説明

抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤

【課題】抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤の提供。
【解決手段】L−シトルリンと、コラーゲン類から選択される1種あるいは2種以上を併用して含有する抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤。コラーゲン類としては、海洋性コラーゲンおよびその加水分解物並びにそれらの誘導体、植物性コラーゲン類似タンパク質およびその加水分解物並びにそれらの誘導体から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−シトルリンと、コラーゲン類を併用した抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加齢、疾患、ストレス、紫外線などによるシワ、シミ、皮膚の弾力低下といった皮膚症状の要因として、乾燥、細胞機能低下、紫外線によるメラニン産生や色素沈着、コラーゲンやエラスチンといった真皮マトリックス成分の減少や変性、紫外線等による細胞の酸化障害などが挙げられる。このような皮膚症状を防止・改善するために、様々な有効成分の検索および配合検討がなされてきた。
【0003】
例えば、皮膚の老化防止、改善作用を有する成分として、真皮の主要な構成成分であるコラーゲンが挙げられる。かかるコラーゲンとしては、魚類に由来する海洋性コラーゲン(特許文献1参照)や、植物由来のコラーゲン類似タンパク質(特許文献2参照)などが知られている。一方、L−シトルリンはアミノ酸のひとつであり、活性酸素消去作用を有することが知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−92997号公報
【特許文献2】特開平6−107517号公報
【特許文献3】特開2002−226370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらコラーゲン類単独での保湿効果はさほど高いものではなく、保湿有効量を配合すると、肌の表面に皮膜を形成し、逆に乾燥を招いたりするという問題があった。そこで本発明においては、コラーゲン類の有する保湿効果を相乗的に向上させ、肌への浸透性が向上した保湿剤を得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、L−シトルリンと、コラーゲン類を組み合わせて用いることにより、それぞれの成分を単独で使用したときよりも、抗老化効果、保湿効果、皮膚柔軟効果が相乗的に向上することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、L−シトルリンと、コラーゲン類を併用した抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、L−シトルリンと、コラーゲン類を組み合わせて用いることにより、抗老化効果、保湿効果、皮膚柔軟効果が相乗的に向上した抗老化剤、保湿剤、皮膚柔軟剤および皮膚外用剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物の水溶液を、皮膚へ塗布した後の時間経過による角層水分量の変化を表した図である。
【図2】L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物を配合した皮膚外用剤を皮膚へ塗布した後の時間経過による角層水分量の変化を表した図である。
【図3】L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物の水溶液を、皮膚へ塗布した後の時間経過による皮膚粘弾性の変化を表した図である。
【図4】L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物を配合した皮膚外用剤を皮膚へ塗布した後の時間経過による皮膚粘弾性の変化を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いるL−シトルリンは、タンパク質を構成しない遊離アミノ酸であり、哺乳類など多くの動物の体内に広く存在し、尿素回路を構成する化合物のひとつである。またスイカ等のウリ科植物、特にアフリカのカラハリ砂漠に自生する野生スイカに多く含まれている。
【0010】
本発明で用いるコラーゲン類としては、海洋性コラーゲンおよびその加水分解物並びにそれらの誘導体、植物性コラーゲン類似タンパク質およびその加水分解物並びにそれらの誘導体から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0011】
海洋性コラーゲンおよびその加水分解物並びにそれらの誘導体は、海洋性生物の各組織より抽出することができ、特に限定はされないが、魚類(例えば、タラ,ヒラメ,サケ,サメ,イワシ,マグロ,シタビラメ等)の、骨,皮,腱,浮き袋といった組織から公知の方法を用いて抽出される。
【0012】
また、上記のコラーゲンを酸,アルカリ,酵素又はこれらの組み合わせにより加水分解して得られる加水分解物、アテロ化物、サクシニル化物、前記加水分解物のエチルエステル,ヘキサデシルエステル等のアルキル又はアルケニルエステル、前記加水分解物のアラニンミリスチン酸縮合物,イソステアリン酸縮合物,ヤシ油脂肪酸縮合物,ウンデシレン酸縮合物,樹脂酸縮合物といった脂肪酸等の縮合物およびそれらの塩、前記加水分解物の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド付加物,グリシントリメチルアンモニウムクロリド付加物といったカチオン化修飾物およびそれらの塩、前記加水分解物の3−グリシドキシプロピルメチルジヒドロキシシラン付加物といった付加修飾物およびそれらの塩等も好ましく用いることができる。
【0013】
上記の海洋性コラーゲンは、動物性コラーゲンに比べて、角質柔軟効果,安全性の面において優れている。
