情報読取装置
【課題】光学的読取手段について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮し得る情報読取装置を提供する。
【解決手段】情報コード読取部20が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、アンテナ51を介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナ51を介して受信されるとき、この検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知される。そして、読取対象の近接状態が検知されると、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【解決手段】情報コード読取部20が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、アンテナ51を介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナ51を介して受信されるとき、この検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知される。そして、読取対象の近接状態が検知されると、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する無線通信手段とを有する情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する無線通信手段とを有する情報読取装置として、下記特許文献1に開示される光学式・電波式両様型読取装置が知られている。この読取装置では、CCDラインセンサと読取口との間に結像レンズが設けられ、この結像レンズの下側に、矩形状のパッチアンテナが軸を中心に所定方向へ短周期で揺動するように配設されている。
【0003】
そして、パッチアンテナの揺動に応じてパッチアンテナの通信エリアが上下に変化し、ある揺動角度になることで、その通信エリア内にRFタグが入るとこのRFタグとの無線通信処理がなされることとなる。このように、パッチアンテナが揺動することによって通信エリアが上下に変化するので、情報ラベルが装置本体に対して遠近方向に対してどのような位置にあっても、読取口がバーコードの方を向くように装置本体を保持したまま、パッチアンテナの通信エリア内にRFタグが入り、バーコードの撮像と、RFタグとの通信とを同時に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−157745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示されるような構成を据え置き型の情報読取装置に適用すると、情報コードがいつ読取口にかざされるかわからないため、受光センサ等を用いて断続的に撮像して、前回撮像された画像との差分から情報コードが撮像されているか否かについて判断する必要がある。このため、受光センサ等の光学的読取手段は、常に画像を取得して差分を比較するなどの処理を継続する必要があり、当該光学的読取手段に関して消費電力の低減が困難であるという問題がある。
【0006】
また、前回撮像された画像との差分から情報コードが撮像されていると判定された後でなければ、その撮像画像に含まれる情報コードについてデコード処理が実施できないため、非接触通信媒体に記憶される情報を無線通信により読み取る場合と比較して、情報を読み取る読取時間が長くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、光学的読取手段について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮し得る情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の情報読取装置は、金属素材が含まれる読取対象(R)に表示された情報コード(Q)を光学的に読み取る光学的情報読取手段(20)と、アンテナ(51)を介して所定のコマンドを送信し、この所定のコマンドを受けて非接触通信媒体(C)から送信される応答信号を前記アンテナを介して受信することで当該非接触通信媒体に記憶される情報を取得する無線通信手段(50)と、を備える情報読取装置(10)であって、前記光学的情報読取手段を、前記情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとのいずれかのモードに切り替え可能なモード切替手段(40)と、前記アンテナを介して送信される前記所定のコマンドに応じて、前記応答信号と異なる信号が前記アンテナを介して検知信号として受信されるとき、この検知信号の変化に応じて前記読取対象が当該アンテナに近づけられた近接状態を検知する検知手段(40)と、を備え、前記モード切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードから前記読取モードに切り替えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報読取装置において、前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードからの反射光を受光してその受光に応じた信号を出力する受光機能を有し、前記待機モードでは、消費電力を低減するように前記受光機能が制限される受光センサ(28)を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の情報読取装置において、前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードに対して照明光を照射し、前記待機モードでは、消灯状態になる照射手段(21)を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上となると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが前記所定の閾値以上となる回数が2以上に設定される規定回数以上になると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記検知信号の変化を検出する検出周期について、前記検知信号が前記所定の閾値を超えた後の前記検出周期を、前記検知信号が前記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、前記検知信号の変化を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記切替手段は、前記光学的情報読取手段により前記情報コードが読み取られると当該光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されて前記光学的情報読取手段を前記読取モードに切り替えた後に、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されなくなると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、モード切替手段により、光学的情報読取手段が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、検知手段により、アンテナを介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナを介して受信されるとき、この検知信号の変化に応じて読取対象の近接状態が検知される。そして、検知手段により読取対象の近接状態が検知されると、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0017】
無線通信手段によりアンテナを介して所定のコマンドを送信する場合、金属素材が含まれる物体がアンテナに近付けられると、非接触通信媒体からの応答信号と異なる信号が当該アンテナを介して受信されることとなる。そこで、この応答信号と異なる信号を、読取対象がアンテナに近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知することができる。そして、この読取対象の近接状態が検知手段により検知されると、光学的情報読取手段が待機モードから読取モードに切り替えられるため、常時、光学的情報読取手段が読取モードに設定される場合と比較して、光学的情報読取手段の消費電力を低減することができる。特に、前回撮像した画像との差分を比較する必要もないので、情報コードの読み取りに関する読取時間を短縮することができる。
したがって、光学的読取手段について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮することができる。
【0018】
請求項2の発明では、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードに切り替えられると、受光センサは、消費電力を低減するように受光機能が制限されるので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0019】
請求項3の発明では、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードに切り替えられると、照射手段は、消灯状態になるので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0020】
請求項4の発明では、アンテナにて受信される検知信号が所定の閾値を超えると、検知手段により、読取対象の近接状態が検知されるため、上記所定の閾値を適切に設定することで、読取対象の近接状態を容易に検知することができる。
【0021】
請求項5の発明では、アンテナにて受信される検知信号が所定の閾値を超えた回数が規定回数以上になると、検知手段により、読取対象の近接状態が検知されるため、ノイズ等により検知信号が瞬間的に所定の閾値を越えただけでは読取対象の近接状態が検知されないので、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を確実に抑制することができる。
【0022】
請求項6の発明では、検知手段は、検知信号が上記所定の閾値を超えた後の検出周期を、検知信号が上記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、検知信号の変化を検出するため、読取対象をかざしてからこの読取対象の近接状態を検知するまでの時間が短縮されるので、読取作業性を向上させることができる。特に、読取対象がかざされない状態では、検出周期が短くなることもないので、検出周期を短くすることによる処理負荷の増大や消費電力を抑制することができる。
【0023】
