説明

情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム

【課題】発光ダイオードを用いて判定される特定人に所定の事項を出力する。
【解決手段】 情報処理装置10は、LED130が周囲の光を吸収することによりLED130に発生する起電圧Veを測定する測定器135と、測定器135により測定された起電圧Veと予め定められた閾値Sthとを比較する比較部150と、その比較結果に基づきLED130に近づいたものが所定の特定人か否かを判定する判定部155と、判定部155により特定人と判定された場合、判定された特定人用に予め定められた所定の事項をその特定人に対して出力する出力部160とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを利用して発光ダイオードに近づいてきた特定人を判定する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、カソードおよびアノード間に所定の電位差を印加することにより発光する。この性質を活かして、発光ダイオードは、信号機や各種機器の表示等の表示機器に幅広く使われている(たとえば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−316115号公報
【特許文献1】特開平6−209123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発光ダイオードには双方向性がある。それは、上記のように発光ダイオードに電圧を印加すると発光するという性質に対して、発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより発光ダイオードに起電圧が生じるという性質を持っていることに現れている。よって、この性質を利用して、発光ダイオードをセンサとして用いることも可能である。
【0005】
本発明では、発光ダイオードに生じる起電圧を用いて特定人を判定し、判定された特定人に所定の事項を出力する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のある態様によれば、発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに発生する起電圧を測定する測定器と、前記測定器により測定された起電圧と予め定められた閾値とを比較する比較部と、前記比較部により比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定する判定部と、前記判定部により前記特定人と判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する出力部とを含んだ情報処理装置が提供される。
【0007】
これによれば、発光ダイオードが吸収する光量により発光ダイオードに発生する起電圧が変化することを利用して、発光ダイオードの起電圧を測定することにより、発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人かどうかを判定することができる。
【0008】
たとえば、発光ダイオードに人の手を近づけることにより発光ダイオードの周囲の光が遮断される。発光ダイオードが周りから吸収する光量が少なくなる。具体的には、光の透過性は人の骨格や血流の違いにより変化する。これを利用して特定人の手を透過した光を発光ダイオードが吸収し、吸収した光量に応じて発生する発光ダイオードの起電圧を測定し、その測定値に基づき発光ダイオードに手をかざしたものが誰であるかを特定することができる。このようにして、発光ダイオードをセンサとして用いることにより、特定人に所定の事項を出力する情報処理装置を構築することができる。
【0009】
前記情報処理装置は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ玩具であってもよい。この場合、前記出力部は、前記判定部により前記特定人と判定されたとき、その特定人用予め定められた所定の事項として前記特定人へのメッセージをその特定人に出力するようにしてもよい。
【0010】
たとえば、玩具の一例として図1に示したぬいぐるみを挙げると、ぬいぐるみに測定器135を内蔵し、ぬいぐるみの外側に発光ダイオード130を取り付ける。人が発光ダイオード130に手をかざすとこれに応じて測定器が発光ダイオードの起電圧を測定する。その測定結果により、手をかざした人が特定人のいずれかであれば、その特定人に合ったメッセージを出力することができる。
【0011】
なお、前記所定の事項としては、前記発光ダイオードの点滅、前前記発光ダイオードの点灯、音声による出力、表示画面への出力、複写機への出力が含まれる。
【0012】
前記情報処理装置は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ健康器具であってもよい。この場合、前記出力部は、前記判定部により前記特定人と判定されたとき、その特定人用に予め定められた所定の事項として前記特定人の身体に関する情報を出力するようにしてもよい。これによれば、特定人の身体に関する情報を本人のみに表示することができる。
【0013】
前記判定部は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ鍵付き収納器であってもよい。この場合、前記出力部は、前記判定部により前記特定人と判定されたとき、鍵付き収納器の開錠情報を生成し出力するようにしてもよい。これによれば、特定人のみが開錠できるセキュリティの高い鍵付き収納器を作ることができる。鍵付き収納器は、金庫や貯金箱として利用できるようにしてもよい。
