説明

布表面の膨出部に対する刺繍模様の刺繍方法及び刺繍物

【課題】布押さえの下死点位置を、アップリケの表面における凹凸面の夫々の高さに対応する高さ寸法でもって刺繍を施すことができる刺繍方法及び刺繍物を提供する。
【解決手段】刺繍模様を刺繍するに際し布表面の一部に表れる膨出部に対しても刺繍を施す場合には、刺繍データに基づいて刺繍枠を移動させ、針板の針落位置の上位置に布に配置された膨出部の一部が来たときミシン動作を停止し、高さ位置合わせ工程を施して布押え部の高さを定め、さらに、高さデータ変更工程を施し、引続き刺繍データに基づいて刺繍枠を一針毎に移動させ、その都度高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程を繰り返し、膨出部上面における刺繍予定位置の夫々の高さデータを膨出部の上面高さに対応する高さデータに夫々変更し、上記変更された刺繍データに基づき刺繍模様を刺繍する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布表面の一部に表れる膨出部に対しても刺繍を施す場合において、布表面の膨出部に対する刺繍模様が該膨出部の表面のなだらかな曲面を害すること少なく、曲面に添う状態で刺繍出来るようにした刺繍方法及び刺繍物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の刺繍方法について図1を用いて説明する。
図1は本願発明の実施例を示すものであるが、この図において符号1〜49を付した構成は、従来から知られた構成である(例えば特開2004−24843公報参照)。よって図1を用いて従来例を説明する。
図1は、例えば多頭刺繍ミシンにおける1頭のミシン1の要部を示す。このミシン1は、加工布53を受ける平板状(又は筒状)のベッド2の針板2aと、該針板における針落孔2bの上方でミシンヘッド本体8に上下動自在に装着され下端に針4が止着された針棒3を備える。更に主軸5の回動に応じて針棒3を上下動させる針棒昇降機構6と、針4による刺繍加工の際に加工布53の浮き上がりを防止するための布押え装置7とを備える。
【0003】
針棒3及び針棒昇降機構6は、この種のミシンにおいて周知の構成のうちの一例を示すものである。この針棒3は、その上端に被動子9が取り付けられている。被動子9は、針棒昇降機構6からの駆動力を受けるためのもので、針棒昇降機構6との連繋用の嵌合部10を有している。
【0004】
針棒昇降機構6は、この種のミシンにおいて公知の構成のうちの一例を示すものであり、ミシンヘッド本体8により針棒3と平行に支持された案内杆12と、嵌合部10と嵌合して被動子9に駆動力を及ぼすための駆動子13aを備え案内杆12に上下動自在に装着された昇降部材としての駆動用昇降体13と、該昇降体13を上下動させるための昇降体駆動機構(図示略)とを備えている。
【0005】
布押え装置7は、上下動自在に支持された布押え基部23と、該布押え基部23の上下動に連動して上下動するように構成された布押え体24とを備えている。布押え基部23は、例えば針棒3の上下動と平行な上下動ができるよう案内杆12に上下動自在に装着しており、後述する伝動機構29を介して主軸5の回転運動が往復上下運動に変換されて伝動されるようになっている。
布押え体24は、針棒3のすぐ前方においてミシンヘッド横動体8aに上下動自在に支持された布押え支持棒25と、該布押え支持棒25の下端に取り付けられた布押え部26と、該布押え支持棒25の中央部に止着された結合金具27とを備えている。布押え部26の上部の針棒挿通穴26aには針棒3の下部が相対的に上下動可能に挿通し、布押え部26の下部の貫通孔26bには針4が挿通し得るようになっている。被動子9と結合金具27との間には弾発力の強い第一スプリング28aが介装されており、駆動子13aを下降させれば、第一スプリング28a及び結合金具27を介して布押え支持棒25も下降するようになっている。また、結合金具27とミシンヘッド横動体8aとの間には弾発力の弱い第二スプリング28bが介装されている。布押え基部23と布押え体24とは、布押え基部23と布押え体24とが一体的に上下動するように堅く連結しても良いが、この例では布押え部26が加工布53を針板2a上面に過度に強く押し付けてその加工布53を傷めたりすることを防止するために、布押え基部23に針棒3のすぐ後方に延びる布押え受け23aを設けるとともに、該布押え受け23aに上側から当接する当接片27aを結合金具27に設けることにより、布押え基部23によって布押え体24の下降を規制しつつ、上昇を規制しないようにしている。
【0006】
伝動機構29は、針棒昇降機構6とは独立した機構として構成しても良いが、この例では構造を簡素化するために、針棒昇降機構6における前記昇降体駆動機構を利用し、それと関節連動杆30と、該関節連動杆30の動きを案内する案内機構35とで構成している。前記昇降体駆動機構と関節連動杆30とは力の伝達順に連ねてあって、関節連動杆30は伝動機構29中に介設された構造となっている。関節連動杆30は、布押え体24の上下動のストロークを針棒3のストロークよりも小さくするための機構であり、中間部に屈曲自在の関節33を備えている。例えば上下二つのリンク31,32を相互に枢着して構成し、その枢着部が屈曲自在の関節33となっている。関節連動杆30は、一端30aが主軸5の回動に伴って上下動する部材、例えば駆動用昇降体13に枢着され、他端30bが布押え基部23に枢着されている。
