説明

抗菌性ワクチン組成物

【課題】グラム陰性細菌の病原性遺伝子を同定し、それによってこれらの病原性遺伝子およびその産物を標的とする新規な抗菌剤を同定することが可能となる。また、ワクチンに有用な新規なグラム陰性細菌突然変異体を提供する。
【解決手段】atpGポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列によって表される遺伝子に突然変異を導入して、該遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現の低下、不活性遺伝子産物の発現を生じるように修飾された、弱毒化パスツレラ(マンハイミア)・ヘモリチカ細菌、および、該遺伝子を含む免疫原性組成物およびワクチン組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本願は、1999年9月10日に出願された米国仮特許出願番号60/153,453号および1999年4月9日に出願された米国仮特許出願60/128,689号の優先権を主張して2000年4月6日に出願された米国特許出願番号09/545,199号の一部継続出願である。
【0003】
本発明は、一般的に、パスツレラ科細菌の病原性に寄与している遺伝子の同定に関し、それによって、ワクチンに有用な新規な弱毒化突然変異株の生成ならびに病原性遺伝子およびその産物を標的とする新しい抗菌剤の同定が可能となる。
【背景技術】
【0004】
パスツレラ科細菌には、広範な種々の動物に感染する幾つかの非常に重要な病原菌が包含される。パスツレラ・マルトシーダ(P. multocida)に加えて、その科の重要なメンバーには、パスツレラ(マンハイミア)・ヘモリチカ(Pasteurella (Mannheimia) haemolytica)、アクチノバチルス・プレウロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)およびヘモフィルス・ソムナス(Haemophilus somnus)が含まれる。P. multocidaは、グラム陰性の非運動性の球桿菌であり、それは多くの野生動物および家畜動物の正常細菌叢で見出され、世界中の多数の動物種において疾患を引き起こすことが知られている
[M. Kilian, W. FredericksonおよびE. L.
Biberstein(編), Haemophilus, Pasteurella, and
Actinobacillus. Academic Press, LondonにおけるBiberstein,
61-73(1981)]。感染に続く疾患の発現には、敗血症、気管支肺炎、鼻炎および創傷感染症が含まれる[C. L. GylesおよびC. O. Thoen(編), Pathogenesis of Bacterial Infections in Animals. Iowa State
University Press, AmesにおけるShewenら,216-225(1993)(出典明示して本明細書の一部とみなす)に概説されている]。
【0005】
P. multocidaによる感染は、一般的には、ストレスの期間の侵入に起因するが、エアロゾルまたは接触曝露による伝播も生じ得、あるいはノミおよびマダニ媒介体によっても生じ得る。家禽においては、P. multocida感染症は、急性ないし過急性の敗血症を生じ、特に、混雑する、産卵、換羽、または厳しい気候変動に関連したストレス条件下の国内産七面鳥および野生の水鳥において特に流行する。ウシにおいては、感染につづいて同様の出血性敗血症が発現し、高熱および鬱病を含む症状を発現し、一般的には、続いて短期に死亡する。伝播はエアロゾル接触を最も起るようであるが、感染症は顕著な気候変動の期間にも発生し得る。ウサギにおいては、感染症は、再発性化膿性鼻炎に続いて、一般的には、結膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、皮下膿瘍および慢性気管支肺炎を生じる。重篤な感染症においては、急性の線維素性気管支肺炎、敗血症または内毒素血症によってウサギの死亡率が上昇する。疾患状態は通常ストレスの期間に発生する。ブタにおいては、普通のP. multocida疾患状態には、萎縮性鼻炎および細菌性肺炎が含まれる。また、同様の肺炎の症状は、イヌ、ネコ、ヤギおよびヒツジにおいても検出される。P. multocidaは多くの動物の口腔細菌叢において一般的に検出され、したがって、噛み傷および掻き傷における一般的な汚染菌である。
【0006】
P. multocida株は、莢膜血清群および菌体血清型によって通常指定される。5の莢膜血清群(A、B、D、EおよびF)および16の菌体血清型が、特徴的な高温安定性の抗原の発現によって区別されている。大部分の菌株は宿主特異的であって、1または2を超える動物には滅多に感染しない。伝統的な死滅全細胞細菌は通常、血清型特異的な保護しか提供しないので、異なる血清型が存在することは免疫接種に対する問題を示す。しかしながら、1の血清型での自然感染が複数の血清型に対する免疫学的保護に通じ得ること[C. L. GylesおよびC. O. Thoen(編), Pathogenesis of Bacterial Infections in Animals. Iowa State
University Press, AmesにおけるShewenら, 216-225(1993)]、交差保護がイン・ビボ(in vivo)で増殖させた不活化細菌を用いることによっても刺激し得る[Rimlerら, Am J Vet Res. 42: 2117-2121(1981)]が実証されている。1の生きている自然発生突然変異P. multocida株はワクチンとして利用されており、強力な免疫応答を刺激することが示されている[Davis,Poultry Digest. 20:430-434(1987)、Schlinkら, Avian Dis. 31(1):13-21(1987)]。しかしながら、この弱毒化株は、ワクチン受容者がストレスに曝された場合に、病原性状態に戻るまたは死亡を引き起こすことが示されている[Davis,Poultry Digest. 20: 430-434 (1987)、Schlinkら, Avian Dis. 31(1): 13-21(1987)]。
【0007】
パスツレラ科のもう1のメンバーであるA. pleuropneumoniaeは、ブタに対して厳密な宿主特異性を示し、高度に伝染性のブタの胸膜肺炎の原因因子である。感染は、通常、集中的な育種状態で発生し、直接様式の伝播によって起ると考えられる。疾患が致死命的で、その結果、ブタ生産産業において重大な経済的損害に通じる場合もある。A. pleuropneumoniae感染症は、慢性また急性であり得、感染症は線維素性胸膜炎を伴う出血性の壊死性気管支肺炎によって特徴付けられる。現在までのところ、細菌の病原性は、血清型特異的な莢膜多糖、リポ多糖を含めた構造タンパク質、および表面タンパク質、ならびに細胞外細胞溶解性毒素に起因している。これらの病原性因子が精製され、幾つかの例においてはクローニングされているにもかかわらず、A. pleuropiieunioniae感染症におけるこれらの病原性因子の正確な役割についてほとんど理解されていない。
【0008】
12の血清型のA. pleuropneumoniaeが莢膜多糖における抗原性の差異および細胞外毒素の産生に基づいて同定されている。血清型1、2、5、7および9はヨーロッパにおいて優勢であるが、血清型1、5および7は、米国におけるA. pleuropneumoniae感染症に最も関連している。溶血素ファミリーのメンバーであり、RTX毒素と呼ばれるA. pleuropneumoniaeの少なくとも3の重要な細胞外毒素が存在する。RTX毒素は、イー・コリ(E. coli)、プロテウス・ブルガリリサ(Proteus vulgarisa)およびパスツレラ・ヘモリティカ(Pasteurella haemolytica)を含む多くのグラム陰性菌によって産生され、該タンパク質は一般的には構造的および機能的な特徴を共有している。しかしながら、様々な血清型からの毒素は、宿主特異性、標的細胞および生物活性においては異なる。
【0009】
主要なA. pleuropneumoniaeのRTX毒素には、ApxI、ApxIIおよびApxIIIが含まれる。ApxIおよびApxIIは溶血活性を有しているが、ApxIの方がより強力である。ApxIIIは溶血活性を示さないが、肺胞マクロファージおよび好中球に対して細胞毒性である。大部分のA. pleuropneumoniae血清型は、これらの3の毒素のうち2を産生する。例えば、血清型1、5、9および11はApxIおよびApxIIを発現し、血清型2、3、4、6および8はApxIIおよびApxIIIを発現する。しかしながら、血清型10はApxIしか産生せず、血清型7および12はApxIIしか発現しない。ApxIおよびApxIIを共に産生するそれらのA. pleuropneumoniae血清型は、最も病原性の細菌株である。
【0010】
Apx毒素は、ランダムに突然変異した野生型細菌を用いて、げっ歯類モデルおよびブタ感染における病原性因子であることが実証されている[Tasconら,Mol. Microbiol. 14: 207-216(1994)]。また、他のA. pleuropneumoniae突然変異体も、AopA外膜病原性タンパク質をコードする遺伝子を不活化するために標的化突然変異を用いて生成されている[MulksおよびBuysee, Gene 165: 61-66 (1995)]。
【0011】
新生児、離乳後の、生長しているおよび成体の子ヒツジ、子ウシおよびヤギにおける急性肺炎の重篤な大発生に寄与するパスツレラ種であるMannheimia[Pasteurella] haemolytica内では少なくとも11の血清型(1、25−9、12−14および16)が実証されている[Ackermannら, Microbes Infect 2 (9): 1079-88
(2000)]。輸送、ウイルス感染、過密状態、および他のストレスを発生し得る状態は、動物をM.
haemolytica感染症に罹りやすくする[Ackermannら, 前掲]。The leukotoxin
(Lkt) of M. haemolyticaのロイコトキシン(Lkt)は病原性において重要な役割を果たし、ウシ輸送熱の肺病理の特徴に通じる細胞溶解およびアポトーシスならびにウシ肺炎パスツレラ病における肺傷害を引起こすと考えられている[Highlanderら, Infect Immun 68 (7): 3916-22
(2000)] as well as lung injury in bovine pneumonic pasteurellosis [Jeyaseelan,
et al., Microb Pathog 30 (2): 59-69 (2001)]。Lktは反芻動物の白血球および血小板にのみ細胞溶解を誘導するユニークな特性を有する孔形成外毒素である [Jeyaseelanら, (2001)、前掲]。多くの細胞型の細胞溶解は、アラキドン酸(AA)によって仲介され、ホスホリパーゼによるその生成はG-タンパク質共役型受容体によって調節されている[Jeyaseelanら, (2001)、前掲]。細菌の研究ではM.
haemolyticaのLktが全ベータ2インテグリンの共通のサブユニットであるウシCD18に結合することが示されている[Jeyaseelanら, Infect Immun 68(1): 72-9
(2000)]。また、LFA−1がLkt受容体であり、LFA−1に対するLkt結合は標的細胞特異的ではなく、ウシLFA−1に対するLkt結合がカルシウム上昇および細胞溶解と相関し、ウシLFA−1発現がLkt−1によって誘導された標的細胞の細胞溶解の程度と相関することも示されている[Jeyaseelanら, Infect Immun 68 (1): 72-9
(2000)]。
【0012】
ワクチン組成物を生産する試行において、伝統的な死滅全細菌では血清型特異的な保護しか提供されない[MacInnesおよびSmart、前掲]、しかしながら、強い病原性の血清型を有するものによる自然感染症が複数の血清型に対する強力な保護免疫を刺激し得ることが実証されている[Nielsen, Nord Vet Med. 31: 407-13 (1979)、Nielsen,
Nord Vet Med. 36 :221-234(1984)、Nielsen, Can J Vet Res. 29: 580-582(1988)、Nielsen, ACTA Vet Scand. 15: 80-89(1994)]。ApxII毒素の不活性形態を産生する1の明確な生存−弱毒化ワクチン株がブタにおける交差保護を提供する見込みが示されており[Prideauxら, Infection & Immunity 67:
1962-1966(1999)]、一方、他の不明確な生存−弱毒化突然変異体も見込みが示されている[Inzanaら, Infect Immun., 61: 1682-6,(1993)、International Pig Veterinary SocietyにおけるPaltineanuら, 1992, 214、International Pig Veterinary SocietyにおけるUtreraら, 1992, 213]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
不明確で自然発生突然変異を有する細菌株を含むワクチン処方に関連する問題により、同種および異種のパスツレラ科の血清型に対して保護免疫を安全に刺激するワクチンに使用するための生存弱毒化細菌株の合理的構築について当該技術分野に要望が存在する。さらに、弱毒化細菌株および細菌の病原性に必要である遺伝子を同定する要望がさらに存在し、それによって抗菌剤を同定する方法の開発が促進される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般的には、本発明は弱毒化グラム陰性菌を含むワクチン組成物の生成、ならいびにそれを使用するための材料および方法を提供する。1の態様において、本発明のワクチン組成物は、パスツレラ科細菌における弱毒化種を含み、それは、当該技術分野において知られ、出典明示して本明細書の一部とみなすDewhirstら, J. Bacteriol. 174: 2002-2013 (1992)に一部記載されている。該科における種には、限定されるものではないが、A. actinomycetemcomitans、A. capsulatus、A. equuli、A. lignieresii、A. pleuropneumoniae(H. pleuropneumoniae)、A. seminis、A. suis(H.
suis)、A. ureae(p. ureae)、A. capsulatus、Bisgaard分類群11、H. aegyptius、H. aphrophilus、H. aphrophilus(H. parainfluenzae)、H. ducreyi、H. haemoglobinophilus、H. haemolyticus、H. influenzae、H. paracuniculus、H. paragallinarum、H. parahaemolyticus、H. parainfluenzae、(H. paraphrophilus)、H. paraphrohaemolyticus、H. paraphrophilus、H. parasuis、H. parasuis タイプ5、H. segnis、H. somnus、Haemophilus マイナーグループ、Haemophilus分類群C、P.
aerogenes、P. anatis、P. avium(H avium)、P. canis、P.
dagmatis、P. gallinarum、P.
haemolytica、P. trehalosi(P.
haemolytica生物型T)、P. langaa、P. multocida、P. pneumotropica、P. stomatis、P. volantium(H. panainflueizzae)、P. volantium、Pasteurella 種A、Pasteurella
種BおよびHaemophilus
paraphrohaemolyticusを含む。好ましくは、ワクチン組成物は、弱毒化Pasteurella
haemolvtica、Actinobacillus pleuropneumonae、Haemophilus somnusまたは Pasteurella multocida菌を含む。最も好ましい具体例において、本発明のワクチン組成物は、弱毒化Pasteurella multocidaおよびA. plueropneumoniae菌株を含む。
【0015】
本発明の1の態様は、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170および172のいずれか1によって表わされる遺伝子配列またはその種ホモログ中の機能性突然変異を含むグラム陰性菌を提供し、ここに、該突然変異は、コードされた遺伝子産物(すなわち、遺伝子によってコードされたポリペプチド)の発現および/または生物活性を阻害または廃止し;該機能性突然変異は菌株の病原性の弱毒化を生じる。遺伝子産物の発現および/または生物活性を変調させる(すなわち、増大または低下させる)機能性突然変異には、遺伝子自体の蛋白質コード領域中または、遺伝子発現の制御に寄与もしくは関与する配列中の挿入または欠失が含まれる。欠失突然変異には、特定の遺伝子配列の全部または一部分が欠失したものが含まれる。また、所望により好適なアジュバントおよび/または医薬上許容し得る希釈剤もしくは担体を含んでいてもよい、突然変異し弱毒化されたグラム陰性細菌を含む組成物、好ましくはワクチン組成物も意図する。修飾株をワクチン処方中で有効とするためには、病原菌が重篤な臨床的病徴を発生するのを防ぐのに十分に弱毒化が顕著でなければならないが、宿主における細菌の制限された複製および増殖を許容するよう十分に顕著でないことが必要である。
【0016】
また、本発明は、グラム陰性菌の病原性に必要であるとなる遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドも提供する。本発明のポリヌクレオチドには、相補的DNA、相補的もしくはアンチセンスDNAを含むゲノムDNA、および全合成もしくは部分合成DNAのごときDNA;センスおよびアンチセンス鎖を含むRNA;および例えば、Corey, TIBTECH 15:224-229(1997)に記載のごときペプチド核酸が含まれる。本発明の病原性遺伝子ポリヌクレオチドには、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載のもの、またはその種ホモログ、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174のポリヌクレオチド、またはその種ホモログによってコードされる病原性遺伝子産物をコードするポリヌクレオチド、および中程度ないし高度にストリンジェントな条件下にて、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチド、またはその種ホモログのいずれか1の非コード鎖(または相補体)にハイブリダイズするポリヌクレオチドが含まれる。したがって、本発明は、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載されたパスツレラ科からの遺伝子配列、ならびに自然発生する(すなわち、種ホモログ)およびその人工的に誘導された変異型を含む他のグラム陰性菌からの関連する遺伝子配列を包含する。また、本発明は、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチドおよびその種ホモログのいずれか1から推定されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも包含する。本発明のポリヌクレオチドの配列の知識により、そのポリヌクレオチドの全ての可能な断片の入手が容易となる。したがって、本発明は、本発明のポリヌクレオチドの断片を提供する。
【0017】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現構築体をもさらに包含する。また、本発明のポリヌクレオチドで形質変換した、トランスフェクトした、または電気穿孔した宿主細胞も包含する。本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを生成するための方法を提供し、それは、該ポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物の発現を許容し、好ましくは促進する条件下にて本発明の宿主細胞を増殖させ、ついで該宿主細胞またはその増殖培地から遺伝子産物を単離する工程を含む。
【0018】
本発明のポリヌクレオチドの同定により、コード化されたポリペプチドが入手可能となる。本発明のポリペプチドには、同類アミノ酸置換が野生型ポリペプチドに導入されたものを含む、完全長または断片、または切形タンパク質;その変異型;融合またはキメラタンパク質;およびアナログが含まれる。また、本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体も提供し、それにはモノクローナルおよびポリクローナル抗体、単一鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体および相補性決定領域(CDR)−移植抗体、ならびに本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物が含まれる。また、本発明は、本発明の抗体に免疫特異的な抗イディオタイプ抗体も提供する。
【0019】
本発明のもう1の態様によれば、グラム陰性菌の病原性遺伝子または遺伝子産物の機能を変調する、新規な抗菌剤を同定するための方法を提供する。本発明の方法には、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174のいずれか1に記載されたDNA配列またはその種ホモログによってコード化される病原性遺伝子産物の発現を干渉する能力についての潜在的剤をスクリーニングし、または全体的または部分的に配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174のいずれか1に記載されたDNA配列、その種ホモログまたはその相補鎖によってコードされる細菌遺伝子産物の生物機能に干渉する能力につき潜在的剤をスクリーニングし、続いてかかるスクリーニングアッセイにおいてポジティブな結果を供する剤を同定することが含まれる。特に、病原性遺伝子産物の発現に干渉する剤には、病原性遺伝子配列に相補的であるアンチセンスポリヌクレオチドおよびリボザイムが含まれる。本発明は、さらに、オリゴヌクレオチド指令の三重らせん形成の使用を介する本発明の遺伝子産物の転写を変調する方法も包含する。
【0020】
病原性遺伝子産物の機能に干渉する剤には、病原性遺伝子産物の変異型、病原性遺伝子産物の結合パートナーおよびかかる結合パートナーの変異型および(該産物が酵素である場合には)酵素阻害物質を含む。
【0021】
本明細書に記載した方法によって同定された新規な抗菌剤、ならびに細菌の存在を減少させるのに有効な量のかかる新規な抗菌剤の投与を含むグラム陰性菌による感染症に苦しむ対象を治療する方法が提供される。
【0022】
本発明の多数のさらなる態様および利点は、現在準備されたその具体例を記載する以下の発明の詳細な説明を考慮すれば、当業者に明らかとなるであろう。
【0023】
本明細書で用いる「病原性遺伝子」は、機能または産物が宿主動物における細菌感染症の首尾よい確立および/または維持に必要である遺伝子である。したがって、病原性遺伝子および/またはそれによってコードされるタンパク質は、宿主生物における病理に関係するが、増殖には必要ではないかもしれない。
【0024】
本明細書で用いる「シグニチャータグド(signature-tagged)突然変異(STM)」は、一般的には、国際公開WO96/17951(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載された方法であり、例えば、菌血症のげっ歯類モデルにおける病原性に必要な細菌遺伝子を同定する方法を含む。この方法においては、各々がゲノム中にランダムな突然変異を有する菌株をトランスポゾン組込みを用いて作成し;各挿入突然変異は、突然変異体を互いに区別することを可能とする異なるDNAシグニチャータグ(signature-tag)を運搬する。該タグは、20塩基対の不変の「アーム」によって隣接してはさまれた40塩基対の可変中央領域を含み、それは、中央部分がポリメラーゼ鎖反応(PCR)によって共増幅されることを可能とする。タグを付した突然変異株はマイクロタイター皿中で組立て、ついで感染試験のための「接種物プール」を形成するために合する。接種後の適当な時点にて、細菌は動物から単離され、プールして「回収プール」を形成する。回収プール中のタグおよび接種プール中のタグは、別々に増幅し、標識し、ついでそれを用いて、接種源中の突然変異体を示す異なるタグの全てで整列したフィルターを調べる。弱毒化病原性を持つ突然変異株は、感染した動物から回収できないものであり、すなわち、回収プールからのタグで調べた場合にはハイブリダイゼーションシグナルを示さないが、接種プールからのタグで調べた場合にはハイブリダイゼーションシグナルを与えるタグを持つ株である。この方法の変形において、化学ルミネセンスのごとき非放射性の検出法を用いることができる。
【0025】
シグニチャータグド突然変異は、多数の挿入突然変異株を、病原性の欠失につき単一の動物において同時にスクリーニングすることを可能とする。突然変異体P. multocida株の19のプールのスクリーニングにより、病原性が低下した60を超える株を同定し、その多数は、個々の突然変異体についておよそのLD50のその後の決定によって病原性が弱毒化されることが確認された。A. pleuropnetmoniae突然変異体のスクリーニングにより、35の異なる遺伝子中に突然変異を有する100を超える株を同定した。これらのうち、22の遺伝子中の突然変異は顕著に弱毒化されたA. pleuropneumoniae株を生じた。トランスポゾン挿入によって破壊されたオープン・リーディング・フレームのヌクレオチド配列は、両鎖を配列決定し、コードされるアミノ酸配列を推定することによって決定した。ポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列の双方の新規性は、DNAおよびタンパク質のデータ・ベース配列と該配列との比較によって決定した。これらの種における病原性遺伝子の知識は、P. (Mannheimia) haemolytica中の種ホモログの同定を可能とした。
