説明

微粒子複合材料の製造方法

【課題】 本願発明の目的は、粒子状複合材料の製造又は生成のための製造方法を提供することである。同時に、この方法は、少なくとも一つの有機ポリマー及び/若しくはオリゴマー又は別の融解可能な有機複合物からなる連続した相に、不連続で、有機的又は無機的に基づく相を問題なく分散させ、従来技術の上述された問題点を無くし又は抑制することが意図される。
【解決手段】 本願発明は、粒子状複合材料を製造する方法であって、乾燥状態、特に粉末形状の固体の無機又は有機ベースの粒子集塊物又は粒子凝集物が、ガス相において(たとえばガス状キャリヤ媒体又は反応媒体において)、有機ベースマトリクス粒子の存在下で、エネルギーの入力によって微粉砕され、それに続いて結果として生じた微粉砕粒子が、自然位で、有機ベースマトリクス粒子に分散され、それに装着されて取り込まれる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、粉末集塊物又は粉末凝集物からナノ微粒子、特にナノ微粒子複合物を製造する方法に関する。
【0002】
本願発明は、特に無機及び有機成分を具備する微粒子複合材料を製造する方法、これによって製造された複合材料及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
連続相が有機ポリマー又は別の溶融可能な有機化合物を構成し、有機層に分散される非連続相が一般的に無機的又は有機的粒子を構成する複合材料の産出は、専門用語においてその成分面のすべてにおいて解決されていない問題を提起する。
【0004】
メゾスコピック粒子の大きい表面積について、これらの粒子は、静電気及び/若しくはファンデルヴァールス力によってお互いに付着し、集塊物及び凝集物を形成する。これら集塊物及び凝集物は、比較的高い入力エネルギーによって再び分離することができる。この場合、たとえば超音波、粉砕媒体による技術、ロールミル、又はいろいろな押出機のような方法が使用される。しかしながら、多くの場合、分散装置から前記集塊物及び凝集物へのエネルギーの伝達は、導入されるエネルギーが、マトリクス粒子によって部分的に吸収され、熱に変換させることで制限される。特に溶解物及び高粘度の液体において、これは、少しの又は全く集塊物及び/若しくは凝集物を有しない巨大な粒子複合物の発生において大きな相違を提示する。
【0005】
たとえば有機的に改変された粒子(たとえば有機フィロケイ酸塩)が、化学的改変等の使用によってポリオレフィン又はポリアミド内に分散されるという方法が、従来技術から知られている。この場合、改変は、マトリクスとの相容化を生じ、それによってポリマーへの取り込みを容易にする。別のケースでは、粒子の複合は、それらの界面化学及び表面電荷について、それらがポリマー溶解物に容易に分散されるような方法において実行される。また別のケースでは、粒子は、自然位で(たとえば、有機媒体内の無機粒子の化学的沈殿によって)生じる。
【0006】
マイクロメータサイズ又はミリメータサイズの粒子がポリマーに分散することができると共に、凝集物の崩壊と分散がたとえば衝撃エネルギーによって実行されるという従来技術から公知の方法もある。
【0007】
特許文献1は、2つ以上の材料からポリマー複合物を生成する方法の使用であって、相対的に大きな粒子径と相対的に低い軟化点の第1の成分が、より高い軟化点を有する第2の成分で、界面改質されることを開示する。
【0008】
特許文献2は、支持材料表面における針状粒子の成長によるポリマー複合物の生成を開示する。
【0009】
特許文献3は、衝撃力による破壊とそれに続くシェル粒子の化学的反応による複合物の生成を開示する。
【0010】
上記引用した文献のすべてについて、支持物を改良するために使用された材料が、ポリマーから構成され、又は化学的反応によって構成される複合物の生成であることは公知である。
【特許文献1】US 5,474,803 A
【特許文献2】US 6,403,219 B1
【特許文献3】US 6,090,440 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明の目的は、粒子状複合材料の製造又は生成のための製造方法を提供することである。同時に、この方法は、少なくとも一つの有機ポリマー及び/若しくはオリゴマー又は別の融解可能な有機複合物からなる連続した相に、不連続で、有機的又は無機的に基づく相を問題なく分散させ、従来技術の上述された問題点を無くし又は抑制することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願発明は、請求項1に記載された方法を提案し、さらに有益な具体例は、従属請求項の主題である。さらに、本願発明の主題は、請求項21〜23に記載されているように、本願発明の方法によって得られる複合材料であり、且つ請求項24〜26に記載されているようなそれらの使用である。最後に、本願発明の主題は、請求項27に記載されているように、粒子集塊物又は凝集物を取り込む方法及び安定したナノ粒子を製造する方法である。
【0013】
したがって、本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、粒子状複合材料を製造する方法であって、乾燥状態、特に粉末形状の固体の無機又は有機ベースの粒子集塊物又は粒子凝集物が、ガス相において(たとえばガス状キャリヤ媒体又は反応媒体において)、有機ベースマトリクス粒子の存在下でエネルギーの入力によって微粉砕され、それに続いて結果として生じた微粉砕粒子が、自然位で、有機ベースマトリクス粒子に分散され、それに装着されて取り込まれる方法を提供する。
【0014】
本願発明の目的についてのガス相の概念は、固体粒子集塊物又は凝集物(たとえば、それらは固体凝集状態において存在する)が、不活性ガス状媒体又は反応媒体に(たとえば、空気、窒素濃縮ガス、窒素、等)(たとえば、下記するような流動床の形態又は流動化床の形態で)、固体粒子集塊物又は粒子凝集物の「微粒化」又は「ノズル導入」によって移動され、上述したように、その後に、それらは、ガス状キャリヤ媒体(「ガス相」)においてエネルギーの入力で微粉砕され、結果として生じる微粉砕粒子を同様に現存し且つ固体の(たとえば固体凝集状態に存在する)有機ベースマトリクス粒子に、固体相における分散処理の全体的結果として自然位で分散させることを意味する。それ故に、本願発明に関して使用されるようなガス相の概念は、粒子集塊物又は凝集物又はマトリクス粒子(それらは、固体凝集状態において確かに共に存在する)の凝集状態ではなく、むしろ上述した作業(たとえば、微粉砕すること及び分散させること)が実行されるキャリヤ媒体に関する。
