説明

情報読取装置

【課題】 装置の小型化を可能とした情報読取装置を提供する。
【解決手段】 試聴機100は、CDケース150に付されたバーコードを読み取るものであって、液晶ディスプレイ116と、液晶ディスプレイ116の表示領域を光が透過するように、当該液晶ディスプレイ116を制御するCPU104と、液晶ディスプレイ116の背面に配置され、当該液晶ディスプレイ116を介してCDケース150に向けて光を照射する光源108と、液晶ディスプレイ116の背面に配置され、CDケース150で反射した光を当該液晶ディスプレイ116を介して受ける反射光読取部110とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の所定の面に付された情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レコード店において、様々な楽曲の試聴を可能とする試聴システムが提供されている。このような試聴システムでは、顧客が試聴したい楽曲を収録したCD(コンパクトディスク)のケースを店頭に設置された試聴機に配置すると、当該試聴機は、そのケースに付されたバーコードを読み取る。そして、試聴機とネットワークで接続されたサーバは、試聴機が読み取ったバーコードにより特定される楽曲データと、ジャケット写真等の画像データとを試聴機に配信する。試聴機は、これら配信される楽曲データに基づくオーディオ再生を行うとともに、画像データに基づく画像表示を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した従来の試聴システムに用いられる試聴機は、例えば図5に示すような構成を有する。図5に示す試聴機200は、本体202と、本体202の内部に備えられたCPU204、送受信部206、レーザ光源のような光源208及び反射光読取部210と、本体202の外壁面に設けられる液晶ディスプレイ212と、本体202の下部に設けられ、CDのケース250が配置される配置台214と、本体202に接続されるヘッドホン216とを有する。
【0004】
光源208が発するレーザ光は、CDのケース250におけるバーコードが付された部分に照射されて反射し、反射光読取部210は、この反射光を受ける。CPU204は、この反射光に応じたバーコードの情報を生成し、送受信部206を介してサーバへ送信する。そして、CPU204は、サーバからの楽曲データ及び画像データを受信すると、再生処理を行い、楽曲データに基づく音をヘッドホン216から出力させるとともに、画像データに基づく画像を液晶ディスプレイ212に表示させる。
【特許文献1】特開2002−140079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した試聴機は、様々な楽曲を試聴したいという多くの顧客の要望に応じるために、店頭に数多く設置させる必要がある。このため、設置スペースをできるだけ小さくすべく、可能な限りの小型化が要求される。
【0006】
本発明は、前述したような従来の問題を解決するためになされたもので、装置の小型化を可能とした情報読取装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報読取装置は、物品の所定の面に付された情報を読み取るものであって、表示部と、前記表示部の表示領域における光の透過を制御する制御手段と、前記表示部の背面に配置され、該表示部を介して該表示部の前面に配置される前記物品の所定の面に向けて光を照射する発光部と、前記表示部の背面に配置され、前記物品の所定の面で反射した光を前記表示部を介して受ける受光部とを有する。
【0008】
この構成により、光が表示部を介して物品の所定の面に照射され、更に、物品の所定の面で反射した光が表示部を介して受光される。すなわち、表示部の設置面が画像表示のためだけでなく、物品に付された情報の読み取りのためにも使用されるため、装置の小型化が可能となる。
【0009】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記制御手段が、前記表示部の表示領域について所定数の画素分ずつ順次光が透過するように制御を行う。
【0010】
この構成により、物品の所定の面において、同時に光が照射される領域が限定されるため、反射光に基づく画像の解像度を高めることができる。
【0011】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記表示部において、前記発光部が照射した光が透過する位置と、前記物品の所定の面で反射した光が透過する位置とが異なる。
【0012】
発光部が照射して表示部を透過する光と、物品の所定の面で反射して表示部を透過する光とを比較すると、通常、発光部が照射して表示部を透過する光の方が強度が大きいが、この構成により、発光部が照射した光が透過する位置と、物品の所定の面で反射した光が透過する位置とを異ならせて、受光部が物品の所定の面で反射した光を確実に受けることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記発光部が照射した光を前記物品の所定の面に向けて反射させる反射板を有する。
【0014】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記反射板が、前記物品の所定の面で反射した光を前記受光部へ向けて反射させる。
【0015】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記反射板と一体化され、前記物品の所定の面で反射した光を集光して前記受光部へ向けて透過させるレンズを有する。
【0016】
この構成により、S/N比を向上させ、受光部における受光感度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記物品の所定の面に付された情報が、該物品の識別情報である。
【0018】
この構成により、物品を特定し、その特定した物品に対する様々な情報提供が可能となる。
【0019】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記受光部が受けた光に基づいて、前記物品の識別情報を検知する検知手段を有する。