請求項7の発明では、光学的情報読取手段により情報コードが読み取られると、当該光学的情報読取手段が切替手段により待機モードに切り替えられるため、所望の情報コードが読み取られた後に読取モードが不必要に継続することもないので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0024】
請求項8の発明では、検知手段により読取対象の近接状態が検知されて光学的情報読取手段が読取モードに切り替えられた後に、検知手段により読取対象の近接状態が検知されなくなると、光学的情報読取手段が切替手段により待機モードに切り替えられる。これにより、1度近接状態が検知された読取対象に表示された情報コードが読み取られることなく当該読取対象が読み取り不能に離される場合でも、読取モードが不必要に継続することもないので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る情報読取装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の非接触情報読取部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図4中の準備処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図4中の終了処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図8】第1実施形態にて読取対象を離間させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図9】第2実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】第2実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図11】第3実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図12】第3実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る情報読取装置について図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る情報読取装置10を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。図3は、図2の非接触情報読取部50の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示す情報読取装置10は、据え置き型の読取装置であって、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る光学的情報読取手段としての機能と、非接触通信媒体に記録される情報を読み取る無線通信手段としての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0027】
この情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂からなるケース11によって外郭が構成されている。ケース11の上面12は、平面状に形成されており、この上面12の中央には、矩形状の読取窓13が設けられている。この読取窓13は、当該情報読取装置10から出射される照明光および情報コードからの反射光を透過可能な透明のアクリル樹脂やガラス等から形成されている。また、読取窓13をケース11に設けることにより、ケース11内部への塵や埃などの異物の侵入を防止している。なお、図1では、携帯電話Rの表示画面に表示される情報コードを読み取る状態を例示している。
【0028】
ケース11の内部には、情報読取装置10全体を制御する制御回路40が設けられている。この制御回路40は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。この制御回路40には、外部装置と通信するためのインタフェースとして通信インタフェース48が接続されており、この通信インタフェース48は、上記外部装置と有線通信を行う有線通信部、或いは無線通信を行う無線通信部、若しくはこれら両方を備えた構成をなしている。
【0029】
また、制御回路40には、光学的情報読取手段として機能する情報コード読取部20と、無線通信手段として機能する非接触情報読取部50とがそれぞれ制御可能に接続されている。まず、情報コード読取部20について、図2を用いて説明する。
情報コード読取部20は、図2に示すように、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、増幅回路31、A/D変換回路33、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0030】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能する照射手段であって、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードとしてQRコード(登録商標)Qが液晶画面に表示された携帯電話R(読取対象)に向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0031】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードなどに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0032】
結像レンズ27は、外部から読取窓13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0033】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38等から構成されている。光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0034】
次に、非接触情報読取部50について、図3を用いて説明する。
非接触情報読取部50は、アンテナ51および制御回路40と協働してICカード等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体へのデータの書込みを行なうように機能している。なお、図3では、非接触通信媒体としてICカードCと無線通信する例を概念的に示している。
【0035】
図3に示すように、非接触情報読取部50は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、主に、送信回路60、受信回路70、整合回路66などによって構成されている。送信回路60は、キャリア発振器61、増幅器64、送信部フィルタ65、符号化部62、変調部63などによって構成されている。また、受信回路70は、受信部フィルタ71、増幅器72、復調部73、二値化処理部74、復号化部75などによって構成されている。
【0036】
符号化部62は、制御回路40に接続されており、当該制御回路40のCPUから出力される送信データを符号化して変調部63に出力する構成をなしている。変調部63は、キャリア発振器61より出力される例えば周波数13.56MHzのキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部62より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器64に出力する。なお、キャリア発振器61の発振動作の動作/停止は、制御回路40によって制御されるようになっている。
【0037】
増幅器64は、入力信号(変調部63によって変調された被変調信号)を設定されたゲインで増幅する構成をなしており、その増幅信号を送信部フィルタ65に出力している。また、送信部フィルタ65は、フィルタリングした送信信号を、整合回路66を介してアンテナ51に出力している。このようにしてアンテナ51に所定の送信信号(所定のコマンド)が出力されると、その送信信号(コマンド)が電磁波として当該アンテナ51より外部に放射される。
【0038】
一方、アンテナ51を介して受信された信号、例えば、非接触通信媒体からの応答信号は、受信部フィルタ71によってフィルタリングされた後、増幅器72によって増幅され、復調部73に与えられて復調される。その復調された信号波形は二値化処理部74において二値化され、その後、復号化部75において復号化される。そして、復号化された受信データは制御回路40に出力される。
【0039】
次に、このように構成される情報読取装置10の制御回路40にて実行される読取処理について、図を用いて説明する。図4は、第1実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図5は、図4中の準備処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図6は、図4中の終了処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図7は、第1実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。図8は、第1実施形態にて読取対象を離間させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0040】
情報コード読取部20により情報コードを光学的に読み取る場合、情報コードが付された読取対象がいつ読取窓13にかざされるかわからないため、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードに情報コード読取部20を維持する必要がある。読取モードでは、受光センサ28が画像を取得可能な状態である画像取得状態に維持され、照明光源21が照射状態に維持されるなど、電力が多く使用される状態であるため、情報コード読取部20に関して消費電力の低減が困難となる。すなわち、省電力化の観点からは、読取対象が読取窓13に近づけられない状態では、情報コード読取部20を、読取モードに対して受光センサ28の受光機能の制限や照明光源21の消灯等、少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードに維持することが望ましい。
【0041】
一方、非接触情報読取部50に関して、アンテナ51を介して所定のコマンドを送信する場合、金属素材が含まれる物体がアンテナ51に近付けられると、ICカード等の非接触通信媒体からの応答信号と異なる信号が当該アンテナ51を介して受信されることとなる。特に、上記物体がアンテナ51に近接するほど、受信した信号の信号レベルが高くなる。
【0042】
そこで、本実施形態における読取処理では、情報コードが表示されており、アンテナ51に近接させることで上記信号レベルを高くし得る携帯電話R等を読取対象とし、上述した応答信号と異なる信号を、読取対象がアンテナ51に近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知する。そして、読取対象の近接状態が検知された場合に、情報コード読取部20を待機モードから読取モードに切り替えることで、当該情報コード読取部20に関する省電力化を図る。
