説明

抗菌剤としてのチアゼピンオキサゾリジノン

本発明は、新しい部類のオキサゾリジノン誘導体、それらの抗菌剤としての使用、これらの化合物を含有する医薬組成物、及びそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい部類のオキサゾリジノン誘導体、それらの抗菌剤としての使用、これらの化合物を含有する医薬組成物及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌耐性は、近年驚くべき速さで現れており、そして近い将来確実に増加するであろう、世界的な臨床及び公衆衛生問題である。菌の感染が非常に増幅される場合においては、耐性は社会においてのみならず、健康管理においても問題である。多剤耐性は増大しつつある問題となっているので、内科医は、現在有効な治療法のない感染に直面している。その結果、新しい作用機構を有する構造的に新規な抗菌剤が、菌感染症の治療において、益々重要になりつつある。
【0003】
より新しい抗菌剤の中で、オキサゾリジノン化合物は、最も新しい合成品の抗菌剤である。本発明は、多剤耐性株の菌を含む多くのヒト及び獣の病原菌に対して活性を有する、新しい部類の、チアゼピン環を有するオキサゾリジノン誘導体を提供する。
【0004】
情報の開示
WO第9323384号、WO第20028084号、WO第2003072553号、WO第2003072576号、WO第2003072575、WO第200142229号、WO第200264575号、WO第9615130号、WO第200216960号、WO第200027830号、WO第200146185号、WO第200281469号、WO第200281470号、WO 2001080841号、WO第2003084534号、WO第2003093247号、WO第200202095号、WO第200230395号、WO第200272066号、WO第2003063862号、WO第2003072141号、WO第2003072081号、WO第2003119817号、WO第2003008389号、WO第2003007870号、WO第200206278号、WO第200032599号、WO第9924428号、WO 第2004014392号、WO第2004002967号、WO第2004009587号、WO第2004018439号、米国特許出願第2004/0044052号、米国特許第5547950号、米国特許第5700799号、及び独国特許第10034627号は、菌感染症を治療するために有用な抗菌性を有するオキサゾリジノン化合物を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式I:
【化1】

(ここで、
Aは、以下の式i、ii、iii又はiv:
【化2】

の構造であり;
Wは、(a)CONHR1
(b)CH2NHR2
(c)CH2OH、
(d)CH(OH)−CH=CHR1
(e)CH(OH)C≡CR1
(f)CH2NH−het、
(g)CH2O−het、
(h)CH2S−het、又は
(i)CH2−het
であり;
Xは、S、SO、SO2又はS=N−C(=O)C1-6アルキルであり;
1は、CH、CF又はNであり;
2及びY3は、独立に、CH又はCFであり;
1は、H、C1-6アルキル又はOC1-6アルキルであり;
2は、C(=O)C1-6アルキル又はCO2(NH)C1-6アルキルであり;
「.....」は、各々独立に、結合であるか又は存在せず;
各々の場合において、C1-6アルキルは、CF3、ハロ、OH、OC1-4アルキル、CN、N3、O(C=O)C1-4 アルキル、C3-6シクロアルキル、NH2、NHC(=O)C1-4アルキル又はC(=O)C1-4アルキルの1つ又はそれ以上で場合により置換され;
hetは、酸素、硫黄及び窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を環内に有する5員環又は6員環のヘテロ環であり、ここで、het内での各々の炭素原子は、CF3、ハロ、OH、OC1-4アルキル、CN、N3、O(C=O)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、NH2、NHC(=O)C1-4アルキル又はC(=O)C1-4 アルキルの1つ又はそれ以上で場合により置換され;但し、
Aが式iiであり、各々の「.....」が存在しない場合は、R2は、C(=O)C1-6アルキル以外である)
の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、又、
薬学的に許容される担体及び式Iの化合物を含む医薬組成物;
式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を、必要とする対象に投与することによる、哺乳動物における菌感染症を治療する方法;及び
菌感染症を治療するための医薬品を製造するための、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用;
を提供する。
本発明は、又、式Iの化合物を製造するために有用な、新規な中間体及び新規な方法を提供することができる。
【0007】
〔発明の詳細な説明〕
特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲における以下の用語は、下記の意味を有する。
種々の炭化水素を含む部分構造の炭素原子の数は、その部分構造における炭素原子の最小数と最大数を明示した接頭辞で示され、即ち、接頭辞Ci-jは、整数「i」から、整数
「j」の炭素原子数を含む部分構造を意味する。それ故、例えば、C1-6アルキルは、1〜6個の炭素原子を含むアルキルを意味する。
【0008】
用語アルキル又はアルケニル等は、直鎖状及び分枝鎖状の基の両者を意味するが、しかし、「プロピル」のような個々の基は、直鎖状の基のみを含み、「イソプロピル」等の分枝鎖状の異性体は、具体的な名前で呼ばれる。
【0009】
用語「ハロ」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)又はヨード(I)を意味する。用語、ある化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容可能であり、そして、親化合物の所望の薬学的活性を保有する塩を意味する。
【0010】
用語「het」は、酸素、硫黄及び窒素から成るグループから選択される1〜4個のヘテロ原子を環内に有する(5)又は(6)員環のヘテロ環である。hetの実例としては、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリノン、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリン、チオモルホリン(又、チアモルホリンとも呼ばれる)、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これらに限定されない。hetの別の実例としては、ピリジン、チオフェン、フラン、ピラゾール、ピリミジン、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、3−ピラジニル、4−オキソ−2−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラソリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、4−オキソ−2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1,2,3−オキサチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾール、4−イソチアゾール、5−イソチアゾール、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソピロリル、4−イソピロリル、5−イソピロリル、1,2,3−オキサチアゾール−1−オキシド、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,5−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−5−イル、2−オキソ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、テトラゾール−1−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、5−オキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1,3,4−オキサジアゾール、4−オキソ−2−チアゾリニル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、チアゾールジオン、1,2,3,4−チアトリアゾール、又は1,2,4−ジチアゾロンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
用語「薬学的に許容される担体」とは、医薬組成物を製造するために有用な担体を意味し、それは一般的には安全、非毒性であり、そして、生物学的にも、又はその他においても望ましくないものではなく、そして、ヒトの薬学的使用のみならず、獣医学的使用に対しても許容される担体を含む。本明細書及び特許請求の範囲において使用される「薬学的に許容される担体」は、1つ及び1つより多くの担体の両者を含む。
【0012】
用語「哺乳動物」は、ヒト又は家畜、及びコンパニオン・アニマルを含む温血動物を意味する。家畜は、ヒトの肉消費のための好適な動物を意味する。例としては、豚、畜牛、鶏、魚、七面鳥、兎等が挙げられる。コンパニオン・アニマルは、犬、猫等のペットとして飼育される動物を意味する。
【0013】
用語「任意の」又は「場合により」は、後に続いて記載される出来事又は状況が、必ずではないが、起こるかもしれないことを意味し、そして、その記述は、出来事又は状況が起こる場合、及び、起こらない場合の両者を含むことを意味する。
【0014】
用語、疾病を「治療すること」又は「治療」には、(1)疾病を予防すること、即ち、疾病の臨床的症状を、罹るかも知れない若しくは罹りやすいが、未だ疾病を経験してなく、又は疾病の症状を示してない哺乳動物に発現させないこと;(2)疾病を抑制すること、即ち、疾病若しくはその臨床的症状の進行を阻止すること、又は低下させること;又は(3)疾病を和らげること、即ち、疾病又はその臨床的症状を退行させること;が挙げられる。
【0015】
用語「治療的有効量」とは、疾病を治療するために哺乳動物に対して投与される場合、疾病の治療に影響を与えるのに十分な化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、その化合物、疾病及びその重症度、並びに治療する哺乳動物の年齢、体重等によっても変化するであろう。
【0016】
用語「プロドラッグ」は、生体内で急速に変換して、例えば、血液中での加水分解により、上記式の親化合物を生成する化合物を意味する。綿密な考察は、T. Higuchi and V. Stella,“Pro-drugs as Novel Delivery Systems,”Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, and in Bioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987の中でなされている。
【0017】
用語「脱離基」は、有機合成化学において、従来それに関連した意味を有し、即ち、求核剤により置換され得る原子又は基を意味し、クロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロスルホニルオキシ、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシル−アミノ等の、ハロゲン、アルキルスルホニルオキシ、エステル、又はアミノ基が挙げられる。
【0018】
同一分子式を有するが、性質において、又はそれらの原子の結合配列において、又はそれらの原子の空間配置において異なる化合物を「異性体」と称する。原子の空間配置において異なる異性体を「立体異性体」と称する。
【0019】
キラル中心を有する本発明の化合物は、光学的に活性な形態及びラセミ体として存在することができ、そしてそれらに単離できることは、当業者には理解されるであろう。ある化合物は多形性を示し得る。本発明は、本発明の化合物のいかなるラセミ体、光学活性体、多形態、互変異性体、若しくは立体異性体、又はそれらの混合物をも包含し、それらが、本明細書に記載した有用な特性を有することは理解すべきである。光学活性体の製造法(例えば、再結晶化技術によるラセミ体の分割、光学活性な出発物資からの合成、キラル合成又はキラル固定相を用いたクロマトグラフィーによる分割)、及び本明細書に記載した標準的試験法、又は当業者に周知の他の類似の試験法を用いた抗ウイルス活性の評価法も当業者に周知である。
【0020】
本発明の化合物は、一般的には、IUPAC又はCASの命名システムに基づいて命名される。
【0021】
当業者に公知の略号を使用することができる(例えば、フェニルに対して「Ph」、メチルに対して「Me」、エチルに対して「Et」、1時間又は数時間に対して「h」、そして室温に対して「rt」)。
【0022】
基、置換基に対して以下に記載される特異的な及び好ましい値、並びに範囲は説明のためのみであり、それらは、基及び置換基に対する他の定義された値又は他の定義された範囲内の他の値を排除するものではない。
【0023】
具体的には、アルキルは、直鎖状及び分枝鎖状の基の両者を意味するが、しかし、「プロピル」の様な個々の基は、直鎖状の基のみを包含し、「イソプロピル」等の分枝鎖状の異性体は具体的に呼ばれる。
具体的には、アリキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、及びそれらの異性体の形態である。
具体的には、アリケニルは、ビニル、プロペニル、アリル、ブテニル、及びそれらの異性体の形態である。
【0024】
具体的には、ハロは、フルオロ(F)、又はクロロ(Cl)である。
【0025】
具体的には、本発明は、式Ia:
【化3】