【0020】
また、本発明に係る情報読取装置は、前記表示部がツイストネマティック型の液晶ディスプレイである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る情報読取装置によれば、表示部の設置面が画像表示のためだけでなく、情報の読み取りのためにも使用されるため、装置の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の情報読取装置としての試聴機について、図面を用いて説明する。
【0023】
本発明の実施の形態における試聴機のブロック図を図1に示す。図1に示す試聴機100は、例えばレコード店の店頭に設置される。この試聴機100は、CDのケース150に付された当該CDの識別情報であるバーコード152を読み取り、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワークを介してサーバにバーコード情報を送信するとともに、当該サーバから楽曲データの配信を受けてオーディオ再生を行う。
【0024】
図1に示す試聴機100は、本体102と、本体102の内部に備えら、各種制御を行うCPU104、サーバとの間で通信を行う送受信部106、蛍光管等で構成される光源108、光源108からの光を受ける反射光読取部110、光源108からの光を反射させる反射板112、及び、利用者の操作指示を受け付ける操作部114と、本体202の外壁面に設けられ、各種画像の表示を行う液晶ディスプレイ116と、本体202に接続され、音を出力するヘッドホン118とを有する。
【0025】
以下、フローチャートを参照しつつ、試聴機100によるバーコード152の読み取り動作について説明する。図2は、試聴機100によるバーコード152の読み取り動作を示すフローチャートである。
【0026】
利用者は、試聴したいCDのケース150においてバーコード152が付された面を液晶ディスプレイ116に対向させて配置し、更に、操作部114を操作してバーコード152の読み取り指示を行う。操作部114は、利用者の操作に応じた操作信号をCPU104へ出力する。CPU104は、この操作信号に基づいて、バーコード152の読み取り指示が行われたか否かを判定する(S101)。
【0027】
バーコード152の読み取り指示が行われた場合、次に、CPU104は、液晶ディスプレイ116の表示領域において光を透過させる領域を決定し(S102)、更に、その決定した領域について光を透過させる制御を行う(S103)。
【0028】
液晶ディスプレイ116は、TN型(ツイストネマティック型)の液晶ディスプレイである。図3は、液晶ディスプレイ116の詳細な構成を示す図である。この液晶ディスプレイ116は、複数の液晶板117−1乃至117−3により構成される。
【0029】
CPU104は、液晶ディスプレイ116における所定数の画素に対応する小領域を順次光を透過させる領域(透過領域)として決定する。ここで、透過領域は、後述する光源108からの光が透過する領域と、CDのケース150で反射した光が透過する領域とによって構成される。なお、透過領域は、1あるいは複数の画素に対応する領域であっても良く、水平に一列に並んだ複数の画素に対応する領域であっても良い。
【0030】
更に、CPU104は、決定した透過領域に対応する液晶板117−1を光の入射方向と平行に配置させる制御を行う、これにより、光源108からの光は、液晶板117−1によって遮断されることなく、液晶ディスプレイ116を透過し、CDのケース150に到達する。更に、CDのケース150で反射した光は、液晶板117−1によって遮断されることなく、液晶ディスプレイ116を透過し、反射板112に到達し、この反射板112で反射して反射光読取部110に到達する。
【0031】
一方、CPU104は、透過領域以外の領域(遮断領域)における液晶板117−2を光の入射方向に対して斜め(例えば45度)に配置させる制御を行う。これにより、光源108からの光は、液晶板117−2で反射する。反射した光は、液晶板117−2が光の入射方向に対して斜めに配置されているため、反射板112に到達せず、あるいは、反射板112に到達して更にこの反射板112で反射しても反射光読取部110には到達しない。
【0032】
次に、CPU104は、光源108に対して光の照射を指示する。光源108は、この指示に応じて光を照射する。この光源108における光の照射角度は、当該光が液晶ディスプレイ116における透過領域を通過し、更に、CDのケース150におけるバーコード152が付された面で反射した光が透過領域を通過するように設定される。照射された光は、反射板112によって反射し、更に液晶ディスプレイ116における透過領域を通過し、CDのケース150におけるバーコード152が付された面に到達する(S104)。
【0033】
CDのケース150におけるバーコード152が付された面に到達した光は、その面で反射し、液晶ディスプレイ116における透過領域を通過し、更に反射板112によって反射して反射光読取部110に到達する。反射光読取部110は、この光を受ける(S105)。
【0034】
次に、CPU104は、反射光読取部110が受けた光の明度等を認識し、その光の明度等に基づいて画像データを生成する(S106)。更に、CPU104は、液晶ディスプレイ116における全ての表示領域を透過させたか否か、換言すれば、全ての表示領域が透過領域となったか否かを判定する(S107)。液晶ディスプレイ116における表示領域のうち、透過領域となっていない領域が存在する場合には、新たな透過領域の決定(S102)以降の動作が繰り返される。
【0035】
一方、液晶ディスプレイ116における全ての表示領域が透過領域となった場合には、CPU104は、S106における画像データの生成を繰り返すことにより得られた複数の画像データを合成し、その合成した画像データからCDの識別情報であるバーコード152に対応する画像データを抽出する(S108)。更に、CPU104は、抽出したバーコード152に対応する画像データに基づいて、数値によって構成されるバーコード情報を生成し、送受信部106を介してサーバへ送信する。
【0036】
