説明

情報読取システム及び情報読取方法

【課題】必要な情報を必要な人が読取できるように適切な権限をリーダに付与することが可能な生体内又は生体表面に設置される無線通信媒体を用いた情報読取システム及び情報読取方法を提供する。
【解決手段】生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体1と、無線通信媒体1に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダ2と、リーダ2とデータ通信することが可能に接続してあり、識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバ4とを備える。リーダ2を本人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体1に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報をサーバ4へ送信し、サーバ4は、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限をリーダ2に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内又は生体表面に設置することが可能な無線通信媒体を用いて所望の情報を読み取る情報読取システム及び情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグ、ICチップのような、内部に情報を記憶するとともに、外部とデータ通信することが可能な無線通信媒体が多く開発されている。無線通信媒体の大きさも年々小型化されており、最近では、人体のような生体内に埋め込んだり、生体表面に張り付けたりすることが可能な無線通信媒体も開発されている。
【0003】
無線通信媒体を生体内に埋め込んで設置する場合、容易に交換することができない。したがって、生体内に設置された無線通信媒体を本人確認等の認証体として用いる場合、情報をいかにして読み取るようにするかは、個人情報のセキュリティの観点から非常に重要である。また、生体表面に設置された無線通信媒体を本人確認等の認証体として用いる場合も、特に個人情報のセキュリティを高めることが大切となる。
【0004】
そこで、特許文献1では、無線通信型の非接触型ICチップを、本人を表す認証体として利用し、外部のリーダ・ライタが非接触型ICチップとデータ通信することにより本人確認を実施し、なりすまし等の不正な取引行為を未然に防止する取引認証システムが開示されている。特許文献1では、口腔内又は口腔近傍に無線通信媒体を設置し、被設置者が各種通信端末を介して取引を行う場合には、リーダ・ライタが無線通信媒体の情報を読み取ることにより本人確認を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−276108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている取引認証システムでは、リーダは、被設置者が付与する一の権限に基づいて、個人情報を含めた取引情報を読み取ることができる。しかし、例えば交通事故等で被設置者に意識がない状態では、第三者が病歴や既往症等の必要な情報を読み取ることができない場合が生じうるという問題点があった。
【0007】
一方、第三者が自由にリーダに権限を付与できるのであれば、セキュリティを維持することはできない。したがって、第三者による権限付与には一定の制約を課する必要がある。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、必要な情報を必要な人が読取できるように適切な権限をリーダに付与することが可能な、生体内又は生体表面に設置される無線通信媒体を用いた情報読取システム及び情報読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係る情報読取システムは、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備える情報読取システムにおいて、前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報を前記サーバへ送信し、前記サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
次に、上記目的を達成するために第2発明に係る情報読取システムは、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備える情報読取システムにおいて、前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、該第一の識別情報を読み出した後、前記リーダを他人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報を前記サーバへ送信し、前記サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第3発明に係る情報読取システムは、第1又は第2発明において、前記サーバは、前記識別情報ごとに読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶してあることを特徴とする。
【0012】
また、第4発明に係る情報読取システムは、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記個人情報を読み取る権限として、前記サーバに記憶してある項目情報が前記リーダに付与されることを特徴とする。
【0013】
また、第5発明に係る情報読取システムは、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記リーダは、付与された個人情報を読み取る権限を記憶することを特徴とする。
【0014】
また、第6発明に係る情報読取システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記リーダは、前記個人情報を読み取るか、前記個人情報を読み取る権限を取得するかを切り換える操作切換手段を備えることを特徴とする。
【0015】
