説明

情報処理装置、コンピュータプログラム

【課題】 プローブ情報に含まれる時系列の位置情報から走行リンクを精度良く特定することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 中央装置1は、路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれない時刻t3の位置における候補リンク群が、候補リンク群A3(リンクL208、L107、L106)と候補リンク群B3(リンクL205、L204)のうちの候補リンク群B3の1つであることから、この候補リンク群B3に含まれるリンクL205、L204を走行リンクとして特定するとともに、これらの走行リンクに、時刻t2の位置における候補リンク群である候補リンク群A2(リンクL105、L104、L103、L102)と候補リンク群B2(リンクL203、L202、L207)のうちの候補リンク群B2だけが繋がるので、この候補リンク群B2に含まれるリンクL203、L202、L207も走行リンクとして特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から取得したプローブ情報を解析して、当該車両が走行したリンク(交差点間の道路区間)を特定する情報処理装置と、その処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リンクの旅行時間は、交通信号機による交通信号制御やカーナビゲーションシステムによる経路探索などに有用なデータである。
このリンクの旅行時間を、車両から取得した時系列の位置及びその通過時刻の情報であるプローブ情報から算出するリンク旅行時間計測システムが提案されている(特許文献1)。
具体的には、まず、プローブ情報に含まれる時系列の位置の情報から、いわゆる地図マッチング法を利用して車両が走行したと推定できるリンク(以下、走行リンクという)を特定する。次に、先後2つの位置間の通過時刻差を、両位置間にあるリンクの距離比で配分した時間を求め、先の位置の通過時刻とこの配分した時間とを用いて、リンクの端点(始端、終端)の通過時刻を求める。そして、リンクの始端と終端の通過時刻差からリンクの旅行時間を算出する。
特許文献1では、複数の道路が並行して存在するときなど(例えば、一般道路と高架になっている高速道路)、車両がいずれのリンクを走行したのかの特定が困難な場合には、複数のリンクを走行リンクの候補である候補リンクとして確保しておき、それぞれの候補リンクの下流に繋がるリンクのうちの1つに走行リンクを特定できたときに、この走行リンクの上流に繋がる1本又は複数本の候補リンクをそれぞれ走行リンクとして特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−101504
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の候補リンクの下流に繋がるリンクのうちの1つに走行リンクを特定できた場合であっても、この走行リンクを上流に辿っていくと前記複数の候補リンクのいずれもが繋がる場合には、これらの候補リンクのうちの1つを走行リンクとして特定することができないという問題があった。
【0005】
図10は、走行リンクを上流に辿っていくと複数の候補リンクのいずれもが繋がる例を示す図である。
リンクL101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L108、L109は一般道路を表しており、リンクL201、L202、L203、L204、L205、L206、L207、L208は高速道路を表している(リンクL207、L208は高速道路のランプ)。
車両はL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206の順に走行したとする。△印は車両から取得したプローブ情報に含まれる時刻t1、t2、t3のそれぞれにおける車両の位置の情報を表している。
【0006】
時刻t1における位置情報からは、この位置に最も近いリンクL101を走行リンクとして特定することができるが、時刻t2における位置情報からは、この位置にリンクL105とリンクL203のいずれもが近いため、このうちの1つを走行リンクとして特定することができず、候補リンクとしてリンクL105、L203を確保する。
【0007】
次に、時刻t3における位置情報から、この位置に最も近いリンクL206を走行リンクとして特定することができるが、この走行リンクL206を上流に辿っていくと候補リンクL105、L203のいずれもが繋がるため、候補リンクL105、L203のいずれか一方を走行リンクとして特定することができない。
【0008】
よって、特許文献1による方法では、走行リンクL101と候補リンクL105と走行リンクL206とを結ぶ候補リンクL102、L103、L104、L105、L106、L107、L208からなる候補リンク群と、走行リンクL101と候補リンクL203と走行リンクL206とを結ぶ候補リンクL207、L202、L203、L204、L205からなる候補リンク群のいずれか一方を、走行リンクとして特定することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、プローブ情報に含まれる時系列の位置情報から走行リンクを精度良く特定することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る情報処理装置は、道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する情報処理装置であって、前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記路側通信装置の識別情報とを取得する取得手段と、前記路側通信装置の前記識別情報を前記プローブ情報に追加する追加手段と、前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段と、前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(a)(b)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段とを備える情報処理装置である(請求項1)。
(a)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(b)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0011】
第1発明によれば、情報処理装置は、車両が路側通信装置に送信したプローブ情報と、当該プローブ情報が送信された当該路側通信装置の識別情報とを取得し、この識別情報をプローブ情報に追加する。
情報処理装置は、プローブ情報に基づいて、車両が走行したリンクと推定できる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を複数組推定した場合には、以下の条件a、bのいずれであるかを判定する。
(条件a)これらの複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報がプローブ情報に含まれている。
(条件b)これらの複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報がプローブ情報に含まれていない。
路側通信装置が設置されているリンクを車両が走行している場合には、プローブ情報には当該路側通信装置の識別情報が追加されているため、情報処理装置は(条件a)と判定するのが適切である。従って、(条件a)と判定した場合には、情報処理装置は路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する
一方、路側通信装置が設置されているリンクを車両が走行していない場合には、プローブ情報には当該路側通信装置の識別情報が追加されていないため、情報処理装置は(条件b)と判定するはずである。従って、(条件b)と判定した場合には、情報処理装置は路側通信装置が設置されていない候補リンクの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0012】
例えば、図10の例において、複数のリンクのうちのリンクL107にのみ路側通信装置である光ビーコンが設置されているとする。車両はL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206の順に走行したので、光ビーコンが設置されているリンクL107を通らず、この光ビーコンにプローブ情報を送信しない。このため、この光ビーコンの識別情報はプローブ情報には追加されない。よって、情報処理装置は、一連の候補リンクL102〜L107、L208からなる候補リンク群Aと、他の一連の候補リンクL207、L202〜L205からなる候補リンク群Bのうちの候補リンク群Bに路側通信装置である光ビーコンが設置されているリンクL107が含まれており、かつ、この光ビーコンの識別情報がプローブ情報に含まれていない、すなわち、(条件b)と判定するので、光ビーコンが設置されているリンクを含まない候補リンク群AのL207、L202〜L205を走行リンクとして特定する。
このように、車両が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0013】
第2発明に係る情報処理装置は、道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する情報処理装置であって、前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記プローブ情報が送信された位置とを取得する取得手段と、前記プローブ情報が送信された前記位置を前記プローブ情報に追加する追加手段と、前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補である候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段と、前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(c)(d)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段とを備える情報処理装置である(請求項2)。
(c)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(d)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0014】
第2発明によれば、情報処理装置は、車両が路側通信装置に送信したプローブ情報と、プローブ情報が送信された位置とを取得し、プローブ情報が送信された位置をプローブ情報に追加する。
情報処理装置は、このプローブ情報に基づいて、車両が走行したリンクと推定できる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を複数組推定した場合には、以下の条件c、dのいずれであるかを判定する。
(条件c)これらの複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれている。
(条件d)これらの複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれていない。
路側通信装置が設置されているリンクを車両が走行している場合には、プローブ情報には当該路側通信装置にプローブ情報が送信された位置が追加されている。プローブ情報が送信される位置は前記路側通信装置の設置位置の近傍となるため、プローブ情報には前記路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が含まれ、情報処理装置は(条件c)と判定するのが適切である。従って、(条件c)と判定した場合には、情報処理装置は路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
一方、路側通信装置が設置されているリンクを車両が走行していない場合には、プローブ情報には当該路側通信装置にプローブ情報が送信された位置が追加されていない。プローブ情報が送信される位置は前記路側通信装置の設置位置の近傍となるため、プローブ情報には前記路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が含まれておらず、情報処理装置は(条件d)と判定するのが適切である。従って、(条件d)と判定した場合には、情報処理装置は路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0015】
