説明

帯電部材およびそれを用いた帯電装置

【課題】 帯電部材の表面にトナーや,紙粉等が付着するのを抑制して,帯電部材の耐久性を向上させる。
【解決手段】 導電性支持体上101に半導電性の弾性層102と,前記弾性層の表面を覆う表面層103の2層を有する帯電部材において,前記表面層がポリビニルブチラール樹脂を主体に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,電子写真装置に使用される帯電部材に関し,より詳細には,導電性支持体上にエピクロルヒドリンゴムを主体とする弾性層を形成した帯電部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,電子写真方式の画像形成装置において,感光体表面を一様に全面帯電するための帯電方式としては,非接触式の帯電装置であるコロナ放電器が広く利用されていた。このコロナ放電器にあっては,被帯電体面を均一に帯電処理する手段機器としては有効であるが,以下の問題点があった。
【0003】1.高電圧を必要とする。
2.オゾンを比較的多く発生する。
3.均一帯電性を維持させるためにコロナワイヤの清掃手段を設けて比較的頻繁に清掃処置をして保守する必要がある。
【0004】これに対して帯電ローラ(帯電部材)を感光体に接触させ,従動回転させながら電圧を印加し,感光体表面を帯電させる接触ローラ帯電方式が,特開昭63−167380号公報『交流誘導帯電装置』に開示されている。特開昭63−167380号公報によれば,コロナ放電方式と比べ電源の低電圧化とオゾンの発生が少ないという利点を有しているが,帯電の均一性に関しては劣っている。
【0005】この帯電の均一性を改善するために,例えば,特開昭63−149668号公報に開示されている「接触帯電方法」にあっては,直流電圧印加時における帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧をもつ交流電圧を重畳させることにより,帯電の均一性がかなり改善できることを開示している。ところが,この交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加して帯電を行う接触帯電方法にあっては,帯電装置の交流電圧による機械の振動による帯電音としての不快な環境を与えたり,また,交流電流を多量に消費することにより,オゾン発生の低減を損なうことになるという不都合が発生する。
【0006】これらの不都合は,帯電装置に直流電圧のみを印加して帯電を行うことにより解消されるものの,帯電の均一性が得られ難いという問題がある。このため,特開平5−341627号公報によれば,ゴム自体で半導電性が得られるエピクロルヒドリンゴムを帯電部材(帯電ローラ)の弾性層に使用することにより,帯電の均一性と耐電圧が改善されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の導電性支持体上にエピクロルヒドリンゴムを主体とする弾性層を形成した帯電部材によれば,半導電性の弾性層上に非粘着性の表面層が形成されているものの,複写機の帯電器として長期間使用すると,クリーニングユニットをすり抜けて,そのまま感光体上に留まった残留トナー粒子が,感光体と接触している帯電部材の表面に付着し,帯電部材表面にトナー,紙粉等が固着してしまうため,帯電部材の電気抵抗が高くなり,帯電性能が低下するという問題点があった。換言すれば,帯電部材の耐久性が低いという問題点があった。
【0008】本発明は上記に鑑みてなされたものであって,帯電部材の表面にトナーや,紙粉等が付着するのを抑制して,帯電部材の耐久性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために,請求項1に係る帯電部材は,表面層がポリビニルブチラール樹脂を主体に構成されているものである。
【0010】また,請求項2に係る帯電部材は,表面層がポリビニルホルマール樹脂を主体に構成されているものである。
【0011】また,請求項3に係る帯電装置は,弾性層がエピクロルヒドリンゴムを主体に構成されているものである。
【0012】また,請求項4に係る帯電部材は,帯電部材を像担持体に接触させた状態で,導電性支持体に印加する電圧として直流電圧を用いたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下,本発明の帯電部材およびそれを用いた帯電装置について,■本発明の帯電部材の形状および構成例■本発明の帯電装置の構成例■実施例1〜実施例4の順に図面を参照して詳細に説明する。
