説明

情報表示カード

【課題】低コストで簡便且つユーザーに印象強く、種々の情報を表示することができる情報表示カードを提供する。
【解決手段】情報を記憶する記憶部と、基板上に複数の発光素子を設けてなり、全体として均一色に発光し且つ発光する色が可変である面発光パネルと、前記記憶部に記憶された情報に応じて前記面発光パネルに供給する電力を制御する制御部と、を有する情報表示カード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な情報を表示する面発光パネルを備えた情報表示カードに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の情報化社会においては、各種情報が記憶された様々なタイプのカードが広く用いられている。例えば、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、交通機関に使用されるカード、販売店での各種ポイントカード、免許証、IDカード等々が挙げられる。
【0003】
こうしたカード型の情報記憶媒体により、現金の持ち運びや支払いの煩わしさの軽減、ポイントの蓄積による特典の享受、簡便な身分証明等の多くのメリットを享受することができるようになってきている。カード型の情報記憶媒体による情報記録手段としては、従来から磁気が多く用いられているが、近年はICカードも採用されつつある。情報の受け渡しは、カードライターに挿入して磁気的接触あるいは電気的接触で行う場合や、電波により非接触で行う場合がある。ICカードの場合は、駆動電源が必要になるが、カード内に電池を備えている場合もあれば、電磁誘導により電力を供給する場合もある。
【0004】
しかしながら、このような情報を記憶するカードにおいては、多くの場合、記憶情報をユーザーが目視によって確認することができない。例えば、プリペイドカードの場合、カードリーダーを使用して残額を確認する必要がある。このためユーザーの気がつかないうちに残額不足に陥るケースなどもある。
【0005】
これに対し、カード内の情報を目視できるように表示させる方法が提案されている。特許文献1には、カードに液晶ディスプレイを、特許文献2には、カードに有機ELディスプレイを設ける技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、カードにこのようなディスプレイを設ける場合、ディスプレイの画素毎の駆動回路や、画像を表示させるための制御用回路等が必要となり、非常に高コストになってしまう。また、カードはユーザーが常時携帯するものであるため、携帯中に大きな機械的ストレスにさらされることが想定される。この場合、機械的ストレスによってディスプレイの駆動回路、制御回路が破壊される、あるいはディスプレイの一部が傷ついて読めなくなる、といった問題が起こることが予想される。
【0007】
一方、情報の書き換えについては、ロイコ色素等の熱可逆性の材料を用いたカードが提案されている(特許文献3)。しかしながら、加熱により、磁気記録方式では磁気の乱れが、ICカードでは回路の破壊が懸念される。
【0008】
また、記憶情報がディスプレイに表示されている場合、ユーザーは必要な都度、一々カードに表示された情報を確認するのは非常に煩わしく、確認をし忘れにより情報が認識されないことになり、残額不足などのユーザーが認識すべき情報を確実に伝える方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−296636号公報
【特許文献2】特開2010−262057号公報
【特許文献3】特開平11−291675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで簡便且つユーザーに印象強く種々の情報を表示することができる情報表示カードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の情報表示カードは、情報を記憶する記憶部と、基板上に複数の発光素子を設けてなり、全体として均一色に発光し且つ発光色が可変である面発光パネルと、前記記憶部に記憶された情報に応じて前記面発光パネルへの供給電力を制御する制御部と、を有することを特徴とする。ここで、面発光パネルは、1つのみでも複数有していてもよい。
【0012】
面発光パネルは、供給電力の制御により、面発光パネルの発光色及び輝度の少なくとも何れかを変化させることが好ましく、発光色を変化させることが更に好ましい。
【0013】
本発明の情報表示カードは、外部機器と情報の送受信を行う通信部を更に有し、制御部が該通信部を介して外部から取得した更新情報によって前記情報を更新できることが好ましい。また、本発明の情報表示カードは、更に音声により情報を表わす機能を有していても良い。また、本発明の情報表示カードは、更に、振動により情報を表わす機能を有していても良い。
【0014】
また、この面発光パネルに設けられた発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称す場合がある)であるのが好ましい。そして、この場合、面発光パネルが複数の発光色が異なるストライプ状の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えているのが更に好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の情報表示カードは、上述した構成を有することにより、全体として均一色に発光し且つ発光する色が可変である面発光パネルによって、低コストで単純な構造であるにも関わらず、簡便且つユーザーに印象強く、種々の情報を表示することができる。
