説明

帯電除去方法および装置

【課題】電子線殺菌性能を妨げることがなく、樹脂製容器の帯電を除去する。
【解決手段】電子線殺菌機の電子線照射手段で、樹脂製容器Pに電子線を照射した後、樹脂製容器P内の空間へ通電性を備えた導電体1bを所定時間挿入することによって、電子線照射時に発生した樹脂性容器Pの帯電を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器の帯電を除去する帯電除去方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料液、医薬液充填用のPETボトル等の樹脂製容器を充填前に電子線殺菌機で電子線照射すると、樹脂製容器が帯電することは従来から知られているが、帯電している樹脂製容器は静電気により周囲の埃等を引き寄せるなどの問題が発生することがある。
このため、電子線照射時に樹脂製容器の帯電を防止する技術が提案されている(特許文献1)。
前記特許文献1によれば、樹脂製容器を電子線照射時に、樹脂製容器の口部から内部へアース電極を挿入した状態で電子線照射することにより樹脂製容器の帯電を防止するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−26000号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、樹脂製容器の口部から内部へアース電極(導電体)を挿入すると、該アース電極によって樹脂製容器内に照射されるべき電子線を遮ることになり、樹脂製容器内を殺菌するための電子線吸収線量を低下させてしまう恐れがある。特に、PETボトル等の容器口部のように肉厚が厚くかつ口径が小さい箇所では電子線透過量が少なく、開口部からの電子線の廻り込みによって口部内部を殺菌することになるため、開口部を塞ぐアース電極のような部材は口部内部の殺菌力低下に繋がってしまうという恐れがある。
【0005】
本発明は、電子線殺菌機で電子線照射時に発生する樹脂製容器の帯電を除去する帯電除去方法および装置において、従来技術をさらに進化させて、電子線殺菌性能を妨げることがなく、樹脂製容器の帯電を除去できる帯電除去方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の帯電除去方法は、電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器(以下容器と称することがある。)の帯電を除去する帯電除去方法において、電子線照射後の前記容器内の空間へ通電性を備えた導電体を所定時間挿入することによって、前記電子線照射時に発生した容器の帯電を前記導電体経由で除去するようにしたことを特徴とする。
【0007】
(2)第2の手段の帯電除去方法は、前記第1の手段の帯電除去方法において、前記容器を容器口部が下方に向いた倒立状態にして帯電除去するようにしたことを特徴とする。
【0008】
(3)第3の手段の帯電除去方法は、前記第1および第2の手段の帯電除去方法において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路、又は、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする。
【0009】
(4)第4の手段の帯電除去方法は、前記第1および第2の手段の帯電除去方法において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにした後に、さらに、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする。
【0010】
(5)第5の手段の帯電除去方法は、前記第1から第4の手段の帯電除去方法において、前記容器を電子線殺菌機に設けた複数の電子線照射手段で照射し、最終の電子線照射手段での照射後に前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする。
【0011】
(6)第6の手段の帯電除去装置は、電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器(以下容器と称することがある。)の帯電を除去する帯電除去装置において、前記電子線照射後の容器搬送経路に前記容器内の空間へ通電性を備えた導電体を所定時間挿入する導電体挿入手段を設けて、前記電子線照射時に発生した容器の帯電を前記導電体の挿入により除去するように構成したことを特徴とする。
【0012】
(7)第7の手段の帯電除去装置は、前記第6の手段の帯電除去装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路、又は、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路に、前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする。
【0013】
(8)第8の手段の帯電除去装置は、前記第6の手段の帯電除去装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路に前記導電体挿入手段を設けるとともに、さらに、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路に前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする。
【0014】
(9)第9の手段の帯電除去装置は、前記第6から第8の手段の帯電除去装置において、前記電子線殺菌機に複数の電子線照射手段を設けて、最終の電子線照射手段の下流に、前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および6に係わる本発明は、電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器の帯電を除去する帯電除去方法および装置において、電子線照射後の前記容器内の空間へ通電性を備えた導電体を所定時間挿入することによって、前記電子線照射時に発生した容器の帯電を前記導電体経由で除去するようにしたことにより、電子線照射時には導電体が容器内の空間に存在しないため殺菌性能が妨げられることなく、電子線照射時に発生した樹脂製容器の帯電を除去できるという効果を有する。
