説明

抗菌性の乾燥コーティング

【課題】ピリチオン含有被覆組成物にして、微生物の攻撃に対する缶内防腐性と、その被覆組成物を基体上で使用することにより得られる乾燥塗膜の抗菌効力との組み合わせを示す上記被覆組成物を得る。
【解決手段】水性被覆組成物に缶内抗菌効力と乾燥塗膜抗菌効力とを付与する方法により、上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、被覆組成物、さらに詳しくはピリチオン含有被覆組成物にして、微生物の攻撃に対する缶内防腐性と、その被覆組成物を基体上で用することにより得られる乾燥塗膜の抗菌効力との組み合わせを示す上記被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、“乾燥塗膜”の形をした使用後のラテックスペイントを抗菌保護性とするためにピリチオン(pyrithione)を(典型的には、ピリチオン亜鉛の形で)含有しているラテックスペイントのような被覆組成物では、また、そのペイントをその使用前の缶内貯蔵中に微生物(特に、バクテリア)の攻撃に対して“缶内(in−can)”防腐性とするために、ヒドラジン誘導体のような補充の抗菌性添加剤の存在が一般に必要とされる。残念ながら、これらのヒドラジン誘導体系缶内防腐剤はホルムアルデヒドを放出する物質であって、環境上、健康上及び毒性上の観点から脅威となる。特に1990年の法律・クリーン・エア法(Clean Air Act)で求められている厳しい大気汚染防止基準に鑑みて、この問題に対する新しい解決法を見いだす必要がある。
【0003】
従って、効果的な缶内防腐性と、ホルムアルデヒドを放出せずに乾燥塗膜のコーティングを抗菌保護する性質とを併せ提供する抗菌性添加剤について長い間感じられていたその必要を満たそうと言う努力がこの工業分野で最近あった。本発明は長い間感じられて来たこの必要に対して1つの回答を与えるものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1つの面から見ると、水性被覆組成物にして、次の:
(a)水、
(b)(ポリマーラテックスのような)基剤媒体(base medium)、
(c)亜鉛酸化物、水酸化亜鉛、亜鉛の塩類及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれる亜鉛化合物、及び
(d)ピリチオン亜鉛以外のピリチオンの塩(好ましくは、ピリチオンナトリウム)単独、又はその組成物中に、総量として、その組成物に缶内及び乾燥塗膜・抗菌効力を与えるのに十分な量で存在する、上記ピリチオン塩と亜鉛ピリチオンとの組み合わせ
を含んで成る上記水性被覆組成物に関する。
【0005】
本発明は、もう1つの面から見ると、微生物の増殖に対する缶内防腐性と乾燥塗膜の抗菌有効性との組み合わせを水性被覆組成物に付与する方法にして、次の:
(a)上記被覆組成物を、この組成物に微生物の攻撃に対する缶内防腐性を付与するのに十分な量の、ピリチオン亜鉛以外のピリチオン塩(好ましくは、ピリチオンナトリウム)と接触させ、そして
(b)上記組成物を亜鉛酸化物、水酸化亜鉛、亜鉛の塩類及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれる亜鉛化合物と接触させ、そしてその亜鉛化合物の少なくとも一部を上記ピリチオンナトリウムの少なくとも一部と反応させ、それによってピリチオンナトリウムをその被覆組成物に乾燥塗膜抗菌有効性を付与するのに十分な量のピリチオン亜鉛に転化させる
工程を含んで成る上記の方法に関する。
【0006】
本発明は、また、水性被覆組成物に缶内及び乾燥塗膜・抗菌効力を付与する方法にして、次の:
(a)水性被覆組成物中の20℃での溶解度が少なくとも4,000ppmである、抗菌作用上有効な量の可溶性ピリチオン塩をその水性組成物に配合し、
