説明

拡開可能な近接照射装置

【課題】組織内に近接照射を行う拡開可能な装置を提供する。
【解決手段】組織間内へ導入する大きさの近位端32と遠位端34を有し、放射線源を受ける経路を有する複数の細長部材を担持する細長ボディを具える、ターゲット組織領域へ近接照射を送達する装置10。細長部材は、折りたたんだ構造と拡開した構造の間で移動可能である。使用中は、組織を通る管が形成され、細長部材を担持している細長ボディをその管を通してターゲット位置へ、細長部材を折りたたんだ構造で進める。細長部材はターゲット位置において拡開構造に向けられ、例えば、一またはそれ以上の放射線源を経路に沿って導入するなどして、放射線を送達してターゲット位置において組織を治療する。この装置は、細長部材の過剰拡開を防ぐ、及び/又は、細長部材の迅速な折りたたみを容易にする特徴を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはヒトあるいはその他の哺乳類の身体に近接照射を行う装置、方法、及びシステムに関し、特に、例えば、胸部組織内及び/又は体腔内組織、といった組織内に近接照射を行う拡開可能な装置、及び、このような装置を用いて近接照射を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近接照射は、乳癌や、前立腺癌などの悪性腫瘍の治療に使用される一種の放射線治療である。一般的に、近接照射は、放射線源を直接ターゲット組織内に配置するステップを具える。このターゲット組織には、腫瘍及び/又は窩洞あるいは空隙(腫瘍を取り除くことで生じる窩洞あるいは空隙)周辺の組織が含まれ、これは、潜在的な癌性細胞を含むことがある。
【0003】
近接照射は、しばしば、高線量率(HDR)近接照射と、低線量率(LDR)近接照射の二つのカテゴリィに分けられる。高線量率近接照射では、活性の高い放射線源を、しばしば、予めインプラントしたカテーテルを介して、例えば、数秒から数分で終わる短時間、ターゲット組織に配置する。対照的に、低線量率近接照射では、活性の低い放射線源をより長い期間、ときには無期限に、ターゲット組織内に配置する。
【0004】
近接照射は両形式ともに利点を有する。例えば、HDR近接照射は、より短い投与送達期間により高い放射レベルを送達する。一方、LDR近接照射は、活性の低い放射線源を用いている。LDR放射線源のエネルギィ場によって、例えば腫瘍、腺、あるいは窩洞あるいは空隙を囲むその他の組織といった、ターゲット組織への放射線投与を正確かつ局所的に送達することができる。しかしながら、その後このエネルギィ場は減衰して、隣接する健康な組織の過剰な暴露を防ぐ。
【0005】
LDR放射腺源は活性が低いため、LDR近接照射には様々な利点がある。例えば、医療従事者にとっては、HDR近接照射の場合よりLDR近接照射の被爆防止が厳しくなくなる。また、HDR近接照射に比べて、LDR近接照射には、治療中に正常な組織のより良好な節約をもたらす、放射線生物学的利点(例えば、線量率効果)もある。更に、患者にとっては、LDR近接照射に伴う比較的長いインプランテーション期間によって、放射線治療コースを通じての医療設備を訪れる回数を、放射線送達の各画分ごとに医療施設に患者が戻らなければならないHDR近接照射に比べてより少なくすることができる。胸部近接照射は、通常、8回から10回の画分を含む。
【0006】
LDR近接照射に用いられる通常の放射線源には、パラジウム(Pd)−103、ヨウ素(I)−125、金(Au)−198、およびイリジウム(Ir)−192などの放射性同位体が含まれる。この同位体のサイズ及び形状は様々であるが、ほぼ米粒ほどのサイズで、直径約0.8mm、長さ約4.5mmで、しばしば、「シード」と呼ばれる標準サイズの円筒形状カプセルに設けられる。
【0007】
LDRシードは、しばしばガイドテンプレートを用いた針状晶を介して送達される。ガイドテンプレートは、マトリックス状のホールを具え、針状晶が縦方向に前進するのを案内して、ターゲット組織に対する適正な位置を確実にする。針状晶がターゲット組織に正しく配置されると、シードが各針状晶の縦軸に沿って析出し、その後針状晶を取り出すことができる。
【0008】
現在の近接照射の実行には、潜在的な欠点がある。例えば、LDRシードは、通常留置して残り、ターゲット組織内を自由に浮遊しており、従って、移動の影響を受けやすい。更に、一旦インプラントされると、LDRシードは、通常は、取り出し可能である、あるいは再配置可能であるとは考えられない。LDR近接照射は、更に、事前にあるいはしばしばシードインプラント中に、注意深い線量分布計算とシードマッピングが必要である。このような計算やマッピングは、ターゲット組織の体積に対して有効な放射線送達を可能にし、周辺の健康な組織(例えば、前立腺近接照射の場合は、尿道や直腸)に対する放射を最小限におさえる。また、このような線量計算やシードマッピング技術は有効ではあるが、臨床医の間でシード配置の精度について有意にばらつきが生じることがあるといった、問題もある。
【0009】
従来のLDR近接照射技術の更に別の問題は、インプランテーションのときに、個々に操作できる放射性シードが必要なことであり、これは時間のかかるプロセスである。更に、従来のLDR近接照射送達針状晶は、一般的にシードを直線的に(比較的まっすぐなラインに沿って)送達することに限定される。従って、所望の治療プロファイルを達成するためには、潜在的に、複雑な線量分布と、マッピング技術及び装置と共に、多数のインプラント(例えば、前立腺近接照射には普通である、約50−100のシードを含む)がしばしば必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、一般的に局在化したターゲット組織領域へ近接照射を送達する装置、システム、及び方法に関するものである。ここに記載された装置、システム及び方法は、身体のほとんど全ての領域の治療に有用であるが、例示的なアプリケーションは、例えば、胸部腫瘍または腫瘍摘出キャビティなどの、胸部組織の治療である。例えば、この装置、システム、及び方法を用いて、ネオアジュバント療法及び切除後治療の両方に対して局在化した放射線源を配置し、除去することができる。