【0043】
以下、制御回路40にて実行される読取処理について図4〜図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、以下に示す読取処理では、QRコードQが液晶画面に表示される携帯電話Rが読取対象である場合について説明する(図2参照)。また、読取処理の開始直後では、情報コード読取部20は待機モードに設定されており、この待機モードでは、情報コードをデコードするデコード用プログラムがメモリ35に展開されず、照明光源21が消灯状態であり、受光センサ28の受光機能が制限されおり画像が取得(撮像)できない状態であるものとする。
【0044】
情報読取装置10が作動状態になり、制御回路40により読取処理が開始されると、図4のステップS101に示す受信処理がなされ、アンテナ51を介して応答信号等の検知信号を受信する処理がなされる。続いて、ステップS103に示す判定処理がなされ、応答信号の受信であるか否かについて判定される。ここで、受信した信号が非接触通信媒体からの応答信号である場合には(S103でYes)、ステップS105に示す非接触情報読取処理がなされ、非接触情報読取部50により、非接触通信媒体に記録される情報が無線通信により読み取られる。そして、後述するステップS121に示す終了処理がなされる。
【0045】
一方、受信した検知信号が非接触通信媒体からの応答信号でない場合には(S103でNo)、ステップS107に示す判定処理がなされ、受信した検知信号の信号レベルが所定の閾値以上であるか否かについて判定される。ここで、上記所定の閾値は、金属素材が含まれる物体がアンテナ51に近付けられているとみなされる値に設定されており、受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となるまで、ステップS107にてNoと判定されて、後述するステップS121に示す終了処理がなされる。
【0046】
そして、図7で符号P1aにて示すように、読取対象が近付けられることで、受信した検知信号の信号レベルが徐々に高くなり、この検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知される。なお、ステップS107に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0047】
そして、ステップS109に示す判定処理がなされ、情報コード読取部20が待機モードであるか否かについて判定される。現段階では、上述したように情報コード読取部20が待機モードに維持されていることから、ステップS109にてYesと判定されて、ステップS111に示す準備処理のサブルーチンが実行される。
【0048】
このサブルーチンでは、まず、図5のステップS201に示す判定処理にて、情報コードをデコードするデコード用プログラムがメモリ35に展開されているか否かについて判定される。ここで、デコード用プログラムが展開されていない場合には(S201でNo)、ステップS203に示すプログラム展開処理がなされて、デコード用プログラムがメモリ35に展開される。
【0049】
上記プログラム展開処理にてデコード用プログラムがメモリ35に展開されるか、既にデコード用プログラムがメモリ35に展開されている場合(S201でYes)には、ステップS205に示す判定処理がなされ、照明光源21が照射状態であるか否かについて判定される。ここで、照明光源21が照射状態でない場合には(S205でNo)、ステップS207に示す照射処理がなされ、照明光源21が照射状態になる。
【0050】
上記照射処理にて照明光源21が照射状態になるか、既に照明光源21が照射状態である場合(S205でYes)には、ステップS209に示す判定処理がなされ、受光センサ28が画像を取得可能な状態である画像取得状態であるか否かについて判定される。ここで、受光センサ28が画像取得状態でない場合には(S209でNo)、ステップS211に示す画像取得状態遷移処理がなされ、受光センサ28が画像取得状態な状態に遷移される。これにより、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられて、当該準備処理のサブルーチンが終了する。
【0051】
このように、読取対象である携帯電話Rが近接状態であることから情報コード読取部20が読取モードに切り替えられると、ステップS113に示す撮像処理がなされる。この処理では、照明光源21からの照明光Lfが携帯電話Rの表示画面に表示される情報コードに照射されることで、この情報コードにて反射された反射光Lrが受光センサ28にて受光されると、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードを含む撮像画像が生成される。続いて、ステップS115に示すデコード処理がなされ、撮像された撮像画像のうち情報コードに相当するコード画像に対して公知のデコード処理が実施される。
【0052】
上記デコード処理によるデコードが成功して、情報コードとして符号化された文字データ等が取得されると(S117でYes)、ステップS119に示す出力処理がなされ、上記デコード処理により取得された文字データ等が通信インタフェース48を介して外部機器等の上位システムに出力される。そして、ステップS121に示す終了処理のサブルーチンが実行される。
【0053】
このサブルーチンでは、まず、図6のステップS301に示す判定処理にて、照明光源21が照射状態であるか否かについて判定される。ここで、上記ステップS207に示す照射処理がなされたことから、照明光源21が照射状態である場合には(S301でYes)、ステップS303に示す消灯処理がなされ、照明光源21が消灯状態になる。続いて、ステップS305に示すセンサ待機状態遷移処理がなされ、受光センサ28の受光機能が制限される状態に遷移される。このように、撮像した情報コードのデコードが成功すると、情報コード読取部20が読取モードから待機モードに切り替えられて、当該終了処理のサブルーチンが終了する。これにより、情報コードを光学的に読み取った後に読取モードが維持されることもないので、読取モードが不必要に継続することをなくすことができる。なお、ステップS111に示す準備処理およびステップS121に示す終了処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「モード切替手段」の一例に相当し得る。
【0054】
一方、上記デコード処理によるデコードが失敗すると(S117でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。ここで、例えば、アンテナ51に近接させた携帯電話Rが電池切れを起こしているために読み取るべき情報コードが表示されていない状態では、情報コードが撮像できないため、情報コード読取部20が読取モードに維持された状態で、ステップS107におけるYesとの判定と、ステップS117におけるNoとの判定が繰り返されることとなる。
【0055】
このような状態において、電池切れに気づいた使用者が携帯電話Rをアンテナ51から遠ざけると、図8で符号P1bにて示すように、受信した検知信号の信号レベルが徐々に下がって上記所定の閾値未満となり(S107でNo)、ステップS121に示す終了処理がなされて、情報コード読取部20が読取モードから待機モードに切り替えられる。これにより、読取モードが不必要に継続することをなくすことができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、上記読取処理における準備処理および終了処理により、情報コード読取部20が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、アンテナ51を介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナ51を介して受信されるとき(S107でYes)、この検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知される。そして、上述のように読取対象の近接状態が検知されると、上記準備処理により情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0057】
このように、応答信号と異なる信号を、金属素材が含まれる読取対象がアンテナ51に近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知することができる。そして、この読取対象の近接状態が検知信号の変化に応じて検知されると、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられるため、常時、情報コード読取部20が読取モードに設定される場合と比較して、情報コード読取部20の消費電力を低減することができる。特に、前回撮像した画像との差分を比較する必要もないので、情報コードの読み取りに関する読取時間を短縮することができる。
したがって、情報コード読取部20について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮することができる。
【0058】
また、上記終了処理により情報コード読取部20が待機モードに切り替えられると、受光センサ28は、消費電力を低減するように受光機能が制限されるので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0059】
さらに、上記終了処理により情報コード読取部20が待機モードに切り替えられると、照明光源21は、消灯状態になるので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0060】
さらにまた、アンテナ51にて受信される検知信号が所定の閾値を超えると、携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知されるため、上記所定の閾値を適切に設定することで、読取対象の近接状態を容易に検知することができる。
【0061】
また、情報コード読取部20により情報コードが読み取られると、当該情報コード読取部20が上記終了処理により待機モードに切り替えられるため、所望の情報コードが読み取られた後に読取モードが不必要に継続することもないので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0062】