【0015】
そのため、本願発明の方法に関して、開始材料として使用される無機又は有機ベースの粒子集塊物又は粒子凝集物は、それぞれ非集塊化又は非凝集化され、より小さい、安定したナノ粒子又はナノ粉末に形成され、それに続いて自然位で−非集塊化又は非凝集化が生じる前に−すでに存在する有機ベースマトリクス粒子に分散され、その点で、装着及び取り込みが実行される。
【0016】
そして、本願発明の方法は、包埋作業及びコーティング作業の両方をカバーする。前記微粉末にされた無機又は有機ベース粒子は、マトリクス粒子の表面に、導入されたエネルギーによって装着され、そこに包埋される。それに続いて、さらなるエネルギーの入力は、変形を作り出し、取り込みのための粒子が、ある場合は完全に、マトリクス粒子によって封入され、そこに取り込まれる。さらに、エネルギーの入力の結果として、有機ベースマトリクス粒子及び結果として生じる複合材料の変形、特に塑性変形が生じる。さらに、不規則に変形した粒子は、塑性変形の結果として丸くなる。これは、対応する最終製品において引き続き使用されるのに有益である。
【0017】
そのため、本願発明について、第1に、効果的な方法において、無機又は有機ベースナノ粒子を、有機ベースマトリクス粒子に、固体相における乾燥分散又は固体分散作業において、均一に及び/若しくは大変微細に分解して取り込むことに成功した。
【0018】
原則として、本願発明の方法は、所望の圧力下で実行される。本願発明によれば、大気圧又は外気圧で実行されることが望ましい。しかしながら、本願発明は原則として、減圧下(「真空」又は「低圧力下」)又は高圧下(「超過圧力」)での作業を除外しない。
【0019】
一般的に、エネルギーの入力は、初期粒子集塊物又は凝集物が微粉砕され、又は非集塊化され、又は非凝集化され、それらの大きさに関して、少なくとも10分の1、好ましくは少なくとも50分の1、特に好ましくは少なくとも100分の1、より好ましくは少なくとも1000分の1となるように設定される。一般的に、前記エネルギーの入力は、衝撃力及び/若しくは剪断力、好ましくは衝撃力と剪断力の導入によって達成される。
【0020】
作業の間の合計エネルギーは、広い範囲で変化することが可能である。一般的に、作業の間の合計エネルギーは、10〜10KJ、好ましくは10〜10KJ、より好ましくは10〜10KJである。
【0021】
本願発明の方法は、流動床において、又は流動床プロセスにおいて実行されることが望ましい。上述したように、この例では、固体相における乾燥分散作業、好ましくは粉末分散作業(「固体相分散作業」又は「粉末分散作業」)である。この例では、ガス相又はガス状キャリヤ媒体は、流動床又は流動化床の形を取る。そのため、この特別な例による本願発明の主題は、特定の複合材料を製造する方法である。この方法において、最初に、乾燥状態にある、特に粉末形状の固体無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物が、流動床又は流動化床において微粉末化され、それに続いて、結果として微粉末化された粒子が、自然位において、有機ベースマトリクス粒子に分散され、そこに付着し、且つ/又はそこに取り込まれる。
【0022】
さらに、本願発明の方法は、ステータ/ロータタイプの装置において実行されることが望ましい。本願発明による適当な装置は、たとえば株式会社奈良機械製作所、ヨーロッパ支店、フレッチェン、ドイツ製の「ハイブリダイザー」又は「NHS」である。
【0023】
図1は、本願発明に使用されるステータ/ロータタイプの装置の概略構成断面図を示す。前記装置1は、ステータ2及びロータ3だけではなく、少なくとも一つのインパクトプレート4、好ましくは複数のインパクトプレート4を有し、このインパクトプレート4上で、それらの衝撃で、集塊物又は凝集物を微粉砕する。前記装置に集塊物又は凝集物を導入するために、一般的に導入口5、特に粉末導入口が設けられる。作業の間、ロータ室3から排出される粒子を再利用するために、一般的にリサイクルライン6が設けられる。さらに、前記装置1は、二重壁ハウジング7を有し、それは冷却又は加熱可能なように装備される。さらに、前記装置1は、一般的に、製造された製品の取り出し又は引き出しを行うための閉鎖可能な取出口8を有する。図中において装置の内部において点線は、その衝撃の場合に、装置1において1つの粒子がたどる経路の例を示すものである。
【0024】
一般的には、本願発明による装置は、ロータ直径が100〜1000mmの場合、50〜120m/s、特に70〜100m/sのロータ回転周速度で操作されることが望ましい。
【0025】
工程時間は、広い範囲で変化可能である。一般的に、工程時間は、0.01〜20分の範囲内、好ましくは0.1〜10分の範囲内、より好ましくは0.5〜5分の範囲内、さらに好ましくは1〜3分の範囲内である。
【0026】
開始集塊物又は凝集物に関しては、それらの平均粒子サイズは、広い範囲で変化可能である。一般的に、開始集塊物又は開始凝集物の平均粒子サイズは、0.1μm以上であり、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上である。一般的に、開始集塊物又は開始凝集物は、0.1〜2000μmの範囲内、好ましくは0.2〜1500μmの範囲内、より好ましくは0.5〜1250μmの範囲内、さらに好ましくは1〜1000μmの範囲内の平均粒子サイズを有する。
【0027】
本願発明に関して使用されるような平均粒子サイズの概念は、球形又は略球形粒子の場合、それらの平均直径に関連する。他の粒子形態(たとえばロッド状、チューブ状等)の場合、一次元(たとえば、細長いロッド状又はチューブ状の場合、それらの長さ又はそれらの幅)における平均サイズに関連する。