例えば、図10の例において、複数のリンクのうちのリンクL107にのみ路側通信装置である光ビーコンが設置されているとする。車両はL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206の順に走行したので、光ビーコンが設置されているリンクL107を通らず、この光ビーコンにプローブ情報を送信しない。このため、この光ビーコンにプローブ情報を送信する位置の情報、すなわち、当該光ビーコンの設置位置の近傍の位置の情報はプローブ情報には追加されない。よって、情報処理装置は、一連の候補リンクL102〜L107、L208からなる候補リンク群Aと、他の一連の候補リンクL207、L202〜L205からなる候補リンク群Bのうちの候補リンク群Bに路側通信装置である光ビーコンが設置されているリンクL107が含まれており、かつ、この光ビーコンの設置位置の近傍の位置の情報がプローブ情報に含まれていない、すなわち、(条件d)と判定するので、光ビーコンが設置されているリンクを含まない候補リンク群AのL207、L202〜L205を走行リンクとして特定する。
このように、車両が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0016】
第3発明に係るコンピュータプログラムは、道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記路側通信装置の識別情報とを取得する取得手段、前記路側通信装置の前記識別情報を前記プローブ情報に追加する追加手段、前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段、前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(a)(b)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段として機能させるためのコンピュータプログラムである(請求項3)。
(a)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(b)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0017】
第3発明は、第1発明と同一の発明に係るコンピュータプログラムの発明である。
【0018】
第4発明に係るコンピュータプログラムは、道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記プローブ情報が送信された位置とを取得する取得手段、前記プローブ情報が送信された前記位置を前記プローブ情報に追加する追加手段、前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段、前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(c)(d)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段として機能させるためのコンピュータプログラムである(請求項4)。
(c)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(d)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【0019】
第4発明は、第2発明と同一の発明に係るコンピュータプログラムの発明である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プローブ情報に含まれる時系列の位置情報から走行リンクを精度良く特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るプローブ情報処理システムの概要を示す模式図である。
【図2】車載装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】路側通信装置の通信制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】中央装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
【図6】走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
【図7】走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
【図8】走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
【図9】走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
【図10】走行リンクを上流に辿っていくと複数の候補リンクのいずれもが繋がる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1:
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明に係るプローブ情報処理システムの概要を示す模式図である。プローブ情報処理システムは、中央装置1、路側通信装置2、車載装置3、車両4、交通信号機5などを含む。
交差点Iに流入する道路(流入リンク)はL1、L2、L3、L4の4つであり、流入リンクL1、L3は2車線(外側から車線1、車線2とする)であり、流入リンクL2、L4は1車線である。
【0024】
流入リンクL1の上流部には光ビーコンである路側通信装置2が設置されており、路側通信装置2は車線1上に通信部2b1、車線2上に通信部2b2、道路脇に車載装置3との路車間通信を制御する通信制御装置2aを備えている。
この路側通信装置2は、流入リンクL1上の路車間通信領域Q1及びQ2(図1において斜線で示す範囲)において、車両4に搭載された車載装置3との間で通信データを送受信する機能を備えている。
なお、流入リンクL2、L3、L4の上流部にも路側通信装置2が設置されているが、図1では図示を省略している。
【0025】
中央装置1は、路側通信装置2と通信回線で接続されており、また、交差点Iに設置された交通信号機5とも通信回線で接続されている。
【0026】
路車間通信領域Q1及びQ2において、路側通信装置2から車両4に対して送信される通信データ(ダウンリンク情報DL)には、進行方向の道路の状況に関する情報が含まれており、例えば、どの道路が渋滞しているかに関する渋滞情報、ある地点までの旅行時間に関する旅行時間情報などの交通情報が含まれる。
なお、道路の状況に関する情報は、交通管制センターに設置された中央装置1から通信回線を通じて送られ、予め路側通信装置2の後述する記憶部203に格納されている。
【0027】
一方、路車間通信領域Q1及びQ2において、車載装置3が路側通信装置2に対して送信するアップリンク情報ULには、車両4を識別するための車両IDや後述するプローブ情報などが含まれている。
【0028】
〔システムの動作概要〕
車載装置3は、所定の条件を満たすと判断したときに、車両4の位置及びその通過時刻をプローブ情報として、後述する車載装置3の記憶部305に記憶する。所定の条件は、例えば、所定の時間毎(例えば、10秒毎)、所定の走行距離毎(例えば、100m毎)、車両4が停止する毎、などである。
【0029】
車載装置3は、路側通信装置2の路車間通信領域(図1の場合はQ1又はQ2)に進入すると、路側通信装置2から交通情報などを含むダウンリンク情報DLを受信するとともに、車両4(車載装置3)の識別情報である車両IDと記憶部305に記憶されているプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを作成して、このアップリンク情報ULを路側通信装置2に送信する。
車載装置3は、路側通信装置2へのアップリンク情報ULの送信を完了すると、記憶部305に記憶されているプローブ情報を消去する。
【0030】
路側通信装置2は、車載装置3から車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを受信すると、そのアップリンク情報ULと自己の識別情報である路側通信装置IDとを、中央装置1に送信する。
【0031】
中央装置1は、路側通信装置2からアップリンク情報ULと路側通信装置2の路側通信装置IDとを受信すると、これらの受信時刻を検出し、この受信時刻と路側通信装置2の路側通信装置IDとをアップリンク情報ULに含まれるプローブ情報に追加し、このプローブ情報をアップリンク情報ULに含まれる車両IDに対応づけて、後述する中央装置1の記憶部104に記憶する。
【0032】
中央装置1は、所定の周期毎(例えば、24時間毎)に、記憶部104に記憶されたプローブ情報を車両ID毎に結合して、それぞれの車両IDの結合後のプローブ情報に対して後述する走行リンク特定処理を実行し、それぞれの車両IDに対応する車両4(車載装置3)が走行したと推定できるリンク(走行リンク)を特定する。
【0033】
中央装置1は、それぞれの車両IDの結合後のプローブ情報に含まれる車両4の位置及びその通過時刻と特定した走行リンクとから、それぞれの走行リンクの始端及び終端の通過時刻を算出し、その終端と始端の通過時刻差から走行リンクの旅行時間を算出する。
【0034】
中央装置1は、算出した走行リンクの旅行時間、別途車両感知器(不図示)から収集した車両感知情報などに基づいて、交通管制センターの管轄エリアにおける交通情報などを作成し、管轄エリア内の路側通信装置2に送信する。
【0035】
〔車載装置〕
図2は車載装置3の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、車載装置3は、GPS処理部301、方位センサ302、車速取得部303、通信部304、記憶部305、操作部306、表示部307、音声出力部308及び制御部309等を含む。
【0036】
GPS処理部301は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報等に基づいて、車両4の位置(緯度、経度及び高度)を計測する。
【0037】
方位センサ302は、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両4の方位及び角速度を計測する。
車速取得部303は、車速センサ(図示せず)が車輪の角速度を検出することにより計測した車両4の速度データを取得する。
【0038】
車載装置3の通信部304は、道路上の所定位置に設定された路側通信装置2の路車間通信領域において、アップリンク情報ULとダウンリンク情報DLを送受信する。すなわち、車載装置3の通信部304は、車両4が路側通信装置2の路車間通信領域に入ると、交通情報を含むダウンリンク情報DLを受信し、自身のプローブ情報を含むアップリンク情報ULを路側通信装置2に送信する。
【0039】
車載装置3の記憶部305は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成され、ダウンリンク情報DLに含まれる交通情報や、アップリンク情報ULに含めるプローブ情報等の各種情報を記憶するための記憶領域を有する。
また、記憶部305は、道路地図データも記憶している。
【0040】
この道路地図データには、交差点の識別情報である交差点IDと交差点の位置とを対応付けた交差点データが含まれている。また、道路地図データには、リンクの識別情報であるリンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、リンクコストとを対応付けたリンクデータも含まれている。
上記リンクコストは、例えば、リンクとその終点に接続するリンクの組み合わせの数だけ用意されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。
すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
【0041】
車載装置3の操作部306は、タッチパネルやボタン等から構成されており、運転者を含む車両4の搭乗者が目的地の設定等を行えるようになっている。
車載装置3の表示部307は、車両4のダッシュボード部分に取り付けられたモニタ装置(図示せず)よりなり、道路地図や制御部309が作成した目的地までの案内経路などを描画した画像データを搭乗者に表示する。
音声出力部308は、制御部309が作成した目的地までの経路案内などの音声データをスピーカー(図示せず)から出力する。
【0042】
車載装置3の制御部309は、マイクロコンピュータ等から構成され、GPS処理部301、方位センサ302、車速取得部303、通信部304、記憶部305、操作部306、表示部307、音声出力部308での各処理を制御する。