次に、上記目的を達成するために第7発明に係る情報読取方法は、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備えるシステムで実行することが可能な情報読取方法において、前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報を前記サーバへ送信し、前記サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与することを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第8発明に係る情報読取方法は、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備えるシステムで実行することが可能な情報読取方法において、前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、該第一の識別情報を読み出した後、前記リーダを他人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報を前記サーバへ送信し、前記サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与することを特徴とする。
【0017】
また、第9発明に係る情報読取方法は、第7又は第8発明において、前記サーバは、前記識別情報ごとに読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶することを特徴とする。
【0018】
また、第10発明に係る情報読取方法は、第7乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記個人情報を読み取る権限として、前記サーバに記憶してある項目情報が前記リーダに付与されることを特徴とする。
【0019】
また、第11発明に係る情報読取方法は、第7乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記リーダは、付与された個人情報を読み取る権限を記憶することを特徴とする。
【0020】
また、第12発明に係る情報読取方法は、第7乃至第11発明のいずれか1つにおいて、前記リーダは、前記個人情報を読み取るか、前記個人情報を読み取る権限を取得するかを切り換えることが可能であることを特徴とする。
【0021】
第1発明及び第7発明では、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備える。リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報をサーバへ送信する。サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限をリーダに付与する。これにより、本人を識別する第一の識別情報に基づく個人情報を読み取る権限をリーダに付与することができるので、自分の許諾した範囲内で自分自身の個人情報を読み取ることが可能となる。
【0022】
第2発明及び第8発明では、生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバとを備える。リーダを本人、すなわち他人の個人情報を読み取る本人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出す。そして、第一の識別情報を読み出した後、リーダを他人、すなわち個人情報を読み取る対象となる他人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報をサーバへ送信する。サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限をリーダに付与する。これにより、個人情報を読み取る権限を、無節操に第三者に付与するのではなく、第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて適切な許諾範囲内で個人情報を読み取る権限を決定することができるので、必要な個人情報のみを第三者が読み取ることができるように適切な権限をリーダに付与することが可能となる。
【0023】
第3発明及び第9発明では、サーバは、識別情報ごとに読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶するので、識別情報に対応付けて読み取ることができる個人情報の項目を管理することが可能となる。
【0024】
第4発明及び第10発明では、個人情報を読み取る権限として、サーバに記憶してある項目情報がリーダに付与されるので、付与された項目情報に応じて個人情報のうち読み取ることができる項目と読み取ることができない項目とを特定することが可能となる。
【0025】
第5発明及び第11発明では、リーダは、付与された個人情報を読み取る権限を記憶するので、個人情報を読み取る都度、個人情報を読み取る権限を取得する必要がなく、連続して個人情報を読み取ることが可能となる。
【0026】
第6発明及び第12発明では、リーダは、個人情報を読み取るか、個人情報を読み取る権限を取得するかを切り換えることができるので、個人情報を読み取る場合には記憶してある個人情報を読み取る権限に応じて必要な個人情報を読み取り、個人情報を読み取る権限を取得する場合には、サーバから個人情報を読み取る権限を取得することができる。
【発明の効果】
【0027】
上記構成によれば、リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報をサーバへ送信する。サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限をリーダに付与する。これにより、本人を識別する第一の識別情報に基づく個人情報を読み取る権限をリーダに付与することができるので、自分の許諾した範囲内で自分自身の個人情報を読み取ることが可能となる。
【0028】