【0028】
また、結果として生じる微粉砕された粒子は、500nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の平均粒子サイズを有する。さらに、開始集塊物又は凝集物の微粉砕によって得られた粒子は、1〜500nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内、より好ましくは20〜100nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。これらの寸法に基づいて、微粉砕された粒子は、本願発明に関しては、有機ベースマトリクス粒子に自然位で分散されるナノ粒子又はナノ粉末として適用される。
【0029】
有機ベースマトリクス粒子の平均粒子サイズに関連しても、広い範囲で変化可能である。一般的に、有機ベースマトリクス粒子は、0.1〜500μmの範囲内、好ましくは0.5〜100μmの範囲内、より好ましくは1〜50μmの範囲内の平均粒子サイズを有する。
【0030】
有機ベースマトリクス粒子の平均粒子直径D50(matrix particles)と、微粉砕粒子の平均粒子直径D50(comminuted particles)の比Vは、少なくとも10:1、特に好ましくは少なくとも15:1、より好ましくは少なくとも20:1である。
【0031】
【数1】


特には≧15:1、好ましくは≧20:1
【0032】
マトリクス粒子に導入されるか導入されるべき微粉砕粒子に対する有機ベースマトリクス粒子の比率に関して、広い範囲で変化させることが可能である。一般的には、そこに分散される微粉砕された粒子に対する有機ベースマトリクス粒子の比率は、99.1:0.1〜30:70の範囲内で、好ましくは90:10〜40:60の範囲内で、より好ましくは80:20〜50:50の範囲内で変化する。
【0033】
有機ベースマトリクス粒子に関して、それらは、溶解可能な有機複合物から選択されることが望ましい。さらに、有機ベースマトリクス粒子は、少なくとも一つの有機オリゴマー又はポリマーを具備するかこれらからなる。前記有機ベースマトリクス粒子が、お互いに適合性のある異なるオリゴマー及び/若しくはポリマーの混合物からなることが可能である。前記有機ベースマトリクス粒子にための適当なマトリクス材料は、たとえば、熱可塑性ポリマー、ワックス、樹脂及びそれらの混合物である。本願発明によって同様に適当なものは、他の溶解有機複合物(たとえば、ε−カプロラクトン又はそのラクタム、カルボキシエステル及びジエステルのような溶解性有機モノマー、ジメチルテレフタラート、フェノールベースエステル及びジエステルのようなもの)である。
【0034】
有機マトリクス粒子及び支持粒子のための使用されるポリマーの例は、熱可塑性ポリマー、特にポリメタクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレンポリマー(たとえば、ABS,SEBS,SBS)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチルテレフタラート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリビニルクロライド、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン又はポリプロピレンのようなもの等である。熱可塑性物質が添加され及び/若しくは着色されることが可能である。本願発明の目的のために熱可塑性物質は、異なる種類の熱可塑性物質の混合物(配合物)を含む。特には、ポリオレフィン、ポリエチレンのようなもの(たとえば、LDPE、HDPE等)及びポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフトコポリマー(ABS)、ポルアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、及びエチレン/プロピレン/ジエンエアストマー(EPDM)、及び上述された熱可塑性物質の配合物である。ポリエチレンにような熱可塑性物質(たとえばLDPE、HDPE等)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルアクリラート(PMMA)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフトコポリマー(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメタクリラート(POM)、エチレン/プロピレン/ジエンエラストマー(EPDM)、及びポリビニルアセテート(PVAc)及び上記熱可塑性物質の混合物(配合物)が、特に望ましい。
【0035】
さらに、前記有機マトリクス粒子及び/若しくは支持粒子のために使用される材料の例は、たとえばエポキシ樹脂のような有機樹脂、COOHポリエステル樹脂(たとえば、飽和又は非飽和)、OHポリエステル樹脂(たとえば、飽和又は非飽和)、OHアクリル樹脂、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、グリシジルアクリラート樹脂、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリアミド(たとえばポリアミド11又は12)、テトラハイドロキシアルキルビスアミド、トリグリシジルジイソシアヌラート、ジシアンジアミド、イソシアナートアダクツ、ドデカンジカルボキシリック酸、等である。
【0036】
有機マトリクス粒子及び/若しくは支持粒子のために使用される材料の例は、たとえば、天然ロウ(動物性、植物性及び化石ワックス)、蜂ワックス(ラノリン)、カルナウバワックス、カンデリラワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、及びモンタンワックス、半複合ワックス、モンタンワックスエステル(脂肪酸+アルコール)等及びアミドワックス(脂肪酸+アミド)、及び複合ワックス、特にホモポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フィッシャー−トロプシュワックス、ポリビニルアセテート(PVAc)に基づくワックス、エチレン-ビニルアセテート(EVA)又はエチレンアクリル酸(EAA)及び上述したワックスの混合物(配合物)である。