【0011】
一実施例によれば、組織を介して管へ導入するサイズの近位端と遠位端を有する細長本体を具える近接照射治療装置が提供されている。放射線源を受けるための経路を含む遠位端に多数の細長部材が設けられており、この細長部材は、組織管を介してターゲット位置に導入する折りたたまれた構造から、拡開した構造に移動可能である。放射線源は、前記経路に沿って導入可能であり、ターゲット位置へ放射体を送出することができる。
【0012】
別の実施例によれば、組織を介して管へ導入するように構成された近位端と遠位端を有する細長いコア部材と;このコア部材の遠位端に連結した遠位ハブと;コア部材の近位端の上の遠位端に対して軸上を移動可能な近位ハブと;近位及び遠位ハブに連結され、コア部材の近位及び遠位端間に延在する複数の細長部材と;を具え、当該細長部材が組織管を介してターゲット位置に導入する折りたたまれた構造と、近位ハブが遠位ハブに対して遠位側に向けられているときの拡開した構造とに移動可能であり、細長部材がそれに沿って放射線源を受ける経路を具えている、近接照射治療装置が提供されている。
【0013】
一の実施例では、コア部材が第1及び第2の入れ子式チューブを具えており、この第1のチューブが近位ハブに、第2のチューブが遠位ハブに連結されて、第1のチューブの第2のチューブに対する回転が近位ハブを遠位側に移動させて、細長部材を拡開した構造にする。
【0014】
別の実施例では、コア部材が、例えば、拡開した構造にある細長部材の過拡開を防止するために、近位ハブの遠位側への移動を制限する特徴を具えていても良い。例えば、コア部材は第1及び第2の入れ子式チューブを具えていても良く、この第1のチューブは近位ハブに連結し、第2のチューブは遠位ハブに連結して、第2のチューブに対する第1のチューブの回転によって近位ハブを遠位側に移動させて細長部材を拡開した構造にし、第1及び第2のチューブが噛合するネジによって連結されている。このネジは、第1のチューブが十分に回転して細長部材を拡開した構造にするとはずれて、近位ハブの更なる遠位側への移動を制限する。
【0015】
更に別の実施例では、この装置は、例えば、コア部材及び/又は近位ハブ上に、近位ハブをコア部材チューブからはずして、細長部材を拡開した構造から素早く折りたためるようにする、解放機構を具えていても良い。
【0016】
更に別の実施例では、組織を介して管へ導入するように構成された近位端と遠位端を有する細長いコア部材と;それに沿って放射線源を受けるための経路を含む遠位端に設けた多数の細長部材と、組織管を介してターゲット位置に導入する折りたたまれた構造から、及び拡開した構造から移動可能である細長部材と;各細長部材の経路に沿って取り外し可能に受けることができる複数のマーカデバイスとを具える近接照射治療装置が提供されている。
【0017】
更に別の実施例では、体腔を含むターゲット位置へ組織を介して管を形成するステップと、この管を通って、折りたたんだ構造の細長部材と共に、複数の細長部材を担持する細長い本体をターゲット位置へ前進させるステップと、を具える、身体内の組織に近接照射治療を行う方法が提供されている。細長部材は、ターゲット位置において拡開した構造になり、細長部材を中心軸から離れた位置において、ターゲット領域(キャビティを取り囲む領域)にある組織が近接した細長部材の少なくとも一部の間に延在して、放射線がターゲット位置に送出されて、ターゲット位置の組織を治療するようにする。
【0018】
更に別の実施例によれば、身体内の組織の近接照射治療方法が提供されている。組織を通って、体腔に近接するターゲット位置まで管が作られ、複数の細長部材を担持する細長本体を、この管を通ってターゲット位置へ折りたたんだ構造の細長部材と共に前進させる。この細長部材は、ターゲット位置では拡開した構造をとり、細長部材を中心軸から離した位置に置き、マーカデバイスが細長部材の中に、例えば、拡開する前あるいは後に挿入される。装置は、例えば、CTあるいは超音波を用いて撮像することができ、拡開した構造の細長部材のターゲット位置に対する撮像を、マーカデバイスが強化する。投与プランは、少なくとも細長部材の強化された撮像の部分に基づいて展開することができ、マーカデバイスは、細長部材から取り除くことができる。放射線をターゲット位置に送達して、投与プランに従ってターゲット位置の組織を治療する。
【0019】
上述の概要は、各実施例あるいは本発明の各実装を述べることを意図したものではない。むしろ、本発明のより完全な理解は、添付の図面を考慮した上で以下の詳細な説明と請求の範囲を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】図1Aは、折りたたんだあるいは送達する構造にある拡開可能な近接照射装置の例示的実施例の斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す装置を拡開した状態あるいは展開させた状態で示す斜視図である。
【図2】図2は、図1A及び図1Bに示す装置を拡開した状態で示す別の斜視図である。
【図3】図3は、折りたたんだ構造にある図1Aに示す装置の遠位部分の縦断面図である。
【図3A】図3Aは、図3に示す装置の詳細である。
【図3B】図3Bは、図3に示す装置の詳細である。
【図4】図4は、拡開した構造の図1B及び2に示す装置の遠位部分の縦断面図である。
【図4A】図4Aは、図4に示す装置の詳細である。
【図4B】図4Bは、図4に示す装置の詳細である。
【図5】図5は、図1乃至4の装置の近位ハブを示す斜視図であり、近位ハブへの支持部材の取り付け部を示す。
【図6】図6は、図2に示す装置のルーメンへ導入することができる、エンドキャップマーカの側面図である。