(b)上記被覆組成物に(金属塩のような)金属イオン含有化合物を配合してその金属イオン含有化合物の少なくとも一部を上記可溶性ピリチオン塩の少なくとも一部とキレート交換反応させ(transchelate)、それによってピリチオン金属含有被覆組成物を形成させ、ここでそのピリチオン金属の上記被覆組成物中溶解度は100ppm未満であり、
(c)基体上にピリチオン金属含有コーティングを形成させるために、上記ピリチオン金属含有被覆組成物をその基体と接触させ、そして
(d)上記基体上のピリチオン金属含有コーティングを乾燥させてその基体上に浸出抵抗性で、抗菌作用上有効な量の上記ピリチオン金属を含有する乾燥塗膜を形成させる
工程を含んで成る上記の方法に関する。
【0007】
本発明のこれらの及び他の面は、次の本発明の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【0008】
本発明によれば、驚くべきことに、(ピリチオンナトリウムのような)相対的に可溶性のピリチオン塩と金属イオン含有化合物との、上記ピリチオン塩より不溶性の(ピリチオン亜鉛のような)ピリチオン塩を生成させるキレート交換反応(transchelation)は、水性被覆組成物に“缶内”抗菌保護性と“乾燥塗膜”抗菌保護性との卓越した組み合わせを与えることがここに見いだされた。かくして、例えば、(ラテックスペイントのような)水性被覆組成物にピリチオンナトリウムを(亜鉛酸化物のような)亜鉛化合物と一緒に含めると、その組成物の缶内貯蔵中に、微生物の増殖に対する缶内防腐性、特にバクテリアから保護する卓越した缶内防腐性を示すピリチオンナトリウム含有被覆組成物が得られる。加えて、この組成物は、そのナトリウムイオン及び亜鉛イオンの少なくとも一部を水溶液中でキレート交換反応させてより不溶性でかつ浸出抵抗性のピリチオン亜鉛を生成させることによって、その塗料を基体に塗布した後に、卓越した“乾燥塗膜”抗菌効力をもたらす。
【0009】
本発明の被覆組成物に関連した上記の缶内防腐性と乾燥塗膜抗菌効力との組み合わせは、これを何らかの特定の理論で結び付けることを望むものではないが、(例えば、ピリチオンナトリウムと酸化亜鉛とを含有する被覆組成物の場合)相対的に可溶性の(ピリチオンナトリウムのような)ピリチオン塩が、その被覆組成物を水性媒体中に缶内貯蔵しているときに、キレート交換反応で、相対的に不溶性の(ピリチオン亜鉛のような)ピリチオン塩に比較的ゆっくり転化されることに起因すると考えられる。この例では、ピリチオン部分が主として抗菌効力を生む原因となり、これに対してそのピリチオンと共に使用すべく選ばれた特定の金属対イオン(例えば、ナトリウム)がそのピリチオン部分の被覆組成物中溶解度を、従って“缶内”抗菌保護性を提供するのに有効な活性殺生剤の量を決定する。一方、そのコーテイングの使用中にそのピリチオン塩中で用いられた特定の金属イオン(例えば、亜鉛)は、ピリチオン部分がその乾燥塗膜から屋外環境中に放散して行く速度に影響を及ぼす。しかして、イオン交換による転化前は、ピリチオンナトリウムは(その被覆組成物中溶解度が相対的に高いと言う理由から)その被覆組成物に缶内保護性を与え、これに対して、転化後は、得られたピリチオン亜鉛(相対的に不溶性の化合物)(又はピリチオン銅若しくはピリチオンチタンのような他の相対的に不溶性のピリチオン)は、それより水溶性であるピリチオンほど速くは乾燥塗膜から浸出しないので、そのピリチオン亜鉛(又は他の相対的に不溶性のピリチオン塩)は基体上のコーテイングに乾燥塗膜保護性を与え、それによってその乾燥コーテイングは確実に長期持続性の抗菌保護性を有するようになる。
【0010】
水性被覆組成物中でのピリチオン塩とのキレート交換反応において使用するのに好ましい金属イオン含有化合物に、約1:10〜10:1のピリチオン塩対金属イオン含有化合物のモル比を与えるのに十分な量の、硼酸亜鉛若しくは塩化亜鉛のような有機酸若しくは無機酸の亜鉛塩、水酸化亜鉛又は酸化亜鉛、或いはそれらの混合物のような亜鉛化合物がある。他の有用な金属に、例えば酸化銅又は硫酸銅の形の銅、二酸化チタンとして用いるのが適当であるチタン及びこれらに類する金属がある。水性被覆組成物中で用いられる金属イオン含有化合物の量は広い範囲にわたって変えることができ、例えばその被覆組成物の重量基準で0.001%又はそれ以下乃至10%又はそれ以上、好ましくは0.005〜1%である。金属イオン含有化合物として亜鉛化合物が用いられるなら、その亜鉛化合物の量は、被覆組成物の貯蔵中にそのピリチオン塩をキレート交換反応でピリチオン亜鉛に完全に転化できるようにするのに十分な量であるのが好ましい。