また、車載装置3の制御部309は、GPS処理部301が計測した車両4の位置、方位センサ302が計測した車両4の方位及び角速度、車速取得部303が取得した車両4の速度の各データ、記憶部305に記憶している道路地図データに基づいてマップマッチング処理を行い、道路地図データのリンク上における車両4の位置を算出することができる。
【0043】
〔路側通信装置〕
図3は路側通信装置2の通信制御装置2aの構成の一例を示すブロック図である。
通信制御装置2aは全体の処理を制御する制御部201、中央端末間通信部202、記憶部203、路車間通信部204、ダウンリンク情報生成部205などを含む。
【0044】
中央端末間通信部202は、中央装置1との間でデータを送受信する機能を有し、中央装置1から送信される交通情報などを受信する。受信した情報は、記憶部203に格納される。
ダウンリンク情報生成部205は、記憶部203に格納された交通情報などに基づいて、ダウンリンク情報DLを生成する。
【0045】
路車間通信部204は、常時、路車間通信領域に対してダウンリンク情報DLを送信し続けている。このダウンリンク情報DLは、車載装置3に対して路車間通信領域に進入したことを知らせ、車載装置3からのアップリンク情報ULの送信を促すことを主な目的として送信しており、基本的な情報のみが含まれている。
【0046】
路車間通信領域に進入した車両4の車載装置3は、ダウンリンク情報DLの受信に応じて、当該車両4の車両ID、プローブ情報を含むアップリンク情報ULを路側通信装置2に対して送信する。
路側通信装置2の中央端末間通信部202は、受信したアップリンク情報ULを中央装置1に送信する。
【0047】
路車間通信部204は、アップリンク情報ULを受信したら、当該アップリンク情報UL受信に応じてダウンリンクの切替を実行し、車載装置3に対して、車載装置3の走行する車線を通知する車線通知情報、交通情報などを含む切替実行後のダウンリンク情報DLの送信を開始する。
【0048】
図1のように車両4が車線2を走行している場合、車両4の車載装置3と通信部2b2が路車間通信を行うから、通信部2b2が車載装置3からアップリンク情報ULを受信する。通信制御装置2aはいずれの通信部で受信したアップリンク情報ULであるかによって、当該アップリンク情報ULを送信した車両4の走行車線を把握するようになっており、受信した当該アップリンク情報ULに含まれる車両IDと車線2とを対応付けた車線通知情報を作成して車載装置3に対して送信する。そして、その車線通知情報を受信した車載装置3は、自己の車両IDを基に自身の走行車線が車線2であると認識することができる。
【0049】
ここでは、同一方向に進行する車線の車線数を2つとしているが、1つでも良いし3つ以上であっても良い。また、車両4がどの車線を走行していても、路側通信装置2は上述と同じ動作を実行することができる。
【0050】
〔中央装置〕
図4は、中央装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、中央装置1は、制御部101、表示部102、通信部103、記憶部104及び操作部105などを含んでいる。
【0051】
中央装置1の制御部101は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、後述する走行リンク特定処理などの各種の処理を実行する。また、制御部101は、内部バスを介して表示部102、通信部103、記憶部104及び操作部105と繋がっており、これらの各部の動作を制御する。
【0052】
中央装置1の通信部103は、通信回線を通じて路上に設置された各種装置と情報交換を行うための通信機能を備えるものである。中央装置1の通信部103は、交通管制センターの管轄エリア内の路側通信装置2からアップリンク情報ULを受信し、また、同管轄エリア内の車両感知器(不図示)から車両感知情報を受信する。また、中央装置1の通信部103は、中央装置1の制御部101が作成した交通情報などを管轄エリア内の路側通信装置2に送信する。
【0053】
中央装置1の記憶部104は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、後述する走行リンク特定処理などの各種処理を、中央装置1の制御部101に実行させるためのコンピュータプログラムPGを記憶している。
また、中央装置1の記憶部104は、管轄エリア内のすべての路側通信装置2について、路側通信装置IDと設置されている位置とを対応付けて記憶している。
また、中央装置1の記憶部104は、中央装置1の制御部101が各種処理を実行した結果などの一時的な記憶領域も有する。
【0054】
中央装置1の表示部102は、管轄エリアの道路地図と、この道路地図上のすべての交通信号機5や路側通信装置2などの位置が表示された表示画面により構成され、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知するものである。
中央装置1の操作部105は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部105によって中央オペレータが上記表示部102に対する管轄エリアの道路地図表示の切り替え操作等を行えるようになっている。
【0055】
中央装置1の制御部101は、通信部103により路側通信装置2からアップリンク情報ULと路側通信装置2の路側通信装置IDとを受信すると、通信部103における受信時刻を抽出し、この受信時刻と路側通信装置2の路側通信装置IDとをアップリンク情報に含まれるプローブ情報に追加し、このプローブ情報をアップリンク情報ULに含まれる車両IDに対応づけて、記憶部104に記憶する。
【0056】
中央装置1の制御部101は、所定の周期毎に記憶部104に記憶されたプローブ情報を車両ID毎に結合し、それぞれの車両ID毎のプローブ情報に含まれる位置とその通過時刻を時系列順に並べ替える。そして、制御部101は、それぞれの車両IDの結合後のプローブ情報に対して後述する走行リンク特定処理を実行し、それぞれの車両IDに対応する車両4(車載装置3)の走行リンクを特定する。
【0057】
図5〜図9は、走行リンク特定処理を示すフローチャートである。
中央装置1の制御部101は、プローブ情報に含まれる時系列の位置の情報のすべてを抽出したか否かを判定する(ステップS01)。
制御部101は、すべてを抽出していないと判定した場合には(ステップS01においてNO)、プローブ情報に含まれる時系列の位置の情報うちの1つをその通過時刻とともに抽出する(ステップS02)。
制御部101は、すべてを抽出したと判定した場合には(ステップS01においてYES)、ステップS81以降の処理を実行する。
【0058】
制御部101は、抽出した位置の情報について、マップマッチング処理を用いて、対応する候補リンク(走行リンクの候補となるリンク)を推定する(ステップS03)。
制御部101は、ステップS03で推定した候補リンクが1つか否かを判定する(ステップS04)。
制御部101は、候補リンクが1つと判定した場合には(ステップS04においてYES)、その候補リンクを走行リンクとして特定する(ステップS05)。
【0059】
制御部101は、1つ前のステップS02において位置の情報が抽出されているか否かを判定する(ステップS06)。
制御部101は、位置の情報が抽出されていないと判定した場合には(ステップS06においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、位置の情報が抽出されていると判定した場合には(ステップS06においてYES)、1つ前のステップS02で抽出した位置の情報について、ステップS05において対応する走行リンクが特定されているか否かを判定する(ステップS07)。
【0060】
制御部101は、走行リンクが特定されていると判定した場合には(ステップS07においてYES)、今回ステップS02で抽出した位置の情報についてステップS05において特定した走行リンク(今回の走行リンク)から、1つ前のステップS02で抽出した位置の情報についてステップS05において特定した走行リンク(前回の走行リンク)まで、リンクを上流に辿る(ステップS08)。
制御部101は、両走行リンク間を辿ることができた一連のリンクの群を全て走行リンクとして特定し(ステップS09)、ステップS01以降の処理を継続する。
【0061】
制御部101は、走行リンクが特定されていないと判定した場合には(ステップS07においてNO)、今回の走行リンクから、1つ前のステップS02で抽出した位置の情報について後述するステップS41において保持した複数の候補リンク(前回の複数の候補リンク)まで、リンクを上流に辿る(ステップS21)。
制御部101は、前回の複数の候補リンクのうち、今回特定した走行リンクから辿ることができたのは1つか否かを判定する(ステップS22)。
【0062】
制御部101は、辿れた候補リンクは1つと判定した場合には(ステップS22においてYES)、その候補リンクを走行リンクとして特定するとともに、今回の走行リンクからこの候補リンクまで上流に辿ることができた一連のリンクの群をすべて走行リンクとして特定し(ステップS23)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、辿れた候補リンクは1つでないと判定した場合には(ステップS22においてNO)、複数の候補リンクごとに、今回の走行リンクから当該候補リンクまで上流に辿ることができた一連のリンクの群を、それぞれ候補リンク群として記憶部104に保持する(記憶する)(ステップS24)。例えば、候補リンクが2つであれば、今回の走行リンクから2つのうちの一の候補リンクまで辿ることができた候補リンク群と、今回の走行リンクから2つのうちの他の候補リンクまで辿ることができた候補リンク群の、2つの候補リンク群を保持することになる。
【0063】
制御部101は、ステップS24で保持した複数の候補リンクの候補リンク群それぞれの中に、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれているか否かを判定する(ステップS25)。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていないと判定した場合には(ステップS25においてNO)、ステップS01以降の処理を行う。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていると判定した場合には(ステップS25においてYES)、プローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定する(ステップS26)。
【0064】
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていると判定した場合には(ステップS26においてYES)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれる候補リンク群をすべて走行リンクとして特定する(候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する)とともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS24で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS27)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていないと判定した場合には(ステップS26においてNO)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれない候補リンク群が1つか否かを判定する(ステップS28)。
【0065】
制御部101は、候補リンク群が1つでないと判定した場合には(ステップS28においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、候補リンク群が1つと判定した場合には(ステップS28においてYES)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれないその候補リンク群をすべて走行リンクとして特定するとともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS24で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS29)、ステップS01以降の処理を継続する。
【0066】
制御部101は、ステップS03で推定した候補リンクが1つでないと判定した場合には(ステップS04においてNO)、それら複数の候補リンク(今回の候補リンク)を記憶部104に保持する(ステップS41)。