【0007】
案内機構35は、関節33の動きを案内するように構成されており、布押え体24の上下動のストロークを針棒3のストロークよりも小さくすると共に、上下動の速度を布押え部26が針板2a上面に近接する近辺において緩やかにするためのものである。この案内機構35は、案内条37を備える案内カム36と、案内条37に沿って移動する案内子39とからなる。案内条37及び案内子39は、前者によって後者の移動軌跡を案内するようにしたもので、本例では案内条37を溝状に形成し、案内子39がその溝に嵌まった状態で該溝に沿って移動するようにしているが、案内条37を凸形状の筋状に形成し、案内子39がそれに沿って移動するようにしたものであっても良い。案内条37は、布押え体24の上下動の速度を布押え部26が針板2a上面に近接する近辺において緩やかにするために、図に示すようにその下部ほど、駆動用昇降体13に対する関節連動杆30の上部30aの枢着点と布押え基部23に対する下部30bの枢着点とを結ぶ仮想的ラインから遠ざかるように傾斜させている。関節連動杆30の関節33と案内機構35の案内子39とは、案内子39が案内条37に沿って動くことにより、関節連動杆30が屈曲してその一端30aと他端30bとの間隔が伸縮するように連結している。例えば案内子39を、リンク31とリンク32とを枢着するピンに止着することにより、案内子39が案内条37に沿って動くと関節33が前記仮想的ラインに対して遠近移動して関節33が屈曲し間隔L1が伸縮するようにしている(この点については特許文献1によっても知られている)。
【0008】
案内カム36は、上下スライド可能にミシンヘッド本体8に支持され、図1(A)に示す薄布操作位置Pd1から図1(B)に示す厚布操作位置Pd2までの間で上下位置を手動又は制御手段42によってスライド調節可能に構成されている。本例では、案内カム36に上下に延びるスライド案内条40を形成するとともに、該スライド案内条40に嵌合する上下一対のスライド案内子41をミシンヘッド本体8に設けることにより、案内カム36を上下スライド可能にミシンヘッド本体8に支持している。スライド案内条40及びスライド案内子41は、前者によって後者の相対移動軌跡を案内するようにしたもので、本例ではスライド案内条40を溝状に形成し、スライド案内子41がその溝に嵌まった状態で該溝に沿って相対移動するようにしているが、スライド案内条40を凸形状の筋状に形成し、スライド案内子41がそれに沿って移動するようにしたものであっても良い。薄布操作位置Pd1とは、一端30aの下降位置Pbに対し、他端30bを布押え部26の薄布用浮上阻止位置P1と対応する薄布用下降位置Pc1(図1(A)の位置参照)にもたらすための位置である。厚布操作位置Pd2とは、一端30aの下降位置Pbに対し、他端30bを布押え部26の厚布用浮上阻止位置P2と対応する厚布用下降位置Pc2(図1(B)の位置参照)にもたらすための位置である。布押え部26の薄布用浮上阻止位置P1とは、図1(A)に示すように、縫製可能な最も薄い加工布53の上面に近接する位置まで布押え部26が下降してその布の浮き上がりの阻止が可能となる布押え部26の下降位置PLを示し、例えば針板2a上面から布押え部26の下面までの距離Lが0.5mm程度の位置である。布押え部26の厚布用浮上阻止位置P2とは、図1(B)に示すように、縫製可能な最も厚い加工布53の上面に近接する位置まで布押え部26が下降してその布の浮き上がりの阻止が可能となる布押え部26の下降位置PLを示し、例えば針板2a上面から布押え部26の下面までの距離Lが3.0mm程度の位置である。
【0009】
制御手段42は、中間部がピン43でミシンヘッド本体8に枢支されたレバー44を備えている。レバー44の一端側には、ピン46で案内カム36に枢支された矩形ブロック45がレバー44の長さ方向へ相対スライド可能に嵌合され、他端側には、位置決部材47がレバー44の長さ方向へ相対スライド可能に嵌合されている。位置決部材47としては、ミシンヘッド本体8に枢支された軸体48に取り付けられた偏心カムを例示する(図1(B)参照)。位置決部材47は、それを変位させるための手段に連結されており、例えば、手動での軸体48の回動操作を可能にするための操作部49を例示する。該変位のための手段は、軸体48を設定位置まで回動させるパルスモータであっても良く、こうすればミシン1の刺繍データに基づいて刺繍加工中や色替え時に自動的に案内カム36を位置替えさせるように構成することもできる。また、制御手段42としては、案内カム36に設けた上下に延びるラックと、該ラックに噛合し、該ラックを上下に移動させるピニオンとにより構成することもできる。
【0010】