また、他の構成では、リーダを本人、すなわち他人の個人情報を読み取る本人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出す。そして、第一の識別情報を読み出した後、リーダを他人、すなわち個人情報を読み取る対象となる他人の生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報をサーバへ送信する。サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限をリーダに付与する。これにより、個人情報を読み取る権限を、無節操に第三者に付与するのではなく、第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて適切な許諾範囲内で個人情報を読み取る権限を決定することができるので、必要な個人情報のみを第三者が読み取ることができるように適切な権限をリーダに付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの無線通信媒体の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのリーダの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバを、CPUを用いて構成した場合の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバの記憶装置の個人情報記憶部に記憶してある個人情報のデータ構成の例示図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバの記憶装置の権限情報記憶部に記憶してある権限情報のデータ構成の例示図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの、リーダが個人情報を読み取る権限を取得する処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの機能ブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムのサーバの記憶装置の権限情報記憶部に記憶してある職業別権限情報のデータ構成の例示図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、リーダが個人情報を読み取る権限を取得する処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、決済時に個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、決済サーバとリーダとが直接データ通信することが可能な場合の、決済時に個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る情報読取システムについて図面に基づいて具体的に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1に係る情報読取システムは、人体のような生体内又は生体表面に設置することを前提とした超小型の無線通信媒体1と、無線通信媒体1に記憶してある情報を読み出すリーダ2、及びリーダ2とネットワーク網3を介してデータ通信することが可能に接続してあるサーバ4とを備えている。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの無線通信媒体1の構成を示す模式図である。図2に示すように、実施の形態1に係る無線通信媒体1は、リーダ2の接近により誘導起電力が生じるコイル11と、不揮発性メモリを組み込んである通信機能を備えたICチップ12とで構成されている。
【0033】
リーダ2を無線通信媒体1に接近させた場合、コイル11の誘電起動力によりICチップ12が起動する。そして、無線通信により、リーダ2は、ICチップ12内の不揮発性メモリに記憶してある情報を読み出す、あるいはICチップ12内の不揮発性メモリに情報を書き込む。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのリーダ2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、実施の形態1に係るリーダ2は、CPU、IC、マイコン、FPGA等で構成される演算ユニット21、情報を記憶するメモリユニット22、情報を表示する表示ユニット23、外部の機器とデータ通信する通信ユニット24、及び無線通信媒体1のコイル11に誘導起電力を生じさせるコイルユニット25を備えている。
【0035】
演算ユニット21は、内部バスを介してメモリユニット22、表示ユニット23、通信ユニット24、コイルユニット25に接続されており、それぞれの動作を制御する。メモリユニット22は、無線通信媒体1から読み出した情報、又はサーバ4から取得した情報を記憶する。
【0036】
表示ユニット23は、メモリユニット22に記憶されている情報に基づいて、必要な情報を表示出力する。通信ユニット24は、無線通信媒体1又はサーバ4とネットワーク網3を介してデータ通信することが可能に接続され、必要な情報を送受信する。なお、リーダ2は、上述した機能を有する構成であれば可搬型に限定されるものではなく、固定設置型のリーダであっても良い。この場合、リーダ2を無線通信媒体1に接近させるのではなく、無線通信媒体1をリーダ2に接近させれば良い。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバ4を、CPUを用いて構成した場合の構成を示すブロック図である。図4に示すように、実施の形態1に係るサーバ4は、演算を行う演算部を構成するCPU(中央演算装置)41、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するメモリ42、ハードディスク等の記憶装置43、I/Oインタフェース44、ビデオインタフェース45、可搬型ディスクドライブ46、通信インタフェース47及び上述したハードウェアを接続する内部バス48で構成されている。
【0038】
CPU41は、内部バス48を介してサーバ4の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置43に記憶しているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ42は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0039】
記憶装置43は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置43に記憶しているコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ46によりダウンロードされ、実行時には記憶装置43からメモリ42へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース47を介して、接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0040】
