説明

強く付着しているコーティングの製造方法

本発明は、無機又は有機の基材に強く付着している金属コーティングを製造する方法であって、(a)無機又は有機の基材上に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理又は火炎処理を実施し;(b)無機又は有機の基材に、1種類以上の光開始剤、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含んでいるモノマー若しくは/及びオリゴマーと光開始剤との混合物、或いは前記物質の溶液、懸濁液若しくは乳濁液を適用し;(c)ステップ(b)の層を場合により乾燥させ、そして、ステップ(b)の層に電磁波を照射し;そして(d)光開始剤でプレコーティングした基材に、気相から、金属、半金属又は金属酸化物を堆積させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機又は有機の基材に強く付着している金属のコーティングを製造する方法に関し、ここで、無機又は有機の基材上に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理又は火炎処理を実施し、無機又は有機の基材に、常圧下で、1種類以上の光開始剤を適用し、そして、光開始剤でプレコーティングした基材に金属をコーティングする。本発明は、さらにまた、そのような層を生成させる際の光開始剤の使用、及び、強く付着しているコーティング自体にも関する。
【0002】
無機又は有機の基材上の、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン又はフッ素含有ポリオレフィンなどのような非極性基材上のコーティング(例えば、仕上げ塗料、塗料、印刷用インク又は接着剤など)の付着特性は、不充分であることが多い。そのような理由で、満足な結果を達成するためには、追加的な処理を実施しなければならない。付着性は、最初に特別な下塗りコーティング(いわゆる、プライマー)を適用した後、それに所望のコーティングを適用することによってのみ改善することができる。
【0003】
別の可能性は、コーティングしようとする基材をプラズマ処理又はコロナ処理に付した後、それらをコーティングすることにあり、これら二つの操作の間には、例えばアクリラートモノマーによる、グラフト法を実施することができる(J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 31 1307−1314(1993))。
【0004】
減圧条件下及び常圧下のいずれにおいても、低温プラズマの生成、及び、薄い有機層又は無機層のプラズマ蒸着(plasma-assisted deposition)は、以前から知られていた。基本的原理及び応用については、例えば、以下の文献に記載されている:J.R.Holahan及びA.T.Bell編「Technology and Application of Plasma Chemistry」(Wiley, New York(1974))中のA.T.Bellによる「Fundamentals of Plasma Chemistry」及び H.Suhr, Plasma Chem. Plasma Process 3(1), 1(1983)。
【0005】
プラズマ中では、重合体層の堆積をもたらし、かつプライマーとして使用することができる重合を実施することも可能である。基本的原理及び応用は、例えば、以下の文献に記載されている:L.Holland編「Plasma technology 3」(Elsevier, Amsterdam 1992)中のH.Biederman, Y.Osadaによる「Plasma Polymerization Processes」。
【0006】
プラスチックの表面をプラズマ処理に付すことが可能であり、その結果、その後に適用された仕上げ塗りはプラスチック基材への改善された付着性を示すことも知られている。これは、減圧条件下での低温プラズマについては、「Farbe + Lack 99(7), 602-607 (1993)」中で、H.J.Jacobaschらにより記述されており、また、減圧下から常圧条件までの範囲のプラズマ(低温プラズマはコロナ放電へと変化する)については、「Surf. Coat.Technol. 59, 371-6(1993)」中で、J. Friedrichらにより記述されている。
【0007】
最初に挙げた種類と同様の種類の方法は、WO00/24527により知られている。その方法は、減圧下での、即時蒸着を伴う基材のプラズマ処理、及び、光開始剤のグラフト化(grafting−on)について記載している。しかしながら、短所は、蒸着には真空装置が必要であること、及び、堆積速度が低いために、効率が非常に良くはなく、高い処理速度を有する工業的応用には適さないということである。同様の方法は、PCT出願No.EP03/00780に開示されている。
【0008】
当技術分野においては、実際上容易に実施することが可能で、前処理した基材の続けてのコーティングを改善するのに用いる装置に関してそれほど高価ではない、基材の前処理方法が求められている。
【0009】
ここに、コーティングしようとする基材をプラズマ処理(低圧プラズマ及び/又は常圧プラズマ)、コロナ処理又は火炎処理に付した後、その基材に光開始剤を適用し、そのように処理された基材を場合により乾燥させ、そして、照射することにより、特に優れた付着性を有する金属、金属酸化物又は半金属のコーティングを得ることが可能であるということが見出された。そのように前処理した基材に、金属、半金属又は金属酸化物のコーティングを施す。得られたコーティングは、驚くほど優れた付着性を示す。
【0010】
従って、本発明は、無機又は有機の基材に強く付着している金属コーティングを製造する方法に関し、ここで、
(a)無機又は有機の基材上に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理又は火炎処理を実施し;
(b)無機又は有機の基材に、1種類以上の光開始剤、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含んでいるモノマー若しくは/及びオリゴマーと光開始剤との混合物、或いは前記物質の溶液、懸濁液若しくは乳濁液を適用し;
(c)ステップ(b)の層を場合により乾燥させ、そして、ステップ(b)の層に電磁波を照射し;
そして、
(d)光開始剤でプレコーティングした基材に、気相から、金属、半金属又は金属酸化物を堆積させる。
【0011】
好ましくは、ステップ(d)において、気相から、金属、半金属若しくは金属酸化物を堆積させている間又は堆積させた後で、電磁波の照射を実施する。
【0012】
上記方法は、実施が容易であり、単位時間当たりの高い生産性を可能とする。
【0013】
本発明の方法では、1種類若しくは複数種の光開始剤、又は溶媒若しくはモノマー中のその溶液若しくは分散液を、プラズマ処理、コロナ処理若しくは火炎前処理しておいた基材に適用した後、そして、用いた全ての溶媒を蒸発させて除去するための任意の乾燥ステップの後において、UV/VIS光に曝露することにより光開始剤についての固着ステップを実施する。本出願に関連して、用語「乾燥させる」は、双方の変法、溶媒の除去と光開始剤の固着の双方を包含する。
【0014】
上記で記載した好ましい方法のステップ(c)では、乾燥、即ち、溶媒の除去は、任意である。このステップは、例えば、溶媒を全く用いなかったときは、省略することができる。ステップ(c)における、電磁波(特に、UV/VIS放射線)の照射による光開始剤の固着は、実施しなくてはならない。
【0015】
上記で記載した方法における本方法のステップ(b)は、好ましくは、常圧下で実施する。
【0016】
本方法のステップ(b)において、モノマー又は/及びオリゴマーと光開始剤との混合物を使用する場合、モノマーと1種類以上の光開始剤の混合物を使用するのが好ましい。
【0017】
減圧条件下でプラズマを得るのに可能な方法は、文献中にしばしば記載されてきた。電気エネルギーは、誘導性手段又は容量性手段によって結合させることができる。それは、直流又は交流であってよく;交流の周波数は、数kHzからMHzの範囲にまでわたり得る。マイクロ波範囲(GHz)の電源も可能である。
プラズマ生成の原理及び維持の原理は、例えば、上記で記載したA.T.Bell及びH.Suhrによる総説論文に記載されている。
【0018】
主要なプラズマガスとしては、例えば、He、アルゴン、キセノン、N、O、H、水蒸気又は空気を用いることが可能である。
【0019】
本発明の方法は、それ自体、電気エネルギーの結合に関して感受性ではない。
【0020】
本発明の方法は、例えば回転するドラム内で、バッチ式によって実施することが可能であるか、又はフィルム、繊維若しくは織布の場合は、連続的に実施することが可能である。そのような方法は、既知であり、従来の技術文献に記載されている。
【0021】
本発明の方法は、コロナ放電条件下で実施することもできる。コロナ放電は常圧条件下で生成させ、その際、使用する電離ガスは空気であることが最も多い。しかしながら、原則としては、例えば、文献(COATING Vol.2001, No.12, 426(2001))に記載されているように、別のガスや混合物も使用可能である。コロナ放電における電離ガスとしての空気の利点は、外部に対して開かれた装置内で操作を実施可能なことであり、例えば、フィルムを放電極の間で連続的に延伸することができることである。そのような工程編成は既知であり、例えば、以下の文献に記載されている:J.Adhesion Sci. Technol. Vol.7, No.10, 1105(1993)。三次元的なワークピースは、ロボットを用いて外形を追跡しながらプラズマジェットで処理することができる。
【0022】
基材の火炎処理は当業者には知られている。対応する工業的装置、例えば、フィルムを火炎処理するための対応する工業的装置は、商業的に入手可能である。そのような処理では、フィルムは、通常は円筒状のローラーの全長に沿って平行に配置された一連のバーナーからなる火炎処理装置を通過して、冷却された円筒状のローラー上を搬送される。詳細については、火炎処理装置の製造者のパンフレット中に見出すことができる(例えば、esse Cl, 火炎処理装置、イタリア)。選ぶべきパラメーターは、処理しようとする特定の基材に左右される。例えば、火炎の温度、火炎の強さ、滞留時間、基材とバーナーの間の距離、燃焼ガスの種類、空気圧、湿度などは、当該基材に適合させる。火炎ガスとしては、例えば、メタン、プロパン、ブタン、又は70%のブタンと30%のプロパンの混合物などを用いることができる。
【0023】
処理しようとする無機又は有機の基材は、任意の固体形態であることが可能である。基材は、好ましくは、織布、繊維、フィルム又は三次元的なワークピースの形態をしている。基材は、例えば、熱可塑性の、エラストマー性の、もともと架橋しているか若しくは架橋させた重合体、別の金属酸化物(例えば、堆積させる金属酸化物と別のもの)、セラミック材料、ガラス、別の金属(例えば、堆積させる金属と別のもの)、皮革又は繊維製品であり得る。
【0024】
プラズマ処理、コロナ処理又は火炎処理の形態での基材の前処理は、例えば、繊維又はフィルムを押出した直後にも実施することができるし、また、フィルムの延伸後に直接実施することもできる。
【0025】
無機又は有機の基材は、好ましくは、熱可塑性の、エラストマー性の、もともと架橋しているか若しくは架橋させた重合体、セラミック材料又はガラス、特に、熱可塑性の、エラストマー性の、もともと架橋しているか若しくは架橋させた重合体である。
【0026】
熱可塑性の、エラストマー性の、もともと架橋しているか又は架橋させた重合体の例を、以下に挙げる。
【0027】
1.モノオレフィンの重合体及びジオレフィンの重合体、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエン、及び、シクロオレフィン(例えば、シクロペンテン又はノルボルネン)の重合生成物;並びに、ポリエチレン(場合により架橋されていてもよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。例証として先の段落中で言及したポリオレフィン(即ち、モノオレフィンの重合体)、特に、ポリエチレン及びポリプロピレンは、様々な方法で調製可能であり、特に、下記の方法によって調製することができる。
(a)フリーラジカル重合(通常、高圧及び高温下)による方法。
(b)触媒を用いた方法(ここで、触媒は、通常、IVb族、Vb族、VIb族又はVIII族の1種類以上の金属を含んでいる)。一般に、これらの金属は、1つ以上の配位子、例えば、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリール(π配位又はσ配位のいずれでもよい)を有する。そのような金属錯体は、遊離していてもよいか、又は担体(例えば、活性化された塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素など)に固定されていてもよい。そのような触媒は、重合媒体に可溶性であっても又は不溶性であってもよい。触媒は、重合の際にそれ自体活性を有し得るか、又はさらなる活性化剤、例えば、金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物又は金属アルキルオキサンなどを用いてもよく、ここで、金属は、Ia族、IIa族及び/又はIIIa族の元素である。活性化剤は、例えば、さらなるエステル基、エーテル基、アミン基又はシリルエーテル基で修飾されたものであってもよい。通常、そのような触媒系は、フィリップス触媒、Standard Oil Indiana触媒、チーグラー触媒(チーグラー−ナッタ触媒)、TNZ触媒(DuPont)、メタロセン触媒又は単一部位触媒(single site catalyst;SSC)と呼ばれる。
【0028】
2.(1)で挙げた重合体の混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)、及び、異なるタイプのポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0029】
3.モノオレフィンとジオレフィンの相互の共重合体、又はモノオレフィン及びジオレフィンと別のビニルモノマーとの共重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)及びその低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテン−1共重合体、プロピレン/イソブチレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メチルペンテン共重合体、エチレン/ヘプテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、プロピレン/ブタジエン共重合体、イソブチレン/イソプレン共重合体、エチレン/アクリル酸アルキル共重合体、エチレン/メタクリル酸アルキル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体及びその一酸化炭素との共重合体、又はエチレン/アクリル酸共重合体及びその塩(イオノマー)、並びに、エチレンとプロピレン及びジエン(例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボレネン)とのターポリマー;及び、そのような共重合体の相互の混合物、又はそのような共重合体と(1)で挙げた重合体との混合物、例えば、ポリプロピレン−エチレン/プロピレン共重合体、LDPE−エチレン/酢酸ビニル共重合体、LDPE−エチレン/アクリル酸共重合体、LLDPE−エチレン/酢酸ビニル共重合体、LLDPE−エチレン/アクリル酸共重合体、及び、交互構成又はランダム構成のポリアルキレン−一酸化炭素共重合体、並びに、それらの別の重合体(例えば、ポリアミド)との混合物。
【0030】
4.炭化水素樹脂(例えば、C〜C)。これは、その水素化改質物(例えば、粘着付与剤樹脂)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物を包含する。
【0031】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0032】
6.スチレン又はα−メチルスチレンとジエン又はアクリル酸誘導体との共重合体、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチル;スチレン共重合体と別の重合体(例えば、ポリアクリラート、ジエン重合体又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー)からなる高耐衝撃性混合物;並びに、スチレンのブロック共重合体、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン、又はスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン。
【0033】