操作部49は、軸体48の半径方向に延びるように該軸体48に取り付けられた操作レバー49aと、該操作レバー49aの先端部に取り付けられて軸体48と平行に延びるハンドルと、該操作レバー49aの長さ方向中間部に取り付けられた指示プレートと、該指示プレートの移動経路に沿って円弧状に湾曲形成された目盛り板49bと、該目盛り板49bを操作レバー49a側方でミシンフレームに支持する支持板部49cと、操作レバー49aを所望の回転角度で支持板部49cに固定するための固定手段とを備えている。目盛りは、例えば針板2a上面から布押え部26の下面までの距離で目盛られている。(例えば、特許文献1参照)
【0011】
【特許文献1】特開2004−24843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般にアップリケの表面は複雑な凹凸面を有している。
従って、表面に複雑な凹凸面を有しているアップリケの表面に刺繍を施す場合において、布押えにおける布押え部の高さ位置を目分量で設定した場合には、アップリケ表面の凸部は抑え込まれた状態で刺繍され、アップリケ表面の凹部はぶかぶかの状態で刺繍され、商品価値を低下する問題点があった。
さりとて、従来の刺繍方法では、上記アップリケの複雑な凹凸面に対応して布押さえの高さを複雑に高低変化させ、本来ふくよか(緩やか)なカーブの凹凸面を備えるアップリケの表面に対応する曲面の刺繍を施すことには困難があった。
【0013】
本件出願の目的は、布表面に対して刺繍をする場合、また、布表面の一部に表れる膨出部に対しても連続的にあるいは個別に刺繍を施す場合においても、刺繍データに基づいて針と布押え部と刺繍枠とを関連動作させて布に対して刺繍を施すことができる刺繍方法及び刺繍物を提供しようとするものである。
他の目的は、布押さえの下死点位置を、アップリケの表面における凹凸面の夫々の高さに対応する高さ寸法でもって刺繍を施すことができる刺繍方法及び刺繍物を提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明における布表面の膨出部に対する刺繍模様の刺繍方法は、上下動自在の針4と、布押え部26を上記針の上下の動作と関連を持って上下動させる布押え機構24とを備え、上記の布押え機構24には、布押えの下死点位置の高さを調節できるようにしてある布押え調節手段42を備えさせ、さらに、針板2aの上においてV、H方向に移動可能にした刺繍枠51と、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を縫製する為の刺繍データEを有する制御手段60を備え、上記刺繍データEに基づいて針4と布押え部26と刺繍枠51とを関連動作させて、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を刺繍するようにした刺繍方法において、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を刺繍するに際し、上記布表面の一部に表れる膨出部55に対しても刺繍を施す場合には、刺繍データEに基づいて刺繍枠51を移動させ、針板2aの針落位置2bの上位置に布53に配置された膨出部55の一部が来たとき、上記刺繍データEに基づいてのミシン動作を停止し、そこでは、布押え部26の下死点高さを任意の手段で針落位置2b上の膨出部上面の高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、上記ミシン停止位置における針数位置Snでの布押え部26の高さLを定め、さらに、上記針数位置Snの布押え部26の高さ寸法に対応する高さデータHaにより、上記刺繍データEにおける現針数位置Snに対応する一針データNnのファンクションデータFにある高さデータHを変更する高さデータ変更工程を施し、引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程を繰り返し、上記膨出部上面における刺繍予定位置Snの夫々の高さデータHを膨出部55の上面高さに対応する高さデータに夫々変更し、上記変更された刺繍データEaに基づき刺繍模様を刺繍するようにしたものである。
【0015】
また、本発明における布表面の膨出部に対する刺繍模様54の刺繍物56は、上下動自在の針4と、布押え部26を上記針の上下の動作と関連を持って上下動させる布押え機構24とを備え、上記の布押え機構24には、布押えの下死点位置の高さを調節できるようにしてある布押え調節手段42を備えさせ、さらに、針板2aの上においてV、H方向に移動可能にした刺繍枠51と、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を縫製する為の刺繍データEを有する制御手段60を備え、上記刺繍データEに基づいて針4と布押え部26と刺繍枠51とを関連動作させて、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54の刺繍物56において、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を刺繍するに際し、上記布表面の一部に表れる膨出部55に対しても刺繍を施す場合には、 