【0011】
本発明の抗菌作用上有効な被覆組成物を調製するに当たって出発材料として有用なピリチオン塩には、ピリチオンナトリウム、ピリチオン・第三ブチルアミン、ピリチオンアルミニウム、ピリチオンカルシウム、ピリチオンカリウム、ピリチオンマグネシウム、ピリチオンバリウム及びこれらに類するピリチオン塩がある。ピリチオンナトリウムが好ましいピリチオン塩で、酸化亜鉛が本発明に従ってキレート交換反応で使用するのに好ましい金属イオン含有化合物である。使用されるピリチオンナトリウムの量は、被覆組成物の重量基準で0.1〜2重量%が有利であり(0.2〜1重量%が更に有利であり、0.25〜0.8重量%が最も有利である)、また使用される酸化亜鉛の量は同一基準で約1〜10%が有利である。ピリチオンナトリウムと酸化亜鉛との合計量は、被覆組成物の総重量基準で約1〜20%であるのが有利である。
【0012】
本発明で有用なピリチオンナトリウムは周知の商業的製品で、米国特許第3,159,640号明細書の開示によって例証されるとおり、2−クロロピリジン−N−オキシドをNaSH及びNaOHと反応させることにより一般に製造される。このピリチオンナトリウムは、本発明の被覆組成物中で抗菌作用上有効な量、即ち所望とされる“缶内”及び“乾燥塗膜”抗菌保護性を与えるのに十分な量で用いられる。このピリチオンの量は考えている具体的な用途に依存して広い範囲にわたって変えることができるが、このピリチオンは、被覆組成物の重量基準で約0.01〜約0.5%のピリチオンの重量パーセントに相当する約100〜約5,000ppmの量で被覆組成物中に存在しているのが好ましい。
【0013】
本発明の水性被覆組成物は、例えば石鹸、シャンプー、スキンケア用医薬品、ペイントのような各種用途に適しているか、或いは、抗菌性成分に加えて必要な成分を含有するように調合されるときは、プラスチック又は織成繊維若しくは不織繊維の中に又はその上に配合される。
【0014】
本発明のこの抗菌性組成物は、屋内用及び屋外用の家庭用ペイント、工業用及び商業用のペイントを含めて各種ペイントの形態、特にラテックスペイントの形態を取る場合に特に有用である。この水性組成物の抗菌性成分は、また、そのペイントの貯蔵中又はその使用前の“缶内”防腐剤としても有用である。
【0015】
ペイント組成物は、典型的には、この技術分野でよく知られているように、その抗菌性成分に加えて、樹脂、顔料、及び増粘剤、湿潤剤等のような場合によって追加される各種の添加剤を含有する。樹脂はビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂並びにそれらの組み合わせより成る群から選ばれるのが好ましい。樹脂はペイント又はペイント基剤の重量基準で約20〜約80%の量で用いられるのが好ましい。
【0016】
加えて、本発明のペイント組成物は、場合によっては、粘度、湿潤力及び分散性、更には凍結及び電解質に対する安定性、及び発泡性に有利な影響を及ぼす任意成分としての添加剤を追加含有している。任意成分としての添加剤の総量はペイント組成物の総重量基準で20重量%以下であるのが好ましく、約1〜約5重量%であるのが更に好ましい。
【0017】
増粘剤の実例を挙げると、セルロースの30種の誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(アクリル酸)の塩類及びアクリル酸/アクリルアミドコポリマーの塩類がある。
【0018】