【0014】
植物性コラーゲン類似タンパク質およびその加水分解物並びにそれらの誘導体としては、ヒドロキシプロリンを必須成分とするペプチドで、動物性コラーゲンとアミノ酸組成が類似していれば、特に限定されない。かかる成分としては、ニンジン(Daucus carota L.)由来タンパク質が例示される。
【0015】
L−シトルリンと、コラーゲン類を併用して含有する皮膚外用剤は、シトルリンあるいはコラーゲンを単独で含有する皮膚外用剤よりも、はるかに優れた抗老化作用、保湿作用、皮膚柔軟作用を発揮する。
【0016】
これらの各剤は、L−シトルリンと、コラーゲン類を併用して含む限り、その形態およびその他成分の配合の有無等については、なんら制限されない。形態については、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態を、その用途等に応じて選択でき、その形態とするために必要なビヒクル(賦形剤)、溶剤、その他の一般的な添加剤(酸化防止剤、着色剤、分散剤等)を任意に含むことができる。
【0017】
ここで、皮膚外用剤とは、化粧料、医薬部外品、外用医薬品等の、皮膚または毛髪に外用される全ての外用組成物を意味している。
【0018】
皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば、ローションなどの可溶化系やカラミンローション等の分散系、クリームや乳液などの乳化系として提供することができる。さらに、噴射剤と共に充填するエアゾール形態、軟膏剤、パップ剤などの種々の剤型で提供することもできる。
【0019】
具体的には、乳液、クリーム、ローション、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メイクアップ化粧料等の各種化粧料;液剤、軟膏、エアゾール剤、貼付剤、パップ剤等の様々な形態の化粧料、医薬部外品や外用医薬品などが例示できる。
【0020】
皮膚外用剤には、L−シトルリンと、コラーゲン類を併用した成分の他に、その用途と必要に応じて、医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、毛髪用化粧料および洗浄料等に通常配合される任意の成分、例えば水、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、ゲル化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、薬剤(薬効成分)、香料、樹脂、防菌防かび剤、抗酸化剤、アルコール類等を適宜配合することができる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、他の保湿剤、抗老化剤、抗酸化剤、痩身剤、美白剤、抗炎症剤、免疫賦活剤、あるいは各種植物/菌類またはその抽出物との併用も可能である。
【0021】
本発明におけるL−シトルリンの皮膚外用剤への配合量は、種類や目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して、固形分換算で、0.01〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜3.0質量%であり、さらに好ましくは0.1〜3.0質量%である。
【0022】
本発明におけるコラーゲン類の皮膚外用剤への配合量は、種類や目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して、固形分換算で、0.001〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.001〜5.0質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。
【実施例】
【0023】
以下にL−シトルリンと、コラーゲン類の併用例、抗老化効果、保湿効果、皮膚柔軟効果を評価するための試験方法、皮膚外用剤としての処方例についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0024】
コラーゲン類として、タラ由来コラーゲン(平均分子量300000、商品名Marine Collagen、Arch Personal Care社製)、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000、商品名ニッピペプタイド FCP−AS−L、ニッピ社製)、サメ由来コラーゲン(平均分子量3000、商品名ファルコニックス CTP−F(BG)、一丸ファルコス社製)を用いた。
【0025】
[調製例]
L−システイン、タラ由来コラーゲン、魚類由来コラーゲン、サメ由来コラーゲンの各成分について、L−システイン:タラ由来コラーゲン:魚類由来コラーゲン:サメ由来コラーゲン=1:1:1:1の割合で混合し、調製例とした。
【0026】
L−シトルリンと、上記各コラーゲンを用いて、それぞれの成分および混合物について、抗老化効果、保湿効果、皮膚柔軟効果の比較評価を行った。なお各評価結果に記載した*は、t検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で表したものである。
【0027】
<抗老化効果(ヒト表皮角化細胞賦活作用)>
L−シトルリンと、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)を用いて、ヒト表皮角化細胞賦活作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0028】