刺繍データEに基づいて刺繍枠51を移動させ、針板2aの針落位置2bの上位置に布53に配置された膨出部55の一部が来たとき、上記刺繍データEに基づいてのミシン動作を停止し、そこでは、布押え部26の下死点高さを任意の手段で針落位置2b上の膨出部上面の高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、上記ミシン停止位置における針数位置Snでの布押え部26の高さLを定め、さらに、上記針数位置Snの布押え部26の高さ寸法に対応する高さデータHaにより、上記刺繍データEにおける現針数位置Snに対応する一針データNnのファンクションデータFにある高さデータHを変更する高さデータ変更工程を施し、引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程を繰り返し、上記膨出部上面における刺繍予定位置Snの夫々の高さデータHを膨出部55の上面高さに対応する高さデータに夫々変更し、上記変更された刺繍データEaに基づき布表面の一部に表れる膨出部に刺繍模様が施されているものであればよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本願発明は、刺繍データEに基づいて針4と布押え部26と刺繍枠51とを関連動作させて、上記刺繍枠51に伸展した布53に対して刺繍模様54を刺繍するものであるから、布表面に対して刺繍をする場合は勿論のこと、布表面の一部に表れる膨出部に対しても連続的にあるいは個別に刺繍を施す場合、刺繍データに基づいて針と布押え部と刺繍枠とを関連動作させて布に対して刺繍を施すことができる。
【0017】
更に本願発明にあっては、予め刺繍データEにおける布押さえの下死点位置を、アップリケの表面における凹凸面の夫々の高さに対応する高さ寸法に設定するものであるから、アップリケ表面のような複雑な凹凸面に対応して布押さえの高さを複雑に高低変化させ、本来ふくよか(緩やか)なカーブの凹凸面を備えるアップリケの表面に対応する曲面の刺繍を施すことのできる画期的効果もある。
【0018】
さらに本願発明にあっては、アップリケ表面のような複雑な凹凸面に対応させて夫々の布押さえ高さを設定するものであっても、高さ設定の精度は、布押え部の下死点高さを針落位置上の膨出部上面の高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、その位置における針数位置の布押え部の高さ寸法に対応する高さデータHaを、縫製時においては用いるものであるから、その高さ精度はすこぶる鋭く、
アップリケ表面の複雑な凹凸面に対応して布押さえの高さを複雑に高低変化させ、ふくよか(緩やか)なカーブの凹凸面に美しい刺繍を施すことができる画期的効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本願発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、図1乃至図8の説明に当り、前述の背景技術において説明した図1の符号1〜49を用いた刺繍ミシン1に係る構成、部材等の機能、性質、特徴等は、以下の説明に於て加える新規な部材構成、組合せ等の説明に係わる事項を除き、前述した図1の説明に用いた符号と同じ符号を用いた構成、部材等の機能、性質、特徴等と同旨である。よって、重複する説明は一部省略する。
【0020】
1a(図1参照)は、周知のベッド2の下方に設けられた刺繍ミシン1の運転の開始・停止を操作する為の運転棒の存在を示す。
次に、図5によく示される55は、刺繍枠51に伸展した布53に配置された膨出部を示し、例えば、アップリケを示す。アップリケ55の表面55aは、なだらかな曲面に構成されている。
なお、膨出部55としてアップリケを例示したが、膨出部55としては、刺繍場所によって布地の薄い部分と厚い部分とが混在する刺繍模様の内の厚い部分、例えば、刺繍模様を立体的に形成する為に布53上に配置される嵩高材(例えばウレタン樹脂)部分や、布が複数枚重ねられている部分等であってもよい。
【0021】
次に、制御装置60について説明する(図2参照)。制御装置60は刺繍ミシン1の動作を制御する為のもので、周知のようにCPU60a、各種のプログラムを記憶しているROM60b、情報の一時的記憶を実行するRAM60cを備えている。RAM60cは、テープリーダ61又はディスクドライブ62から読込まれる刺繍データE(後述する)を更新可能に記憶するようにしてある。
制御装置60には、周知のように、テープリーダ61、ディスクドライブ62、操作手段63、運転棒1a等の入出力装置が夫々インターフェース(図示略)を介して接続されている。さらに、周知のように、ディスプレー64、主軸5を回動させる為の主軸モータ65、刺繍枠51をXY方向に作動させる為の枠移動用アクチュエータ66、刺繍加工に用いる針4の選択を行う為の色替用アクチュエータ67、針棒3が上下駆動されないように針棒昇降機構6における駆動子13aと嵌合部10との嵌合を解除する為のジャンプソレノイド68、軸体48を設定位置まで回動させるパルスモータ70、刺繍データをテープに記録する為のテープパンチャ69等の出力装置が、夫々インターフェース(図示略)を介して接続されている。