7.スチレン又はα−メチルスチレンのグラフト共重合体、例えば、ポリブタジエンへのスチレン、ポリブタジエン/スチレン又はポリブタジエン/アクリロニトリル共重合体へのスチレン、ポリブタジエンへのスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチル;ポリブタジエンへのスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイン酸イミド;ポリブタジエンへのスチレン及びマレイン酸イミド、ポリブタジエンへのスチレン及びアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキル、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーへのスチレン及びアクリロニトリル、ポリアクリル酸アルキル又はポリメタクリル酸アルキルへのスチレン及びアクリロニトリル、アクリラート/ブタジエン共重合体へのスチレン及びアクリロニトリル、並びに、それらと(6)で挙げた共重合体の混合物、例えば、いわゆる、ABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマー又はAESポリマーとして知られているもの。
【0034】
8.ハロゲン含有重合体、例えば、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン/イソプレンの塩素化及び臭素化共重合体(ハロブチルゴム)、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンの共重合体、エピクロロヒドリンの単独重合体及び共重合体、特に、ハロゲン含有ビニル化合物の重合体、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;並びに、それらの共重合体、例えば、塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル、又は塩化ビニリデン/酢酸ビニル。
【0035】
9.α,β−不飽和酸及びその誘導体から誘導された重合体、例えば、ポリアクリラート及びポリメタクリラート、又はアクリル酸ブチルで耐衝撃性が改質されたポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0036】
10.(9)で挙げたモノマーの相互の共重合体、又は(9)で挙げたモノマーと別の不飽和モノマーの共重合体、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキル共重合体、アクリロニトリル/ハロゲン化ビニル共重合体、又はアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマー。
【0037】
11.不飽和アルコール及びアミン若しくはそのアシル誘導体又はアセタールから誘導された重合体、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル又はポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリル、ポリアリルメラミン;並びに、それらと(1)で挙げたオレフィンとの共重合体。
【0038】
12.環状エーテルの単独重合体又は共重合体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はそれらとビスグリシジルエーテルの共重合体。
【0039】
13.ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン、及び、コモノマー(例えば、エチレンオキシド)を含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリラート又はMBSで改質されたポリアセタール。
【0040】
14.ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド、並びに、それらとスチレン重合体又はポリアミドとの混合物。
【0041】
15.一方では末端ヒドロキシル基を有し、他方では脂肪族ポリイソシアナート又は芳香族ポリイソシアナートを有する、ポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから誘導されたポリウレタン、並びに、その初期生成物。
【0042】
16.ジアミンとジカルボン酸から誘導された、及び/又はアミノカルボン酸若しくは対応するラクタムから誘導された、ポリアミド及びコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンとジアミンとアジピン酸から誘導された芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸及び/又はテレフタル酸と場合により変性剤としてのエラストマーとから製造されたポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。上記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィン共重合体、イオノマー又は化学的に結合若しくはグラフトされたエラストマーとのブロック共重合体;又は上記ポリアミドとポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体。さらにまた、EPDM又はABSで改質されたポリアミド又はコポリアミド;及び、処理の際に縮合させたポリアミド(「RIMポリアミド系」)。
【0043】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンゾイミダゾール。
【0044】
18.ジカルボン酸とジアルコールとから誘導された、及び/又はヒドロキシカルボン酸若しくは対応するラクトンから誘導された、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタラート、ポリヒドロキシベンゾアート、及び、ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されたブロックポリエーテルエステル;並びに、ポリカーボネート又はMBSで改質されたポリエステル。
【0045】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0046】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0047】
21.一方ではアルデヒドから誘導され、他方ではフェノール、尿素又はメラミンから誘導された、架橋された重合体、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、及び、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂。
【0048】
22.乾性アルキド樹脂及び非乾性アルキド樹脂。
【0049】
23.飽和ジカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールのコポリエステルと、さらに、架橋剤としてのビニル化合物から誘導された、不飽和ポリエステル樹脂、並びにそのハロゲン含有難燃性改質物。
【0050】
24.置換アクリル酸エステル、例えば、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート又はポリエステルアクリラートなどから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0051】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアナート、イソシアヌラート、ポリイソシアナート又はエポキシ樹脂で架橋された、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリラート樹脂。
【0052】
26.脂肪族グリシジル化合物、脂環式グリシジル化合物、複素環式グリシジル化合物又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルの生成物。これらは、慣習的な硬化剤(例えば、酸無水物又はアミン)を促進剤と一緒に又は促進剤なしで用いて架橋させる。
【0053】
27.天然高分子、例えば、セルロース、天然ゴム、ゼラチン、又は重合体−化学的に均質に改質されたその誘導体、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース、並びに、セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース;並びに、松ヤニ樹脂及び誘導体。
【0054】
28.上記で記載した重合体の混合物(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM若しくはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリラート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリラート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及び共重合体、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS、又はPBT/PET/PC。
【0055】
基材は、例えば、商業的印刷分野、シートファット印刷又はウェブ印刷、ポスター、カレンダー、組版、ラベル、包装用ホイル、テープ、クレジットカード、家具外郭などに用いられるような基材であり得る。基材は、非食品分野での使用に限定されない。さらにまた、基材は、例えば、栄養の分野に用いるための材料、例えば、食物、化粧品、医薬などの包装として用いるための材料であってもよい。
【0056】
基材が本発明の方法で前処理されている場合、例えば、通常は相互の親和性に乏しい基材を、互いに付着するよう結合させるか又は積層させることも可能である。
【0057】
本発明との関連においては、紙は、特に厚紙の形態にある、もともと架橋している重合体であるとしても理解すべきであり、それは、例えばテフロン(登録商標)でさらにコーティングすることができる。そのような基材は、例えば、商業的に入手可能である。
【0058】
熱可塑性の、架橋させたか、又はもともと架橋しているプラスチックは、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はアクリル/メラミン、アルキド若しくはポリウレタンの表面コーティングである。
【0059】
ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレンが特に好ましい。
【0060】
プラスチックは、例えば、フィルム、射出成形された物品、押出しされたワークピース、繊維、フェルト又は織布の形態であり得る。
【0061】
無機基材としては、特に、ガラス、セラミック材料、金属酸化物及び金属が考慮される。それらは、ケイ酸塩及び半金属又は金属酸化物ガラスであり得るが、ここで、これらは、好ましくは、層の形態であるか、又は平均粒径が好ましくは10nm〜2000μmの粉末の形態である。粒子は、稠密又は多孔質であり得る。酸化物及びケイ酸塩の例は、SiO、TiO、ZrO、MgO、NiO、WO、Al、La、シリカゲル、粘土及びゼオライトである。好適な無機基材は、金属の他に、シリカゲル、酸化アルミニウム、酸化チタン及びガラス、並びに、それらの混合物である。
【0062】
金属基材としては、特に、Fe、Al、Ti、Ni、Mo、Cr及び合金鋼が考慮される。
【0063】
本発明の方法で用いるのに適する光開始剤は、原則として、電磁波を照射されたときに1つ以上のフリーラジカルを形成する任意の化合物及び混合物である。これらには、複数の開始剤からなる開始剤系が包含され、また、互いに独立して機能するか又は相助して機能する系が包含される。助開始剤(例えば、アミン、チオール、ホウ酸塩、エノラート、ホスフィン、カルボン酸塩及びイミダゾールなど)に加えて、増感剤、例えば、アクリジン、キサンテン、チアゼン、クマリン、チオキサントン、トリアジン及び染料などを用いることも可能である。そのような化合物及び開始剤系についての記述は、例えば、以下の文献中に見いだすことができる:Crivello J.V., Dietliker K.K. (1999): Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints 及び Bradley G.(ed.) Vol.3: Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation 2nd Edition, John Wiley & Sons Ltd.。
【0064】
ステップ(b)における本発明の方法に適する光開始剤は、不飽和基を有する開始剤又はそのような基を有さない開始剤のいずれでもよい。そのような化合物及び誘導体は、例えば、以下の化合物の群から誘導される:ベンゾイン、ベンジルケタール、アセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、アシルオキシイミノケトン、アルキルアミノ置換ケトン、例えば、ミヒラーケトン、ペルオキシ化合物、ジニトリル化合物、ハロゲン化アセトフェノン、フェニルグリオキシラート、二量体性フェニルグリオキシラート、ベンゾフェノン、オキシム及びオキシムエステル、チオキサントン、クマリン、フェロセン、チタノセン、オニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ホウ酸塩、トリアジン、ビスイミダゾール、ポリシラン並びに染料。ここで挙げた化合物群の化合物を相互に組合せたものや、ここで挙げた化合物群の化合物を対応する助開始剤系及び/又は増感剤と組合せたものを用いることも可能である。
【0065】
そのような光開始剤化合物の例は、以下のものである:α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル−ケトン又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノ−エタン、(4−モルホリノ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−プロパン、(4−モルホリノ−ベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノ−プロパン、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチル−アミノ−プロパン、ベンジルジメチルケタール、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニル−ホスフィノキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−エトキシ−フェニル−ホスフィノキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィノキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィノキシド又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィノキシド、5,5’−オキソジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)、1−ヒドロキシ−5−(フェニルジカルボニルオキシ)−3−オキソ−ペンタン及びジシクロペンタジエニル−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロロ)チタン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンのようなビスアクリジン誘導体、オキシムエステル、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム又は別のオキシムエステル(例えば、GB 2339571及びUS 2001/0012596に記載されているオキシムエステル);及び、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−フェニル−3’−メチル−ベンゾフェノン、4−フェニル−2’,4’,6’−トリメチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)−ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゾールメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル−ベンゾールメタンアミニウムクロリド;2,2−ジクロロ−1−(4−フェノキシフェニル)−エタノン、4,4’−ビス(クロロメチル)−ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン;
【0066】
【化8】