制御部101は、1つ前のステップS02において位置の情報が抽出されているか否かを判定する(ステップS42)。
制御部101は、位置の情報が抽出されていないと判定した場合には(ステップS42においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、位置の情報が抽出されていると判定した場合には(ステップS42においてYES)、1つ前のステップS02で抽出した位置の情報について、ステップS05において走行リンクが特定されているか否かを判定する(ステップS43)。このステップS41の内容は、前述のステップS07の内容と同じである。
【0067】
制御部101は、走行リンクが特定されていると判定した場合には(ステップS43においてYES)、今回の複数の候補リンクのそれぞれから前回の走行リンクまでリンクを上流に辿る(ステップS44)。
制御部101は、今回の複数の候補リンクのうち、前回の走行リンクまで辿ることができたのが1つか否かを判定する(ステップS45)。
制御部101は、辿れた候補リンクは1つと判定した場合には(ステップS45においてYES)、その候補リンクを走行リンクとして特定するとともに、この候補リンクから前回の走行リンクまで上流に辿ることができた一連のリンクの群をすべて走行リンクとして特定し、さらに、ステップS41において保持した候補リンクのうちの残りの候補リンクを記憶部104から消去し(ステップS46)、ステップS01以降の処理を継続する。
【0068】
制御部101は、辿れた候補リンクは1つでないと判定した場合には(ステップS45においてNO)、複数の候補リンクごとに、当該候補リンクから前回の走行リンクまで上流に辿ることができた一連のリンクの群を、それぞれ候補リンク群として記憶部104に保持する(ステップS47)。例えば、候補リンクが2つであれば、2つのうちの一の候補リンクから前回の走行リンクまで辿ることができた候補リンク群と、2つのうちの他の候補リンクから前回の走行リンクまで辿ることができた候補リンク群の、2つの候補リンク群を保持することになる。
【0069】
制御部101は、ステップS47で保持した複数の候補リンクの候補リンク群それぞれの中に、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれているか否かを判定する(ステップS48)。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていないと判定した場合には(ステップS48においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていると判定した場合には(ステップS48においてYES)、プローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定する(ステップS49)。
【0070】
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていると判定した場合には(ステップS49においてYES)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれる候補リンク群をすべて走行リンクとして特定するとともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS47で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS50)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていないと判定した場合には(ステップS49においてNO)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれない候補リンク群が1つか否かを判定する(ステップS51)。
【0071】
制御部101は、候補リンク群が1つでないと判定した場合には(ステップS51においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、候補リンク群が1つと判定した場合には(ステップS51においてYES)、路側通信装置2が設置されたリンクが含まれないその候補リンク群をすべて走行リンクとして特定するとともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS47で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS52)、ステップS01以降の処理を継続する。
【0072】
制御部101は、走行リンクが特定されていないと判定した場合には(ステップS43においてNO)、今回の複数の候補リンクのそれぞれから、前回の複数の候補リンクのそれぞれまで、上流にリンクを辿る(ステップS61)。
制御部101は、今回の複数の候補リンクのそれぞれから、前回の複数の候補リンクのそれぞれまで、上流にリンクを辿ることができた一連のリンクの群を、それぞれ候補リンク群として記憶部104に保持する(ステップS62)。
【0073】
制御部101は、ステップS62で保持した複数の候補リンク群それぞれの中に、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれているか否かを判定する(ステップS63)。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていないと判定した場合には(ステップS63においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、複数の候補リンク群のいずれかに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていると判定した場合には(ステップS63においてYES)、プローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定する(ステップS64)。
【0074】
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていると判定した場合には(ステップS64においてYES)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれる候補リンク群をすべて走行リンクとして特定するとともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS62で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS65)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、プローブ情報に路側通信装置IDが含まれていないと判定した場合には(ステップS64においてNO)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれない候補リンク群が1つか否かを判定する(ステップS66)。
【0075】
制御部101は、候補リンク群が1つでないと判定した場合には(ステップS66においてNO)、ステップS01以降の処理を継続する。
制御部101は、候補リンク群が1つと判定した場合には(ステップS66においてYES)、路側通信装置2が設置されているリンクが含まれないその候補リンク群をすべて走行リンクとして特定するとともに、この特定された走行リンクに、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群もすべて走行リンクとして特定する。そして、ステップS62で保持した候補リンク群のうちの残りの候補リンク群を記憶部104から消去するとともに、この消去した候補リンク群に、1つ以上前のステップS02において抽出された位置の情報における候補リンク群が1つだけ繋がる場合には、この候補リンク群も記憶部104から消去し(ステップS67)、ステップS01以降の処理を継続する。
【0076】
制御部101は、プローブ情報に含まれる時系列の位置の情報のすべてを抽出したと判定した場合には(ステップS01においてYES)、記憶部104に保持されたままの候補リンク群が存在するか否かを判定する(ステップS81)。
制御部101は、保持されたままの候補リンク群が存在しないと判定した場合には(ステップS81においてNO)、この車両IDのプローブ情報について走行リンク特定処理を終了する。
【0077】
制御部101は、保持されたままの候補リンク群が存在すると判定した場合には(ステップS81においてYES)、これらの複数の候補リンク群のうちで所定の条件を満たすものを選定して、その選定した候補リンク群をすべて走行リンクとして特定し、それ以外の候補リンク群を記憶部104から消去する(ステップS82)。所定の条件は、例えば、候補リンク群に含まれるリンクの距離の合計が最小となる、などである。例えば、記憶部104に保持されたままの候補リンク群が2つあり、それぞれの候補リンク群に含まれるリンクの距離の合計が、一方が1400mであり、他方が1500mであれば、前記一方の候補リンク群を走行リンクとして特定する。
そして、制御部101は、この車両IDのプローブ情報について走行リンク特定処理を終了する。
【0078】
上記に説明した走行リンク特定処理を、図10のプローブ情報の例を用いて以下に具体的に説明する。
上述のとおり、図10において、リンクL101〜L109は一般道路を表しており、リンクL201〜L208は高速道路を表している(リンクL207、L208は高速道路のランプ)。◇印はリンクL107に設置されている路側通信装置2である。△印は車両4から取得したプローブ情報に含まれる時刻t1、t2、t3のそれぞれにおける車両4の位置情報を表している。
【0079】
まず、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行しなかった場合の例について説明する。
車両4はリンクL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206の順に走行したとする。
車両4は、リンクL206を走行した後に路側通信装置2が設置されたある一般道路のリンク(不図示)を走行し、その路側通信装置2に対し、自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信したものとし、そのプローブ情報には、図10における3つの△印に対応する車両4の位置及びその通過時刻であるt1、t2、t3が含まれているものとする。
【0080】
車両4はリンクL107を走行していないので、車両4(車載装置3)から送信されたプローブ情報には、リンクL107に設置されている路側通信装置2の路側通信装置IDは含まれていない。
【0081】
中央装置1の制御部101は、車両4から送信されたプローブ情報について、図5のステップS02において、時刻t1における位置及びその時刻t1を抽出したとする。
そして、制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL101を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL101の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL101を走行リンクとして特定する。
【0082】
制御部101は、ステップS06において、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。ここでは、簡単のため、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された情報がないとすると、制御部101は、ステップS06においてNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0083】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t2における位置及びその時刻t2を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL105とリンクL203の2つを推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクは1つでないからNOと判定し、図7のステップS41において、リンクL105とリンクL203の2つを候補リンクとして記憶部104に保持する(記憶する)。
【0084】
