説明

弾性経編地

【課題】軽量薄地でありながら、十分な破裂強力および適度な伸度特性を有した経編地を提供することにある。
【解決手段】フロントの筬にポリエステル系合成繊維、バックの筬に弾性繊維を配し、経編機にて編成したハーフ組織からなる弾性経編地であって、該弾性経編地の目付が150g/m以上185g/m以下、JISL1018A法で測定した破裂強力が360kpa以上であり、該弾性経編地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度が42デシテックス以上65デシテックス以下、かつ該分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さが23cm以上30cm以下であり、該経編地のウエルとコースの積Kが下記式(1)の範囲を満たすことを特徴とする弾性経編地。
5450≦K≦9000 ・・・(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量薄地でありながら、十分な破裂強力および適度な伸度特性を有しており、水着、スポーツ用インナー、スポーツシャツ、スパッツ等のスポーツ用途、またファンデーションにも好適な弾性経編地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性繊維と非弾性繊維を交編した弾性経編地は、主に水着、スポーツ用インナー、スパッツ、ファンデーション等、高伸度を要求される用途に用いられている。近年、着用時の運動性および快適性向上のため、軽量薄地品への要求が高まってきており、単に生地を引っ張って仕上げたり、生地の主力素材である非弾性糸の繊度を細くしたりする方法が用いられている。しかしながら、単に引っ張って生地を仕上げ、生地密度を落とすと、軽量薄地にはなるものの、破裂強力や伸度の著しい低下、また風合いが硬くなる原因となる。また、生地の主力素材である非弾性繊維の繊度を細くすると、破裂強力が低下する。破裂強力が低下すると、繰り返し着用や、特にスポーツ用途には適さないという問題があった。
【0003】
これらの課題を克服するために、弾性繊維を太繊度化し、本弾性繊維を挿入組織として、細繊度の非弾性繊維と交編する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法で得られた生地は、弾性繊維を太くし、かつ挿入組織とすることで、ワライの問題があり、実用性に欠けたものであった。ワライとは、生地の伸長と緩和を繰り返すことにより、生地中の弾性繊維が初期の位置よりずれて生地がひずむ現象をいう。
【0004】
このワライの解決、さらなる軽量化を実現するために、太繊度の弾性繊維を挿入組織として、ポリトリメチレンテレフタレート繊維と交編する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法で得られた生地は、ラッセルネット組織であるため、本組織の特徴として、よこ方向の生地の密度が荒く、風合いが硬くなり、着用時のザラツキ感が出る他、弾性繊維の混率が高くなるため、コストアップになり、汎用性がなく、実用性に乏しいものであった。
【0005】
また、軽量かつタテヨコ伸度特性に優れた弾性経編地を提供する方法として、4枚筬を使用して、挿入組織とニット組織を特殊に組み合わせて弾性糸と非弾性糸を交編する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、本手法では、生地に特異な柄感が出る他、4枚筬で編成するため、生産性が低く、コストアップになり、汎用性が無く、実用性に乏しいものであった。
【0006】
また、インナー用途ではナイロンとポリウレタン弾性糸を交編した薄地弾性経編地が一般的に広く使用されている。しかしながら、ナイロンは、堅牢度性能が低く、特に太陽光や、発汗により変色するため、水着や、スポーツ用途には適していない。また、本ナイロンを、単純にポリエステルに置き換えても、伸張回復率の劣ったワライの大きい生地になったり、ナイロンとポリエステルの伸度特性の違いから、品位の荒れた生地になったりするため、軽量薄地でありながら、特にスポーツ用途に適した十分な破裂強力を満たす着用感および品位に優れた布帛とすることは困難であった。
【0007】
このような状況の中、ポリエステルを用いた軽量薄地でありながら、十分な破裂強力、適度な伸度特性、および風合いと品位に優れた生地の要求が高まっていた。
【特許文献1】特開2000−199159号公報
【特許文献2】特開2001−348761号公報
【特許文献3】特開2005−89909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量薄地でありながら、十分な破裂強力および適度な伸度特性を有しており、水着、スポーツ用インナー、スポーツシャツ、スパッツ等のスポーツ用途、またファンデーションにも好適な弾性経編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を克服するために、多数の条件検討を実施し、鋭意検討の結果、目標とするニーズを満たす構成および条件を見い出し、本発明を成すに至った。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)フロントの筬にポリエステル系合成繊維、バックの筬に弾性繊維を配し、経編機にて編成したハーフ組織からなる弾性経編地であって、該弾性経編地の目付が150g/m以上185g/m以下、JISL1018A法で測定した破裂強力が360kpa以上であり、該弾性経編地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度が42デシテックス以上65デシテックス以下、かつ該分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さが23cm以上30cm以下であり、該経編地のウエルとコースの積Kが下記式(1)の範囲を満たすことを特徴とする弾性経編地。