【0014】
本発明の別の観点によれば、発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに発生する起電圧を測定器により測定し、前記測定器により測定された起電圧と予め定められた閾値とを比較し、前記比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定し、前記特定人が判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する情報処理方法が提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに生じる起電圧を用いて情報処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、前記測定器により測定された前記発光ダイオードの起電圧と予め定められた閾値とを比較する処理と、前記比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定する処理と、前記特定人が判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する処理と、を備えた情報処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明によれば、発光ダイオードに生じる起電圧を用いて特定人を判定し、判定された特定人に所定の事項を出力する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については、同一符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0018】
たとえば、図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置100は、玩具の一例としての犬のぬいぐるみ10に内蔵されている。情報処理装置100には、各種制御プログラム等が記憶されたICチップ105、スイッチ機能を有するICチップ110、電池115,スピーカ120及びメロディ・チップ125が取り付けられ、互いに接続されている。ぬいぐるみ10には、発光ダイオード(以下、LED130とも称呼する。)付き首輪がはめられている。
【0019】
LED130は、点灯や点滅してぬいぐるみ10の装飾になるとともに、図1の下部に示したように、LED130に手をかざす者がいると、情報処理装置内のICチップ105,110の動作によりその人が誰であるかが特定され、メロディ・チップ125を動作させて特定人用のメッセージが出力される。
【0020】
人がLED130に手をかざすと、光が遮られてLED130の周囲の光量は減少する。LED130の周りの光量の変化は、LED130が周囲の光を吸収するとこれに応じて生じるLED130の起電圧の変化として現れる。この起電圧を測定器135により測定することによって人を特定することができる。
【0021】
たとえば、図1のLED130に手をかざした人が特定人Aと特定された場合、特定人A用に予め定められたメッセージ「Aくん、おかえり」をスピーカ120から出力して、特定人Aに呼びかける。
【0022】
(LEDスイッチの原理)
情報処理装置100の各部品の機能及び動作について詳しく説明する前に、LEDスイッチの原理について図2を参照しながら説明する。LEDスイッチ200において、入力信号INはスイッチSWをコントロールする信号である。すなわち、入力信号INによりスイッチSWが端子Aに接続されると、LED130が周りの光を吸収することにより発生するLED130の起電圧をアナログ出力信号OUTに出力することができる。入力信号INによりスイッチSWが端子Bに接続されると、LED130のカソードおよびアノード間に所定の電位差が生じ、LED130を点灯させることができる。
【0023】
(LEDスイッチの回路)
つぎに、情報処理装置の各部品(ICチップ105,110及びメロディ・チップ125)の回路構成について、図3を参照しながら説明する。ICチップ105,110及びスピーカ120には、所定のタイミングに電池115から3Vの電圧が印加される。
【0024】
ICチップ105はマイクロコンピュータMCを内蔵した半導体集積回路であり、いずれも図示しない揮発性メモリ(たとえば、RAM)、不揮発性メモリ(たとえば、ROM、EEPROM)、CPUを含む。
【0025】
ROMは、情報処理プログラムを記憶している。RAMは、各種データを一時的に記憶する。LED130に発生する起電圧は図1の測定器135により測定され、その測定値である起電圧を用いて情報処理プログラムが実行される。はマイクロコンピュータMCは、測定器135により測定されたLED130の起電圧を随時受信する。CPUは、起電圧の測定値を用いてROMに記憶された情報処理プログラムを実行する。このようにして、ICチップ105は、情報処理プログラムの実行結果に基づき任意の端子から任意のタイミングに必要な信号を出力する。
【0026】
ICチップ105では主にスイッチの切り替えを制御する端子5のPBポートと、メロディ・チップ125のON/OFFを制御する端子6のPBポートから出力される出力信号がICチップ105内のメモリに格納された情報処理プログラムの実行結果に基づき制御される。
【0027】