【0037】
有機マトリクス粒子及び/若しくは支持粒子のために使用される材料としては、融解可能有機モノマーなどの他の融解可能有機複合物がある。
【0038】
一般的に、有機ベースマトリクス粒子は、0℃以上の融解点又は融解範囲を有している。一般的に、有機ベースマトリクス粒子の融解点又は融解範囲は、30〜350℃、好ましくは40〜330℃、より好ましくは70〜160℃の温度範囲内に位置するものである。
【0039】
有機ベースマトリクス粒子は、60℃以上のガラス転移温度Tgを有する。有機ベースマトリクス粒子のガラス転移温度は、−60℃〜200℃、好ましくは−40℃〜150℃、好ましくは−30℃〜60℃の範囲内に位置する。
【0040】
上述した融解点又は融解範囲及びガラス転移温度は、本願発明の複合物の製品について良好な結果を生じる。
【0041】
一般的に、有機ベースマトリクス粒子(たとえば、それらが構成されるポリマー及び/若しくはオリゴマー)は、300g/mol以上の量平均分子量を有する。一般的に、有機ベースマトリクス粒子の量平均分子量(たとえば、より詳しくは、それらが構成するポリマー及び/若しくはオリゴマー)は、300〜30,000g/mol、好ましくは500〜10,000g/molの範囲内に位置する。
【0042】
有機ベースマトリクス粒子は、作業状態下で少なくともそれらの表面で塑性変形可能なように、且つ作業条件下で全体的に塑性変形可能なように設計されることが望ましい。
【0043】
一般的に、本願発明の方法は、有機ベースマトリクス粒子の融解温度又は融解範囲より低い状態で実行される。さらに、本願発明の方法は、一般的に且つ原則的に有機ベースマトリクス粒子のガラス転移温度以下又は以上で実行される。しかしながら、その場合、分散されるべき粒子が、より効果的に且つ/又はマトリクス粒子の表面に容易に浸透することができるので、有機ベースマトリクス粒子のガラス転移温度以上で(しかし、同時に融解温度又は融解範囲以下で)作業されることが望ましい。前記方法は、同様に、無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物の溶解温度以下で実行される。そのため、上述したようにその結果は、固体相(固体/固体分散)において分散処理され、分散されるべき粒子だけでなくマトリクス粒子もまた固体として固体集塊状態において、作業状態下で存在している。
【0044】
本願発明の方法が実行される温度は、広い範囲で変化可能である。一般的に、本願発明の方法は、0〜80℃、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃、最も好ましくは15〜35℃の範囲内の温度で実行される。
【0045】
使用される粒子集塊物又は凝集物の性質に関して、それらは原則的に有機又は無機である。発明によれば、無機ベース粒子集塊物又は凝集物を使用することが望ましい。この場合、無機ナノ粒子又はナノ粉末が、有機ベースマトリクス粒子に結合されるので、有機及び無機構成物からなるハイブリッド材料として参照される材料が得られる。
【0046】
粒子集塊物又は凝集物として、たとえば、金属及び/若しくは半金属、且つ異なる金属及び/若しくは反金属の合金を使用することが可能である。同じく、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、テルル化物、セレン化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、珪酸塩、硼酸塩、且つ/又は金属及び/若しくは反金属のアルミン酸塩を使用することが可能である。同じく、上述した複合物の混合物を使用することができる。同様に、開始粒子集塊物又は凝集物として、上述した種類のいわゆる混合物であるものを使用することが可能である。本願発明によれば、酸化アルミニウム(たとえば、引っ掻き/摩耗抵抗等の機械的特性に改善について)、二酸化チタン(たとえば、UV保護について)、酸化亜鉛(たとえば、UV保護、殺菌性又は殺真菌性作用について)、二酸化セリウム(たとえば、UV保護について)及びそれらの混合のような無機酸化物及び混合された酸化物であることが望ましい。
【0047】
開始集塊物又は凝集物のために本願発明において使用される材料は、たとえば、珪酸塩、ベーマイト、タルク、CNT、カーボンナノファイバー、アロシル、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、磁鉄鉱、鉄、コバルト、ニッケル、銀、フィルケイ酸塩、二酸化マグネシウム、ATH、ITO、蛍光物質、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、二酸化セリウム、UV蛍光物質、アップコンバーター、IRピグメント、シラセスキオキサン、POSS、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、窒化硼素(BN)、炭化タングステン(WC)等である。
【0048】
たとえば開始集塊物又は凝集物のための不連続相の材料は、たとえばグラファイト、ダイヤモンド、フラーレン等の形、粒又は繊維の形、ロッド又は管の形等の炭素、これによる一重壁又は多重壁管の形の炭素である。
【0049】
原則的に同様に使用される有機開始集塊物又は凝集物の例は、マトリクス粒子に分散される不連続相のための無機ベース材料よりもふさわしくないにも関わらず、たとえばメラミン粒子である。
【0050】
上記に概略したように、使用される開始粒子集塊物又は凝集物の形態又は外部形状は、重要ではない。たとえば、粒状又は微粒子状、又は長円形の粒子集塊物又は凝集物に対して球状を使用することができる。しかしながら、同様に、ロッド状又は管状の凝集物を使用することも可能である。
【0051】
さらに、本願発明の主題−本願発明の第2の様相によれば−は、上述した本願発明の方法によって得られる微粒子複合材料である。
【0052】