(ここで、
2及びY3は、独立に、CH又はCFであり;そして、
Wは、CONHR2又はCO2(NH)C1-6アルキルである)
の化合物を提供する。
【0026】
具体的には、本発明は、式Ib:
【化4】

(ここで、
2及びY3は、独立に、CH又はCFであり;
具体的には、XはSO2であり;
具体的には、R1は、H、CH3又はOCH3である)
の化合物を提供する。
【0027】
本発明の実例としては:
(1)3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(2)3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(3)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(4)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(5)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メトキシ−アミド;
(6)3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(7)3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(8)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(9)5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(10)5(R)−3−[4−(1−オキソ−λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル;
(11)5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(12)5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;又は
(13)5(R)−3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
が挙げられる。
【0028】
本発明の化合物は、以下で考察する1つ又はそれ以上のスキームに従って製造できる。全ての出発物質は市販されているか、又は有機化学における当業者に周知の手法により製造可能である。スキームにおいて用いられる変数は、以下で定義される、又は発明の開示若しくは特許請求の範囲において定義される通りである。
【0029】
【化5】

【0030】
スキームIは、市販のアニリン1(ここで、X、Y1、Y2、Y3及びR2は、定義した通りである)から出発する、C−5位にカルボキシアミド側鎖を有するオキサゾリジノン環の合成を説明している。初めに、アニリン1を、(2R)−エポキシプロパン酸アルキル及びトリフル酸リチウムの様なLewis酸(米国特許出願第2004/0044052号に記載の通り)と反応させ、アミノアルコール2を得る。次に、アミノアルコール2を、当業者に公知の方法を用いて環化し、アリールオキサゾリジノン3を得る。例えば、中間体2を、1,1’−カルボニルジイミダゾールと、アセトニトリル又はテトラヒドロフランの様な溶媒中で、適切な温度で、典型的には20℃〜80℃の範囲内で処理することにより、オキサゾリジノン3を得る。或いは、2をホスゲンと、トルエン若しくはメチレンクロリド、又はそれらの混合物の様な溶媒中で、トリエチルアミンの様な塩基の存在下で、適切な温度で、典型的には−10℃〜25℃の範囲内で反応させることにより、オキサゾリジノン3を得る。生成物は収集したままで用いても良く、又は、先ず、分取型TLC若しくはHPLC等のクロマトグラフィー、析出、結晶化等の通常の技術を用いて精製しても良い。
【0031】
引き続いて、オキサゾリジノンエステル3を、アンモニア、又は場合により置換されたアミン(R2NH2)を用いて、メタノール又はアセトニトリルの様な好適な溶媒中で処理し、アミド4(R2=H、又は場合により置換されたアルキル)を得る。同様にエステル3を、O−アルキルヒドロキシルアミンで処理して、ヒドロキサメート(R2=O−アルキル)を得る。生成物は収集したままで使用しても良く、又は、先ず、分取型TLC又はHPLC等のクロマトグラフィー、析出、結晶化等の通常の技術を用いて精製しても良い。
【0032】
【化6】