正常ヒト表皮角化細胞NHEKを1ウェル当り2.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはHumedia−KG2培地(クラボウ社製NHEK増殖培地)を用いた。24時間培養後、表1に示す各濃度となるようにL−シトルリン、魚類由来コラーゲン、およびそれぞれの混合物を添加したKG2培地に交換し、さらに24時間培養した。次に100μg/mLとなるよう培地にて調整したMTT試薬を、上清を除いた細胞に添加し、約1時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価結果を試料無添加のコントロールにおける細胞賦活作用を100とした時の相対値にて表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1より明らかなように、L−シトルリンと、コラーゲンの混合物には、それぞれの成分を単独で用いたときよりも有意なヒト表皮角化細胞賦活作用が認められることから、抗老化効果が相乗的に向上した。
【0031】
<保湿効果(ヒト表皮角化細胞アルギナーゼ活性促進作用)>
L−シトルリンと、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)を用いて、ヒト表皮角化細胞アルギナーゼ活性促進作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0032】
正常ヒト表皮角化細胞NHEKを1ウェル当り2.0×10個となるようにコラーゲンコートされた96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはHumedia−KG2培地(クラボウ社製のNHEK増殖培地)を用いた。24時間培養後、表2に示す各濃度となるようにL−シトルリン、魚類由来コラーゲン、およびそれぞれの混合物を添加した、1.2mMのCaClを含むKG2培地(分化誘導培地)に交換し、さらに9日間培養した。培地交換は3日に1回のペースで行った。培養上清中に分泌された尿素の定量には、尿素窒素 B−テストワコー(和光純薬)を用いた。アルギナーゼはアルギニンを加水分解し、オルニチン、尿素を生成する。尿素はウレアーゼによってアンモニアに分解され、アンモニアはペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(ニトロプルシッドナトリウム)存在下でサリチル酸、次亜塩素酸と反応し、インドフェノールが生成する。アルカリ性条件下でインドフェノールに由来する570nmの吸光度を測定し、尿素濃度を求め、アルギナーゼ活性の定量を行った。PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにて各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量当りのアルギナーゼ活性を求めた。評価結果を試料無添加のコントロールにおける単位タンパク量当りのアルギナーゼ活性を100とした時の相対値にて表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
表2より明らかなように、L−シトルリンと、コラーゲンの混合物には、それぞれの成分を単独で用いたときよりも有意なヒト表皮角化細胞アルギナーゼ活性促進作用が認められることから、保湿効果が相乗的に向上した。
【0035】
<水溶液における保湿効果(角層水分量増加作用)>
L−シトルリン、タラ由来コラーゲン(平均分子量300000)、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)およびサメ由来コラーゲン(平均分子量3000)を用いて、それぞれの水溶液における角層水分量増加作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0036】
蒸留水にて表3に示す各濃度となるように、L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物の水溶液を調製し、前腕部3×4cmの範囲に2μL塗布し、塗布前、塗布後1時間後の角質水分量を測定した。角質水分量は、SKICON−200(アイ・ビイ・エス株式会社製)を用い、各塗布部位から5ポイント測定した。5ポイントの測定値の平均値を角質水分量とし、塗布前の角質水分量を1とした相対値で表3に示した。
【0037】
【表3】

【0038】
表3および図1より明らかなように、L−シトルリンと、3種のコラーゲンの混合物の水溶液には、それぞれの成分の水溶液を単独で用いたときよりも、はるかに高い角層水分量増加作用が認められることから、保湿効果が相乗的に向上した。
【0039】
<処方における保湿効果(角層水分量増加作用)>
L−シトルリン、タラ由来コラーゲン(平均分子量300000)、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)およびサメ由来コラーゲン(平均分子量3000)を用いて、それぞれの処方中における角層水分量増加作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0040】
表4に示す基本処方をもとに、表5に示す各濃度となるようにL−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物を、等量の精製水と置き換えた皮膚外用剤を調製した。各皮膚外用剤を、前腕部3×4cmの範囲に2μL塗布し、塗布前、塗布後10分後、2時間後の角質水分量を測定した。角質水分量は、SKICON−200(アイ・ビイ・エス株式会社製)を用い、各塗布部位から5ポイント測定した。5ポイントの測定値の平均値を角質水分量とし、塗布前の角質水分量を1とした相対値で表5に示した。
【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
表5および図2より明らかなように、L−シトルリンと、3種のコラーゲンの混合物を配合した皮膚外用剤には、それぞれの成分を単独で含む皮膚外用剤よりも、はるかに高い角層水分量増加作用が認められることから、保湿効果が相乗的に向上した。
【0044】
<水溶液における皮膚柔軟効果(皮膚粘弾性増加作用)>