【図6A】図6Aは、図6に示すエンドキャップマーカの製造方法のステージを示す側面図である。
【図6B】図6Bは、図6に示すエンドキャップマーカの製造方法のステージを示す側面図である。
【図6C】図6Cは、図6に示すエンドキャップマーカの製造方法のステージを示す側面図である。
【図7】図7は、拡開可能な近接照射装置に設けて、装置の迅速な折りたたみ及び/又は取り外しを可能にする近位ハブの例示的実施例の縦断面図である。
【図8】図8は、拡開可能な近接照射装置に設けて、装置の迅速な折りたたみ及び/又は取り外しを可能にする近位ハブの別の例示的実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般的には、本発明は、近接照射装置、システム、及び方法に関する。例えば、一の実施例では、ターゲット組織領域に対して、一又はそれ以上の治療エレメント(例えば、放射線源)を送達するシステムが提供されている。一旦送達されると、放射線源は、すぐに取り出される(HDRアプリケーションの場合)か、あるいは、例えばインプラントするなどして、所定の期間、適所に置かれる(LDRアプリケーションの場合)。いずれの場合も、放射線源は予め決められた治療プロファイルに従ってターゲット組織領域に治療を送達する。
【0022】
いくつかの実施例では、LDR放射線源をインプラントして、身体またはターゲット組織に、ターゲット組織に対する放射線源の移動を防止するあるいは実質的に制限するような方法で固定する。例えば、ここに記載されている装置及び方法は、例えば、シードなどの、予め配置した放射能源パッケージを用いて体内留置治療を容易にするだけでなく、近接照射治療が終わったときに、放射線源を容易に取り出すことができる。
【0023】
ここに述べるように、「放射線源」及び「放射能源」は、ある線量の放射線の送達を操作することができるあらゆる治療エレメントを具えることができる。例えば、放射線源は、一又はそれ以上の放射能シードであっても良く、代替的に、例えば、2003年9月9日に出願され、US2004/0116767号で公開された出願番号10/658,518号、2006年10月31日に出願され、US2007/167664号で公開された出願番号11/554,731号、2006年3月16日に出願され、US2007/0106108号で公開された出願番号11/276,851号、2006年11月8日に出願され、US2007/167665号で公開された出願番号11/557,747号、及び2007年6月1日に出願された出願番号11/757,231号に開示されているような、一又はそれ以上のLDRまたはHDRワイヤエレメント(例えば、イリジウムワイヤ)であっても良い。
【0024】
ここで用いている用語「インプラント可能な」とは、身体に挿入して、例えば、数日またはそれ以上を含む、一時間またはそれ以上、及び/又は、数時間またはそれ以上の、長期間、周辺組織内の比較的固定された位置あるいは静止位置に維持されるデバイスの能力を意味する。
【0025】
更に、ここで用いている「ターゲット組織」、「ターゲット組織領域」、「ターゲット領域」及び「ターゲット組織体積」には、放射線治療の利益を得ることが確認されている、ヒト(あるいはその他のほ乳類)の身体のいずれの部分も含まれる。例えば、ターゲット組織領域は、腫瘍あるいは病変部自体、腫瘍の近接組織あるいは腫瘍を取り囲む組織、または、腫瘍切除によってできたキャビティ領域(胸部の腫瘍摘出キャビティに関連する周辺組織またはキャビティなど)であっても良い。
【0026】
なお、ここに述べた装置、システム、及び方法は、この明細書のまたは上述の出願のいずれかに記載されているように、LDRまたはHDR近接照射に使用することができる。更に、ここでは、近接照射に関して述べられているが、この装置、システム、及び方法は、治療−送達エレメントの除去可能なインプランテーションから利益のあるその他の治療計画に適用することができる。例示的なアプリケーションでは、この装置、システム及び方法は、乳癌の治療用として記載されている。しかしながら、ここに述べられている装置、システム、及び方法は、その他の癌、あるいは近接治療方法から利益を得る病変の治療に使用できることは明らかである。
【0027】
図1乃至5を参照すると、拡開可能な近接照射装置10の例示的実施例が示されており、これは、一般的に、近位部分またはテール部分12と、遠位部分または治療送達部分14を具えており、これらの間に延在する縦軸16を規定している。この明細書のいずれかに記載されているように、遠位部分14は、例えば胸部またはその他の身体構造(図示せず)内の腫瘍あるいはキャビティなどの、患者の身体のターゲット位置内で拡開することができ、近位部分12は、遠位部分14から、例えば近位部分12が身体構造の外側に突出するように、延在している。遠位部分14は、以下に述べるように、図1A及び3に示すような、例えば、組織管を通ってターゲット位置に導入するための、折りたたまれた構造と、図1B及び4に示すような、例えば、ターゲット位置に三次元アレイ通路を提供するための、完全に展開したあるいは拡開した構造と、の間を移動可能である。
【0028】
更に、図1A及び1Bに示すように、装置10は、装置10の近位部分12に連結され、遠位部分14を拡開する及び/又は折りたたむ、拡開ツール70を具える。この装置については、以下に更に説明する。拡開ツール70は、図1A及び1Bに示すように、装置10から取り外し可能とするか、又は装置10に永久的に取り付けることもできる(図示せず)。選択的に、装置10は、例えば、シース、あるいはその他のカバー(図示せず)などの、一またはそれ以上のその他の構成要素を具えており、治療送達部14を例えば展開するまで覆うようにしても良い。これに加えて、あるいは代替的に、カテーテル、カニューレ、トロカール、栓塞子、及び/又は、ニードル(図示せず)などの筒状送達デバイスを設けて、装置10を、例えば、上述した出願に記載したようなターゲット位置に導入することができる。代替的に、装置10は、例えば、やはり上述した出願に記載されているように、組織を通した直接的な前進を容易にする、とがった遠位先端(図示せず)を具えていてもよい。
