説明

情報表示装置、通信方法およびプログラム

【課題】入力インターフェースを有さない装置においても、より強いセキュリティの無線接続を提供すること。
【解決手段】本発明は、情報処理装置から供給される認証情報を記憶する、書き換え可能な記憶手段と、近距離無線通信を用いて、移動通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、前記記憶手段に記憶された認証情報を、前記無線通信手段を介して移動通信端末に送信する送信手段と、前記移動通信端末から、前記無線通信手段を介して認証情報を受信する受信手段と、前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一である場合、前記移動通信端末との通信を許可する許可手段とを有する情報表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの装置の間での通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来は有線で接続されていた装置を無線で接続する技術が普及し始めている。このような技術として、例えば、Bluetooth(登録商標)が知られている(非特許文献1参照)。このような無線接続を用いることにより、ケーブルの取り回しを考える必要がなくなり、ユーザの利便性は向上する。しかし、無線接続では、有線接続のようにどの装置とどの装置が接続されているかを視覚的に確認することができないため、セキュリティ面の問題がある。
【0003】
セキュリティの向上のため、例えばBluetooth(登録商標)においては、以下のような認証方法が用いられる。(1)接続する2つの装置において、ユーザがPIN(Personal Identification Number)コードと呼ばれる認証情報を入力する。(2)これら2つの装置が、互いにPINコードを交換することによりペアリングを行う。(3)これら2つの装置が、ペアリングした相手と、接続を確立する。
【0004】
【非特許文献1】「Specification Documents」、[online]、[平成18年9月25日検索]、インターネット<URL:http://japanese.bluetooth.com/Bluetooth/Learn/Technology/Specifications/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、無線接続をしようとする装置が、キーボードやキーパッドなど、ユーザが操作入力するインターフェースを有さない場合、PINコードの入力ができないという問題があった。このような問題を解決するために、あらかじめ装置にPINコードを記憶させておくという方法がある。しかし、このように固定のPINコードを用いると、セキュリティが弱いという問題があった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、入力インターフェースを有さない装置においても、より強いセキュリティの無線接続を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、情報処理装置から供給される認証情報を記憶する、書き換え可能な記憶手段と、近距離無線通信を用いて、移動通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、前記記憶手段に記憶された認証情報を、前記無線通信手段を介して移動通信端末に送信する送信手段と、前記移動通信端末から、前記無線通信手段を介して認証情報を受信する受信手段と、前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一である場合、前記移動通信端末との通信を許可する許可手段とを有する情報表示装置を提供する。
この情報表示装置によれば、入力インターフェースを有さなくても所望の認証情報を用いて認証を行うことができる。
【0007】
好ましい態様において、この情報表示装置は、前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一でない場合、前記記憶手段に記憶された認証情報を消去する消去手段を有してもよい。
【0008】
別の好ましい態様において、この情報表示装置は、前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一でない場合、前記情報処理装置にその旨を通知する通知手段を有してもよい。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、前記認証情報が、その認証情報が更新された時刻を示す時刻情報を含み、現在時刻を計測する計時手段と、前記記憶手段に記憶された認証情報に含まれる時刻情報により示される時刻と前記計時手段により示される時刻との差がしきい値以上であった場合、前記情報処理装置に対し、認証情報の更新を要求する要求手段とを有してもよい。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、前記認証情報が、その認証情報が更新された時刻を示す時刻情報を含み、現在時刻を計測する計時手段と、前記記憶手段に記憶された認証情報に含まれる時刻情報により示される時刻と前記計時手段により示される時刻との差がしきい値以上であった場合、前記記憶手段に記憶された認証情報を消去する消去手段とを有してもよい。