適した湿潤剤と分散剤に、ポリリン酸ナトリウム、低分子量ポリ(アクリル酸)の塩類、ポリ(エタンスルホン酸)の塩類、ポリ(ビニルホスホン酸)の塩類、ポリ(マレイン酸)の塩類及びマレイン酸とエチレン、炭素原子3〜18個の1オレフィン及び/又はスチレンとのコポリマーの塩類がある。
【0019】
凍結と電解質に対する安定性を高めるために、ペイント組成物に各種の1,2−ジオール単量体、例えばグリコール、プロピレングリコール(1,2)及びブチレングリコール(1,2)又はそれらのポリマー、或いはエトキシ化化合物、例えばエチレングリコールと長鎖アルカノール類、アミン類、アルキドフェノール類、ポリ(プロピレングリコール)若しくはポリ(ブチレングリコール)又はそれらの組み合わせとの反応生成物等々を加えてもよい。
【0020】
ペイント組成物の最低フィルム形成温度(白化点)は、グリコールエーテル類、エステルアルコール類又はアルキル化芳香族炭化水素のような溶媒を加えることにより下げることができる。消泡剤として、例えばポリ(プロピレングリコール)及びポリシロキサン類が適している。場合によっては、他の殺生剤を本発明のペイント配合物に追加、添入することができる。
【0021】
本発明のペイント組成物は天然又は合成材料、例えば木材、紙、金属、繊維材料及びプラスチック用のペイントとして使用することができる。それは屋内用又は屋外用のラテックスペイントとして特に適している。
【0022】
本発明の水性組成物のもう1つ重要な用途は、その抗菌性成分に加えて、更に、例えばラテックスエマルジョン、任意成分としてのロジンエマルジョン、任意成分としての可塑剤、任意成分としての酸化防止剤及び任意成分としての顔料又は充填材(例えば、炭酸カルシウム)を一般に含有するラテックス系タイル用接着剤(latex tile adhesive)としての用途である。本発明の水性組成物の更にもう1つ重要な用途は、その抗菌性成分に加えて、更に、アクリル系ラテックス、ノニオン性界面活性剤、分散剤、任意成分としての可塑剤及び任意成分としての顔料又は充填材(例えば、炭酸カルシウム)を一般に含有するラテックス系コーキング材又は同シーラントとしての用途である。
【0023】
本発明の水性・抗菌性組成物は、本明細書に記載される各種用途のいずれにおいても、液体又は展張可能な固体の形で、単独又は水、液体炭化水素、エタノール、イソプロパノール若しくはこれらに類するもののような不活性キャリアーとの組み合わせで、消毒剤及び防腐剤として有用である。これら抗菌性組成物は常用の方法を用いて各種基材中のバクテリア及び菌類を抑えるために使用することができ、かつバクテリア若しくは菌類の生体又はそれらの基材に噴霧法、浸漬法(dipping)、浸し法(drenching)、含浸法(impregnation)等のような常用の方法により抗菌量で適用することができる。
【0024】
本発明を次の実施例により更に例証する。別に記載されなければ、“部”及び“%”はそれぞれ“重量部”及び“パーセント”である。
【0025】
以上、本発明をその特定の態様を参照して説明したが、本発明には本明細書に開示される発明としての着想から逸脱することなく多くの改変、修正及び変更をなし得ることは明らかである。従って、本発明には、添付請求の範囲の精神とその広い範囲内に入るそのような全ての改変、修正及び変更が包含されるものとする。
【0026】
次の実施例は本発明を例証しようとするものであって、本発明の範囲を限定しようとするものでは決してない。
【実施例】
【0027】
実施例1
アクリル系ラテックスペイントの製造に使用される方法
練り顔料、顔料粉砕及びレット−ダウン法を使用しての上記ラテックスの製造
【0028】