【0029】
図2を更に参照すると、装置10は近位ハブ22と遠位ハブ24の間に延在する細長いコア部材20と、このコア部材周囲及び/又は近位及び遠位ハブ22、24の間に延在するように配置した複数のフレキシブルな細長部材30とを具えていても良い。コア部材20は、近位及び遠位ハブ22、24の間に延在し、以下に更に説明するように、近位及び遠位ハブ22、24を互いに対して及び/又は互いから離れるように軸方向において圧縮可能な、実質的硬質部材であってもよい。
【0030】
細長部材30は、近位端32と、遠位端34、及びこれらの間に延在するルーメン36(図3及び図4に示す)を具える細長筒状部材であってもよい。近位端32は各々、例えば、この明細書のいずれかに記載されているように、放射線源を受けるために、各ルーメン36内へのアクセスを提供する開口を具える。近位端32は、互いに対して実質的に自在であっても良く、あるいは、例えばカラーまたはその他の特徴を用いて、近位端32を互いに保持する、及び/又は、さもなければ近位端32の移動を制限するように、拘束することもできる。
【0031】
細長部材30は、細長部材30のセットを提供するように分けられた1回の押出し成型で、あるいは個別の押出し成型で、またはその他の筒状ボディで形成することができ、あるいは、例えば、ボンディング、溶融、ラッピング、などによって互いに連結された複数の筒状ボディで形成することもできる。細長部材30は、また、近位ハブ22にとりつけた、あるいは固定した中間部分33を具えていても良い。例えば、この中間部分33は、外側カラー23と近位ハブ22の内側主チューブハブ22aとの間に、しまり嵌め、接着剤を用いたボンディング、音波溶接、などを用いて固定的に受けられている。
【0032】
近位ハブ22は、例えば、カラー23と内側主チューブハブ22aを一体的に成型するか、あるいは同時形成するように、単一ピースで作ることができる。代替的に、近位ハブ22は、別々の構成部品で作り、これらを例えばしまり嵌め、共働するコネクタ、接着剤を用いたボンディング、音波溶接、などを用いて互いに取り付けるようにしてもよい。選択的に、近位ハブ22は、個別の軸上開口を具え、各細長部材30の中間部分33をそれを通して受けるようにしても良い。代替的に、細長部材30は、遠位ハブ24から近位ハブ22に延在させて、近位ハブ22内で、あるいは近傍で終端させるようにしても良い。この代替において、細長部材30及び/又は近位ハブ22に取り付けて、装置10の近位部分を提供し、一方で、近位部分12から遠位部分14に延在するルーメン36も提供する個別筒状部材(図示せず)を設けても良い。
【0033】
細長部材30の遠位端34は、遠位ハブ24内で受ける、及び/又は、遠位ハブ24に固定することもできる。例えば、遠位ハブ24は、環状溝、または個別ポケットを具えており、その中で遠位端部34を受けて、例えば、しまり嵌め、接着剤を用いたボンディング、音波溶接、などを用いて固定することができる。遠位ハブ24は、装置10に対して丸い及び/又はテーパ状の遠位チップを具え、例えば、患者の身体への導入を容易にすることができる。代替的に、遠位ハブ24は、先のとがった、あるいは鋭利な遠位チップ(図示せず)を具えて、装置10を組織内へ直接前進させる(図示せず)ようにしてもよい。
【0034】
選択的に、遠位ハブ24は、例えば、イソプレンゴムと組み合わせたガラス入りナイロンなどの非金属材料などの、X線透過性材料で形成することができる。遠位ハブ24は、X線透過性材料でできている場合、図6に示されており、本明細書のいずれかに記載されているマーカデバイス80などのX線不透過性マーカを細長部材30のルーメン36内に配置して、やはり本明細書のいずれかに記載されているように、投与プラニングの間に細長部材30の遠位端34の位置を決定することができる。
【0035】
更に、図3乃至5に示すように、装置10は、例えば、中間部分33と遠位端34との間、細長部材30に沿って、すなわち、少なくとも装置10の遠位部分14に沿って、延在するサポート40を具えていても良い。例示的な実施例では、サポート40は、例えば、ステンレススチールまたはニチノールなどの金属、プラスチック、又は複合材料などの材料でできた細長ストリップであり、これは、例えば、遠位部分14が折りたたんだ構造と拡開した構造の間にあるときなど、装置10の使用中に弾性的に曲がる。サポート40は、一般的に、細長部材30の中間部分33及び/又は近位ハブ22に取り付けたあるいは固定した近位端42を、また、細長部材30の遠位端33及び/又は遠位ハブ24に取り付けたまたは固定した遠位端44を具える。例えば、サポート40は、コア部材20に最も近い側に沿った筒状部材30の外側表面に沿って配置することができる。サポート40は、例えば収縮チューブ、接着剤を用いたボンディング、音波溶接などを用いて、筒状部材30に取り付けるか、固定してもよい。
【0036】
代替的に、サポート40は、上述の出願に記載されている実施例と同様に、細長部材30内の追加のルーメン(図示せず)内に設けることができる。更なる代替では、サポート40を除いても良い。例えば、細長部材30は、上述の出願に記載されているように、例えば非対称断面を有するように構成して、所定の態様で細長部材30が半径方向に拡開するようにバイアスしても良い。選択的に、サポート40は、細長部材30を支持することに加えて、あるいはこれに代えて、やはり上述の出願に記載されているように、シールドを提供するものでも良い。
【0037】