このような試聴機100によるバーコード152の読み取り動作の後、サーバによる配信動作が行われる。すなわち、サーバは、試聴機100からのバーコード情報を受信すると、データベースから当該バーコード情報によって一意に特定されるCDに対応する楽曲データ及び画像データを抽出し、試聴機100へ配信する。試聴機100内のCPU104は、送受信部106を介してサーバからの楽曲データ及び画像データを受信すると、再生処理を行い、楽曲データに基づく音をヘッドホン118から出力させるとともに、画像データに基づく画像を液晶ディスプレイ116に表示させる。
【0037】
上述したように、本実施形態の試聴機100では、CPU104が液晶ディスプレイ116における光の透過を制御することにより、光源108からの光を、液晶ディスプレイ116を介してCDのケース150に到達させるとともに、当該CDのケース150で反射した光を、液晶ディスプレイ116を介して反射光読取部110に到達させることによって、CDのケース150に付されたバーコード152の読み取りを行う。従って、試聴機100における液晶ディスプレイ116の設置面が画像表示のためだけでなく、CDのケース150に付されたバーコード152の読み取りのためにも使用されるため、当該試聴機100の小型化が可能となる。
【0038】
また、試聴機100では、CPU104は、液晶ディスプレイ116における所定数の画素に対応する小領域を、順次光を透過させる領域として決定しており、CDのケース150において同時に光が照射される領域が限定される。このため、当該CDのケース150で反射した光に基づく画像の解像度を高めることができる。
【0039】
また、試聴機100では、液晶ディスプレイ116において、光源108からの光が透過する領域と、CDのケース150で反射した光が透過する領域とが異なっており、反射光読取部110が反射した光を確実に受けることが可能となる。
【0040】
なお、図4に示す試聴機130のように、反射板112と一体化されたレンズ120を設けるとともに、反射板112の背面に反射光読取部110を配置し、レンズ120によってCDのケース150で反射した光を集光させ、反射光読取部110へ向けて透過させるようにしても良い。この場合には、レンズ120の集光によってS/N比を向上させることができ、受光感度の向上を図ることが可能となる。また、CDのケース150における光の照射範囲を限定することが可能な場合には、このような構成により、反射光の高速な読み取りが可能となる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、液晶ディスプレイ116に、TN型の液晶ディスプレイを用いたが、光を透過させることが可能な他の表示装置であっても良い。また、上述した実施形態では、光が照射されたが光以外の光が照射される構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上、説明したように、本発明に係る情報読取装置は、装置の小型化が可能となるという効果を奏し、情報読取装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】試聴機のブロック図である。
【図2】バーコード読み取り動作を示すフローチャートである。
【図3】液晶ディスプレイの詳細な構成を示す図である。
【図4】他の試聴機のブロック図である。
【図5】従来の試聴機のブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
100、130 試聴機
102 本体
104 CPU
106 送受信部
108 光源
110 反射光読取部
112 反射板
114 操作部
116 液晶ディスプレイ
117−1、117−2、117−3 液晶板
118 ヘッドホン
120 レンズ
150 CDケース
152 バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の所定の面に付された情報を読み取る情報読取装置であって、
表示部と、
前記表示部の表示領域における光の透過を制御する制御手段と、
前記表示部の背面に配置され、該表示部を介して該表示部の前面に配置される前記物品の所定の面に向けて光を照射する発光部と、
前記表示部の背面に配置され、前記物品の所定の面で反射した光を前記表示部を介して受ける受光部とを有することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示部の表示領域について所定数の画素分ずつ順次光が透過するように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記表示部において、前記発光部が照射した光が透過する位置と、前記物品の所定の面で反射した光が透過する位置とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記発光部が照射した光を前記物品の所定の面に向けて反射させる反射板を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記反射板は、前記物品の所定の面で反射した光を前記受光部へ向けて反射させることを特徴とする請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記反射板と一体化され、前記物品の所定の面で反射した光を集光して前記受光部へ向けて透過させるレンズを有することを特徴とする請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記物品の所定の面に付された情報は、該物品の識別情報であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記受光部が受けた光に基づいて、前記物品の識別情報を検知する検知手段を有することを特徴とする請求項7に記載の情報読取装置。
【請求項9】
前記表示部は、ツイストネマティック型の液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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