具体的には、情報処理プログラムの実行の結果、PBポートから「0」が出力されると、ICチップ110の端子7の入力信号INに「0」が入力され、図4(b)のロジック「0」に示したように、NC(Normal Close)が「ON」、NO(Normal Open)が「OFF」の状態になり、図4(a)に示したようにICチップ110の端子2,3が接続されて、電池115からLED130に電圧が印加されなくなる。この場合、LED130の双方向性によりLED130は周囲の光を吸収し、これに応じて生じた起電圧をICチップ110の端子2,3を介してICチップ105の端子3のPBポートに伝える。PBポートに伝えられたらLED130に生じている起電圧は、PBポートに接続された測定器135(図1参照)により測定され、ICチップ105に内蔵されたマイクロコンピュータMCに伝えられる。
【0028】
一方、PBポートから「1」が出力されると、ICチップ110の端子7に「1」が入力され、図4(b)のロジック「1」に示したように、NC(Normal Close)が「OFF」、NO(Normal Open)が「ON」の状態になり、図4(a)の端子1,2が接続されて、電池115からの電圧がLED130に印加され、LED130が点灯する。
【0029】
なお、情報処理プログラム実行時、測定された起電圧と所定の閾値とが比較される。測定された起電圧が所定の閾値を超えている場合、ICチップ105の端子6のPBポートから信号「1」が出力され、メロディ・チップ125の端子2のVccに3Vの電圧が印加される。これにより、メロディ・チップ125が起動し、メロディ・チップ125の端子3のOUTポートからメロディを出力するための信号「1」が出力される。この結果、スピーカ120からメッセージやメロディが流れる。
【0030】
一方、測定された起電圧が所定の閾値を超えていない場合、ICチップ105の端子6のPBポートから信号「0」が出力される。これによれば、メロディ・チップ125の端子2のVccには電圧が印加されない。このため、メロディ・チップ125は起動されず、スピーカ120からメッセージやメロディは流れない。
【0031】
(マイクロコンピュータMCの機能)
つぎに、マイクロコンピュータMCの機能について図5の機能ブロック図を参照しながら説明する。マイクロコンピュータMCは、比較部150、判定部155及び出力部160の各機能及びROM等の記憶部165を有している。
【0032】
比較部150は、測定器135により測定された起電圧と予め定められた閾値Sthとを比較する。閾値Sthの設定については後述する。判定部155は、比較部150により比較された結果に基づきLED130に近づいたものが所定の特定人か否かを判定する。出力部160は、判定部155により特定人と判定された場合、判定された特定人用に予め定められた所定の事項を特定人に対して出力する。特定人用に予め定められた所定の事項は、記憶部165に蓄積されている。たとえば、Aくん(息子)、Bちゃん(娘)、Cさん(パパ)、Dさん(ママ)の4人家族の場合、Aくん用に「Aくん、おかえり」、Bちゃん用に「Bちゃん、おかえり」、Cさん用に「Cさん、おつかれさま」、Dさん用に「Dさん、おつかれさま」等といろいろなメッセージが出力されるように、各メッセージデータが特定人とひも付けられて記憶部165に記憶される。出力部160は、LED130を点灯や点滅させたり、スピーカ120から音声を出力したり、画面表示や複写機に印字するようにしてもよい。
【0033】
(マイクロコンピュータMCの動作)
次に、マイクロコンピュータMCによって実行される各種処理について図6及び図7のフローチャートに基づき説明する。マイクロコンピュータMCは、コンピュータ立ち上げ時などの所定のタイミングに図6に示したフローチャートに基づき、閾値Sthの設定処理を実行する。
【0034】
(閾値設定処理)
閾値設定処理は、図6のステップS600から開始され、ステップS605に進んで、マイクロコンピュータMCは、LED130が周囲の光を吸収することによりLED130に生じる起電圧の測定値を取り込む。前述したように、LED130の起電圧は、図3に示したICチップ105の端子3、4間の電位差を測定器135にて測定し、その測定値をマイクロコンピュータMCが取り込むことにより得られる。
【0035】
つぎに、ステップS610に進み、マイクロコンピュータMCは、上記起電圧の測定値を所定個取り込んだかを判定する。たとえば、10個の測定値を取り込まなければならない場合、ステップS605,S610を10回繰り返し、その後、ステップS615に進む。マイクロコンピュータMCは、ステップS615にて、取り込んだ所定個の起電圧(測定値)の平均値を求め、その平均値を閾値Sthとして設定し、ステップS695にて本処理を終了する。このようにして、LED130近傍の通常の光の状態を示す起電圧の平均値を閾値Sthとして求めておく。
【0036】
(玩具動作制御処理)
次に、マイクロコンピュータMCによって実行されるぬいぐるみの動作制御処理について図7のフローチャートを参照しながら説明する。玩具動作制御処理は、所定時間経過毎に開始される。玩具動作制御処理は、ステップS700から開始され、ステップS705に進んで、マイクロコンピュータMCは、測定器135により最も最近測定されたLED130の起電圧の測定値Veを取り込む。
【0037】
つぎに、マイクロコンピュータMCの比較部150は、閾値Sthと測定値Veとの差分の絶対値を求める。この差分の絶対値が、所与のα値以下の場合、判定部155は、現状のLED130の周りの光は、通常状態とほとんど変わらないと判定し、LED130の周りには所定の特定人はいないと判断して、ステップS795に進んで処理を終了する。
【0038】