練り顔料の全成分はディスパーザー ブレート(disperser blade)を用いて300RPM(遅い)で加えられた。これら成分はゆっくり加えられ、その添加が完了したとき5分間混合された。顔料の粉砕が次に行われた。即ち、二酸化チタン(ルチル型)と酸化亜鉛をゆっくり加えた。二酸化チタンと酸化亜鉛が全部加えられたら、混合速度を約1000RPMまで上げ、それから5分間粉砕した。次に、混合速度を300RPMまで下げ、そしてケイ酸アルミニウム・マグネシウムをゆっくり加えた。この添加が完了したら、混合速度を再び1000RPMに上げたが、このプロセス中に同時にその容器の側面を連続的にこすり落とす操作を行った。次に、混合速度を5000RPMまで上げ、そして粉砕を5分間行った。その混合速度を次いで500RPMまで下げ、そしてアタパルジャイト・クレーを加えた後に混合速度を再び5000RPMまで上げた。得られた混合物を次いで10〜15分間ブレンドし、それからこの混合物のヘグマン読み値(hegman readings)を、4〜6の読み値が達成されるまで周期的に取った。この工程には約10分間の粉砕が含まれていた。次いで、レット−ダウン(let down)工程を、水の添加により冷却を補助した状態で開始させた。その混合速度を250〜300RPMまで遅くし、それからこの工程中にラテックスをゆっくり加えた。その混合物をチェックして、このプロセス中に顔料が確実に沈降、析出しないようにし、それからこの混合物を250〜300RPMで10分間ブレンドした。次に、分散剤であるコロイド(Colloid)643をシリンジを用いて混合速度250〜300RPMで加え、そして混合を5分間続けた。次に、界面活性剤であるテキサノール(Texanol:登録商標)をシリンジを用いて混合速度250〜300RPMで加え、そして得られた混合物の混合を5分間続けた。この最終工程には、適切な粘度を達成するためにヒドロキシエチルセルロース及び/又は水を加えることも含まれていた。この場合に所望とされた粘度範囲は95〜105KUである。最終混合物のpHは8.5であった。この混合物を調製するに際して用いられた各種添加剤の量を次の表に示す:
【0029】
【表1】

【0030】
実施例1のペイントの物理的性質:
粘度=95.0K.U.
pH=8.5
密度=11.50ポンド/ガロン
アニオン性分散剤、ローム アンド ハース社(Rohm and Haas Com
pany)の製品
消泡剤、ローン−プーラン社(Rhone−Poulenc Corp.)の製品
ノニオン性界面活性剤、ユニオン カーバイド社(Union Carbide Co
rp.)の製品
合体剤、イーストマン コダック社(Eastman Kodak Company)
の製品
【0031】
ピリチオンナトリウムと酸化亜鉛を含む実施例1のペイントをHPLC液体クロマトグラフ法を用いて時間に関してモニターした。ピリチオンナトリウムのピリチオン亜鉛への時間に対する転化率の結果を以下に記す。
【0032】
【表2】

【0033】
実施例2
ピリチオンナトリウムの“缶内”防腐剤としての効力
【0034】
100ガロン当たり12.5〜25ポンドの添加酸化亜鉛を用い又は用いずに、ピリチオンナトリウム1800ppmを使用することにより、アクリル系ラテックスペイントを6週間の緑膿菌の挑戦(challenge)から保護する試験を行った。
【0035】
方法
【0036】
本発明者はASTM D2574によってはラテックスペイントの試料にシュードモナス属菌の増殖を確立することができなかった。従って、本発明者は、ペイント工場でバクテリアの適応が起こり得る条件を模擬するためにペイントを水で希釈する“改良スプリングル法(Modified Springle Method)”(J. Coatings Technol. 、63:33−38、1991)を採用した。この方法によれば、未希釈ペイントは缶中の製品を表し、1:2(即ち、ペイント対水の用量比)希釈物は凝縮による希釈を模擬したものであり、そして1:10希釈物は洗浄水を模擬したものである。試料の各々に前の実験から得られた約1%の汚染ペイントで挑戦し、そして最初の1週間における生存をモニターした。それら試料に第1週及び第3週後に10%のペイント適応培養物(10% paint−adapted culture)1%で再度挑戦し、次いでこの試験の残りの3週間を通じてモニターした。
【0037】
結果
【0038】