L−シトルリン、タラ由来コラーゲン(平均分子量300000)、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)およびサメ由来コラーゲン(平均分子量3000)を用いて、それぞれの水溶液における皮膚粘弾性増加作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0045】
蒸留水にて表6に示す各濃度となるように、L−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物の水溶液を調製し、前腕部3×4cmの範囲に2μL塗布し、塗布前、塗布後2時間後の皮膚粘弾性を測定した。皮膚粘弾性はキュートメーターSEM575(Courage−Khazaaka slectronic社製)を用いて測定した。得られた弾性値を皮膚粘弾性とし、塗布前の弾性値を1としたときの相対値で表6に示した。
【0046】
【表6】

【0047】
表6および図3より明らかなように、L−シトルリンと、3種のコラーゲンの混合物の水溶液には、それぞれの成分の水溶液を単独で用いたときよりも、はるかに高い皮膚粘弾性増加作用が認められることから、皮膚柔軟効果が相乗的に向上した。
【0048】
<処方における皮膚柔軟効果(皮膚粘弾性増加作用)>
L−シトルリン、タラ由来コラーゲン(平均分子量300000)、魚類由来コラーゲン(平均分子量1000)およびサメ由来コラーゲン(平均分子量3000)を用いて、それぞれの処方中における皮膚粘弾性増加作用の比較評価を、以下に示す方法により行った。
【0049】
表4に示す基本処方をもとに、表7に示す各濃度となるようにL−シトルリン、各コラーゲン類、およびそれぞれの混合物を、等量の精製水と置き換えた皮膚外用剤を調製した。各皮膚外用剤を、前腕部3×4cmの範囲に2μL塗布し、塗布前、塗布後2時間後の皮膚粘弾性を測定した。皮膚粘弾性はキュートメーターSEM575(Courage−Khazaaka slectronic社製)を用いて測定した。得られた弾性値を皮膚粘弾性とし、塗布前の弾性値を1としたときの相対値で表7に示した。
【0050】
【表7】

【0051】
表7および図4より明らかなように、L−シトルリンと、3種のコラーゲンの混合物を配合した皮膚外用剤には、それぞれの成分を単独で含む皮膚外用剤よりも、はるかに高い皮膚粘弾性増加作用が認められることから、皮膚柔軟効果が相乗的に向上した。
【0052】
続いて、上記調製方法で得られたL−システインと、3種のコラーゲンとの混合物(調製例)を配合した皮膚外用剤の処方例を示す。
【0053】
[実施例1]乳液
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.15
(10)精製水 100とする残部
(11)アルギニン(1質量%水溶液) 20.0
(12)調製例 5.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。冷却後40℃にて、(11)と(12)を順次加え、均一に混合する。
【0054】
[実施例2]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 100とする残部
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)調製例 1.0
製法:(1)に(2)および(3)を溶解する。さらに(4)〜(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)を加え、均一に混合する。
【0055】
[実施例3]クリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 100とする残部
(11)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15.0
(12)調製例 5.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。(11)を添加して攪拌後、冷却し40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
【0056】
[実施例4]美容液
(1)精製水 100とする残部(質量%)
(2)グリセリン 10.0
(3)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(4)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 17.5
(5)アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15.0
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(8)N−ラウロイル−L−グルタミン酸
ジ(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2.0
(9)硬化パーム油 2.0
(10)スクワラン(オリーブ由来) 1.0
(11)ベヘニルアルコール 0.75
(12)ミツロウ 1.0
(13)ホホバ油 1.0
(14)1,3−ブチレングリコール 10.0
(15)L−アルギニン(10質量%水溶液) 2.0
(16)調製例 3.0
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。冷却後50℃にて(15)を、40℃にて(16)を加え、均一に混合する。
【0057】
[実施例5]水性ジェル
(1)カルボキシビニルポリマー 0.5(質量%)
(2)精製水 100とする残部
(3)水酸化ナトリウム(10質量%水溶液) 0.5
(4)エタノール 10.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)香料 0.1
(7)調製例 0.5
(8)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 1.0