制御装置60は、刺繍データEに基づいて、上記主軸モータ65、枠移動用アクチュエータ66、色替用アクチュエータ67、ジャンプソレノイド68、パルスモータ70等を作動させる為の制御信号を作成し、その制御信号を所定タイミングで出力して駆動制御するようにしてある。
【0022】
パルスモータ70は、刺繍ミシン1における軸体48を回動させ、制御手段42を介して案内カム36の上下位置をスライド調節可能にしてある。その調節範囲は、布押え部26の下死点位置として、針板2aからの布押え部26の高さLが0.3〜3.0mm程度(必要に応じて0.3mm〜10mmでもよい)に調整できるようにしてある。
【0023】
次に、上記ディスプレー64は、制御装置60の操作内容、動作状態等を表示する為のもので、周知の表示装置、例えば液晶ディスプレー又はCRTから構成されている。ディスプレー64の表示としては、例えば図2に示されるように、刺繍模様に対応した針数位置S51、S52、S53・・・・・等がグラフィック表示されるようにしてある。さらに、現在の針数位置(針板2aの針落位置2bの上位置にある針数位置)が表示されるようにしてある。例えば針数位置S52 の位置で刺繍ミシン1の動作が停止したときには、針数位置S52の位置にトンボマーク64aが自動的に付され、この位置が停止位置として自動的に針数と共に表示されるようにしてある。
さらに、このときの針数位置における現在の布押え部26の下死点位置の編集画面部64bが表示されるようにしてある。編集画面部64bに表示される布押え部26の下死点位置は、パルスモータ70により回動される軸体48の回転角度に対応して表示されるようにされており、例えば図2に示されるように布押え部26の高さ寸法がmm単位で表示されるようにしてある。
【0024】
次に、上記操作手段63は、広く知られているようにカーソルキー、テンキー等の各種の操作スイッチが配設された操作盤で構成されており、使用者が制御装置60に対して入力する為のものである。例えば、操作手段63は、ディスプレー64に図2に示されるようなグラフィック表示されている状態において、トンボマーク64aを任意の針数位置に移動操作させる機能を備えている。トンボマーク64aが任意の針数位置に移動すると、制御装置60により刺繍枠51が駆動制御されてトンボマーク64aが表示されている針数位置が針落ち位置2bに移動するようにしてある。
【0025】
Eは刺繍模様を構成する刺繍データを示し、任意の記録媒体(例えば、紙テープ、磁気テープ、FD、フラッシュメモリ等)に記録されている。刺繍データEは、図3に示されるように、一針分の刺繍情報である一針データN(N1,N2,N3・・・・Nn)が刺繍加工順に配列されて構成されている。
一針データNは、刺繍枠51のX軸方向の移動量を示すHデータXと、刺繍枠51のY軸方向の移動量を示すVデータYと、運針上の制御信号となるファンクションデータFとから構成されている。
ファンクションデータFは、ジャンプ縫いか否かを示すジャンプデータと、刺繍加工する針を示す針棒番号データと、刺繍加工に用いる刺繍ヘッドを示すヘッド選択データと、布押え部26の下死点位置の高さを示す高さデータHとを備える。
高さデータHには、針板2aからの布押え部26の高さを示すコードPが格納されている。コードPnとしては、例えば、P0(0.3mm)、P1(0.5mm)、P2(0.6mm)、P3(0.7mm)、P4(0.8mm)、P5(0.9mm)、P6(1.0mm)、P7(1.5mm)、P8(2.0mm)、P9(2.5mm)、P10(3.0mm)に設定するとよい。
なお、高さデータHは、通常では標準の高さP0(0.3mm)が格納されている。
【0026】
以上のように構成された刺繍ミシン1による刺繍作業を図6に示されるフローチャートを参照しながら説明する。
まず、刺繍ミシン1における刺繍枠51に布53をセットする(ステップ100)。引き続き、図4に示されるように、布53の所定位置にアップリケ55を配置する(ステップ110)。
次に、ディスクドライブ62から刺繍データEを制御装置60に読み込み、RAM60cに格納する(ステップ120)。
【0027】
作業者が運転棒1aをONにすると、制御装置60により刺繍ミシン1の運転が開始される。
まず、制御装置60は、刺繍データEにおける一針データNの内、一つの一針データN1を読み出す。
次に、一針データNにおけるHデータX、VデータY、ファンクションデータFを解析して、主軸モータ65、枠移動用アクチュエータ66、色替用アクチュエータ67、ジャンプソレノイド68、パルスモータ70への制御データを作成し、夫々出力する。それにより、Hデータ及びVデータに格納された位置に刺繍枠51が移動され、主軸5により駆動される針棒3が上下駆動され、その針棒3の動きと連動して布押え装置7も上下駆動される。布53に縫目が形成される。
引き続き制御装置60は、刺繍データEの各一針データN2,N3・・・について刺繍加工順に次々と刺繍加工を繰り返し、刺繍データEに基づいて刺繍枠51が移動させていく(ステップ130)。
【0028】