また、記憶装置43は、個人情報記憶部431及び権限情報記憶部432を備えている。個人情報記憶部431は、個人を識別する識別情報、例えば個人IDに対応付けて、氏名、住所等の個人情報を記憶している。また、権限情報記憶部432は、個人情報を読み取る権限に関する情報(権限情報)として、個人を識別する識別情報、例えば個人IDに対応付けて、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶している。もちろん、権限情報として、項目情報を記憶することに限定されるものではなく、読み取ることが可能な個人情報の項目を特定することが可能な情報であれば何でも良い。
【0041】
通信インタフェース47は内部バス48に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網3に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0042】
I/Oインタフェース44は、キーボード51、マウス52等のデータ入力媒体と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース45は、CRTモニタ、LCD等の表示装置53と接続され、所定の画像を表示する。
【0043】
以下、本人の体内に設置してある無線通信媒体1を用いて個人情報を読み取る場合を例に、本発明の実施の形態1に係る情報読取方法を説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの機能ブロック図である。
【0044】
リーダ2の識別情報取得部201は、リーダ2を本人の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第一の識別情報を取得する。識別情報送信部202は、無線通信媒体1から取得した第一の識別情報を、サーバ4へ送信する。
【0045】
読取権限情報受信部203は、サーバ4に記憶してある個人情報を読み取る権限に関する情報を、サーバ4から受信する。読取権限情報記憶部204は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報を、メモリユニット22に記憶する。
【0046】
サーバ4の識別情報受信部401は、リーダ2が取得した第一の識別情報を受信する。読取権限情報抽出部402は、記憶装置43の個人情報記憶部431に記憶してある個人情報の中から、受信した第一の識別情報で読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報として抽出する。なお、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報は、識別情報に対応付けて記憶装置43の権限情報記憶部432に記憶してあるので、受信した第一の識別情報をキー情報として抽出することになる。読取権限情報送信部403は、抽出した個人情報を読み取る権限に関する情報をリーダ2へ送信する。
【0047】
図6は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバ4の記憶装置43の個人情報記憶部431に記憶してある個人情報のデータ構成の例示図である。個人情報記憶部431には、個人を識別する識別情報である個人IDに対応付けて、氏名、住所、電話番号、・・・等の個人情報を記憶してある。サーバ4は、受信した第一の識別情報をキー情報として、記憶してある個人情報と照合し、一致する個人IDが見つかった場合には、該個人IDに対応付けて記憶してある個人情報を抽出する。
【0048】
なお、無線通信媒体1が、生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体1であることを確認することができた場合のみ、サーバ4が、個人情報を抽出するようにしても良い。生体内又は生体表面に設置された無線通信媒体1であるか否かは、無線通信媒体1を生体内又は生体表面に設置した時点で、被設置者がその旨をサーバ4に記録しても良い。あるいは、無線通信媒体1が読み取られた店舗の所在地、業種業態、季節、日時等に基づいて、無線通信媒体1は生体内又は生体表面に設置されたものであるとサーバ4が判断するようにしても良い。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムのサーバ4の記憶装置43の権限情報記憶部432に記憶してある権限情報のデータ構成の例示図である。個人を識別する識別情報である個人IDに対応付けて、読み取ることが可能な氏名、住所、電話番号、・・・等の個人情報の項目名又は項目を識別する識別情報、例えば項目IDを記憶してある。サーバ4は、受信した第一の識別情報をキー情報として、記憶してある権限情報と照合し、一致する個人IDが見つかった場合には、該個人IDに対応付けて記憶してある権限情報を抽出する。
【0050】
個人情報を読み取る権限に関する情報として、上述のように個人IDに対応付けて読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶しておくことで、読み取ることが可能な項目についてのみ、リーダ2で個人情報を読み取ることが可能となる。
【0051】
図8は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの、リーダが個人情報を読み取る権限を取得する処理の手順を示すフローチャートである。図8において、リーダ2の演算ユニット21は、リーダ2を本人の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第一の識別情報を取得する(ステップS801)。演算ユニット21は、無線通信媒体1から取得した第一の識別情報を、サーバ4へ送信する(ステップS802)。
【0052】
サーバ4のCPU41は、リーダ2が取得した第一の識別情報を、リーダ2から受信する(ステップS803)。CPU41は、個人情報記憶部431に記憶してある個人情報の中から、受信した第一の識別情報で読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報として抽出する(ステップS804)。CPU41は、抽出した個人情報を読み取る権限に関する情報をリーダ2へ送信する(ステップS805)。