第1週を除き、その挑戦菌は未希釈試料又は1:2希釈試料のいずれにおいても生き残らなかった。しかし、その挑戦菌は1:10希釈試料の対照例では全6週間生き残ったが、ピリチオンナトリウム含有試料ではそのいずれにおいても生き残らなかった。添加酸化亜鉛は、この挑戦結果に影響を及ぼすようには見えなかった。この応答結果は、希釈因子を考慮して、本発明のペイントに高度の缶内抗菌保護性をもたらしたことを示している。
【0039】
【表3】

【0040】
試料番号についての注釈
試料1は1.25重量%の酸化Znを含み;試料2は1.25重量%の酸化
Znと1800ppmのピリチオンNaを含み;試料3は2.5重量%の酸化
Znを含み;そして試料4は2.5重量%の酸化Znと1800ppmのピリチオンNaを含む。表において、“+”は“増殖あり”を示し、“−”は“増殖なし”を示す。
【0041】
南フロリダでの曝露試験
3ポンド/100ガロン、4ポンド/100ガロン、6ポンド/100ガロンのピリチオンナトリウム及び25ポンド/100ガロンの酸化亜鉛を含むペイントの、フロリダ州(Florida)、マイアミ(Miami)で南向き45°と北向き垂直で試験したときの、その各試験素材に対する6カ月の曝露後に受けた評価等級は全て完全等級の10(白かびの増殖なし)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に被覆組成物を塗布して該基体に抗菌有効性を示すコーティングを与える方法にして、次の:
(a)該被覆組成物中の20℃における溶解度が少なくとも4,000ppmである、該被覆組成物の重量基準で約0.01〜約0.5重量%の可溶性ピリチオン塩を該被覆組成物に配合し、
(b)該被覆組成物に金属イオン含有化合物をその組成物の重量基準で0.001〜10重量%の量で配合して該金属イオン含有化合物の少なくとも一部を該可溶性ピリチオン塩の少なくとも一部とキレート交換反応させ、それによってピリチオン金属含有被覆組成物を形成させ、ここで該ピリチオン金属の該被覆組成物中溶解度は100ppm未満であり、
(c)基体上にピリチオン金属含有コーティングを形成させるために、該基体を該ピリチオン金属含有被覆組成物と接触させ、そして
(d)該基体上の該ピリチオン金属含有コーティングを乾燥させて該基体上に浸出抵抗性で、抗菌作用上有効な量の該ピリチオン金属を含有する乾燥塗膜を形成させる
工程を特徴とする上記の方法。
【請求項2】
前記の金属イオン含有化合物が金属塩、金属酸化物、金属水酸化物及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の金属イオン含有化合物が亜鉛、銅、チタン及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれる金属イオンを含むことを特徴とする、請求項1項に記載の方法。
【請求項4】
前記の可溶性ピリチオン塩が、ピリチオンナトリウム、ピリチオン・第三ブチルアミン、ピリチオンアルミニウム、ピリチオンカルシウム、ピリチオンカリウム、ピリチオンマグネシウム、ピリチオンバリウム及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記可溶性ピリチオン塩の前記金属イオン含有化合物に対するモル比が約1:10〜約10:1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2006−1940(P2006−1940A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213644(P2005−213644)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【分割の表示】特願平9−504391の分割
【原出願日】平成8年4月25日(1996.4.25)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】