さらに、検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知されて情報コード読取部20が読取モードに切り替えられた後に、読取対象の近接状態が検知されなくなると(S107でNo)、情報コード読取部20が上記終了処理により待機モードに切り替えられる。これにより、1度近接状態が検知された読取対象に表示された情報コードが読み取られることなく当該読取対象が読み取り不能に離される場合でも、読取モードが不必要に継続することもないので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報読取装置について図9および図10を参照して説明する。図9は、第2実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第2実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0064】
本第2実施形態に係る情報読取装置10では、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を抑制するため、上述した読取処理について図4に示すフローチャートに代えて図9に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係る情報読取装置と主に異なる。
【0065】
本第2実施形態では、上記受信処理にて受信した検知信号が非接触通信媒体からの応答信号でない場合であってその信号レベルが上記所定の閾値以上となる回数Nが規定回数No以上になると、読取対象の近接状態を検知して、情報コード読取部20を読取モードに切り替える準備処理を実行する。なお、本実施形態では、上記規定回数Noは、3回に設定されている。
【0066】
すなわち、図9に示す読取処理のように、読取処理開始直後にステップS401にて示すように回数NがN=0(ゼロ)に設定された後、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となるごとに(S107でYes)、ステップS403にて示すように回数Nがインクリメント(N=N+1)される。そして、読取対象の近接状態が維持されることから、回数Nが規定回数No以上となると(S405でYes)、読取対象の近接状態が検知されて、ステップS109以降の処理がなされ、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。なお、ステップS405に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0067】
具体的には、図10に例示するように、読取対象の近接状態が維持されることから、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となった後も、受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となる状態が維持されることで、回数Nがインクリメント(N=N+1)される。そして、図10で符号P2aにて例示するように、インクリメントされた回数Nが規定回数Noである3回以上となると、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知され、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、アンテナ51にて受信される検知信号が所定の閾値を超えた回数Nが規定回数No以上になると、読取対象の近接状態が検知されるため、ノイズ等により検知信号の信号レベルが瞬間的に上記所定の閾値を越えただけでは読取対象の近接状態が検知されないので、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を確実に抑制することができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報読取装置について図11および図12を参照して説明する。図11は、第3実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図12は、第3実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0070】
本第3実施形態に係る情報読取装置10では、読取作業性の向上等を目的に、上述した読取処理について図9に示すフローチャートに代えて図11に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第2実施形態に係る情報読取装置と主に異なる。
【0071】
本第3実施形態では、読取作業性の向上等を目的に、検知信号の信号レベルを検出する検出周期(サンプリング周期)について、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えた後のサンプリング周期を、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えるまでのサンプリング周期よりも短くする。すなわち、図11に示す読取処理のように、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、ステップS402に示すサンプリング周期変更処理がなされて、サンプリング周期が短くなるように変更される。
【0072】
具体的には、図12に例示するように、上記受信処理にて受信した検知信号が上記所定の閾値を超える前のサンプリング周期を変更前周期T1とするとき、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、上記サンプリング周期変更処理がなされて、サンプリング周期が変更前周期T1よりも短い周期(以下、変更後周期T2という)に変更される。ここで、例えば、変更前周期T1は、1秒に設定され、変更後周期T2は0.1秒に設定することができる。これにより、サンプリング周期が変更前周期T1に維持される場合と比較して、インクリメントされた回数Nが規定回数No以上となるまでの時間を短縮することができる。
【0073】
そして、図12で符号P3aにて例示するように、インクリメントされた回数Nが規定回数Noである3回以上となると、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知され、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えた後のサンプリング周期T2を、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えるまでのサンプリング周期T1よりも短くして、検知信号の信号レベルの変化を検出する。このため、読取対象をかざしてからこの読取対象の近接状態を検知するまでの時間が短縮されるので、読取作業性を向上させることができる。特に、読取対象がかざされない状態では、検出周期が短くなることもないので、検出周期を短くすることによる処理負荷の増大や消費電力を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上記各実施形態では、情報コードが液晶画面に表示される携帯電話Rを読取対象とすることに限らず、例えば、情報コードが一面に表示されるICカードなど、金属素材が含まれるためにアンテナ51に近接させることで上記信号レベルを高くし得る物体を読取対象とし、この物体に表示される情報コードを光学的に読み取ってもよい。
【0076】
(2)上記第1実施形態では、受信処理にて受信される検知信号の信号レベルと上記所定の閾値との比較に基づいて、読取対象の近接状態を検知することに限らず、例えば、受信した検知信号の波形の時間的変化等に基づいて読取対象の近接状態を検知してもよい。
【0077】
(3)上記待機モードでは、受光センサ28の受光機能の制限や照明光源21の消灯等を実施することに限らず、読取モードにて実施する機能の少なくとも一部を制限することで、消費電力を低減してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…情報読取装置
20…情報コード読取部(光学的情報読取手段)
21…照明光源(照射手段)
28…受光センサ
40…制御回路(モード切替手段,検知手段)
50…非接触情報読取部(無線通信手段)
51…アンテナ
Q…QRコード(情報コード)
C…ICカード(非接触通信媒体)
R…携帯電話(読取対象)
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する無線通信手段とを有する情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、非接触通信媒体と無線通信して情報を取得する無線通信手段とを有する情報読取装置として、下記特許文献1に開示される光学式・電波式両様型読取装置が知られている。この読取装置では、CCDラインセンサと読取口との間に結像レンズが設けられ、この結像レンズの下側に、矩形状のパッチアンテナが軸を中心に所定方向へ短周期で揺動するように配設されている。
【0003】
そして、パッチアンテナの揺動に応じてパッチアンテナの通信エリアが上下に変化し、ある揺動角度になることで、その通信エリア内にRFタグが入るとこのRFタグとの無線通信処理がなされることとなる。このように、パッチアンテナが揺動することによって通信エリアが上下に変化するので、情報ラベルが装置本体に対して遠近方向に対してどのような位置にあっても、読取口がバーコードの方を向くように装置本体を保持したまま、パッチアンテナの通信エリア内にRFタグが入り、バーコードの撮像と、RFタグとの通信とを同時に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−157745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示されるような構成を据え置き型の情報読取装置に適用すると、情報コードがいつ読取口にかざされるかわからないため、受光センサ等を用いて断続的に撮像して、前回撮像された画像との差分から情報コードが撮像されているか否かについて判断する必要がある。このため、受光センサ等の光学的読取手段は、常に画像を取得して差分を比較するなどの処理を継続する必要があり、当該光学的読取手段に関して消費電力の低減が困難であるという問題がある。
【0006】