【0014】■本発明の帯電部材の形状および構成例先ず,本発明の帯電部材の形状例について説明する。本発明の帯電部材は,例えば,図1に示すようなローラ形状のもので,芯金の形状をなす導電性支持体101と,導電性支持体101の周囲に設けられた弾性層102と,弾性層102の外周面上に形成された表面層103とから構成される。
【0015】なお,図において,上記導電性支持体101,弾性層102および表面層103の各層間の接着性を向上させる接着層を設けても良い。例えば,ローラ形状の場合では,導電性支持体101をカーボンブラックなどの導電性物質を配合した合成ゴムなどの導電性プライマで処理しても良い。
【0016】導電性支持体101としては,鉄,ステンレス,アルミニウムなどの金属,カーボンブラック分散樹脂,金属粒子分散樹脂などの導電性樹脂を用いることができ,その形状としては,棒状,板状などが用いられる。
【0017】弾性層102は,その電気抵抗を107 〜109 Ω・cmの範囲にすると良好な結果が得られる。したがって,その材料としては,極性ゴムであるエピクロルヒドリンゴム,ニトリルゴム,ウレタンゴム,クロロプレンゴム,アクリルゴムなどを用いることができるが,中でも比較的ゴム自体の電気抵抗が小さいこと,さらには耐環境性が良いなどの点より,エピクロルヒドリンゴムを使用するものである。
【0018】また,エピクロルヒドリンゴムは,エピクロルヒドリン(以下,ECOと記す)の単独重合体,ECOとエチレンオキサイド(以下,EOと記す)との共重合体,ECOとアリルグリシジルエーテル(以下,AGEと記す)との共重合体,ECOとEOとAGEとの三元共重合体(以下,GECOと記す)があるが,中でも電気抵抗が比較的低いこと,電気抵抗の環境依存性が少ないなどの点より,GECOが好ましい。
【0019】また,弾性層102の層厚は,0.5〜10mmの範囲が良好な結果が得られる。その理由は,弾性層102の層厚が0.5mmより薄くなると,有機感光体(以下,OPCと記す)を絶縁破壊したり,帯電が不安定になったりする他に,OPCにピンホールがあると,その部分に電流が集中してリークが生じ易くなり,その結果,画像に横すじが現れたりするようになる。また,弾性層102の層厚が10mmより厚くなると,帯電効率が低下し,より高い電圧の印加が必要となり,その結果電源のコスト高となる。
【0020】弾性層102の表面を覆う表面層103としての厚さが1〜20μmの非粘着性の被膜が形成されている。この表面層103の形成によって,帯電部材表面へのトナーなどの付着を抑制して長期にわたって良好な帯電特性を維持させるためである。
【0021】この目的に対して弾性層102の表面に形成する非粘着性材料として,ポリビニルブチラール樹脂またはポリビニルホルマール樹脂が主体に用いられる。
【0022】表面層103を構成するポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂は,ポリ酢酸ビニルを塩酸や硫酸を触媒として酸ケン化し,ケン化の初期にアルデヒドの溶液を加え,ケン化と縮合の反応を一度にする方法などで合成することができる。
【0023】これらの樹脂は,分子鎖中にビニルアセタールグループ,ビニルアルコールグループ,酢酸ビニルグループの三成分をもっているために溶剤溶解性に優れている。
【0024】
【化1】


【0025】また,単独でも架橋性を有しているが,ビニルアルコールグループ中のヒドロキシル基は各種(フェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,イソシアネート,グリオザールなど)の官能基と架橋反応させると,弾性層ゴムとの接着性および被膜強度をさらに向上させることができるが,トナーに対する非粘着性を重要視すると,樹脂単独の架橋が好ましい。
【0026】■本発明の帯電装置の構成例次に,図2を参照して,上記帯電部材を用いた本発明の帯電装置の構成について説明する。図において,201は本発明の帯電部材を示し,ここでは図1に示したローラ形状の帯電部材を使用している。また,202は帯電部材201の芯金に直流電圧を印加するための直流電源を示す。この帯電部材201と直流電源202によって本発明の帯電装置が構成される。