【0067】
[ここで、a、b及びcは、平均して3の値である](SiMFPI2);及び、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、3−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン。
【0068】
光開始剤は、好ましくは、式(I)又は式(Ia):
【0069】
【化9】

【0070】
[式中、
(IN)は、光開始剤の基本構造であり;
Aは、スペーサー基又は単結合であり;
(RG)は、水素であるか、又は少なくとも1つの官能性エチレン性不飽和基であり;
(RG’)は、単結合であるか、又は少なくとも1つの官能性エチレン性不飽和基を含んでいる二価の基であるか、又は三価の基である]
で表される化合物である。
【0071】
興味深いのは、式中の、
(IN)が、式(II)又は式(III):
【0072】
【化10】

【0073】
で表される光開始剤の基本構造であり、
が、基(A)、基(B)若しくは基(C):
【0074】
【化11】

【0075】
であるか、又は基(III)であり;
nが、0〜6の数であり;
が、水素、C〜C12アルキル、ハロゲン若しくは基(RG)−A−であるか、又はRが基(A)である場合は、カルボニル基に対してオルト位にある2つの基Rが一緒になって、−S−若しくは:
【0076】
【化12】

【0077】
であってもよく;
及びRが、それぞれ互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、フェニル又はベンゾイルであり、ここで、基フェニル及び基ベンゾイルは、それぞれ、置換されていないか、又はハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルチオ若しくはC〜Cアルコキシで置換されており;
が、水素、ハロゲン、C〜C12アルキル若しくはC〜C12アルコキシであるか、又は基(RG)−A−であり;
が、OR若しくはN(Rであるか、又は:
【0078】
【化13】

【0079】
であり;
及びRが、それぞれ互いに独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルコキシ、フェニル若しくはベンジルであるか、又はRとRが一緒になって、C〜Cアルキレンであり;
が、水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノイルであり;
10が、水素、C〜C12アルキル又はフェニルであり;
11が、C〜Cアルキルであるか、又は:
【0080】
【化14】

【0081】
であり;
が、酸素又は硫黄である;
式(I)又は式(Ia)で表される化合物である。
【0082】
(IN)は、例えば、基:
【0083】
【化15】

【0084】
である。
【0085】
式(I)又は式(Ia)で表される化合物中のAは、例えば、単結合、スペーサー基:
【0086】
【化16】

【0087】
である。
【0088】
X、Y及びZは、それぞれ互いに独立して、単結合、−O−、−S−、−N(R10)−、−(CO)−、−(CO)O−、−(CO)N(R10)−、−O−(CO)−、−N(R10)−(CO)−又は−N(R10)−(CO)O−である。
【0089】
及びAは、例えば、それぞれ互いに独立して、C〜Cアルキレン、C〜C12シクロアルキレン、フェニレン、フェニレン−C〜Cアルキレン又はC〜Cアルキレン−フェニレン−C〜Cアルキレンである。
【0090】
a、b、c及びdは、それぞれ互いに独立して、0〜4の数である。
【0091】
特に好ましい式(I)又は式(Ia)の化合物においては、式中のAは、スペーサー基−Z−[(CH−Y]−[(CH−X]−であり、X、Y、Z、a、b、c及びdは、上記で定義したとおりである。
【0092】
式(I)又は式(Ia)で表される化合物において、
(RG)は、水素又はRC=CR−、特に、RC=CR−であり;
(RG’)は、単結合:
【0093】
【化17】

【0094】
であり、
、R及びRは、それぞれ、H又はC〜Cアルキル、特に、H又はCHである。
【0095】
そのような光開始剤化合物の製造は、当業者には知られており、多くの刊行物中に既に記述されている。
【0096】
例えば、不飽和基を含んでいる化合物は、4−[2−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン[Irgacure(登録商標)2959,Ciba Spezialitatenchemie]を、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有するイソシアナートと反応させるか、又はアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する別の化合物と反応させることにより製造することができる(例えば、US 4,922,004を参照されたい)。
【0097】
商業的に入手できる不飽和光開始剤は、例えば、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン(UCB製のUvecryl P36)、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルフェニルメタンアミニウムクロリド(Great Lakes製のQuantacure ABQ)、及び、いくつかの共重合可能な不飽和第三級アミン(UCB Radcure Specialties製のUvecryl P101、Uvecryl P104、Uvecryl P105、Uvecryl P115)又は共重合可能なアミノアクリラート(Ackros製のPhotomer 4116及びPhotomer 4182;BASF製のLaromer LR8812;Cray Valley製のCN381及びCN386)である。
【0098】
以下に示してある刊行物には、エチレン性不飽和官能基を有する適切な光開始剤化合物のさらに別の具体的な例及びその製造法が記載されている:
不飽和アセトフェノン誘導体及び不飽和ベンゾフェノン誘導体は、例えば、US 3,214,492、US 3,429,852、US 3,622,848及びUS 4,304,895に記載されていて、例えば:
【0099】
【化18】

【0100】
である。同様に適切なのは、例えば:
【0101】
【化19】

【0102】
及び、共重合可能なさらに別のベンゾフェノン、例えば、UCB製のEbecryl P36、又はEbecryl P38を30%トリプロピレングリコールジアクリラート中に希釈した形態のものである。
【0103】
共重合可能なエチレン性不飽和アセトフェノン化合物は、例えば、US 4,922,004中に見出すことができて、例えば:
【0104】
【化20】

【0105】
である。2−アクリロイルチオキサントンは、以下の文献において公開されている:Eur. Polym. J. 23, 985(1987)。
【0106】
式:
【化21】

【0107】
のような例は、DE 2 818 763に記載されている。さらなる不飽和カルボナート基含有光開始剤化合物は、EP 377 191中に見出すことができる。UCB製のUvecryl(登録商標)P36(上述)は、エチレンオキシド単位によってアクリル官能基に結合したベンゾフェノンである[以下の文献を参照されたい:UCBからのTechnical Bulletin 2480/885 (1985)、又はNew Polym. Mat., 1, 63(1987)]。
【0108】
式:
【化22】

【0109】
は、以下の文献において公開されている:Chem. Abstr. 128: 283649r。
【0110】
DE 195 01 025には、さらに別の適切なエチレン性不飽和光開始剤化合物を示されている。その例は、4−ビニルオキシカルボニルオキシベンゾフェノン、4−ビニルオキシカルボニルオキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ビニルオキシカルボニルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、N−ビニルオキシカルボニル−4−アミノベンゾフェノン、ビニルオキシカルボニルオキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、2−ビニルオキシカルボニルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ビニルオキシカルボニルオキシ−5−フルオロ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ビニルオキシカルボニルオキシアセトフェノン、2−ビニルオキシカルボニルオキシアセトフェノン、N−ビニルオキシカルボニル−4−アミノアセトフェノン、4−ビニルオキシカルボニルオキシベンジル、4−ビニルオキシカルボニルオキシ−4’−メトキシベンジル、ビニルオキシカルボニルベンゾインエーテル、4−メトキシベンゾインビニルオキシカルボニルエーテル、フェニル(2−ビニルオキシカルボニルオキシ−2−プロピル)ケトン、(4−イソプロピルフェニル)−(2−ビニルオキシカルボニルオキシ−2−プロピル)ケトン、フェニル−(1−ビニルオキシカルボニルオキシ)−シクロヘキシルケトン、2−ビニルオキシカルボニルオキシ−9−フルオレノン、2−(N−ビニルオキシカルボニル)−9−アミノフルオレノン、2−ビニルカルボニルオキシメチルアントラキノン、2−(N−ビニルオキシカルボニル)−アミノアントラキノン、2−ビニルカルボニルオキシチオキサントン、3−ビニルカルボニルオキシチオキサントン、又は、式:
【0111】
【化23】

【0112】
である。
【0113】
US 4,672,079には、とりわけ、2−ヒドロキシ−2−メチル(4−ビニルプロピオフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−p−(1−メチルビニル)プロピオフェノン、p−ビニルベンゾイルシクロヘキサノール、p−(1−メチルビニル)ベンゾイル−シクロヘキサノールの製造について開示されている。
【0114】
同様に適切なのは、特開平2-292307号公報に記載された、4−[2−(ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン(Irgacure(登録商標)2959,Ciba Spezialitaetenchemie)とアクリロイル基又はメタクリロイル基を含んでいるシソシアナートとの反応生成物、例えば:
【0115】
【化24】

【0116】
[ここで、Rは、H又はCHである]である。
【0117】
適切な光開始剤のさらなる例は:
【0118】
【化25】

【0119】
である。
【0120】
以下の例は、W.Baeumerらにより、文献(Radcure '86, Conference Proceedings, 4-43〜4-54)に記載された。
【0121】
式:
【化26】

【0122】
G. Wehnerらは:
【0123】
【化27】

【0124】
に関して、Radtech '90 North Americaに報告している。本発明の方法では、RadTech 2002, North Americaで提示された化合物:
【0125】
【化28】

