説明

成形体の製造方法

【課題】 成形体中の材料として使用される再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物の比率を高めても、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド成形体が本来有する耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れるという特性を保持した、成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット20〜80重量%及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット80〜20重量%を射出成形機に供し、射出成形を行う成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットからなる成形体の製造方法に関するものであり、更に詳細には、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド成形体を製造する際に発生するスプルー、ランナー又は該成形体の不要品等から再生したリサイクル繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを有効利用し、射出成形を行う成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、成形加工性、電気絶縁性、機械特性などに優れることから、幅広い用途に用いられている。そして、熱可塑性樹脂の成型加工方法として射出成形が知られており、射出成形により成形体とする際には、スプルー、ランナー又は規格外の成形体が発生する。
【0003】
また、近年、各種製品の小型軽量化に伴い、使用される部品も小型化が進められている。このため、これらの部品には成形性に優れる樹脂組成物も多用されているが、これらの部品には小型で薄肉なものが多い。このような小型部品の場合、部品一個に対するスプルー、ランナーの重量比率が高く、このようなスプルー、ランナーなどを廃棄すると、原料樹脂組成物の製品化率が低下するため、再利用することが試みられているが、諸物性の低下、製品色調の悪化等の課題が発生している。
【0004】
ポリフェニレンスルフィドは、熱可塑性樹脂の中でも優れた耐熱性、耐薬品性および難燃性を有することから、使用済み成形品の処理が困難であり、焼却処理の際に亜硫酸ガスを発生する場合があり、再利用が強く求められている。
【0005】
そして、ポリフェニレンスルフィドを含む原料樹脂、添加剤、さらにこの原料樹脂と添加剤とからなる組成物の成形で発生した回収成形物の粉砕品をコンパウンディングしてなるリサクル樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、再生ポリフェニレンスルフィド樹脂を含有してなる繊維が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−026719号公報
【特許文献2】特開2005−220475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に提案されたリサクル樹脂組成物は、溶融粘度、メルトフローレートなどに広いバラツキを有しており射出成形に供し成形体とする際の成形条件が安定化しないばかりか、得られる成形体の力学特性も安定化しないという課題を有するものであった。また、特許文献2に提案されたものは繊維に関するものであり、成形体として利用することのできないものであった。
【0008】
そこで、本発明は、成形体中の材料として使用される再生ポリフェニレンスルフィドの比率を高めても、ポリフェニレンスルフィド成形体が本来有する機械強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れるという特性を保持した、成形体の製造方法を提供することを目的とし、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用な成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを特定割合で配合し、射出成形を行い成形体とすることにより、ポリフェニレンスルフィド成形体が本来有する機械強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れるという特性を保持した、成形体の製造方法となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット20〜80重量%及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット80〜20重量%を射出成形機に投入し射出成形を行うことを特徴とする成形体の製造方法に関するものである。
【0011】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0012】
本発明の成形体の製造方法は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット20〜80重量%及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット80〜20重量%を射出成形し成形体とするものである。
【0013】
ここで、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットとは、製造後溶融・成形を行っていないバージンポリフェニレンスルフィド樹脂及び繊維状充填材、必要に応じタルク、炭酸カルシウム等を加え、押出機等により加熱溶融混合を行い、押し出された組成物ストランドをホットカット、コールドカット等の方法により形状を整えた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットとしたものである。そして、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物非再生ペレットとしては、例えばサスティールPPS(東ソー株式会社製)、トレリナ(東レ株式会社製)、DIC−PPS(大日本インキ工業株式会社製)、フォートロン(ポリプラスチックス製)、出光PPS(出光石油化学製)、スミコン(住友ベークライト製)、ライトン(ティコナ製)等の市販品を挙げることができる。なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂とは、p−ジクロロベンゼンに硫化ナトリウムに代表される硫化物を重縮合反応させて、精製・回収することにより得られる樹脂であり、一度も溶融・成形に使用してないポリフェニレンスルフィド樹脂をバージンポリフェニレンスルフィド樹脂と称している。
【0014】
また、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットとは、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを成形加工に供した際に発生するスプルー、ランナー等の端材、規格外成形体、使用済み成形体等を回収し、粉砕等を行った後、押出機等を用い加熱溶融・混合を行い、押し出された再生組成物ストランドをホットカット、コールドカット等の方法により形状を整え、再度繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットとした再生品をいう。なお、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットとする際には、再生・リサイクルの概念を逸脱しない範囲にて通常繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物ペレットを製造する際に用いられるバージンポリフェニレンスルフィド樹脂、繊維状充填材、タルク、炭酸カルシウム等を加えることも可能である。
【0015】
該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットは、特に射出成形時の成形加工性に優れ、得られる成形体が機械的特性、耐熱性、寸法安定性に優れたものとなることから、それぞれ繊維状充填材を20〜60重量%含んでなるものであることが好ましく、特に30〜50重量%含んでなるものであることが好ましい。また、特に射出成形により得られる成形体個々間における機械的特性、耐熱性、寸法安定性のバラツキが抑えられた成形体が得られることから、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットに含まれる繊維状充填材の量は同一であることが好ましい。
【0016】
該繊維状充填材としては、繊維状充填材と称される範疇に属するものであれば如何なるものも用いることが可能であり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等を挙げることができ、その中でもガラス繊維、炭素繊維であることが好ましい。
【0017】