針板2aの針落位置2bの上位置に布53に配置された膨出部55の一部が来たとき、例えば針数位置S52に来たとき、運転棒1aをOFF操作して、上記刺繍データEに基づいてのミシン1の動作を停止する(ステップ140)。
なお、所望の針数位置を越えて刺繍枠51が移動してしまった場合や、刺繍枠51を停止させるタイミングが早すぎた場合は、ディスプレー64に表示されたトンボマーク64aを操作手段63により操作して、所望の針数位置に刺繍枠51を移動させればよい。
【0029】
次に、布押え部26の下死点高さを任意の手段で針落位置2b上の膨出部上面55aの高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、ミシン停止位置における針数位置S52での布押え部26の高さLを定める(ステップ150)。この高さ位置合わせ工程を詳しく説明する。
まず、ミシン1の主軸5を手動又はスロー運転で廻し、布押え部26を下降させる。その下降位置は、図5(A)に示されるように、布押さえ部26の下面が、針数位置S52における膨出部55の表面55a高さに対応するような位置まで下降させる。その場合、布押え部26と膨出部55との状態を目視したり、さわってみたりすることにより、実際の押え状態を確認しながら行うとよい。
このように高さ位置合わせ工程を施すことにより、布押え部26の距離L52が決まる。
【0030】
次に、高さデータ変更工程を施し、図7に示されるように、刺繍データEにおける現針数位置S52に対応する一針データN52の高さデータH52を、上述の高さ位置合わせ工程(ステップ150)により定まった布押え部26の距離L52の高さ寸法に対応する高さデータH52aに変更する。(ステップ160)。高さデータ変更工程について以下詳しく説明する。
まず、パルスモータ70を回動させ、制御手段42を介して案内カム36をスライド調節して布押え受け23aを移動させる(図1参照)。布押え受け23aが布押え装置7における結合金具27の当接片27aに当接したところで、パルスモータ70の回動を停止させる。ディスプレー64における編集画面部64bには、現在の布押えの高さ位置として、軸体48の回動角度に対応した値、例えば「P2(0.6mm)」と表示される。
次に、操作手段63を操作して編集画面部64bの高さデータを確定する。制御装置60は、一針データN52の高さデータH52(P0)を高さデータH52a(P2)に変更して、一針データN52を更新する。
なお、編集画面部64bの高さデータを変更確定する作業にあっては、必要に応じて高さデータのコードPや高さ寸法を操作手段63から直接入力するようにしてもよい。
【0031】
引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針分移動(針数位置S53に移動)させ、膨出部55における針数位置が終了か否か判断する(ステップ170)。その針数位置S53が膨出部55である場合は、上述したステップ140〜ステップ160の工程を繰り返し、針数位置S53に対応する一針データN53の高さデータH53を、針数位置S53における膨出部上面55aの高さL53に対応する高さデータH53aに変更する(図7参照)。
引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程(ステップ140〜ステップ160)を繰り返し、膨出部上面55aにおける刺繍予定位置夫々の一針データNの高さデータHnを膨出部55の上面高さに対応する高さデータHnaに夫々変更する。
【0032】
上記のように膨出部上面55aの刺繍予定位置全てにおける高さデータが変更され、刺繍データEaができる。この変更された刺繍データEaに基づき、刺繍模様を刺繍する(ステップ180)。
このように、膨出部の上面55aに対応させて変更された刺繍データEaに基づいて刺繍するので、図5(B)に示されるように、アップリケ表面55aの複雑な凹凸面に対応して、ふくよか(緩やか)なカーブの凹凸面に美しい刺繍を施すことができる。
【0033】
なお、針落位置2bに膨出部55が来るまでの刺繍枠51を移動させる場合において、通常の刺繍加工処理と同様に実際に刺繍していってもよいが、上糸及び下糸をセットせず、空運転させて、刺繍枠51を移動させてもよい。
さらに、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程において、膨出部55の高さが均一の場合、一つの針数位置について、ステップ140〜ステップ160の工程を施し、残りの針数位置については、ステップ140〜ステップ160の工程を省略して電子的に高さデータHを高さデータHaに変更して刺繍データEaを作成するようにしてもよい。
【0034】
高さデータ変更工程(ステップ160)における軸体48を回動させる手段については、上述したようにパルスモータ70により電気的に変更するようにしてもよいが、以下のように手動操作で高さ位置変更工程を施してもよい。
まず、ミシン1の操作部49の固定手段による固定を解除して、操作レバー49aを回動し、上述したと同様に布押え受け23aを移動させる。このときの操作レバー49aの操作は、目盛り板49bの目盛りを参照するとともに、布押え受け23aと当接片27aとの当接状態を確認しながら行うとよい。