【0026】
細菌および、より詳細には、P. multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia)
haemolytica病原性遺伝子の同定は、ワクチンに有用である低下した病原性を示す微生物(すなわち、弱毒化株)のために提供された。かかる微生物には、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174のいずれか1によって表わされる遺伝子を不活化する少なくとも1の機能性突然変異を含むPasteurellaceae突然変異体を含む。当業者ならば、「機能性突然変異」が、本発明の遺伝子のタンパク質コード領域、ならびに病原性遺伝子のRNAの転写を調節する調節領域において生じ得ることを認識するであろう。
【0027】
また、当業者ならば、本発明の弱毒化P. multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia)
haemolytica株が1を超える機能性突然変異を有するものを含むことを認識するであろう。1を超える突然変異は付加的または相乗的な程度の弱毒化を生じ得る。設計によって複数の突然変異を調製できるか、または元来単一の突然変異を導入することを意図した欠失事象から偶然に発生し得る。複数の欠失を持つ弱毒化株の例は、cyaおよびcrpの遺伝子が機能的に欠失したSalmonella typhimurium株である。この突然変異体S.typhimurium株は、生ワクチンとしての見込みを示している。
【0028】
P. multocida、A.
pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolyticaにおける病原性遺伝子の同定は、他の病原性種における同様の遺伝子に関する情報を提供できる。例えば、aroA遺伝子の同定は、Aeromonas hydrophila、Aeromonas salmonicida、Salmonella typhimurium、Salmonella enteritdis、Salmonella dublin、Salmonella gallanerum、Bordella pertussis、Yersinia entericolitica、Neisseria
gonorrhoeaeおよびBacillus anthracisを含む種々の多数の病原体に保存された遺伝子の同定に導く。これらの種の多くにおいて、aroA遺伝子中に突然変異を持つ弱毒化菌株が、ワクチン処方に有効であることが判明した。P.
multocida中で同定された病原性遺伝子配列を用いれば、同様または同族の遺伝子を他の生物、特に、Pasteurella科ならびにA. pleuropneumoniae、P. (Mannheimia)
haemolyticaおよびHaemophilus somnusにおいて同定できる。同様に、A. pleuropneumoniae病原性遺伝子の同定は、他の生物中の関連する遺伝子の同定を可能とする。プローブとしてP. multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolytica遺伝子を用いるサザーンハイブリダイゼーションは、他の生物に由来する染色体ライブラリー中のこれらの関連する遺伝子を同定できる。別法として、PCRは、種の境界を超えて遺伝子同定に等しく有効となり得る。また、さらにもう1の別法として、例えば、他の種からの染色体ライブラリーを有するP. multocida突然変異体の相補性を用いて、同一または関連する病原活性を有する遺伝子を同定できる。したがって、関連する病原性遺伝子の同定は、なおもう1のワクチン処方として有用となり得る他の生物の弱毒化株の作成に導くことができる。他の種(例えば、P. (Mannheimia) haemolytica、A.
pleuropneumoniaeおよびH.somnus)に存在することが実証されたP. multocida遺伝子の例には、遺伝子exbB、atpG、pnp、guaBおよびyjpFが含まれる。
【0029】
STMを用いて同定された弱毒化 P. multocida株は、病原性遺伝子がオープン・リーディング・フレームまたは調節DNA配列のいずれかの中におけるトランスポゾン配列の挿入によって機能性でなくなった挿入突然変異体である。
これらの挿入突然変異体には、いまだ細菌病原性に必要な遺伝子情報のすべてが含まれており、挿入されたトランスポゾンの欠失によって病原性状態におそらく復帰し得る。したがって、ワクチン処方を調製することにおいては、弱毒化株から拾い集めた情報を収集し、幾分かの、大部分のまたは全ての病原性遺伝子配列が除去された欠失突然変異株を作成し、それによって細菌が病原性状態に復帰する可能性を排除することが望ましい。
【0030】
STMを用いて同定した弱毒化挿入突然変異体のワクチン特性は同一遺伝子中に欠失を有する細菌のものと同一または類似していることが予想される。しかしながら、挿入突然変異が隣接する遺伝子配列に対して“極性”効果を発揮する場合があり、その結果、挿入突然変異体が同一の遺伝子配列中に欠失を有する突然変異株とはことなる特徴を有する場合もある。欠失突然変異体は、当該技術分野でよく知られており、かつ日常的に実施されている多くの技術のいずれかを用いて作製し得る。
【0031】
1の例において、対選択可能な(counterselectable)マーカーを用いる戦略が使用でき、それは多くの細菌中の遺伝子を欠失するために一般的に利用されている。概説については、例えば、Reyratら, Infection and Immunity 66:4011-4017(1998)(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)を参照されたい。この技術において、二重の選択戦略がしばしば用いられ、ここでは、目的とする欠失の両側に由来するフランキングDNA配列を用いて、選択可能および対選択可能なマーカーの両方をコードするプラスミドを構築する。選択可能なマーカーを用いて、適当な場所および様式でプラスミドがゲノムに組込まれた細菌について選択する。対選択可能なマーカーは、組込まれたプラスミドを自然に失った非常に低いパーセントの細菌について選択するために用いる。その場合、これらの細菌の画分は、他の外来DNAが全く存在しない目的の欠失のみを含むであろう。この技術を用いる鍵は、好適な対選択可能なマーカーの入手性である。
【0032】
もう1の技術において、DNAの部位特異的組換えにcre-lox系を用いる。該系は34塩基対のlox配列からなり、これは細菌creリコンビナーゼ遺伝子によって認識される。lox部位が適当な向きでDNA中に存在しない場合には、lox部位によって挟まれたDNAがcreリコンビナーゼによって切除され1の残存するLox配列のコピー以外の全ての配列の欠失を生じる。標準的な組換え技術を用いると、P. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimi)haemolyticaのゲノム中の目的の標的化遺伝子を欠失し、それとlox部位によって挟まれた選択可能なマーカー(例えば、カナマイシン耐性をコードする遺伝子)とを入替えることが可能である。(P. multosida、A. pleuropneumonieaeまたはP. (Mannheimia) haemolytica中で機能するプロモーターの制御下でcre遺伝子を願する自殺プラスミドの電気穿刺による)creリコンビナーゼの一時的発現は、loxに挟まれたマーカーの有効な除去を生じるにちがいない。このプロセスは、目的の欠失突然変異およびlox配列の1のコピーを含む突然変異体を生じるであろう。選択可能および対選択可能なマーカーの双方をコードし、隣接してはさまれたDNA配列は、所望の欠失の両側から誘導される。選択可能なマーカーを用いて、該プラスミドが適当な位置および様式でゲノム中に組込まれた細菌を選択する。対選択可能なマーカーを用いて、統合されたプラスミドを自発的に消失される非常に低いパーセンテージの細菌について選択する。ついで、これらの細菌の画分は、他の外来性DNAが存在しない所望の欠失だけを含む。この技術の使用のための鍵は、適当な対選択可能なマーカーの有効性である。
【0033】
もう1の技術において、cre-lox系をDNAの部位特異的な組換えに用いる。この系は、細菌性cre組換え酵素遺伝子によって認識される34塩基対のlox配列よりなる。該lox部位が、適当な配向でDNA中に存在するならば、lox部位によって隣接してはさまれたDNAは、cre組換え酵素によって切り取られ、その結果、残りの1コピーのlox配列を除き全配列を欠失する。標準的組換え技術を用いて、P. multocidaまたはA. pleuropneumoniaeゲノム中の注目する標的とされた遺伝子を欠失し、それを該lox部位によって隣接してはさまれた選択可能な標識(例えば、カナマイシン耐性につきコードする遺伝子)と置換することが可能である。cre組換え酵素の(P. multocidaまたはA. pleuropneumoniaeにおいて機能するプロモーターの制御下、cre遺伝子を含む自殺プラスミドの電気穿孔による)一過性発現は、loxが隣接してはさむマーカーの効果的な消失を生じさせるであろう。このプロセスの結果、突然変異体は、所望の欠失突然変異および1コピーのlox配列を含むであろう。
【0034】
もう1のアプローチにおいて、P. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia)
haemolyticaのゲノム中の所望の欠失配列とグリーン蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼのごときマーカー遺伝子とを直接的に置換することが可能である。この技術において、所望の欠失を隣接してはさむDNAセグメントをPCRによって調製し、P. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia) haemolytica用の自殺(複製しない)ベクターにクローニングする。P. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia) haemolytica中で活性なプロモーター、および適当なマーカー遺伝子を含有する発現カセットは、フランキング配列の間にクローニングする。該プラスミドは、野生型のP. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia) haemolyticaに導入する。マーカー遺伝子を取込み、それを発現する(たぶん非常に低頻度)細菌を、単離し、適当な組換え事象(すなわち、野生型遺伝子とマーカー遺伝子との置換)は、単離され、適当な組換え事象(すなわち、野生型遺伝子の標識遺伝子への置換)について調べる。
【0035】
これらの生物の低下した病原性およびそれらの免疫原性は、対象動物への投与によって確認し得る。本発明の非発病性の微生物については単独で投与できるが、1またはそれを超えるかかる突然変異体微生物は、好適なアジュバントおよび医薬上許容される希釈剤または担体を含むワクチン組成物で好ましくは投与する。担体は本発明の非病原性微生物と適合し得、免疫化する対象に有害でないという意味において「許容される」ものでなければならない。典型的には、該担体は、無菌で発熱物質が存在しない水または塩類溶液であろう。免疫化すべき対象は、病原性形態のP. multocida、A. pleuropneumoniae、P. (Mannheimia) haemolyticaまたは他の病原微生物によって引き起こされる疾患から保護する必要がある対象である。
【0036】
本発明のワクチンがヒト医学および獣医学の分野で有用であり得ることは、認識されるであろう。したがって、免疫化すべき対象には、ヒトまたは他の動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギおよび家禽(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルおよびガチョウ)を含む農業動物、イヌおよびネコのような愛玩動物;新種の動物および/または動物園動物;ならびにマウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびハムスターを含む実験動物が含まれる。
【0037】
また、本発明は、P. multocida、A. pleuropneumonicaeまたはP. (Mannheimia)
haemolyticaの病原性に必要なポリペプチドおよび対応するポリヌクレオチドも提供する。本発明には、天然に存在するおよび天然に存在しないポリヌクレオチドおよびそのポリペプチド産物の双方が含まれる。天然に存在する病原性産物には、異なる遺伝子およびポリペプチド種、ならびにP. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia) haemolytica株以外の生物において発現される対応する種ホモログが含まれる。天然に存在しない病原性産物には、共有結合修飾を含むアナログおよび病原性産物のごとき天然に存在する産物の変異型が含まれる。好ましい具体例において、本発明は、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載された配列、およびその種ホモログを含む病原性ポリヌクレオチド、ならびに該ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。
【0038】
本発明は、細菌の病原性遺伝子産物をコードする新規な精製され、単離されたP.
multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolyticaのポリヌクレオチド(例えば、DNA配列およびRNA転写物、センス鎖および相補的アンチセンス鎖の双方)を提供する。本発明のDNA配列には、ゲノミックおよびcDNA配列ならびに全体または部分的に化学合成したDNA配列が含まれる。本発明のゲノミックDNAには、本発明のポリペプチドについてのタンパク質コード領域が含まれ、同一種の他の菌株において見出され得る変異型が含まれる。本明細書中で用い、また、当該技術分野において理解されている「合成(された)」とは、酵素的とは反対の純粋に化学的なポリヌクレオチドを製造する方法をいう。したがって、「全(体)」合成したDNA配列は全体的に化学的手段によって作製され、「部分(的)」合成したDNAは、得られたDNAの一部分だけを化学的手段によって作製したものを含む。P. multocida病原性遺伝子産物をコードする好ましいDNAは、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118および120ならびにその種ホモログに記載されている。病原性遺伝子産物をコードする好ましいA. pleuropneumoniaeのDNA配列は、配列番号:122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163および164ならびにその種ホモログに記載されている。好ましいP. (Mannheimia) haemolyticaの病原性遺伝子産物は、配列番号:166、168、170、172および174ならびにその種ホモログに記載されている。当業者であれば、本発明の好ましいDNAが、二本鎖分子、例えば配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174およびその種ホモログに記載の配列を有する分子を、DNAについてのワトソン−クリック塩基対形成ルールに従う配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174の配列から推定し得る配列を有する相補的分子(「非コード鎖」または「相補体」)とともに含むことは容易に認識し得るであろう。また、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118および120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチドおよびその種ホモログのいずれか1によってコードされる遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドが好ましい。さらに、本発明は、P. multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolyticaのDNAの種、好ましくは細菌ホモログを含む。
【0039】
本発明によって提供されるポリヌクレオチド配列情報は、サザーンおよび/またはノーザンハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含むよく知られた技術によって、関連する細菌の病原性分子をコードするポリヌクレオチドの同定および単離を可能とする。関連するポリヌクレオチドの例は、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチドおよびその種ホモログのいずれか1によってコードされる病原性遺伝子産物に相同的なポリペプチド、ならびに本発明の病原性遺伝子産物の1以上の生物学的および/または物理的特性を共有する構造的に関連するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0040】
また、本発明には、中程度ないし高度のストリンジェント条件下で、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118および120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチドおよびその種ホモログのいずれか1の非コード鎖または相補体にハイブリダイズする細菌の遺伝子産物をコードするDNA配列も包含される。遺伝暗号の縮重を除いてそれらにハイブリダイズする病原性ポリペプチドをコードするDNA配列も本発明によって意図される。例示的な高度のストリンジェンシー条件には、65℃ないし75℃の0.2×SSC/0.1%SDSを含む緩衝液中の最終洗浄が含まれ、一方、例示的な中程度のストリンジェンシー条件には、35℃ないし45℃の2×SSC/0.1%SDSを含む緩衝液中の最終洗浄が含まれる。同等のストリンジェンシーの条件を、Ausubelら(編), Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons(1994), 6.0.3ないし6.4.10頁に記載された温度および緩衝液または塩濃度を変化させることによって達成できることは当該技術分野において理解されている。ハイブリダイゼーション条件における修飾は、プローブの長さおよびグアノシン/シトシン(GC)の塩基対合のパーセンテージに基いて経験的に決定でき、または正確に計算できる。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら(編), Molecular Cloning: A
Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, New
York(1989), 9.47ないし9.51頁に記載されているごとく算出し得る。
【0041】
また、病原性遺伝子配列を取込むプラスミドおよびウイルスDNAベクターのごとき自律複製性の組換え発現構築体も提供する。また、病原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが内因性または外因性の発現制御DNA配列および転写ターミネーターに作動可能に連結された発現構築体も提供する。病原性遺伝子は、鋳型としてP. multocidaゲノムDNAを用いるPCRによってクローン化し得る。発現ベクターに遺伝子を簡単に挿入するために、PCRプライマーは、PCR増幅した遺伝子が開始コドンATGに先行する5'末端に制限酵素部位を有し、かつ終止コドンTAG、TGAまたはTAAの下流の3'末端に制限酵素部位を有するようにPCRプライマーを選択する。望ましい場合には、遺伝子中のコドンを、GrosjeanおよびFiers, Gene, 18: 199-209(1982)、ならびにKonigsbergおよびGodson, Proc. Natl. Acad. Sci.(USA), 80:687-691(1983)によって記載されたE. coliコドン優先度に従ってアミノ酸を変化することなく変化させる。E. coli中で産生された場合、コドン使用の最適化は、遺伝子産物の発現の増加に導き得る。遺伝子産物がE. coliまたは他の細菌のペリプラズム中または細胞培養基へのいずれかで細胞外に産生される場合には、遺伝子はその開始コドンなくしてクローン化し、シグナル配列の背後で発現ベクターに位置する。
【0042】
本発明のもう1の態様によれば、本発明の病原性ポリペプチドを発現できる様式で本発明のポリヌクレオチド配列で安定してまたは一時的に形質変換した、トランスフェクトしたまたは電気穿孔した原核生物および真核細胞を含む宿主細胞を提供する。本発明の発現系には、細菌、酵母、真菌、ウイルス、無脊髄動物および哺乳動物の細胞系が含まれる。本発明の宿主細胞は、病原性遺伝子産物と特異的に免疫反応する抗体を発生させるための価値ある免疫原である。本発明の宿主細胞は、細胞を好適な培養基で増殖させ、目的のポリペプチド産物を細胞からかまたは細胞を増殖させた培養基から、例えば当該技術分野でよく知られており、日常的に実施されている免疫アフィニティー精製または多くの精製技術のうちのいずれかによって単離する。E. coli、P. multocida、BacillusおよびS. aureusを含む他の細菌、Pichia pastorisおよびSaccharomyces cerevisiaeを含む酵母、昆虫細胞またはCHO細胞を含む哺乳動物細胞のごときいずれの好適な宿主細胞も、当該技術分野において知られている好適なベクターを利用して、遺伝子産物の発現のために用いることができる。タンパク質は、細菌細胞の細胞周辺腔へ、または細胞培養基への分泌によって細胞内または細胞外のいずれかで直接的に産生されるか、あるいはペプチドまたはポリペプチドに融合し得る。タンパク質の分泌には、シグナルペプチド(プレ配列としても知られている)を必要とし;原核生物および真核生物からの多数のシグナル配列が組換えタンパク質の分泌のために機能することが知られている。タンパク質分泌プロセスの間に、シグナルペプチドはシグナルペプチターゼによって除去されて成熟タンパク質が得られる。
【0043】
タンパク質精製プロセスを単純化するために、精製タグを遺伝子コード配列の5'または3'末端のいずれかに付加できる。一般的に使用される精製タグには、6のヒスチジン残基のストレッチ(米国特許第5,284,933号および第5,310,663号)、SchmidtおよびSkerra,
Protein Engineering, 6: 109-122(1993)によって記載されているストレプトアビジン−親和性タグ、FLAGペプチド[Hoppら,
Biotechnology, 6: 1205-1210(1988)]、グルタチオンS−トランスフェラーゼ[SmithおよびJohnson, Gene, 67:31-40 (1988)]、およびチオレドキシン[La Vallieら,Bio/Technology, 11: 187-193(1993)]が含まれる。これらのペプチドまたはポリペプチドを取り除くために、タンパク質分解切断認識部位を融合接合部に挿入できる。一般的に使用されるプロテアーゼは、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼである。
【0044】
また、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる精製および単離されたP.
multocida、A. pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolytica病原性ポリペプチドも提供する。配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118および120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、164、166、168、170、172および174に記載されたポリヌクレオチドならびにその種ホモログのいずれか1によってコードされたアミノ酸配列を含むポリペプチドが現在好ましい。本発明は、a)配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、164、166、168、170、172および174ならびにその種ホモログのいずれか1に記載されたDNA配列;b)
配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、164、166、168、170、172および174のいずれか1によってコードされたP. multocida、A. pleuropneumoniaeまたはP. (Mannheimia) haemolyticaのポリペプチドをコードするDNA分子ならびにその種ホモログ;およびc)中程度のストリンジェンシー条件下にて、(a)または(b)のDNAにハイブリダイズする病原性遺伝子産物をコードするDNA分子よりなる群から選択されるDNAによってコードされる病原性ポリペプチドを包含する。
【0045】
本発明は、本発明の好ましいポリペプチドに対して、少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、および少なくとも約50%の同一性および/または相同性を有するポリペプチドも包含する。本発明の好ましいポリペプチドに関するパーセント(%)アミノ酸配列「同一性」とは、病原性遺伝子産物配列と候補配列の両方を並べて、必要ならギャップを導入して、最大パーセント配列同一性を達成した後の病原性遺伝子産物配列中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書中では定義し、配列同一性の部分としていずれの保存的置換も考慮していない。本発明の好ましいポリペプチドに関する%配列「相同性」は、候補配列と病原性遺伝子産物の配列の両方を並べて、必要ならギャップを導入して最大%配列同一性を達成した後の病原性遺伝子産物配列中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書中では定義し、配列同一性の一部分としていずれの同類置換も考慮しない。同類置換は、表AおよびBに掲載するように定義し得る。
【0046】
【表1】