【0126】
[ここで、x、y及びzは、平均3である](SiMFPI2)、及び、
【0127】
式:
【化29】

【0128】
もまた適切である。
【0129】
本発明の方法では、飽和光開始剤又は不飽和光開始剤のいずれを用いることも可能である。不飽和光開始剤を用いるのが好ましい。
【0130】
本発明の方法では、当然のことながら、異なる光開始剤の混合物、例えば、飽和光開始剤と不飽和光開始剤の混合物を用いることも可能である。
【0131】
不飽和基を含んでいない光開始剤は当業者には知られており、非常に多くの種類の多種多様なそのような光開始剤が商業的に入手可能である。本発明の方法では、プラズマ処理、コロナ処理又は火炎処理を行った後で、そのように処理された基材の表面に付着するどのような光開始剤も原則的に適している。
【0132】
異なる基における、式(I)及び式(Ia)中で定義された置換基の意味について、以下で説明する。
【0133】
〜C12アルキルは、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル又はC〜Cアルキルである。その例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチル−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルであり、特には、例えば、メチル又はブチルである。
【0134】
〜Cアルキル及びC〜Cアルキルも、同様に、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、適切な炭素原子数までの上記の意味を有する。ベンゾイル又はフェニルに対するC〜Cアルキル置換基は、特に、C〜Cアルキル、例えば、メチル又はブチルである。
【0135】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素であり、特に、塩素及び臭素、好ましくは、塩素である。
【0136】
が基(A)であり、カルボニル基に対してオルト位にある2つの基Rが一緒になって−S−又は−(C=O)−である場合、例えば、チオキサントン基本構造:
【0137】
【化30】

【0138】
又はアントラキノン基本構造:
【0139】
【化31】

【0140】
を有する構造が得られる。
【0141】
〜Cアルカノイルは、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、C〜Cアルカノイルである。その例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル及びヘキサノイルであり、好ましくはアセチルである。C〜Cアルカノイルは、適切な炭素原子数までの上記の意味を有する。
【0142】
〜C12アルコキシは、直鎖又は分枝鎖の基を意味し、例えば、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ又はC〜Cアルコキシである。その例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ、2−エチル−ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ及びドデシルオキシであり、特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、好ましくはメトキシである。C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルコキシも、同様に、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、適切な炭素原子数までの上記の意味を有する。
【0143】
〜Cアルキルチオは、直鎖又は分枝鎖の基を意味し、例えば、C〜Cアルキルチオである。その例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、s−ブチルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ及びヘキシルチオであり、特に、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、s−ブチルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ、好ましくは、メチルチオである。C〜Cアルキルチオも、同様に、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、適切な炭素原子数までの上記の意味を有する。
【0144】
ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルチオ又はC〜Cアルコキシで置換されたフェニル基又はベンゾイル基は、例えば、フェニル環において、1置換〜5置換、例えば、1置換、2置換又は3置換、特に、2置換又は3置換されている。好ましいのは、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジクロロベンゾイル、2,6−ジメチルベンゾイル又は2,6−ジメトキシベンゾイルである。
【0145】
〜Cアルキレン及びC〜Cアルキレンは、直鎖又は分枝鎖のアルキレン、例えば、C〜Cアルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、s−ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン、ペンチレン及びヘキシレンである。好ましいのは、C〜Cアルキレン、例えば、エチレン又はブチレン、
【0146】
式:
【化32】

【0147】
であり、さらにまた、メチレン及びエチレンである。
【0148】
フェニレン−C〜Cアルキレンは、芳香環の1つの位置においてC〜Cアルキレンで置換されたフェニレンであり、一方、C〜Cアルキレン−フェニレン−C〜Cアルキレンは、フェニレン環の2つの位置においてC〜Cアルキレンで置換されたフェニレンである。アルキレン基は、直鎖又は分枝鎖であり、例えば、適切な炭素原子数までの上記の意味を有する。その例は:
【0149】
【化33】

【0150】
である。
【0151】
しかしながら、アルキレン基は、フェニレン環の別の部位に位置してもよく、例えば、1,3−位に位置してもよい。
【0152】
シクロアルキレンは、例えば、C〜C12シクロアルキレン又はC〜Cシクロアルキレン、例えば、シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロオクチレン及びシクロドデシレンであり、特に、シクロペンチレン及びシクロヘキシレン、好ましくは、シクロヘキシレンである。しかしながら、C〜C12シクロアルキレンは、さらにまた、
【0153】
式:
【化34】