【0016】
請求項2係わる本発明は、請求項1に記載した帯電除去方法において、前記容器を容器口部が下方に向いた倒立状態にして帯電除去することにより、倒立状態の容器の下方から導電体を挿入することができ、容器内に異物が溜まるのを防止することができるという効果を有する。
【0017】
請求項3および7に係わる本発明は、請求項1、2、6のいずれか一項に記載した帯電除去方法および装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路、又は、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことにより、電子線照射の際二次的に発生するX線によって電子線照射後の容器内のエアが電離し、電離にて発生したプラスイオンが容器内面のマイナスイオンと中和するとともに、容器内に残留した電離マイナスイオンを導電体経由で外部へ逃して、電子線照射時に発生した樹脂製容器の帯電を除去できるという効果を有する。
【0018】
請求項4および8に係わる本発明は、請求項1、2、6のいずれか一項に記載した帯電除去方法および装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにした後に、さらに、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことにより、前記電子線殺菌機内で電子線照射後容器を帯電除去した後、下流の容器搬送装置で搬送中に遮蔽室内の照射電子線によって前記容器が再帯電しても、再帯電を確実に除去できるという効果を有する。
【0019】
請求項5および9に係わる本発明は、請求項1から4及び請求項6から8のいずれか一項に記載した帯電除去方法および装置において、前記容器を電子線殺菌機に設けた複数の電子線照射手段で照射し、最終の電子線照射手段での照射後に前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことにより、容器を複数の電子線照射手段による照射で確実に殺菌した後に、複数の電子線照射手段で照射後の容器を一度に効率的に帯電除去できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置を組み込んだラインを摸式的に示した平面図である。
【図2】図1のII−II断面図で、容器が電子線照射を受けて殺菌されている状態を示す図である。
【図3】図1のIII−III断面図で、本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置を組み込んだラインを摸式的に示した平面図で、図1に相当する図である。
【図5】図4のIV−IV断面図で、本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係わり、複数の電子線照射手段を組み込んだラインを摸式的に示した平面図で、図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは本質的に同一のものが含まれる。
【0022】
(本発明の第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置を組み込んだラインを摸式的に示した平面図である。
図2は、図1のII−II断面図で、容器が電子線照射を受けて殺菌されている状態を示す図である。
図3は、図1のIII−III断面図で、本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置を示す図である。
図1において、上流から矢印F1の方向へ搬入されてくる樹脂製容器P(以下容器Pと称することがある。)は、矢印11aの方向に回転搬送するスターホイール11、矢印12aの方向に回転搬送するスターホイール12、矢印3aの方向の回転搬送の間に電子線照射手段3Eからの電子線照射を受けて容器Pが殺菌される電子線殺菌機3、矢印14aの方向に回転搬送するスターホイール(容器搬送装置)14、矢印15aの方向に回転搬送するスターホイール15を順次受け渡され、搬送されて、矢印F2の方向へ搬出されるようになっている。
【0023】
なお、前記スターホイール11、スターホイール12、電子線殺菌機3、スターホイール14、スターホイール15は同期運転されるように構成されており、また、前記スターホイール12、電子線殺菌機3、スターホイール14は照射された電子線が外部に漏洩しないように囲まれた遮蔽室(照射電子線の影響領域)5内に設置されている。
また、前記電子線殺菌機3の容器搬送経路の図示R点から図示S点の間の所定位置には後述する帯電除去装置1が設けられている。
【0024】
前記電子線殺菌機3で搬送される容器Pは、図2に示すように、口部Pmを下方に向けた倒立状態で、図示しない回転円板に円周等分配置で設けられた容器グリッパ3gによって保持されて回転搬送されるようになっており、図1に示す電子線照射部EBでは遮蔽室5の所定の大きさの窓に取付けられた電子線照射手段3Eから電子線照射を受けて殺菌されるようになっている。
【0025】
前記帯電除去装置1は、図3に示すように、前記電子線殺菌機3に設けられて図示M方向に上下動する回転円板1pに円周等分で容器グリッパ3gに対応した位置に取付けられた導電体1bが、前記容器グリッパ3gによって保持された容器P内の空間へ、挿入または抜出される導電体挿入手段によって、図1に示すR点からS点の間の所定位置で容器P内の空間へ挿入され、約1秒間挿入された後、容器P内の空間から抜出される構成となっている。ここでは、導電体1bの容器内への挿入時間を約1秒としたが、帯電除去性能上必要な時間とすればよい。この導電体挿入手段は、図示しない制御手段により、その動作が制御される。すなわち、容器P内の空間に対する導電体1bの挿入タイミング及び抜出タイミングがこの制御手段により制御される。
【0026】
前記導電体1bおよび回転円板1pは、金属等の導電性の材料で構成され、電子が外部へ導通(通電)となるように、図3に示すように、アース、正極、又は、交流電極に接続されるように構成されている。