【0016】
本発明の情報表示カードは、記憶部に記憶された情報に応じて面発光パネルの発光状態を変化させることにより、当該情報を簡単に視認することができる。また、本発明の情報表示カードが上記通信部を有する場合、容易に更新情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の情報表示カードの概略の一例を示す正面図である。
【図2】図1における線II-IIに沿った断面図である。
【図3】本発明の情報表示カードの概略の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の情報表示カードに係る有機EL面発光パネルの斜視図である。
【図5】本発明の情報表示カードに係る有機EL面発光パネルの断面図である。
【図6】本発明の情報表示カードにおける電気回路図である。
【図7】本発明の情報表示カードの各種の発光状態を示す図である。
【図8】本発明の情報表示カードの各種の発光状態を示す図である。
【図9】本発明の情報表示カードの各種の発光状態を示す図である。
【図10】本発明の情報表示カードの各種の発光状態を示す図である。
【図11】本発明の情報表示カードの各種の発光状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、各実施例の説明に用いる図面は、いずれも本発明による情報表示カードを模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、各実施例で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
【実施例】
【0019】
(情報表示カードの構成)
図1は、本実施例に係る情報表示カードの概略の一例を示す正面図である。また、図2は、図1における線II-IIに沿った断面図である。
【0020】
図1及び図2の情報表示カード1では、情報表示カード1が保有する情報(データ)を表示する3つの面発光パネル2a、2b、2c、該面発光パネルの各々に独立して所望の電力を供給する電力供給回路(供給部)3、各面発光パネルに表示させる情報を記憶するとともに電力供給回路3を制御するICモジュール4、電力供給回路3及びICモジュール4に必要な電力を供給する電池5及び情報表示カード1と外部装置との通信を可能にするためのアンテナコイル(通信部)6を有している。なお、以下において、面発光パネル2a、2b、2cのいずれかを特定しない場合には、単に面発光パネル2と称する場合がある。
【0021】
図1及び図2における面発光パネル2a、2b及び2cは、何れも有機EL素子が設けられた有機EL面発光パネルであるが、本発明に係る面発光パネル2は、有機EL面発光パネルに限定されない。また、図1及び2は、面発光パネルを3つ有しているが、本発明の情報表示カードは、面発光パネルを少なくとも1つ有していればよい。本発明の情報表示カードは、上述の通り、記憶部と面発光パネルと制御部を必須とし、図1及び2に示すこれら以外の機器は、必須ではない。
【0022】
図1及び2において、面発光パネル2と電力供給回路3、電力供給回路3と電池5、電力供給回路3とICモジュール4、及びICモジュール4と電池5は、各々パターン配線7によって電気的に接続されている。また、図2において、面発光パネル2、電力供給回路3、ICモジュール4及びアンテナコイル6は、機能シート8上に形成され、これらの一方の面が保護シート9によって、他方の面が保護シート10によって各々被覆されている。
【0023】
図2において、保護シート9の面発光パネル上に開口部が設けられていることにより、当該開口部から面発光パネル2bの発光状態を視認することができる。開口部は、空隙でも構わないし、透明部材が嵌っていてもよい。また、保護シート9が透明であれば、開口部が無くても構わない。
【0024】
<電池>
電池5は、面発光パネル2の点灯に必要な電力を供給する。電池5は、公知のボタン電池等であってもよい。図2において電池5は図示されていないが、電池5は、機能シート8の面発光パネル2、電力供給回路3及びICモジュール4が形成された逆側の面に設けられている。これにより、保護シート10の一部を剥がすことによって電池5の交換を容易に行うことができる。
【0025】
<アンテナコイル>
図1及び2において、アンテナコイル6は、面発光パネル2、電力供給回路3及びICモジュール4を取り囲むように、機能シート8の外縁部分に沿って形成されている。このようなアンテナコイル6が通信部として機能し、外部装置(例えば、カードリーダ)が発する電磁場内に情報表示カード1を近づけると、アンテナコイル6は情報の送受信を行うことができる。すなわち、本実施例に係る情報表示カード1は、非接触型のICカードとして機能する。
【0026】
なお、情報表示カード1は、非接触型のICカードに限定されることなく、ICモジュールの電極が露出し、当該電極を介して情報の送受信を行うような接触型のICカードであってもよい。また、接触用のICモジュール及び非接触のICモジュールの両方を備えるハイブリッド型のICカードであってもよい。更には、上述したような、接触型、非接触型、ハイブリッド型のICカードに、磁気ストライプを更に設けてもよい。
【0027】
<ICモジュール>