図5に示すように、例示的な実施例では、サポート40の近位端42が近位ハブ22に固定されており、例えば、サポート40の移動を防止している。例えば、内側主チューブハブ22aは環状溝22bと、この環状溝22bから遠位側に延在する複数の軸方向溝22cを具えていても良い。サポート40の近位端部42は、各軸方向溝22c内で、及び/又は、環状溝22b内へ受けられている。図に示すように、サポート40の近位端42は、「ドッグボーン」型、「I」型、あるいは「T」型形状の特徴を有しており、ドッグボーン特徴の一部を各軸方向溝22c内で受け、これが環状溝22b内へ延在するようにする。ドッグボーン特徴は、近位ハブ22内の溝22b、22cと合体して、完全に拡開した構造にある装置10に構造的安定性を提供する。例えば、このインターフェースは、サポート40の軸方向の動きを防止するとともに、サポート40、結果として細長部材30の横方向の安定性を提供する。ドッグボーン特徴は、溝22b、22c内に圧力嵌めにしても良く、及び/又は、溝22b、22c内に接着させてもよい。
【0038】
選択的に、係止リング22d(明確化のために、図5に部分的に示す)は、内側主チューブハブ22aの周囲の近位端42、軸溝22c、及び/又は環状溝22bの上で受けて、近位端42が近位ハブ22から分離しないようにしても良い。係止リング22dは、内側主チューブハブ22aの周囲で受けて、締まり嵌め、熱収縮(例えば、係止リング22dが熱収縮チューブから形成されている場合)、接着剤を用いた接着、音波溶接、などを用いてこれに固定するようにしてもよい。追加で、あるいは代替的に、近位端22を近位ハブ22及び/又は細長部材30の中間部分33に、例えば、しまり嵌め、接着剤を用いた接着、音波溶接、その他を用いて取り付けることができる。
【0039】
サポート40は、その主要寸法がコア部材20に対してほぼ周方向に配置されるように向けることができ、その小寸法がほぼ半径方向に配置されている。折りたたんだ構造では、サポート40は実質的に軸方向、すなわち、コア部材20に実質的に平行に延在している。更に以下に述べるように、近位及び遠位ハブ22、24は、互いの方向を向いており、サポート40は近位端42と遠位端44との間で外側半径方向に曲がっており、これによって、拡開した構造に向けて方向付けられるときに細長部材30の拡開を制御する。
【0040】
図3及び図4を参照すると、コア部材20は入れ子式の細長部材を具えており、これらは近位及び遠位ハブ22、24を軸方向に互いに対して及び互いから離れる方向に移動させる。図に示すように、コア部材20は、近位及び遠位端52、54を含む第1のあるいは近位側チューブ50と、近位及び遠位端62、64を含む第2のあるいは遠位側チューブ60とを具える。近位側及び遠位側チューブ50、60は、すなわち遠位端54と近位端62で、互いに相互作用して、例えば、近位側チューブ50を遠位側チューブ60に少なくとも部分的に入れ子とする(または、代替的に、遠位側チューブ60が近位側チューブ50に入れ子になってもよい)。
【0041】
図に示すように、遠位側チューブ60の遠位端64は、遠位ハブ24内に受けられている。この遠位端64は、遠位ハブ24に、例えば、しまり嵌め、共働するコネクタ、接着剤を用いた接着、音波溶接、その他を用いて固定することができる。従って、遠位側チューブ60は、遠位ハブ64及び細長部材30の遠位端34に対して実質的に静止し続ける。
【0042】
遠位チューブ60の近位端62は、近位端62の長さに沿って所定の距離延在する内ネジ63を具える。従って、近位端62は、内ネジ63の遠位側にネジのない領域も有する。遠位チューブ60は、近位端62と遠位端64の間に延在する単一筒状セグメントとして形成されており、これによって、ルーメン66を規定している。代替的に、遠位チューブ60を互いに対して取り付けられているマルチセグメントから形成することもできる。例えば、遠位チューブ60は、例えば、内ネジ63とネジのない領域を有する近位端62を規定する第1の筒状セグメントと、近位端62から遠位端64に延在する第2のセグメントと、を具えていても良い。第1及び第2のセグメントは、例えば、螺合するネジあるいはその他の共働コネクタ、しまり嵌め、接着剤を用いた接着、溶融、音波溶融、などを用いて、互いに対して取り付けられていても良い。第2のセグメントは、近位端62から遠位端64へ全体的にルーメン66に延在することが望まれているかどうかによって、筒状セグメントあるいはむくのロッドセグメントとしてもよい。
【0043】
近位チューブ50は、また、近位端52と遠位端54との間に延在するルーメン56を具える。ルーメン56は、遠位チューブ60において、例えば、放射線源またはその他のデバイスをコア部材20を介して少なくとも部分的に遠位ハブ24に向けて導入することが必要な場合に、ルーメン66と連通している。近位チューブ50は、図3及び4に示すように、近位ハブ22内に摺動可能に配置されている、あるいは近位ハブ22を介して受けられている。特に、近位チューブ50は、近位ハブ22内において縦軸16の周りを自在に回転することができ、これによって、近位チューブ50は遠位チューブ60にねじこまれ、あるいは遠位チューブ60からはずれる。
【0044】
更に、近位チューブ50は、図3Bに最も良く示すように、例えば、環状リブ53、ラジアルタブ(図示せず)、その他といったストップを、近位ハブ22の近位側あるいはこれに隣接して配置した近位端52上に有していても良い。従って、近位ハブ50は、近位ハブ22内で回転自在であるが、近位ハブ50を回転させて遠位端54を遠位チューブ60の近位端62にねじ入れる場合、ストップ53が近位ハブ22に近接する。代替的に、ストップ53を近位ハブ22内の環状溝またはポケット内で受けることができる。この代替例は、例えば、近位チューブ50が回転して遠位側に及び/又は近位側に移動するときに、近位ハブ22の軸上の動きを近位チューブ50につなげることができる。
【0045】