【0047】
本発明のポリペプチドは、天然の細菌細胞起源から単離するかまたは化学合成し得るが、好ましくは本発明の宿主細胞を含む組換え法によって生成する。本発明の病原性遺伝子産物は、完全長ポリペプチド、生物学的に活性なフラグメント、または特異的な生物学的もしくは免疫学的な活性を保持するそれらの変異型とし得る。変異型には病原性ポリペプチドアナログが含まれ、そこにおいては、(1)病原性遺伝子産物に特異的な1またはそれを超える生物学的活性または免疫学的特徴を喪失することなく;あるいは(2)病原性遺伝子産物の特定の生物学的活性の特定の不能性を有しつつ、1またはそれを超える特定の(すなわち、天然にコードされた)アミノ酸が欠失または置換されているか、あるいは1またはそれを超える非特定のアミノ酸が付加されている。意図する欠失変異型には、生物学的活性に必須でないポリペプチドの部分を欠いているフラグメントも含まれ、挿入変異型には野生型ポリペプチドまたはそのフラグメントがもう1のポリペプチドに融合している融合ポリペプチドが含まれる。
【0048】
変異型病原性ポリペプチドには、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの改変によって同類置換が導入されているものが含まれる。同類置換は、その関連する物理学的特性に従ってアミノ酸を分類することと当該技術分野では認識されており、(1997年3月13日公開の国際公開WO 97/09433、10頁(9/6/96出願のPCT/GB96/02197)から引用する)表Aに掲載したごとく定義し得る。また、同類アミノ酸は、表Bに掲載するごとくLehninger,[Biochemistry,第2版;Worth
Publishers,Inc.社 NY:NY(1975), pp71-77]で定義されているごとくグループ分けすることもできる。
【0049】
【表2】