図3は、本実施例に係る情報表示カードの概略の一例を示すブロック図である。図3における番号1〜6は、図1及び2と同じ機器または部材を表わす。図3において、ICモジュール4は、アンテナコイル6に接続された復調回路11及び変調回路12と、情報表示カード1に関する情報(例えば、所有者情報等)を記憶したメモリ(記憶部)13と、復調回路11、変調回路12及びメモリ13を制御し、電力供給回路3に所望の電力供給信号を供給する制御回路(制御部)14と、から構成されている。なお、アンテナコイル6が受信した無線電波を整流して電源電圧を生成する電圧源を更に備えていてもよい。
【0028】
復調回路11は、アンテナコイル6によって受信した無線電波から制御信号を復調する。具体的には、情報表示カード1が外部装置(例えば、カードリーダー等)によって生成された電磁場内に近づけられた際に、復調回路11は、アンテナコイル6によって受信された当該外部装置からの無線電波を復調して制御信号を生成し、制御回路14に供給する。
【0029】
変調回路12は、制御回路14がメモリ13から読み出した情報表示カード1に関する情報を示す情報信号を変調して無線電波にする。具体的には、情報表示カード1が外部装置の情報読み取り領域(すなわち、情報表示カード1と情報の送受信を行う領域)に近づけられ、情報表示カード1に関する情報を外部装置に送信する際に、変調回路12は、制御回路14から供給される情報信号を、アンテナコイル6を介して無線電波に変調する。
【0030】
メモリ13は、例えば、DRAM、SRAM、EPROM、EEPROM又はフラッシュメモリ等の半導体メモリによって構成され、情報表示カード1に関する様々な情報を記憶している。代表的な情報としては、例えば、情報表示カード1の所有者情報、有効期限、及び暗証番号等の基本情報がある。また、銀行のICキャッシュカードの場合には、所有者の口座情報及び残高が記憶され、電子マネー等の機能を有するカードの場合には、当該カードによって支払いすることができる残金が記憶され、ビデオ等のレンタル商品をレンタルする際の会員カードの場合にはレンタル商品のデータ及び返却期日等が記憶される。
【0031】
また、メモリ13は、面発光パネル2において上述した情報を表示させるために必要な電力量に対応した情報も記憶している。例えば、情報表示カード1の有効期限を有機EL面発光パネル2において表示させる場合、有効期限の1ヶ月前の状態を有機EL面発光パネル2に表示させるための電力量の情報、有効期限の1週間前の状態を有機EL面発光パネル2に表示させるための電力量の情報、有効期限が切れている状態を有機EL面発光パネル2に表示させるための電力量の情報が、メモリ13に記憶されている。
【0032】
なお、上述した情報は一例にすぎず、情報表示カード1の用途によって様々な情報がメモリ13に記憶されることになる。また、面発光パネル2において上述した情報を表示させるために必要な電力量に対応した情報については、後述する。
【0033】
制御回路14は、一般的な半導体集積回路から構成され、復調回路11、変調回路12及びメモリ13を制御し、電力供給回路3に所望の電力供給信号を供給する。具体的には、制御回路14は、復調回路11から供給される制御信号に応じて、メモリ13にアクセスし、当該制御信号に対応した情報の書き換え、当該制御信号に対応した情報表示カード1に関する情報の読み出しを行う。また、当該読み出した情報を情報信号として変調回路12に供給して、外部装置に対する情報表示カード1に関する情報の送信を制御する。更に、情報表示カード1に関する情報を面発光パネル2に表示するために、制御回路14は、上述したようなメモリ13に記憶された電力量に対応した情報を読み出し、当該読み出した情報に対応した電力供給信号を電力供給回路に供給する。なお、面発光パネル2において上述した情報を表示させるため具体的な流れは、面発光パネル2における情報表示を具体的に説明する際に詳細に説明する。
【0034】
また、制御回路14は、内部時計機能及び内部カレンダー機能を有していてもよい。これにより、制御回路14は、外部装置から情報が入力されない場合おいても、情報表示カード1に関する情報であって時間又は日付に関連する情報を内部的処理することができる。例えば、制御回路14は、情報表示カード1の有効期限を管理し、当該有効期限に応じた情報を面発光パネル2によって表示させるように、電力供給信号を電力供給回路3へ供給することができる。
【0035】
<有機EL面発光パネル>
図4は本実施例に係る1つの有機EL面発光パネル2aの斜視図であり、図5は本実施例に係る1つの有機EL面発光パネル2aの断面図である。ここでは、3つの有機EL面発光パネル2a、2b、2cを代表して、有機EL面発光パネル2aについて説明するが、他の有機EL面発光パネル2b、2cは有機EL面発光パネル2aと同一の構造であるため、その説明は省略する。なお、図4及び5においても、図1〜3と同一番号は、図1〜3と同じ機器または部材を表わす。
【0036】
図4に示すように、有機EL面発光パネル2aは、透明基板21、有機EL素子22、光拡散部23、及び封止部24から構成されている。また、有機EL素子22は、発光色が赤色である有機EL素子22R、発光色が緑色である有機EL素子22G、発光色が青色である有機EL素子22Bの3種類に分類される。
【0037】
本実施例において、透明基板21は、ガラス製の基板である。なお、透明基板21は、可視光を透過する特性を有する基板であればよく、例えば、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート又はポリスホン等の透明な樹脂;セラミックスなどから構成されてもよい。
【0038】