図3を特に参照すると、装置10には、コア部材20の近位チューブ50が近位位置に設けられており、これによって、折りたたんだ状態の細長部材30を提供している。図に示すように、細長部材30とサポート40は、折りたたんだ状態でコア部材20に沿ってほぼ軸上に延在している。図3Aに示すように、外側及び内側ネジ55、63が互いに係合して、第1方向、例えば、時計回り方向、における近位チューブ50の回転によってネジ55、63を近位チューブ50の近位側に方向付ける。図3Bに示すように、近位チューブ50のストップ53が、近位チューブ50が遠位チューブ60内にねじ込まれ始めるまで、近接するあるいは近位ハブ22内に配置される。
【0046】
図4を参照すると、ストップ53と近位ハブ22との間の相互作用のため、近位チューブ50の第1方向の回転によって、図4Bに示すように、近位ハブ22を遠位ハブ24に向けて遠位側へ方向付ける。近位ハブ22が遠位ハブ24に向けて方向付けられると、中間部分33と遠位端34との間の細長部材30には、軸方向に圧縮力がかかり、図4に示すように、細長部材30を拡開構造に向けて外側に半径方向に曲げる。ここに記載されているように、細長部材30は、例えば、サポート40及び/又は細長部材30の構造によって、拡開構造の所定の形状に拡開する。例えば、細長部材30は、上述したアプリケーションに開示されているように、単一層、複数層を含め、ほぼ球形、楕円形、などとなる。
【0047】
図4Aに最も良く示すように、近位チューブ50は、外側ネジ55が完全に内側ネジ63を通過して、遠位チューブ60のネジのない部分に入るまで回転する。この時点で、近位チューブ50の更なる回転が近位チューブ50を遠位チューブ60内で、近位ハブ22の更なる遠位側への移動を生じることなく、単純に自在に回転させる。細長部材30が完全な拡開構造に拡開させるこの動きの自由度が、ユーザに触覚フィードバックを提供する。選択的に、外側ネジ55がネジのない領域に入ると、やはり細長部材30が完全に拡開したことを確認する、可聴クリック音をユーザが聞くようにしても良い。
【0048】
ネジ55、63のこの構造は、また、細長部材30の過剰拡開を防止する。ネジ55、63がはずれると、近位チューブ50がそれ以上遠位側にゆかず、これによって近位ハブ22のさらなる遠位側への移動が防止される。このように、外側及び内側ネジ55、63の相対長さと位置は、拡開した構造の細長部材30に対する所望のサイズ及び/又は形状を提供するように選択される。選択的に、遠位チューブ60は、例えば端壁(図示せず)などのストップを具え、遠位端54がネジのない領域に入ったときに近位チューブ50のさらなる遠位側への移動を防止する。これによって、細長部材30及び/又はサポート40を過剰拡開させ及び/又はダメージを与える、ユーザが近位チューブ50を更に遠位側へ押すことが防止される。
【0049】
細長部材30を折りたたむ必要がある場合、近位チューブ50を第2の反対方向、例えば、半時計回り方向に回転させる。外側ネジ55が、内側ネジ63に再び螺合し、近位側に外側ネジ55をねじ入れて、これによって近位ハブ22を近位側に向ける。近位ハブ22が近位側に向くと、図3に示すように、細長部材30とサポート40が半径方向に、折りたたまれた構造に向けて内側に引き戻される。近位チューブ50の上のストップ53が近位ハブ22に係合しない場合、すなわち、近位ハブ22の近位側に配置されている場合は、近位チューブ50は近位ハブ22を近位側に引っ張らない。この実施例では、サポート40及び/又は細長部材30自体は、折りたたまれた構造に向けて十分に弾性的にバイアスされて、近位ハブ22がストップ53に隣接しなくなると、サポート40及び/又は細長部材30が近位ハブ22を近位側に押す。
【0050】
選択的に、図3B及び4Bに最も良く見られるように、近位チューブ50の近位端52は、また、拡開ツール80を係合するためのコネクタを具える。例えば、近位端52は、外側ネジ、六角ヘッド、その他(図示せず)を具えていても良い。図1A及び1Bを更に参照すると、拡開ツール70は、近位端72と、遠位端74と、これらの間に延在するルーメン76を有する細長本体を具える。ハンドル78は、例えば、拡開ツール70の操作及び/又は回転を容易にするために、近位端72の上に設けられている。
【0051】
使用中に、拡開ツール70は、細長部材40の間に挿入されて、コア部材20の近位チューブ50の近位端52上のコネクタと係合する。選択的に、図1A及び1Bに示すように、装置10は、細長部材30の近位端32を越えてコア部材20から近位側に延在する中央筒状エクステンション21を具えている。この実施例では、筒状エクステンション21は、拡開ツール70の遠位端74においてルーメン76内に挿入され、拡開ツール70が筒状エクステンション21の上を前進する。
【0052】
拡開ツール70は、遠位端74がコア部材20の近位チューブ50の近位端52と係合するまで前進する(図3参照)。例えば、遠位端74と近位端52は、螺合するネジ、オス−メスコネクタ、その他を具える。この後、拡開ツール70が回転すると、次いでコア部材20の近位チューブ50も回転して、これによって、本明細書に記載されているよう軸上を移動する。
【0053】
装置10は、例えば、胸部(図示せず)の組織構造内の近接照射治療に使用することができる。胸部は、癌組織の除去によって形成されたキャビティ(例えば、乳腺腫瘍摘出キャビティ)を有することがある。装置10を折りたたんだ状態で胸部あるいはその他の組織構造に挿入する。装置10は、存在する創傷(図示せず)、例えば、乳腺摘出術の実行に使用した創傷を介して、あるいは、装置10の送達用に作った新たな創傷を介して挿入することができる。
【0054】
使用時には、図1A及び3に示すように、装置10に折りたたんだ構造の細長部材30が設けられている。遠位ハブ24は、細長部材40が、例えば、乳腺腫瘍摘出キャビティなどのターゲット組織領域内に配置されるまで、組織を介して管内へ挿入される(例えば、鋭いあるいは先端のとがったチップを用いるか、カニューレやその他の筒状部材(図示せず)を用いて)。拡開ツール70が装置10と別であれば、拡開ツール70を装置10につなぐ。
【0055】