【0154】
[ここで、x及びyは、それぞれ互いに独立して、0〜6であり、また、xとyの和は、6以下である]
又は、式:
【0155】
【化35】

【0156】
[ここで、x及びyは、それぞれ互いに独立して、0〜7であり、また、xとyの和は、7以下である]
のような構造単位も意味する。
【0157】
〜C12アルケニル基は、モノ不飽和又はポリ不飽和で、直鎖又は分枝鎖であり得る。C〜C12アルケニル基は、例えば、C〜Cアルケニル、C〜Cアルケニル又はC〜Cアルケニルである。その例は、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、1−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ペンタジエニル、1−ヘキセニル、1−オクテニル、デセニル及びドデセニルであり、特に、アリルである。
【0158】
とRが一緒になってC〜Cアルキレンである場合、それらは、それらが結合している炭素原子と一緒に、C〜Cシクロアルキル環を形成する。C〜Cシクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであり、特に、シクロペンチル又はシクロヘキシル、好ましくはシクロヘキシルである。
【0159】
C=CR−は、例えば、−CH=CH又はC(CH)=CHであり、好ましくは、−CH=CHである。
【0160】
光開始剤を適用した後、ワークピースは、貯蔵することができ、又は直ちにさらに加工することが可能であり、気相から、金属、半金属又は金属酸化物を堆積させる。
【0161】
本発明との関連では、電磁波は、ステップ(c)及びステップ(d)で使用する。好ましくは、電磁波はUV/VIS放射線であり、これは、150nm〜700nmの波長範囲内の電磁波であると理解されるべきである。好ましいのは、250nm〜500nmの範囲である。適切なランプは当業者には既知であり、商業的に入手できる。
【0162】
非常に多くの殆どの種類の光源を用いることができる。点光源と平面的な放射体(ランプ列)の双方が適している。その例は、炭素アーク灯、キセノンアーク灯、適切な場合には金属ハロゲン化物でドーピングされた、中圧、超高圧、高圧及び低圧の水銀放射器(ハロゲン化金属灯)、マイクロ波励起金属蒸気灯、エキシマー灯、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、閃光灯、写真用投光照明灯、発光ダイオード(LED)、電子ビーム及びX線である。ランプと照射しようとする基材との間の距離は、使用目的並びにランプの種類及び強さに応じてさまざまであることができ、例えば、2cm〜150cmであり得る。同様に適切なのは、レーザー光源、例えば、エキシマーレーザー、例えば、248nmでの照射のためのクリプトン−Fレーザーである。可視範囲内のレーザーを用いることもできる。
【0163】
適切な放射線源についての上記記載は、本発明方法の照射ステップ(c)(光開始剤の固着)と、本方法のステップ(d)(金属、金属酸化物又は半金属の堆積)の手順との双方に関する。
【0164】
有利には、本方法のステップ(c)で用いられる放射線の線量は、例えば、1mJ/cm2〜1000mJ/cm2、例えば、1mJ/cm2〜800mJ/cm2であるか、又は例えば、1mJ/cm2〜500mJ/cm2、例えば、5mJ/cm2〜300mJ/cm2、好ましくは、10mJ/cm2〜200mJ/cm2である。
【0165】
本発明の方法は、広い圧力範囲内で実施することが可能であり、放電特性は、圧力が純粋な低温プラズマからコロナ放電へと上昇するにつれてシフトし、最終的には、約1000〜1100mbarの大気圧で、純粋なコロナ放電へと変化する。
【0166】
方法は、好ましくは、10−6mbarから大気圧(1013mbar)までの工程圧力で実施し、特に、10−4〜10−2mbarの範囲内ではプラズマ法として実施し、また、大気圧ではコロナ法として実施する。火炎処理は、通常、大気圧で実施する。
【0167】
方法は、好ましくは、不活性ガス又は不活性ガスと反応性ガスの混合物をプラズマガスとして用いて実施する。
【0168】
コロナ放電を用いる場合、上記ガスとして、好ましくは、空気、CO及び/又は窒素を用いる。空気、H、CO、He、Ar、Kr、Xe、N、O又はHOを単独で用いるか又は混合物の形態で用いるのが、特に好ましい。
【0169】
堆積させた光開始剤層は、好ましくは、例えば、単分子層から500nmまでの範囲の厚さ、特に、5nm〜200nmの範囲の厚さを有する。
【0170】
無機又は有機の基材のプラズマ処理(a)は、好ましくは、1ミリ秒〜300秒間、特に、10ミリ秒〜200秒間実施する。
【0171】
原則として、プラズマ処理、コロナ処理又は火炎処理を実施した後、できるだけ速やかに光開始剤を適用するのが有利であるが、多くの目的に対して、ある時間的遅延の後に反応ステップ(b)を実施することも許容され得る。しかしながら、本方法のステップ(b)は、本方法のステップ(a)の直後に実施するか又は本方法のステップ(a)の実施後24時間以内に実施するのが好ましい。
【0172】
興味深いのは、本方法のステップ(c)を、本方法のステップ(b)の直後に実施するか又は本方法のステップ(b)の実施後24時間以内に実施するような方法である。
【0173】
前処理して光開始剤をコーティングした基材は、本方法のステップ(a)、本方法のステップ(b)及び本方法のステップ(c)によるコーティング及び乾燥の直後に本方法のステップ(d)に付すことができるか、又は前処理された形態で貯蔵することができる。
【0174】
光開始剤、又は該当する場合には複数の光開始剤及び/若しくは助開始剤の混合物を、例えば、純粋な形態で(即ち、それ以上の添加剤を含まずに)、又はモノマー若しくはオリゴマーと組み合わせて、又は溶媒に溶解させて、コロナ、プラズマ又は火炎で前処理した基材に適用する。開始剤又は開始剤混合物は、例えば、溶融形態であることもできる。開始剤又は開始剤混合物は、例えば、水中に、分散、懸濁又は乳濁させることも可能であり、必要に応じて分散剤を加える。もちろん、上記で挙げた成分、光開始剤、モノマー、オリゴマー、溶媒、水の任意の混合物を用いることも可能である。
【0175】
適切な分散剤(例えば、任意の界面活性化合物、好ましくは、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、さらに、高分子分散剤)は、通常、当業者には既知であり、また、例えば、US 4 965 294及びUS 5 168 087に記載されている。
【0176】
適切な溶媒は、原則として、溶液の形態であれ、又は懸濁液若しくは乳濁液の形態であれ、1種類又は複数種の光開始剤を適用に適した状態へと変換することが可能な任意の物質である。適切な溶媒は、例えば、アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなど、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、芳香族炭化水素、例えば、トルエン及びキシレン、エステル及びアルデヒド、例えば、酢酸エチル、ギ酸エチル、脂肪族炭化水素、例えば、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどであるか、あるいは、油、天然油、ヒマシ油、植物油などであり、また、合成油も適している。この記述は、決して網羅的ではなく、単に例示のために与えられたにすぎない。
【0177】
アルコール、水及びエステルが好ましい。
【0178】
本発明の方法のステップ(b)において場合により使用される、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含んでいるモノマー及び/又はオリゴマーは、1つ以上のエチレン性不飽和比重結合を含み得る。それらは、比較的低分子量(モノマー性)であり得るか、又は比較的高分子量(オリゴマー性)であり得る。二重結合を有するモノマーの例は、アルキルアクリラート、アルキルメタクリラート、ヒドロキシアルキルアクリラート及びヒドロキシアルキルメタクリラートであり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸イソボルニル、並びに、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルである。同様に興味深いのは、シリコーンアクリラートである。さらなる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えば、イソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、並びに、塩化ビニリデンなどである。
【0179】
1つより多くの二重結合を有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリラート、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、ヘキサメチレングリコールジアクリラート及びビスフェノールAジアクリラート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート(Sartomer 368;Cray Valley製)、並びに、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌラートである。
【0180】
アルコキシル化ポリオールのアクリル酸エステル、例えば、グリセロールエトキシラートトリアクリラート、グリセロールプロポキシラートトリアクリラート、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート、トリメチロールプロパンプロポキシラートトリアクリラート、ペンタエリトリトールエトキシラートテトラアクリラート、ペンタエリトリトールプロポキシラートトリアクリラート、ペンタエリトリトールプロポキシラートテトラアクリラート、ネオペンチルグリコールエトキシラートジアクリラート又はネオペンチルグリコールプロポキシラートジアクリラートなどを用いることも可能である。使用するポリオールのアルコキシル化の程度は、さまざまであり得る。
【0181】