より具体的な有機EL面発光パネル2aの構成として、透明基板21の有機EL素子形成面21a上には、有機EL素子22R、有機EL素子22G、及び有機EL素子22Bが各々複数個ずつ、隣接する素子同士が互いに離間してストライプ状に並設されている。これらの有機EL素子は、有機EL素子22R、22G、22Bの順序で繰り返して並置されている。このような構成により、有機EL素子22Rから放射される赤色の光、有機EL素子22Gから放射される緑色の光、及び有機EL素子22Bから放射される青色の光を合成し、有機EL面発光パネル2aから全体的に均一色の合成光を放射することになる。なお、各色の光を放射する有機EL素子22R、22G、22Bのそれぞれの個数は1個ずつであってもよいが、発光面の拡大化及び有機EL面発光パネル2aの高輝度化及び良好な光の混合を図る場合には、多くの有機EL素子22R、22G、22Bを並置することが好ましい。
【0039】
図5に示すように、発光色が赤色である有機EL素子22Rは、透明基板21上に形成された陽極(透明電極)25R、陽極25R上に形成された有機層26R、及び有機層26R上に形成された陰極(金属電極)27Rから構成されている。同様に、発光色が緑色である有機EL素子22Gは、透明基板21上に形成された陽極(透明電極)25G、陽極25G上に形成された有機層26G、有機層26G上に形成された陰極(金属電極)27Gから構成され、発光色が青色である有機EL素子22Bは、透明基板21上に形成された陽極(透明電極)25B、陽極25B上に形成された有機層26B、有機層26B上に形成された陰極(金属電極)27Bから構成されている。なお、陽極25R、25G、25Bのいずれかを特定しない場合には単に陽極25と称し、有機層26R、26G、26Bのいずれかを特定しない場合には単に有機層26と称し、陰極27R、27G、27Bのいずれかを特定しない場合には単に陰極27と称する場合がある。すなわち、本実施例において、透明基板21上には、各有機EL素子22を構成する陽極25、有機層26及び陰極27が順次積層されている。
【0040】
また、陽極25、有機層26及び陰極27の平面形状(すなわち、面積)は同一である。従って、陽極25、有機層26及び陰極27の側面は同一平面であり、有機EL素子22の形状は、直方体である。
【0041】
本実施例においては、陽極25は、インジウム錫酸化物(ITO)から構成されている。このため、陽極25は、有機層26に正孔を注入する機能を有し、且つ有機層26からの発光に対して透光性を備えている。すなわち、陽極25は、透明電極として機能する。陽極25の形成は、スパッタリング法や真空蒸着法等により行われる。陽極25の表面には、陽極25上の不純物除去や、イオン化ポテンシャルの調整による正孔注入性向上の点から、紫外線照射やオゾン処理をしてから有機層26を形成することが好ましい。
【0042】
なお、陽極25は、インジウム錫酸化物から構成されていることに限定されることなく、有機層26に正孔を注入する機能を有し、且つ有機層26からの発光に対して透光性を備えていれば、例えば、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール等の導電性高分子等から構成されてもよい。また、陽極25は、有機EL素子22R、22G、22B毎に異なる材料から構成されてもよい。
【0043】
図5において図示されていないが、有機EL素子は、更に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び/又は電子注入層を有していてもよい。その場合、陽極15側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層の順に積層された構造を有していることが好ましい。なお、このような積層構造の場合、有機層26は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層から構成されてもよく、これらの一部の層から構成されてもよい。すなわち、各層の材料に有機材料を用いるか否かによって、有機層26を構成する層が異なってくる。
【0044】
上記正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送性の材料から形成されることが好ましく、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。また、電子輸送層は、電子輸送性の材料から形成されることが好ましく、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン、キノキサリン化合物、フェナントロリン誘導体、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。電子注入層は、仕事関数の低い金属からなることが好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0045】
上記発光層に用いられる発光材料としては、以下のものが挙げられる。赤色発光を与える発光材料としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。また、緑色発光を与える発光材料としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(C96NO)3等のアルミニウム錯体等が挙げられる。更に、青色発光を与える発光材料としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。なお、上述した発光材料は、いずれか1種類のみを用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0046】