【0053】
リーダ2の演算ユニット21は、サーバ4が抽出した個人情報を読み取る権限に関する情報を受信し(ステップS806)、受信した個人情報を読み取る権限に関する情報を、メモリユニット22に記憶する(ステップS807)。
【0054】
なお、リーダ2が個人情報を読み取るか、個人情報を読み取る権限に関する情報を取得するかは、リーダ2のメモリユニット22に個人情報を読み取る権限に関する情報が記憶されているか否かに基づいて切り換えれば良い。例えばメモリユニット22に個人情報を読み取る権限に関する情報が記憶されている場合、リーダ2を無線通信媒体1に接近させたときにリーダ2は個人情報を読み取る。一方、メモリユニット22に個人情報を読み取る権限に関する情報が記憶されていない場合、リーダ2を無線通信媒体1に接近させたときにリーダ2は個人情報を読み取る権限に関する情報を取得する。なお、リーダ2が個人情報を読み取った場合、個人情報を読み取る権限に関する情報、第一の識別情報、読み取られた個人情報に関する情報として、読み取られた日付、後述する第二の識別情報、読み取られた個人情報の項目に関する項目情報を読取履歴として記憶しても良い。
【0055】
また、上述した方法に限定されるものではなく、リーダ2に、個人情報を読み取るか、個人情報を読み取る権限に関する情報を取得するかを切り換える操作切換手段として、切り換えスイッチ26を設けても良い。すなわち、まずは、個人情報を読み取る権限に関する情報を取得するモードに切り替えることにより、サーバ4から個人情報を読み取る権限に関する情報を取得し、次に個人情報を読み取るモードに切り替えることにより、サーバ4から個人情報を読み取る。又は、リーダ2に、他人の個人情報読取部と本人の読取権限付与部を別々に設けても良い。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態1に係る情報読取システムの個人情報を読み取る手順を示す模式図である。図9に示すように、まず体内に無線通信媒体1を埋め込んである本人の無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第一の識別情報を読み出す。第一の識別情報を読み出したリーダ2は、サーバ4に対して個人情報を読み取る権限の付与を依頼する。
【0057】
個人情報を読み取る権限の付与を依頼されたサーバ4は、リーダ2が読み出した第一の識別情報をキー情報として、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を抽出し、個人情報を読み取る権限に関する情報として送信する。本人の個人情報であるので、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報は、全ての個人情報の項目に関する項目情報であっても良いし、一定の条件により制限してあっても良い。リーダ2は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報により特定される項目の個人情報をサーバ4から取得して、リーダ2の表示ユニット23に表示出力する。
【0058】
以上のように本実施の形態1によれば、本人を識別する第一の識別情報に基づく個人情報を読み取る権限をリーダ2に付与することができるので、自分の許諾した範囲内で自分自身の個人情報を読み取ることが可能となる。例えば、クレジットカード支払いの時に、自分自身の借入限度額の残高を確認する、あるいは信用残高を確認することができ、支払いにクレジットカードを使用することができるか否かを容易に判断することも可能となる。また、読取履歴を記憶してあるので、誰がいつ自分のどの情報を読み取ったのかを後日確認することも可能となる。
【0059】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。本実施の形態2は、他人である患者等の生体内、又は生体表面に張り付けてある無線通信媒体1の情報を、本人である救命士等が読み出す点で、実施の形態1と相違する。
【0060】
以下、救命士等が本人及び他人の体内に設置してある無線通信媒体1を用いて他人の個人情報を読み取る場合を例に、本発明の実施の形態2に係る情報読取方法を説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの機能ブロック図である。
【0061】
リーダ2の本人識別情報取得部211は、リーダ2を他人の個人情報を読み取る本人、例えば救命士等の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第一の識別情報を取得する。本人識別情報取得部211は、無線通信媒体1から取得した第一の識別情報を、リーダ2のメモリユニット22に記憶する。
【0062】
リーダ2の他人識別情報取得部212は、続いてリーダ2を個人情報を読み取る対象となる他人の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第二の識別情報を取得する。他人識別情報取得部212は、無線通信媒体1から取得した第二の識別情報を、リーダ2のメモリユニット22に記憶する。
【0063】
識別情報送信部213は、リーダ2のメモリユニット22に記憶してある第一の識別情報及び第二の識別情報を、サーバ4へ送信する。本実施の形態2では、第一の識別情報及び第二の識別情報を同時にサーバ4へ送信しているが、まず本人の識別情報である第一の識別情報を取得した時点でサーバ4へ送信し、次に他人の識別情報である第二の識別情報を取得した時点でサーバ4へ送信しても良い。
【0064】
読取権限情報受信部214は、サーバ4に記憶してある個人情報を読み取る権限に関する情報を、サーバ4から受信する。読取権限情報記憶部215は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報を、メモリユニット22に記憶する。
【0065】
サーバ4の識別情報受信部411は、リーダ2が取得した第一の識別情報及び第二の識別情報を受信する。読取権限情報決定部412は、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報として決定する。