製法:(1)を(2)に加え、均一に攪拌した後、(3)を加える。均一に攪拌した後、(4)に予め溶解した(5)を加える。均一に攪拌した後、予め混合しておいた(6)〜(8)を加え、均一に攪拌混合する。
【0058】
[実施例6]洗顔フォーム
(1)ステアリン酸 16.0(質量%)
(2)ミリスチン酸 16.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)グリセリン 25.0
(5)水酸化ナトリウム 7.5
(6)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.0
(7)精製水 100とする残部
(8)調製例 0.1
製法:(1)〜(4)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(5)〜(7)の水相成分を80℃にて加熱溶解し、油相成分と均一に混合攪拌する。冷却後40℃にて(8)を加え、均一に混合する。
【0059】
[実施例7]メイクアップベースクリーム
(1)スクワラン 10.2(質量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリントリ−2−エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(5)プロピレングリコール 11.0
(6)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(7)精製水 100とする残部
(8)酸化チタン 1.0
(9)ベンガラ 0.1
(10)黄酸化鉄 0.4
(11)香料 0.1
(12)調製例 3.0
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(5)〜(7)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(11)と(12)の成分を加え、均一に混合する。
【0060】
[実施例8]乳液状ファンデーション
(1)メチルポリシロキサン 2.0(質量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 0.7
(7)1,3−ブチレングリコール 8.0
(8)キサンタンガム 0.1
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)精製水 100とする残部
(11)酸化チタン 9.0
(12)タルク 7.4
(13)ベンガラ 0.5
(14)黄酸化鉄 1.1
(15)黒酸化鉄 0.1
(16)香料 0.1
(17)調製例 0.5
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(11)〜(15)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。油相成分を加え、乳化を行う。冷却後40℃にて(16)と(17)の成分を順次加え、均一に混合する。
【0061】
[実施例9]油中水型エモリエントクリーム
(1)流動パラフィン 34.0(質量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリンオレイン酸エステル 5.0
(5)塩化ナトリウム 1.3
(6)塩化カリウム 0.1
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)1,3−ブチレングリコール 5.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)調製例 3.0
(11)精製水 100とする残部
(12)香料 0.1
製法:(5)と(6)を(11)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に加える。これを混合した後、70℃にて加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散する。これに(7)〜(10)を(11)の残部に70℃にて加熱溶解したものを攪拌しながら加え、ホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
【0062】
[実施例10]パック
(1)精製水 100とする残部(質量%)
(2)ポリビニルアルコール 12.0
(3)エタノール 17.0
(4)グリセリン 9.0
(5)ポリエチレングリコール(平均分子量1000) 2.0
(6)調製例 1.0
(7)香料 0.1
製法:(2)と(3)を混合し、80℃に加温した後、80℃に加温した(1)に溶解する。均一に溶解した後、(4)と(5)を加え、攪拌しながら冷却する。40℃にて(6)と(7)を加え、均一に混合する。
【0063】
実施例1〜実施例10に示した皮膚外用剤は、抗老化作用、保湿作用、皮膚柔軟作用を有する組成物であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−シトルリンと、コラーゲン類から選択される1種あるいは2種以上を併用して含有する抗老化剤。
【請求項2】
L−シトルリンと、コラーゲン類から選択される1種あるいは2種以上を併用して含有する保湿剤。
【請求項3】
L−シトルリンと、コラーゲン類から選択される1種あるいは2種以上を併用して含有する皮膚柔軟剤。
【請求項4】
L−シトルリンと、コラーゲン類から選択される1種あるいは2種以上を併用して含有する皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−219385(P2011−219385A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87679(P2010−87679)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】