本実施例においては、陰極27は、透光性を有する必要がないため、アルミニウムから構成されている。すなわち、陰極27は金属電極である。陰極27の形成は、スパッタリング法や真空蒸着法等により行われる。なお、陰極27は、アルミニウムに限定されること無く、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、銀等の金属又はそれらの合金等が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極等が挙げられる。また、陰極27は、有機EL素子22R、22B、22G毎に異なる材料から構成されてもよい。
【0047】
図4及び図5に示すように、封止部24は、各有機EL素子22を覆い、各有機EL素子22の発光材料が大気によって酸化劣化すること等を防止する機能がある。また、封止部24は空隙28を充填し、透明基板21の上面21aが露出しないように形成されている。本実施例において、封止部24は、透光性を備えるエポキシ樹脂である。なお、封止部24は、エポキシ樹脂以外にもシリコーン樹脂等の透光性を備える他の透明樹脂であってもよい。
【0048】
また、封止部24は、上述したような樹脂から構成されていることに限定されることはない。例えば、封止部24は、複数の有機EL素子22を全体的に覆うようなプラスチック等の透光性部材であってもよい。このような場合には、空隙28は、封止部24によって充填されることがない。
【0049】
図4及び図5に示すように、光拡散層23は、透明基板21の有機EL素子形成面の反対面21bの全面を覆うように形成されている。光拡散層23は、有機EL素子22から放射される各色の光を拡散させ、均一に混色させる効果がある。このような効果により、ガラス基板である透明基板21と光拡散層23とからなる部材は、全体が単一の光源として機能する。本実施例において、光拡散層23は透明樹脂に微粒子を分散したフィルムから構成されている。なお、光拡散層23は、このフィルムに限定されることなく、例えば、基板表面を粗面化することによっても形成できる。
【0050】
上述したように、透明基板21は、各有機EL素子22から放射された光を透過する特性を備え、光拡散部23は各有機EL素子22から放射された光を拡散させつつ放射面側(すなわち、透明基板21と光拡散部23との界面とは反対の面側)に導く性質を備えている。このため、図5に示すように、各有機EL素子22から放射された光は、透明基板21及び光拡散部23を透過し、有機EL面発光パネル2aの放射面側から有機EL面発光パネル2aの外部へ放射される。
【0051】
本実施例においては、有機EL面発光パネル2の封止部24と機能シート8とが接触するように、有機EL面発光パネル2が機能シート8上に設けられる。すなわち、本実施例の情報表示カードにおいては、有機EL面発光パネル2の光拡散部23の形成面側が露出することになる。また、本実施例の情報表示カードにおいては、ボトムエミッションタイプの有機EL面発光パネル2を用いたが、トップエミッションタイプの有機EL面発光パネルを用いてもよい。この場合には、複数の有機EL素子22を支持する透明基板21に代えて不透明な各種の支持基板を用いることができるが、この場合、陰極はITO等の透明電極にすることが好ましい。
【0052】
(情報表示カードの電気構成回路)
本実施例に係る情報表示カード1を構成する電力供給回路3の具体的構成について、図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0053】
図6は、本実施例の情報表示カード1における有機EL面発光パネル2a、電力供給回路3、電池5及び制御回路14の接続関係を示す電気回路図である。図6においても、図4及び図5と同様に、3つの有機EL面発光パネル2a、2b、2cを代表して、有機EL面発光パネル2aについて説明するが、他の有機EL面発光パネル2b、2cは有機EL面発光パネル2aと同一の構造であるため、その説明は省略する。なお、図6においても、図1〜5と同一番号は、図1〜5と同じ機器または部材を表わす。
【0054】
図6に示すように、有機EL面発光パネル2aは、赤色光を発する複数の有機EL素子22Rから構成される赤色発光素子群31と、緑色光を発する複数の有機EL素子22Gから構成される緑色発光素子群32と、青色光を発する複数の有機EL素子22Bから構成される青色発光素子群33と、から構成されている。なお、図6においては、回路構成を容易に示すために有機EL素子22R同士、有機EL素子22G同士、有機EL素子22B同士が並置されているが、実際には、図4及び図5に示されているように、有機EL素子22R、有機EL素子22G、有機EL素子22Bの順序で並置されている。
【0055】
図6に示すように、有機EL素子22の陽極25は電力供給回路3に接続され、有機EL素子22の陰極27は接地されている(すなわち、グランド電位に接続されている)。また、有機EL素子22Rのアノード(陽極25)同士は電気的に接続されている。すなわち、有機EL素子22R同士は、並列に接続されている。同様に、有機EL素子22Gのアノード(陽極25)同士は電気的に接続され、有機EL素子22G同士は並列に接続されている。また、有機EL素子22Bのアノード(陽極25)同士は電気的に接続され、有機EL素子22B同士は並列に接続されている。
【0056】
<電力供給回路>