本発明の成形体の製造方法においては、射出成形機に投入し射出成形を行う際の射出成形機内への組成物ペレットの噛みこみが優れ、安定的に成形加工を行うことが可能となることから該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの形状が近似していることが好ましく、特に繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均径をD1とし、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均径をD2とした際の径の比を示すD1/D2が0.5〜2であり、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長さをL1とし、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均長さをL2とした際の長さの比を示すL1/L2が0.5〜2の関係にある繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットであることが好ましい。
【0018】
さらに本発明の成形体の製造方法においては、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの色調変化を補填し、色調にも優れた成形体が得られることから、色調を調整する着色剤を含んだ繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットであることが好ましく、特に効率的に色調に優れる成形体を得ることが可能となることから、激しい色調変化を抑制し着色剤を添加することにより繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの色調に合わせた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットであることが好ましい。また、この際の着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタンであることが好ましい。
【0019】
また、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを構成するバージンポリフェニレンスルフィド樹脂には、重合反応のみで高分子量化された直鎖型ポリフェニレンスルフィド樹脂と重合反応の後、硬化反応を行い高分子量化を行った架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂が知られており、本発明の成形体の製造方法においては、いずれのバージンポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを用いてもよい。その中でも、特に機械的特性、色調に優れる成形体を得ることが可能となることから、繊維状充填材強化架橋型ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット及び繊維状充填材強化架橋型ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットよりなることが好ましい。直鎖型ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐衝撃性、ウェルド強度等が架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂より高く、白色に近く色調に優れることが知られているが、これらの特性はバージンポリフェニレンスルフィド樹脂での特性である。本発明者らがポリフェニレンスルフィド樹脂の再利用について検討を行った際に、直鎖型ポリフェニレンスルフィド樹脂を成形体として高温環境、照光環境下で使用・保持した際には、劣化、着色が架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂製成形体より激しくなる傾向が見られた。
【0020】
本発明の成形体の製造方法は、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=20/80〜80/20(重量%)の割合からなるものであり、特に機械的特性に優れた成形体が得られ、再利用の効率にも優れた製造方法となることから、20/80〜50/50の割合であることが好ましい。ここで、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの割合が20重量%未満である場合、再生品の使用割合が低く再利用の意味合いが低くなる。一方、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの割合が80重量%を越える場合、得られる成形体の性能低下が大きなものとなる。
【0021】
本発明の成形体の製造方法は、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを射出成形機に供し、射出成形を行うものである。その際の射出成形機としては、金型を備え成形体を製造することが可能である射出成形機であれば一般的に知られている如何なる射出成形機を用いることも可能である。また、成形温度、射出温度、金型温度等に代表される射出成形条件については、成形体の形状、大きさ等にあわせて任意に選択することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、従来再利用されることなく廃棄されていた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製使用済み成形体、端材を廃棄することなく、電気・電子部品、自動車部品等として有用な成形体に再利用するものであり、材料費のコスト低減ばかりか、資源の有効利用の点でも有用なものである。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例になんら制限されものではない。
【0024】
〜溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
【0025】
〜引張強度、引張伸びの測定〜
射出成形によりASTM D−638の1号試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張強度及び引張伸びを測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張強度が高いほど機械的強度に優れ、引張伸びが大きいほど靭性に優れると判断した。
【0026】
〜曲げたわみ量、曲げ強度の測定〜
射出成形により長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.2mmの試験片を作成し、ASTM D−790MethodI(三点曲げ)に準拠し、スパン間50mm、測定速度1.5mm/分の試験条件で、曲げ強度及び曲げたわみ量の測定を行った。曲げ強度が高いほど機械的強度に優れ、曲げたわみ量が大きいほど靭性に優れると判断した。
【0027】
〜シャルピー衝撃強度〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によってシャルピー衝撃強度測定用試験片を作製し、ノッチングマシーン((株)東洋精機製作所製、(商品名)A−3型)によりノッチを入れ、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製、(商品名)DG−CB型)を用いて、ISO179に準拠し測定を行った。
【0028】
〜ウェルド強度の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって試験片を作製し、引張試験機((株)島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用いて、ASTM D638に準拠し測定を行った。
【0029】
〜組成物ペレットの平均径及び平均長さの測定〜
ペレット5グラムを任意に抜き出し、顕微鏡を用い目視にてペレットの平均径及び平均長さを測定した。
【0030】
<合成例1(PPS−2)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7285g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が450ポイズのポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−1と記す。)を得た。このPPS−1を、さらに酸素雰囲気下250℃で2時間硬化を行い架橋型バージンポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−2と記す。)を得た。
【0031】
得られたPPS−2の溶融粘度は1800ポイズであった。
【0032】
<合成例2(PPS−4))の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−3と記す。)を得た。このPPS−3を、さらに酸素雰囲気下250℃で4時間硬化を行い架橋型バージンポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−4と記す。)を得た。
【0033】
得られたPPS−4の溶融粘度は、3200ポイズであった。
【0034】
実施例及び比較例において、ガラス繊維、滑剤として以下のものを用いた。
【0035】
ガラス繊維;エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
【0036】
滑剤(カルナバワックス);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
【0037】
比較例1
PPS−4/ガラス繊維/カルナバワックス=59.5/40/0.5(重量%)の割合となるように、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを作製した。
【0038】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均長径(D2)は2.1mmであり、平均長さ(L2)は、3.6mmであった。
【0039】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0040】
実施例1
比較例1において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0041】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.1mmであり、平均長さ(L1)は、3.3mmであった。
【0042】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例1により得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=30/70(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0044】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.4mmであり、平均長さ(L1)は、4.4mmであった。
【0045】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例1により得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=25/75(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0046】
実施例3
実施例2において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った粉砕品100重量部に対し、PPS−4/ガラス繊維/カルナバワックス=59.5/40/0.5(重量%)の混合物30重量部を添加した後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0047】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.2mmであり、平均長さ(L1)は、3.1mmであった。
【0048】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例1により得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=30/70(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
実施例3において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0050】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.7mmであり、平均長さ(L1)は、3.3mmであった。
【0051】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0052】
比較例3
実施例3において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0053】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.7mmであり、平均長さ(L1)は、3.3mmであった。
【0054】
該ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例1により得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=90/10(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0055】
比較例4
PPS−2/ガラス繊維/カルナバワックス/炭酸カルシウム/カーボンブラック=49.5/30/0.5/19.7/0.3(重量%)の割合となるように、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを作製した。
【0056】
得られた黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均長径(D2)は2.1mmであり、平均長さ(L2)は、4.6mmであった。
【0057】
該黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0058】
実施例4
比較例4において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0059】
得られた黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.1mmであり、平均長さ(L1)は、4.6mmであった。
【0060】
該黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例3により得られた黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=40/60(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0061】
実施例5
実施例4において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行った後、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットを作製した。
【0062】
得られた黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長径(D1)は2.2mmであり、平均長さ(L1)は、3.6mmであった。
【0063】
該黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット/比較例3により得られた黒色ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット=22/78(重量%)を、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度、をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット20〜80重量%及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット80〜20重量%を射出成形機に供し、射出成形を行うことを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項2】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットが、繊維状充填材20〜60重量%を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
【請求項3】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均径(D1)と繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均径(D2)とがD1/D2=0.5〜2の関係にあり、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットの平均長さ(L1)と繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットの平均長さ(L2)とがL1/L2=0.5〜2の関係にある繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
同一割合の繊維状充填材を含有した繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
カーボンブラック又は酸化チタンにより色調を調整した繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレットであること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット及び繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットが、架橋型ポリフェニレンスルフィドからなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項7】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレットが、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を含有してなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形体の製造方法。

【公開番号】特開2009−269369(P2009−269369A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124238(P2008−124238)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】