【0011】
さらに、本発明は、情報表示装置と、認証情報を記憶した情報処理装置と、前記情報処理装置と移動通信ネットワークを介して接続される移動通信端末とを有する通信システムにおける前記情報表示装置と前記移動通信端末との間の通信方法であって、前記情報処理装置が、有線通信を介して、前記情報表示装置に前記認証情報を送信するステップと、前記情報表示装置が、前記情報処理装置から送信された認証情報を記憶するステップと、前記情報処理装置が、前記移動通信ネットワークを介して、所定の識別子を有する前記移動通信端末に前記認証情報を送信するステップと、前記移動通信端末が、前記情報処理装置から送信された認証情報を記憶するステップと、前記情報表示装置および前記移動通信端末が、それぞれ自らが記憶する認証情報を、近距離無線通信を用いて相手に送信することにより、お互いを認証するステップと、前記認証が成立した後に、前記情報表示装置と前記移動通信端末との間に、近距離無線通信による通信路を確立するステップとを有する通信方法を提供する。
この通信方法によれば、入力インターフェースを有さなくても所望の認証情報を用いて認証を行うことができる。
【0012】
さらに、本発明は、書き換え可能な記憶手段と、近距離無線通信を用いて移動通信端末と無線通信を行う無線通信手段とを有するコンピュータ装置に、前記記憶手段に、情報処理装置から供給される認証情報を記憶するステップと、前記記憶手段に記憶された認証情報を、前記無線通信手段を介して前記移動通信端末に送信するステップと、前記移動通信端末から、前記無線通信手段を介して認証情報を受信するステップと、前記送信した認証情報と前記受信した認証情報が同一である場合、前記移動通信端末との通信を許可するステップとを実行させるプログラムを提供する。
このプログラムによれば、入力インターフェースを有さなくても所望の認証情報を用いて認証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム1を示す図である。通信システム1は、情報表示装置100と、情報処理装置200と、移動通信端末300とを有する。本実施形態において、情報処理装置200は、情報表示装置100および移動通信端末300に対して、認証情報としてPINコードを送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、情報処理装置200から送信されたPINコードを用いてお互いを認証する。情報表示装置100と情報処理装置200とは、USB(Universal Serial Bus)などの規格に従って、有線により通信することができる。情報表示装置100と移動通信端末300とは、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11bなどの規格に従って、近距離無線により通信することができる。ここで、「近距離無線通信(あるいは短距離無線通信)」とは、通信可能距離が100mに満たない無線通信をいう。情報処理装置200と移動通信端末300とは、移動通信ネットワーク400を介して通信することができる。なお、図1では、移動通信端末300が1台のみ図示されているが、複数の移動通信端末が移動通信ネットワーク400に接続されてもよい。
【0014】
図2は、通信システム1の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置200の記憶部201は、PINコードを記憶している。有線通信部202は、情報表示装置100との間で有線通信を行う。ネットワーク通信部203は、移動通信ネットワーク400を介して、移動通信端末300と通信を行う。情報表示装置100の有線通信部103は、情報処理装置200と有線通信を行う。記憶部101は、記憶制御部102の制御下で、情報処理装置200から受信したPINコードを記憶する。近距離無線通信部105は、移動通信端末300と近距離無線通信を行う。認証部104は、移動通信端末300から受信したPINコードに基づいて、移動通信端末300を認証する。移動通信端末300の無線通信部303は、移動通信ネットワーク400を介して情報処理装置200と通信する。記憶部301は、記憶制御部302の制御下で、情報処理装置200から受信したPINコードを記憶する。また、記憶部301は、移動通信ネットワーク400において移動通信端末300を特定する識別子として、移動通信端末300の電話番号を記憶している。近距離無線通信部305は、情報表示装置100と近距離無線通信を行う。認証部304は、情報表示装置100から受信したPINコードに基づいて、情報表示装置100を認証する。
【0015】
図3は、情報表示装置100のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)110は、情報表示装置100の要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)120は、情報表示装置100の動作に必要なプログラムやデータを記憶した記憶装置である。RAM130は、CPU110がプログラムを実行する際の作業エリアとして機能する記憶装置である。VRAM(Video Random Access Memory)131は、表示装置151に表示させる画像を記憶する記憶装置である。I/O(Input/Output)140は、入出力インターフェースである。キーボタン141は、ユーザの操作に応じた信号をI/O140に出力する。近距離無線IF142は、bluetoothなどの規格に従って近距離無線通信を行う。