【0050】
本発明の変異型病原性産物には、成熟病原性遺伝子産物、すなわちリーダー配列またはシグナル配列が除去され、さらなるアミノ末端残基を有するものが含まれる。ポジション−1にさらなるメチオニン残基を有する病原性遺伝子産物は、ポジション−2および−1にさらなるメチオニンおよびリシン残基を有する病原性産物と同様に意図される。これらの型の変異型は、細菌細胞型における組換えタンパク質産生に特に有用である。本発明の変異型には、他のタンパク質に由来するアミノ末端配列が導入されている遺伝子産物、ならびに天然発生タンパク質には見出されないアミノ末端配列を含む変異型も含まれる。
【0051】
本発明は、特定の発現系の使用から生じるさらなるアミノ酸残基を有する変異型ポリペプチドをも包含する。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として目的のポリペプチドを発現する市販のベクターを使用することにより、目的のポリペプチドからGST成分を切断した後にポジション−1にさらなるグリシン残基を有する目的のポリペプチドが得られる。他のベクター系を用いる発現から生じる変異型も意図される。
【0052】
また、本発明によって意図されるのは、抗体(例えば、本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む複合物を含む、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化、ヒトおよびCDR−グラフト抗体)ならびに病原性遺伝子産物またはそのフラグメントに特異的な他の結合タンパク質である。「〜に特異的な」なる語は、本発明の抗体の可変領域が排他的に病原性ポリペプチドを認識し、かつ、それに結合する(すなわち、ポリペプチドのファミリーに見出される配列の同一性、相同性または類似性にかかわらず、関連する病原性ポリペプチドから単一の病原性ポリペプチドを識別し得る)が、抗体の可変領域の外側の配列、特に分子の定常領域中の配列との相互作用を介して他のタンパク質(例えば、ELISA技術においてはエス・アウレウス(S. aureus)プロテインAまたは他の抗体)とも相互作用し得ることを示す。本発明の抗体の結合特異性を測定するスクリーニング・アッセイはよく知られており、当該技術分野で日常的に行われている。かかるアッセイの包括的な議論については、Harlowら(編), Antibodies A Laboratory Manual;
Cold Spring Harbor Laboratory; Cold Spring Harbor, NY (1988), 第6章を参照されたい。本発明の病原性ポリペプチドのフラグメントを認識し、かつ、それに結合する抗体も意図されるが、但し、当該抗体は、前記に定義したごとく、それからフラグメントが由来する本発明の病原性ポリペプチドに第一にかつ最先に特異的である。
【0053】
本発明により提供されるDNAおよびアミノ酸配列情報により、病原性遺伝子およびそれがコードする遺伝子産物の構造および機能の体系的な分析が可能となる。本発明の病原性遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドの知見により、本発明の病原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを認識し、かつ、それにハイブリダイズするアンチセンス・ポリヌクレオチドも利用可能となる。完全長およびフラグメントのアンチセンス・ポリヌクレオチドが提供される。当業者であれば、本発明のフラグメントのアンチセンス分子に、(i)(他の公知分子をコードするDNAに対する本発明の病原性ポリペプチドをコードするDNAの配列比較によって決定される)特定のRNAを特異的に認識し、かつ、それにハイブリダイズするもの、ならびに(ii)病原性タンパク質のファミリーの変異型をコードするRNAを認識し、かつ、それにハイブリダイズするものが含まれることを認識するであろう。タンパク質の病原性ファミリーの他のメンバーをコードするRNAにハイブリダイズするアンチセンス・ポリヌクレオチドは、配列比較を介して同定可能であり、分子のファミリーにつき特徴的または顕著な(signature)配列を同定する。
【0054】
さらに、本発明は、リボザイムの使用を介して遺伝子発現をモジュレートする方法も意図する。概説については、GibsonおよびShillitoe, Mol. Biotech. 7: 125-137
(1997)を参照されたい。リボザイム技術を利用して、(i)標的mRNAへの相補的RNAのハイブリダイゼーション、および(ii)相補鎖に固有のヌクレアーゼ活性を介するハイブリダイズしたmRNAの切断、を介する配列特異的な方法でmRNAの翻訳を阻害し得る。リボザイムは経験的な方法によって同定し得るが、より好ましくは標的mRNA上のアクセス可能な部位に基づいて特異的に設計する[Bramlageら, Trends in Biotech., 16:434-438
(1998)]。標的細胞へのリボザイムのデリバリーは、当該技術分野でよく知られておりかつ日常的に行われている外因的または内因的のいずれかのデリバリー技術を用いて行い得る。外因的デリバリー法には、標的化リポソームまたは直接局所注射の使用が含まれ得る。内因的な方法には、ウイルスベクターおよび非−ウイルスプラスミドの使用が含まれる。
【0055】
リボザイムは、病原性遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドにユニークな領域に相補的になるよう設計した場合、病原性遺伝子の発現を特異的にモジュレートし得る。したがって、「特異的にモジュレートする」とは、本発明のリボザイムが単一のポリヌクレオチドのみを認識することを意味することを意図する。同様に、リボザイムは、全てまたは幾つかのファミリーのタンパク質の発現をモジュレートするように設計し得る。この型のリボザイムは、タンパク質のファミリーをコードする全てまたは幾つかのポリヌクレオチド中に保存されたポリヌクレオチド配列を認識するように設計する。
【0056】
さらに、本発明は、オリゴヌクレオチド−指向化三重らせん形成の使用を介して本発明の病原性遺伝子の転写をモジュレートする方法を包含する。概説については、Lavrovskyら, Biochem. Mol. Med., 62:11-22
(1997)を参照されたい。三重らせん形成は、ワトソン−クリック・モデルで定義された主溝で二本鎖DNAにハイブリダイズする配列特異的オリゴヌクレオチドを用いて行う。その後、配列特異的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、例えば転写因子およびポリメラーゼを含むDNA−結合タンパク質の活性をモジュレートし得る。ハイブリダイゼーション用の好ましい標的配列には、病原性遺伝子産物の発現をモジュレートする転写調節領域が含まれる。三重らせん形成することができるオリゴヌクレオチドは、標的DNA配列の部位−特異的共有的改変にも有用である。共有的改変に有用なオリゴヌクレオチドは、Lavrovskyら, [前掲]に記載されているごとき種々のDNA損傷剤にカップリングする。
【0057】
P. multocida、A.
pleuropneumoniaeおよびP. (Mannheimia) haemolyticaの病原性遺伝子の同定は、抗菌剤の同定方法において遺伝子および遺伝子産物を有用としている。かかる方法には、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172、および174ならびにそれらの種ホモログ(すなわち、配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172、および174のDNA配列によって表される遺伝子)は病原性遺伝子産物をコードし、あるいは配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172、および174のDNA配列が病原性遺伝子産物をコードしている遺伝子に近接しているか、あるいは配列番号:1、3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、29、31、33、37、39、41、51、53、55、57、58、60、68、70、72、74、76、78、80、82、84、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、および120、122、124、126、128、130、132、134、135、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、163、164、166、168、170、172、および174のいずれか1に記載のDNA配列、その種ホモログまたはその相補鎖によって全体または一部分がコードされる細菌遺伝子産物の機能を干渉する能力につき潜在的剤をアッセイし、つづいてかかるアッセイにおいてポジティブである剤を同定することが含まれる。これらのアッセイに有用なポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、本明細書中に開示する遺伝子およびコードされるポリペプチドのみならず、野生型の遺伝子およびポリペプチドと実質的に同じ活性を有するその変異型も含まれる。
【0058】
前記した方法によって作製される病原性遺伝子産物は、高処理量アッセイで用いて阻害因子についてスクリーニングする。スクリーニングすべき潜在的剤の起源は、化学化合物ライブラリー、ストレプトマイセテス(Streptomycetes)、他の細菌および菌類の醗酵培地、ならびに植物および他の増殖性植物の細胞抽出物である。公知の酵素活性を有するタンパク質については、活性に基づいてアッセイを確立し、多数の潜在的剤を該活性を阻害する能力についてスクリーニングする。他のタンパク質または核酸と相互作用するタンパク質については、結合アッセイを確立して、かかる相互作用を直接測定し、潜在的剤を結合相互作用を阻害する能力についてスクリーニングする。
【0059】
当該技術分野で知られている異なるアッセイの使用は、本発明のこの態様に従って意図される。病原性遺伝子産物の機能が公知の遺伝子産物に対する配列類似性によって知られるかまたは予想される場合には、遺伝子産物の機能および/または特性に合わせた酵素的または他のタイプの生物学的および/または生化学的アッセイで潜在的なインヒビターをスクリーニングし得る。病原性遺伝子産物が他のタンパク質または核酸と相互作用する公知の遺伝子産物に対する配列類似性によって知られるかまたは予想される場合には、相互作用のインヒビターを結合アッセイで直接スクリーニングし得る。本発明は、病原性遺伝子産物によって結合のインヒビターをスクリーニングおよび同定する多数のアッセイを意図する。1の例において、病原性遺伝子産物を固定化し、結合パートナーとの相互作用を推定インヒビター化合物の存在および不存在下で評価する。もう1の例において、病原性遺伝子産物とその結合パートナーとの間の相互作用は、推定インヒビター化合物の存在および不存在下の両方で、溶液アッセイにおいて評価する。両方のアッセイにおいて、インヒビターは病原性遺伝子産物とその結合パートナーとの間の結合を低下させる化合物として同定する。他のアッセイもこれらの例で意図され、そこでは病原性遺伝子産物結合パートナーはタンパク質である。例えば、ジハイブリッドアッセイの変形が意図され、そこではタンパク質/タンパク質相互作用のインヒビターを、1995年8月3日に公開された国際公開番号WO 95/20652号に記載されているごとき形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞におけるポジティブ・シグナルの検出によって同定する。
【0060】
本発明により意図される候補インヒビターには、潜在的なインヒビターのライブラリーから選択される化合物が含まれる。小分子モジュレーターの同定に用いる多数の異なるライブラリーが存在し、これには(1)化学ライブラリー、(2)天然産物ライブラリー、および(3)ランダムなペプチド、オリゴヌクレオチドまたは有機分子からなるコンビナトリアル・ライブラリーが含まれる。化学ライブラリーは、公知の化合物、あるいは天然物のスクリーニングを介して「ヒット(hits)」または「リード」と同定された化合物の構造アナログからなる。天然産物ライブラリーは、(1)土壌、植物または海洋微生物からのブロスの醗酵および抽出、あるいは(2)植物または海洋生物の抽出、によってスクリーニング用の混合物を生成するために用いる微生物、動物、植物または海洋生物の収集である。天産物ライブラリーには、ポリペプチド、非−リボソームペプチドおよびそれらの変異型(非天然発生)が含まれる。概説については、Science, 282:63-68 (1998)を参照されたい。コンビナトリアル・ライブラリーは、混合物として多数のペプチド、オリゴヌクレオチド、または有機化合物よりなる。それは、伝統的な自動化合成法、PCR、クローニングまたは特許合成方法によって調製することが比較的簡単である。特に関心があるのは、ペプチドおよびオリゴヌクレオチドのコンビナトリアル・ライブラリーである。なお他の関心のあるライブラリーには、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、マルチ平行合成収集、組換え、およびポリペプチド・ライブラリーが含まれる。それから創製されたコンビナトリアル化学およびライブラリーの概説については、Myers, Curr. Opin. Biotechnol., 8: 701-707 (1997)を参照されたい。本明細書中に記載する種々のライブラリーの使用を介するモジュレーターの同定により、候補「ヒット」(または「リード」)を改変して活性をモジュレートする「ヒット」の能力を最適化し得る。
【0061】
本発明によって意図されるなお他の候補インヒビターを設計し得、それには可溶性形態の結合パートナー、ならびにキメラタンパク質または融合タンパク質としての結合パートナーが含まれる。本明細書中で用いる結合パートナーは、抗体、抗体フラグメント、ならびに同定した病原性遺伝子の発現産物に対して免疫特異的な抗体ドメインを含む改変化合物を広範囲に包含する。
【0062】
病原性遺伝子産物に対する結合パートナー(すなわち、リガンド)が知られていない場合には、標的タンパク質への試験結合パートナーの直接結合を測定することを介して標的タンパク質の結合パートナーを同定するアッセイ、ならびにイオンスプレー質量分析/HPLC法または他の物理学的方法もしくは分析方法を用いたアフィニティー限外濾過を介して標的タンパク質の結合パートナーを同定するアッセイが含まれる。また、かかる結合相互作用は、両方とも出典明示して本明細書の一部とみなす、FieldsおよびSong, Nature, 340: 245-246 (1989)、ならびにFieldsおよびSternglanz, Trends in Genetics,
10:286-292 (1994)に記載されている酵母ツーハイブリッド系を用いて間接的に評価する。ツーハイブリッド系は、2のタンパク質またはポリペプチド間の相互作用を検出するための遺伝子アッセイである。それを用いて、関心のある公知タンパク質に結合するタンパク質を同定するか、または相互作用に重要なドメインまたは残基を詳細にすることができる。この方法に対する変形が開発されて、DNA−結合タンパク質をコードする遺伝子がクローン化され、タンパク質に結合するペプチドが同定され、薬剤につきスクリーニングされている。ツーハイブリッド系は、レポーター遺伝子の上流活性化配列(UAS)に結合するDNA−結合ドメインのすぐ近接に転写活性ドメインをもってゆく一対の相互作用タンパク質の能力を活用し、一般的に酵母で行う。該アッセイには、(1)第1のタンパク質に融合したDNA−結合ドメイン、および(2)第2のタンパク質に融合した活性ドメイン、をコードするツーハイブリッド遺伝子の構築が必要である。DNA−結合ドメインは第1のハイブリッドタンパク質をレポーター遺伝子のUASに標的化する;しかしながら、大部分のタンパク質は活性化ドメインを欠いているため、このDNA−結合ハイブリッドタンパク質はレポーター遺伝子の転写を活性化することができない。活性化ドメインを含有する第2のハイブリッドタンパク質は、それ自体でレポーター遺伝子の発現を活性化することができない。それはUASに結合しないからである。しかしながら、両方のハイブリッドタンパク質が存在する場合には、第1のタンパク質と第2のタンパク質の非共有的な相互作用が活性化ドメインをUASにつなぎ、レポーター遺伝子の転写を活性化する。病原性遺伝子産物(例えば、第1のタンパク質)がもう1のタンパク質または核酸と相互作用することがすでに知られている場合には、このアッセイを用いて結合相互作用を干渉する剤を検出することができる。異なる試験剤を系に添加しながらレポーター遺伝子の発現をモニターする;インヒビター因子が存在するとレポーター・シグナルの欠失を生じる。
【0063】
病原性遺伝子産物の機能が知られておらず、かつ、遺伝子産物に結合することが知られているリガンドが存在しない場合には、酵母ツーハイブリッドアッセイを用いて遺伝子産物に結合するタンパク質を同定することもできる。第1のタンパク質(標的タンパク質)に結合するタンパク質を同定するためのアッセイにおいては、各々が異なる第2のタンパク質をコードしている多数のハイブリッド遺伝子をこのアッセイで作製およびスクリーニングする。典型的には、第2のタンパク質は、全cDNAまたはゲノミックDNAが活性化ドメインに連結しているプラスミドのプールによってコードされている。この系は広範な種々のタンパク質に適用可能であり、第2の結合タンパク質の同一性または機能を知ることすら必要でない。該系は非常に感度が高く、他の方法によって明らかにされない相互作用(一時的な相互作用が転写の引き金を引いて、繰返し翻訳することができる安定なmRNAを生成してレポータータンパク質が得られる場合でさえ)を検出することができる。
【0064】
他のアッセイを用いて標的タンパク質に結合する剤を探索し得る。標的タンパク質への試験リガンドの直接結合を同定するための1のかかるスクリーニング法は、出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,585,277号に記載されている。この方法は、タンパク質が一般的にホールドおよびアンホールド状態の混合物として存在し、2の状態の間を連続的に交代しているという原理に基づく。試験リガンドがホールド形態の標的タンパク質に結合する場合(すなわち、試験リガンドが標的タンパク質のリガンドである場合)には、リガンドによって結合された標的タンパク質分子はそのホールド状態のまま存在する。したがって、ホールド標的タンパク質は、リガンド不存在下よりも、標的タンパク質に結合する試験リガンドの存在下でより多い程度で存在する。標的タンパク質へのリガンドの結合は、標的タンパク質のホールドおよびアンホールド状態の間を識別するいずれの方法によっても判定し得る。このアッセイを行うために、標的タンパク質の機能が知られている必要はない。試験リガンドとしてこの方法によって実質的にいずれの剤も評価し得、限定されるものではないが、金属、ポリペプチド、タンパク質、脂質、多糖、ポリヌクレオチドおよび小有機分子が含まれる。
【0065】
標的タンパク質に対するリガンドを同定するもう1の方法は、出典明示して本明細書の一部とみなす、Wieboldtら, Anal. Chem., 69:1683-1691 (1997)に記載されている。この技術は、標的タンパク質への結合について溶液相中で一時に20−30の剤のコンビナトリアル・ライブラリーをスクリーニングする。標的タンパク質に結合する剤は、遠心限外濾過によって他のライブラリー成分から分離する。つづいて、フィルター上に保持された特異的に選択された分子を標的タンパク質から遊離させ、HPLCおよび空気圧アシスト電子スプレー(イオンスプレー)イオン化質量分析によって分析する。この手法は標的タンパク質に対して最高のアフィニティーを有するライブラリー成分を選択し、特に小分子ライブラリーに有用である。
【0066】
初期スクリーニングによって同定されたインヒビター/バインダーは、P.
multocida感染症のイン・ビボ(in vivo)マウス・モデルにおける病原性に対するその効果について評価する。菌血症、心内膜炎、敗血性関節炎、柔組織膿瘍または肺炎のモデルを利用し得る。他の動物の使用を含むモデルも本発明によって理解されている。例えば、ウサギを、変化する量の推定インヒビター/バインダー化合物を投与する前後に野生型P. multocida株で攻撃し得る。推定インヒビター/バインダー化合物の代わりに塩類溶液のみを投与した対照動物は、それによって試験動物の悪化を判定し得る基準を提供する。他の動物モデルには、Animal and Plant Health Inspection Sevice, USDA, 1994年1月1日 編, 第113章, 69-113.70; PancieraおよびCorstvet, Am. J. Vet. Res. 45: 2532-2537; Amesら, Can. J. Comp. Med. 49: 395-400 (1984);ならびにMukkur,
Infection and Immunity 18: 583-585 (1977)に記載されているものが含まれる。細菌の病原性を干渉するインヒビター/バインダーは、感染症の確立を予防し得、あるいは一旦確立した感染症の結果を逆転させ得る。
【0067】
フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント、ミコール酸ベースのアジュバント(例えば、トレハロース ジミコレート)、細菌リポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン(すなわち、ムレイン、ムコペプチド、またはN−オパカ(N−Opaca)、ムラミルジペプチド[MDP]またはMDPアナログのごとき糖タンパク質)、プロテオグリカン(例えば、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、連鎖球菌調製物(例えば、OK432)、ビオスチムTM(BiostimTM)(例えば、01K2)、欧州特許第109 942号、第180 564号および第231 039号の「イスコムス(Iscoms)」、水酸化アルミニウム、サポニン、DEAE−デキストラン、(ミグリオールのごとき)中性油、(落花生油のごとき)植物油、リポソーム、プルロニック(Pluronic)ポリオール、Ribiアジュバント系(例えば、GB−A−2 189 141号を参照されたい)、またはインターロイキンのごとき油ベースのアジュバントを含む当該技術分野で知られているいずれのアジュバントもワクチン組成物
に用い得、特に細胞性免疫を刺激するものを用い得る。アミコラータ(Amycolata)、アクチノマイセテールス(Actinomycetales)目の細菌属の抽出物よりなるもう1のアジュバントは、米国特許第4,877,612号に記載されている。さらに、特許アジュバント混合物が市販されている。用いるアジュバントは、一部分、レシピエント生物に依存するであろう。投与するアジュバントの量は、動物のタイプおよびサイズに依存するであろう。最適投与量は日常的な方法によって容易に決定し得る。
【0068】
ワクチン組成物は、所望により、医薬的なビヒクル、賦形剤または媒体として作用するワクチン−和合性の医薬上許容し得る(すなわち無菌であって無毒な)液体、半固体または固体の希釈剤を含み得る。当該技術分野で知られているいずれの希釈剤も用い得る。例示的な希釈剤には、限定されるものではないが、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸マグネシウム、メチル−およびプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、アルギン酸塩、デンプン、ラクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、アカシアガム、リン酸カルシウム、鉱油、カカオ脂、およびテオブローマ(theobroma)の油が含まれる。
【0069】
ワクチン組成物はデリバリーに簡便な形態で包装し得る。組成物はカプセル剤、キャプレッツ剤、サシェ剤、カシェ剤、ゼラチン、紙または他の容器内に入れることができる。レシピエント生物への免疫原性組成物の注入と和合する場合、特に、免疫原性組成物をユニット投与量形でデリバリーする場合、これらのデリバリー形態が好ましい。投与量ユニットは、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤またはカシェ剤に包装し得る。
【0070】
ワクチン組成物 は、例えば、経口、舌下、鼻腔、肛門、または膣デリバリーによって、静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹膜内または皮下注射を含む方法いずれかの慣用的な方法によって免疫感作すべき対象に導入し得る。治療は、単一用量または一定期間にわたる複数用量よりなり得る。
【実施例】
【0071】
本発明は、細菌感染症および/またはそれと関連する病徴を予防または軽減するためのワクチン薬剤を製造するための本発明の弱毒細菌株の使用も包含する。本発明は、細菌感染症および/またはそれと関連する病徴を予防または軽減するための医薬を製造するための本発明のインヒビターの使用も提供する。
【0072】
本発明を以下の実施例によって説明する。実施例1はP. multocida突然変異体の構築を記載する。実施例2はP. multocida突然変異体のスクリーニングに関する。実施例3はP.
multocida突然変異体の病原性を判定する方法を扱う。実施例4はP. multocida病原性遺伝子のクローニングを記載する。実施例5はP. multocida病原性遺伝子に関連する他の種における遺伝子の同定を扱う。実施例6はA. pleuropneumoniae突然変異体の構築を記載する。実施例7は弱毒化A.
pleuropneumoniae突然変異体のスクリーニングを扱う。実施例8はA.
pleuropneumoniae病原性遺伝子の同定に関する。実施例9はA. pleuropneumoniaeの突然変異体および野生型細菌の競合的攻撃を記載する。実施例10は同定したA. pleuropneumoniae遺伝子を特徴付ける。実施例11は野生型細菌攻撃に対して保護するA. pleuropneumoniae突然変異体の効力を扱う。実施例12はP.
(Mannheimia) haemolyticaにおける種ホモログ病原性遺伝子の同定を記載する。
【0073】
実施例1 タグを付加したトランスポゾンP. multocida突然変異体のライブラリーの構築
タグを付加したトランスポゾン突然変異体のライブラリーは、親ベクターpLOF/Km[Herreroら, J. Bacteriol., 172: 6557-67 (1990)]中に構築し、これはP. multocidaで機能性かつランダムであることが以前に示されている[Leeら, Vet. Microbiol., 50: 143-8(1996)]。プラスミドpLOF/Kmはスーサイド・ベクターpGP704を改変して構築し、それはTacプロモーター制御下のトランスポザーゼ遺伝子ならびにカナマイシン耐性をコードするミニ−Tn10トランスポーザブル・エレメントを含んでいた。プラスミドpTEF−1は半−ランダム[NK]35配列を含む配列タグを受容するようにpLOF/Kmを改変することによって以下に記載するごとく構築した。
【0074】
プラスミドpLOF/Kmをまず改変してマルチプルクローニング領域中のユニークKpnI制限部位を除去し、ついでミニ−Tn10領域中に新たなKpnI部位を導入した。そのプラスミドをKpnIで消化し、生じた突出末端を製造業者が指示するプロトコールに従ってクレノウ・ポリメラーゼで埋めた。本明細書中に記載する制限消化および連結は、製造業者が指示するプロトコールに従って行った(Gibco BRL, Gaithersburg, MD and Boehringer Mannheim, Indianapolis,
IN)。平滑末端生成物は自己連結して、pLOF/Km--KpnIと命名したプラスミドを生成し、これを増幅用のイー・コリ(E.coli)DH5α:λpirに形質転換した。イー・コリDH5α:(λpir φ80dlacZ△M15, recA1, endA1, gyrA96, thi−1, hsdR17(rk-, mk supE44, relA1, deoR, △(lacZYA-argF)U169を、LB(Luria-Bertani)培地中、37℃にて増殖させた。プラスミドはQIAGEN Inc. (Santa Clarita,
CA) からのQIAGEN SpinPrepsを用いて調製し、ミニ−Tn10トランスポーザブル・エレメント内のユニーク部位を切断するSfiIで消化した。SfiI−KpnI−SfiIアダプターは、オリゴヌクレオチドTEF1(配列番号:86)およびTEF3(配列番号:87)をアニーリングさせることによって調製し、得られた二本鎖アダプターをSfiI部位に連結させてプラスミドpTEF−1を作製した。オリゴヌクレオチドTEF1およびTEF3(ならびに本明細書中に記載する全ての他のオリゴヌクレオチド)は、Genosys Biotechnologies(The Woodlands, TX)によって合成した。
【0075】
【化1】