たとえば、図8には、横軸に時間t、縦軸に起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|が示されているが、時間0〜t1間は、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がα値以下のため、LED130近傍に特定人は存在しないと判定される。なお、α値、β値、β値、β値、β値は、家族4人(A、B、C、D)を特定するためのそれぞれの閾値である。
【0039】
一方、ステップS710にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がα値より大きい場合、ステップS715に進み、判定部155は、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下であるかを判定する。図8の時間t1に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がα値より大きくβ値以下の場合、判定部155は、LED130の近くにAくんがいると判定し、ステップS720に進んでAくんへのメッセージ「Aくん、おかえり」(図1参照)をスピーカ120から出力し、ステップS795に進んで処理を終了する。
【0040】
たとえば、図8では、時間t1にて、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がα値より大きくなっている。これは、LED130近傍が通常の光の状態と異なる状態になっていることを示す。たとえば、LED130にAくんの手を近づけることによりLED130が吸収する光量の変化に基づきLED130に近づいたものがAくんであると判定する。具体的には、光の透過性は人の骨格や血流の違いにより変化することを利用して、Aくんの手を透過した光をLED130が吸収し、吸収した光量に応じて発生するLED130の起電圧を測定する。この測定結果に基づき、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|と所定のα値、β値とを比較することによってLED130に手をかざしたものがAくんであることを特定することができる。
【0041】
同様にして、ステップS715にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きい場合、ステップS725に進み、判定部155は、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下であるかを判定する。図8の時間t4、t5に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きくβ値以下の場合、判定部155は、LED130の近くにBちゃんがいると判定し、ステップS730に進んでBちゃんへのメッセージをスピーカ120から出力し、ステップS795に進んで処理を終了する。
【0042】
同様にして、ステップS725にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きい場合、ステップS735に進み、判定部155は、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下であるかを判定する。図8の時間t2、t3に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きくβ値以下の場合、判定部155は、LED130の近くにCさんがいると判定し、ステップS740に進んでCさんへのメッセージをスピーカ120から出力し、ステップS795に進んで処理を終了する。
【0043】
同様にして、ステップS735にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きい場合、ステップS745に進み、判定部155は、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下であるかを判定する。図8の時間t7に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きくβ値以下の場合、判定部155は、LED130の近くにDさんがいると判定し、ステップS750に進んでDさんへのメッセージをスピーカ120から出力し、ステップS795に進んで処理を終了する。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置100を組み込んだぬいぐるみ100によれば、LED130をセンサとして用いることにより、LED130に、たとえば手をかざすだけで、特定人用に予め用意された特定のメッセージを出力することができる。自分だけに送られるメッセージを聞いた人は、そのぬいぐるみがよりいとおしく、可愛らしくなり、ぬいぐるみ10に対して強い愛着を持って接するようになる。
【0045】
メッセージの他の例としては、Aくんにママからのメッセージをあらかじめ録音しておき、AくんがLED130に手をかざしたら、ママからの伝言として「おやつは戸棚の中よ」とぬいぐるみが話すようにしてもよい。なお、この伝言はBちゃんやCさんがLED130に手をかざしても出力されない。
【0046】
(変形例1)
本実施形態に係る情報処理装置の変形例1としては、LED130及び測定器135を含んだ健康器具であってもよい。たとえば、本実施形態に係る情報処理装置を体重計に組み込んでもよい。体重計は、特定人の使用時には、日々の体重や体脂肪の推移がグラフで表示されるようになっている。
【0047】