ついで、拡開ツール70を第1の方向に回転させて、近位ハブ2を遠位ハブ24に対して遠位側に向けて、これによって、図1Bおよび4に示すように、細長部材30をキャビティ内で外側に曲げる。装置10が拡開した構造に向けられると、細長部材30は、少なくとも部分的にキャビティの外側を囲む組織に向いて、及び/又は、上述のアプリケーションに開示されているように、この組織が隣接する細長部材間に陥入する。選択的に、細長部材30及び/又は遠位部分14は、上述のアプリケーションに開示されているように、一またはそれ以上のエクステンション、メンブレイン、あるいは所望の方法でキャビティを形成するその他の特徴を具えていても良い。
【0056】
その後、選択的に、装置10をターゲット組織領域に対して固定して、続いて生じる移動を防止するようにしても良い。代替的に、細長部材を、周辺組織に十分に係合させて、実質的な移動を防止することもできる。装置10をターゲット組織領域に時間を延長して残すべきである場合、拡開ツール70を組織10から取り除いても良い。
【0057】
次いで、一またはそれ以上の放射線源(図示せず)を細長部材30のルーメン36内に向けて、キャビティ周辺の組織へ放射線を送達する。このように、細長部材30は、放射線源を受ける経路を規定している。コア部材20がルーメンを具えていれば、一またはそれ以上の放射線は、コア部材20のルーメンにも向けられる。代替的に、細長部材30及び/又はコア部材20は、装置10の近位部分12と遠位部分14との間に延在する経路を提供するその他の特徴を具えていても良い。例えば、細長部材30は、溝またはトラック(図示せず)を具えており、上述のアプリケーションに記載されているように、これで、一またはそれ以上の放射線源を受けることができる。
【0058】
例示的な手順では、複数のLDR源を細長部材30及び/又はコア部材20に送達して、所定時間体内に留置させる。例えば、個々のシード、シードポット、あるいはその他の放射線源を各細長部材40に同時にあるいは順次装填して、これによって、時間を延長してターゲット位置に残ることができるシードまたはその他の放射線源の三次元アレイを提供する。このシードは、投与プランに従って、各ポッドに間隔をあけて配置しても良く、異なる放射能強度を有するようにしても良い。例えば、アレイの異なる部分のシードを、長さが異なり、及び/又は、各細長部材10に沿って間隔をあけて配置して、アレイが、例えば装置10の中心軸に対して半径方向及び/又は軸方向に、実質的に非対称であるようにしても良い。
【0059】
代替的に、本明細書に記載されているように、一またはそれ以上のHDR源を、投与プランに従って、順次または同時に細長部材30及び/又はコア部材20に送達することもできる。例えば、HDR源を第1の細長部材30に導入して、第1の位置に前進させ、当該第1の位置で所定時間保持する。HDR源は、次いで、第2の位置へ前進及び/又は後退させ、そこで所定時間保持する、などである。次いで、HDR源を第1の細長部材30から除去して、次いで、その他の各細長部材30を同様にして、順次導入する。更なる代替では、キャビティに導入する前に、一又はそれ以上の放射線源を細長部材30内に予め装填するか、あるいは固定しておくこともできる。装置10の使用に関する追加情報は、上述のアプリケーションに見ることができる。
【0060】
近接照射治療が完了すると、装置10は折りたたんだ構造に戻り、装置10は挿入した創傷を介して胸部から取り出される。例えば、拡開ツール70が除去されると、拡開ツール70は近位チューブ50に導入されて再接続される。拡開ツール70は、次いで、回転して、本明細書に記載されているように、コア部材20の近位チューブ50を回転させ、細長部材30を元の形に折りたたむ。
【0061】
患者を治療する前に、投与プランを作って治療コースを決定することが好ましい。投与プランの作成は、様々な撮像方法(例えば、CTや、超音波)を用いて、及び/又は、投与プラン作成ソフトウエアを用いて、HDRまたはLDR照射のいずれかについて行うことができる。投与プラン作成プロセスのタイミングと全体的なシナリオは、臨床外科医/癌専門医の裁量である。しかしながら、このようなシナリオは、装置10をターゲット組織領域に配置して、遠位部分14を拡開した構造にするステップを具える。次いで、撮像方法(例えば、CT)を用いて、ターゲット組織領域と細長部材30の位置の両方を、詳細にスケッチする。次いで、投与プランを展開して、所望であれば、コンフィグレーションどおりに補正を行い、装置10及び/又は細長部材30の調整を行う。
【0062】
投与プランを補佐するために、一又はそれ以上のマーカデバイスを、例えば、細長部材30のルーメン内に設けることが望ましい。このマーカデバイスは、アーチファクトをつくる、あるいは撮像装置を用いて検出可能である放射線不透過性材料あるいはその他の材料から提供され、細長部材30の相対位置及び/又は方向を同定する。
【0063】
図6は、提供することができるマーカデバイス80の例示的実施例を示す図である。一般的に、マーカデバイス80は、例えば、プラスチック(例えば、ナイロン、あるいはFEP)で被覆した、近位端82と遠位端84を具えるステンレススチールケーブルセグメントなどの細長本体を具える。選択的に、近位端82は、以下に更に説明するとおり、細長部材30のルーメンを密封する端部キャップ86を具えていても良い。
【0064】
マーカデバイス80は、例えば、少なくとも細長部材30と同じ長さといった、細長部材30の長さに対応する長さを有する。例えば、図2に示すように、マーカデバイス80は細長部材30のルーメン内に、例えば、マーカデバイス80の遠位端84が細長部材30の遠位端34内に位置するまで、すなわち、遠位端84が遠位ハブ24内に、あるいは直近に配置されるまで、挿入される。同様に、マーカデバイス(図示せず)は、他の細長部材30の各々へ、例えば、その遠位端が遠位ハブ24内に、または直近に配置されるまで挿入するようにしても良い。
【0065】