電力供給回路3は、複数のnチャネルMOSトランジスタ34(以下、nMOS34と称する)から構成されている。1つの有機ELパネル2に対して、3つのnMOS34が接続されている。具体的には、複数の有機EL素子22R(すなわち、赤色発光素子群31)に1つのnMOS34が接続され、複数の有機EL素子22G(すなわち、緑色発光素子群32)に1つのnMOS34が接続され、複数の有機EL素子22B(すなわち、青色発光素子群33)に1つのnMOS34が接続されている。
【0057】
以下において、有機EL素子22Rに接続されたnMOS34をnMOS34Rと称し、有機EL素子22Gに接続されたnMOS34をnMOS34Gと称し、有機EL素子22Bに接続されたnMOS34をnMOS34Bと各々称する。なお、有機EL面発光パネル2a、2b、2cのそれぞれを独立して発光させるため、有機EL面発光パネル2a、2b、2cのそれぞれは同一のnMOS34には接続されていない。従って、図6においては、3つのnMOS34を記載しているが、実際には本実施例に係る情報表示カード1においては、有機EL面発光パネル2a、2b、2cのそれぞれが3つのnMOS34を備え、情報表示カード1としては9つのnMOSを備えることになる。
【0058】
より具体的な接続関係として、nMOS34のそれぞれのゲートは、制御回路14に接続され、nMOS34のそれぞれのソースは、有機EL素子22の各アノードに接続され、nMOS34のドレインは電池5に接続されている。
【0059】
<制御回路>
制御回路14は、上述したように一般的な半導体集積回路から構成され、有機EL面発光パネル2における情報表示を制御している。すなわち、制御回路14は、電池5から供給される電力を利用し、各nMOS34に独立してゲート電圧を印可することにより、有機EL面発光パネル2の発光色及び輝度を変化させて情報表示を制御している。
【0060】
より詳細には、制御回路14は、電池5から供給される電力から所望のゲート電圧を生成することがき、各nMOS34に独立してゲート電圧を印可し、更には印可するゲート電圧をnMOS34毎に変更することができる。これにより、有機EL素子22R、22G、22Bごとに供給される電力を調整することができ、有機EL素子22R、22G、22Bごとに放射される光の量が異なることとなり、有機EL面発光パネル11から放射される合成光の色(すなわち、発光色)及び輝度を自在に変化させることができる。すなわち、各nMOS34のゲートに印可されるゲート電圧を調整することにより、有機EL面発光パネル2から放射される合成光の色を白色光のみならず、可視波長領域の様々な色に調整することができ、更には各発光色における輝度も変化させることができる。
【0061】
更に、nMOS34Rのみにゲート電圧を印可する場合、赤色発光素子群31を構成する有機EL素子22Rのみに電力が供給され、有機EL面発光パネル2aから放射される光は赤色となる。同様に、nMOS34Gのみにゲート電圧を印可する場合、緑色発光素子群32を構成する有機EL素子22Gのみに電力が供給され、有機EL面発光パネル2aから放射される光は緑色となり、nMOS34Bのみにゲート電圧を印可する場合、青色発光素子群33を構成する有機EL素子22Bのみに電力が供給され、有機EL面発光パネル2aから放射される光は青色となる。すなわち、有機EL面発光パネル2aからは、白色光等の合成光だけでなく、有機EL素子22R、22G、22Bのそれぞれの発光色の光を単独で放射することもできる。更に、上述した3つの発光素子群のうちから2つを選択して電力を供給することで、有機EL面発光パネル2aから選択した2色の合成光(例えば、シアン或いはマゼンダの発光色の光)を放射することも可能である。
【0062】
(有機EL面発光パネルによる情報の表示)
次に、図3及び図6乃至図11を参照しつつ、有機EL面発光パネル2における情報表示カード1の情報の表示の具体例、及び有機EL面発光パネル2における情報表示カード1の情報の表示方法を説明する。なお、図7〜11における各番号は、図1〜6における各番号と同一の機器又は部材を表わす。以下の本実施例の情報表示カード1においては、プリペイド型の電子マネークレジットカードの場合を想定して説明する。そして、有機EL面発光パネル2aにおいて情報表示カード1の有効期限の情報を表示し、有機EL面発光パネル2bにおいて情報表示カード1の残高の情報を表示し、有機EL面発光パネル2cにおいて情報表示カード1のクレジット機能の使用可否を表示する。
【0063】
より詳細に説明すると、有機EL面発光パネル2aにおいては、情報表示カード1の有効期限が1ヶ月以上ある場合には青色、情報表示カード1の有効期限が1ヶ月未満の場合には黄色、情報表示カード1の有効期限が切れている場合には赤色を表示する。また、有機EL面発光パネル2bにおいては、情報表示カード1の残高が1000円以上の場合には青色、情報表示カード1の残高が1000円未満の場合には黄色、情報表示カード1に残高が無い場合には赤色を表示する。更に、有機EL面発光パネル2cにおいては、情報表示カード1のクレジット機能を使用できない場合(例えば、利用限度額を超えて使用している場合等)には白色を表示し、クレジット機能を使用できる場合には消灯している。
【0064】
図7は、情報表示カード1の有効期限が1ヶ月以上あり、残高が1000円以上(本実施例においては1500円とする)あり、且つクレジット機能を使用できない状態の情報表示カード1を示している。従って、制御回路14は、情報表示カード1の有効期限が1ヶ月以上あることに対応する電力量を示す情報、残高が1000円以上あることに対応する電力量を示す情報、クレジット機能を使用できない状態であることに対応する電力量を示す情報をメモリ13から読み出し、当該情報に基づいた電力供給信号を電力供給回路3に供給する。