また、前回撮像された画像との差分から情報コードが撮像されていると判定された後でなければ、その撮像画像に含まれる情報コードについてデコード処理が実施できないため、非接触通信媒体に記憶される情報を無線通信により読み取る場合と比較して、情報を読み取る読取時間が長くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、光学的読取手段について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮し得る情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の情報読取装置は、金属素材が含まれる読取対象(R)に表示された情報コード(Q)を光学的に読み取る光学的情報読取手段(20)と、アンテナ(51)を介して所定のコマンドを送信し、この所定のコマンドを受けて非接触通信媒体(C)から送信される応答信号を前記アンテナを介して受信することで当該非接触通信媒体に記憶される情報を取得する無線通信手段(50)と、を備える情報読取装置(10)であって、前記光学的情報読取手段を、前記情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとのいずれかのモードに切り替え可能なモード切替手段(40)と、前記アンテナを介して送信される前記所定のコマンドに応じて、前記応答信号と異なる信号が前記アンテナを介して検知信号として受信されるとき、この検知信号の変化に応じて前記読取対象が当該アンテナに近づけられた近接状態を検知する検知手段(40)と、を備え、前記モード切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードから前記読取モードに切り替えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報読取装置において、前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードからの反射光を受光してその受光に応じた信号を出力する受光機能を有し、前記待機モードでは、消費電力を低減するように前記受光機能が制限される受光センサ(28)を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の情報読取装置において、前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードに対して照明光を照射し、前記待機モードでは、消灯状態になる照射手段(21)を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上となると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが前記所定の閾値以上となる回数が2以上に設定される規定回数以上になると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の情報読取装置において、前記検知手段は、前記検知信号の変化を検出する検出周期について、前記検知信号が前記所定の閾値を超えた後の前記検出周期を、前記検知信号が前記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、前記検知信号の変化を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記切替手段は、前記光学的情報読取手段により前記情報コードが読み取られると当該光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置において、前記切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されて前記光学的情報読取手段を前記読取モードに切り替えた後に、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されなくなると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、モード切替手段により、光学的情報読取手段が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、検知手段により、アンテナを介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナを介して受信されるとき、この検知信号の変化に応じて読取対象の近接状態が検知される。そして、検知手段により読取対象の近接状態が検知されると、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0017】
無線通信手段によりアンテナを介して所定のコマンドを送信する場合、金属素材が含まれる物体がアンテナに近付けられると、非接触通信媒体からの応答信号と異なる信号が当該アンテナを介して受信されることとなる。そこで、この応答信号と異なる信号を、読取対象がアンテナに近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知することができる。そして、この読取対象の近接状態が検知手段により検知されると、光学的情報読取手段が待機モードから読取モードに切り替えられるため、常時、光学的情報読取手段が読取モードに設定される場合と比較して、光学的情報読取手段の消費電力を低減することができる。特に、前回撮像した画像との差分を比較する必要もないので、情報コードの読み取りに関する読取時間を短縮することができる。
したがって、光学的読取手段について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮することができる。
【0018】
請求項2の発明では、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードに切り替えられると、受光センサは、消費電力を低減するように受光機能が制限されるので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0019】
請求項3の発明では、モード切替手段により光学的情報読取手段が待機モードに切り替えられると、照射手段は、消灯状態になるので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0020】
請求項4の発明では、アンテナにて受信される検知信号が所定の閾値を超えると、検知手段により、読取対象の近接状態が検知されるため、上記所定の閾値を適切に設定することで、読取対象の近接状態を容易に検知することができる。
【0021】
請求項5の発明では、アンテナにて受信される検知信号が所定の閾値を超えた回数が規定回数以上になると、検知手段により、読取対象の近接状態が検知されるため、ノイズ等により検知信号が瞬間的に所定の閾値を越えただけでは読取対象の近接状態が検知されないので、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を確実に抑制することができる。
【0022】
請求項6の発明では、検知手段は、検知信号が上記所定の閾値を超えた後の検出周期を、検知信号が上記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、検知信号の変化を検出するため、読取対象をかざしてからこの読取対象の近接状態を検知するまでの時間が短縮されるので、読取作業性を向上させることができる。特に、読取対象がかざされない状態では、検出周期が短くなることもないので、検出周期を短くすることによる処理負荷の増大や消費電力を抑制することができる。
【0023】
請求項7の発明では、光学的情報読取手段により情報コードが読み取られると、当該光学的情報読取手段が切替手段により待機モードに切り替えられるため、所望の情報コードが読み取られた後に読取モードが不必要に継続することもないので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0024】
請求項8の発明では、検知手段により読取対象の近接状態が検知されて光学的情報読取手段が読取モードに切り替えられた後に、検知手段により読取対象の近接状態が検知されなくなると、光学的情報読取手段が切替手段により待機モードに切り替えられる。これにより、1度近接状態が検知された読取対象に表示された情報コードが読み取られることなく当該読取対象が読み取り不能に離される場合でも、読取モードが不必要に継続することもないので、光学的情報読取手段についてその消費電力を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る情報読取装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の情報読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の非接触情報読取部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図4中の準備処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図4中の終了処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図8】第1実施形態にて読取対象を離間させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図9】第2実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】第2実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【図11】第3実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図12】第3実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る情報読取装置について図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る情報読取装置10を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の情報読取装置10の電気的構成を示すブロック図である。図3は、図2の非接触情報読取部50の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示す情報読取装置10は、据え置き型の読取装置であって、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る光学的情報読取手段としての機能と、非接触通信媒体に記録される情報を読み取る無線通信手段としての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0027】
この情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂からなるケース11によって外郭が構成されている。ケース11の上面12は、平面状に形成されており、この上面12の中央には、矩形状の読取窓13が設けられている。この読取窓13は、当該情報読取装置10から出射される照明光および情報コードからの反射光を透過可能な透明のアクリル樹脂やガラス等から形成されている。また、読取窓13をケース11に設けることにより、ケース11内部への塵や埃などの異物の侵入を防止している。なお、図1では、携帯電話Rの表示画面に表示される情報コードを読み取る状態を例示している。
【0028】