【0033】
スキームIIは、チオアゼパノン環を有するアニリン中間体1の合成を説明している。チオアゼパノン5(合成はスキームIIIを参照)を求核的芳香族置換反応において、フルオロニトロベンゼン(例えば、3,4−ジフルオロニトロベンゼン)と反応させ、中間体6を得る。この様な反応は当業者には周知であり、これらの反応を記載している総説は入手可能である(Zoltewicz in Top. Curr. Chem. 1975, vol. 59, pp. 33-64を参照)。これらの変換反応は、一般的には約40℃から約90℃の温度範囲で、アセトニトリル又はジメチルホルムアミドの様な極性非プロトン性溶媒を用いて、そしてトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンの様な酸捕捉性塩基の存在下で行われる。
【0034】
次いで、中間体6は、場合により窒素原子上でアルキル化され、中間体7を生成する。例えば、6をメチルヨージドと、塩基として水酸化カリウム、相転移触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミドを用いて反応させ、中間体7を得る。次いで、中間体7を、場合により中間体8に転換する。この場合、アミドは、アミドオキシム又は同様の官能基に転換されている。これらの転換反応は、典型的には2工程で行われ、初めのアミドからチオアミドへの転換と、それに続くチオアミドの、例えば、O−メチルヒドロキシルアミン(アミドオキシムを生成するため)との反応が含まれる。最終的には、中間体8を還元してアニリン中間体1を得る。この還元反応は、一般的には、8を還元性金属(例えば、鉄粉)と反応させて行う。この反応は、約60℃から約90℃の温度範囲で、溶媒として水及びアルコール(メタノール、エタノール等)の混合液中で、そして、反応混合物を緩衝化させるため、アンモニウムクロリドの存在下で行うのが望ましい。場合により、このタイプの還元反応は、スズ又は亜鉛等の他の金属との反応、又はパラジウム若しくは白金触媒存在下での水素化により行われる(Rylander Hydrogenation Methods; Academic Press: New York, 1985, pp. 104-116を参照)。生成物は収集したままで使用しても良く、又は、先ず、分取型TLC又はHPLC等のクロマトグラフィー、析出、結晶化等の通常の技術を用いて精製しても良い。9の様なアニリン中間体は、次いで、スキームIで記載したのと同様の方法でオキサゾリジノン同族体に転換可能である。
【0035】
スキームIII〜VIは、スキームI〜IIに記載されたタイプのチアゼピン、及び関連するへテロ環を有するアリールイソオキサゾリノン、アリールイソオキサゾリン及びアリールブチロラクトン化合物の合成を記載している。以下のスキームは、Aが(ii)、(iii)又は(iv)である特許請求の範囲の構造を製造するための一般的方法を記載している。これらの化合物を製造するために必要とされる出発物質は、芳香族アルデヒドである。チアゼピン及び関連へテロ環は、上記のスキームI〜IIにおいて記載された通りに製造できるが、好適な保護基が、反応性の高い官能基を保護し、後で再生するために必要とされ得ることは当業者に理解されるであろう。
【0036】
スキームIIIは、必要な置換ベンズアルデヒド中間体の合成を要約している。
前記のスキームで記載された一般的方法は、出発物質としてフッ素化ニトロベンゼンの代わりにフッ素化ベンゾニトリル(9)又は安息香酸エステルを用いること以外は適用可能である。必要な出発物質(例えば、3,4,5−トリフルオロベンゾニトリル)は、市販されている。これらの出発物質の中間体10への転換は、アニリン中間体の製造のためのスキームIに記載された方法と同様の方法を用いて、数工程を経て行われる。次いで、中間体10は、当業者に周知の方法を用いて、例えば、SnCl2/HClによりイミンに還元し、次いで、加水分解する方法(Stephenアルデヒド合成)を用いて、ベンズアルデヒド中間体11に転換される。
【0037】
【化7】

【0038】
スキームIVは、アリールイソオキサゾリノン同族体の製造を記載している。初めの工程は、ベンズアルデヒド中間体11とジアゾ酢酸エチルを反応させ(Mahmood et al. in J.
Org. Chem., 1998, 63, 3333-3336において記載された通り)、エステルアルデヒド中間体12を得る反応を包含している。この物質のヒドロキシルアミンとの反応、それに続く加熱によるメタノール水溶液中での還流により、イソオキサゾリノン環及び中間体13が生成する。この中間体は、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミドアセテート(Barnes ら、米国特許第5284863号に記載された通りに製造された)と、DMFの様な非プロトン性溶媒中で反応させ、対応するメチルアセトアミド14に転換させる。
【0039】
【化8】

【0040】
スキームVは、ジアゼパノン、又は上記スキームで記載されたタイプの関連するへテロ環を有するアリールイソオキサゾリン化合物を製造するための一般的方法を記載している。スキームVの初めの工程において、ベンズアルデヒド中間体11を、ヒドロキシルアミン塩酸塩と、メタノールの様な極性プロトン性溶媒中で、ピリジンの様な塩基の存在下で反応させ、オキシム中間体15を得る。オキシム15は、N−クロロスクシンイミド(NCS)を用いて、ジクロロメタンの様な適切な溶媒中で酸化されて、ヒドロキシイミノイルクロリド中間体16を得る。次いで、この物質は、アルケン、例えば、アリルアルコールと、トリエチルアミンの様な塩基の存在下で、ジクロロメタンの様な溶媒中において反応させ、ヒドロキシメチル−置換イソオキサゾリ17を得る。次いで、17のヒドロキシメチル官能基を、確立された合成手法(例えば、米国PCT公報第2004/0127530号において記載された通りの)を用いて、アセトアミドメチル又は関連する部分構造(例えば、R’=Et、OMe等の場合の18)に転換し、18を得る。或いは、ヒドロキシイミノイルクロリド16を、N−アセチルアリルアミンと反応させ、直接、アセトアミドメチル−置換イソオキサゾリン生成物(18:R’=Me)を得る。場合により、ヒドロキシイミノイルクロリド中間体を、上記で記載した通りその場生成させ、次いで、アルケンと直接処理して、15から直接イソオキサゾリン中間体を生成させることができる。
【0041】
【化9】

【0042】
スキームVIは、22の様なアリールブチロラクトン同族体の合成を記載している。飽和(21の様な)の、及び不飽和(22の様な)の3−アリールブチロラクトン環系の合成は、文献(例えば、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1994, 4, 1925-1930 を参照)に記載されている。アルデヒド中間体11を、確立された手法(例えば、Hesterらにより米国特許第5,708,169号に記載されたように)を用いて、フェニル酢酸中間体19に転換する。19のジアニオンを、THF中で、R−ベンジルオキシメチルオキシランと反応させる。生成したヒドロキシ酸は、酸触媒(例えば、p−トルエンスルホン酸を用いて)下で環化させ、ラクトン20を得る。次いで、ベンジル基を水素化分解により除去し、そして生成したヒドロキシメチル官能基を、確立された合成手法(例えば、米国PCT公開公報第2004/0127530号)を用いて、アセトアミドメチル又は関連する部分構造(例えば、R’=Et、OMe等の場合の21)に転換させ、21を得る。最終的に、ブチロラクトンを、ブロム化(例えば、N−ブロモスクシンイミドを用いて)と、それに続くピリジン又はDBUの様な好適な塩基による処理による脱離を包含する2段階の手順を用いて酸化し、22を得る。
【0043】
【化10】

【0044】
医学的及び獣医学的使用
本発明の化合物は、種々の細菌性生物によって引き起こされる伝染性疾病の治療のために使用することができる。
例としては、多耐性ブドウ状球菌(staphylococci)、例えば、S. aureus 及び S. epidermidis;多耐性連鎖球菌(streptococci)、例えば、S. pneumoniae 及び S. pyogenes;そして多耐性腸球菌(Enterococci)、例えば、E. faecalis等;ヘモフィルス(Haemophilus)菌、例えば、H. influenzae;及びモラクセラ(Moraxella)菌、例えば、M. catarrhalis等のグラム陰性好気性菌;並びに、バクテロイデス(bacteroides)及びクロストリディア(clostridia)属等の嫌気性生物;及びマイコバクテリア(Mycobacteria)菌、例えば、M. tuberculosis;及び/又は、Mycobacterium avium等の抗酸性生物が挙げられる。他の例としては、エシェリキア(Escherichia)菌、例えば、大腸菌(E. coli);細胞間微生物、例えば、クラミジア菌(Chlamydia)及び リケッチア菌(Rickettsiae)が挙げられる。
【0045】
本発明の化合物で治療することができる感染症の実例としては、中枢神経系感染症、外耳感染症、急性中耳炎等の中耳感染症、硬膜静脈洞感染症、眼感染症、歯、歯茎及び粘膜炎等の口腔感染症、上気道感染症、下気道感染症、泌尿生殖器感染症、胃腸感染症、婦人科感染症、敗血症、骨及び関節感染症、皮膚及び皮膚構造感染症、細菌性心内膜炎、火傷、外科領域における抗菌剤による感染予防、癌化学療法を受診中の患者、臓器移植患者等の免疫抑制患者における抗菌剤による感染予防が挙げられる。具体的には、本発明の化合物により治療することができる感染症は、骨髄炎、心内膜炎及び糖尿病足等のグラム陽性感染症である。
【0046】
抗菌性
本発明のインビトロでの抗菌性は、(1) National Committee for Clinical Laboratory Standards (Jan. 2003), Methods for dilution antimicrobial tests for bacteria that grow aerobically, Approved Standard (6th ed), M7-A6, NCCLS, Wayne, PA; (2) National Committee for Clinical Laboratory Standards (Mar. 2001), Methods for antimicrobial susceptibility testing of anaerobic bacteria, Approved Standard (5th ed), M11-A4, NCCLS, Wayne, PA; (3) National Committee for Clinical Laboratory Standards (Jan.2003), MIC testing supplemental tables, M100-S13 (for use with M7-A6), NCCLS, Wayne, PA; and (4) Murray PR, Baron EJ, Jorgensen JH, etal. Manual of Clinical Microbiology (8th ed) Washington, DC: American Society for Microbiology Press, 2003 において推薦された、以下の手法で評価できる。抗菌性は、MIC値の形で提示することができる。MIC値は、テスト条件下で肉眼で認識可能な増殖を防いだ薬剤の最低濃度である。
【0047】
【表1】