なお、容器Pの口部Pmから内空間への前記導電体1bの挿入深さLは、容器Pの肉厚が厚い口部Pmから肩部Psまでの部分よりも長い深さが望ましい。
【0027】
次に、本発明の第1の実施の形態に係わる帯電除去装置1の作用を説明する。
電子線殺菌機3の電子線照射手段3Eからの電子線照射による殺菌時に、容器Pの壁体内面にはマイナスの電荷が引き寄せられて滞留し、壁体外面にはプラスの電荷が滞留することによって帯電することがある。
遮蔽室5内で電子線照射部EBから照射される電子線により二次的に発生するX線によって容器P内の空間のエアはプラスイオンとマイナスイオンに電離して、前記R点以降では、電離したプラスイオンが前記電子線照射後の容器Pの壁体内面のマイナスイオンと中和し、容器P内の空間に残留する電離マイナスイオンは容器P内の空間に挿入された導電体1bを経由して外部へ除去され、前記容器Pの帯電がスムーズに除去される。
なお、導電体1bを容器P内の空間へ挿入中は、前記電子線照射を継続すると、二次的にX線が発生していることにより、前記説明の導電体1bによる殺菌後容器Pの帯電除去が有効に行われる。
【0028】
前記説明では、導電体挿入手段を電子線殺菌機3の容器搬送経路の図示R点からS点の間の所定位置に設ける場合を説明したが、前記照射電子線の影響領域である遮蔽室5内で、前記電子線照射後の容器Pが前記電子線殺菌機3の下流のスターホイール(容器搬送装置)14へ受け渡されてから前記遮蔽室5の外部へ排出されるまでの前記スターホイール14の容器搬送経路の図示S点からT点までの間に設けてもよいが、詳細な説明は省略する。
【0029】
なお、前記容器Pは容器グリッパ3gによって倒立状態に保持されて回転搬送されるので、容器Pの搬送中および帯電除去中に容器P内へ埃等の異物が混入し、溜まるのを防止することができるが、前記遮蔽室5内の雰囲気がクリーンな状態である場合には、容器Pを倒立状態に保持して搬送することに限定しなくてもよいことはもちろんである。
【0030】
(本発明の第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置を図4および図5に基づいて説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置を組み込んだラインを摸式的に示した平面図で、図1に相当する図である。
図5は、図4のIV−IV断面図で、本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置を示す図である。
図4において、図1と同じ構造のものは同じ符号を記してあり、重複する説明は省略するが、図1のスターホイール14の代わりに矢印4aの方向に容器Pを回転搬送するスターホイール(容器搬送装置)4が配置され、該スターホイール4には帯電除去装置2が設けられている。
なお、電子線殺菌機3には、前記第1の実施の形態で説明した帯電除去装置1が設けられている。
【0031】
前記帯電除去装置2は、図5に示すように、前記スターホイール4に設けられて図示N方向に上下動する回転円板4Pに円周等分で後述する容器グリッパ4gに対応した位置に取付けられた導電体2bが、スターホイール4の図示しない回転円板に円周等分配置で設けられた容器グリッパ4gによって倒立状態で保持された容器P内の空間へ、挿入または抜出する導電体挿入手段によって、図4に示すS点からT点の間の所定位置で容器P内の空間へ約1秒間挿入された後、容器P内の空間から抜出される構成となっている。ここで、導電体2bの容器内の空間への挿入時間を約1秒としたが、帯電除去性能上必要な時間とすればよい。
【0032】
前記導電体2bおよび回転円板4pは、金属等の導電性の材料で構成され、電子が外部へ導通となるように、図5に示すように、アース、正極、又は、交流電極に接続されるように構成されている。
なお、前記導電体2bの容器P内の空間への挿入深さは、前記第1の実施の形態で説明した内容と同じであり、重複する説明は省略する。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる帯電除去装置2の作用を説明する。
電子線殺菌機3による電子線照射時に帯電した容器Pは、図示R点から図示S点までの容器搬送経路で該容器P内の空間に挿入された導電体1bによって帯電が除去された後、スターホイール4に受け渡され、搬送されている間に、遮蔽室5内の照射電子線の影響で再帯電することがあるが、図示S点から図示T点までの容器搬送の間に該容器P内の空間へ挿入される導電体2bによって再帯電が除去され、前記容器Pの帯電除去が確実になされる。
なお、導電体2bによる帯電除去の作用は、前記第1の実施の形態で説明した導電体1bによる帯電除去の作用と同様であり、詳細な重複説明は省略する。
【0034】
(本発明の第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図6に基づいて説明する。
図6は、本発明の第3の実施の形態に係わり、複数の電子線照射手段を組み込んだラインを摸式的に示した平面図で、図4に相当する図である。
図6において、図4と同じ構造のものは同じ符号を記してあり、重複する説明は省略するが、電子線殺菌機13は、図示しない回転円板に円周等分に設けられた容器グリッパ13gに保持された容器Pが、矢印13aの方向の回転搬送の間に複数(ここでは2個)の電子線照射手段13E1(電子線照射部EB1)と電子線照射手段13E2(電子線照射部EB2)からの電子線照射を受けて殺菌されるように構成されている。
なお、前記容器グリッパ13gは、第1の実施の形態で説明した容器グリッパ3gに相当するものであり、重複する説明は省略する。
【0035】
また、前記電子線殺菌機13の前記複数の内の最終の電子線照射手段13E2の下流には、帯電除去装置1が設けられており、その構成は前記第1の実施の形態で説明した内容と同じであり、図示R1点から図示S点までの搬送経路で導電体1bが容器P内の空間へ挿入されるようになっているが、重複する説明は省略する。
さらに、スターホイール4には帯電除去装置2が設けられているが、前記第2の実施の形態で説明した内容と重複するので、詳細な説明は省略する。
【0036】