【0076】
pTEF−1のKpnI部位へ挿入するためのユニーク配列タグは以下の通り調製した。250μMの各dNTP、1.5mMのMg(OAc)、テンプレートDNAとしての100ピコモルの各プライマーTEF14(配列番号:88)およびTEF15(配列番号:89)、1ngのTEF26(配列番号:90)ならびに2.5単位の組換えTth DNAポリメラーゼXLを含む条件下で、GeneAmp XL PCRキット(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いてPCRを行って二本鎖DNAタグを作製した。
【0077】
【化2】



【0078】
反応条件は、95℃にて1分間の初期インキュベートにつづく、95℃にて30秒間、45℃にて45秒間、ついで72℃にて15秒間の30サイクルにつづく、72℃にて2分間の最終インキュベートを含む。PCR産物をKpnIで消化し、製造業者の指示するプロトコールに従ってQIAGEN Nucleotide Removal Kit(QIAGEN, Inc.,
Chatsworth, GA)を用いて精製した。ユニークタグ配列を、標準的な手法を用いて予めKpnIで消化し、子ウシ腸アルカリホスファターゼ(Boehringer Mannheim)で脱リン酸化した線状pTEF−1のミニ−Tn10エレメントに連結した。得られたプラスミド・ライブラリーをイー・コリDH5α:λpirに形質転換した。ハイブリダイゼーションおよび検出を以下の通り行いつつ、DIGの使用者案内書(Boehringer−Mannheim)に従ってコロニーブロット分析を行った。
【0079】
ハイブリダイゼーションは、Genius Non-Radioactive
User's Guide(Boehringer Mannheim Biochemicals)、DIG−PCR labeling kit (Boehringer Mannheim Biochemicals)用製品シート、およびCSPD(Boehringer Mannheim Biochemicals)用製品シートに従って本質的に行った。プローブの調製ついては、Amplitaq
PCR緩衝液(PE Applied Biosystems)、200μMのdNTP、140ピコモルの各プライマーTEF5(配列番号:9)およびTEF6(配列番号:92)、2mMのMgCl、2.5単位のAmplitaq(PE Applied Biosystems)および1ngのプラスミドDNAを用いて、100μlの一次PCR反応を設定した。
【0080】
【化3】



【0081】
サイクル条件は、95℃にて2分間の初期インキュベートにつづく、95℃にて30秒間、50℃にて45秒間、72℃にて15秒間の35サイクルにつづく72℃にて3分間の最終インキュベートを含んでいた。増幅産物を2%−3:1 NuSieve GTG(FMC BioProducts, Rockland, ME, USA):アガロースゲル上の電気泳動を用いて分離し、109bpを切除して精製した。ゲル抽出はQIAGEN
Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて行った。約15ngの一次産物を、DIG PCR Kit、50ピコモルの各プライマーTEF24およびTEF25およびDIG
Probe Synthesis Mixと2mMのdNTP保存溶液の1:1混合物を用いる50μlのPCR反応中で標識した。
【0082】
【化4】