たとえば、特定人がDさん(ママ)の場合、図9のフローチャートに示した体重表示処理にて、マイクロコンピュータMCは、ステップS900に続くステップS905にて最新のLED130の起電圧Veの測定値を取り込む。次に、マイクロコンピュータMCは、ステップS910にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きく、β値以下であるかを判定する。これにより、LED130にかざした人の光の透過性の違いから体重計にのっている人がママか否かを判定する。図8の時間t7に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きくβ値以下の場合、マイクロコンピュータMCは、LED130の近くにDさんがいると判定し、ステップS915に進んでDさんの今測定している体重を表示するとともに、たとえば、1ヶ月間の体重や体脂肪の推移をグラフ化してディスプレイに表示し、ステップS995に進んで本処理を終了する。
【0048】
一方、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下またはβ値より大きい場合、マイクロコンピュータMCは、LED130の近くにいるのはDさんではないと判定し、ステップS920に進んで今測定している体重を表示し、ステップS995に進んで本処理を終了する。
【0049】
以上によれば、Dさんの1ヶ月間の体重や体脂肪の推移は、Aくん、Bちゃん、Cさんが体重計にのっても表示されない。したがって、本変形例によれば、LED130に、たとえば手をかざすだけで、家族に見られたくないが自分だけはこっそり自分の健康状態を把握したいというシャイな女性やメタボリック症候群が気になる人に最適な機能を有した体重計を提供できる。
【0050】
(変形例2)
本実施形態に係る情報処理装置の変形例2としては、LED130及び測定器135を含んだ鍵付き収納器の一つとしてダイアリーボックスが挙げられる。ダイアリーボックスは、特定人(本人)しか解錠できないボックスである。
【0051】
たとえば、特定人がBちゃん(娘)の場合、図10のフローチャートに示したダイアリーボックス開閉処理にて、マイクロコンピュータMCは、ステップS1000に続くステップS1005にて最新のLED130の起電圧Veの測定値を取り込む。マイクロコンピュータMCは、ステップS1010にて起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きく、β値以下であるかを判定する。これにより、LED130にかざした人の光の透過性の違いからダイアリーボックスに近づいた人がBちゃんか否かを判定する。図8の時間t4、t6に示したように、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値より大きくβ値以下の場合、マイクロコンピュータMCは、LED130の近くにBちゃんがいると判定し、ステップS1015に進んで、図示しない乱数生成器を用いて乱数を生成し、ステップS1020にてこれを開錠情報として、たとえばダイアリーボックスのディスプレイに表示する。
【0052】
ついで、ステップS1025に進んで、マイクロコンピュータMCは、所定時間内に所望の乱数(開錠情報)が入力されたかを判定し、入力された場合には、ステップS1030にてダイアリーボックスの鍵を開け、ステップS1095に進んで本処理を終了する。
【0053】
一方、起電圧の差分の絶対値|Sth−Ve|がβ値以下またはβ値より大きい場合、マイクロコンピュータMCは、LED130の近くにいるのはBちゃんではないと判定し、直ちにステップS1095に進んで本処理を終了する。
【0054】
ステップS1025にて、所定時間内に所望の乱数(開錠情報)が入力されなかった場合にもステップS1095に進んで本処理を終了する。
【0055】
本変形例によれば、LED130に、たとえば手をかざすだけで本人だけが開閉できるダイアリーボックスを提供することができる。これによれば、鍵を紛失する恐れがなく、誰にも見られたくない日記などを収納するのに最適である。ダイアリーボックスに替えて金庫や貯金箱に応用してもよい。
【0056】
その他、本実施形態にかかる情報処理装置を毎日の運勢を占ってくれる電子機器に組み入れてもよい。LED130に、たとえば手をかざすだけで、同じ日に同じ特定人が何度占いを試しても同じ結果になるが、他の特定人がその日初めて占いを試した場合には、その特定人用の運勢が出力される。
【0057】
その他、本実施形態にかかる情報処理装置をモンスターキャラクタのぬいぐるみに組み込んだり、女性向けのゲームで男性キャラクターのフィギュアに組み込み、特定の女性に対して男性フィギュアが特定のメッセージを送る等の用途に使用できる。
【0058】
上記実施形態において、各部の動作はお互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。そして、このように置き換えることにより、情報処理装置の動作の実施形態は、情報処理方法の実施形態として実現することができる。また、情報処理方法を記載した情報処理プログラムを、コンピュータを用いて実行することも可能である。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
たとえば、上記情報処理装置では、発光ダイオードの双方向性を利用して特定人を認識し、特定人用の固定の言葉を出力するようにした。しかし、これに限られず、特定人の発する言葉や動作を認識し、学習することにより、特定人用のメッセージを更新したり、更なるメッセージを自動生成したりするようにしてもよい。
【0061】