【0065】
具体的には、制御回路14は、有機EL面発光パネル2aに接続されたnMOS34のうち、nMOS34Bのみにゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2aは全体として均一に青色で発光する。同様に、制御回路14は、有機EL面発光パネル2bに接続されたnMOS34のうち、nMOS34Bのみにゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2bは全体として均一に青色で発光する。また、同様に、制御回路14は、有機EL面発光パネル2bに接続された全てのnMOS34(nMOS34R、34G、34B)にゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2cは全体として均一に白色で発光する。
【0066】
このように情報表示カード1の有機EL発光パネル2が発光することにより、情報表示カード1の所有者、は情報表示カード1の状態を容易に知ることができる。すなわち、図7に示された状態においては、情報表示カード1の所有者は、クレジット機能を使用することができないことを容易に知ることができ、クレジット返済が完了するまでは情報表示カード1の電子マネー機能のみが使用可能であると認識することができる。
【0067】
図7に示した情報表示カード1の状態から、情報表示カード1の所有者が情報表示カード1を用いてクレジット返済を完了させると、アンテナコイル6がクレジット機能の使用を許可する更新情報である無線電波を受信し、復調回路11が当該無線電波を復調して、クレジット機能の使用を許可する情報を示す制御信号を制御回路14に送信する。制御回路14は、メモリ13に記憶されたクレジット機能の使用を不許可とする情報を許可する情報に書き換え、更にはクレジット機能の使用を許可することに対応する電力量を示す情報を読み出す。そして、制御回路14は、当該情報に基づいた電力供給信号を電力供給回路3に供給する。具体的には、制御回路14は、有機EL面発光パネル2cに接続されたnMOS34に対してゲート電圧の供給を停止する。これにより、有機EL面発光パネル2cは消灯し、図8に示すような状態に移行する。
【0068】
図8に示された状態においては、情報表示カード1の所有者は、情報表示カード1のクレジット機能が使用可能であることを容易に知ることができる。
【0069】
図8に示した情報表示カード1の状態で、情報表示カード1の所有者が情報表示カード1を用いて商品(本実施例では1000円とする)を購入すると、アンテナコイル6が電子マネーの残高から1000円を減算する更新情報を示す無線電波を受信し、復調回路11が当該無線電波を復調して、電子マネーの残高から1000円を減算することを示す制御信号を制御回路14に送信する。制御回路14は、メモリ13に記憶された電子マネーの残高を500円に書き換え、更には電子マネーの残高が1000円未満であることに対応する電力量を示す情報を読み出す。そして、制御回路14は、当該情報に基づいた電力供給信号を電力供給回路3に供給する。具体的には、制御回路14は、有機EL面発光パネル2bに接続されたnMOS34のうち、nMOS34R及びnMOS34Gにゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2bは全体として均一に黄色で発光し、図9に示すような状態に移行する。
【0070】
図9に示された状態においては、情報表示カード1の所有者は、電子マネーの残高が1000未満であることを容易に知ることができ、情報表示カード1に電子マネーを入金(チャージ)しなければ、情報表示カード1によって商品購入ができなくなる可能性があることを認識することができる。
【0071】
図9に示した情報表示カード1の状態で、情報表示カード1の所有者が情報表示カード1を用いて商品(本実施例では500円とする)を購入すると、アンテナコイル6が電子マネーの残高から500円を減算する更新情報を示す無線電波を受信し、復調回路11が当該無線電波を復調して、電子マネーの残高から500円を減算することを示す制御信号を制御回路14に送信する。制御回路14は、メモリ13に記憶された電子マネーの残高を0円に書き換え、更には電子マネーの残高がないことに対応する電力量を示す情報を読み出す。そして、制御回路14は、当該情報に基づいた電力供給信号を電力供給回路3に供給する。具体的には、制御回路14は、有機EL面発光パネル2bに接続されたnMOS34のうち、nMOS34Rのみにゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2bは全体として均一に赤色で発光し、図10に示すような状態に移行する。
【0072】
図10に示された状態においては、情報表示カード1の所有者は、電子マネーの残高がないことを容易に知ることができ、情報表示カード1を使用して商品を購入することができないことを認識することができる。
【0073】
図10に示した情報表示カード1の状態で、情報表示カード1の所有者が情報表示カード1に電子マネーとして5000円を入金すると、アンテナコイル6が電子マネーの残高に5000円を加算する更新情報を示す無線電波を受信し、復調回路11が当該無線電波を復調して、電子マネーの残高に5000円を加算することを示す制御信号を制御回路14に送信する。制御回路14は、メモリ13に記憶された電子マネーの残高を5000円に書き換え、更には電子マネーの残高が1000円以上であることに対応する電力量を示す情報を読み出す。そして、制御回路14は、当該情報に基づいた電力供給信号を電力供給回路3に供給する。具体的には、制御回路14は、有機EL面発光パネル2bに接続されたnMOS34のうち、nMOS34Bのみにゲート電圧を印可する。これにより、有機EL面発光パネル2bは全体として均一に青色で発光し、図11に示すような状態に移行する。