【0016】
表示制御部150は、VRAM131に記憶された画像データに従って表示装置151を駆動する。表示装置151は、コレステリック液晶などの記憶性液晶層を有する表示装置である。電源制御部160は、バッテリー161からの電力の供給を制御する制御装置である。バッテリー161は、Ni−Cd系電池、Liイオン系電池などの2次電池である。通信制御部170は、通信用IF(Interface)171を介した他の機器との通信を制御する制御装置である。通信用IF171は、USB(Universal Serial Bus)、Bluetoth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)などの規格に準拠した通信を行うインターフェースである。記憶装置制御部180は、内蔵記憶装置181およびリムーバブルメディア183を制御する制御装置である。内蔵記憶装置181は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。リムーバブルメディア183は、メモリIF182を介して情報表示装置100に接続された、着脱可能な記憶装置である。リムーバブルメディア183は、例えば、SD(登録商標)メモリカードまたはメモリースティック(登録商標)である。以上の要素は、バス190を介して接続されている。CPU110が制御プログラムを実行することにより、情報表示装置100は、図2に示される機能構成を有する。情報表示装置100は、例えば、電子ブックリーダであるが、図3に示されるハードウェア構成を含むものであればどのような装置でもよい。なお、キーボタン141は、例えば、「ページ送り」、「ページ戻り」、「決定」など少数の機能が割り当てられたボタンを有するのみである。また、PINコードは例えば4〜12桁の数字を含む。すなわち、情報表示装置100は、PINコードを入力できる入力インターフェースを有していない。
【0017】
図4は、情報処理装置200のハードウェア構成を示す図である。CPU210は、情報処理装置200の要素を制御する制御装置である。ROM220は、情報処理装置200の動作に必要なプログラムやデータを記憶した記憶装置である。RAM230は、CPU210がプログラムを実行する際の作業エリアとして機能する記憶装置である。I/F(Interface)240は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。HDD(Hard Disk Drive)250は、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。本実施形態に関して、HDD250は、PINコードを記憶している。キーボード・マウス260は、ユーザが文書情報処理装置200に対して指示入力を行うための入力装置である。ディスプレイ270は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。ネットワークIF280は、移動通信ネットワーク400などのネットワークを介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。USB−IF281は、情報表示装置100とUSB規格に従った有線接続を行うインターフェースである。以上の要素は、バス290を介して接続されている。CPU210が文書編集プログラムを実行することにより、情報処理装置200は、図2に示される機能構成を備える。なお、情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータであるが、図4に示されるハードウェア構成を含むものであれば、どのような装置であってもよい。また、PINコードは、例えばユーザがキーボード・マウス260を介して入力したものであってもよい。あるいは、あらかじめ決められたアルゴリズムに従ってCPU210により生成されたものであってもよい。
【0018】
図5は、移動通信端末300のハードウェア構成を示す図である。CPU310は、移動通信端末300の要素を制御する制御装置である。ROM320は、移動通信端末300の動作に必要なプログラムやデータを記憶した記憶装置である。RAM330は、CPU310がプログラムを実行する際の作業エリアとして機能する記憶装置である。I/F340は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)350は、データの消去・書き込みを行うことができる不揮発性の記憶装置である。本実施形態において、EEPROM350は、移動通信ネットワーク400において移動通信端末300を特定する識別子として、移動通信端末300の電話番号を記憶している。キーパッド360は、ユーザが指示入力を行う入力装置である。ディスプレイ370は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。無線通信部380は、移動通信ネットワーク400との間で通信を行う。移動通信ネットワーク400は、例えば、複数の基地局を有する。無線通信部380は、複数の基地局のうち少なくとも1つの基地局と無線で通信を行うため、アンテナ、増幅器などを有する。近距離無線IF381は、bluetooth(登録商標)などの規格に従って近距離無線通信を行う。以上の要素は、バス390を介して接続されている。CPU310が制御プログラムを実行することにより、移動通信端末300は、図2に示される機能構成を有する。移動通信端末300は、例えば、携帯電話機であるが、図3に示されるハードウェア構成を含むものであればどのような装置であってもよい。