【0048】
薬学的塩
式Iの化合物は、そのままの形態で、又は塩として使用して良い。安定な非毒性の酸又は塩基の塩を形成することが望ましい場合、その化合物を薬学的に許容される塩として投与することが適切である。本発明の薬学的に許容される塩の実例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及び炭酸塩等の無機塩、並びにトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、ケトグルタル酸塩及びグリセロリン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0049】
薬学的に許容される塩は、当業者に周知の標準的手法を用いて、例えば、アミン等の十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容されるアニオンを供与する好適な酸と十分に反応させることにより、得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム若しくはリチウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も、又、使用可能である。
【0050】
投与の経路
哺乳動物(即ち、ヒト及び動物)における、菌感染症の治療又は闘病のための治療上の使用において、本発明の化合物又はその医薬組成物は、経口的に、非経口的に、局所的に、経直腸的に、経粘膜的に、又は腸内に投与することができる。
【0051】
非経口的投与としては、全身的な効果を発生させるための間接的注入、又は関連する部分への直接的注入が含まれる。非経口的投与の実例としては、皮下、静脈内、筋肉内、皮膚内、髄膜下、眼球内、鼻腔内、脳室内注射又は注入技術がある。
【0052】
局所投与としては、例えば、眼、外耳、中耳感染を含む耳、膣、開放創、皮膚表面及び皮下構造を含む皮膚、又はその他下部消化管等の局所的適用により、容易に接触可能な感染部分又は組織の治療が挙げられる。
直腸への投与としては、座薬の形態が挙げられる。
経粘膜的投与としては、経鼻エアロゾル又は吸入投与が挙げられる。
好ましい投与経路としては、経口及び非経口である。
【0053】
組成物/処方
本発明の医薬組成物は、当業者に周知の方法により、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠化、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、凍結乾燥プロセス又はスプレー乾燥により製造することができる。
【0054】
本発明に従って用いられる医薬組成物は、活性な化合物を治療上使用可能な製剤へ加工するのに役立つ賦形剤及び助剤を含む、1つ又はそれ以上の生理学的に許容される担体を用いる、従来の方式で処方することができる。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。
【0055】
経口投与に対しては、化合物は、活性化合物を当業者に周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることにより処方することができる。その様な担体は、本発明の化合物を、錠剤、丸薬、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル、液体、溶液、乳液、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として、患者の経口摂取のために処方することを可能にする。担体は、希釈剤、着香料、可溶化剤、可塑剤、懸濁剤、結合剤、錠剤の崩壊剤及びカプセル化剤等として機能する少なくとも1つの物質であり得る。その様な担体又は賦形剤の実例としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、スクロース、ペクチン、デキストリン、マンニトール、ソルビトール、澱粉、ゼラチン、セルロース系物質、低融点ワックス、ココアバター若しくは粉末、又はポリエチレングリコール等の高分子、及びその他薬学的に許容される物質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0056】
糖衣錠の芯剤は、好適なコーテイング剤でコートされて提供される。この目的のために、濃厚な砂糖溶液が使われ、それらは場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、Carbopolゲル(商品名)、ポリエチレングリコール、及び/又は、二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒又は溶媒の混合物を含んでも良い。色素又は顔料を、識別のため、又は活性化合物の投与量の異なった組合せを特徴付けるため、錠剤又は糖衣錠のコーティング剤に加えても良い。
【0057】
経口的に使用される医薬組成物としては、ゼラチン製の押し込み型カプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤でできた軟質密封カプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトース等のフィラー、澱粉等の結合剤、及び/又は、タルク又はステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、そして場合により安定剤を含んでも良い。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、液状ポリエチレングリコール、Cremophor(商品名)、Capmul(商品名)、中鎖又は長鎖のモノ、ジ又はトリグリセリドの様な好適な液体中に溶解しても、又は懸濁しても良い。安定剤も、又、これらの処方に加えても良い。
【0058】
液体形態の組成物としては、溶液、懸濁液及び乳液が挙げられる。例えば、これらは、場合により好適な通常の着色剤、着香料、安定剤及び増粘剤を含む、水、水−プロピレングリコール、及び水−ポリエチレングリコール系に溶解した、本発明の化合物の溶液として供給される。
【0059】
化合物は、又、例えば、注射、ボーラス注入、又は持続注入により、非経口投与用としても処方される。非経口投与用処方は、単位剤形の形態で、例えば、アンプルで、又は複数回用量容器で、保存料を加えて提供される。組成物は、懸濁液、溶液、又は油状若しくは水性ビヒクル内での乳液の形態を取ることもでき、そして、懸濁剤、安定剤、及び/又は、分散剤等の処方物質を含んでも良い。
【0060】
注射用として、本発明の化合物は、水溶液に、好ましくは、生理学的に相溶性のある緩衝液に、又は生理学的食塩水緩衝液に処方される。好適な緩衝剤としては、オルトリン酸トリナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、N−メチルグルカミン、L(+)−リシン、及び、L(+)−アルギニンが挙げられる。
【0061】
非経口投与は、又、活性化合物の塩の様な水溶性の形態の水溶液が挙げられるが、それらに限定されない。更に、活性化合物の懸濁液は、脂肪親和性のビヒクル中に調製されて良い。好適な脂肪親和性のビヒクルとしては、ゴマ油の様な脂肪油、オレイン酸エチル及びトリグリセリドの様な合成脂肪酸エステル、又はリポソームの様な物質が挙げられる。水性の注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストラン等の懸濁液の粘度を増加させる物質を含んでも良い。場合により、懸濁液は、又、好適な安定剤、及び/又は、高度に濃厚な溶液の調製を可能にするための、化合物の溶解性を増加させる薬剤を含んでも良い。
【0062】
或いは又、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、発熱物質フリーの滅菌された水で構成するための、粉末の形態であっても良い。座薬投与のために、化合物は、刺激性がなく、室温では固体であるが、直腸の温度では液状となり、その結果、直腸内で溶解して薬剤を放出する、好適な賦形剤と混合することにより処方される。その様な物質としては、ココアバター、密蝋及びその他のグリセリドが挙げられる。
【0063】
吸入による投与のためには、本発明の化合物を、溶液、乾燥粉末、又は懸濁液の形態で、エアロゾルスプレーを通して都合よく送達することができる。エアロゾルは、加圧タンク又は噴霧器、及び好適な噴霧剤を用いることができる。加圧エアロゾルの場合、単位投与量は、定量送達のためのバルブにより制御できる。吸入器での使用のための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジには、ラクトース又は澱粉の様な支持基体(power base)を含有して処方されて良い。
【0064】
局所投与のために、医薬組成物は、1つ若しくはそれ以上の担体中に懸濁した、又は溶解した活性化合物を含む好適な軟膏中に処方される。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水が挙げられるが、それらに限定されない。或いは又、医薬組成物は、1つ若しくはそれ以上の薬学的に許容される担体中に懸濁又は溶解した活性成分を含む懸濁液、乳化液、又はクリーム等の好適なローションに処方することも可能である。好適な担体としては、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
眼及び耳疾患用として、医薬組成物は等張性のpHを調整した殺菌生理食塩水中にミクロ懸濁させた溶液として、又は、好ましくは、塩化ベンザルコニウムの様な保存料を含むか又は含まない、等張性のpHを調整した殺菌生理食塩水の溶液として処方されて良い。或いは又、眼疾患用としては、医薬組成物は、ワセリンの様な軟膏に処方されても良い。
【0066】
前記の処方に加えて、化合物は、又、デポ製剤として処方することもできる。そのような長期的に作用する処方は、インプラントの形態であっても良い。本発明の化合物は、この投与経路のために、好適な高分子、疎水性物質、又は限定されないが難溶性塩の様な、難溶性誘導体と共に処方される。
【0067】
更に、化合物は、徐放性システムを用いて送達されて良い。種々の徐放性物質は確立しており、当業者に周知である。徐放性カプセルは、その化学的性質に依存するが、化合物を24時間、又は数日間に亘って放出することができる。
【0068】
投与量
本発明における用途に好適な医薬組成物としては、意図した目的を達成するため、即ち、感染症の治療又は予防のために、活性成分が十分な量で含有される組成物が挙げられる。より具体的には、治療的有効量とは、疾病の症状を予防、緩和、若しくは改善するための、又は治療中の患者の生存を延長させるのに効果的な化合物の量を意味する。
【0069】
医薬組成物及びその単位剤形中における活性成分、即ち、本発明の化合物の量は、投与方式、個々の化合物の力価、及び所望の濃度に依存して、広く変化し又は調製される。治療的有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般的には、活性成分の量は、組成物の0.5〜90質量%の範囲内で変動する。
【0070】
一般的に、活性成分の投与量の治療的有効量は、約0.1〜約400mg/kg体重/日の範囲内であり、より好ましくは、約1.0〜約50mg/kg体重/日の範囲内である。投与量は、個々の対象の要求、及び治療中の菌感染症の重症度に依存して変化して良いと理解すべきである。平均的には、活性成分の有効量は、約200〜800mg/日であり、好ましくは、600mg/日である。
【0071】
所望の投与量は、便宜的には、単回投与量で、又は適切な間隔、例えば、1日当り2、3、4回、又はそれ以上のサブ投与量のような分割投与として提供されて良い。準投与量それ自身は、更に、分割され、例えば、吸入器からの多数回吸入、又は眼への複数滴の点眼等の、多数の不連続な大まかに間隔のあいた投与に分割される。
【0072】
又、初期の投与量は、所望の血漿濃度を早急に得るために、上記の上限レベルを越えて増加しても良い。一方、初期投与量は、最適値より低い場合もあって良く、そして、一日の投与量は、治療期間中、個々の状況に依存して次第に増加することもあって良い。必要に応じて、一日の投与量は、又、多数回投与、例えば、1日当り2〜4回投与に分割しても良い。
【0073】
局所投与又は選択的摂取の場合、薬剤の有効な局部濃度は、血漿濃度に関係しないかも知れず、当業者に公知の別の手法が所望の投与量決定のために用いられて良い。
経口効果
【実施例】
【0074】
上記の考察及び以下に述べる実施例において、以下の略号は下記の意味を有するものとする。略号が定義されていない場合、それは一般的に受け入れられている意味を有する。
bm = 広幅多重線;
BOC = tert−ブトキシカルボニル;
bd = 広幅二重線;
bs = 広幅一重線;
bt = 広幅三重線;
CDI = 1,10−カルボジイミダゾール;
d = 二重線;
dd = 二重線の二重線;
dq = 四重線の二重線;
dt = 三重線の二重線;
dm = 多重線の二重線;
DMF = ジメチルホルムアミド;
DMAP = ジメチルアミノピリジン;
DIEA = ジイソプロピルエチルアミン;
DMSO = ジメチルスルホキシド;
eq. = 当量;
g = グラム;
h = 時間;
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー;
HATU = N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウム・ヘキサフルオロホスファートN−オキシド;
LG = 脱離基;
m = 多重線;
M = モル;
M% = モルパーセント;
max = 最大;
meq = ミリ当量;
mg = ミリグラム;
mL = ミリリットル;
mm = ミリメートル;
mmol = ミリモル;
q = 四重線;
s = 一重線;
t又はtr= 三重線;
TBS = トリブチルシリル;
TFA = トリフルオロ酢酸;
THF = テトラヒドロフラン;
TLC = 薄層クロマトグラフィー;
p−TLC= 分取型薄層クロマトグラフィー;
μL = マイクロリットル;
N = 規定;
MeOH = メタノール;
DCM = ジクロロメタン;
HCl = 塩酸;
ACN = アセトニトリル;
MS = 質量スペクトル法;
rt = 室温;
EtOAc= 酢酸エチル;
EtO = エトキシ;
Ac = アセテート;
NMP = 1−メチル−2−ピロリジノン;
μL = マイクロリットル;
J = カップリング定数;
NMR = 核磁気共鳴;
MHz = メガヘルツ;
Hz = ヘルツ;
m/z = 質量対電荷比;
min = 分;
Boc = tert−ブトキシカルボニル;
CBZ = ベンジルオキシカルボニル;
DCC = 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド;
PyBop= ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
【0075】
[実施例1]
3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミドの製造
【化11】