【0074】
図11に示された状態においては、情報表示カード1の所有者は、電子マネーの残高が1000円以上であることを容易に知ることができ、情報表示カード1を使用して商品を購入することができることを認識することができる。
【0075】
なお、上述した実施例にあるような金銭情報のみではなく、定期券、会員券などの期日に関する情報、あるいは天気、気温、方位といったカードが受け取る様々な情報を表示させてもよい。地震速報等の安全上の情報を表示させることも可能である。
【0076】
また、上述した実施例においては、発光色を変化させることで、情報表示カード1に関する情報の変化を表示していたが、有機EL面発光パネル2から放射させる光の輝度を変化させることにより、情報表示カード1に関する情報の変化を表示してもよい。
【0077】
更に、上述した実施例において、制御回路14は、nMOS34に供給するゲート電圧を変化させることにより有機EL面発光パネルから放射される光を調整していたが、これに限定されることはない。例えば、制御回路14は、各nMOS34におけるオンオフのデューティ比を変更するようにnMOS34ごとに異なるゲート電圧を供給することにより、有機EL素子22R、22G、22Bの発光強度を調整してもよい。
【0078】
そして、本発明の情報表示カードは、更に音声により様々な情報を表わす機能を有していてもよい。また、本発明の情報表示カードは、更に、振動により様々な情報を表わす機能を有していてもよい。
【0079】
本発明の情報表示カードは、単なるディスプレイ表示に比べ、発光によりユーザーに情報を強く印象付けることができる。すなわち、ユーザーが意識的にカードを見ようとせずとも、発光によりカード情報を認識することができ、上述の残額不足などをより確実に適宜認識することができる。
【0080】
なお、本発明の情報表示カードを、ディスプレイ機能を有するカードに適用し、面発光パネルとディスプレイとを併用することも可能である。また、本発明の情報表示カードにさらにユーザーの直接操作ないし遠隔操作により発光させる機能を持たせ、通常の照明として使用することもできる。
【0081】
(本実施例の効果)
上述した構成を有することにより、本実施例である情報表示カード1は、全体として均一色に発光し且つ発光する色が可変である有機EL面発光パネル2によって種々の情報を安価な機器を用いて簡便且つユーザーに印象強く、表示することができる。
【0082】
本実施例である情報表示カード1は、メモリ13に記憶された情報の変化にともなって有機EL面発光パネル2の発光色を変化させるため、情報表示カード1の所有者が容易に当該情報の変化を認識することができる。
【0083】
本実施例である情報表示カード1は、アンテナコイル6を介して外部から得た更新情報に応じて有機EL面発光パネル2に供給する電力を制御するため、情報表示カード1に関する最新情報を容易に得ることができ且つ当該最新情報を容易に表示することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 情報表示カード
2、2a、2b、2c 有機EL面発光パネル
3 電力供給回路
4 ICモジュール
5 電池
6 アンテナコイル
7 パターン配線
8 機能シート
9 表面保護シート
10 裏面保護シート
11 復調回路
12 変調回路
13 メモリ(記憶部)
14 制御回路(制御部)
21 透明基板
22 有機EL素子
23 光拡散部
24 封止部
25R、25G、25B 陽極
26R、26G、26B 有機層
27R、27G、27B 陰極
28 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と、
基板上に複数の発光素子を設けてなり、全体として均一色に発光し且つ発光色が可変である面発光パネルと、
前記記憶部に記憶された情報に応じて前記面発光パネルへの供給電力を制御する制御部と、を有することを特徴とする情報表示カード。
【請求項2】
前記供給電力の制御により、前記面発光パネルの発光色及び輝度の少なくとも何れかを変化させることを特徴とする請求項1に記載の情報表示カード。
【請求項3】
外部機器と情報の送受信を行う通信部を更に有し、
前記制御部が前記通信部を介して外部から取得した更新情報によって前記情報を更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示カード。
【請求項4】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報表示カード。
【請求項5】
前記面発光パネルは、複数の発光色が異なるストライプ状の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする請求項4に記載の情報表示カード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−99859(P2013−99859A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243572(P2011−243572)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】