【0019】
2.動作
2−1.基本動作
図6は、通信システム1の動作を示すフローチャートである。ステップS100において、情報処理装置200は、有線接続を介して、PINコードを情報表示装置100に送信する。この処理は例えば次のように行われる。情報表示装置100と情報処理装置200とは、USB規格に従って有線接続されている(以下この接続を単に「USB接続」という)。情報処理装置200のCPU210は、HDD250からPINコードを読み出す。CPU210は、PINコードを、USB−IF281を介して情報表示装置100に送信する。なお、ステップS100の処理は、どのようなイベントを契機として開始されてもよい。例えば、ステップS100の処理は、情報処理装置200と情報表示装置100とがUSB接続されたことを契機として開始されてもよい。あるいは、ステップS100の処理は、ユーザの操作入力があったことを契機として開始されてもよい。さらにあるいは、ステップS100の処理は、あらかじめ決められた時間間隔ごとに開始されてもよい。
【0020】
ステップS110において、情報表示装置100は、情報処理装置200から受信したPINコードを記憶する。具体的には、情報表示装置100のCPU110は、近距離無線IF142を介して受信したPINコードを、内蔵記憶装置181に記憶する。
【0021】
ステップS120およびS130の処理は、ステップS100およびS110と同様に行われる。移動通信端末300のCPU310は、無線通信部380を介して受信したPINコードを、EEPROM350に記憶する。なお、ステップS100の処理とステップS120の処理は、どちらが先に行われてもよい。以上により、情報表示装置100および移動通信端末300には、PINコードが記憶される。なお、以上の処理を実行する際、情報表示装置100と移動通信端末300とは、通信可能な距離になくてもよい。
【0022】
続いて、情報表示装置100と移動通信端末300との間の認証処理について説明する。以下で説明する認証処理は、公知技術を用いて行われてもよい。以下の処理が行われる際、情報表示装置100と移動通信端末300とは互いに通信可能な距離に位置している。また、情報表示装置100と情報処理装置200とがUSB接続されていない例について説明するが、情報表示装置100と情報処理装置200とはUSB接続されていてもよい。
【0023】
ステップS140において、情報表示装置100は、移動通信端末300にペアリング要求を送信する。この処理は例えば次のように行われる。情報表示装置100のCPU110は、ペアリング要求を生成する。CPU110は、生成されたペアリング要求を近距離無線IF142を介して出力する。移動通信端末300と情報表示装置100とは通信可能な距離にあるので、移動通信端末300の近距離無線IF381は情報表示装置100からのペアリング要求を受信する。なお、ステップS140の処理はどのようなイベントを契機として開始されてもよい。例えば、ステップS140の処理は、ユーザがキーボタン141に対して指示入力を行ったことを契機として開始されてもよい。
【0024】
ステップS150において、情報表示装置100および移動通信端末300は、通信相手の装置を認証する。この認証処理は公知の技術を用いて行われる。例えば、情報表示装置100および移動通信端末300は、それぞれ、固有の識別子、例えばBluetoothアドレスを相手に送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、相手のBluetoothアドレスを記憶する。CPU110は、乱数Rを生成する。CPU110は、乱数Rおよび情報処理装置200から受信したPINコードを入力として、あらかじめ決められたアルゴリズムEによって初期化キーKinitを算出する。情報表示装置100は、乱数Rを移動通信端末300に送信する。移動通信端末300は、乱数Rと情報処理装置200から受信したPINコードを入力として、アルゴリズムEにより初期化キーKinitを算出する。
【0025】
情報表示装置100は、乱数Rを生成する。CPU110は、乱数R、情報表示装置100のBluetoothアドレス、初期化キーKinitを入力として、あらかじめ決められたアルゴリズムEによってパラメータSRESを算出する。また、情報表示装置100は、乱数Rを移動通信端末300に送信する。移動通信端末300は、乱数R、情報表示装置100のBluetoothアドレス、初期化キーKinitを入力として、あらかじめ決められたアルゴリズムEによってパラメータSRES’を算出する。移動通信端末300は、算出したSRES’を情報表示装置100に送信する。情報表示装置100は、パラメータSRESとパラメータSRES’とを比較する。パラメータSRESとパラメータSRES’とが一致すれば、情報表示装置100は移動通信端末300を認証する。移動通信端末300においても同様の処理が行われる。お互いに認証が完了すると、情報表示装置100と移動通信端末300とは、通信路の確立に必要なパラメータを交換する。通信路の確立に必要なパラメータを交換すると、情報表示装置100と移動通信端末300は、無線通信を開始する(ステップS160)。