【0083】
PCR条件は、95℃にて4分間の初期インキュベートにつづく、95℃にて30秒間、50℃にて45秒間、72℃にて15秒間の25サイクル、ならびに72℃にて3分間の最終インキュベートを含んでいた。標識したPCR産物を90μlの合計反応体積中でHindIIIで消化し、2%−3:1
NuSieve GTG(FMC BioProducts):アガロースゲルを用いるコンスタント・プライマーアームから精製した。標識した可変タグを含有する領域を切除し、全ゲルスライスを10mlのDIG
EasyHyb中、95℃にて10分間溶解および変性させた。
【0084】
ドットブロットは、Hybond−N膜(Amersham−Pharmacia Biotech)を用いて調製した。各タグ用の標的DNAは、ほぼ30ngのPCR産物を用いて96ウェルプレート中で調製した。等容量の0.1N NaOHを添加して試料を変性させ、各試料をSchleicher and
Schuell(Keene, NH, USA)からのManifold ITM
Dot−Blot Apparatusを用いて最小限の真空で膜に適用した。各ウェルを150μlの中和溶液(0.5M トリス/3M NaCl、pH7.5)および150μlの2×SSCで洗浄した。膜をStratalinker(Stratagene, La Jolla, CA, USA)中でUV−架橋し、20mlのDIG EasyHyb Buffer中、42℃にて1時間プレハイブリダイズさせた。変性したプローブを添加し、ハイブリダイゼーションを42℃にて一晩行った。膜を0.1%SDSを含有する2×SSCで各洗浄につき5分間2回洗浄した。標準Genius Detectionプロトコール(Genius Manual)を用いて進行する前に、2の高ストリンジェンシー洗浄を0.1%のSDSを含有する予め加温した50mlの0.1×SSC緩衝液中、68℃にて15分間行った。
【0085】
安全性、低コスト、使用し易さ、および危険な材料を減少させるために、非−放射性検出系を用いることが望ましい。以前に記載された同様な手法[Meiら, Mol. Microbiol. 26: 399-407 (1997)]を用いる初期実験においては、ネガティブ対照において許容できないバックグラウンド・レベルのハイブリダイゼーションが得られた。バックグラウンドを低下させるために、タグの長さを30bp増加させて合計70とし、増幅プライマーを長くして可変領域を挟む全ての配列を含め、低濃度のdig−dUTPを用い、配列タグ領域を挟む保存配列をゲル精製によって取り出した。最も重要なことは、PCRを用いて、トランスポゾンそれ自体からのバックグラウンド・ハイブリダイゼーションを検出した後にタグを付加したトランスポゾンを含有する全プラスミドよりもむしろ、ドット・ブロットにおける標的DNAとして[NK]35配列タグを作製した。これらの改変を用いて、バックグラウンドを排除し、化学ルミネセンス/非放射性スクリーニングをより効果的とした。
【0086】
PCR生成配列タグとpTEF−1の連結から生じたほぼ400の異なる形質転換体をコロニーブロットによってスクリーニングし、さらなる使用のために96の最も強いハイブリダイズ・コロニーをマイクロタイター・プレートに結合させた。二重のタグの可能性は非常に低いが、マスタータグのプレートの半分を他のものに対してプローブして、タグが二重になっていないことを確認した。これらのタグを含有するプラスミドを精製して、イー・コリS17-1:λpir(pir, recA,thi,pro,hsd,(r−m+),RP4−2,(Tc::Mu),(Km::Tn7),[TmpR],[SmR])に形質転換し、その形質転換細菌をLB培地中、37℃にて増殖させた。各96のタグを付加したプラスミドpTEF−1を含有するイー・コリS17−1:λpir形質転換体を接合交配に用いて、P. multocidaのトランスポゾン突然変異体を作製した。P. multocida株TF5は、ウシ臨床単離株である、UC6731由来の自然発生ナリジキシン酸耐性突然変異体である。P. multocida株は、プレート上で増殖させる場合には、5%CO下、ブレインハート浸出液(BHI)培地(Difco Laboratories, Detroit, MI, USA)上、37℃にて増殖させた。交配は各イー・コリS17−1:λpir/pTEF1:[NK]35クローンおよびTF5株を後期対数増加期まで増殖させることによって設定した。各タグを付加したpTEF−1クローンにつき50μlの培地を200μlのTF5培地と混合し、100mMのIPTGおよび10mMのMgSOを含有するBHIプレート上に予め置いておいた0.22 TM フィルターに50μlの各交配混合物をスポットした。5%CO下、37℃にて一晩インキュベートした後に、各フィルターを3mlのPBSに入れて交配混合物を洗い取り、各25μlをBHIN50100プレートに平板した。選択的一晩増殖後に、コロニーを200μlのBHIN5050へのトゥースピック移植(toothpick transfer)によってマイクロタイター・プレートに合して、マイクロタイター・プレート中の各ウェルが同じ配列タグを有するトランスポゾン突然変異体を常に含むことを確かめた。一晩増殖後に、50μlの75%グリセリンを各ウェルに添加し、プレートを−80℃にて凍結保存した。
【0087】
トランスポゾン突然変異体をマイクロタイター・プレートに移すことによって19のプールを合して、そのウェルに対して適当なタグを有するトランスポゾン突然変異体を各ウェルが含んでいたことを確かめた。他言すれば、これらの突然変異体内のトランスポゾンの位置は異なり得るが、各マイクロタイター・プレート中の特定のウェルは同一配列タグを有するトランスポゾン突然変異体を常に含んでいた。
【0088】
実施例2 弱毒化P. multocida突然変異体のげっ歯類スクリーニング
敗血症のげっ歯類モデルを用いて、Pasteurella multocidaのトランスポゾン突然変異体の19のプールをスクリーニングした。プールしたP. multocidaトランスポゾン突然変異体の凍結プレートを−80℃保存から取り出し、各ウェルからの10μlを50μg/mlのナリジキシン酸(Sigma)および50μl/mlのカナマイシン(Sigma)と共に200μlのブレインハート浸出液(DIFCO)(BHIN5050)を含有する新たな96ウェル丸底プレート(Corning Costar, Cambridge, MA, USA)に移すことによって二次培養した。プレートを振盪せずに5%CO下、37℃にて一晩インキュベートした。各ウェルからの10μlをウェル当り100μlのBHIを含有する新たな平底96−ウェルプレート(Corning Costar)に移し、ほぼ150rpmで振盪しつつ37℃にてインキュベートすることによって一晩プレートを二次培養した。マイクロタイター・プレートリーダーを用いてOD540をモニターした。ほぼ0.2ないし0.25のOD540で、各プレートをプールして、マイクロタイター・プレートの各ウェルからの100μlを合することによって「投入プール」を形成した。その培養物をBHI中で適当に希釈してほぼ10、10、10CFU/mlの用量とし、0.2mlの各希釈物を用いて、腹膜内投与によって雌性14-16gのBALB/cマウスに感染させた。感染後2日に、1または2の生存しているマウスを安楽死させて脾臓を採取した。全脾臓を1.0mlの無菌0.9%塩類溶液中でホモジナイズした。10−2から10−5のホモジネートの希釈物を調製し、BHIN5050プレートに平板した。一晩増殖後に、少なくとも20,000コロニーを10mlのBHIブロス中にプールして「回収プール」を形成し、以前に記載されたプロトコール[F. M. Ausubelら(編),
Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1. John Wiley and Sons, New York,
p.2.4.1-2.4.5.(1997)中のWilson]に従って、0.5mlの回収プールを3,500×gにて遠心し、そのペレットを用いてゲノミックDNAを調製した。
【0089】
病原性野生型P. multocidaを用いた初期実験は、生物を脾臓、肺、腎臓および肝臓から回収し得ることを示し、これは感染の真正な敗血症モデルを示している。「投入」および「回収」の両方のプールについてのドット・ブロットを実施例1に記載したのと同様に行い、視覚的検査および半−定量分析の両方によって評価した。ハイブリダイゼーションは、投入および回収プールからの5μgのゲノミックDNAをテンプレートとして用いる以外は、実施例1に記載したのと同様に行った。半−定量分析は、単一クローンにおける顕著な減少が起こったか否かを示している。突然変異体が宿主内で生存することができない場合には、回収シグナルは投入シグナルに比して非常に低く、高い投入/回収比を与えるにちがいない。大部分の突然変異体はイン・ビトロ(in vitro)と同様にイン・ビボ(in vivo)で増殖するであろう。したがって、それらのシグナルの比はほぼ1に等しいにちがいない。回収プールで非常に減少しているとして定量分析によって選抜したクローンを、さらなる実験用に選抜した。疑わしい投入/回収比を有するさらなるクローンは、ドット・ブロットから作成したフィルムを視覚的に評価した後にも選抜した。
【0090】
実施例3 P. multocida候補突然変異体についての病原性の決定
脾臓細胞から低い回収率を示した各潜在的な突然変異体を原プールプレートから単離し、個別に攻撃試験に用いて、該トランスポゾン突然変異体により生じた弱毒化を確認し、おおざっぱに評価した。in vivoスクリーンからの個々の候補突然変異体をヒツジ血液寒天プレート上、5%CO中、37℃にて一晩増殖させた。各突然変異体のおよそ6のコロニーをBHIブロスに接種し、6時間増殖させた。希釈物を調製し、各々5のマウスに、各々10、10、10および10CFUで上記したごとく感染させた。弱毒化を6日後の死亡率をその野生型と比較することによって決定した。生存しているマウスは保護されていたものと推定され、ついで、当該野生型株のLD50のおよそ200倍の濃度の野生型P. multocidaの用量で攻撃した。ついで、各攻撃した群のマウスについて生存率を決定した。
【0091】
結果は、120の潜在的トランスポゾン突然変異体のうちの62が弱毒化し、野生型株よりも少なくとも10倍高い概算LD50を有することを示した。該クローンおよびそれらの概算LD50値を表1に掲載する。野生型株での対照実験を各セットの攻撃と並行して行ったが、全ての場合において野生型攻撃群の死亡率は100%であった。
【0092】
LD50値に加えて、表1にはワクチン化および攻撃実験からのデータも掲載している。簡単には、マウス群(n=5ないし10)は、病原性の野生型株のLD50よりもほぼ200倍高い用量で表1に示す個々のP. mutocida株を腹膜内注射によりワクチン化した。死亡率の数字を算出した後28日間、動物を観察した。
【0093】
【表3】



【0094】
実施例4 P. multocida病原性に必要な遺伝子のクローニングおよび同定
弱毒化していることが確認された各トランスポゾン突然変異体を分析して、破壊されたオープン・リーディング・フレームの同一性をさらに決定した。各突然変異体からのDNAを増幅し、精製し、ついでトランスポゾン内を切断せず、該トランスポゾンとハイブリダイズする4〜8kbフラグメントを通常生成することが知られている制限酵素で消化した。該トランスポゾンによりコードされるカナマイシン抵抗性についての選抜を用いて、各トランスポゾン突然変異体につき少なくとも1のフラグメントをクローン化した。
【0095】
複数の制限酵素を用いたサザンハイブリダイゼーションを、クローニングに好適なサイズのフラグメントを同定するためのプローブとしてpLOF/Kmからの標識化1.8kb MluIフラグメントを用いて、各弱毒化突然変異体につき行った。各突然変異体からのミニ−Tn10エレメントおよびフランキングDNAを、内部プライマーTEF32およびTEF40、プライマーウォーキング、およびある場合においてはユニバーサルpUC−19プライマーを用いて決定したpUC19および該フランキング配列にクローン化した。
【0096】
【化5】



【0097】
配列決定反応は、PE Applied Biosystems(Foster City, CA)からのBigDyeTM Dye
Terminator Chemistry kitを用いて行い、ABI Prism 377 DNA Sequencer上で行った。推定される中断(interupted)オープン・リーディング・フレームの二本鎖配列を各クローンにつき得た。Sequencer3.0ソフトウェア(Genecodes, Corp., Ann
Arbor, MI)を用いて、配列データを収集して解析した。GCGプログラム[Devereuxら, 1997. Wisconsin Package Version 9.0, 9.0 ed. Genetics Computer
Group, Inc., Madison]を用いて、現在入手可能なデータベースにおいて相同な配列を検索した。
【0098】
弱毒化していることが同定されたクローンの37%に、該ミニ−Tn10トランスポーザブルエレメントの多重挿入が存在していた。そのフランキング配列を含む各挿入を個別にpGP704中にクローン化し、該野生型株中に交配して、P. multocidaの新たな突然変異体を作成し、その各々は、複数の起源挿入の1のみを運搬していた。個々の突然変異体を個別に再試験して、弱毒化表現型に寄与している挿入を決定した。該破壊された予想オープン・リーディング・フレームのヌクレオチド配列を両方の鎖を配列決定することによって決定し、ついで予想アミノ酸配列を用いて類似配列について現在入手可能なデータベースを検索した。配列は、知られている遺伝子、知られていない遺伝子および以前に配列決定された仮想オープン・リーディング・フレームに適合するか、または以前同定された配列のいずれにも適合しないかのいずれかであった。以前同定された配列にホモロジーを有する遺伝子については、表1に示すごとく、潜在的な機能を割当てた。
【0099】
実施例5 他の種における関連遺伝子の同定
別の実験において、Actinobacillus pleuropneumoniae(APP)を用いてSTMも行った。App株の1は、配列決定した遺伝子(配列番号:97)中に挿入を含有し、P. multocidaのatpG遺伝子の種ホモログとして同定された。この結果は、以前に知られていなかったP. multocida遺伝子に対するホモログが他の細菌種にも存在することを示し、それを突然変異させてワクチン組成物に使用するための他の細菌種の弱毒化株を生成することもできることを示した。他のP. multocida遺伝子のホモログが他の細菌種に存在するか否かを決定するために、プローブとしてA. pleuropneumoniaeのatpG遺伝子を用いて他の種からのゲノムDNAに対してサザンハイブリダイゼーションを行った。
【0100】
Actinobacillus pleuropneumoniae、Pasteurella haemolytica(Ph)、P. multocida、およびHaemophilus somnus(Hs)のゲノムDNAをCTAB法を用いて単離し、EcoRIおよびHindIIIで37℃にて2時間消化した。消化したDNAを、0.7%寒天ゲル上、TAEバッファー中で40Vにて一晩分離した。該ゲルを、順次、0.1M HCl中に30分間、0.5M NaOH/1.5M NaCl中に15分間を各々2回、ついで2.5M NaCl/1M Tris、pH7.5中に2回浸漬した。そのDNAを20×SCCバッファー(3M NaCl/0.3M クエン酸ナトリウム)を用いて、ニトロセルロース膜(Amersham Hybond
N+)に一晩転写した。該DNAは、自己架橋設定(120ミリジュール)したUV
Stratalinkerを用いて該膜に架橋した。該膜を5×SSC/1% ブロッキング溶液/0.1% ラウロイルサルコシンナトリウム/0.02% SDS中、50℃にて、ほぼ7時間プレハイブリダイズさせ、ついでPCR生成atgプローブを含有する同溶液中、50℃にて一晩ハイブリダイズさせた。
【0101】
プローブは、GeneAmpPCRシステム2400において、GeneAmpXLPCRキットのプライマーDEL−1389(配列番号:98)およびTEF−46(配列番号:99)を用いて調製した。テンプレートはゲノムA. pleuropneumoniae DNAを用いた。
【0102】
【化6】