【0010】
5450≦K≦9000 ・・・(1)
(2)前記弾性経編地のJIS−L−1018による5cm幅当たり14.7Nの荷重で測定した定荷重時伸び率が、たて方向130%〜220%、よこ方向60%〜130%の範囲を満たし、JIS−L−1018B法の5cm当たり14.7N荷重後の伸長弾性率が、たて方向、よこ方向ともに80%〜95%の範囲を満たすことを特徴とする前記(1)に記載の弾性経編地。
(3)前記弾性繊維がポリウレタン系弾性繊維であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の弾性経編地。
【発明の効果】
【0011】
フロントの筬にポリエステル系合成繊維、バックの筬に弾性繊維を配し、組織をハーフ組織とし、適切な編成条件および仕上げ性量で布帛とすることで、軽量薄地でありながら、十分な破裂強力、適度な伸度特性、および風合いと品位に優れた、水着、スポーツ用インナー、スポーツシャツ、スパッツ等のスポーツ用途、またファンデーションにも好適な弾性経編地を提供することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明では、ポリエステル系合成繊維と弾性繊維を使用することが重要である。水着や、スポーツ用途では、太陽光下での運動や、発汗量が多いため、堅牢度特性に優れた、ポリエステル系合成繊維を用いることが好ましい。本ポリエステル系合成繊維の素材は、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメンチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維フィラメントが用いられる。さらに、これらの繊維が酸化チタン等の添加物を含んでいてもいいし、吸湿性向上等、機能性付与のためのポリマー改質したものも使用できる。また、単繊維単位の断面形状も規定されるものではなく、丸形、三角、八葉、扁平、Y型に代表される様々な異形断面糸も使用できる。さらに、種類の異なる、例えば粘度の異なるポリマーからなる芯鞘またはサイドバイサイド型の複合糸についても使用できる。また、これらの原糸に仮撚加工を施した仮撚加工糸を用いても良い。すなわち、用途によって、適宜好適な素材を選定すれば良い。一方、本発明に用いる弾性繊維としては、ポリウレタン弾性繊維、ポリエーテル・エステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維、ポリオレフィン弾性繊維、もしくは、天然ゴム、合成ゴム、半合成ゴムからなる糸状のいわゆるゴム糸、合成繊維にゴムをデッピングしたり、コーティングした特殊繊維などを使用することができるが、好ましくは、弾性経編地に一般的に広く利用されており、編立性が良好で、製品とした時に優れた伸度および回復特性を発揮するポリウレタン弾性繊維が好適である。
【0013】
本発明に用いる弾性経編地の組織としては、フロント筬に配するポリエステル系合成繊維の組織を1−0/2−3、バックの筬に配する弾性繊維の組織を1−2/1−0とするハーフ組織を採用する。
【0014】
フロントのポリエステル系合成繊維の組織を1−0/1−2、バックの弾性繊維の組織を1−2/1−0とするデンビー組織は、伸びが大きく、伸度特性には優れるが、ポリエステル系合成繊維の混率が低く、目標とする破裂強力が得られない。
【0015】
また、フロントの非弾性糸の組織を1−0/2−3、バックの弾性糸の組織を2−3/1−0とするダブルハーフ組織では、破裂強力には優れるが、弾性糸の混率が高くなり過ぎ、目標とする目付を達成できない他、十分な伸びが得られず、着用感の劣った生地となる。
【0016】
フロントの非弾性糸の組織を1−0/2−3より大きくすると、すなわち、1−0/3−4、1−0/4―5等にすると、破裂強力は大きくなるが、ポリエステル系合成繊維の混率が高くなり過ぎ、目標の薄地生地にすることが困難になる他、ポリエステル系合成繊維のシンカールプが長くなり、ピリングおよびスナッグ性能が悪化するようになる。
【0017】
また、ポリエステル系合成繊維の組織と弾性繊維の組織を動向振りに、あるいは、組織を0−1/3−2等の開き目組織とすると、伸度、破裂強力、目付について、好適な範囲を満たすことは可能であるが、動向振りや開き目の組織はループが動き易く、伸びた後の生地の回復性能が低下し、生地のワライが発生するという問題がある。
【0018】
すなわち、本発明で用いる組織として、ハーフ組織を用いることが重要である。
【0019】
