上がり)の判定方法として、巻取り中にピンプル状欠点の有無を目視観察して判定した。
○:ピンプル状欠点なし
×:ピンプル状欠点あり。
(4)しわ
しわの判定方法として、巻取り中のフィルムロール上において、しわの発生の有無を目視観察して判定した。
○:しわなし
×:しわあり
(5)経時表面キズ
経時表面キズの判定方法は、巻取り直後、および23℃、50%RHの環境下、巻取り後48時間経過した製品ロールを、株式会社アヤハエンジニアリング製アイリス+(光源LED)を用いて、透過モードで検出されたキズ状欠点のうち、長さ0.5mm以上のものをカウントし、1平方メートル当りの個数に換算して、下記式にて求めた。
経時表面キズの個数=(経時ロールの欠点個数)−(巻取り直後の欠点個数)
○:経時表面キズの個数が5.0個/m未満
×:経時表面キズの個数が5.0個/m以上
【0026】
[実施例1〜2、比較例1〜3]
以下、本発明の巻取り芯を実際に製膜装置の巻取り機用巻取り芯に適用した実施例を説明する。二軸延伸ポリエステルフィルム製膜設備の巻取り機用巻取り芯に図1に示した構造の巻取り芯を適用した。
ここで、巻芯本体の材質、被覆層の材質、硬度、厚み、被覆層の段差、フィルムの、材質、中心線平均表面粗さ、粒子有無、厚みなどについては、表1に示すとおりである。
また、巻取り条件は以下のとおりである。
フィルム幅:2.5m
巻き長さ:200m
巻取り速度:25m/分
張力:50kg/m(一定)
巻き芯からのピンプル状欠点、しわの有無、さらに表面キズを目視観察して判定した結果を表1に示す。表1に示すとおり、本発明により、超平滑表面を有するフィルムを巻き取った巻取り体であって、巻き始めの段差に起因するピンプル状欠点が抑制され、また同時にしわが抑制され、表面キズもなく、巻き外観が良好な巻取り体を得ることができた。































【0027】
【表1】

【0028】
(*1)NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム
(*2)PET:ポリエチレンテレフタレート
(*3)フィルムのコーティング層は、フィルム両面にポリエステル系樹脂90重量%、平均粒経40nmのシリカ粒子5重量%、ノニオン系界面活性剤5重量%からなるコーティング層を0.06μmの厚み(ドライ)で設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のポリエステルフィルムなどのフィルムが巻き取られた巻取り体は、最内層のフィルムに生じがちな欠陥を大幅に抑制して、製品歩留りを向上させることができ、フィルム製品の高品質化やコストダウンを図ることができるので、光学用フィルム、例えばディスプレイ用の反射防止フィルム、防眩フィルム、電磁波カットフィルム、導電フィルム用基材などの高価で且つわずかな欠陥も許されないフィルム用途に有用である。
【符号の説明】
【0030】
1:巻芯本体
2:被覆層
3:段差
4:フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯本体と、該巻芯本体の表面に設けられた被覆層とを有する巻取り芯、及び該巻取り芯に巻き付けられたフィルムを有し、該被覆層の表面硬度が45度以上、60度未満であって、該フィルムの中心線平均表面粗さRaが20nm以下である巻取り体。
【請求項2】
被覆層が段差を有し、かつその段差高さが25〜300μmである、請求項1に記載の巻取り体。
【請求項3】
被覆層が合成高分子ゴムからなり、かつ被覆層の厚さが0.5〜5mmである、請求項1または2記載の巻取り体。
【請求項4】
フィルムが粒子を実質的に含有しないポリエステルフィルムである、請求項1〜3いずれかに記載の巻取り体。

【図1】
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