【0103】
PCRは、初期加熱工程を94℃にて5分間、94℃にて30秒間の変性、50℃にて30秒間のアニーリング、および72℃にて3分間の伸長の30サイクル、ついで72℃にて3分間の最終増幅で行った。増幅産物はアガロースゲル上で分離し、QIAquickゲル精製キット(QIAGEN)を用いて精製し、ついでおよびDIG−High Primerキット(Boehringer Mannheim)を用いて標識した。ブロットをハイブリダイゼーション溶液から取り出し、2×SSC中で濯ぎ、同バッファー中で各洗浄につき5分間、2回洗浄した。ついで、該ブロットを0.5×SSC中、60℃にて各々15分間、2回洗浄した。相同なバンドをDIG Nucleic Acid Detection Kit(Boehringer
Mannheim)を用いて視覚化した。
【0104】
EcoRI消化DNAを用いて、Pasteurella haemolytica、Haemophilus somnusおよびA. pleuropneumoniaeにおいて単一のバンドを検出した。Pasteurella multocidaからはEcoRI消化DNAを用いて2のバンドを検出した。
【0105】
実施例6 タグを付加したトランスポゾンP. multocida突然変異体のライブラリーの構築
pLof/Kmを用いるトランスポゾン突然変異誘発は、A.
pleuropneumoniaeにおいて機能的かつランダムであることが以前に報告されている[Tasconら, J. Bacteriol. 175:5717-22 (1993)]。A.
pleuropneumoniaeのタグを付加したトランスポゾン突然変異体を構築するために、予め選択したタグを付加したプラスミド(pTEF−1:[NK]35)を含む96の各E.coli S17−1:αpir形質転換体を接合性交配に用いて、A. pleuropneumoniae株AP225、in vivo継代したATCC27088株由来の血清型1の自然発生ナリジキシン酸抵抗性突然変異体を生成した。A. pleuropneumoniae株は、10μg/mlのB−ニコチンアミドアデニン=ジヌクレオチド(V10)(Sigma, St. Lous,
Missouri)を含有するブレインハート滲出液(BHI)(Difco Labratories, Detroit, MI)培地上、37℃にて増殖させ、プレート上で増殖させる場合は5% CO中で増殖させた。E.coli S17−1:λpir(λpir, recA, thi, pro, hsdR(r−, m+),RP4−2,(Tc::Mu),(Km::Tn7),[Tmp],[Sm])をルリア−ベルターニ(Luria−Bertani;LB)培地中、37℃にて繁殖させた。必要な場合には、抗生物質を100μm/ml アンピシリン(Sigma)、50μm/ml ナリジキシン酸(N50)(Sigma)、および50(K50)もしくは100(K100)μg/mlのカナマイシン(Sigma)で用いた。
【0106】
交配は、各E.coli S17−1:λpir/pTEF1:[NK]35クローンおよびAP225株を後期対数増加期まで増殖させることによって設定した。各タグを付加したpTEF−1クローンにつき50μlのアリコートの培養液を150μlのAPP255培養液と混合し、ついで100μM IPTGおよび10mM MgSOを含有するBHIV10プレート上に予め設置した0.22μM フィルター上に50μlの各交配混合物をスポットした。5%
CO下、37℃にて一晩インキュベートした後に、各フィルターの交配混合物を2mlのPBS中に洗い出し、各々の200μlをBHIV1050100プレートに平板した。選択的に一晩増殖させた後に、200μl BHIV105050に楊枝で移動させることによってコロニーをマイクロタイタープレートに集めて、マイクロタイタープレートの各ウェルが常に同一の配列タグを有するトランスポゾン突然変異体を含むことを確認した。一晩増殖させた後に、50μlの75% グリセリンを各ウェルに添加し、プレートを−80℃にて凍結保存した。
【0107】
APPは、P. multocidaほどの多くの偏重を該ミニ−Tn10エレメントの多重挿入に対して有していないようである。該突然変異体のうちのほぼ3%しか多重挿入を含んでいないことが決定され、それは以前に報告された4%と一致する[Tasconら, J Bacteriol. 175:5717-22 (1993)]。APPにおける問題は、23S
RNA領域への挿入を含有する多数の突然変異体(以下で論ずる):13のユニーク部位への挿入を有する合計28の突然変異体を同定することからなる。これは、23S RNAが優先挿入部位を含有すること、およびAPPの増殖が宿主内で異なる生存を生じるのに十分なこれらの挿入によって影響を受けることを示しているのかも知れない。APP
23S RNAプローブを用いるサザンブロット解析は、H.influenzae中の5[Fleischmannら, Science 269:496-512 (1995)]およびE.coli中の7の完全オペロン[Blattnerら, Science 277:1453-1474 (1997)]と比較して、APPが3のリボソームオペロンしか含有していない可能性があることを示している。この部位の優先性および増殖速度に対するその影響は「飽和突然変異誘発」に対する明らかな障害となり得る。何故ならば、相当数のクローンがこれらrRNAに挿入を含有し、さらなるユニークな弱毒性突然変異体を得るために大量のスクリーニングが必要であろうからである。
【0108】
実施例7 弱毒化A. pleuropneumoniae突然変異体についてのブタ・スクリーニング
合計ほぼ800の突然変異体を含有するA. pleuropneumoniaeトランスポゾン突然変異体の20のプールを、ブタ気管内感染症モデルを用いてスクリーニングした。各プールを2の別々の動物でスクリーニングした。
【0109】
プールしたA. pleuropneumoniaeトランスポゾン突然変異体の凍結プレートを−80℃の貯蔵庫から取り出し、各ウェルからの20μlを180μlのBHIV105050を含有する新たな96ウェル丸底プレート(Corning Costar, Cambridge, MA, USA)に移すことによって継代培養した。プレートを振盪することなく5%
CO中、37℃にて一晩インキュベートした。ついで、一晩置いたプレートを、各ウェルからの10μlをウェルあたり100μlのBHIV10を含有する新たな平底96ウェルプレート(Corning Costar)に移すことによって継代培養し、150rpmにて振盪しつつ、37℃にてインキュベートした。マイクロタイタープレートリーダーを用いてOD562をモニターした。約0.2ないし0.25のOD562にて、各プレートをプールして、該マイクロタイタープレートの各ウェルからの100μlと合することによって、「投入プール(input pool)」を形成した。培養物をBHI中に適当に希釈して、約2×10CFU/mlとした。各希釈プールにつき、4.0mlを用いて、気管チューブを用いる気管内投与により10〜20kgSPFブタ(Whiteshire-Hamroc, Albion, IN)に感染させた。感染後約20時間にて、生存している全動物を麻酔し、肺を取り出した。洗浄を行って該肺に150mlの殺菌PBSを潅流させることによって生存する細菌を回収し、ついで、それを揉んで流体を分散させた。洗浄流体を回収し、このプロセスを2回繰り返した。洗浄流体を450×gにて10分間遠心して、大量のデブリを分離した。ついで、上清を2,800×gにて遠心して、該細菌をペレット化した。ペレットを5ml BHIに再懸濁し、10−2ないし10−5の範囲の希釈率でBHIV105050プレートに平板した。一晩増殖させた後に、少なくとも100,000のコロニーを10μlのBHIブロス中にプールして、「回収プール」を形成した。各回収プールの0.7mlを用いて、CTAB法[Wilson, In Ausubelら, (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1. John Wiley
and Sons, New York, p.2.4.1-2.4.5 (1997)]によりゲノムDNAを調製した。通常の動物からの回収率は、肺洗浄物から10CFU範囲であった。
【0110】
先に記載したごとくドットブロットを行い、視覚検査および半定量的分析の両方によって評価した。全てのハイブリダイゼーションおよび検出は記載したごとく行った。簡単には、プローブは、一次PCR増幅につづく目的産物のアガロースゲル精製およびdig−dUTPを取込ませる(incorporating)二次PCR増幅によって調製した。TEF5、TEF6、TEF24、TEF25、TEF48およびTEF62を含むオリゴヌクレオチドは、Genosys Biotechnologies(The Woodlands, TX)により合成した。プライマーTEF69、TEF65およびTEF66もインバースPCRおよび配列決定に用いた。
【0111】
【化7】

【0112】
ついで、標識したPCR産物をHindIIIで消化して、ユニークタグ領域から一定のプライマーアームを分離した。標識した変化し得るタグを含むリュイ基を切り出し、全体のゲルスライスを溶解し、DIG
EasyHyb中で変性した。ドットブロットを調製し、標準CSPD検出プロトコルを用いて検出した。フィルム露光を視覚評価のために行い、ルミネセントカウント・パー・セコンド(LCPS)を各ドットブロット試料につき測定した。各突然変異体に対するLCPS投入/LCPS回収比を用いて、弱毒化しているようである突然変異体を決定した。
投入プール中に存在するが、回収プール中では非常に減少しているとして選択したクローンをさらなる研究のために選択した。疑問のある投入/回収比を有するさらなるクローンも、ドットブロットから作成したフィルムを視覚評価した後に選択した。合計110のコロニーを選択した。
【0113】
実施例8 A. pleuropneumoniae病原性遺伝子の同定
部分的フランキング配列を、インバースPCRおよび直接産物配列決定により該110の突然変異体の各々について決定した。インバースPCRを用いて、上記した直接配列決定用のフランキングDNA産物を作製した。配列決定反応は、PE Applied Biosystems (Foster City, CA)からのBigDyeTM Terminator Chemistry キットを用いて行い、ABI Prism 377 DNA Sequencer上で行った。Sequencher
3.0ソフトウェア(Genecodes, Corp., Ann Arbor, MI)を用いて、配列データをアセンブルして解析した。GCGプログラム[DevereuxおよびHarberli, 1997. Wisconsin Package
Version 9.0, 9.0 ed. Genetics Computer Group, Inc., Madison]を用いて、現在入手可能なデータベース中の相同的配列を検索した。
表2は、同定したA. pleuropneumoniae遺伝子およびオープン・リーディング・フレームを決定し得る範囲を示す。配列番号は、ヌクレオチド配列および位置する推定されるアミノ酸配列に付される。
【0114】
【表4】



【0115】
表3(後記、実施例9)に掲載する推定同一性は、細菌データベースと比較することによって割当てた。110の突然変異体は35群のユニークなトランスポゾン挿入を表した。遺伝子座あたりの異なる突然変異体の個数は変化し、いくつかのコロニーは、常に、同一ORFの異なる部位内に挿入を含有するクローンに対するORF内の単一部位に挿入を含有した。3の多重挿入が、多重PCRバンドの産出および多重配列電気泳動図の生成による決定でスクリーンされた該110個のコロニー中に検出された。
【0116】
実施例9 A. pleuropneumoniae突然変異体と野生型APP225との競争攻撃
回収した集団中に存在しないかあるいは非常に減少していた前記に同定した各ユニークな弱毒化突然変異体群からの代表的なクローンを、起源プールプレートから単離し、野生型株(AP225)との競争攻撃実験に用いて、トランスポゾン突然変異により生じた相対的弱毒化を確認した。突然変異体および野生型株をBHVI10中で0.6−0.9のOD590まで増殖させた。ほぼ5.0×10CFUの野生型および突然変異体株を各々4mlのBHIに添加した。合計4mlの用量を用いて気管チューブを用いた気管内投与により10−20kgのSPFブタに感染させた。感染後ほぼ20時間に、全生存動物を麻酔し、肺を取り出した。肺洗浄を記載したごとく行った。プレートカウントをBHIV1050およびBHIV1050100で行って、両方の投入培養物および肺洗浄試料中の突然変異体に対する野生型の相対数を決定した。競争指数(Competitive Index; CI)は、[突然変異体CFU/野生型CFU]投入/[突然変異体CFU/野生型CFU]回収として算出した。
【0117】
35の潜在的トランスポゾン突然変異体のうちで、22が著しく弱毒化し、0.2未満の競争指数(CI)を有していた。STMスクリーニングの結果に基づくと弱毒化していないようであったトランスポゾン突然変異体を、ポジティブコントロールとして1のプールから選択した。この突然変異体はほぼ0.6のin vivoのCIを有していた。この突然変異体についてin vitro競争も行い、0.8のCIを得た。その後、該突然変異体は、2のフェニルアラニンtRNAの間に挿入を含むことが決定された。
【0118】
ユニークな弱毒化単一挿入突然変異体の競争指数を表3に掲載する。atpG、pnp、およびexbB App突然変異体についての競合指数は、該突然変異体が野生型株と有効に競争できず、したがって弱毒化していることを示した。
【0119】
【表5】