制御部101は、ステップS42において、時刻t2の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t2の位置の情報の1つ前には時刻t1の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS42においてYESと判定する。
【0085】
制御部101は、ステップS43において、1つ前の時刻t1の位置の情報について走行リンクL101が特定されているからYESと判定し、ステップS44において、今回の候補リンクL105とL203から前回の走行リンクL101までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS43において、候補リンクL105から走行リンクL101までリンクL104、L103、L102と辿ることができ、また、候補リンクL203から走行リンクL101までリンクL202、L207と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0086】
制御部101は、ステップS47において、リンクL105、L104、L103、L102を時刻t2の位置における1つ目の候補リンク群A2として記憶部104に保持し、リンクL203、L202、L207を時刻t2の位置における2つ目の候補リンク群B2として記憶部104に保持する。
制御部101は、ステップS48において、時刻t2の位置における候補リンク群A2、候補リンク群B2のいずれにも路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていないことからNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0087】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t3における位置及びその時刻t3を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL206を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL206の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL206を走行リンクとして特定する。
【0088】
制御部101は、ステップS06において、時刻t3の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t3の位置の情報の1つ前には時刻t2の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS06においてYESと判定する。
【0089】
制御部101は、ステップS07において、1つ前の時刻t2の位置の情報について走行リンクが特定されていないからNOと判定し、ステップS21において、今回の走行リンクL206から前回の候補リンクL105、L203までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS22において、走行リンクS206から候補リンクL105までリンクL208、L107、L106と辿ることができ、また、走行リンクL206から候補リンクL203までリンクL205、L204と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0090】
制御部101は、ステップS24において、リンクL208、L107、L106を時刻t3の位置における1つ目の候補リンク群A3として記憶部104に保持し、リンクL205、L204を時刻t3の位置における2つ目の候補リンク群B3として記憶部104に保持する。
【0091】
制御部101は、ステップS25において、時刻t3の位置における候補リンク群A3、候補リンク群B3のうちの候補リンク群A3に路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていることからYESと判定する。
制御部101は、ステップS26において、プローブ情報に、リンクL107に設置されている路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれていないことから、NOと判定する。
制御部101は、ステップS28において、路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれない時刻t3の位置における候補リンク群が候補リンク群B3の1つであることからYESと判定する。
【0092】
制御部101は、ステップS29において、この候補リンク群B3に含まれるリンクL205、L204を走行リンクとして特定するとともに、これらの走行リンクに、時刻t2の位置における候補リンク群A2(リンクL105、L104、L103、L102)と候補リンク群B2(リンクL203、L202、L207)のうちの候補リンク群B2だけが繋がるので、候補リンク群B2に含まれるリンクL203、L202、L207もすべて走行リンクとして特定する。
また、制御部101は、残りの候補リンク群A3を記憶部104から消去するとともに、この候補リンク群A3に、時刻t2の位置における候補リンク群A2と候補リンク群B2のうちの候補リンク群A2だけが繋がるので、候補リンク群A2に含まれるリンクL105、L104、L103、L102も記憶部104から消去する。
制御部101は、さらにステップS01以降の処理を継続する。
【0093】
従って、中央装置1の制御部101は、リンクL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206を走行リンクとして特定することができるので、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0094】
これまでは、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行しなかった場合の例について説明したが、次は、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行した場合の例について説明する。
車両4はリンクL101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L208、L206の順に走行したとする。この場合でも、図10に示す△が車両4から取得したプローブ情報に含まれる時刻t1、t2、t3のそれぞれにおける車両4の位置情報であるとする。
【0095】
車両4は、リンクL107を走行するので、このリンクに設置されている路側通信装置2に対して自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信し、また、リンクL206を走行した後にも路側通信装置2が設置されたある一般道路のリンク(不図示)を走行し、このリンクに設置された路側通信装置2に対しても自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信したものとする。
そして、中央装置1の制御部101がこの車両4の車両IDについて結合したプローブ情報には、図10における3つの△印に対応する車両4の位置及びその通過時刻であるt1、t2、t3が含まれているものとともに、リンクL107に設置されている路側通信装置2の路側通信装置ID及び当該路側通信装置2に送信されたアップリンク情報ULの受信時刻t2’(t2<t2’<t3)が含まれているものとする。
【0096】
中央装置1の制御部101は、車両4から送信されたプローブ情報について、図5のステップS02において、時刻t1における位置及びその時刻t1を抽出したとする。
そして、制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL101を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL101の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL101を走行リンクとして特定する。
【0097】
制御部101は、ステップS06において、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。ここでは、上述の例と同様に、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された情報がないとすると、制御部101は、ステップS06においてNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0098】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t2における位置及びその時刻t2を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL105とリンクL203の2つを推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクは1つでないからNOと判定し、図7のステップS41において、リンクL105とリンクL203の2つを候補リンクとして記憶部104に保持する(記憶する)。
【0099】
制御部101は、ステップS42において、時刻t2の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t2の位置の情報の1つ前には時刻t1の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS42においてYESと判定する。
【0100】
制御部101は、ステップS43において、1つ前の時刻t1の位置の情報について走行リンクL101が特定されているからYESと判定し、ステップS44において、今回の候補リンクL105とL203から前回の走行リンクL101までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS43において、候補リンクL105から走行リンクL101までリンクL104、L103、L102と辿ることができ、また、候補リンクL203から走行リンクL101までリンクL202、L207と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0101】
制御部101は、ステップS47において、リンクL105、L104、L103、L102を時刻t2の位置における1つ目の候補リンク群A2として記憶部104に保持し、リンクL203、L202、L207を時刻t2の位置における2つ目の候補リンク群B2として記憶部104に保持する。
制御部101は、ステップS48において、時刻t2の位置における候補リンク群A2、候補リンク群B2のいずれにも路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていないことからNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0102】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t3における位置及びその時刻t3を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL206を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL206の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL206を走行リンクとして特定する。
【0103】
制御部101は、ステップS06において、時刻t3の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t3の位置の情報の1つ前には時刻t2の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS06においてYESと判定する。
【0104】
制御部101は、ステップS07において、1つ前の時刻t2の位置の情報について走行リンクが特定されていないからNOと判定し、ステップS21において、今回の走行リンクL206から前回の候補リンクL105、L203までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS22において、走行リンクS206から候補リンクL105までリンクL208、L107、L106と辿ることができ、また、走行リンクL206から候補リンクL203までリンクL205、L204と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0105】