また、特定人に対するメッセージは、音声メッセーだけでなく、光、振動、熱、冷気などによるメッセージ及びこれらの組合せであってもよい。複数の媒体にメッセージを出力することにより、特定人の心に訴えかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を組み込んだぬいぐるみの概念図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるLEDスイッチの原理図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置の各部品の回路図である。
【図4】図4(a)はスイッチ回路図であり、図4(b)は、スイッチ回路のステータスを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるマイクロコンピュータMCの機能構成図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる閾値設定処理を示したフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる玩具動作制御処理を示したフローチャートである。
【図8】LEDの起電圧の差分の時間的推移の一例を示した図である。
【図9】本発明の変形例1にかかる玩具動作制御処理を示したフローチャートである。
【図10】本発明の変形例2にかかるダイアリーボックス開閉処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10 ぬいぐるみ
100 情報処理装置
105,110 ICチップ
115 電池
120 スピーカ
125 メロディ・チップ
130 LED
135 測定器
150 比較部
155 判定部
160 出力部
165 記憶部
200 LEDスイッチ
MC マイクロコンユー多
Sth 閾値
起電圧 Ve

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに発生する起電圧を測定する測定器と、
前記測定器により測定された起電圧と予め定められた閾値とを比較する比較部と、
前記比較部により比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記特定人と判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する出力部とを備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ玩具であり、
前記出力部は、
前記判定部により前記特定人と判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項として前記特定人へのメッセージを出力する請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ健康器具であり、
前記出力部は、
前記判定部により前記特定人と判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項として前記特定人の身体に関する情報を出力する請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記発光ダイオード及び前記測定器を含んだ鍵付き収納器であり、
前記出力部は、
前記判定部により前記特定人と判定された場合、前記鍵付き収納器の開錠情報を生成し出力する請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記発光ダイオードに人の手が近づくことにより前記発光ダイオードが吸収する光量の変化に基づき前記特定人を判定し、
前記出力部は、
前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を出力する請求項1〜4のいずれかに記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の事項は、前記発光ダイオードの点滅、前記発光ダイオードの点灯、音声による出力、表示画面への出力、複写機への出力を含む請求項1〜5のいずれかに記載された情報処理装置。
【請求項7】
発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに発生する起電圧を測定器により測定し、
前記測定器により測定された起電圧と予め定められた閾値とを比較し、
前記比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定し、
前記特定人が判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する情報処理方法。
【請求項8】
発光ダイオードが周囲の光を吸収することにより前記発光ダイオードに生じる起電圧を用いて情報処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記測定器により測定された前記発光ダイオードの起電圧と予め定められた閾値とを比較する処理と、
前記比較した結果に基づき前記発光ダイオードに近づいたものが所定の特定人か否かを判定する処理と、
前記特定人が判定された場合、前記判定された特定人用に予め定められた所定の事項を前記特定人に対して出力する処理と、を備えた情報処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−35826(P2010−35826A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202219(P2008−202219)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(595000427)株式会社光栄 (12)
【Fターム(参考)】