【0120】
exbB突然変異体が3の異なる動物内で競争して0.003、0.003および0.006のCIが得られたことから、CIの精度は非常に良好のようであった。大きな動物実験における1の競争に基づき弱毒化を割当てるための競合指数の数の使用を、実施例11に後記するごとく7の突然変異体を用いたブタ(n=8)における予備ワクチン接種の結果に基づいてさらに確かめた。
【0121】
実施例10 弱毒化A. pleunopneumoniae病原性遺伝子の特徴付け
同定したA. pleunopneumoniae遺伝子は4の広い機能的分類を表す:生合成酵素、細胞内輸送成分、細胞内調節成分および未知物質。
H+ −ATPase複合体のF1−γサブユニットをコードするatpG遺伝子は、ATPの産生において、または、ATPを加水分解することによるプロトンの輸送において機能し得る。関連するatpG弱毒化突然変異体は、P. multocidaにおいても同定された。Fδサブユニットをコードするもう1のatp遺伝子、すなわちatpHも同定された。atp突然変異体の表現型には、非適合性酸−感受性表現型[Foster, J Bacteriol. 173:6896-6902 (1991)]、Salmonella
typhimurium[Garacia del Portilloら, Infect Immun. 61:4489-4492 (1993)]およびP.
multocida[前掲]における病原性の喪失、およびHaemophilus influenzae Rdにおける形質転換頻度と反応能調節遺伝子の誘発との両方における低下[Gwinnら, J Bacteriol. 179:7351-20 (1997)]が含まれる。
【0122】
LpdAは、2の酵素複合体:ピルビン酸デヒドロゲナーゼおよび2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼのコンポーネントであるジヒドロリポアミド・デヒドロゲナーゼである。病原性に対する関連性は知られていないが、LpdAの産生はSaomonella typhimuriumにおいてはヒト由来の殺菌性タンパク質にさらされた場合に誘導され、このことは、この誘導が外膜を修復しようとすることに関与している可能性があることを示唆しているかもしれない[Qiら, Mol Microbiol. 17:523-31 (1993)]。
【0123】
増殖および生存に必要な欠乏性化合物の輸送はin vivoにおいて極めて重要である。ExbBは、TonB輸送複合体の一部分であり[HantkeおよびZimmerman, Microbiology Letters.
49:31-35 (1981)]、少なくとも2の異なる方法でTonBと相互作用する[Karlssonら, Mol Microbiol. 8:389-96 (1993); Karlssonら,
Mol Microbiol. 8:379-88 (1993)]。鉄を獲得することは病理に必須である。この研究において、APPおよびP. multocidaの両方において弱毒化exbB突然変異体を同定した。いくつかのTonB依存性の鉄受容体が他の細菌において同定されている[Biswasら, Mol. Microbiol. 24:169-179 (1997);
Braun, FEMS Microbiol Rev. 16:295-307 (1995); Elkinsら,
Infect Immun. 66:151-160 (1998); Occhinoら, Mol
Microbiol. 29:1493-507 (1998); StojiljkovicおよびSrinivasan,
J Bacteriol. 179:805-12 1997)]。A. pleuropneumoniaeは2のトランスフェリン結合タンパク質を産生し、それらは鉄の獲得についてExbB/ExbD/TonB系に依存するようである。PotDは、細胞周辺結合タンパク質であって、それはスペルミジン(ポリアミン)輸送に必要である[Kashiwagiら, J Biol Chem. 268:19358-63 (1993)]。Pasteurellaceaeファミリーのもう1のメンバーであるPasteurella
haemolyticaは、回復期患者または外膜タンパク質でワクチン化した子ウシにおける主要な免疫原であるpotD(Lpp38)のホモログを含んでいる[PandherおよびMurphy, Vet Microbiol. 51:331-41
(1996)]。P.haemolyticaにおいて、PotDは内外膜の両方に関連するようである。以前の研究がStreptococus pneumoniaeのpotD突然変異体が弱毒化していることを示している[Polissiら, Infect. Immun. 66:5620-9 (1998)]にも拘わらず、病原性または保護抗体に対する関係におけるPotDの役割は知られていない。
【0124】
アドヘシンシンまたはトキシンのごとき比較的わずかな「典型的病原性因子」しか、Haemophilus
influenzaeのOMP P5のホモログを除いて、同定されていない。H.influenzaeのOMP
P5は主たる外膜タンパク質であり、それはタンパク質のOmpAポリンファミリーのタンパク質と関係がある[Munsonら, M Infect Immun. 61:4017-20 (1993)]。非分類Haemophilus
influenzaeのOMP P5は、繊維状構造として発現されるフィンブリンのサブユニットタンパク質をコードすることが示されており[Sirakovaら, Infect Immun. 62:2002-20 (1994)]、それは病原性ならびにムチンおよび上皮細胞の両方の結合に寄与している[MiyamotoおよびBakaletz, Microb Pathog.
21:343-56 (1996); Reddyら, Infect Immun, 64:1477-9
(1996); Sirakovaら, Infect Immun. 62:2002-20 (1994)]。極めて重要な発見は、OMP
P5ホモログをコードするようである2の異なるORFが同定されたことである。これは、Haemophilus ducreyi由来の2の非常に類似するタンパク質、MOMPおよびOmpA2の場合も同様である。両方ともフィンブリエの産生に機能的に関与しているのか、および、2のかかるORFの存在が重複するまたは相補的な機能を有する分岐複製を表すのかを決定することが残っている。興味深いことに、該2のOMP
P5突然変異体は全く異なるCI値を有するようであり、1のみのコピーについての必須性または機能性の差異を示している。OMP P5は長期の感染の間に分子的な変化を受けていることが示されている[Duimら, Infect Immun. 65:1351-1356 (1997)]が、これは点突然変異を受けている単一の遺伝子に限定されているようであり、多重遺伝子の分別発現(differential expression)に起因する「タイプ・スイッチング」よりもアミノ酸変化を生じる。
【0125】
タンパク質折畳み酵素は、細胞周辺および細胞外タンパク質を効果的に折畳むための重要な補助物であり、2の遺伝子が同定され、それらの産物はペプチジル−プロリルイソメラーゼ活性を有する:fkpAおよびtig(トリガー因子)。FkpAはFK506−結合タンパク質ファミリーのメンバーである細胞周辺タンパク質である[HorneおよびYoung, Arch Microbiol. 163:357-65
(1995); Missiakasら, Mol Microbiol. 21:871-84 (1996)]。FkpAは、Salmonella typhimurium[Horneら, Infect Immun. 65:806-10 (1997)]およびLegionella
pneumophilaホモログ、mip[Englebergら,
Infect Immun. 57:1263-1270 (1989)]の細胞内生存に寄与することが示されており、病原性およびマクロファージの感染に寄与している[Cianciottoら, J. Infect. Dis. 162:121-6
(1990); Cianciottoら, Infect Immun. 57:1255-1262 (1989)]。Tig、すなわちトリガー因子[CrookeおよびWickner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA.
84:5261-20 (1987); GuthrieおよびWickner, J Bacterol
172:5555-62 (1990); Hesterkampおよび Bukau., FEBS Lett.
389:32-4 (1996)に概説されている]は典型的なFKBP領域を含有するペプチジルプロリルイソメラーゼであるが[CallebautおよびMornon, FEBS Lett. 374:211-215
(1995)]、FK506によって影響されない[Stollerら, EMBO J. 14:4939-48 (1995)]。Tigは、リボソームおよび発生期ポリペプチド鎖に関連することが示されている[Hesterkampら, Proc Natl. Acad Sci USA
93:4437-41 (1996); Stollerら, EMBO J. 14:4939-48 (1995)]。可能性のある役割には、E.coli中の細胞分裂[Guthrie,およびWickner, J Bacteriol. 172:5555-62 (1990)]、Streptococcus
pyogenesシステインプロテイナーゼの分泌および活性化における役割[Lyonら, EMBO J. 1:6263-75 (1998)]、およびBacillus
subtilis中の飢餓条件下での生存[Gothelら,
Biochemistry 37:13392-9 (1998)]への知られていない影響を含む。
【0126】
細菌の病理は、宿主内の広く様々な環境条件下で生存するために、多くのメカニズムを用いて、遺伝子発現を配位的に調節する。mRNA安定性における差異は、原核生物中の遺伝子発現を調整し得る[BelascoおよびHiggins, Gene, 72:15-23 (1988)]。例えば、rnr(vacB)がShigellaflexneri中のプラスミド運搬毒性遺伝子の発現に要求され[Tobeら, J Bacteriol. 174:6359-67 (1992)]、RnaseRリボヌクレアーゼをコード化する[Chengら, J. Biol. Chem. 273:14077-14080
(1998)]。PNPはmRNAの分解に関わるポリヌクレオチドホスホリラーゼである。致死のpnp/rnr突然変異はなく、機能のありそうな重複を示唆する。したがって、rnrおよびpnpの両方が毒性遺伝子発現に関わる可能性がある。P.mulcosidaのpnp突然変異体は、マウス敗血症モデルにおいて無毒である(実施例2)。他のpnp関連表現型はBacillus subtilisにおける反応能欠乏および低温感受性を含む[WangおよびBechhofer, J Bacterol. 178:2357-82 (1996)]。
【0127】
HupAは細菌性ヒストン様タンパク質であり、それはHupBと組み合わさって、E.coli中にHUタンパク質を構築する。報告は、hupAおよびhupBは、いかなる観察可能な表現型をも示さないことを示しているが[Huismanら, J Bacteriol. 171:3704-12 (1989);
Wadaら, J Mol. Biol. 204:581-91 (1988)]。hupA−hupB二重突然変異体は、低温感受性でありヒートショックに感受性であって、部位特異的DNA組換えの多くの形態においてブロックされことが示されている[Wadaら, J Mol. Biol. 204:581-91 (1988); Wadaら, Gene. 76:345-52 (1989)]。一つの限定的データは、以前、hupAは毒性に直接関わることを示した[Turnerら, Infect Immun. 66:2099-106 (1998)]。hupA弱毒化のメカニズムが知られないまま残っている。
【0128】
DnaKは、よく知られ、高度に保存されたヒートショックタンパク質であり、様々なストレスの多い環境変化に対する調節的反応に関わる([LindquistおよびCraig, Annu Rev Genet. 22:631-77
(1988)]に論評されている)。DnaKは、マクロファージに食された後に著しく誘発されたストレスタンパク質であり[Yamamotoら, Microbiol Immunol. 38:295-300
(1994)]、Brucella suis dnaK突然変異体は、ヒトマクロファージ様細胞内で繁殖はできなかった[Kohlerら, Mol Microbiol. 20:701-12 (1996)]。対象的に、もう一つの細胞内病気素因、Listeria monnocytogenesは食作用後dnaKの誘発を示さなかった[Hanawaら, Infect Immun. 63:4595-9 (1995)]。Vibrio
choleraのdnaK突然変異体はToxRの産生およびin
vitroでその調節された毒性因子に影響したが、同様の結果は、in vivo成長細胞からは得られなかった[Chakarabartiら, Infect Immun. 67:1025-1033
(1999)]。A.pleuropneumonia dnaK突然変異体のCIはほとんどの病因性減弱した突然変異体より高かったが、依然として、陽性対象株のおよそ半分であった。
【0129】
DksAは、E.coliのdnaK突然変異体におけるフィラメンタス(filamentous)および温度感受性成長の用量依存性サプレッサーである[KangおよびCraig, J Bacteriol. 172:205-64 (1990)]。現在、DksAについて明らかな分子機能はないが、該遺伝子はニワトリおよび孵化したばかりのヒヨコにおけるSalmonella typhimuriumの毒性に重要であることが確認された[Turnerら, Infect Immun. 66:2099-106 (1998)]。その研究において、該DksA突然変異体はグルコースまたはヒスチジンと一緒ではよく成長しなかったが、単に炭素源としてグルタミンまたはグルタミン酸エステルと一緒だとよく成長したことが記されている。この観察は、該dksA突然変異体は、グルタミン酸エステルの生合成において、幾分、力が減じられることを示すのであろう[Turnerら, Infect Immun. 66:2099-106 (1998)]。
【0130】
3つの遺伝子がタンパク質合成において役割を有することが確認された:tRNA−leu、tRNA−glu、およびrpmF。タンパク質合成を除いて、tRNAは、ペプチドグリカン合成[Stewartら, Nature 230:36-38 (1971)]、ポルフィリン環合成[Jahnら, Trends Biochem Sci. 17:215-8 (1992)]、分解のためのタンパク質の標的[Tobiasら, Science 254:1374-7 (1991)]、タンパク質への翻訳後アミノ酸付加[LeibowitzおよびSoffer, B.B.R.C. 36:47-53 (1969)]、および細菌−真核細胞相互作用[Grayら, J Bacteriol. 174:1086-98 (1992);
Hromokyjら, Mol Microbiol. 6:2113-24 (1992)]においても、広汎な機能的な役割を有する。より詳しくは、tRNA−leuは、転写減衰[Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
83:8127-8131 (1986)]、Pseudomonas syringaeによる病変形成[RichおよびWillis, J Bacteriol. 179:2247-58
(1997)]およびウロパソゲンE.coliの毒性[Dorbrindtら, FEMS Microbiol Lett. 162:135-141 (1998); Ritterら, Mol Microbiol. 17:109-21 1995)]に関連する。本発明者らが同定したtRNAがA. pleuropneumoniaeにおけるtRNA−leuのマイナー種を代表するかどうかは分らない。それにもかかわらず、tRNA−leuは広汎な機能のいずれか1を有する可能性がある。RpmFはリボ染色体タンパク質であり、その遺伝子もE.coli中の脂肪酸生合成酵素を含有するオペロンの部分である。fab遺伝子およびrpmFの同一のクラスター形成がHaemophilus influenzaeにおいても発生するが[Fleischmannら, Science 269:496-512 (1995)]、これはA.
pleuropneumoniaeにおいて事実であるかどうかを示すためのさらなる研究が必要である。該fab遺伝子の発現は、必ずしも、rpmFno上流を開始する転写物に依存するとは限らない。それは、rpmF中に同定された第2のプロモータが存在しているからである[ZhangおよびCronan, Jr., J Bacteriol.
180:3295-303 (1998)]。
【0131】
病因性減弱した突然変異体の最終クラスは、未知の機能を持つ遺伝子、すなわち、以前に同定されていない遺伝子内の突然変異を含む。yaeAおよびHI0379のホモログは、それぞれ、Escherichia coli[Blattnerら, Science 277:1453-1474 (1997)]およびHaemophilus
influenzae[Fleischmannら,
Science 269:496-512 (1995)]において、以前同定された。残る未知物はActinobacillus
pleuropneumoniae virulence遺伝子(apv)と名付けられている。apvC遺伝子は、HI0893に著しい類似性を示すが、脂肪酸反応調節Bm3R1に類似する転写レプレッサーとしてのHI0839の提案された類似性[Palmer, J Biol Chem. 273:18109-16 (1998)]は疑わしい。apvD遺伝子もE.coli由来の未知の機能を持つ推定膜タンパク質(b0878)に最も類似している[Blattnerら, Science 277:1453-1474 (1997)]。2つの他の未知物、apvAおよびapvBは公開データベースには明らかに適合するのもはなかった。
【0132】
実施例11 A. pleuropneumoniae突然変異体の安全性および効能
9つの群(n=8)のSPFブタ(4〜5週齢、3〜10kg)を用いて、生きた弱毒化したワクチン株として7つのA.
pleuropneumoniaeの安全性および効能を決定した。7つの群は、1日目に1010CFUの各突然変異体で鼻腔内感染させた。1つの群は、1日目および15日目に市販のワクチンPleuromune(Bayer)でワクチン化し、1つのナイーブ群(naive group)はワクチン化しなかった。29日目に、全群は、ブタあたり1〜5×105CFUの野生型APP225で、鼻腔内免疫性テストした。この研究の42日目に、全ての生存している動物を麻酔し、剖検した。結果を表4に示す。
【0133】
【表6】



【0134】
該exbB、atpG、pnp、およびyaeA突然変異体は、1010CFUの用量を鼻腔内投与したときに死亡を引き起こさなかった。該FkpAおよびtig突然変異体群は、各々1匹の死亡があり、該HI0379群(最高2000年4月6日、試験した7の突然変異体のCIは実施例9に示す)は4匹の死亡があった。このモデルに用いた野生型LD50は、通常、1×10CFUであり、これらの突然変異体の各々は少なくとも100倍弱毒化され、CIと弱毒化との間にもっともな相関性があることを示している。
【0135】
実施例12 P.(Mannheimia) haemolytica種ホモログの同定
P. multocidaおよびA.
pleuropneumoniaeにおいて同定した病原性遺伝子に基づいて、P.
(Mannheimia)haemolyticaにおける関連する遺伝子、すなわち種ホモログを同定する試みを行った。示したようにP. (Mannheimia)haemolytica遺伝子を増幅するために以下の縮重プライマーを用いてPCRを行った。Sigma-Genosys(The Woodkans, TX)によって合成されたプライマー配列は標準的な一次略号を含み、ここでBは(C、GまたはT)のいずれかを示し、Dは(G、AまたはT)のいずれかを示し、Hは(A、CまたはT)のいずれかを示し、Kは(GまたはT)のいずれかを示し、Mは(AまたはC)のいずれかを示し、Nは(A、G、CまたはT)のいずれかを示し、Rは(AまたはG)のいずれかを示し、Sは(GまたはC)のいずれかを示し、Vは(G、AまたはC)のいずれかを示し、Wは(AまたはT)のいずれかを示し、およびYは(CまたはT)のいずれかを示す。
【0136】
【化8】



【0137】
最初の変性PCR産物を増幅するために、3.3× XLバッファーII(PE Applied Biosystems)、200μMのdNTP、25ピコモルの各適当なプライマー、0.8mMのMgCl、0.5UのrTth DNAポリメラーゼ、XL(PE Applied Biosystems)およびほぼ1μgのTF1 DNAを用いて50μl反応を設定した。
【0138】
サイクル条件は94℃にて1.5分間につづいて;94℃にて15秒間、40一60℃にて60秒間、72℃にて1.5分間を35サイクル;および72℃にて4分間を最終ホールドとした。各PCR産物をQIAGEN Gel
Extraction Kit (QIAGEN, Valencia CA)を用いたアガロースゲルからバンド精製した。
【0139】
配列決定反応は、PE Applied Biosystems(Foster City, CA)からのBigDyeTMDye
Terminator Chemistry kitを用いて行い、ABI Prism 377 DNA
Sequencer上で行った。各クローンについてのオープンリーティングフレーム(ORF)用の二本鎖配列を得た。Sequencher
3.0ソフトウェア(Genecodes, Corp., Ann Arbor, MI)を用いて配列データをアセンブルし、解析した。GCGプログラムを用い、現在利用可能なデータベース中でホモログ配列を検索することによってORFの同一性を確認した。
【0140】
Vectorette Kit(Genosys Biotechnologies, The
Woodlands, TX)を用いて、各遺伝子のさらなるフランキング配列を得た。Vectoretteライブラリーを製造業者の指示するプロトコールに従って調製した。Perkin Elmer Applied Biosystems GeneAmp XL PCR Kitコンポーネントを用いて、以下の反応条件を用いてVectorette PCR産物を作製した。50μlの反応は、3.3×XLバッファーII(PE
Applied Biosystems)、200μMのdNTP、25pmolの各々の適当なプライマー (以下に示す)、0.8mMのMgCl、0.5UのrTth DNAポリメラーゼ、XL(PE Applied Biosystems)および1μlの適当なvectoretteライブラリーを用いて設定した。 サイクル条件は、94℃にて1.5分間; につづく94℃にて20秒間、60℃にて45秒間、72℃にて4分間の35サイクル;および72℃にて7分間の最終保持であった。各ライブラリーの第2のプライマーは製造業者のvectoretteプライマーとした。
【0141】
【表7】



【0142】
VectorettePCR産物を前記したごとくバンド精製し、配列決定した。atoG、guaB、pnp、purFおよびyjpF遺伝子のポリヌクレオチドを各々配列番号:166、168、170、172および174に記載する。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドを各々配列番号:167、169、171、173および175に記載する。
【0143】
上記の例示的実施例に記載された本発明の数多くの修飾および変形が当業者にとって生じるものと予測される。したがって、添付した特許請求の範囲に表されるごとき単にそのような限定を本発明におくべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
atpGポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列によって表される遺伝子に突然変異を含む、弱毒化パスツレラ(マンハイミア)・ヘモリチカ細菌、ここで当該細菌の弱毒化は当該突然変異によって生ずる。
【請求項2】
該突然変異が、突然変異遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現の低下を生じる請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
該突然変異が、突然変異遺伝子によってコードされる不活性遺伝子産物の発現を生じる請求項1に記載の細菌。
【請求項4】
該突然変異が該遺伝子の全部または一部分の欠失を生じる請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
該突然変異が該遺伝子に挿入される請求項1に記載の細菌。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の細菌を含む免疫原性組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の免疫原性組成物および医薬上許容し得る担体を含むワクチン組成物。
【請求項8】
さらに、アジュバントを含む請求項7記載のワクチン組成物。

【公開番号】特開2011−97938(P2011−97938A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247585(P2010−247585)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2002−574050(P2002−574050)の分割
【原出願日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】