比較的高分子量(オリゴマー性)のポリ不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステル、ビニルエーテル基含有ポリエステル、エポキシ基含有ポリエステル、ポリウレタン、並びに、ポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、不飽和ポリエステル樹脂であり、これは、通常、マレイン酸、フタル酸及び1種類以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有する。それに加えて、ビニルエーテルのモノマー及びオリゴマーを用いることも可能であり、さらにまた、ポリエステル主鎖、ポリウレタン主鎖、ポリエーテル主鎖、ポリビニルエーテル主鎖及びエポキシド主鎖を有するマレイン酸末端オリゴマーを用いることもできる。特に、ビニルエーテル基を有するオリゴマーと重合体の組合せ(これは、WO90/01512に記載されている)は、非常に適切であるが、マレイン酸で官能化されたモノマーとビニルエーテルとの共重合体も考慮される。
【0182】
同様に適切なのは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドのエステル、及び、エチレン性不飽和基を鎖中又は側基中に有するオリゴマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン、並びに、それらの共重合体、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエン共重合体、ポリイソプレン及びイソプレン共重合体、(メタ)アクリル基を側鎖中に有する重合体及び共重合体、並びに、1種類以上のそのような重合体の混合物である。
【0183】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びケイ皮酸、並びに、リノレン酸又はオレイン酸のような不飽和脂肪酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0184】
適切なポリオールは、芳香族ポリオール、並びに、特に、脂肪族ポリオール及び脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、並びにノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、ポリオールをベースとするもの、特に、芳香族ポリオールとエピクロロヒドリンをベースとするものである。ポリオールとして同様に適切なのは、重合体鎖又は側基中にヒドロキシル基を含んでいる重合体及び共重合体、例えば、ポリビニルアルコール及びその共重合体、又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル若しくはその共重合体である。適切なさらなるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0185】
脂肪族ポリオール及び脂環式ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールなどを挙げることができる。
【0186】
ポリオールは、1種類の不飽和カルボン酸又は種々の不飽和カルボン酸によって部分的に又は完全にエステル化されていてもよく、その際、部分エステル中の遊離ヒドロキシル基が修飾(例えば、エーテル化又は別のカルボン酸によるエステル化)されていてもよい。
【0187】
エステルの例は、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールエタントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、トリメチロールエタントリメタクリラート、テトラメチレングリコールジメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート、テトラエチレングリコールジアクリラート、ペンタエリトリトールジアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールジアクリラート、ジペンタエリトリトールトリアクリラート、ジペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、トリペンタエリトリトールオクタアクリラート、ペンタエリトリトールジメタクリラート、ペンタエリトリトールトリメタクリラート、ジペンタエリトリトールジメタクリラート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリラート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリラート、ペンタエリトリトールジイタコナート、ジペンタエリトリトールトリスイタコナート、ジペンタエリトリトールペンタイタコナート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコナート、エチレングリコールジアクリラート、1,3−ブタンジオールジアクリラート、1,3−ブタンジオールジメタクリラート、1,4−ブタンジオールジイタコナート、ソルビトールトリアクリラート、ソルビトールテトラアクリラート、ペンタエリトリトールで修飾されたトリアクリラート、ソルビトールテトラメタクリラート、ソルビトールペンタアクリラート、ソルビトールヘキサアクリラート、オリゴエステルアクリラート及びオリゴエステルメタクリラート、グリセロールジアクリラート及びグリセロールトリアクリラート、1,4−シクロヘキサンジアクリラート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリラート及びビスメタクリラート、並びに、それらの混合物である。
【0188】
同様に適切なのは、同一の不飽和カルボン酸又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6(特に、2〜4)のアミノ基を有する芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン及び脂肪族ポリアミンとのアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、並びに、ジ(β−アミノエトキシ)エタン及びジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。適切なさらなるポリアミンは、側鎖に追加のアミノ基を有していてもよい重合体及び共重合体、並びに、アミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリラート、及び、N−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0189】
適切な不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸とジオール又はジアミンとから誘導する。マレイン酸は、別のジカルボン酸で部分的に置き換えられていてよい。それらは、エチレン性不飽和共モノマー(例えば、スチレン)と一緒に用い得る。ポリエステル及びポリアミドは、ジカルボン酸とエチレン性不飽和ジオール又はジアミンとから誘導することも可能であり、特に、より長い鎖(例えば、6〜20個の炭素原子の鎖)を有するものから誘導することもできる。ポリウレタンの例は、飽和ジイソシアナートと不飽和ジオールから構成されるもの、又は不飽和ジイソシアナートと飽和ジオールから構成されるものである。
【0190】
ポリブタジエン及びポリイソプレン並びにそれらの共重合体は、既知である。適切なコモノマーとしては、例えば、オレフィン、例えば、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、(メタ)アクリラート、アクリロニトリル、スチレン、及び、塩化ビニルなどを挙げることができる。側鎖中に(メタ)アクリラート基を有する重合体も、同様に既知である。その例は、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物;ビニルアルコールの単独重合体若しくは共重合体、又は(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコールのヒドロキシアルキル誘導体の単独重合体若しくは共重合体;並びに、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートでエステル化された(メタ)アクリラートの単独重合体及び共重合体である。
【0191】
本出願に関連して、用語「(メタ)アクリラート」は、アクリラートとメタクリラートとの双方を包含する。
【0192】
アクリラート化合物又はメタクリラート化合物は、特に、モノエチレン性不飽和化合物又はポリエチレン性不飽和化合物として用いられる。
【0193】
特に好ましいのは、ポリ不飽和アクリラート化合物、例えば、上記で既に挙げたものなどである。
【0194】
従って、本発明は、光開始剤、又は光開始剤とモノマー若しくはオリゴマーの混合物を、1種類以上の液体(例えば、溶媒又は水)と組み合わせて、溶液、懸濁液及び乳濁液の形態で用いる製造方法にも関する。
【0195】
同様に興味深いのは、本方法のステップ(b)で用いられる光開始剤又は光開始剤の混合物を溶融形態で用いる製造方法である。
【0196】
従って、プラズマ、コロナ又は火炎で前処理を実施した後、本方法のステップ(b)において、前処理した基材に、例えば0.1〜15%、例えば0.1〜5%の不飽和基含有光開始剤を適用することが可能であるか、又は例えば0.1〜15%、例えば0.1〜5%の光開始剤(例えば、不飽和基を含んでいない光開始剤)と、例えば0.5〜10%のモノマー(例えば、アクリラート、メタクリラート、ビニルエーテルなど)を適用することが可能である。
【0197】
溶融物、溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液の形態にある、光開始剤又は光開始剤同士の混合物又は光開始剤とモノマー若しくはオリゴマーの混合物は、様々な方法で適用することが可能である。適用は、浸漬、吹付け、塗装、はけ塗り、へら付け塗り、ローラー塗り、印刷、スピンコーティング及び流し込みによって実施することができる。光開始剤同士の混合剤の場合、及び、光開始剤と助開始剤及び増感剤の混合物の場合、可能なすべての混合比を用いることができる。1種類のみの光開始剤又は光開始剤混合物のみを前処理した基材に適用する場合、これらの開始剤の濃度は、もちろん100%である。
【0198】
光開始剤を、モノマー又は/及び溶媒又は/及び水との混合物の形態で、液体、溶液、乳濁液又は懸濁液の形態で適用する場合、光開始剤は、適用しようとする溶液に基づいて、例えば、0.01〜99.9%、又は0.01〜80%、例えば、0.1〜50%、又は10〜90%の濃度で用いる。さらにまた、光開始剤を含んでいる液体は、例えば、さらに別の物質、例えば、消泡剤、乳化剤、界面活性剤、防汚剤、湿潤剤、及び、工業(特に、塗装及び塗料工業)で慣習的に使用される別の添加剤を含有し得る。
【0199】