【0027】なお,図2は,本発明の帯電装置を電子写真装置に適用した例を示し,この電子写真装置は,ドラム状の電子写真感光体203の周面上に一次帯電部材201,像露光装置(図示せず),現像ユニット204,転写帯電装置205,クリーニング装置206および前露光装置(図示せず)が配置されている。なお,図において,207は像露光装置から出射された露光光,208は前露光装置の前露光光,209は紙などの被転写部材を示す。
【0028】例えば,OPCなどの電子写真感光体203上に接触配置されている一次帯電部材(帯電部材201)の芯金に,直流電源202により電圧(例えば,−1400V)を印加し,電子写真感光体203表面を帯電させ,像露光装置によって原稿上の画像を電子写真感光体203に像露光して静電潜像を現像する。
【0029】次に,現像ユニット204の中の現像剤を電子写真感光体203に付着させることにより,電子写真感光体203上の静電潜像を現像し,さらに電子写真感光体203上の現像剤を転写帯電装置205によって,紙などの被転写部材209に転写し,クリーニング装置206によって,転写時に紙に転写されずに電子写真感光体203に残った現像剤を回収する。また,電子写真感光体203に残留電荷が残るような場合には,帯電部材201による一次帯電を行う前に,前露光装置によって電子写真感光体203の残留電荷を除去したほうが良い。
【0030】以上,上記■本発明の帯電部材の形状および構成例,■本発明の帯電装置の構成例を説明することにより,本発明にいたる経過について説明したが,直流電圧の印加のみで,均一帯電を得ようとする本発明の帯電部材201の帯電均一性は,交流電圧の重畳に任せる従来の帯電ローラ(例えば,特開昭64−73364号公報,同64−73367号公報)とでは,自ずとその電気特性(R,C)およびローラの層構成が大きく相違している。すなわち,交流電圧重畳型は導電性弾性層(カーボンブラック等の導電性粒子を分散させたゴム)と表面抵抗層よりなり,表面抵抗層がコンデンサーとして機能するため,静電容量が大きく,交流電圧重畳による帯電電位の均一化効果が大きい。
【0031】これに対して,本発明の直流電圧印加のみのタイプは,ローラ層が抵抗体として働く(すなわち,静電容量が小さい)ため,交流電圧を重畳しても帯電の均一化にはほとんど寄与してない。
【0032】■実施例1〜実施例4以下,本発明の帯電部材について,〔実施例1〕,〔実施例2〕,〔実施例3〕,〔実施例4〕の順に図面を参照して説明する。
【0033】〔実施例1〕実施例1では,帯電部材を以下の方法で作成する。先ず,導電性支持体101として,φ8mmのステンレス芯金を用いる。次に,半導電性弾性層102を以下の配合物で作成する。
GECO系エピクロルヒドリン (商品名:エピクロマCG102,ダイソー製) 100 重量部 軽質炭酸カルシウム 30 重量部 サブ (商品名:GT,天満サブ化工製) 10 重量部 ステアリン酸 0.5 重量部 加硫促進剤 (商品名:ノクセラーTT,大内新興化学製) 1.0 重量部 加硫促進剤 (商品名:ノクセラーDM,大内新興化学製) 1.5 重量部 加硫促進剤 (商品名:バルノックR,大内新興化学製) 1.0 重量部 加硫剤 (商品名:サルファックス,鶴見化学製) 0.25重量部なお,このGECO系エピクロルヒドリンの組成比は,ECO:40モル%,EO:53モル%,AGE:7モル%である。
【0034】上記配合物を混練して均一な組成のコンパウンドとした後,φ8mmのステンレス芯金(導電性支持体101)上に一次加硫(金型成形法:150℃×15分間),二次加硫(金型成形法:155℃×7時間)によって,外径φ14mm×310mmになるように成形してローラ状の半導電性弾性ローラを設けた。この半導電性弾性ローラの電気抵抗は,2×107 Ω・cm,ローラゴム硬度は38度(JisA)であった。
【0035】半導電性弾性ローラの体積抵抗の測定は,半導電性弾性ローラを20℃,60%R.Hの環境中に16時間放置した後,25.4mm幅の銅箔テープ(商品名:スコッチNo.1181,3M製)を半導電性弾性ローラの円周に巻き付けて電極とし,ローラ芯金と電極との間に直流1KVを印加し,その1分後の電流値を計測して,ローラ芯金と電極間の抵抗値を求めた。また,半導電性弾性ローラのゴム硬度測定は,JisK6301に記載の硬度計JisAを用いて,半導電性弾性ローラの中心軸方向に対して垂直に加圧して測定した。
【0036】次に,前記の半導電性弾性ローラの上に表面層103を次のようにして形成した。先ず,表面層用塗料としての樹脂溶液を以下のように調整した。