布押え部26の距離Lが決まったら、固定手段により操作レバー49aの位置を固定する。
【0035】
次に、図3の刺繍データEとは一針データにおけるデータ構成の点において異なる例を示す図8、図9について説明する。
なお、図8、図9において前述の図1〜図7のものと機能、性質又は特徴等が同一又は均等構成と考えられる部分には、前述の図1〜図7と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図8(A)において、64bfはディスプレー64における編集画面部を示し、現在の針数位置における布押え部26の動作状態及び下死点位置の高さデータが表示されるようにしてある。
次に、刺繍データEの構成について説明する。図8(B)に示されるように、ファンクションデータFは、ジャンプ縫いか否かを示すジャンプデータと、刺繍加工する針を示す針棒番号データと、刺繍加工に用いる刺繍ヘッドを示すヘッド選択データと、布押え部26の動作を標準の高さで動作させるか、または高さを変更して動作させるかを示す布押え部の動作データPと、布押え部26の下死点位置の高さを示す高さデータHとを備える。
布押え動作データPには、布押え部26の動作を示すコードPが格納されている。コードPとしては、例えば、P1(布押え動作ON)、P0(布押え動作OFF:標準の高さ、例えば0.3mm)に設定するとよい。なお、通常は、布押え動作データPには、P0が格納されている。
次に、高さデータHには、針板2aからの布押え部26の高さを示すコードTが格納されている。コードTとしては、例えば、T1(0.5mm)、T2(0.6mm)、T3(0.7mm)、T4(0.8mm)、T5(0.9mm)、T6(1.0mm)、T7(1.5mm)、T8(2.0mm)、T9(2.5mm)、T10(3.0mm)に設定するとよい。
【0036】
以上のように構成された刺繍ミシン1による刺繍作業を図6に示されるフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ100〜ステップ150の工程については、上述したと同様に行なう。
次に、高さデータ変更工程を施し(ステップ160)、図9に示されるように、刺繍データEにおける現針数位置S52に対応する一針データN52の内の、布押え部26の動作を示すコードPを、布押え動作ONにするコードP1に変更する。さらに、高さデータH52を、上述の高さ位置合わせ工程(ステップ150)により定まった布押え部26の距離L52の高さ寸法に対応する高さデータH52aに変更する。高さデータ変更工程については、上述したと同様に行なえばよい。
【0037】
引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針分移動(針数位置S53に移動)させ、膨出部55における針数位置が終了か否か判断する(ステップ170)。その針数位置S53が膨出部55である場合は、上述したステップ140〜ステップ160の工程を繰り返し、針数位置S53に対応する一針データN53の内の、布押え部26の動作を示すコードPを、布押え動作ONにするコードP1に変更する。さらに、高さデータH53を、針数位置S53における膨出部上面55aの高さL53に対応する高さデータH53aに変更する(図9参照)。
引き続き刺繍データEに基づいて刺繍枠51を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程(ステップ140〜ステップ160)を繰り返し、膨出部上面55aにおける刺繍予定位置夫々の一針データNの内の、布押え部26の動作を示すコードPを、布押え動作ONにするコードP1に変更する。さらに高さデータHnを膨出部55の上面高さに対応する高さデータHnaに夫々変更する。
上記のように膨出部上面55aの刺繍予定位置全てにおける高さデータが変更され、刺繍データEaができる。この変更された刺繍データEaに基づき、刺繍模様を刺繍する(ステップ180)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】刺繍ミシンを説明する為の概略図で、(A)は薄い布地を縫製する場合の布押え装置が下死点位置にある状態を示す図、(B)は厚い布地を縫製する場合の布押え装置が下死点位置にある状態の図。
【図2】制御装置を説明するためのブロック図。
【図3】刺繍データの構成を説明する為の図。
【図4】刺繍枠と布と膨出部との関係を説明する為の平面図。
【図5】(A)は図4におけるV-V線断面図、(B)は刺繍後の膨出部の状態を示す概略図。
【図6】刺繍加工処理を説明するためのフローチャート。
【図7】刺繍データにおける高さデータ変更工程を説明する為の概略図。
【図8】図3に示される刺繍データとは異なる例を説明するための図。
【図9】図3に示される刺繍データとは異なる例の刺繍加工処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