本発明の弾性経編地は、目付が150g/m以上185g/m以下であるものである。目付が150g/m未満であると、生地が薄くなるため、実質目標の破裂強力を得ることが困難となる他、透け感が強くなり、生地単体での使用が困難となり、汎用性に乏しい生地となる。また、185g/mを超えると、目付が重く、要求されている薄地生地ではなくなってしまうそれがある。好ましくは、155g/m以上180g/m以下である。
【0020】
また、本発明の弾性経編地は、JISL1018A法で測定した破裂強力が360kpa以上であるものである。360kpaより低いと、着用時および運動時に必要な破裂強力が得られず、着用時の破れの原因となる。好ましくは、370kpa以上である。また、本発明の構成では、実質600kpa以上にすることは困難であるため、600kpa以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の弾性経編地は、生地を分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度が、42デシテックス以上65デシッテクス以下であるものである。該ポリエステル系合成繊維の繊度が65デシテックスより大きいと、目標の目付の範囲を満たすためには、過度に生地を引っ張って仕上げるか、あるいは編み込む糸量を過度に減らすかしか方法がなく、強い透け感が出たり、伸びが小さく運動追従性や着用感の劣った生地になったりする。また42デシテックスより小さいと、目標の目付より重くするか、特殊な高強力糸を用いる高コストの汎用性のない生地にしないと、目標の破裂強力が得られなくなる。好ましくは、44デシテックス以上63デシテックス以下である。
【0022】
また、本発明の弾性経編地は、生地を分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さが23cm以上30cm以下であるものである。該96コース分のポリエステル系合成繊維の長さが30cmより長いと、ポリエステル系合成繊維の生地表面に浮き出す糸量が多くなり、表面品位の悪い生地となったり、生地のふかつきが生じ、風合いが悪化する他、ピリング性能やスナッグ性能が低下し、実着用に向かない生地となるようになる。また23cmより短いと、ポリエステル系合成繊維のループを形成する糸長が短くなるため、伸びが小さい生地となり、運動追従性や着用感の劣った生地となるようになる。好ましくは、23.5cm以上29.5cm以下である。
【0023】
本発明の弾性経編地は、目標とする目付、破裂強力を達成し、かつ適度な伸度特性や優れた品位、風合いを実現するためには、前述の条件と合わせ、該経編地のウエルとコースの積Kが下記式(1)の範囲を満たすものである。
【0024】
5450≦K≦9000 ・・・(1)
Kは、実質布帛の密度を表しており、本発明の構成において、Kが9000より大きいと、密度が高すぎるために、目標目付よりも重くなったり、生地のふかつきが発生するようになる。また、5450より小さいと、生地が薄くなり過ぎ、目標の目付、破裂強力を達成することが難しくなる他、伸びの小さい生地となり、運動追従性や着用感の劣った生地となる。好ましくは、6000以上8500以下である。
【0025】
さらに、本発明の弾性経編地は、JIS−L−1018による5cm幅当たり、14.7Nの荷重で測定した定荷重時伸び率が、たて方向が130%以上220%以下、よこ方向が60%以上130%以下であることが好ましい。該定荷重時伸び率が、たて方向が130%より小さく、よこ方向が60%より小さいと、伸びの小さい運動追従性の劣った生地となる。また、たて方向が220%より大きく、よこ方向が130%より大きいと、十分な伸び特性は得ているものの、実質、生地が伸びた後の戻りが悪くなり、すなわち生地のワライが起こる他、着用時の十分なフィット感が得られにくくなる。より好ましくは、たて方向が140%以上210%以下、よこ方向が70%以上120%以下である。
【0026】
本発明の弾性経編地は、JIS−L−1018B法の14.7N荷重後の伸長弾性率が80%以上95%以下であることが好ましい。該伸長弾性率が80%より小さいと、生地のワライが起こる他、着用運動時の十分なフィット感が得られず、95%より大きいと、着用時の締め付け感が強過ぎる生地となる。より好ましくは、83%以上93%以下である。
【0027】
本発明の弾性経編地は、トリコット編機、ラッセル編機にて編成可能であり、編機のゲージについては、特に限定されないものの、28〜40ゲージの編機を、使用する繊維の太さによって、任意に選択すれば良い。ただし、40ゲージの編機で編成すると、ループが小さく編成されるため、生地の密度が高密度になり、目付が重くなり過ぎたり、十分な伸度が得られない場合が多く、28ゲージ、32ゲージ、36ゲージの編機を使用することがより好ましい。
【0028】
製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の弾性経編地の加工法に準じて行えばよいが、前述の編地のウエルとコースの密度の積Kが目標とする範囲を満たすように、適宜仕上げ性量を調整すれば良い。さらに、染色段階での付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、吸汗加工、吸湿加工、紫外線吸収加工、減量加工など、さらに、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、起毛加工、オパール加工など、最終狙いの要求特性に応じて適宜付与することが好ましい。