【0037】ポリビニルブチラール樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−2,電気化学工業製)5重量部,エタノール:トルエン=1:1の混合溶媒95重量部を加え,均一な樹脂溶液とした。
【0038】ついで,前記半導電性弾性ローラ上に前記樹脂溶液を膜厚5μmとなるようにスプレー塗布した後,150℃で60分間乾燥硬化し,帯電ローラを作成した。
【0039】なお,ポリビニルブチラール樹脂として使用したデンカブチラール#3000−2の組成(wt%)は,ポリビニルブチラール(以下,PVBと記す)が75以上,ポリビニルアルコールが(以下,PVAと記す)18〜22,ポリ酢酸ビニル(以下,PVACと記す)が3.0以下である。
【0040】以上のように作られた帯電ローラ(帯電部材)を正規現像方式の複写機FT5500(リコー製)の一次コロナ帯電器の代わりに取り付け,感光体(OPC)ドラム表面に接触させて従動回転するようにした。一次帯電電圧として直流電圧−1.3KVを印加し,24±1℃,50〜55%の環境中で連続稼働させて,初期,5000枚,10000枚(各A4サイズ)毎の感光体の暗電位の電位測定および帯電ローラ表面の汚染状態,画像品質について測定・評価した。
【0041】上記測定・評価した結果を表1に示した。なお,帯電ローラ表面のトナー等による汚染状態を次の基準で評価した。
二重丸:僅かなトナー等が付着しているが,布等でローラ表面の付着物を簡単に拭きとることができる。
○:拭きとりで,僅かにトナー等がローラ表面に残存している。
△:完全に拭きとりができず,ローラ表面にトナー等の薄い膜が残る。
×:トナー等が強くローラ表面に固着している。
【0042】
【表1】


【0043】〔実施例2〕実施例1と同様の半導電性弾性ローラの上に表面層103を次のように形成した。先ず,表面層用塗料としての樹脂溶液を次のように調整した。
【0044】ポリビニルブチラール樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−K,電気化学工業製)3重量部,メタノール:トルエン=1:1の混合溶媒97重量部を加え,均一な樹脂溶液とした。
【0045】ついで,実施例1と同様に前記半導電性弾性ローラ上に前記樹脂溶液を膜厚5μmとなるようにスプレー塗布した後,150℃で60分間乾燥硬化し,帯電ローラを作成した。
【0046】作成した帯電ローラ(帯電部材)について実施例1と同様に測定・評価した結果を表1に示した。なお,ポリビニルブチラール樹脂として使用したデンカブチラール#3000−Kの組成を表1に示した。
【0047】〔実施例3〕実施例1と同様の半導電性弾性ローラの上に表面層103を次のように形成した。先ず,表面層用塗料としての樹脂溶液を次のように調整した。
【0048】ポリビニルホルマール樹脂(商品名:デンカホルマール#30,電気化学工業製)5重量部,メタノール:トルエン=3:7の混合溶媒95重量部を加え,均一な樹脂溶液とした。
【0049】ついで,実施例1と同様に前記半導電性弾性ローラ上に前記樹脂溶液を膜厚5μmとなるようにスプレー塗布した後,150℃で120分間乾燥硬化し,帯電ローラを作成した。
【0050】作成した帯電ローラ(帯電部材)について実施例1と同様に測定・評価した結果を表1に示した。なお,ポリビニルホルマール樹脂として使用したデンカホルマール#30の組成(wt%)は,ポリビニルホルマール(以下,PVFと記す)が81以上,PVAが4.5〜5.5,PVACが10〜13である。
【0051】〔実施例4〕実施例1と同様の半導電性弾性ローラの上に表面層103を次のように形成した。先ず,表面層用塗料としての樹脂溶液を次のように調整した。
【0052】ポリビニルホルマール樹脂(商品名:デンカホルマール#100,電気化学工業製)4重量部,エタノール:トルエン=4:6の混合溶媒96重量部を加え,均一な樹脂溶液とした。
【0053】ついで,実施例1と同様に前記半導電性弾性ローラ上に前記樹脂溶液を膜厚5μmとなるようにスプレー塗布した後,160℃で120分間乾燥硬化し,帯電ローラを作成した。
【0054】作成した帯電ローラ(帯電部材)について実施例1と同様に測定・評価した結果を表1に示した。なお,ポリビニルホルマール樹脂として使用したデンカホルマール#100の組成は,表1に示した。
【0055】〔比較例1〕ここで比較例として比較例1を以下のようにして作成した。実施例1の半導電性弾性層102のみのローラを実施例1と同様に評価し,評価した結果を表1に示した。