【0066】
具体的には、例えば第一の識別情報で読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報と、第二の識別情報で読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報とを比較し、重なっている項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報とすれば良い。また、第一の識別情報については、職業別に、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶しておいても良い。
【0067】
図11は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムのサーバ4の記憶装置43の権限情報記憶部432に記憶してある職業別権限情報のデータ構成の例示図である。図11(a)は、他人の個人情報を読み取る本人の「職業」が「警察官」である場合の項目情報の例示図である。この場合、氏名、住所、電話番号等を読み取ることができれば足りるので、「警察官」に対応付けられた権限では、他の個人情報を読み取ることはできない。
【0068】
図11(b)は、他人の個人情報を読み取る本人の「職業」が「救命士」である場合の項目情報の例示図である。「救命士」に対応付けられた権限では、氏名のほか、血液型、既往症、服薬中の薬等の、救命医療に必要な個人情報のみを読み取ることができる。図11(c)は、他人の個人情報を読み取る本人の「職業」が「店舗の店員」である場合の項目情報の例示図である。「店舗の店員」に対応付けられた権限では、来店客の保有するクレジットカードごとの有効期限等の決済に必要な個人情報のみを読み取ることができる。
【0069】
このように、第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る対象となる他人の個人情報の中から、読み取ることが可能な項目に関する項目情報を抽出するだけでなく、第一の識別情報に基づいて、他人の個人情報を読み取る本人の職業を特定し、特定した職業をキー情報として抽出した、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報と比較し、重なっている項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限として決定する。これにより、無節操に個人情報を第三者に読み取られることなく、必要な情報のみを第三者が読み取ることができるように適切な権限をリーダ2に付与することができる。また、他人の個人情報を読み取る本人が、特定した職業を執務中であるか否かに関する情報を取得し、執務中でないと判断した場合には、リーダ2に権限を付与しないように制御しても良い。このようにすることで、無節操に個人情報を第三者に読み取られる危険性を回避することも可能となる。
【0070】
なお、実施の形態1と同様、個人情報を読み取る権限に関する情報は、記憶装置43の権限情報記憶部432に記憶してある。図10に戻って、読取権限情報送信部413は、決定した個人情報を読み取る権限に関する情報をリーダ2へ送信する。
【0071】
図12は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、リーダ2が個人情報を読み取る権限を取得する処理の手順を示すフローチャートである。図12において、リーダ2の演算ユニット21は、リーダ2を他人の個人情報を読み取る本人(救命士等)の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第一の識別情報を取得する(ステップS1201)。
【0072】
演算ユニット21は、リーダ2を個人情報を読み取る対象となる他人(患者等)の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1に接近させた時点で、無線通信媒体1から第二の識別情報を取得する(ステップS1202)。演算ユニット21は、無線通信媒体1から取得した第一の識別情報及び第二の識別情報を、サーバ4へ送信する(ステップS1203)。
【0073】
サーバ4のCPU41は、リーダ2が取得した第一の識別情報及び第二の識別情報を受信する(ステップS1204)。CPU41は、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報として決定する(ステップS1205)。CPU41は、決定した個人情報を読み取る権限に関する情報をリーダ2へ送信する(ステップS1206)。
【0074】
リーダ2の演算ユニット21は、サーバ4が決定した個人情報を読み取る権限に関する情報を、サーバ4から受信し(ステップS1207)、受信した個人情報を読み取る権限に関する情報を、メモリユニット22に記憶する(ステップS1208)。
【0075】
図13は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの個人情報を読み取る手順を示す模式図である。図13では、本実施の形態2に係る情報読取システムを、本人である救命士が、他人である患者の個人情報を読み取る場合に適用した例について説明する。
【0076】
図13に示すように、まず体内に無線通信媒体1を埋め込んである救命士は、本人である自分の無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第一の識別情報を読み出す。次に、救命士は、他人である患者の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第二の識別情報を読み出す。第一の識別情報及び第二の識別情報を読み出したリーダ2は、サーバ4に対して個人情報を読み取る権限の付与を依頼する。
【0077】
個人情報を読み取る権限の付与を依頼されたサーバ4は、第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を、個人情報を読み取る権限に関する情報として決定し、リーダ2へ送信する。例えば生年月日、血液型、既往歴、服薬情報等を読み取ることが可能な項目とすれば良い。リーダ2は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報により特定される項目の個人情報をサーバ4から取得して、リーダ2の表示ユニット23に表示出力する。