制御部101は、ステップS24において、リンクL208、L107、L106を時刻t3の位置における1つ目の候補リンク群A3として記憶部104に保持し、リンクL205、L204を時刻t3の位置における2つ目の候補リンク群B3として記憶部104に保持する。
【0106】
制御部101は、ステップS25において、時刻t3の位置における候補リンク群A3、候補リンク群B3のうちの候補リンク群A3に路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていることからYESと判定する。
ここまでは、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行しなかった場合の例と同じである。
制御部101は、ステップS26において、プローブ情報に、リンクL107に設置されている路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれていることから、YESと判定する。
制御部101は、ステップS27において、路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれる候補リンク群A3(リンクL208、L107、L106)を走行リンクとして特定するとともに、これらの走行リンクに時刻t2の位置における候補リンク群A2(リンクL105、L104、L103、L102)と候補リンク群B2(リンクL203、L202、L207)のうちの候補リンク群A2だけが繋がるので、候補リンク群A2に含まれるリンクL105、L104、L103、L102もすべて走行リンクとして特定する。
また、制御部101は、残りの候補リンク群B3を記憶部104から消去するとともに、この候補リンク群B3に、時刻t2の位置における候補リンク群A2と候補リンク群B2のうちの候補リンク群B2だけが繋がるので、候補リンク群B2に含まれるリンクL203、L202、L207も記憶部104から消去する。
制御部101は、さらにステップS01以降の処理を継続する。
【0107】
従って、中央装置1の制御部101は、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L208、L206を走行リンクとして特定することができるので、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0108】
以上のように本発明に係る中央装置1は、車両4が路側通信装置2に送信したアップリンク情報ULに含まれるプローブ情報と、当該プローブ情報を含むアップリンク情報ULが送信された当該路側通信装置2の路側通信装置IDとを取得し、この路側通信装置IDをプローブ情報に追加する。
中央装置1は、プローブ情報に基づいて、車両4が走行したリンクと推定できる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を複数組推定した場合には、以下の条件a、bのいずれであるかを判定する。
(条件a)これらの複数組の候補リンク群のいずれか1つに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置2の路側通信装置IDがプローブ情報に含まれている。
(条件b)これらの複数組の候補リンク群のいずれか1つに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置2の路側通信装置IDがプローブ情報に含まれていない。
路側通信装置2が設置されているリンクを車両4が走行している場合には、プローブ情報には当該路側通信装置2の路側通信装置IDが追加されているため、中央装置1は(条件a)と判定するのが適切である。従って、(条件a)と判定した場合には、中央装置1は路側通信装置2が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
一方、路側通信装置2が設置されているリンクを車両4が走行していない場合には、プローブ情報には当該路側通信装置2の路側通信装置IDが追加されていないため、中央装置1は(条件b)と判定するのが適切である。従って、(条件b)と判定した場合には、中央装置1は路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
このように、本発明に係る中央装置1は、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0109】
上述の実施形態においては、路側通信装置2は光ビーコンであったが、これに限られず、電波ビーコンやDSRCなど、無線で路車間通信を実現できる装置であればどのようなものを用いても良い。
【0110】
実施の形態2:
上述の実施形態においては、中央装置1は、路側通信装置2からアップリンク情報ULと路側通信装置2の路側通信装置IDとを受信すると、これらの受信時刻を検出し、この受信時刻と路側通信装置2の路側通信装置IDとをアップリンク情報ULに含まれるプローブ情報に追加し、このプローブ情報をアップリンク情報ULに含まれる車両IDに対応づけて、中央装置1の記憶部104に記憶する構成であったが、これに限定されない。
中央装置1は、路側通信装置2からアップリンク情報ULと路側通信装置2の路側通信装置IDとを受信すると、これらの受信時刻を検出し、この受信時刻と車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置とをアップリンク情報ULに含まれるプローブ情報に追加し、このプローブ情報をアップリンク情報ULに含まれる車両IDに対応づけて、中央装置1の記憶部104に記憶する構成であっても良い。
【0111】
車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置としては、例えば、路側通信装置2の通信部2b1、2b2のうちで車両4(車載装置3)がアップリンク情報ULを送信した方の設置位置とすることができる。あるいは、路側通信装置2の通信制御装置2aの設置位置とすることができる。
【0112】
この場合、中央装置1の制御部101は、車両4が走行したリンクと推定できる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を複数組推定した場合には、プローブ情報に路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かで走行リンクを特定する代わりに、プローブ情報に路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれているか否かで走行リンクを特定する。ここで、路側通信装置2の設置位置とは、路側通信装置2の通信部2b1、2b2のいずれか一方の設置位置、あるいは、路側通信装置2の通信制御装置2aの設置位置とすることができる。また、路側通信装置2の設置位置の近傍の位置とは、例えば、設置位置から半径10mの位置とすることができる。
中央装置1がプローブ情報に追加する、車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置として、路側通信装置2の通信部1b1、1b2のいずれか一方の設置位置、あるいは、路側通信装置2の通信制御装置2aの設置位置を追加し、中央装置1が路側通信装置2の設置位置として、路側通信装置2の通信部1b1、1b2のいずれか一方の設置位置、あるいは、路側通信装置2の通信制御装置2aの設置位置を判定に用いた場合には、車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置は、路側通信装置2の設置位置の近傍の位置となる。
【0113】
具体的には、図6のステップS26において、上述の実施形態1では、中央装置1の制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定するのに対し、本実施形態2では、制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれているか否かを判定する。
同様に、図7のステップS49においても、上述の実施形態1では、中央装置1の制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定するのに対し、本実施形態2では、制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれているか否かを判定する。
さらに、図8のステップS64においても、上述の実施形態1では、中央装置1の制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の路側通信装置IDが含まれているか否かを判定するのに対し、本実施形態2では、制御部101はプローブ情報にその路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれているか否かを判定する。
【0114】
この実施形態2においても、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができることを、上述の実施形態1と同じく、図10の例を用いて具体的に説明する。
まず、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行しなかった場合の例について説明する。
車両4はL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206の順に走行したとする。
車両4は、リンクL206を走行した後に路側通信装置2が設置されたある一般道路のリンク(不図示)を走行し、その路側通信装置2に対し、自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信したものとし、そのプローブ情報には、図10における3つの△印に対応する車両4の位置及びその通過時刻であるt1、t2、t3が含まれているものとする。
【0115】
車両4はリンクL107を走行していないので、車両4(車載装置3)から送信されたプローブ情報には、車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置が追加されていない。従って、このプローブ情報には、リンクL107に設置されている路側通信装置2の設置位置の近傍の位置は含まれていない。
【0116】
中央装置1の制御部101は、車両4から送信されたプローブ情報について、図5のステップS02において、時刻t1における位置及びその時刻t1を抽出したとする。
そして、制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL101を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL101の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL101を走行リンクとして特定する。
【0117】
制御部101は、ステップS06において、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。ここでは、上述の例と同様に、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された情報がないとすると、制御部101は、ステップS06においてNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0118】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t2における位置及びその時刻t2を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL105とリンクL203の2つを推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクは1つでないからNOと判定し、図7のステップS41において、リンクL105とリンクL203の2つを候補リンクとして記憶部104に保持する(記憶する)。
【0119】
制御部101は、ステップS42において、時刻t2の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t2の位置の情報の1つ前には時刻t1の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS42においてYESと判定する。
【0120】