コーティングを乾燥させる多くの可能な方法が知られており、それらはすべて、本願で特許請求されているステップで用いることができる。例えば、熱ガス、IR放射装置、マイクロ波及び高周波放射装置、オーブン並びに加熱ローラーを用いることが可能である。乾燥は、例えば、吸収、例えば、基材への浸透によって実施することもできる。これは、特に、本方法のステップ(c)での乾燥に関連するが、本方法のステップ(d2)で実施される乾燥にも適用される。乾燥は、例えば、0〜300℃、例えば、20〜200℃の温度で実施することができる。
【0200】
本方法のステップ(c)で光開始剤を固着させるために(さらにまた、本方法のステップ(d1)で配合物を硬化させるために)、コーティングは、既に上記で述べたように、用いた光開始剤が吸収できる波長の電磁波を放射する任意の線源を用いて照射することができる。そのような線源は、一般的に、200nm〜700nmの範囲内の光を放射する光源である。電子ビームを用いることも可能である。慣習的な放射装置及びランプに加え、レーザー及びLED(発光ダイオード)を用いることも可能である。コーティングの全領域又はその一部を照射し得る。特定の領域のみを付着させる場合には、部分照射が有利である。照射は、電子ビームを用いて実施することもできる。
【0201】
上記乾燥及び/又は上記照射は、空気又は不活性ガス下で実施することができる。窒素ガスは不活性ガスとして考慮されるが、他の不活性ガス、例えば、CO、又はアルゴン若しくはヘリウムなど、又はそれらの混合物を用いることも可能である。適切な系及び適切な装置は、当業者には既知であり、また、商業的に入手できる。
【0202】
前処理を実施した後、その前処理をされた基材に堆積させる金属、半金属及び金属酸化物の例は、以下のとおりである:亜鉛、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、クロム、モリブデン、アルミニウム、鉄、チタン。好ましいのは、金、銀、クロム、モリブデン、アルミニウム又は銅であり、特に、アルミニウム及び銅である。興味深いのは、さらに、以下の半金属及び金属酸化物である:酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化銅及び酸化ケイ素。
【0203】
好ましいのは、金、銀、クロム、モリブデン、アルミニウム又は銅である。
【0204】
減圧条件下で、金属、半金属又は金属酸化物を蒸発させ、光開始剤層で前処理した基材上に堆積させる。この堆積は、電磁波を照射しながら実施し得る。他方では、金属を堆積させてから照射を実施することも可能である。堆積ステップにおけるポット温度は使用する金属に依存するが、好ましくは、例えば、300〜2000℃の範囲、特に、800〜1800℃の範囲である。
【0205】
堆積ステップ中のUV放射は、例えば、陽極光灯(anodic light arc)により生成させ得るが、堆積後のUV放射に関しては、上記で記載した通常のランプも適している。
【0206】
金属をコーティングした基材は、例えば、電磁シールド用の拡散阻害層(diffusion inhibiting layer)として適しているか、又はそれらは、装飾用ホイル用若しくは包装(例えば、食品包装)に用いられるホイル用の装飾的な構成要素として使用することができる。
【0207】
本発明は、本発明の方法における光開始剤及び光開始剤系の使用にも関する。
【0208】
本発明は、上記方法に従って得ることができる、強く付着している金属コーティングにも関する。
【0209】
そのような強く付着しているコーティングは、保護層又は被覆物(ここで、これらは、追加的に着色することもできる)として重要であるのみではなく、例えばレジスト及び印刷版の技術における、画像形成コーティングのためにも重要である。画像形成法の場合、照射は、マスクを通して実施することが可能であるか、又は移動するレーザービームを用いる描画(レーザー直接結像(laser direct imaging)−LDI)によって実施することができる。そのような部分照射の後には現像又は洗浄のステップを行うことができ、そこでは、適用されたコーティングの一部を、溶媒及び/若しくは水を用いて除去するか、又は機械的に除去する。
【0210】
本発明の方法を画像形成コーティング(画像形成)の製造に用いる場合、画像形成ステップは、本方法のステップ(c)において実施することができる。
【0211】
従って、本発明は、さらにまた、本方法のステップ(b)で適用された光開始剤又は光開始剤とモノマー及び/又はオリゴマーの混合物の本方法のステップ(c)における照射後でも架橋していない部分を、溶媒及び/若しくは水で処理することにより除去するか、並びに/又は機械的に除去する製造方法にも関する。
【0212】
以下の実施例により本発明についてさらに例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。ここで、以下の記述及び請求項におけるように、部及び百分率は、特に別途示されていない限り、重量に関連付けられる。
【0213】
実施例1
13.56MHzで10W〜100Wの可変出力のプラズマ反応器内で、プラズマ処理を実施した。室温で5Paの圧力下、出力20Wのアルゴン/酸素プラズマ(ガス流:アルゴン10sccm,酸素2.5sccm)に、ポリエチレンホイル(PEホイル)を1秒間さらした。次いで、空気を入れ、サンプルに、4μmバーを用いて、
1%の光開始剤P38(共重合可能なベンゾフェノン;UCB製);
0.2%のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド(Irgacure 819;Ciba Specialty Chemicals(スイス)製);
1%のトリス(ヒドロキシエチル)−イソシアヌラート−トリアクリラート(Sartomer 368;Cray Valley製);
そして、
イソプロパノール;
を含んでいる配合物S1を適用した。
乾燥後、50m/分のベルト速度で、80W/cmの水銀ランプを用いてサンプルに照射した。
光開始剤層でコーティングした後、同じ反応器内で、2・10−4mbarの圧力下、陽極光灯法(VALICO法)で銅層を堆積させた。ポット温度は、1500〜1600℃である。約1分で、1μmの厚さの層が堆積した。
付着強度は、粘着テープを引き剥がすことにより決定した。銅層は、その粘着テープでは剥がれなかった。
【0214】
実施例2
本実施例の手順は、実施例1で記載した手順と同様であるが、但し、PEホイルの代わりに2軸延伸ポリプロピレン(BOPP)ホイルを使用した。粘着テープを使用した試験において、銅層は剥がれなかった。
【0215】
実施例3
本実施例の手順は、実施例1で記載した手順と同様であるが、但し、配合物S1の代わりに、以下の、
1%の光開始剤P38(共重合可能なベンゾフェノン;UCB製);
0.2%のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド(Irgacure 819;Ciba Specialty Chemicals(スイス)製);
1%の芳香族酸メタクリラート半エステル(Sarbox 400;Sartomer製);
及び、
イソプロパノール;
を含んでいる配合物S2を使用した。この場合も先と同様に、試験において、銅層は粘着テープでは剥がれなかった。
【0216】
実施例4
本実施例の手順は、実施例1で記載した手順と同様であるが、但し、配合物1の代わりに配合物2を使用し、また、基材として、PEホイルをBOPPホイルで置き換えた。テープを用いた試験は、銅層が基材上に充分に付着していることを示していることを示した。
【0217】
実施例5
ポリエチレンホイル(PEホイル)をコロナ処理(600W 5m/分)に付す。コロナで処理した基材上に、配合物1を適用し、照射した。そのサンプルを実施例1で使用したのと同様の反応器内に移し、2・10−4mbarの圧力下、陽極光灯法(VALICO法)で銅層を堆積させた。ポット温度は、1500〜1600℃である。約1分で、1μmの厚さの層が堆積した。試験において、銅層は、粘着テープでは剥がれなかった。
【0218】
実施例6
本実施例の手順は、実施例5で記載した手順と同様であるが、但し、PEホイルをBOPPホイルと替えた。試験の結果は、基材上に堆積させた銅層が良好に付着していることを示した。
【0219】
実施例7
本実施例の手順は、実施例5で記載した手順と同様であるが、但し、配合物S1を配合物S2に替えた。銅層は、基材上への良好な付着を示した。
【0220】
実施例8
本実施例の手順は、実施例5で記載した手順と同様であるが、但し、PEホイルをBOPPホイルに替え、配合物1を配合物2に替えた。試験の結果は、基材上に堆積させた銅層が良好に付着していることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機又は有機の基材に強く付着している金属コーティングを製造する方法であって、
(a)無機又は有機の基材上に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理又は火炎処理を実施し;
(b)無機又は有機の基材に、1種類以上の光開始剤、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含んでいるモノマー若しくは/及びオリゴマーと光開始剤との混合物、或いは前記物質の溶液、懸濁液若しくは乳濁液を適用し;
(c)ステップ(b)の層を場合により乾燥させ、そして、ステップ(b)の層に電磁波を照射し;そして
(d)光開始剤でプレコーティングした基材に、気相から、金属、半金属又は金属酸化物を堆積させる方法。
【請求項2】
ステップ(d)において、気相から、金属、半金属若しくは金属酸化物を堆積させている間又は堆積させた後で、電磁波の照射を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光開始剤が、ベンゾイン、ベンジルケタール、アセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、アシルオキシイミノケトン、ペルオキシ化合物、ハロゲン化アセトフェノン、フェニルグリオキシラート、二量体性フェニルグリオキシラート、ベンゾフェノン、オキシム及びオキシムエステル、チオキサントン、チアゾリン、フェロセン、クマリン、ジニトリル化合物、チタノセン、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩、ホウ酸塩、トリアジン、ビスイミダゾール、ポリシラン並びに染料の群からの化合物又はそのような化合物の組合せ、並びに更に対応する助開始剤及び/又は増感剤である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
光開始剤が、式(I)又は式(Ia):
【化1】