【0056】〔比較例2〕ここで比較例として比較例2を以下のようにして作成した。実施例1と同様の半導電性弾性ローラの上に表面層103を次のように形成した。先ず,表面層用塗料を次のように調整した。
【0057】フルオロオレフィン水酸基含有ビニルエーテル共重合体(商品名:ルミフロンLF601C主剤,旭硝子製)100重量部,イソシアネート硬化剤(商品名:コロネートHX,日本ポリウレタン工業製)9重量部,トルエン:キシレン=1:1の混合溶媒500重量部を十分に攪拌して均一な溶液と,これをA溶液とする。
【0058】前記GECO系エピクロルヒドリン(商品名:エピクロマCG102,ダイソー製)5重量部,トルエン:4メチル−2−ペンタノン=1:1の混合溶媒95重量部を加え,十分に攪拌して生ゴムを溶解し,電気抵抗調整のための溶液とし,これをB溶液とする。
【0059】次にA溶液100重量部,B溶液40重量部を加え,十分に攪拌して表面層用塗料とした。この表面層用塗料を用いて,実施例1と同様に前記半導電性弾性ローラ上に膜厚5μmとなるようにスプレー塗布した後,100℃で120分間乾燥硬化し,帯電ローラを作成した。
【0060】作成した帯電ローラ(帯電部材)について実施例1と同様に測定・評価した結果を表1に示した。
【0061】前述したように本実施例によれば,本発明の帯電部材を直流電圧印加の帯電装置で用いることにより,トナーなどに対する非粘着性,帯電特性が長期間にわたって初期特性をほぼ維持することができ,安定した画像品質が得られた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように,本発明の帯電部材(請求項1)によれば,表面層がポリビニルブチラール樹脂を主体に構成されているため,帯電部材の表面のトナーに対する非粘着性が向上されるので,帯電部材の表面のトナー付着が抑制され,長期にわたって安定した帯電特性が得られるようになり,よって良好な出力画像品質を維持することができる。
【0063】また,本発明の帯電部材(請求項2)によれば,表面層がポリビニルホルマール樹脂を主体に構成されているため,帯電部材の表面のトナーに対する非粘着性が向上されるので,帯電部材の表面のトナー付着が抑制され,長期にわたって安定した帯電特性が得られるようになり,よって良好な出力画像品質を維持することができる。
【0064】また,本発明の帯電装置(請求項3)によれば,弾性層がエピクロルヒドリンゴムを主体に構成されている,すなわち,弾性層に非分散系の半導電性材料を用いているので,直流電圧印加での帯電の均一性,耐環境性を向上させることができる。
【0065】また,本発明の帯電部材(請求項4)によれば,帯電部材を像担持体に接触させた状態で,導電性支持体に印加する電圧として直流電圧を用いたため,直流電圧印加のみで,均一帯電が可能となり,直流電圧に交流電圧を重畳する印加方法と比較して,オゾン発生量の低減と,さらに電源コストの低減化ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電部材の形状および構成例を示す説明図である。
【図2】本発明の帯電装置を電子写真装置に適用した例を示す説明図である。
【符号の説明】
101 導電性支持体
102 弾性層
103 表面層
201 帯電部材
202 直流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に半導電性の弾性層と,前記弾性層の表面を覆う表面層の2層を有する帯電部材において,前記表面層がポリビニルブチラール樹脂を主体に構成されていることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】 導電性支持体上に半導電性の弾性層と,前記弾性層の表面を覆う表面層の2層を有する帯電部材において,前記表面層がポリビニルホルマール樹脂を主体に構成されていることを特徴とする帯電部材。
【請求項3】 前記弾性層は,エピクロルヒドリンゴムを主体に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の帯電部材。
【請求項4】 請求項1,2または3記載の帯電部材を用いて,前記帯電部材を像担持体に接触させた状態で,前記導電性支持体に印加する電圧として直流電圧を用いたことを特徴する帯電装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate