説明

把持装置及び積込装置

【課題】各寸胴型の把持対象物間の間隔を空けることなく箱詰めするのに適した把持装置を提供する。
【解決手段】把持装置は、開放状態において、ベースプレートの連通孔からシリンダ内にエアが送られると、ピストンが下降し、当該ピストンの下降に伴って、本体部の4隅相当部位に上下摺動自在に立設された各プッシュロッドも下降する。各プッシュロッドが下降すると、プッシュロッドのそれぞれの移動に伴う楔作用により、各係合部材はそれぞれの一部分が本体部の内方の空間に向かって突出するので、各係合部材の一部分が寸胴型のボトルのくびれ部に押し付けられて係合し、当該係合により、把持装置は、寸胴型のボトルを把持することができる把持状態を形成する。把持状態においてシリンダ内のエア圧を開放すると、ピストン及び各プッシュロッドが上昇し、把持装置は開放状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、広口ボトル等のような口部の断面が底部寄りの断面とほぼ同等な大きさを有した寸胴型の立体を把持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のボトルを箱詰めするに際して、ボトルを把持する必要がある。従来このような把持装置としては、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1による把持装置は、ボトルのネック部に形成されたくびれ部を利用してボトルを首吊り保持する装置である。
つまり、この従来の把持装置は、筒状をした保持部をボトル上方から被せた状態で、ボトルのくびれ部に対応する保持部の筒内周面に配したボールを、適宜の機構を用いて、くびれ部に向けて突出させるようにしている。ボールは、くびれ部を囲繞する筒内周面に複数個配列されているので、その全てがくびれ部に向けて突出すると、くびれ部がボールと係合し、保持部に把持されることとなる。
【0003】
複数のボトルを搬送し、箱詰めする場合には、上記の把持装置を縦横に配列させ、配列された把持装置それぞれがボトルを把持する。
【特許文献1】特許第3614848号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記把持装置は、ボトルのくびれ部に周囲から複数のボールを係合させてボトルの把持を行うものであるので、ボトルの口部より保持部は大きくならざるを得ない。このため、口部が底部や胴部に比べて小さなボトルの場合は、保持部をボトル口部よりは大きいが、底部や胴部と同程度の大きさ(外形)に構成することで、複数の把持装置を密に配列することにより、複数のボトルを密に隣接した状態で把持し、そのままの姿勢で箱詰めすることができるが、広口のボトルを把持しようとすると、保持部の大きさが、胴部や底部よりも大きくならざるを得ないので、複数の把持装置をたとえ密に配列したとしても、把持される複数の広口ボトルは、間隔をおいた状態で把持されることとなる。その結果、そのままの姿勢で箱詰めすると、ボトル同士が間隔をおいて並べられることとなり、密に箱詰めをすることができないという不具合が生じる。
【0005】
なお、以上は、広口ボトルを例にとって説明したが、これに限らず、いわゆる寸胴型をした把持対象物に共通した問題である。
本発明は、寸胴型の把持対象物を間隔を空けることなく箱詰めするのに適した把持装置及び積み込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、把持装置本体を取り出し位置から積み込み位置まで往復移動させながら、くびれ部を有する寸胴型の把持対象物を把持姿勢で搬送し、前記把持対象物の積み込みを行う積込装置に用いられる把持装置であって、前記把持対象物は、積込時に隣接して配列される他の把持対象物との間に1以上の隙間を有する形状からなり、前記把持装置は、前記把持対象物の口部側を受け入れる空洞部が下面に穿設された本体部と、前記本体部の外周にあり、前記把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に、上下摺動自在に立設され、先端が楔形状に形成されたロッドと、ロッド先端の下方に設けられ、ロッドの移動に伴う楔作用によって、前記空洞部内方へ滑動付勢させる滑動体とを備え、前記積込装置は、把持装置本体を前記把持対象物の上方から下降させ前記空洞部に前記把持対象物の口部側を挿入させ、その状態で、前記ロッドを下降させ前記滑動体を前記空洞部内方へ滑動させて、前記把持対象物のくびれ部に係合させ、把持状態を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記に示す構成によると、把持装置は、ロッドを把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に具備している。そこで、複数の把持装置を隣接するように縦横に配列すると、ロッド及び滑動体は、複数の寸胴型の把持対象物を密に隣接した状態で縦横に配列したときにできる隙間に位置することになる。したがって、隣接するように配列された各把持装置は、各寸胴型の把持対象物間の間隔を空けることなく箱詰めすることができるように、各寸胴型の把持対象物を把持できる。
【0008】
ここで、前記把持対象物は円筒形状からなり、前記把持対象物に対する前記隙間相当部位は4箇所存在し、前記隙間部位のそれぞれは、前記本体部の4隅相当部位に位置しており、前記4隅相当部位のそれぞれにロッドが立設され、前記本体部は、十文字状をなし、前記十文字状の先端部位のそれぞれが前記4隅相当部位に位置する十文字バーと、前記4隅相当部位のそれぞれにおいて、前記十文字バーの上下動を許容する許容孔を備え、前記ロッドそれぞれは、前記ロッドの楔形状の先端部とは異なる他端部と当該箇所に位置する先端部位とが連結されることにより、上下摺動自在となるとしてもよい。
【0009】
この構成によると、十文字バーの上下動と連動して、各ロッドが同時に上下摺動を行うように、把持装置を組み立てることができる。
ここで、前記本体部の上方部は、概ね円筒状の形状をなす円筒状立体をなしており、前記許容孔は、前記円筒状立体に備えられ、前記円筒状立体において、前記許容孔のそれぞれから前記ロッドの上昇方向にかけて凹面が形成されているとしてもよい。
【0010】
この構成によると、把持装置の本体部の上方部は、許容孔から上方にかけて凹面が形成されているので、十文字バーの各先端部位と、各ロッドとを連結するための工具の利用が容易になる。
ここで、前記本体部の下方部は、角筒状の形状をなす角筒立体であり、前記角筒立体の1辺は前記円筒状立体の直径とほぼ同一であり、前記各ロッドは、前記矩形立体の4隅相当部位のそれぞれに立設されているとしてもよい。
【0011】
この構成によると、把持装置の本体部の下方部である角筒立体の1辺は、前記円筒状立体の直径とほぼ同一であるので、把持装置の角筒立体と、他の把持装置の角筒立体との辺同士が接触するギリギリの間隔で配列することができる。これにより、複数の把持装置を密に隣接するように縦横に配列することができる。
また、本発明は、複数の把持装置を取り出し位置から積み込み位置まで往復移動させながら、くびれ部を有する寸胴型の把持対象物を把持姿勢で搬送し、前記把持対象物の積み込みを行う積込装置であって、前記把持対象物は、積込時に隣接して配列される他の把持対象物との間に1以上の隙間を有する形状からなり、前記複数の把持装置のそれぞれは、前記把持対象物の口部側を受け入れる空洞部が下面に穿設された本体部と、前記本体部の外周にあり、前記把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に、上下摺動自在に立設され、先端が楔形状に形成されたロッドと、ロッド先端の下方に設けられ、ロッドの移動に伴う楔作用によって、前記空洞部内方へ滑動付勢させる滑動体とを備え、前記積込装置は、各ロッドを把持対象物の隙間相当部位に位置付けて、隣接するように前記複数の把持装置を配列し、前記複数の把持装置それぞれに対して、前記把持装置本体を隣接するように配列された複数の前記把持対象物の上方から下降させ、前記空洞部に把持対象となる前記把持対象物の口部側を挿入させ、その状態で、前記ロッドを下降させ、前記滑動体を前記空洞部内方へ滑動させて、前記把持対象物のくびれ部に係合させることで把持状態を実現することを特徴とする。
【0012】
この構成によると、積込装置は、各ロッドを寸胴型の把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に位置付けて、複数の把持装置を隣接するように配列しているので、各ロッド及び各滑動体は、複数の寸胴型の把持対象物を密に隣接した状態で縦横に配列したときにできる隙間に位置することになる。これにより、各把持装置は、各寸胴型の把持対象物間の間隔を空けることなく箱詰めすることができるように、各寸胴型の把持対象物を把持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.第1の実施の形態
1.1 積込装置100の概要
図1は、ボトル搬送コンベア110の搬送終端位置に、ケース搬送コンベア120が配されると共に、その近傍に積込装置100が設けられた構成を示している。積込装置100は、回転並びに上下動自在なロッド101の上端にアーム102を介してベースプレート10を吊り下げ保持し、ベースプレート10の下面側に複数の、図示例では12個の把持装置1・・・・を密接配置した構成である。
【0014】
積込装置100のロッド101の下部側は駆動装置103に接続され、駆動装置103は、適宜のタイミングでロッド101を上昇、下降、90度右方回転、90度左方回転並びにホース104へのエア等の流体を供給・排出を制御して、ボトル搬送コンベア110からボトルB・・・を、12個づつ把持して取り出し、ケース130、131、・・・に箱詰めする作業を繰り返す。
【0015】
ボトルBとして、広口の、例えばドレッシングやソースなどのボトルがここでは利用されている。以下、こう云った広口ボトルを、寸胴型のボトルまたは単にボトルという。また、この実施例で扱うボトルの口部側には、図4に仮想線で示されているようにキャップが冠着されており、キャップ下端より少し下方のボトル本体周部には少し径小になったくびれ部50が存在している。
【0016】
図2は、積込装置100からベースプレート10及び各把持装置1を取出した状態を示す図である。ベースプレート10は、連結された各把持装置1の上方に位置する箇所に、駆動装置103の制御によりホース104を介して送出されるエアを各把持装置1へ送るための貫通孔10aを備えている。
把持装置1のそれぞれは、4本のボルト12a、12b、12c、12dによりベースプレート10と締結されている(図2、図3(a)、図4参照)。
【0017】
以下、把持装置1について説明する。
1.2 把持装置1の構造
図3(a)は、把持装置1の斜視図である。また、図3(b)は把持装置1の底面図であり、図3(c)は把持装置1の上面図である。
図4(a)は、ボトルを把持しない状態(開放状態)における把持装置1の断面図(図3(c)におけるx−xの断面図)を示し、図4(b)は、ボトルを把持した状態(把持状態)における把持装置1の断面図(図3(c)におけるx−xの断面図)を示す。
【0018】
また、図5は、図3(c)におけるx−xにおいて把持状態時の把持装置1の保持本体部2のみを断面し、ロッド機構部3の構造を示した把持装置1の斜視図である。
図2、図4に示すように、把持装置1の上端部は、ボルト12a、12b、12c、12dによりベースプレート10と締結されている。
把持装置1は、大別するとボトル上部を外套する保持本体部2と、保持本体部2に外套されたボトルBを把持する滑動体としてのボール40a、40b、40c、40dと、ボール40a、40b、40c、40dを滑動させるロッド機構部3とから成る(図3(a)、(b)、図5参照)。なお、以下では、ボール機構を単にボールと呼ぶ。
【0019】
保持本体部2は、図4、5に見られるように円筒部20の下部周縁からスカート部21を延出した構成をしている。円筒部20は、図4に示すように内部にシリンダ室41が形成されている。シリンダ室41には、ピストン体42が密挿され、ベースプレート10の貫通孔10aを通じて供給されるエア等の流体により下方動するよう構成されている。ピストン体42とシリンダ室41の底部との間には圧縮コイルスプリング43が介挿されていて、流体が供給停止されている時は、ピストン体42をスプリングの弾性復元力により上方端まで復帰させる。
【0020】
ピストン体42の下端は、円筒部20を貫通してスカート部21内部に露出している。そして、露出端に図5に見られるように組み合わせることにより十文字状の形状をなす2つのジョイントバー44a、44bと、キャップガイド45とがボルト46により締め付け固定されている。
ジョイントバー44a、44bは、水平に延びており、延出端はスカート部21の側壁を貫通して外方まで達している。スカート部21の側壁には、ジョイントバー44a、44bの貫通を許容する許容孔23a、23b、23c、23dが形成されているが、この許容孔23a、23b、23c、23dは、ピストン体42の上下ストロークと同程度以上の上下に長い長孔とされている。これによりピストン体42の上下動に追随してジョイントバー44a、44bも上下動する。なお、許容孔23c、23dは図4には図示していないが、許容孔23c、23dは、ジョイントバー44bの貫通を許容し、許容孔23cはスカート部21の側壁においてボルト31cが存在する位置に形成され、許容孔23dはスカート部21の側壁においてボルト31dが存在する位置に形成されている(図3(c)参照)。
【0021】
キャップガイド45は、スカート部21に収容される程度の外径を有した円筒体で、底部には図4に見られるように円錐体形状の窪み45aが形成されている。このキャップガイド45は、ボトルB位置出しをするためのものである。すなわち、ボトルBがスカート部21内に収容されている状態で、ピストン体42を下降させてキャップガイド45を下降させると、前記窪み45aの円錐体斜面が、図4に示すようにボトルBのキャップ上端縁に接して、キャップの中心が円錐体中心に一致するようにボトルを位置出しする。
【0022】
次に、スカート部21は、外形では、上半分21aが円筒状をし、下半分21bが角筒状をしている。図3から理解されるように上半分21aの直径と下半分21bの1辺とは長さがほぼ等しい。従って、上半分21aに対して下半分21bは、図3(a)、(c)に見られるようにコーナー部分C1〜C4だけが突出していることとなる。この突出しているコーナー部分C1〜C4の下方向中程に、スカート部軸心方向に向いて開口したボール収容孔22a、22b、22c、22dが開設されている。このボール収容孔22a、22b、22c、22dには、ボール40a、40b、40c、40dが収容されている。なお、前記ボール収容孔22a、22b、22c、22dのスカート内周面側は、僅かに径小となるように落下防止部24a、24b、24c、24d、25a、25b、25c、25dが形成されていて、ボール40a、40b、40c、40dがスカート内方に抜け落ちないようにしてある(図6(a)、(b)参照)。なお、ボール収容孔22c、22dは図示していないが、ボール収容孔22cは図3(c)にて示すコーナー部分C3の下方向中程に開設され、ボール収容孔22dは図3(c)にて示すコーナー部分C4の下方向中程に開設されている。また、ボール40cはボール収容孔22cに収容され、ボール40dはボール収容孔22dに収容されている。
【0023】
前記ボール収容孔22a、22b、22c、22dの中程には、上方に向けて開放した軸孔が形成されていて、この孔内に、前記ジョイントバー44a、44bに上端が結合されたプッシュロッド30a、30b、30c、30dがスライド自在に挿通されている。ここでは、プッシュロッド30a、30bがボルト31a、31bによりジョイントバー44aに結合され、プッシュロッド30c、30dがボルト31c、31dによりジョイントバー44bに結合されている(図3(c)、図4参照)。なお、プッシュロッド30cは図示していないが、プッシュロッド30cはプッシュロッド30dの対角線上に存在している。
【0024】
プッシュロッド30a、30b、30c、30dの先端30au、30bu、30cu、30duは、図4から理解されるように、円錐形状に形成されている。これは、プッシュロッド30a、30b、30c、30dの下降に伴って、その先端30au、30bu、30cu、30duがボール40a、40b、40c、40dに対して楔作用をして、ボール40a、40b、40c、40dをボール収容孔22a、22b、22c、22dに沿って徐々にスカート部軸心方向に押しやるためである(図6(a)、(b)参照)。これにより、ボール40a、40b、40c、40dがボトルBのくびれ部50に嵌まり込み、ボトルを把持することができる(図4(b)参照)。
【0025】
なお、ボール収容孔22a、22b、22c、22dの形成位置は、ピストン体42を下降させて、キャップガイド45でボトルBの位置出しを行った状態で、ボトルBのくびれ部50がボール収容孔22a、22b、22c、22dと対応する位置となる様な位置が選ばれる。
(把持装置の配列)
把持装置1の外形は、保持本体部2の形状によって規定される。従って、把持装置1を配列する場合、どれだけ密に配置できるかは、保持本体部の形状によって決まる。保持本体部2は、上述したように円筒部20とスカート部21からなり、スカート部21は円筒状をした上半分21aと、角筒状をした下半分21bとからなる。そして、図3(a)、(c)から理解されるように、下半分21bの一辺は、上半分21aの直径にほぼ等しい。
【0026】
従って、把持装置1は、隣り合う把持装置1のスカート部21の下半分21bの辺同士が接触するギリギリの間隔で配列することができると言える。図2はそのような間隔で配置してベースプレート10に対して組み付けられている。
≪箱詰め動作≫
次に、上記構成の積込装置100によるボトルの箱詰め動作を説明する。
【0027】
今、積込装置100が図1に示すように、ボトルBを各把持装置1・・・が把持した状態でアーム102をケース搬送コンベア120側を向けて、箱詰めステージPr上方に存在するとする。このとき、駆動装置103のタイミング制御により、丁度、把持装置1・・・下方の箱詰めステージPrに空のケース130が待機するようにしてある。そして、続いてロッド101が下降を始め、各把持装置1・・・が把持するボトルB・・・を、空のケース130内に詰め込む。図7に詰め込んだ状態を示す。
【0028】
ボトルB・・・がケース内に収容されると、積込装置100は、ホース104を通じて各把持装置1・・・のシリンダ室41の流体を抜く或いは流体が自然に抜ける状態にする。すると、圧縮コイルスプリング43の復元力によりピストン体42が上昇し、それに追従してプッシュロッド30a、30b、30c、30dも上昇する。プッシュロッド30a、30b、30c、30dが上昇すると、その先端によるボール40a、40b、40c、40dに対する楔作用が解除されるので、ボール40a、40b、40c、40dは、ボール収容孔22a、22b、22c、22d内をボトルから遠ざかる方向へ後退する(図4(a)、図6(a)参照)。その結果、ボトルB・・・は把持解除される。この後、積込装置100のロッド101が上昇動し、各把持装置1・・・がボトルB・・・をケース130内に残した状態で上昇する。
【0029】
ロッド101が上昇端に達すると、今度は90度左回転し、アーム102をボトル搬送コンベア110側に振り向けて、把持装置1・・・をボトル取り出しステージPcの上方に位置させる。ボトル取り出しステージPcは、この実施例ではボトル搬送コンベア110の搬送終端の、把持装置1・・・によって1回に取り出される数のボトルが存在する領域をいう。
【0030】
把持装置1・・・がボトル取り出しステージPc上方に達すると、積込装置100のロッド101が下降する(図7参照)。下降量は箱詰めステージPrにおけるのと同程度である。
この下降動作によって、各把持装置1・・・の保持本体部2、正確にはそのスカート部21がボトル取り出しステージPc上に並んでいるボトルB・・・のキャップを外套する。このとき、プッシュロッド30a、30b、30c、30dは上昇しているので、各把持装置1・・・は図4(a)に示すように開放状態にある。このため、ボトルBのキャップは、スカート部21内に、ボール40a、40b、40c、40dに邪魔されることなく、進入する。
【0031】
また、取り出しステージ上のボトルB・・・は、上流から次々に送られてくる後続のボトルB・・・に押されて、隙間なく密に詰めた状態で並んでいるが、スカート部21の外形が既述したように下半分21bの一辺の長さが上半分21aの直径にほぼ等しく、そのため、各把持装置1・・・が密に並んでベースプレート10上に配置されているので、各把持装置1・・・のスカート部21が隣のボトルと干渉してボトルを押分けたりすることなく、スムーズにボトルとボトルの間に下降して行く。
【0032】
前記スカート部21が所定量進入すると、ホース104から流体が給送されて、ピストン体42を下降させ、プッシュロッド30a、30b、30c、30dを追従下降させて、ボール40a、40b、40c、40dを押し出し、図4(b)に示すようにボトルB・・・を把持する状態に変更する。この後、積込装置100は、ロッド101を上昇させて、ボトルB・・・を取り出しステージPcから取り出す。そして、ロッド101を90右回転し、図1に示す箱詰めステージPc上方に取り出されたボトルB・・・を搬送する。この後は、すでに述べたように下降して箱詰め処理を行う。以下、ボトル取り出し、搬送、箱詰めの各処理を繰り返し、次々と新たなボトルB・・・を空のケースに箱詰めして行く。
【0033】
1.3 まとめ
本発明によると、把持装置1のスカート部21の下半分21bは、底面が概ね矩形の形状をした立体であり、概ね矩形の形状の1辺の長さは、ボトルの直径と同一又は、ほぼ同一としているので、各把持装置1が図2にて示すように配列されると、本体部の4隅相当部位は、複数の円を接するように縦横に並べたときにできる隙間に位置する。つまり各プッシュロッド30a、30b、30c、30dを保持本体部2の4隅相当部位に配置することにより、複数の寸胴型のボトルを箱詰めする際に、隣り合うボトルが密接するように箱詰めすることができる。
【0034】
また、ボール40a、40b、40c、40dを軟質樹脂で形成しておけば、ボトルのくびれ部に押し付けられた際に、くびれ部の形状に倣って若干弾性変形し、くびれ部50との曲率半径の違いを吸収し得るので、より確実にボトルを把持することができる。
また、図2、3から理解されるように、円筒部20は、スカート部21の4隅相当部位において、ジョイントバー44a、44bが位置する下方の近傍から上端部にかけて湾曲形状の凹面20a、20b、20c、20dを有しているので、ジョイントバー44a、44bと各プッシュロッド30a、30b、30c、30dとを、ボルト31a、31b、31c、31dにて結合する際に用いる工具の使用が容易となる。なお、ここでは、凹面20a、20b、20c、20dは湾曲形状であるとしたが、これに限定されない。要は、凹面20a、20b、20c、20dは、結合に用いる工具の使用が容易なる形状であればよい。
【0035】
1.6 変形例
本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下の場合も本発明に含まれる。
(1)上記実施の形態において、ボトルBのくびれ部50に係合する部材としてボール40a、40b、40c、40dを用いたが、これに限定されない。
【0036】
要は、プッシュロッドの先端部の移動に伴う楔作用により、内方に向かって移動することにより、ボトルBのくびれ部50に押し付けられて係合することのできるものであれば、その形状は問わない。
例えば、ボールに代えて、ボトルBを把持する滑動体として概ねピン形状の係合部材を用いてもよい。なお、この場合においても、軟質樹脂で形成するのが望ましい。
【0037】
以下に、概ねピン形状に形成された係合部材300aについて、図8を用いて説明する。
係合部材300aの外方の端部301a及び内方の端部302bの外表面は、概ね球面状に形成されている。プッシュロッド30aが下降することにより、プッシュロッド30aの先端30auの移動に伴う楔作用により、係合部材300aはの内方に向かって移動する。このとき、係合部材300aの内方の端部302bの一部分がボトルBのくびれ部50に押し付けられて係合することにより、ボトルBは把持される。
【0038】
(2)上記実施の形態において、把持装置1は、保持本体部2の4隅相当部位それぞれに、上下摺動自在なプッシュロッドを立設したが、これに限定されない。
本体部の4隅相当部位のうち少なくとも1箇所に上下摺動自在なプッシュロッドを立設すればよい。
このとき、プッシュロッドが立設されていない箇所には、本体部に設けられた空洞において、ボトルを把持する際にボトルのくびれ部に接触する位置に、樹脂により外表面が概ね球面状に形成された突起部を設けてもよい。これにより、ボトルを把持する際には、当該突起部の一部分がボトルのくびれ部に押し付けられて係合される。
【0039】
(3)把持装置1の保持本体部2は、図3(a)にて示す形状に限定されない。プッシュロッド30a・・・が保持本体部2の4隅相当部位に上下摺動可能となるよう立設され、ボトルが把持されることができる形状であればよい。
(4)上記実施の形態にて示すジョイントバー44a、44bの形状は一例である。
要は、ピストン体42及び保持本体部2の4隅相当部位においてプッシュロッド30a、30b、30c、30dそれぞれと締結し、ピストン体42の上下動と連動して上下摺動可能となるものであれば、その形状は問わない。
【0040】
(5)本発明において、プッシュロッドの先端部が実施の形態のように尖形状である必要はなく、斜面若しくは斜辺が存在し、それによって楔作用が奏されるものであればよい。本発明では、楔作用を奏する形状を楔形状と呼ぶ。
(6)上記実施の形態において、把持装置1の把持対象物は寸胴型のボトルとしたが、これに限定されない。把持対象物は、寸胴型の立体であり、複数の把持対象物を密接させて縦横に配列した際に、隣接対象物間に1箇所以上の隙間が形成される形状であればよい。
【0041】
(7)上記実施の形態において、流体圧を加えたり、開放したりすることにより、ピストンが上下動を行う機構としたが、これに限定されない。
要は、ピストンが上下動を行うことのできる機構であればよい。
(8)積込装置100は、12台の把持装置を具備するとしたが、これに限定されない。
【0042】
積込装置100にて縦横に配列される把持装置の台数は、1つの箱に詰めることのできるボトルの本数と同等の数であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、把持装置を製造する製造業において、経営的、つまり反復的かつ継続的に利用されうる。また、本発明は、把持システムを用いて複数の寸胴型容器を箱詰めし、小売業者等に出荷する製造業又は販売業において、経営的、つまり反復的かつ継続的に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】積込装置100の構成の一例を示す図である。
【図2】積込装置100の概要を示す図である。
【図3】(a)は把持装置1の斜視図であり、(b)は把持装置1の底面図であり、(c)は把持装置1の上面図である。
【図4】(a)は把持装置1の開放状態時の断面図であり、(b)は把持装置1の把持状態時の断面図である。
【図5】把持状態時の把持装置1の保持本体部2のみを断面し、ロッド機構部3の構造を示した把持装置1の斜視図である。
【図6】(a)は開放状態におけるボール収容孔22a、22b、22c、22dの近傍の構造を示す断面図であり、(b)は把持状態におけるボール収容孔22a、22b、22c、22dの近傍の構造を示す断面図である。
【図7】積込装置100の動作を示す概略正面図である。
【図8】ボールの代わりにボトルBを把持する滑動体として概ねピン形状の係合部材を用いた場合におけるロッド30aの先端30auの付近の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 把持装置
2 保持本体部
3 ロッド機構部
10 ベースプレート
20 円筒部
21 スカート部
22a、22b、22c、22d ボール収容孔
23a 23b、23c、23d 許容孔
30a、30b、30c、30d プッシュロッド
40a、40b、40c、40d ボール
41 シリンダ室
42 ピストン体
43 圧縮コイルスプリング
44a、44b ジョイントバー
45 キャップガイド
100 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持装置本体を取り出し位置から積み込み位置まで往復移動させながら、くびれ部を有する寸胴型の把持対象物を把持姿勢で搬送し、前記把持対象物の積み込みを行う積込装置に用いられる把持装置であって、