[式中、
(IN)は、光開始剤の基本構造であり;
Aは、スペーサー基又は単結合であり;
(RG)は、水素であるか、又は少なくとも1つの官能性エチレン性不飽和基であり;
(RG’)は、単結合であるか、又は少なくとも1つの官能性エチレン性不飽和基を含んでいる二価の基であるか、又は三価の基である]
で表される化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
式(I)又は式(Ia)で表される化合物において、
(IN)が、式(II)又は式(III):
【化2】


で表される光開始剤の基本構造であり、
が、基(A)、基(B)若しくは基(C):
【化3】


であるか、又は基(III)であり;
nが、0〜6の数であり;
が、水素、C〜C12アルキル、ハロゲン若しくは基(RG)−A−であるか、又はRが基(A)である場合は、カルボニル基に対してオルト位にある2つの基Rが一緒になって、−S−若しくは:
【化4】


であってもよく;
及びRが、それぞれ互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、フェニル又はベンゾイルであり、ここで、基フェニル及び基ベンゾイルは、それぞれ、置換されていないか、又はハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルチオ若しくはC〜Cアルコキシで置換されており;
が、水素、ハロゲン、C〜C12アルキル若しくはC〜C12アルコキシであるか、又は基(RG)−A−であり;
が、OR若しくはN(Rであるか、又は:
【化5】


であり;
及びRが、それぞれ互いに独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルコキシ、フェニル若しくはベンジルであるか、又はRとRが一緒になって、C〜Cアルキレンであり;
が、水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノイルであり;
10が、水素、C〜C12アルキル又はフェニルであり;
11が、C〜Cアルキルであるか、又は:
【化6】


であり;
が、酸素又は硫黄である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
式(I)又は式(Ia)で表される化合物において、
(RG)が、RC=CR−であり;
(RG’)が:
【化7】


であり、
、R及びRが、それぞれ互いに独立して、水素又はC〜Cアルキル、特に、水素又はメチルである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
光開始剤、又は光開始剤とモノマー若しくはオリゴマーの混合物を、1種類以上の液体(例えば、溶媒又は水)と組み合わせて、溶液、懸濁液及び乳濁液の形態で用いる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラズマガスとして、不活性ガスを用いるか、又は不活性ガスと反応性ガスの混合物を用いる、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
空気、H、CO、He、Ar、Kr、Xe、N、O又はHOを、単独で用いるか、又は混合物の形態で用いる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
適用された光開始剤層が、500nm以下の層厚、特に、単分子層から200nmまでの範囲の層厚を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
本方法のステップ(b)を、本方法のステップ(a)の直後に実施するか、又は本方法のステップ(a)の後で24時間以内に実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
本方法のステップ(b)における1種類又は複数種の光開始剤の濃度が、0.01〜99.5%、好ましくは、0.1〜80%である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
本方法のステップ(c)を、本方法のステップ(b)の直後に実施するか、又は本方法のステップ(b)の後で24時間以内に実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
本方法のステップ(c)における乾燥を、オーブン内で、熱ガス、加熱したローラー又はIR若しくはマイクロ波放熱体を用いて実施するか、又は吸収によって実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
本方法のステップ(c)及び/又は本方法のステップ(d)における照射を、200nm〜700nmの範囲内の波長の電磁波を放射する線源を用いて実施するか、又は電子ビームにより実施する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
本方法のステップ(b)で適用された、光開始剤又はモノマー及び/若しくはオリゴマーと光開始剤の混合物の、本方法のステップ(c)における照射の後で架橋していない部分を、溶媒及び/若しくは水による処理によって除去するか、並びに/又は機械的に除去する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
本方法のステップ(d)における照射後に、コーティングの一部を、溶媒及び/若しくは水による処理によって除去するか、並びに/又は機械的に除去する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法における、光開始剤、特に、不飽和光開始剤の使用。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法により得ることができる、強く付着しているコーティング。

【公表番号】特表2007−501111(P2007−501111A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522345(P2006−522345)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051600
【国際公開番号】WO2005/021824
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】