3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル7(0.1g、0.27mmol)を投入したフラスコ(5mL)を、アンモニアのメタノール溶液(1.3mL、2M/MeOH、2.7mmol)を用いて、室温で17時間撹拌して処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:5%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.10(m,2H),6.57(s,1H),5.70(s,1H),4.99(dd,1H),4.21(m,2H),3.49(m,4H),2.92(dd,2H),2.82(dd,2H),1.90(m,2H);MS−APCI(m/z+)358(M+H)。
【0076】
実施例1の合成のための中間体は、以下の通りに製造した。
I.1,4−チアゼパン−5−オンの製造
(J. Org. Chem. 1960, 25, 1953-1956を参照)
テトラヒドロチオピラン−4−オン1(10g、86mmol)の濃HCl(43mL)溶液を0℃に冷却して、撹拌しながら、ナトリウムアジド(8.4g、129mmol)を、少しずつ30〜60分間に亘って加えた(註:ガス発生)。添加が完了した後、反応混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、そして固体のNa2CO3を小分けして加え(註:ガス発生)、更に、溶液のpHが〜9のアルカリ性になるまで、水を加えて塩を溶解した。アルカリ溶液をDCM(200mL)で希釈し、相を分離し、そして、水層をDCM(3×100mL)で抽出した。集めた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、少量の体積(〜20mL)になるまで濃縮し、石油エーテルを加え、そして固形物を濾過して集め、乾燥し、標題の化合物を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:7.52(s,1H),3.39(m,2H)
,2.63(m,2H),2.58(m,4H);MS−APCI(m/z+)131.9(M+H)。
【0077】
II.1,4−チアゼパンの製造
(J. Org. Chem. 1960, 25, 1953-1956を参照)
1,4−チアゼパン−5−オン(9.16g、70mmol)のTHF(271mL)溶液に、0℃で撹拌しながら、LAH(1M/THF、70mL、70mol)を20分間に亘って滴下しながら加えた。反応混合物を、0℃で10分間撹拌し、次いで、室温まで温め、撹拌を2時間続けた。反応混合物に、H2O(2.5mL)、5NのNaOH水溶液(2.5mL)、そしてH2O(9mL)を注意深く連続して加えて反応をクエンチした。濃厚なゲル状沈殿物が生成した。反応混合物をCeliteの小さいパッドを通して濾過し、濾過ケーキをエーテル(300mL)で洗浄した。濾液を濃縮して、標題の化合物を油状物質として得、それを直ちに次の反応に用いた。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:2.89(t,2H),2.84(t,2H),2.69(t,2H),2.59(t,2H),1.78(m,2H)。
【0078】
III.4−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−1,4−チアゼパンの製造
1,2,3−トリフルオロ−5−ニトロ−ベンゼン(11.2g、63mmol)の無水アセトニトリル(90mL)溶液をトリエチルアミン(9.7mL、70mmol)で処理し、その後、アセトニトリル(11mL)中に懸濁させた1,4−チアゼパン(8.2g、70mmol)を徐々に30分間で加えた。混合物を23℃で15時間撹拌し、次いで、H2O(100mL)を加えて反応をクエンチし、黄色の沈殿物を生成した。溶液を濾過し、黄色の固形物を集め、減圧下で乾燥して、標題の化合物を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:7.90(m,2H),3.63(m,4H),2.81(t,2H),2.61(t,2H),1.82(m,2H);MS−APCI(m/z+)274.9(M+H)。
【0079】
IV.3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミンの製造
4−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−1,4−チアゼパン (8.4g、31mmol)の無水エタノール(50mL)溶液を、SnCl2・2H2O(28g、122mmol)で処理し、そして1.5時間還流した。混合物を室温まで冷却し、氷水を加え、その後、50%NaOH水溶液を加え、pH11に調整した。溶液を室温で1時間撹拌し、次いで、CH2Cl2(3×100mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。未精製の標題の化合物を、更に精製せずに用いた。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:6.17(m,2H),5.37(s,2H),3.18(m,4H),2.79(t,2H),2.60(t,2H),1.80(m,2H);MS−APCI(m/z+)245(M+H)。
【0080】
V.3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミノ]−2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルの製造
3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミン(7.9g、32mmol)の無水アセトニトリル(15mL)溶液を、LiOTf(5g、32mmol)及び(R)−グリシド酸メチル(3.3g、32mmol)で処理し、そして15時間還流した。15時間後、反応は未だ完了していなかったので、(R)−グリシド酸メチル(3.3g、32mmol)を追加し、そして溶液を更に15時間還流した。混合物を室温まで冷却し、そしてH2O(20mL)を加えて反応をクエンチし、次いで、EtOAc(3×50mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜10%)で精製し、そして再精製(SiO2、ヘキサン−EtOAc:0〜30%)し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:6.20(m,2H),5.99(dd,1H),5.63(d,1H),4.18(m,1H),3.60(s,3H),3.17−3.22(m,6H),2.77(dd,2H),2.62(dd,2H),1.79(m,2H);MS−APCI(m/z+)347.1(M+H)。
【0081】
VI.3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ
−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステルの製造
3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミノ]−2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル6(3.9g、11mmol)の無水アセトニトリル(17mL)溶液を、CDI(2.7g、17mmol)を用いて23℃で処理し、15分間撹拌し、次いで、溶液を50℃で15時間加熱した。反応混合物を、H2O(20mL)を加えてクエンチし、そしてEtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜5%)で精製し、標題の化合物を得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.28(m,2H),5.36(dd,1H),4.32(dd,1H),4.14(dd,1H),3.77(s,3H),3.38(m,4H),2.80(m,2H),2.77(m,2H),1.84(m,2H);MS−APCI(m/z+)373(M+H)。
【0082】
[実施例2]
3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミドの製造
【化12】