【0029】
本発明の弾性経編地は、軽量薄地でありながら、十分な破裂強力および適度な伸度特性を有しており、水着、スポーツ用インナー、スポーツシャツ、スパッツ等のスポーツ用途、またファンデーションにも好適な弾性経編地である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を、実施例を用いて説明する。実施例における各評価は次のとおり行った。
【0031】
(1)目付
目付は、JISL1018の標準状態における単位面積当たりの質量の測定方法に準じて測定した。すなわち、25cm×25cmの試験片を3枚採取し、それぞれの標準状態での質量(g)を量り、その平均値を算出し、小数点以下1けたに丸め、1m当たりの質量(g/m)で表す。
【0032】
Sm=W/A
ここに、Sm:標準状態における単位面積当たりの質量(g/m
W :標準状態における試験片の質量(g)
A :試験片の面積(m
(2)破裂強力
破裂強力は、JISL1018A法(ミューレン法)に準じて測定した。すなわち、15cm×15cmの試験片を5枚採取し、ミューレン形破裂試験機を用い、試験片の表面を上にして、しわ及びたるみを生じないよう均一な張力を加えてクランプでつかみ、圧力を加えてゴム膜が試験片を突き破る強さ(kpa)及び破断時のゴム膜だけの強さ(kpa)を計り、その差を求め、5枚の平均値を算出する。
【0033】
(3)生地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度
生地を分解して、ポリエステル系合成繊維を3本取り出す。5gの荷重下で、30cmの試験片を切り出し、その重量(g)を測定し、3本の平均値を求めた後、1万m当たりの重量(g/万m)に換算し、繊度を求めた。
【0034】
(4)生地を分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さ
生地の同一ウエルに沿って、96コース分を数え、印を付ける。生地を分解して、ポリエステル系合成繊維を3本取り出す。5gの荷重下で、印間の長さを測定し、3本の平均値を算出した。
【0035】
(5)伸び率
伸び率の試験法はJIS L 1018の定荷重時伸び率のカットスリップ法に準じて行った。すなわち、5cm×30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ5枚ずつ採取し、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、試験幅5cm、つかみ間隔20cm、初荷重29mN、引っ張り速度20cm/minの試験条件で、静かに14.7Nの荷重を加えたまま1分間放置し、その後つかみ間隔の長さ(cm)を計り、次式により伸び率(%)を求め、タテ、ヨコ、それぞれ、平均値を算出した。
【0036】
EP=(L1−L)/L×100
ここに、EP:定荷重時伸び率(%)
L :もとのつかみ間隔(20cm)
L1:14.7N荷重を加え1分間放置後のつかみ間隔の長さ(cm)
(6)伸長弾性率
伸長弾性率は、JIS L 1018B法の定荷重法に準じて行った。すなわち、5cm×30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ5枚ずつ採取し、自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、試験幅5cm、つかみ間隔(印間)20cm、初荷重29mN、引っ張り速度20cm/minの試験条件で、静かに14.7Nの荷重を加えたまま1分間放置後、直ちに荷重を除き、更に3分放置する。その後、初荷重のもとで印間の長さ(cm)を計り、次式によって伸長弾性率(%)を求め、タテ、ヨコ、それぞれ、平均値を算出した。
【0037】
Ee(%)={(L0−L1)/(L0−L)}×100
ここに、Ee:伸長弾性率(%)
L :元の印間の長さ(20cm)
L0:14.7Nの荷重を加え1分間放置後の印間の長さ(cm)
L1:荷重を取り除いた後、約3分間放置後に初荷重を加えた時の印間の長さ(cm)
[実施例1]
カールマイヤー製の32ゲージのシングルトリコット機を用いて、ポリエステル系合成繊維として44デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント(PET)をフロントの筬に、弾性繊維として44デシテックスのポリウレタン繊維をバックの筬に配し、編組織をハーフ組織、すなわち、フロントの組織を2−3/1−0(図1のA参照)、該ランナーを140(cm/Rack)、バックの組織を1−2/1−0(図1のB参照)、該ランナーを72(cm/Rack)で編成し、生機を得た。
【0038】
この生機を通常のポリエステル弾性経編地の染色加工仕上げに従い、精練、リラックス、染色、仕上げセットを実施し、製品密度63ウエル、122コース、製品目付170g/mの製品生地を得た。
【0039】