制御部101は、ステップS43において、1つ前の時刻t1の位置の情報について走行リンクL101が特定されているからYESと判定し、ステップS44において、今回の候補リンクL105とL203から前回の走行リンクL101までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS43において、候補リンクL105から走行リンクL101までリンクL104、L103、L102と辿ることができ、また、候補リンクL203から走行リンクL101までリンクL202、L207と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0121】
制御部101は、ステップS47において、リンクL105、L104、L103、L102を時刻t2の位置における1つ目の候補リンク群A2として記憶部104に保持し、リンクL203、L202、L207を時刻t2の位置における2つ目の候補リンク群B2として記憶部104に保持する。
制御部101は、ステップS48において、時刻t2の位置における候補リンク群A2、候補リンク群B2のいずれにも路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていないことからNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0122】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t3における位置及びその時刻t3を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL206を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL206の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL206を走行リンクとして特定する。
【0123】
制御部101は、ステップS06において、時刻t3の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t3の位置の情報の1つ前には時刻t2の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS06においてYESと判定する。
【0124】
制御部101は、ステップS07において、1つ前の時刻t2の位置の情報について走行リンクが特定されていないからNOと判定し、ステップS21において、今回の走行リンクL206から前回の候補リンクL105、L203までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS22において、走行リンクS206から候補リンクL105までリンクL208、L107、L106と辿ることができ、また、走行リンクL206から候補リンクL203までリンクL205、L204と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0125】
制御部101は、ステップS24において、リンクL208、L107、L106を時刻t3の位置における1つ目の候補リンク群A3として記憶部104に保持し、リンクL205、L204を時刻t3の位置における2つ目の候補リンク群B3として記憶部104に保持する。
【0126】
制御部101は、ステップS25において、時刻t3の位置における候補リンク群A3、候補リンク群B3のうちの候補リンク群A3に路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていることからYESと判定する。
ここまでは、上述の実施形態1における2つの例と同じである。
制御部101は、ステップS26において、プローブ情報に、リンクL107に設置されている路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれていないことから、NOと判定する。
制御部101は、ステップS28において、路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれない時刻t3の位置における候補リンク群が候補リンク群B3の1つであることからYESと判定する。
【0127】
制御部101は、ステップS29において、この候補リンク群B3に含まれるリンクL205、L204を走行リンクとして特定するとともに、これらの走行リンクに、時刻t2の位置における候補リンク群A2(リンクL105、L104、L103、L102)と候補リンク群B2(リンクL203、L202、L207)のうちの候補リンク群B2だけが繋がるので、候補リンク群B2に含まれるリンクL203、L202、L207もすべて走行リンクとして特定する。
また、制御部101は、残りの候補リンク群A3を記憶部104から消去するとともに、この候補リンク群A3に、時刻t2の位置における候補リンク群A2と候補リンク群B2のうちの候補リンク群A2だけが繋がるので、候補リンク群A2に含まれるリンクL105、L104、L103、L102も記憶部104から消去する。
制御部101は、さらにステップS01以降の処理を継続する。
【0128】
従って、中央装置1の制御部101は、リンクL101、L207、L202、L203、L204、L205、L206を走行リンクとして特定することができるので、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0129】
次に、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行した場合の例について説明する。
車両4はL101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L208、L206の順に走行したとする。この場合でも、図10に示す△が車両4から取得したプローブ情報に含まれる時刻t1、t2、t3のそれぞれにおける車両4の位置情報であるとする。
車両4は、リンクL107を走行するので、このリンクに設置された路側通信装置2に対して自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信し、また、リンクL206を走行した後にも路側通信装置2が設置されたある一般道路のリンク(不図示)を走行し、このリンクに設置された路側通信装置2に対しても自身の車両IDとプローブ情報とを含むアップリンク情報ULを送信したものとする。
そして、中央装置1の制御部101がこの車両4の車両IDについて結合したプローブ情報には、図10における3つの△印に対応する車両4の位置及びその通過時刻であるt1、t2、t3が含まれているとともに、車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置及びそのアップリンク情報ULの受信時刻t2’(t2<t2’<t3)が追加されているものとする。従って、このプローブ情報には、リンクL107に設置されている路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれている。
【0130】
中央装置1の制御部101は、車両4から送信されたプローブ情報について、図5のステップS02において、時刻t1における位置及びその時刻t1を抽出したとする。
そして、制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL101を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL101の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL101を走行リンクとして特定する。
【0131】
制御部101は、ステップS06において、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。ここでは、上述の例と同様に、時刻t1の位置の情報の1つ前に抽出された情報がないとすると、制御部101は、ステップS06においてNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0132】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t2における位置及びその時刻t2を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL105とリンクL203の2つを推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクは1つでないからNOと判定し、図7のステップS41において、リンクL105とリンクL203の2つを候補リンクとして記憶部104に保持する(記憶する)。
【0133】
制御部101は、ステップS42において、時刻t2の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t2の位置の情報の1つ前には時刻t1の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS42においてYESと判定する。
【0134】
制御部101は、ステップS43において、1つ前の時刻t1の位置の情報について走行リンクL101が特定されているからYESと判定し、ステップS44において、今回の候補リンクL105とL203から前回の走行リンクL101までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS43において、候補リンクL105から走行リンクL101までリンクL104、L103、L102と辿ることができ、また、候補リンクL203から走行リンクL101までリンクL202、L207と辿ることができ、辿れた候補リンクは1つではないことからNOと判定する。
【0135】
制御部101は、ステップS47において、リンクL105、L104、L103、L102を時刻t2の位置における1つ目の候補リンク群A2として記憶部104に保持し、リンクL203、L202、L207を時刻t2の位置における2つ目の候補リンク群B2として記憶部104に保持する。
制御部101は、ステップS48において、時刻t2の位置における候補リンク群A2、候補リンク群B2のいずれにも路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていないことからNOと判定し、ステップS01以降の処理を継続する。
【0136】
ここまでは、車両4が路側通信装置2が設置されているリンクL107を走行しなかった場合の例と同じである。
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t2’における位置(すなわち、車両4が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置)及びその時刻t2’(すなわち、アップリンク情報ULの受信時刻t2’)を抽出する。
時刻t3における位置及びその時刻t3より先に時刻t2’における位置及びその時刻t2’を抽出するのは、t2<t2’<t3であるから、プローブ情報に含まれる位置とその通過時刻を時系列順に並べ替えると、時刻t1における位置及びその時刻t1、時刻t2における位置及びその時刻t2、時刻t2’における位置及びその時刻t2’、時刻t3における位置及びその時刻t3の順番になるからである。
【0137】
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL107とリンクL204を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクは1つでないからNOと判定し、図7のステップS41において、リンクL107とリンクL204の2つを候補リンクとして記憶部104に保持する(記憶する)。
【0138】
制御部101は、ステップS42において、時刻t2’の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t2’の位置の情報の1つ前には時刻t2の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS42においてYESと判定する。
【0139】
制御部101は、ステップS43において、1つ前の時刻t2の位置の情報について走行リンクL101が特定されていないからNOと判定し、ステップS61において、今回の候補リンクL107とL204から前回の候補リンクL105とL203までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS62において、候補リンクL107から候補リンクL105までリンクL106を経由して辿ることができるので、候補リンクL107、L106を時刻t2’における1つ目の候補リンク群A2’として記憶部104に保持する。また、制御部101は、候補リンクL204から走行リンクL203まで直接辿ることができるので、候補リンクL204を時刻t2’における2つ目の候補リンク群B2’として記憶部104に保持する。