3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.1g、0.27mmol)のMeOH(1.5mL)溶液を、メチルアミン塩酸塩(0.073g、1.1mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.18mL、1.3mmol)を用いて、室温で17時間撹拌して処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:5%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.10(m,2H),6.61(s,1H),4.98(dd,1H),4.20(m,2H),3.48(m,4H),2.92(d,3H),2.90(m,2H),2.82(dd,2H),1.90(m,2H);MS−APCI(m/z+)372(M+H)。
【0083】
[実施例3]
3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミドの製造
【化13】

3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.12g、0.29mmol)を投入したフラスコ(5mL)を、アンモニアのメタノール溶液(1.5mL、2M/MeOH、3.0mmol)を用いて、室温で17時間撹拌して処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:7%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:7.86(s,1H),7.62(s,1H),7.36(m,2H),5.21(dd,1H),4.23(dd,1H),3.91(dd,1H),3.43(m,2H),3.27(m,6H),2.07(m,2H);MS−APCI(m/z+)390(M+H)。
【0084】
実施例3の合成用の中間体は以下の通りに合成した。
I.3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステルの製造
3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4)−チアゼパニル−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.5g、1.3 mmol)のDCM(13mL)溶液を、m−CPBA(0.93g、5.4mmol)を用いて、室温、N2気流下で2時間撹拌して処理した。反応を飽和のNaHCO3水溶液(10mL)でクエンチし、層を分離し、そして水層をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、次いで、減圧下で濃縮した。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜10%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)δ:7.27(m,2H),5.32(dd,1H),4.25(dd,1H),4.15(dd,1H),3.72(s,3H),3.40(m,2H),3.21(m,6H),2.05(m,2H);MS−APCI(m/z+)405.1(M+H)。
【0085】
[実施例4]
3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミドの製造
【化14】

3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.12g、0.28mmol)のMeOH(1.5mL)溶液を、メチルアミン塩酸塩(0.077g、1.2mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.19mL、1.4mmol)を用いて、室温で17時間撹拌しながら処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:7%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:8.37(m,1H),7.34(m,2H),5.06(dd,1H),4.24(dd,1H),3.99(m,1H),3.42(m,2H),3.27(m,6H),2.65(d,3H),2.07(m,2H);MS−APCI(m/z+)404.1(M+H)。
【0086】
[実施例5]
3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メトキシ−アミドの製造
【化15】

3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.13g、0.32mmol)のMeOH(1.5mL)溶液を、メトキシルアミン塩酸塩(0.087g、1.3mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.22mL、1.6mmol)を用いて、室温で17時間撹拌しながら処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:5%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:11.80(s,1H),7.35(m,2H),5.01(dd,1H),4.22(dd,1H),4.05(m,1H),3.63(s,3H),3.43(m,2H),3.27(m,6H),2.07(m,2H);MS−APCI(m/z+)420.1(M+H)。
【0087】
[実施例6]
3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミドの製造
【化16】