【0026】
なお、認証処理は上記のものに限定されない。例えば、情報表示装置100および移動通信端末300が、相手が記憶しているPINコードと自身が記憶しているPINコードを直接比較することにより、お互いを認証してもよい。要は、情報表示装置100および移動通信端末300のそれぞれにおいて、PINコードそれ自体またはPINコードを用いて生成された情報の同一性に基づいて認証を行うのであればどのような方法が用いられてもよい。
【0027】
2−2.認証が成功しなかった場合の動作
認証が成功しなかった場合、すなわち、情報表示装置100および移動通信端末300のそれぞれにおいて、PINコードそれ自体またはPINコードを用いて生成された情報が同一でなかった場合、以下のいずれかの処理が行われてもよい。
【0028】
2−2−1.PINコードの消去
認証が成功しなかった場合、情報表示装置100は、PINコードを消去してもよい。すなわち、情報表示装置100のCPU110は、内蔵記憶装置181からPINコードを消去する。さらに、CPU110は、PINコードが消去されたことを示す情報を生成してもよい。CPU110は、情報表示装置100と情報処理装置200とがUSB接続されたときにこの情報を情報処理装置200に送信してもよい。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを情報表示装置100および移動通信端末300に送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。以後、情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。なお、同様に移動通信端末300も、EEPROM350に記憶されたPINコードを消去してもよい。
【0029】
2−2−2.情報処理装置200への通知その1
認証が成功しなかった場合、情報表示装置100は、情報処理装置200へその旨を通知してもよい。すなわち、CPU110は、認証が成功しなかったことを示す情報を生成する。CPU110は、情報表示装置100と情報処理装置200とがUSB接続されたときにこの情報を情報処理装置200に送信してもよい。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを情報表示装置100および移動通信端末300に送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。すなわち、古いPINコードは消去され新しいPINコードで上書きされる。以後、情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。また、認証が成功しなかったことを通知された情報処理装置200は、認証が成功しなかったことをユーザに通知するメッセージをディスプレイ270に表示してもよい。
【0030】
2−2−3.情報処理装置200への通知その2
認証が成功しなかった場合、移動通信端末300が、情報処理装置200へその旨を通知してもよい。すなわち、CPU310は、認証が成功しなかったことを示す情報を生成する。CPU310は、生成された情報を移動通信ネットワーク400を介して情報処理装置200に送信する。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを情報表示装置100および移動通信端末300に送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。すなわち、古いPINコードは消去され新しいPINコードで上書きされる。以後、情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。また、認証が成功しなかったことを通知された情報処理装置200は、認証が成功しなかったことをユーザに通知するメッセージをディスプレイ270に表示してもよい。
【0031】
2−3.タイムスタンプ制御
情報表示装置100は、以下で説明するような、タイムスタンプに基づいた制御を行ってもよい。以下で説明する例では、PINコードは、そのPINコードが更新(または生成)された時刻を示すタイムスタンプ(時刻情報)を含む。また、以下で説明する例では、情報表示装置100は、タイマーなど、現在時刻を計測する要素を有する。情報表示装置100は、上述のような、PINコードそれ自体またはPINコードを用いて生成された情報の同一性に基づいた認証に加え、PINコードに含まれるタイムスタンプに基づいてPINコードの有効性を判断してもよい。
【0032】
情報表示装置100の内蔵記憶装置181は、PINコードの更新間隔を示すしきい値を記憶している。移動通信端末300から受信したPINコードに含まれるタイムスタンプにより示される時刻と、情報表示装置100のタイマーにより示される時刻との差がしきい値以上であった場合、CPU110は、以下のいずれかの処理を行ってもよい。