ケース11の内部には、情報読取装置10全体を制御する制御回路40が設けられている。この制御回路40は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。この制御回路40には、外部装置と通信するためのインタフェースとして通信インタフェース48が接続されており、この通信インタフェース48は、上記外部装置と有線通信を行う有線通信部、或いは無線通信を行う無線通信部、若しくはこれら両方を備えた構成をなしている。
【0029】
また、制御回路40には、光学的情報読取手段として機能する情報コード読取部20と、無線通信手段として機能する非接触情報読取部50とがそれぞれ制御可能に接続されている。まず、情報コード読取部20について、図2を用いて説明する。
情報コード読取部20は、図2に示すように、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、増幅回路31、A/D変換回路33、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0030】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能する照射手段であって、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードとしてQRコード(登録商標)Qが液晶画面に表示された携帯電話R(読取対象)に向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0031】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードなどに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0032】
結像レンズ27は、外部から読取窓13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0033】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38等から構成されている。光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0034】
次に、非接触情報読取部50について、図3を用いて説明する。
非接触情報読取部50は、アンテナ51および制御回路40と協働してICカード等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体へのデータの書込みを行なうように機能している。なお、図3では、非接触通信媒体としてICカードCと無線通信する例を概念的に示している。
【0035】
図3に示すように、非接触情報読取部50は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、主に、送信回路60、受信回路70、整合回路66などによって構成されている。送信回路60は、キャリア発振器61、増幅器64、送信部フィルタ65、符号化部62、変調部63などによって構成されている。また、受信回路70は、受信部フィルタ71、増幅器72、復調部73、二値化処理部74、復号化部75などによって構成されている。
【0036】
符号化部62は、制御回路40に接続されており、当該制御回路40のCPUから出力される送信データを符号化して変調部63に出力する構成をなしている。変調部63は、キャリア発振器61より出力される例えば周波数13.56MHzのキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部62より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器64に出力する。なお、キャリア発振器61の発振動作の動作/停止は、制御回路40によって制御されるようになっている。
【0037】
増幅器64は、入力信号(変調部63によって変調された被変調信号)を設定されたゲインで増幅する構成をなしており、その増幅信号を送信部フィルタ65に出力している。また、送信部フィルタ65は、フィルタリングした送信信号を、整合回路66を介してアンテナ51に出力している。このようにしてアンテナ51に所定の送信信号(所定のコマンド)が出力されると、その送信信号(コマンド)が電磁波として当該アンテナ51より外部に放射される。
【0038】
一方、アンテナ51を介して受信された信号、例えば、非接触通信媒体からの応答信号は、受信部フィルタ71によってフィルタリングされた後、増幅器72によって増幅され、復調部73に与えられて復調される。その復調された信号波形は二値化処理部74において二値化され、その後、復号化部75において復号化される。そして、復号化された受信データは制御回路40に出力される。
【0039】
次に、このように構成される情報読取装置10の制御回路40にて実行される読取処理について、図を用いて説明する。図4は、第1実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図5は、図4中の準備処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図6は、図4中の終了処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図7は、第1実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。図8は、第1実施形態にて読取対象を離間させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0040】
情報コード読取部20により情報コードを光学的に読み取る場合、情報コードが付された読取対象がいつ読取窓13にかざされるかわからないため、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードに情報コード読取部20を維持する必要がある。読取モードでは、受光センサ28が画像を取得可能な状態である画像取得状態に維持され、照明光源21が照射状態に維持されるなど、電力が多く使用される状態であるため、情報コード読取部20に関して消費電力の低減が困難となる。すなわち、省電力化の観点からは、読取対象が読取窓13に近づけられない状態では、情報コード読取部20を、読取モードに対して受光センサ28の受光機能の制限や照明光源21の消灯等、少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードに維持することが望ましい。
【0041】
一方、非接触情報読取部50に関して、アンテナ51を介して所定のコマンドを送信する場合、金属素材が含まれる物体がアンテナ51に近付けられると、ICカード等の非接触通信媒体からの応答信号と異なる信号が当該アンテナ51を介して受信されることとなる。特に、上記物体がアンテナ51に近接するほど、受信した信号の信号レベルが高くなる。
【0042】
そこで、本実施形態における読取処理では、情報コードが表示されており、アンテナ51に近接させることで上記信号レベルを高くし得る携帯電話R等を読取対象とし、上述した応答信号と異なる信号を、読取対象がアンテナ51に近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知する。そして、読取対象の近接状態が検知された場合に、情報コード読取部20を待機モードから読取モードに切り替えることで、当該情報コード読取部20に関する省電力化を図る。
【0043】
以下、制御回路40にて実行される読取処理について図4〜図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、以下に示す読取処理では、QRコードQが液晶画面に表示される携帯電話Rが読取対象である場合について説明する(図2参照)。また、読取処理の開始直後では、情報コード読取部20は待機モードに設定されており、この待機モードでは、情報コードをデコードするデコード用プログラムがメモリ35に展開されず、照明光源21が消灯状態であり、受光センサ28の受光機能が制限されおり画像が取得(撮像)できない状態であるものとする。
【0044】
情報読取装置10が作動状態になり、制御回路40により読取処理が開始されると、図4のステップS101に示す受信処理がなされ、アンテナ51を介して応答信号等の検知信号を受信する処理がなされる。続いて、ステップS103に示す判定処理がなされ、応答信号の受信であるか否かについて判定される。ここで、受信した信号が非接触通信媒体からの応答信号である場合には(S103でYes)、ステップS105に示す非接触情報読取処理がなされ、非接触情報読取部50により、非接触通信媒体に記録される情報が無線通信により読み取られる。そして、後述するステップS121に示す終了処理がなされる。
【0045】
一方、受信した検知信号が非接触通信媒体からの応答信号でない場合には(S103でNo)、ステップS107に示す判定処理がなされ、受信した検知信号の信号レベルが所定の閾値以上であるか否かについて判定される。ここで、上記所定の閾値は、金属素材が含まれる物体がアンテナ51に近付けられているとみなされる値に設定されており、受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となるまで、ステップS107にてNoと判定されて、後述するステップS121に示す終了処理がなされる。
【0046】
そして、図7で符号P1aにて示すように、読取対象が近付けられることで、受信した検知信号の信号レベルが徐々に高くなり、この検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知される。なお、ステップS107に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0047】
そして、ステップS109に示す判定処理がなされ、情報コード読取部20が待機モードであるか否かについて判定される。現段階では、上述したように情報コード読取部20が待機モードに維持されていることから、ステップS109にてYesと判定されて、ステップS111に示す準備処理のサブルーチンが実行される。
【0048】
このサブルーチンでは、まず、図5のステップS201に示す判定処理にて、情報コードをデコードするデコード用プログラムがメモリ35に展開されているか否かについて判定される。ここで、デコード用プログラムが展開されていない場合には(S201でNo)、ステップS203に示すプログラム展開処理がなされて、デコード用プログラムがメモリ35に展開される。
【0049】
上記プログラム展開処理にてデコード用プログラムがメモリ35に展開されるか、既にデコード用プログラムがメモリ35に展開されている場合(S201でYes)には、ステップS205に示す判定処理がなされ、照明光源21が照射状態であるか否かについて判定される。ここで、照明光源21が照射状態でない場合には(S205でNo)、ステップS207に示す照射処理がなされ、照明光源21が照射状態になる。