3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.065g、0.13mmol)を投入したフラスコ(5mL)を、アンモニアのメタノール溶液(0.67mL、2M/MeOH、1.3mmol)を用いて、室温で17時間撹拌しながら処理した。溶媒を減圧下で除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:7%)で精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ:7.32(m,2H),5.07(dd,1H),4.31(dd,1H),4.08(dd,1H),3.73(m,4H),3.57(m,1H),3.41(m,2H),3.24(m,1H),2.31(m,1H),2.19(m,1H);MS−APCI(m/z+)469.1(M+H)。
【0088】
実施例6の合成のための中間体は、以下の通りに製造した。
I.3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル
(Okamura H.; Bolm, C. Org. Lett. 2004, 6, 1305-1307を参照)
3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4)−チアゼパニル−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.2g、0.54 mmol)のDCM(6mL)懸濁液を、トリフルオロアセトアミド(0.12g、1.1mmol)、MgO(0.087g、2.1mmol)、Rh2(Oac)4(0.005g、0.013mmol)及びPhI(Oac)2(0.26g、0.81mmol)を用いて、室温で4時間撹拌しながら処理した。反応混合物を、短いシリカゲルプラグに通し、DCM−MeOH:5%(50mL)で洗浄し、そして減圧下で溶媒を除去した。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン−EtOAc:10〜50%)で精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)δ:7.17(m,2H),5.02(dd,1H),4.20(dd,1H),4.02(dd,1H),3.82(s,3H),3.71(m,1H),3.60(m,1H),3.57(m,1H),3.38(m,4H),2.37(m,1H),2.17(m,1H);MS−APCI(m/z+)484.1(M+H)。
【0089】
[実施例7]
3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミドの製造
【化17】

3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.042g、0.086mmol)のMeOH(0.5mL)溶液を、メチルアミン塩酸塩(0.023g、0.35mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.06mL、0.43mmol)を用いて、室温で17時間撹拌しながら処理した。減圧下で溶媒を除去し、未精製の物質をDCM/MeOH(10:1)に溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:7%)で精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ:7.32(m,2H),5.07(dd,1H),4.30(dd,1H),4.06(dd,1H),3.74(m,4H),3.41(m,2H),3.23(m,2H),2.81(s,3H),2.29(m,1H),2.19(m,1H);MS−APCI(m/z+)483.1(M+H)。
【0090】
[実施例8]
(5R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミドの製造
【化18】

5−(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.3g、0.86mmol)を投入したフラスコ(50mL)を、アンモニアのメタノール溶液(4mL、2M/MeOH、8.6mmol)を用いて、室温で終夜撹拌して処理した。溶媒を減圧下で、黄褐色のスラリーから除去した。未精製の物質をDCMに溶解し、そして分取型クロマトグラフィー(SiO2、DCM−MeOH:5%)で精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)7.77(s,1H),7.53(s,1H),7.37(dd,1H),7.11(m,1H),6.94(dd,1H),4.95(dd,1H),4.16(t,1H),3.91(dd,1H),3.52(m,4H),2.80(m,2H),2.55(t,2H),1.90(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)340.1(M+H)。
【0091】
実施例8の合成のための中間体を、以下の通りに製造した。
I.4−(2−フルオロ−4−ニトロ−フェニル)−1,4−チアゼパンの製造
3,4−ジフルオロ−ニトロ−ベンゼン(8.6g、54mmol)の無水アセトニトリル(56mL)溶液を、トリエチルアミン(8.3mL、59.5mmol)で処理し、次いで、アセトニトリル(10mL)に懸濁させた1,4−チアゼパン(7.0g、59.5mmol)を、20分間に亘ってゆっくり加えた。混合物を室温で終夜撹拌し、H2O(100mL)を加えて反応をクエンチし、黄色の沈澱物を生成した。懸濁液を氷浴で冷却し、次いで、黄色の固体を集め、減圧下で乾燥し、4−(2−フルオロ−4−ニトロ−フェニル)−1,4−チアゼパン(11.1g、80%)を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:7.87(m,2H),6.98(m,1H),3.78(m,4H),2.83(t,2H),2.54(t,2H),1.93(m,2H)MS−APCI:10V(m/z+)257.0(M+H)。
【0092】
II.3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミンの製造
4−(2−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−1,4−チアゼパン(10.5g、41mmol)の無水エタノール(67mL)溶液を、SnCl2・2H2O(37g、164mmol)で処理し、そして1.5時間還流した。混合物を室温まで冷却し、そして氷水(100ml)を加え、その後、50%NaOH水溶液を加え、pH11に調整した。溶液を1時間室温で撹拌し、次いで、CH2Cl2(3×150mL)を用いて抽出した。集めた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質を更に精製せずに用いて、標題の化合物をオレンジ色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:6.71(m,1H),6.24(m,2H),4.78(s,2H),3.29(m,2H),3.25(m,2H),2.73(m,2H),2.62(t,2H),1.84(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)227.1(M+H)。
【0093】
III.2(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミノ]−2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルの製造
3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミン(8.5g、 37.5mmol)の無水アセトニトリル(21mL)溶液を、LiOTf(5.9g、37.6mmol)及び(R)−グリシド酸メチル(3.8g、37.6mmol)を用いて処理し、15時間還流した。15時間後、反応は未だ完了していなかったので、(R)−グリシド酸メチル(0.40g、3.9mmol)を加え、そして溶液を更に24時間還流した。反応が尚、未だ完了していなかったので、(R)−グリシド酸メチル(0.40g、3.9mmol)を追加し、溶液を更に8時間還流した。混合物を室温まで冷却し、H2O(21mL)を加えて反応をクエンチし、次いで、EtOAc(3×50mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質(14.35g)をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜5%)で精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:6.67(m,1H),6.36(dd,1H),5.28(dd,1H),5.61(d,1H),5.32(t,1H),4.15(m,1H),3.57(s,3H),3.19−3.33(m,4H),3.11(m,1H),2.74(m,2H),2.61(t,2H),1.85(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)329.1(M+H)。
【0094】
IV.2(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステルの製造
2(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニルアミノ]−2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル(1.8g、5.6mmol)の無水アセトニトリル(13mL)溶液を、CDI(1.6g、8.4mmol)を用いて、23℃で処理し、15分間撹拌し、次いで、溶液を50℃に加熱し、終夜その温度に保持した。反応混合物を室温まで冷却した後、H2O(12mL)を加えてクエンチし、そしてEtOAc(3×13mL)で抽出した。集めた有機層をブライン(13mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜3%)で精製し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)δ:7.29(dd,1H),7.08(m,1H),6.89(dd,1H),5.22(dd,1H),4.25(t,1H),4.03(dd,1H),3.70(s,3H),3.52(m,4H),2.80(m,2H),2.54(t,2H),1.89(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)355.1(M+H)。
【0095】
[実施例9]
5(R)− 3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド
【化19】

5−(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパニル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.32g、0.90mmol)のMeOH(4mL)溶液を、メチルアミン塩酸塩(0.24g、3.6mmol)、次いでトリエチルアミン(0.63mL、4.5mmol)を用いて、室温で終夜撹拌して処理した。生成した白色懸濁液を濾過し、ウエットケーキをMeOH(2ml)で2度リンスし、標題の化合物を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)8.30(s,1H),7.36(dd,1H),7.10(dd,1H),6.91(t,1H),4.99(dd,1H),4.17(t,1H),3.90(dd,1H),3.53(m,4H),2.80(m,2H),2.61(d,3H),2.55(m,2H),1.90(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)354.1(M+H)。
【0096】
[実施例10]
5(R)−3−[4−(1−オキソ−λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸 メチルエステル
【化20】

5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4)−チアゼパニル−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.5g、1.6mmol)のDCM/MeOH=50/50(30mL)溶液を0℃に冷却し、過ヨウ素酸塩(0.40g、1.9mmol)で処理し、室温まで温め、終夜窒素気流下で撹拌した。反応を水(13mL)でクエンチし、次いで、DCM(3×13ml)で抽出した。集めた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして、減圧下で濃縮し、淡褐色の固体(0.55g)を得た。未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM−EtOAc:0〜5%)で精製し、標題の化合物を黄色の固体として得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)7.41(dd,1H),7.14(dd,1H),6.98(dd,1H),5.27(dd,1H),4.29(td,1H),4.08(m,1H),3.70(s,3H),3.53−3.60(m,1H),3.30−3.39(m,2H),3.14(m,1H),2.96(m,3H)2.81−2.87(m,1H),2.33(m,1H),1.89(m,1H),MS−APCI:10V(m/z+)371.1(M+H)。
【0097】
[実施例11]
5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド
【化21】