なお、スターホイール11、スターホイール12、電子線殺菌機13、スターホイール4、スターホイール15は同期運転されるように構成されており、また、前記スターホイール12、電子線殺菌機13、スターホイール4は照射された電子線が外部に漏洩しないように囲まれた遮蔽室51内に設置されている。
また、電子線照射手段13E1および電子線照射手段13E2は遮蔽室51の所定の大きさの窓に取付けられている。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態の作用について説明する。
容器Pは、複数(ここでは2個)の電子線照射手段13E1および電子線照射手段13E2からの電子線照射を受けて確実に電子線殺菌された後、前記R1点から前記T点までの間で、帯電除去装置1および帯電除去装置2の導電体1bおよび導電体2bの挿入によって、電子線照射時に帯電していた容器Pは帯電除去される。
【0038】
前記説明では、2組の帯電除去装置1および帯電除去装置2を設ける場合について説明したが、帯電除去装置1又は帯電除去装置2の何れか一方のみを設けるとしてもよいことはもちろんであり、目的とする帯電除去レベルに応じて選択することができる。
【0039】
電子線殺菌を確実にするために、容器Pは複数の電子線照射手段によって殺菌されることがあるが、電子線照射手段13E1からの電子線照射を受けてから、容器P内の空間への導電体挿入によって帯電除去した後、電子線照射手段13E2からの電子線照射を受けてから、容器P内の空間への導電体挿入によって帯電除去するのではなく、前記説明のように、電子線照射手段13E1および電子線照射手段13E2からの電子線照射を受けてから容器P内の空間への導電体挿入を行えば、帯電除去は十分に行えて、効率的である。
【符号の説明】
【0040】
1、2 帯電除去装置
1b、2b 導電体
1p、2p 回転円板
3、13 電子線殺菌機
3E、13E1、13E2 電子線照射手段
3g、4g、13g 容器グリッパ
4、11、12、14、15 スターホイール(容器搬送装置)
5、51 遮蔽室
P 容器
Pm 容器の口部
Ps 容器の肩部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器(以下容器と称することがある。)の帯電を除去する帯電除去方法において、電子線照射後の前記容器内の空間へ通電性を備えた導電体を所定時間挿入することによって、前記電子線照射時に発生した容器の帯電を前記導電体経由で除去するようにしたことを特徴とする帯電除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載した帯電除去方法において、前記容器を容器口部が下方に向いた倒立状態にして帯電除去するようにしたことを特徴とする帯電除去方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した帯電除去方法において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路、又は、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする帯電除去方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載した帯電除去方法において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入した後に、さらに、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路で、前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする帯電除去方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載した帯電除去方法において、前記容器を電子線殺菌機に設けた複数の電子線照射手段で照射し、最終の電子線照射手段での照射後に前記導電体を前記容器内の空間へ所定時間挿入するようにしたことを特徴とする帯電除去方法。
【請求項6】
電子線殺菌機で電子線照射時に発生した樹脂製容器(以下容器と称することがある。)の帯電を除去する帯電除去装置において、前記電子線照射後の容器搬送経路に前記容器内の空間へ通電性を備えた導電体を所定時間挿入する導電体挿入手段を設けて、前記電子線照射時に発生した容器の帯電を前記導電体の挿入により除去するように構成したことを特徴とする帯電除去装置。
【請求項7】
請求項6に記載した帯電除去装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路、又は、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路に、前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする帯電除去装置。
【請求項8】
請求項6に記載した帯電除去装置において、照射電子線の影響領域である遮蔽室内で、前記電子線照射後の容器が下流の容器搬送装置へ受け渡されるまでの前記電子線殺菌機の容器搬送経路に前記導電体挿入手段を設けるとともに、さらに、前記電子線照射後の容器が前記電子線殺菌機の下流の容器搬送装置へ受け渡されてから前記遮蔽室の外部へ排出されるまでの前記容器搬送装置の容器搬送経路に前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする帯電除去装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載した帯電除去装置において、前記電子線殺菌機に複数の電子線照射手段を設けて、最終の電子線照射手段の下流に、前記導電体挿入手段を設けるように構成したことを特徴とする帯電除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52912(P2013−52912A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193240(P2011−193240)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】