これらの材料は、粉末状で存在することが望ましく、1〜500nmの平均粒子サイズを有する無機又は有機ベース粒子を有することが望ましく、それらは0.1〜500μmの平均粒子サイズを有する有機ベースマトリクス粒子に、均一に又は非常に微細に分割された形状で分散されることが望ましい。有機ベースマトリクス粒子の平均粒子サイズD50(matrix particles)は、微粉砕された粒子の平均粒子直径D50(comminuted particles)に対して少なくとも10倍、好ましくは少なくとも15倍、より好ましくは少なくとも20倍である。
【0053】
さらに詳細については、本願発明の微粒子状複合材料について、不必要な重複を避けるために、本願発明の方法に関する上記記載を参照することが可能であり、それらは本願発明の粒子状複合材料に関して必要な変更を加えて適用することが可能である。
【0054】
そのため、本願発明は、上述された範囲の粒子サイズを有するポリマー粒子複合物の製造について、ステータ/ロータタイプの装置、上述したように、特に機械的ハイブリダイザー(たとえば、株式会社奈良機械製作所、ヨーロッパ支店、フレッチェン、ドイツ製)を使用する乾燥分散作業に基づいて実施される。
【0055】
本願発明の方法は、たとえば機械的衝撃力及び剪断力の使用によって、2つ以上の粉末の乾燥グラインドを介してポリマー複合物を製造するものである。この作業は、粒子凝集物の高い粒子相互作用を粉砕すること、粒子を分散させることに思いがけなく成功し、これによって、大変効果的な方法において、50%以上のフィラー含有率を有する実質的に凝集物のない複合物を得ることに成功した。
【0056】
このように、本願発明は、たとえば流動床工程において2つ以上の粉末複合物を分散させることによってナノ粒子複合物を得るための方法を提供する。その結果としての粉末は、ナノ複合物であり、そこでは、ナノ粒子が、大変低い程度の凝集で、大変微細に分割された形状で、有機支持体の中又は上に存在するものである。
【0057】
本願発明の方法は、第1に、連続相が、ポリマー(たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、PVC、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリアクリラート等)又はオリゴマー(たとえば、ポリエーテル、ワックス等)から構成され、0℃以上の融点を有する別の支持材料から構成され、且つ、不連続相が、少なくとも一次元で、0.5μmより小さく、好ましくは0.2μmより小さく、さらには、理想的には1nmから100nmの範囲内である無機又は有機粒子(たとえば、金属又は半金属、金属又は半金属酸化物、窒化物、炭化物、炭酸塩、水酸化塩、硫化物等)から構成される複合材料を生成する上での問題の構成要素の様相のすべてに対する十分な解決を提供する。
【0058】
本願発明に関して、メゾスコピック粒子の高い表面領域によれば、お互いに静電力及び/若しくはファンデルワールス力で接合する集塊物又は凝集物を分離することができる。この分離は、導入される比較的高いエネルギーの結果として生じ、そして、これらの分離された集塊物又は凝集物を、非集塊又は非凝集状態において、前記マトリクス粒子上に又は中に装着し及び/若しくは取り込み、それによって、凝集物から自由であり又は少なくとも低い結合力の均一粒子複合物の生成を可能にする。
【0059】
エネルギーの入力、特に衝撃力及び剪断力の導入を介して、第1に、マトリクス粒子に自然位で分散される安定したナノ粒子を形成する凝集物の粉砕がある。本願発明によれば、驚くべきことに、ナノ粒子が集塊物及び凝集物から安定して製造され、その後前記マトリクスに分散される。ここで、従来技術に使用される種類のミリメータレンジの粒子表面積は、100nmより小さい直径を有するナノ粒子の表面積よりも1000分の1〜1000分の1小さく、さらに、マイクロメータサイズの粒子は、ここで述べられるメゾスコピック粒子の表面積よりも1000分の1〜1000分の1小さい表面積を有する。表面エネルギー及びそれによる接着力は、所定の表面積に関する関数である。したがって、それらは、同様に、ミリメータサイズ又はマイクロメータサイズの粒子に比べて、100nmより小さい粒子の場合に、倍数で大きくなる。これによって、100nmより小さい粒子のより特別な分散は、粒子の界面化学及び装置の性能に特別な要求が課せられる。
【0060】
本願発明は、50%以上のレベルで、融解有機支持物に均一に上述したサイズを有する粒子を分散させることを可能にする。その結果、非集塊粒子粉末及び有機支持物からなり、粒子が実質的に、集塊のない形状において分散され、ポリマー粒子内及び上に均一に分配されるように存在する複合材料が生じる。
【0061】
さらに、本願発目の第3の態様に係る本願発明の主題は、請求項24〜26に記載されるように、本願発明による粒子状複合材料の発明的使用である。このように、本願発明に係る粒子状複合材料が、たとえばコーティング合成品、ペンキ及びすべての種類のインク(たとえば、粉末コーティング材料、印刷用インク、革用インク、及び織物用インク、紙片)において、成形複合物において、化粧用製品において、及びプラスチック(たとえば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はエラストマー)において使用される。また、たとえば、粒子状複合材料は、製品に結合のためのマスターバッチ又はベースミックスとして使用され、製品の特性を変化させるものである。一般的に、この目的が、本願発明の粒子状複合材料を、最終製品を基礎として、0.1〜10重量%の量、好ましくは0.5〜5重量%の量、好ましくは1〜3重量%の量で使用することができるものである。
【0062】
これにより、本願発明の複合物は、公知の方法において順に、有機マトリクス内に、低い剪断力を使用することで取り込まれ、この方法において、マスターバッチと呼ばれるものとして機能することができる。複合材料自体は、有機材料とさらに混合されることなしに、広い範囲の応用に直接使用される可能性もある。
【0063】