5(R)−3−[4−(1−オキソ−λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.12g、0.33mmol)のMeOH(2ml)溶液を、メチルアミン塩酸塩(0.09g、1.3mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.17g、1.7mmol)を用いて、室温で、終夜撹拌しながら処理した。生成した白色懸濁液を濾過し、ウエットケーキをMeOHでリンスし、白色固体を得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)8.31(s,1H),7.43(dd,1H),7.14(dd,1H),6.98(t,1H),5.00(dd,1H),4.18(t,1H),3.91(m,1H),3.59(m,1H),3.38(m,2H),3.16(m,1H),2.82−3.04(m,4H),2.61(d,3H),2.33(m,1H),1.90(m,1H);MS−APCI:10V(m/z+)370.1(M+H)。
【0098】
[実施例12]
5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸 アミド
【化22】

5(R)−3−[4−(1−オキソ−λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.11g、0.30mmol)の溶液を、アンモニアのメタノール溶液(2mL、2M/MeOH、3.0mmol)を用いて、室温で終夜撹拌しつつ処理した。生成した黄褐色の懸濁液を濾過したところ、白色の固体が残った。それをMeOHでリンスし、乾燥して、標題の化合物を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO)7.39(dt1H),7.11(dt,1H),6.95(dd,1H),4.93(dd,1H),4.16(td,1H),3.88(m,1H),3.56(m,1H),3.52(s,2H),3.36(m,1H),3.26(m,1H),3.13(m,1H),3.00(m,3H),2.89(m,1H),2.31(m,1H),1.90(m,1H);MS−APCI:10V(m/z+)356.1(M+H)。
【0099】
[実施例13]
5(R)−3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミドの製造
【化23】

3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.08g、0.20mmol)のMeOH(10ml)懸濁液を、メチルアミン塩酸塩(0.06g、0.82mmol)、次いで、トリエチルアミン(0.10g、1.0mmol)を用いて、室温で処理し、終夜撹拌した。生成した白色懸濁液を濾過し、ウエットケーキをMeOHでリンスし、3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド(0.04g、51%)を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)8.31(d,1H),7.44(dd,1H),7.16(m,1H),7.01(dd,1H),5.00(dd,1H),4.18(t,1H),3.93(dd,1H),3.49(m,2H),3.37(m,4H),3.20(m,2H),2.61(d,3H),2.06(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)386.0(M+H)。
【0100】
この化合物を以下の中間体から製造した。
【化24】

I.3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステルの製造
3−[4−(1−オキソ−λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.50g、1.41mmol)のジクロロメタン(14ml)溶液を、3−クロロ過安息香酸(1.27g、5.6mmol)を用いて、室温で終夜撹拌しながら処理した。反応溶液を飽和のNaHCO3水溶液(10ml)でクエンチし、相を分離し、水相をジクロロメタン(3×5ml)で抽出した。集めた有機物をブライン(5ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、次いで、減圧下で濃縮し、黄色の固体を得た。未精製の物質を分取型薄層クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中の10%MeOH)で精製し、3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルエステル(0.08g、14.5%)を白色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DSMO)7.41(dd,1H),7.16(dd,1H),7.02(dd,1H),5.27(dd,1H),4.26(t,1H),4.08(dd,1H),3.70(s,3H),3.49(m,2H),3.38(m,4H),3.20(m,2H),2.06(m,2H);MS−APCI:10V(m/z+)387.0(M+H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
式中、
Aは、以下の式i、ii、iii又はiv;
【化2】

であり;
Wは、(a)CONHR1
(b)CH2NHR2
(c)CH2OH、
(d)CH(OH)−CH=CHR1
(e)CH(OH)C≡CR1
(f)CH2NH−het、
(g)CH2O−het、
(h)CH2S−het、又は
(i)CH2−het
であり;
Xは、S、SO、SO2又はS=N−C(=O)C1-6アルキルであり;
1は、CH、CF又はNであり;
2及びY3は、独立に、CH又はCFであり;
1は、H、C1-6アルキル又はOC1-6アルキルであり;
2は、CO2(NH)C1-6アルキルであり;
「.....」は、各々独立に、結合であるか又は存在せず;
各々の場合において、C1-6アルキルは、CF3、ハロ、OH、OC1-4アルキル、CN、N3、O(C=O)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、NH2、NHC(=O)C1-4アルキル又はC(=O)C1-4アルキルの1つ又はそれ以上で場合により置換され;そして
hetは、酸素、硫黄及び窒素からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を環内に有する5員環又は6員環のヘテロ環であり、ここで、het内での各々の炭素原子は、CF3、ハロ、OH、OC1-4アルキル、CN、N3、O(C=O)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、NH2、NHC(=O)C1-4アルキル又はC(=O)C1-4 アルキルの1つ又はそれ以上で場合により置換される。
【請求項2】
式Ib:
【化3】

(ここで、R1は、H、CH3又はOCH3である)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがSO2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物が、
(a)3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(b)3−[3,5−ジフルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(c)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(d)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(e)3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3,5−ジフルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メトキシ−アミド;
(f)3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(g)3−{3,5−ジフルオロ−4−[1−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルイミノ)−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル]−フェニル}−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(h)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;
(i)5(R)− 3−[3−フルオロ−4−(1,4−チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(j)5(R)−3−[−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
(k)5(R)−3−[3−フルオロ−4−(1−オキソ−1λ4−[1,4]チアゼパン−4−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸アミド;又は
(l)5(R)−3−[4−(1,1−ジオキソ−1λ6−[1,4]チアゼパン−4−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルアミド;
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
菌感染症を治療するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1の化合物が、経口的に、非経口的に、局所的に、経直腸的に、又は鼻腔内に投与される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
化合物が約0.1〜約100mg/kg体重/日の量で投与される、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
菌感染症は、耳感染症、眼感染症、気道感染症、皮膚及び皮膚構造感染症、細菌性心内膜炎、骨髄炎、心内膜炎、又は糖尿病足である、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
菌感染症は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性生物体、及び抗酸性生物体によって引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
菌感染症は、ブドウ状球菌(staphylococci)、連鎖球菌(streptococci)、腸球菌(Enterococci)、ヘモフィルス菌(Haemophilus)、モラクセラ菌(Moraxella)、バクテロイデス菌(bacteroides)、クロストリディア菌(clostridia)、マイコバクテリア菌(Mycobacteria)、又はクラミジア菌(Chlamydia)により引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項12】
ブドウ状球菌(staphylococci)が、S. aureus 及び S. epidermidisであり;連鎖球菌(streptococci)が、S. pneumoniae of S. pyogenesであり;腸球菌(Enterococci)が、E. faecalisであり;ヘモフィルス菌(Haemophilus)が、H. influenzaeであり;モラクセラ菌(Moraxella)が、M. catarrhalisであり;そして、マイコバクテリア菌(Mycobacteria)が、M. tuberculosis;又はMycobacterium aviumである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
菌感染症は、市中感染性肺炎、又は多剤耐性 S. aureus により起こされる感染症である、請求項6に記載の使用。

【公表番号】特表2008−521790(P2008−521790A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542169(P2007−542169)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003552
【国際公開番号】WO2006/056875
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】