前記把持対象物は、積込時に隣接して配列される他の把持対象物との間に1以上の隙間を有する形状からなり、
前記把持装置は、
前記把持対象物の口部側を受け入れる空洞部が下面に穿設された本体部と、
前記本体部の外周にあり、前記把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に、上下摺動自在に立設され、先端が楔形状に形成されたロッドと、
ロッド先端の下方に設けられ、ロッドの移動に伴う楔作用によって、前記空洞部内方へ滑動付勢させる滑動体とを備え、
前記積込装置は、把持装置本体を前記把持対象物の上方から下降させ前記空洞部に前記把持対象物の口部側を挿入させ、その状態で、前記ロッドを下降させ前記滑動体を前記空洞部内方へ滑動させて、前記把持対象物のくびれ部に係合させ、把持状態を実現する
ことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記把持対象物は円筒形状からなり、
前記把持対象物に対する前記隙間相当部位は4箇所存在し、
前記隙間部位のそれぞれは、前記本体部の4隅相当部位に位置しており、
前記4隅相当部位のそれぞれにロッドが立設され、
前記本体部は、
十文字状をなし、前記十文字状の先端部位のそれぞれが前記4隅相当部位に位置する十文字バーと、
前記4隅相当部位のそれぞれにおいて、前記十文字バーの上下動を許容する許容孔を備え、
前記ロッドそれぞれは、前記ロッドの楔形状の先端部とは異なる他端部と当該箇所に位置する先端部位とが連結されることにより、上下摺動自在となる
ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記本体部の上方部は、概ね円筒状の形状をなす円筒状立体をなしており、
前記許容孔は、前記円筒状立体に備えられ、
前記円筒状立体において、前記許容孔のそれぞれから前記ロッドの上昇方向にかけて凹面が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記本体部の下方部は、角筒状の形状をなす角筒立体であり、
前記角筒立体の1辺は前記円筒状立体の直径とほぼ同一であり、
前記各ロッドは、前記矩形立体の4隅相当部位のそれぞれに立設されている
ことを特徴とする請求項3に記載の把持装置。
【請求項5】
複数の把持装置を取り出し位置から積み込み位置まで往復移動させながら、くびれ部を有する寸胴型の把持対象物を把持姿勢で搬送し、前記把持対象物の積み込みを行う積込装置であって、
前記把持対象物は、積込時に隣接して配列される他の把持対象物との間に1以上の隙間を有する形状からなり、
前記複数の把持装置のそれぞれは、
前記把持対象物の口部側を受け入れる空洞部が下面に穿設された本体部と、
前記本体部の外周にあり、前記把持対象物の隙間相当部位に位置する少なくとも1箇所に、上下摺動自在に立設され、先端が楔形状に形成されたロッドと、
ロッド先端の下方に設けられ、ロッドの移動に伴う楔作用によって、前記空洞部内方へ滑動付勢させる滑動体とを備え、
前記積込装置は、
各ロッドを把持対象物の隙間相当部位に位置付けて、隣接するように前記複数の把持装置を配列し、
前記複数の把持装置それぞれに対して、前記把持装置本体を隣接するように配列された複数の前記把持対象物の上方から下降させ、前記空洞部に把持対象となる前記把持対象物の口部側を挿入させ、その状態で、前記ロッドを下降させ、前記滑動体を前記空洞部内方へ滑動させて、前記把持対象物のくびれ部に係合させることで把持状態を実現する
ことを特徴とする積込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−194770(P2008−194770A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31073(P2007−31073)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(592127965)NKE株式会社 (28)
【Fターム(参考)】