本願発明の方法及びそれに続く処理を介して、有機マトリクスの特性の重要な変化を達成することができる。これによって、たとえば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄又は二酸化セリウムのような材料の取り込みは、UV放射に関して改良された安定性を導く。
【0064】
銀、銀混合物、酸化銅等の殺菌性材料が使用されるとき、バクテリア、藻類、カビ及び/若しくは酵母成長に対して活動的に防護される複合物を製造することができる。カーボンチューブ(たとえば、単壁又は複数壁)、カーボンファイバー、導電性酸化物又は金属の導入によって、静電防止又は真の導電性特性を有する導電性複合物を製造することができる。
【0065】
たとえば、材料が、酸化アルミニウム、シリカ、フィロシリケイト、タルク、ベーマイト、カーボンダスト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等と結合されるところで、粘り強さ、剛度、ヤング率、衝撃強度等の機械的特性を強化することが可能である。
【0066】
本願発明の方法によって製造された複合材料は、大変広い範囲の部門において非常の多数の異なる応用を許容する。
【0067】
たとえば、本願発明の方法によって製造された複合材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、ポリオレフィンのようなもの、ポリエチレンのようなもの(たとえば、LDPE、HDPE等)又はポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、アクリロニトリル/スチレングラフトコポリマー(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、不飽和ポリエステル(UP)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、フェノール樹脂(PF)、ポリウレタン(PUR)、エチレン/プロピレン/ジエネエラストマー(EPDM)、及び上述したポリマーの商業的慣例による配合において応用されるのに適切である。
【0068】
さらに、本願発明の方法によって製造された複合材料は、ポリエステル粉末、ハイブリッド(ポリエステル/EP)粉末及びアクリラート粉末のような粉末コーティング材料、水性の有機溶媒由来の又は無溶媒のペンキ、印刷用インク、紙片、皮革及び織物用インク、型用化合物、化粧製剤等の応用のために適当である。
【0069】
本願発明の方法によって製造された複合材料は、たとえば、難燃性、UV保護、磁力、IR吸着、製品保護、(ガス)防護効果、殺菌性特性、札藻効果、殺菌性効果、酵母に対する作用、摩擦特性、引っ掻き抵抗/摩耗抵抗、静電気防止特性、流体力学的特性、流動動作、分散性、非ナノスケールフィラーの安定性に関して付加される製品に関するそれらの使用について特性を変化させるのに適している。
【0070】
最後に、本願発明に係る第4の様相によれば、本願発明の主題は、処置される個体によって、粒子を微粉砕する方法及び/若しくは安定したナノ粒子を製造する方法であり、乾燥状態にあり、特に粉末形状の無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物が、0.1μm以上、特に好ましくは0.1〜2000μmの範囲内の平均粒子サイズを有し、ガス相において又はガスキャリヤ媒体において、エネルギーの入力で粉砕され500nm以下の平均粒子サイズ、好ましくは1〜500nmの範囲内の平均粒子サイズを有するナノ粒子を与えるものである。本願発明の第1の様相に係る発明の方法と対象区別して、この方法の変形は、有機ベースマトリクス粒子の存在なしに、開始集塊物又は凝集物の微粉砕を必要とし、そのため、それに続き結果として生じるナノ粒子の分散がない。これから離れて、本願発明の第4の様相に関する詳細について且つ重複をさけるために、本願発明の第1の様相に係る発明の方法に関した上記意見を参照し、本願発明の第4の様相について適当な変形を加えて適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
本願発明におけるさらなる具体例、改良例及び変形例は、本願発明の範囲から離れること無しに、当業者が明細書を読むことによって容易に明確に理解可能である。
【0072】
本願発明は、下記する実施例を参照して説明するが、いかなる方法においても本願発明を減縮することは意図されない。
【0073】
UV防護特性を有する複合粒子の発明的製品
【実施例1】
【0074】
例1A:LDPE粉末が、奈良NHS−1(Nara Hybridization System)ステータ/ロータ装置に、NanoTec(商標)ZH型の30%の酸化亜鉛粒子と共に、回転速度8000rpmで2分間分散される。それに続いて、これらのナノ複合物の2重量%が、そのフィルムから製造されるPE押出品の製造に使用される。それに続く電子顕微鏡検査法による分析は、従来技術の方法に比べて(たとえば、純粋非粉砕粉末の使用)、集塊物又は凝集物の著しく減少した数及び大きさを示している。この利点は、PEフィルムの透明度を向上させることであり、同時にUV吸収における完全を行う。
【0075】
例2A:同じ方法において、ポリエステル粉末は、上述した奈良NHS−1ステータ/ロータ装置に、NanoTec(商標)ZH型の酸化亜鉛30%と、1分間6000回転で分散される。それに続いて、これらナノ複合物の2重量%が、顔料粉末コーティング材料の製品に使用され、コーティングがそこに形成される。それに続く電子顕微鏡検査法による分析は、従来技術の方法と比べて(たとえば、純粋非粉砕粉末の使用)、集塊物又は凝集物の十分に減少した数及び大きさを示す。この利点は、改善されたUV吸収において現れる。
【実施例2】
【0076】
コーティングの引っ掻き抵抗を改善し又は強化するための複合粒子の特許的製品
【0077】
例1B:CERA−Wax Ceraflour(商標)988は、上述した奈良NHS−1ステータ/ロータ装置に、50%のNanodur(商標)酸化アルミニウムと共に、1分間6000rpmで、分散される。それに続いて、これらの本願発明に係るナノ複合物(「T−23」として下記に示される)4重量%が、芳香族エポキシドアクリラートに基づく100%UCシステム(溶剤無し)において使用される。