1・・・ミシン、2・・・ベッド、2a・・・針板、7・・・布押え装置、13・・・駆動用昇降体、23・・・布押え基部、26・・・布押え部、29・・・伝動機構、30・・・関節連動杆、33・・・関節、36・・・案内カム、42・・・制御手段、60・・・制御装置、61・・・テープリーダ、62・・・ディスクドライブ、63・・・操作手段、64・・・ディスプレー、65・・・主軸モータ、66・・・枠移動用アクチュエータ、67・・・色替用アクチュエータ、68・・・ジャンプソレノイド、69・・・テープパンチャ、70・・・パルスモータ、E・・・刺繍データ、N・・・一針データ、F・・・ファンクションデータ、H・・・高さデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動自在の針と、布押え部を上記針の上下の動作と関連を持って上下動させる布押え機構とを備え、上記の布押え機構には、布押えの下死点位置の高さを調節できるようにしてある布押え調節手段を備えさせ、
さらに、針板の上においてV、H方向に移動可能にした刺繍枠と、上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様を縫製する為の刺繍データを有する制御手段を備え、
上記刺繍データに基づいて針と布押え部と刺繍枠とを関連動作させて、上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様を刺繍するようにした刺繍方法において、
上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様を刺繍するに際し、上記布表面の一部に表れる膨出部に対しても刺繍を施す場合には、刺繍データに基づいて刺繍枠を移動させ、針板の針落位置の上位置に布に配置された膨出部の一部が来たとき、上記刺繍データに基づいてのミシン動作を停止し、
そこでは、布押え部の下死点高さを任意の手段で針落位置上の膨出部上面の高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、上記ミシン停止位置における針数位置での布押え部の高さを定め、
さらに、上記針数位置の布押え部の高さ寸法に対応する高さデータにより、上記刺繍データにおける現針数位置に対応する一針データのファンクションデータにある高さデータを変更する高さデータ変更工程を施し、
引き続き刺繍データに基づいて刺繍枠を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程を繰り返し、上記膨出部上面における刺繍予定位置の夫々の高さデータを膨出部の上面高さに対応する高さデータに夫々変更し、
上記変更された刺繍データに基づき刺繍模様を刺繍することを特徴とする布表面の膨出部に対する刺繍模様の刺繍方法。
【請求項2】
上下動自在の針と、布押え部を上記針の上下の動作と関連を持って上下動させる布押え機構とを備え、上記の布押え機構には、布押えの下死点位置の高さを調節できるようにしてある布押え調節手段を備えさせ、
さらに、針板の上においてV、H方向に移動可能にした刺繍枠と、上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様を縫製する為の刺繍データを有する制御手段を備え、
上記刺繍データに基づいて針と布押え部と刺繍枠とを関連動作させて、上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様が施されている刺繍物において、
上記刺繍枠に伸展した布に対して刺繍模様を刺繍するに際し、上記布表面の一部に表れる膨出部に対しても刺繍を施す場合には、刺繍データに基づいて刺繍枠を移動させ、針板の針落位置の上位置に布に配置された膨出部の一部が来たとき、上記刺繍データに基づいてのミシン動作を停止し、
そこでは、布押え部の下死点高さを任意の手段で針落位置上の膨出部上面の高さに合わせる高さ位置合わせ工程を施して、上記ミシン停止位置における針数位置での布押え部の高さを定め、
さらに、上記針数位置の布押え部の高さ寸法に対応する高さデータにより、上記刺繍データにおける現針数位置に対応する一針データのファンクションデータにある高さデータを変更する高さデータ変更工程を施し、
引き続き刺繍データに基づいて刺繍枠を一針毎に移動させ、その都度、上記高さ位置合わせ工程と、高さデータ変更工程を繰り返し、上記膨出部上面における刺繍予定位置の夫々の高さデータを膨出部の上面高さに対応する高さデータに夫々変更し、
上記変更された刺繍データに基づき布表面の一部に表れる膨出部に刺繍模様が施されていることを特徴とする刺繍物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−289349(P2007−289349A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119637(P2006−119637)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000135690)株式会社バルダン (125)
【Fターム(参考)】