【0078】
以上のように本実施の形態2によれば、個人情報を読み取る権限を、無節操に第三者に付与するのではなく、第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて適切な許諾範囲内で個人情報を読み取る権限を決定することができるので、必要な個人情報のみを第三者が読み取ることができるように適切な権限をリーダ2に付与することが可能となる。例えば交通事故等の被災者に意識がない状態であっても、医者、救命救急士等が、病歴や既往症等の救命医療に必要な個人情報を確実に読み取ることが可能となる。
【0079】
なお、受信した個人情報を読み取る権限に関する情報は、リーダ2のメモリユニット22に記憶してあるので、個人情報を読み取る権限に関する情報が変わらない限り連続して個人情報を読み取ることができる。例えば、店舗のレジにて、設置してあるリーダ2を用いて店員が来店客の個人情報を取得する場合、最初の来店客には実施の形態2と同様の方法で個人情報を読み取る権限に関する情報をサーバ4から取得する必要がある。しかし、2人目以降は、個人情報を読み取る権限に関する情報自体が変動しない限り、そのまま連続して来店客の個人情報を読み取れば足りる。
【0080】
また、本実施の形態2に係る情報読取システムを決済時に適用することもできる。本実施の形態2に係る情報読取システムでは、無線通信媒体1は体内に埋め込んで設置してあるので、通常の決済時に適用できるだけでなく、例えば銭湯、海水浴場、スポーツジム等で買い物をする場合、又はジョギング途中に店舗に立ち寄る場合等、クレジットカード、現金等を所持していない場合の決済時に特に効果的である。図14は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、決済時に個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【0081】
図14では、本実施の形態2に係る情報読取システムを、店舗の店員が、クレジットカード、現金等を所持していない来店客の個人情報を読み取る場合に適用した例について、特にジョギング途中に店舗に立ち寄った来店客の個人情報を、店員が読み取る場合について説明している。まず、体内に無線通信媒体1を埋め込んである店員は、本人である自分の無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第一の識別情報を読み取る。次に、店員は、他人である来店客の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第二の識別情報を読み出す。第一の識別情報及び第二の識別情報を読み出したリーダ2は、サーバ4に対して個人情報を読み取る権限の付与の依頼とともに、決済を依頼する。
【0082】
個人情報を読み取る権限の付与及び決済を依頼されたサーバ4は、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限に関する情報として、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を決定してリーダ2へ送信し、決済サーバ4aへ決済に必要な情報を送信して決済を依頼する。具体的には、サーバ4は、決済サーバ4aへ決済に必要な情報、例えば利用金額、商品コード、カード番号、有効期限、セキュリティコード等を送信し、決済を依頼する。サーバ4は、決済が完了したという情報を決済サーバ4aから受信する。リーダ2は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報により特定される項目の個人情報をサーバ4から取得して、リーダ2の表示ユニット23に表示出力する。もちろん、リーダ2又はサーバ4に接続してある他の端末装置に、決済結果を表示しても良い。決済結果は、決済結果等の各種コードとメッセージとで構成され、決済結果には「OK」、「NG」、「保留」がある。
【0083】
また、リーダ2が直接決済サーバ4aとデータ通信することが可能に接続されていても良い。図15は、本発明の実施の形態2に係る情報読取システムの、決済サーバ4aとリーダ2とが直接データ通信することが可能な場合の、決済時に個人情報を読み取る手順を示す模式図である。
【0084】
図15でも、ジョギング途中に店舗に立ち寄った来店客の個人情報を、店員が読み取る場合について説明している。まず、体内に無線通信媒体1を埋め込んである店員は、本人である自分の無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第一の識別情報を読み出す。次に、店員は、他人である来店客の体内に埋め込んで設置してある無線通信媒体1にリーダ2を接近させ、第二の識別情報を読み出す。第一の識別情報及び第二の識別情報を読み出したリーダ2は、サーバ4に対して個人情報を読み取る権限の付与を依頼し、決済サーバ4aに対して決済を依頼する。
【0085】
この場合、個人情報を読み取る権限の付与を依頼されたサーバ4は、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限に関する情報として、読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を決定し、リーダ2へ送信する。一方、リーダ2は、決済に必要な情報、例えば利用金額、商品コード、カード番号、有効期限、セキュリティコード等を記憶しておき、これら決済に必要な情報を決済サーバ4aへ送信し、決済サーバ4aに決済を依頼する。リーダ2は、決済が完了したという情報を決済サーバ4aから受信する。リーダ2は、サーバ4から受信した個人情報を読み取る権限に関する情報により特定される項目の個人情報をサーバ4から取得して、リーダ2の表示ユニット23に表示出力する。もちろん、リーダ2又はサーバ4に接続してある他の端末装置に、決済結果を表示しても良い。決済結果は、決済結果等の各種コードとメッセージとで構成され、決済結果には「OK」、「NG」、「保留」がある。
【0086】
このように、本実施の形態2に係る情報読取システムを適用することにより、通常の決済時だけでなく、クレジットカード、現金等を所持していない場合に、決済を行うことが可能となる。
【0087】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 無線通信媒体
2 リーダ
4 サーバ