【0033】
2−3−1.PINコードの消去
CPU110は、内蔵記憶装置181からPINコードを消去してもよい。さらに、CPU110は、PINコードが消去されたことを示す情報を生成してもよい。CPU110は、情報表示装置100と情報処理装置200とがUSB接続されたときにこの情報を情報処理装置200に送信してもよい。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなタイムスタンプを含むPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを情報表示装置100および移動通信端末300に送信する。情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。以後、情報表示装置100および移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。なお、同様に移動通信端末300も、EEPROM350に記憶されたPINコードを消去してもよい。
【0034】
2−3−2.情報処理装置200への通知その1
情報表示装置100は、情報処理装置200へその旨を通知してもよい。すなわち、CPU110は、タイムスタンプが古いことを示す情報を生成する。CPU110は、情報表示装置100と情報処理装置200とがUSB接続されたときにこの情報を情報処理装置200に送信してもよい。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなタイムスタンプを含むPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを移動通信端末300に送信する。移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。すなわち、古いタイムスタンプを含むPINコードは消去され新しいタイムスタンプを含むPINコードで上書きされる。以後、移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。なお、新たなPINコードのタイムスタンプ以外の部分は、それ以前のものと同一であってもよい。また、タイムスタンプが古いことを通知された情報処理装置200は、タイムスタンプが古いことをユーザに通知するメッセージをディスプレイ270に表示してもよい。なお、情報処理装置200は、情報表示装置100に対しても新たなPINコードを送信してもよい。
【0035】
2−3−3.情報処理装置200への通知その2
なお、情報表示装置100に代わり移動通信端末300が、情報処理装置200へその旨を通知してもよい。すなわち、CPU310は、タイムスタンプが古いことを示す情報を生成する。CPU310は、移動通信ネットワーク400を介してこの情報を情報処理装置200に送信する。この情報を受信した場合、情報処理装置200のCPU210は、新たなタイムスタンプを含むPINコードを生成し、HDD250に記憶する。CPU210は、新たなPINコードを移動通信端末300に送信する。移動通信端末300は、新たなPINコードを記憶する。すなわち、古いタイムスタンプを含むPINコードは消去され新しいタイムスタンプを含むPINコードで上書きされる。以後、移動通信端末300は、新たなPINコードを用いて認証を行う。なお、新たなPINコードのタイムスタンプ以外の部分は、それ以前のものと同一であってもよい。また、タイムスタンプが古いことを通知された情報処理装置200は、タイムスタンプが古いことをユーザに通知するメッセージをディスプレイ270に表示してもよい。なお、情報処理装置200は、情報表示装置100に対しても新たなPINコードを送信してもよい。
【0036】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
上述の実施形態において、認証情報として、PINコードまたはPINコードを用いて生成された情報が用いられる例について説明したが、認証情報はこれに限定されるものではない。例えば、認証情報として暗号鍵が用いられてもよい。情報表示装置100は、移動通信端末300から受信した暗号鍵を用いて、内蔵記憶装置181に記憶された文書データを復号化してもよい。
【0037】
情報表示装置100、情報処理装置200および移動通信端末300のそれぞれにおいて、上述の機能を実現させるためのプログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの記憶媒体により提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システム1を示す図である。
【図2】通信システム1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】情報表示装置100のハードウェア構成を示す図である。
【図4】情報処理装置200のハードウェア構成を示す図である。
【図5】移動通信端末300のハードウェア構成を示す図である。