【0140】
制御部101は、ステップS63において、時刻t2’の位置における候補リンク群A2’、候補リンク群B2’のうちの候補リンク群A2’に路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれていることからYESと判定する。
制御部101は、ステップS64において、プローブ情報に、リンクL107に設置されている路側通信装置2の設置位置の近傍の位置が含まれていることから、YESと判定する。
【0141】
制御部101は、ステップS65において、路側通信装置2が設置されているリンクL107が含まれる候補リンク群A2’(リンクL107、L106)を走行リンクとして特定するとともに、これらの走行リンクに時刻t2の位置における候補リンク群A2(リンクL105、L104、L103、L102)と候補リンク群B2(リンクL203、L202、L207)のうちの候補リンク群A2だけが繋がるので、候補リンク群A2に含まれるリンクL105、L104、L103、L102もすべて走行リンクとして特定する。
また、制御部101は、残りの候補リンク群B2’を記憶部104から消去するとともに、この候補リンク群B2’に、時刻t2の位置における候補リンク群A2と候補リンク群B2のうちの候補リンク群B2だけが繋がるので、候補リンク群B2に含まれるリンクL203、L202、L207も記憶部104から消去する。
制御部101は、さらにステップS01以降の処理を継続する。
【0142】
制御部101は、ステップS02において、さらに時刻t3における位置及びその時刻t3を抽出する。
制御部101は、ステップS03において、候補リンクとしてリンクL206を推定したとする。
制御部101は、ステップS04において、候補リンクはリンクL206の1つであるからYESと判定し、ステップS05において、候補リンクL206を走行リンクとして特定する。
【0143】
制御部101は、ステップS06において、時刻t3の位置の情報の1つ前に抽出された位置の情報があるか否かを判定する。
時刻t3の位置の情報の1つ前には時刻t2の位置の情報を抽出しているため、制御部101は、ステップS06においてYESと判定する。
【0144】
制御部101は、ステップS07において、1つ前の時刻t2’の位置の情報について走行リンクが特定されているからYESと判定し、ステップS08において、今回の走行リンクL206から前回の走行リンクL107までリンクを辿る。
制御部101は、ステップS09において、走行リンクS206から走行リンクL107までリンクL208を経由して辿ることができるので、辿ったリンクL208を走行リンクとして特定する。
制御部101は、さらにステップS01以降の処理を継続する。
【0145】
従って、中央装置1の制御部101は、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L208、L206を走行リンクとして特定することができるので、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0146】
以上のように本発明に係る中央装置1は、車両4が路側通信装置2に送信したアップリンク情報ULに含まれるプローブ情報と、当該プローブ情報を含むアップリンク情報ULが送信された位置とを取得し、この位置をプローブ情報に追加する。
中央装置1は、プローブ情報に基づいて、車両4が走行したリンクと推定できる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を複数組推定した場合には、以下の条件c、dのいずれであるかを判定する。
(条件c)これらの複数組の候補リンク群のいずれか1つに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置2の設置位置の近傍の位置情報がプローブ情報に含まれている。
(条件d)これらの複数組の候補リンク群のいずれか1つに路側通信装置2が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置2の設置位置の近傍の位置情報がプローブ情報に含まれていない。
路側通信装置2が設置されているリンクを車両4が走行している場合には、プローブ情報には当該路側通信装置2にプローブ情報を含むアップリンク情報ULが送信された位置が追加されている。アップリンク情報ULが送信される位置は前記路側通信装置2の設置位置の近傍となるため、プローブ情報には前記路側通信装置2の設置位置の近傍の位置情報が含まれ、中央装置1は(条件c)と判定するのが適切である。従って、(条件c)と判定した場合には、中央装置1は路側通信装置2が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
一方、路側通信装置2が設置されているリンクを車両4が走行していない場合には、プローブ情報には当該路側通信装置2にプローブ情報を含むアップリンク情報ULが送信された位置が追加されていない。アップリンク情報ULが送信される位置は前記路側通信装置2の設置位置の近傍となるため、プローブ情報には前記路側通信装置2の設置位置の近傍の位置情報が含まれておらず、中央装置1は(条件d)と判定するのが適切である。従って、(条件d)と判定した場合には、中央装置1は路側通信装置2が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
このように、本発明に係る中央装置1は、車両4が実際に走行したリンクを精度良く特定することができる。
【0147】
上述の実施形態1、2においては、中央装置1は、車両4(車載装置3)がアップリンク情報ULを送信した路側通信装置2の路側通信装置IDをプローブ情報に追加するか、あるいは、車両4(車載装置3)が路側通信装置2に対してアップリンク情報ULを送信した位置をプローブ情報に追加する構成であったが、これに限定されず、当該路側通信装置2の路側通信装置ID及びアップリンク情報ULが送信された位置の両方をプローブ情報に追加する構成であっても良い。これにより、車両4が実際に走行したリンクをより精度良く特定することができる。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
1 中央装置、 101 制御部、 102 表示部、 103 通信部、 104 記憶部、 105 操作部
2 路側通信装置、 2a 通信制御装置、 201 制御部、 202 中央端末間通信部、 203 記憶部、 204 路車間通信部、 205 ダウンリンク情報生成部、 2b1 通信部、 2b2 通信部
3 車載装置、 301 GPS処理部、 302 方位センサ、 303 車速取得部、 304 通信部、 305 記憶部、 306 操作部、 307 表示部、 308 音声出力部、 309 制御部
4 車両
5 交通信号機
I 交差点、 L1、L2、L3、L4 流入リンク、 Q1、Q2 路車間通信領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する情報処理装置であって、
前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記路側通信装置の識別情報とを取得する取得手段と、
前記路側通信装置の前記識別情報を前記プローブ情報に追加する追加手段と、
前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段と、
前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(a)(b)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段と
を備える情報処理装置。
(a)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(b)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【請求項2】
道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する情報処理装置であって、
前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記プローブ情報が送信された位置とを取得する取得手段と、
前記プローブ情報が送信された前記位置を前記プローブ情報に追加する追加手段と、
前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補である候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段と、
前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(c)(d)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段と
を備える情報処理装置。
(c)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(d)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【請求項3】
道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記路側通信装置の識別情報とを取得する取得手段、
前記路側通信装置の前記識別情報を前記プローブ情報に追加する追加手段、
前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段、
前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(a)(b)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段
として機能させるためのコンピュータプログラム。
(a)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(b)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の識別情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
【請求項4】
道路を走行中の車両の時系列の位置及びその通過時刻の情報を含むプローブ情報に基づいて、当該車両が走行したリンクと推定できる走行リンクを特定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記車両が路側通信装置に送信した前記プローブ情報と、前記プローブ情報が送信された位置とを取得する取得手段、
前記プローブ情報が送信された前記位置を前記プローブ情報に追加する追加手段、
前記プローブ情報に基づいて走行リンクの候補となる候補リンクが1本又は複数本連なった候補リンク群を推定する推定手段、
前記推定手段により1組の候補リンク群が推定された場合には、この候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定し、前記推定手段により複数組の候補リンク群が推定された場合には、以下の(c)(d)を含む特定処理によりこれらの複数組の候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する特定手段
として機能させるためのコンピュータプログラム。
(c)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれている場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれている候補リンク群に含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。
(d)複数組の候補リンク群のうちのいずれか1つに路側通信装置が設置されているリンクが含まれており、かつ、当該路側通信装置の設置位置の近傍の位置情報が前記プローブ情報に含まれていない場合には、当該路側通信装置が設置されているリンクが含まれていない候補リンク群のうちの1つに含まれる候補リンクのそれぞれを走行リンクとして特定する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103947(P2012−103947A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252672(P2010−252672)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】