【0050】
上記照射処理にて照明光源21が照射状態になるか、既に照明光源21が照射状態である場合(S205でYes)には、ステップS209に示す判定処理がなされ、受光センサ28が画像を取得可能な状態である画像取得状態であるか否かについて判定される。ここで、受光センサ28が画像取得状態でない場合には(S209でNo)、ステップS211に示す画像取得状態遷移処理がなされ、受光センサ28が画像取得状態な状態に遷移される。これにより、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられて、当該準備処理のサブルーチンが終了する。
【0051】
このように、読取対象である携帯電話Rが近接状態であることから情報コード読取部20が読取モードに切り替えられると、ステップS113に示す撮像処理がなされる。この処理では、照明光源21からの照明光Lfが携帯電話Rの表示画面に表示される情報コードに照射されることで、この情報コードにて反射された反射光Lrが受光センサ28にて受光されると、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードを含む撮像画像が生成される。続いて、ステップS115に示すデコード処理がなされ、撮像された撮像画像のうち情報コードに相当するコード画像に対して公知のデコード処理が実施される。
【0052】
上記デコード処理によるデコードが成功して、情報コードとして符号化された文字データ等が取得されると(S117でYes)、ステップS119に示す出力処理がなされ、上記デコード処理により取得された文字データ等が通信インタフェース48を介して外部機器等の上位システムに出力される。そして、ステップS121に示す終了処理のサブルーチンが実行される。
【0053】
このサブルーチンでは、まず、図6のステップS301に示す判定処理にて、照明光源21が照射状態であるか否かについて判定される。ここで、上記ステップS207に示す照射処理がなされたことから、照明光源21が照射状態である場合には(S301でYes)、ステップS303に示す消灯処理がなされ、照明光源21が消灯状態になる。続いて、ステップS305に示すセンサ待機状態遷移処理がなされ、受光センサ28の受光機能が制限される状態に遷移される。このように、撮像した情報コードのデコードが成功すると、情報コード読取部20が読取モードから待機モードに切り替えられて、当該終了処理のサブルーチンが終了する。これにより、情報コードを光学的に読み取った後に読取モードが維持されることもないので、読取モードが不必要に継続することをなくすことができる。なお、ステップS111に示す準備処理およびステップS121に示す終了処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「モード切替手段」の一例に相当し得る。
【0054】
一方、上記デコード処理によるデコードが失敗すると(S117でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。ここで、例えば、アンテナ51に近接させた携帯電話Rが電池切れを起こしているために読み取るべき情報コードが表示されていない状態では、情報コードが撮像できないため、情報コード読取部20が読取モードに維持された状態で、ステップS107におけるYesとの判定と、ステップS117におけるNoとの判定が繰り返されることとなる。
【0055】
このような状態において、電池切れに気づいた使用者が携帯電話Rをアンテナ51から遠ざけると、図8で符号P1bにて示すように、受信した検知信号の信号レベルが徐々に下がって上記所定の閾値未満となり(S107でNo)、ステップS121に示す終了処理がなされて、情報コード読取部20が読取モードから待機モードに切り替えられる。これにより、読取モードが不必要に継続することをなくすことができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、上記読取処理における準備処理および終了処理により、情報コード読取部20が、情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとの、いずれかのモードに切り替えられる。また、アンテナ51を介して送信される所定のコマンドに応じて検知信号がアンテナ51を介して受信されるとき(S107でYes)、この検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知される。そして、上述のように読取対象の近接状態が検知されると、上記準備処理により情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0057】
このように、応答信号と異なる信号を、金属素材が含まれる読取対象がアンテナ51に近づけられた近接状態を検知する検知信号として利用することで、読取対象の近接状態を検知することができる。そして、この読取対象の近接状態が検知信号の変化に応じて検知されると、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられるため、常時、情報コード読取部20が読取モードに設定される場合と比較して、情報コード読取部20の消費電力を低減することができる。特に、前回撮像した画像との差分を比較する必要もないので、情報コードの読み取りに関する読取時間を短縮することができる。
したがって、情報コード読取部20について、消費電力を低減するとともに読取時間を短縮することができる。
【0058】
また、上記終了処理により情報コード読取部20が待機モードに切り替えられると、受光センサ28は、消費電力を低減するように受光機能が制限されるので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0059】
さらに、上記終了処理により情報コード読取部20が待機モードに切り替えられると、照明光源21は、消灯状態になるので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0060】
さらにまた、アンテナ51にて受信される検知信号が所定の閾値を超えると、携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知されるため、上記所定の閾値を適切に設定することで、読取対象の近接状態を容易に検知することができる。
【0061】
また、情報コード読取部20により情報コードが読み取られると、当該情報コード読取部20が上記終了処理により待機モードに切り替えられるため、所望の情報コードが読み取られた後に読取モードが不必要に継続することもないので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0062】
さらに、検知信号の変化に応じて携帯電話R等の読取対象の近接状態が検知されて情報コード読取部20が読取モードに切り替えられた後に、読取対象の近接状態が検知されなくなると(S107でNo)、情報コード読取部20が上記終了処理により待機モードに切り替えられる。これにより、1度近接状態が検知された読取対象に表示された情報コードが読み取られることなく当該読取対象が読み取り不能に離される場合でも、読取モードが不必要に継続することもないので、情報コード読取部20についてその消費電力を確実に低減することができる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報読取装置について図9および図10を参照して説明する。図9は、第2実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第2実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0064】
本第2実施形態に係る情報読取装置10では、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を抑制するため、上述した読取処理について図4に示すフローチャートに代えて図9に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係る情報読取装置と主に異なる。
【0065】
本第2実施形態では、上記受信処理にて受信した検知信号が非接触通信媒体からの応答信号でない場合であってその信号レベルが上記所定の閾値以上となる回数Nが規定回数No以上になると、読取対象の近接状態を検知して、情報コード読取部20を読取モードに切り替える準備処理を実行する。なお、本実施形態では、上記規定回数Noは、3回に設定されている。
【0066】
すなわち、図9に示す読取処理のように、読取処理開始直後にステップS401にて示すように回数NがN=0(ゼロ)に設定された後、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となるごとに(S107でYes)、ステップS403にて示すように回数Nがインクリメント(N=N+1)される。そして、読取対象の近接状態が維持されることから、回数Nが規定回数No以上となると(S405でYes)、読取対象の近接状態が検知されて、ステップS109以降の処理がなされ、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。なお、ステップS405に示す判定処理を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「検知手段」の一例に相当し得る。
【0067】
具体的には、図10に例示するように、読取対象の近接状態が維持されることから、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となった後も、受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となる状態が維持されることで、回数Nがインクリメント(N=N+1)される。そして、図10で符号P2aにて例示するように、インクリメントされた回数Nが規定回数Noである3回以上となると、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知され、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、アンテナ51にて受信される検知信号が所定の閾値を超えた回数Nが規定回数No以上になると、読取対象の近接状態が検知されるため、ノイズ等により検知信号の信号レベルが瞬間的に上記所定の閾値を越えただけでは読取対象の近接状態が検知されないので、ノイズ等に起因する読取対象の近接状態の誤検知を確実に抑制することができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報読取装置について図11および図12を参照して説明する。図11は、第3実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。図12は、第3実施形態にて読取対象を近接させるときに受信する信号レベルの時間変化を例示するグラフである。