26 切り換えスイッチ(操作切換手段)
41 CPU
42 メモリ
43 記憶装置
44 I/Oインタフェース
45 ビデオインタフェース
46 可搬型ディスクドライブ
47 通信インタフェース
48 内部バス
90 可搬型記録媒体
100 コンピュータプログラム
431 個人情報記憶部
432 権限情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、
該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、
該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバと
を備える情報読取システムにおいて、
前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与するようにしてあることを特徴とする情報読取システム。
【請求項2】
生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、
該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、
該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバと
を備える情報読取システムにおいて、
前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、
該第一の識別情報を読み出した後、前記リーダを他人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、
読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与するようにしてあることを特徴とする情報読取システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記識別情報ごとに読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の読取情報システム。
【請求項4】
前記個人情報を読み取る権限として、前記サーバに記憶してある項目情報が前記リーダに付与されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の読取情報システム。
【請求項5】
前記リーダは、付与された個人情報を読み取る権限を記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の読取情報システム。
【請求項6】
前記リーダは、前記個人情報を読み取るか、前記個人情報を読み取る権限を取得するかを切り換える操作切換手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の読取情報システム。
【請求項7】
生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、
該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、
該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバと
を備えるシステムで実行することが可能な情報読取方法において、
前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、読み出した第一の識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、受信した第一の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与することを特徴とする情報読取方法。
【請求項8】
生体内又は生体表面に設置され、被設置者を識別する識別情報を記憶するメモリ機能を有する無線通信媒体と、
該無線通信媒体に記憶してある識別情報を読み出し、外部とデータ通信することが可能なリーダと、
該リーダとデータ通信することが可能に接続してあり、前記識別情報ごとに個人情報を記憶してあるサーバと
を備えるシステムで実行することが可能な情報読取方法において、
前記リーダを本人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第一の識別情報を読み出し、
該第一の識別情報を読み出した後、前記リーダを他人の生体内又は生体表面に設置された前記無線通信媒体に接近させて、第二の識別情報を読み出し、
読み出した第一の識別情報及び第二の識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、受信した第一の識別情報及び第二の識別情報に基づいて、個人情報を読み取る権限を前記リーダに付与することを特徴とする情報読取方法。
【請求項9】
前記サーバは、前記識別情報ごとに読み取ることが可能な個人情報の項目に関する項目情報を記憶することを特徴とする請求項7又は8に記載の読取情報方法。
【請求項10】
前記個人情報を読み取る権限として、前記サーバに記憶してある項目情報が前記リーダに付与されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の読取情報方法。
【請求項11】
前記リーダは、付与された個人情報を読み取る権限を記憶することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の読取情報方法。
【請求項12】
前記リーダは、前記個人情報を読み取るか、前記個人情報を読み取る権限を取得するかを切り換えることが可能であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の読取情報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−54592(P2013−54592A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193204(P2011−193204)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(594103301)三井住友カード株式会社 (39)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】