得られた製品生地において、破裂強力は430kpa、生地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度は46.4デシテックス、編目を分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さは26.5cm、編地のウエルとコースの積Kは7686であり、薄地でありながら、十分な破裂強力を有し、透け感もなく、風合いの良い、適度な伸度を有している生地であった。
【0040】
また、伸び率は、たて方向が159.4%、よこ方向が104.5%、また、伸長弾性率は、たて方向が91.8%、よこ方向が88.2%であり、水着に縫製し、着用評価を実施した結果、被験者から、運動追従性、着用感にも非常に優れた生地であると高評価を得た。
【0041】
[実施例2]
カールマイヤー製の32ゲージのシングルトリコット機を用いて、ポリエステル系合成繊維として56デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメント(PET)をフロントの筬に、弾性繊維として44デシテックスのポリウレタン繊維をバックの筬に配し、編組織をハーフ組織、すなわちフロントの組織を2−3/1−0(図1のA参照)、該ランナーを153(cm/Rack)、バックの組織を1−2/1−0(図1のB参照)、該ランナーを80(cm/Rack)で編成し、生機を得た。
【0042】
この生機を通常のポリエステル弾性経編地の染色加工仕上げに従い、精練、リラックス、染色、仕上げセットを実施し、製品密度58ウエル、100コース、製品目付178g/mの製品生地を得た。
【0043】
得られた製品生地において、破裂強力は465kpa、生地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度は59.2デシテックス、編目を分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さは28.9cm、編地のウエルとコースの積Kは5800であり、薄地生地ながら、十分な破裂強力を有していた。ただし、着用には問題ないものの、僅かな透け感があり、また、若干伸びの小さい生地であった。
【0044】
伸び率は、たて方向が132.4%、よこ方向が68.7%、また、伸長弾性率は、たて方向が89.6%、よこ方向が88.3%であり、水着に縫製し、着用評価を実施した結果、被験者から、問題は無いものの、若干伸びにくく、実施例1のものと対比して、動きにくいとの意見を得た。
【0045】
[比較例1]
カールマイヤー製の32ゲージのシングルトリコット機を用いて、ポリエステル系合成繊維として36デシテックス48フィラメントのポリエステルフィラメント(PET)をフロントの筬に、弾性繊維として44デシテックスのポリウレタン繊維をバックの筬に配し、編組織をハーフ組織、すなわちフロントの組織を2−3/1−0(図1のA参照)、該ランナーを130(cm/Rack)、バックの組織を1−2/1−0(図1のB参照)、該ランナーを78(cm/Rack)で編成し、生機を得た。
【0046】
この生機を通常のポリエステル弾性経編地の染色加工仕上げに従い、精練、リラックス、染色、仕上げセットを実施し、製品密度72ウエル、128コース、製品目付183g/mの製品生地を得た。
【0047】
得られた製品生地において、破裂強力は352kpa、生地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度は37.8デシテックス、編目を分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さは24.7cm、編地のウエルとコースの積Kは9216であった。本製品生地は、適度な伸びを有していたが、破裂強力が劣っている他、ふかつきを感じ、風合いの劣った生地であった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明弾性経編地の組織であるハーフ組織の組織図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントの筬にポリエステル系合成繊維、バックの筬に弾性繊維を配し、経編機にて編成したハーフ組織からなる弾性経編地であって、該弾性経編地の目付が150g/m以上185g/m以下、JISL1018A法で測定した破裂強力が360kpa以上であり、該弾性経編地から分解して取り出したポリエステル系合成繊維の繊度が42デシテックス以上65デシテックス以下、かつ該分解して取り出した96コース分のポリエステル系合成繊維の長さが23cm以上30cm以下であり、該経編地のウエルとコースの積Kが下記式(1)の範囲を満たすことを特徴とする弾性経編地。
5450≦K≦9000 ・・・(1)
【請求項2】
前記弾性経編地のJIS−L−1018による5cm幅当たり14.7Nの荷重で測定した定荷重時伸び率が、たて方向130%〜220%、よこ方向60%〜130%の範囲を満たし、JIS−L−1018B法の5cm当たり14.7N荷重後の伸長弾性率が、たて方向、よこ方向ともに80%〜95%の範囲を満たすことを特徴とする請求項1に記載の弾性経編地。
【請求項3】
前記弾性繊維がポリウレタン系弾性繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性経編地。

【図1】
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