【0078】
処方:
・Laromer(商標)8986 57.3重量部
・DPGDA(商標) 28.7重量部
・Irgacure(商標)500 4.0重量部
・本願発明の複合物T-23又はそれに代わる
Ceraflour(商標)988 4.0重量部
・TPGDA 6.0重量部
【0079】
素材:
・芳香族グリコール樹脂Laromer(商標)LR8986/BASF バインダー
・トリプロピレングリコールジアクリラート TPGDA/BASF
反応性希釈剤
・ジプロピレングリコールジアクリラート DPGDA/BASF
反応性希釈剤
・Irgacure(商標)500/Ciba 光開始剤
【0080】
前記バインダーは、反応性希釈剤及び光開始剤と共に計量され、前記複合物は、5分間溶解機で撹拌されることによって混合される。
【0081】
本願発明に係る複合物(T-23)及びCeraflour(商標)988は、10分間回転速度930rpmで、溶解機(歯付きディスクd=4cm)によって撹拌されることによって、それぞれの場合において取り込まれる。
【0082】
一晩暗所で貯蔵された後、前記サンプルは、短い撹拌の後、25μmのワイヤが巻かれたドクターブレードを使用して、黒いPlexiglas(商標)シート(16cm×43cm)に塗布される。
【0083】
UV処理:
2×120W/cm、通過速度 5m/分
【0084】
テスト:
スチールウール00で10回2セット擦る
スチールウール0000で10回2セット擦る
【0085】
結果:
DIN53230に対する視覚的評価(1=良好(引っ掻き傷なし)〜5=不良(重いひっかき傷)):
(スチールウール 00/0000)
コントロール 5/5
Ceraflour(商標)988 2-3/2-3
T-23 1-2/2
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本願発明に使用されるステータ/ロータタイプの装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 装置
2 ステータ
3 ロータ
4 衝撃プレート
5 導入口
6 リサイクルライン
7 ハウジング
8 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初に、乾燥状態にあり、さらに固体で粉末状の無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物を、ガス相又はガス状キャリヤ媒体において且つ有機ベースマトリクス粒子の存在下でエネルギーの入力によって微粉砕し、その後結果として生じた微粉砕粒子を、前記有機ベースマトリクス粒子に分散させ、それらをそこに装着し且つ/又はそれらをそこに取り込むことを特徴とする粒子複合材料を製造する方法。
【請求項2】
前記エネルギーの入力は、粒子集塊物又は粒子凝集物が、それらの大きさの少なくとも10分の1、好ましくは50分の1、より好ましくは100分の1、さらに好ましくは1000分の1の大きさまで微粉砕されるように設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギーの入力は、衝撃力及び/若しくは剪断力、好ましくは衝撃力と剪断力の導入によって達成されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程期間にわたる合計エネルギー入力が、10〜10KJ、好ましくは10〜10KJであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、流動床において及び/若しくは流動床工程として実行され、且つ/又は、前記方法は、個体相における乾燥分散作業として実行されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、ステータ/ロータ型装置において実行され、該装置が、ステータ及びロータに加えて、集塊物又は凝集物の粉砕のための少なくとも一つのインパクトプレートを具備し、且つ/又は、前記装置が、ロータ直径が100〜1000mmの場合に、50〜120m/s、好ましくは70〜100m/sのロータ回転周速度で操作されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、0.01〜20分、好ましくは0.1〜10分、より好ましくは0.5〜5分、特に好ましくは1〜3分の期間の合計において実行されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記開始集塊物又は開始凝集物は、0.1μm以上の平均粒子サイズ、好ましくは0.2μm以上の平均粒子サイズ、好ましくは0.5μm以上の平均粒子サイズを有し、且つ/又は、前記開始集塊物又は開始凝集物は、0.1〜2000μmの範囲内、好ましくは0.2〜1500μmの範囲内、より好ましくは0.5〜1250μmの範囲内、特に好ましくは1〜1000μmの範囲内の平均粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
粉砕された粒子は、500nm以下、好ましくは200nm、より好ましくは100nm以下の平均粒子サイズを有し、且つ/又は、前記粉砕された粒子は、1〜500nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内、より好ましくは20〜100nmの範囲内の平均粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
有機ベースマトリクス粒子は、0.1〜500μmの範囲内、好ましくは0.5〜100μmの範囲内、より好ましくは1〜50μmの範囲内の平均粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
粉砕された粒子の平均粒子直径D50(comminuted particles)に対する有機ベースマトリクス粒子の平均粒子直径D50(matrix particles)の比Vは、少なくとも10:1、好ましくは少なくとも15:1、より好ましくは少なくとも20:1であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