【図6】通信システム1の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1…通信システム、100…情報表示装置、101…記憶部、102…記憶制御部、103…有線通信部、104…認証部、105…近距離無線通信部、110…CPU、120…ROM、130…RAM、131…VRAM、140…I/O、141…キーボタン、142…近距離無線IF、150…表示制御部、151…表示装置、160…電源制御部、161…バッテリー、170…通信制御部、171…通信用IF、180…記憶装置制御部、181…内蔵記憶装置、182…メモリIF、183…リムーバブルメディア、190…バス、200…情報処理装置、201…記憶部、202…有線通信部、203…ネットワーク通信部、210…CPU、220…ROM、230…RAM、240…I/F、250…HDD、260…キーボード・マウス、270…ディスプレイ、280…ネットワークIF、281…USB−IF、290…バス、300…移動通信端末、301…記憶部、302…記憶制御部、303…無線通信部、304…認証部、305…近距離無線通信部、310…CPU、320…ROM、330…RAM、340…I/F、350…EEPROM、360…キーパッド、370…ディスプレイ、380…無線通信部、381…近距離無線IF、400…移動通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から供給される認証情報を記憶する、書き換え可能な記憶手段と、
近距離無線通信を用いて、移動通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
前記記憶手段に記憶された認証情報を、前記無線通信手段を介して移動通信端末に送信する送信手段と、
前記移動通信端末から、前記無線通信手段を介して認証情報を受信する受信手段と、
前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一である場合、前記移動通信端末との通信を許可する許可手段と
を有する情報表示装置。
【請求項2】
前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一でない場合、前記記憶手段に記憶された認証情報を消去する消去手段
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記送信手段により送信した認証情報と前記受信手段により受信した認証情報が同一でない場合、前記情報処理装置にその旨を通知する通知手段
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記認証情報が、その認証情報が更新された時刻を示す時刻情報を含み、
現在時刻を計測する計時手段と、
前記記憶手段に記憶された認証情報に含まれる時刻情報により示される時刻と前記計時手段により示される時刻との差がしきい値以上であった場合、前記情報処理装置に対し、認証情報の更新を要求する要求手段と
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記認証情報が、その認証情報が更新された時刻を示す時刻情報を含み、
現在時刻を計測する計時手段と、
前記記憶手段に記憶された認証情報に含まれる時刻情報により示される時刻と前記計時手段により示される時刻との差がしきい値以上であった場合、前記記憶手段に記憶された認証情報を消去する消去手段と
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項6】
情報表示装置と、認証情報を記憶した情報処理装置と、前記情報処理装置と移動通信ネットワークを介して接続される移動通信端末とを有する通信システムにおける前記情報表示装置と前記移動通信端末との間の通信方法であって、
前記情報処理装置が、有線通信を介して、前記情報表示装置に前記認証情報を送信するステップと、
前記情報表示装置が、前記情報処理装置から送信された認証情報を記憶するステップと、
前記情報処理装置が、前記移動通信ネットワークを介して、所定の識別子を有する前記移動通信端末に前記認証情報を送信するステップと、
前記移動通信端末が、前記情報処理装置から送信された認証情報を記憶するステップと、
前記情報表示装置および前記移動通信端末が、それぞれ自らが記憶する認証情報を、近距離無線通信を用いて相手に送信することにより、お互いを認証するステップと、
前記認証が成立した後に、前記情報表示装置と前記移動通信端末との間に、近距離無線通信による通信路を確立するステップと
を有する通信方法。
【請求項7】
書き換え可能な記憶手段と、近距離無線通信を用いて移動通信端末と無線通信を行う無線通信手段とを有するコンピュータ装置に、
前記記憶手段に、情報処理装置から供給される認証情報を記憶するステップと、
前記記憶手段に記憶された認証情報を、前記無線通信手段を介して前記移動通信端末に送信するステップと、
前記移動通信端末から、前記無線通信手段を介して認証情報を受信するステップと、
前記送信した認証情報と前記受信した認証情報が同一である場合、前記移動通信端末との通信を許可するステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124810(P2008−124810A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306769(P2006−306769)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】