【0070】
本第3実施形態に係る情報読取装置10では、読取作業性の向上等を目的に、上述した読取処理について図9に示すフローチャートに代えて図11に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第2実施形態に係る情報読取装置と主に異なる。
【0071】
本第3実施形態では、読取作業性の向上等を目的に、検知信号の信号レベルを検出する検出周期(サンプリング周期)について、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えた後のサンプリング周期を、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えるまでのサンプリング周期よりも短くする。すなわち、図11に示す読取処理のように、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、ステップS402に示すサンプリング周期変更処理がなされて、サンプリング周期が短くなるように変更される。
【0072】
具体的には、図12に例示するように、上記受信処理にて受信した検知信号が上記所定の閾値を超える前のサンプリング周期を変更前周期T1とするとき、上記受信処理にて受信した検知信号の信号レベルが上記所定の閾値以上となると(S107でYes)、上記サンプリング周期変更処理がなされて、サンプリング周期が変更前周期T1よりも短い周期(以下、変更後周期T2という)に変更される。ここで、例えば、変更前周期T1は、1秒に設定され、変更後周期T2は0.1秒に設定することができる。これにより、サンプリング周期が変更前周期T1に維持される場合と比較して、インクリメントされた回数Nが規定回数No以上となるまでの時間を短縮することができる。
【0073】
そして、図12で符号P3aにて例示するように、インクリメントされた回数Nが規定回数Noである3回以上となると、読取対象である携帯電話Rなどがアンテナ51に近づけられた近接状態であると検知され、情報コード読取部20が待機モードから読取モードに切り替えられる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えた後のサンプリング周期T2を、検知信号の信号レベルが上記所定の閾値を超えるまでのサンプリング周期T1よりも短くして、検知信号の信号レベルの変化を検出する。このため、読取対象をかざしてからこの読取対象の近接状態を検知するまでの時間が短縮されるので、読取作業性を向上させることができる。特に、読取対象がかざされない状態では、検出周期が短くなることもないので、検出周期を短くすることによる処理負荷の増大や消費電力を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上記各実施形態では、情報コードが液晶画面に表示される携帯電話Rを読取対象とすることに限らず、例えば、情報コードが一面に表示されるICカードなど、金属素材が含まれるためにアンテナ51に近接させることで上記信号レベルを高くし得る物体を読取対象とし、この物体に表示される情報コードを光学的に読み取ってもよい。
【0076】
(2)上記第1実施形態では、受信処理にて受信される検知信号の信号レベルと上記所定の閾値との比較に基づいて、読取対象の近接状態を検知することに限らず、例えば、受信した検知信号の波形の時間的変化等に基づいて読取対象の近接状態を検知してもよい。
【0077】
(3)上記待機モードでは、受光センサ28の受光機能の制限や照明光源21の消灯等を実施することに限らず、読取モードにて実施する機能の少なくとも一部を制限することで、消費電力を低減してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…情報読取装置
20…情報コード読取部(光学的情報読取手段)
21…照明光源(照射手段)
28…受光センサ
40…制御回路(モード切替手段,検知手段)
50…非接触情報読取部(無線通信手段)
51…アンテナ
Q…QRコード(情報コード)
C…ICカード(非接触通信媒体)
R…携帯電話(読取対象)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属素材が含まれる読取対象に表示された情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、
アンテナを介して所定のコマンドを送信し、この所定のコマンドを受けて非接触通信媒体から送信される応答信号を前記アンテナを介して受信することで当該非接触通信媒体に記憶される情報を取得する無線通信手段と、を備える情報読取装置であって、
前記光学的情報読取手段を、前記情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとのいずれかのモードに切り替え可能なモード切替手段と、
前記アンテナを介して送信される前記所定のコマンドに応じて、前記応答信号と異なる信号が前記アンテナを介して検知信号として受信されるとき、この検知信号の変化に応じて前記読取対象が当該アンテナに近づけられた近接状態を検知する検知手段と、を備え、
前記モード切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードから前記読取モードに切り替えることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードからの反射光を受光してその受光に応じた信号を出力する受光機能を有し、前記待機モードでは、消費電力を低減するように前記受光機能が制限される受光センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードに対して照明光を照射し、前記待機モードでは、消灯状態になる照射手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上となると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが前記所定の閾値以上となる回数が2以上に設定される規定回数以上になると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記検知信号の変化を検出する検出周期について、前記検知信号が前記所定の閾値を超えた後の前記検出周期を、前記検知信号が前記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、前記検知信号の変化を検出することを特徴とする請求項5に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記光学的情報読取手段により前記情報コードが読み取られると当該光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されて前記光学的情報読取手段を前記読取モードに切り替えた後に、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されなくなると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項1】
金属素材が含まれる読取対象に表示された情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取手段と、
アンテナを介して所定のコマンドを送信し、この所定のコマンドを受けて非接触通信媒体から送信される応答信号を前記アンテナを介して受信することで当該非接触通信媒体に記憶される情報を取得する無線通信手段と、を備える情報読取装置であって、
前記光学的情報読取手段を、前記情報コードを光学的に読み取り可能な読取モードと、この読取モードに対して少なくとも一部の機能を制限することで消費電力を低減可能な待機モードとのいずれかのモードに切り替え可能なモード切替手段と、
前記アンテナを介して送信される前記所定のコマンドに応じて、前記応答信号と異なる信号が前記アンテナを介して検知信号として受信されるとき、この検知信号の変化に応じて前記読取対象が当該アンテナに近づけられた近接状態を検知する検知手段と、を備え、
前記モード切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードから前記読取モードに切り替えることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードからの反射光を受光してその受光に応じた信号を出力する受光機能を有し、前記待機モードでは、消費電力を低減するように前記受光機能が制限される受光センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記光学的情報読取手段は、前記読取モードでは、前記情報コードに対して照明光を照射し、前記待機モードでは、消灯状態になる照射手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上となると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記アンテナにて受信される前記検知信号の信号レベルが前記所定の閾値以上となる回数が2以上に設定される規定回数以上になると、前記読取対象の近接状態を検知することを特徴とする請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記検知信号の変化を検出する検出周期について、前記検知信号が前記所定の閾値を超えた後の前記検出周期を、前記検知信号が前記所定の閾値を超えるまでよりも短くして、前記検知信号の変化を検出することを特徴とする請求項5に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記光学的情報読取手段により前記情報コードが読み取られると当該光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記切替手段は、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されて前記光学的情報読取手段を前記読取モードに切り替えた後に、前記検知手段により前記読取対象の近接状態が検知されなくなると、前記光学的情報読取手段を前記待機モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−80383(P2013−80383A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220073(P2011−220073)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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