そこに分散される粉砕された粒子に対する有機ベースマトリクス粒子の比は、99.9:0.1〜30:70の範囲内、好ましくは90:10〜40:60の範囲内、より好ましくは80:20〜50:50の範囲内で変化することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記有機ベースマトリクス粒子は、少なくとも一つの有機複合物、特に少なくとも一つの有機オリゴマー又はポリマーを具備若しくはからなり、且つ/又は、前記有機ベースマトリクス粒子は、熱可塑性ポリマー、ワックス、樹脂又は他の融解有機複合物及びそれらの混合物を具備又はからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
有機ベースマトリクス粒子は、0℃以上、好ましくは30〜350℃の範囲、より好ましくは40〜330℃の範囲、特に好ましくは70〜160℃の範囲の融解点又は融解範囲を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
有機ベースマトリクス粒子は、−60℃以上、好ましくは−60〜200℃、より好ましくは−40〜150℃、特に好ましくは−30〜60℃の範囲内のガラス転移温度Tgを有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
有機ベースマトリクス粒子は、300g/mol以上、好ましくは300〜30000g/mol、より好ましくは500〜10000g/molの範囲内の量平均分子量を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
有機ベースマトリクス粒子は、処理条件下で、少なくともその表面が塑性変形可能であり、且つ好ましくは処理条件下で全体的に塑性変形可能であるように形成されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、有機ベースマトリクス粒子の融解温度又は融解範囲より低い温度で及び/若しくは有機ベースマトリクス粒子のガラス転移温度より高い温度で実行され、且つ/又は、前記方法は、無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物の融解温度より低い温度で実行され、且つ/又は、前記方法は、0〜80℃の範囲内、好ましくは5〜50℃の範囲内、より好ましくは10〜40℃の範囲内、さらに好ましくは15〜35℃の範囲内の温度で実行されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記粒子集塊物又は粒子凝集物は、無機ベースであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記粒子集塊物又は粒子凝集物は、金属及び半金属及びそれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、珪酸塩、硼酸塩、及びアルミン酸塩及びこれらの合成物の混合物、及び混合された合成物、及び異なる金属及び/若しくは半金属の合金からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1つに方法によって得られる粒子状複合材料。
【請求項22】
粉末形状であり、1〜500nmの平均粒子サイズを有する無機又は有機ベース粒子を有し、前記無機又は有機ベース粒子が均一に及び/若しくは非常に細かく分割された形状で、0.1〜500μmの平均粒子サイズを有する有機ベースマトリクス粒子に分散され、そこに装着され及び/若しくはそこに取り込まれることを特徴とする粒子状複合材料。
【請求項23】
粉砕された粒子の平均粒子直径D50(comminuted particles)に対する有機ベースマトリクス粒子の平均粒子直径D50(matrix particles)の比Vは、少なくとも10:1、好ましくは少なくとも15:1、より好ましくは少なくとも20:1であることを特徴とする請求項22に記載の粒子状複合材料。
【請求項24】
コーティング合成物、すべての種類のペンキ及びインク、特に粉末コーティング材料、プリント用インク、紙片又は皮革用インク及び織物用インクにおける、型枠用混合物における、化粧調剤における、熱可塑性、熱硬化性又はエラストマーのような合成樹脂における請求項21〜23のいずれか1つに記載の粒子状複合材料の使用。
【請求項25】
製品への取り込みのためのマスターバッチ又はベースミックスとしての、特に製品の特性を変化させるための請求項21〜23のいずれか1つに記載の粒子状複合物の使用。
【請求項26】
粒子状複合材料が、最終製品に基づいて、0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の量で使用されることを特徴とする請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
乾燥状態であり、0.1μm以上、好ましくは0.1〜2000μmの範囲内の平均粒子サイズを有し、特に粉末形状で存在する固体の無機又は有機ベース粒子集塊物又は粒子凝集物を、ガス相又はガス状キャリヤ媒体においてエネルギーの入力で微粉砕し、500nm以下、好ましくは1〜500nmの範囲内の平均粒子サイズを有するナノ粒子を得ることによって、粒子集塊物又は粒子凝集物を微粉砕し、且つ/又は安定したナノ粒子を製造する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−531197(P2009−531197A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501877(P2009−501877)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001270
【国際公開番号】WO2007/112805
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】