その後、マーカデバイス80の放射線透過性が、マーカデバイス80を同定することによって、細長部材30の一及び/又は方向のモニタリングを強化する。例えば、マーカデバイス80は、X線あるいはCTなどのその他の撮像モダリティを用いて、HDRカテーテル用の全経路を詳しく示す。マーカデバイス80の遠位端84は、細長部材30に順次導入された(マーカデバイス80を除去した後)HDR源の初期の存在位置を同定するのに使用することもできる。選択的に、例えば、金またはその他のバンド(図示せず)など、一またはそれ以上の放射線透過性マーカを遠位端84に設けて、例えば、圧着、溶融、接着、その他によるなどして、遠位端84の放射線不透過性を強化するようにしても良い。
【0066】
投与プランが最適であれば、放射線源(例えば、近接照射デバイス)の特性(例えば、LDRシード活性レベル、HDR滞留位置及び/又は時間、その他)が選択され、細長部材30の近位端32の開口を介して装置10内に配置する準備をする。次いで、治療の前にマーカデバイス80を取り出す。
【0067】
マーカデバイス80は、また、細長部材30をサポートすることができる。例えば、ケーブルは比較的強く、治療の間に細長部材30の中に挿入することができるフレキシブルなサポートを提供する。従ってマーカデバイス80は、例えば、HDRセラピィなどの治療を行う間の、細長部材30のねじれや、その他の変形、あるいはダメージを防止することができる。
【0068】
選択的に、マーカデバイス80を用いて細長部材30のルーメン36を密封して、液体、デブリス、その他が入ることを防止することができる。図に示すように、マーカデバイス80は、近位端82の上の端部キャップ86を具えていても良く、このキャップは細長部材30の近位端32の上に置く、あるいはこれを密封することができる。例えば、図2に示すように、治療の間に、端部キャップ86が近位端32の上で受けられるまで、マーカデバイス80を装置10の各細長部材30に挿入することができる。端部キャップ86は、次の治療をブロックする、あるいは、危険にさらすことがある液体あるいはその他のデブリスが細長部材30へ侵入することを防止する。
【0069】
図6A−6Cは、マーカデバイス80を製造する例示的な方法を示す図である。まず、ケーブルのセグメントを、切断、射出、その他によって提供する。スペーサ88を、マーカデバイス80の近位端82に、例えば、ステンレススチールチューブあるいはその他のブッシュ部材のセグメントを近位端82に圧着することによって、取り付けることができる。代替的に、スペーサ88は、しまり嵌め、接着剤を用いた接着、溶融、などで取り付けても良い。例えば、封入端のついたプラスチック(ビニールなど)チューブのセグメントなどの、端部キャップ86をスペーサ88の上にスライドさせても良い。スペーサ88と端部キャップ86の相対サイズは、端部キャップ86をスペーサ88の上で受けて固定されるように選択する。代替的に、あるいはこれに加えて、端部キャップ86をスペーサ88に、接着その他によって取り付けても良い。
【0070】
端部キャップ86は、スペーサ88を越えて遠位側に延在していてもよく、これによって、細長部材30の近位端32を受ける環状ポケットを規定している。端部キャップ86は、端部キャップ86と近位端82の間で受けている近位端32と摩擦係合する大きさであり、これによって、細長部材30のルーメンを実質的に密封している。
【0071】
図7および8を参照すると、救済(bail−out)デバイスが示されている。このデバイスは、装置10の上にあるいは上述のアプリケーションに開示されたいずれかの実施例で提供されている。例えば、図3及び4を更に参照すると、近位ハブ22をコア部材20、特に、コア部材20の近位チューブ50からの係合を解除する機構を具えることが好ましい。このような解除によって、例えば、装置10を患者から取り除くように、細長部材30が迅速に折りたたまれる。このような迅速な除去は、例えば、装置10が拡開ツール70を再度挿入し、細長部材30を通常のように折りたたむことによって生じるよりもより速く装置10を取り除いた場合に、より容易に作用するような緊急事態が生じた場合に必要である。救済構造は、また、例えば、近位チューブ50がコア部材20の遠位チューブ60に再係合できない場合、あるいは、螺合ネジ55、63が何らかの理由でロックされたり、あるいは引っかかったりした場合など、装置10が故障した場合に更なる安全特性を提供するものである。
【0072】
例えば、図7は、近位ハブ22に隣接するコア部材20の近位チューブ50の近位端52周囲に配置された保持リング58を示す。保持リング58は、例えば、閉O−リング、スロットリング、あるいは「C」型リングなどの環状部材で形成することができる。例えば、保持リング58は、ステンレススチール、あるいは、切断して、そのリングに十分な力を加えて「C」型形状にできるその他の実質的に硬質のリングで形成することができる。図に示すように、保持リング58は、例えば、近位ハブ22の近位端25において、近位ハブの内径より大きい断面を有する。このことによって、保持リング58が近位ハブ22を通る通路に入ることができないので、近位ハブ22が近位チューブ50に対して近位側になることを防ぐ。近位チューブ50の近位端52は、丸型エッジ52aと、傾斜エッジ52bを具え、エッジ52aと52bの間に保持リング58が配置されている。
【0073】
従って、保持リング58は、近位ハブ22と近位チューブ50の互いに対する軸上の移動を防止する。しかしながら、傾斜エッジ52bのために、例えば、近位ハブ22を近位チューブ50に対して引っ張ることにより、十分な軸方向の力が加わり、保持リング58が弾性的に伸張して、及び/又は、組成的に変形して、保持リング58が傾斜エッジ52bの上に向くようにする。例えば、拡開ツール70(図示せず)が近位チューブ50に連結されていても良く、近位ハブ22は拡開ツール70の移動を防止しながら近位側に引っ張られる。これによって、近位エッジ25が保持リング58を傾斜エッジ52bの上に押し、これによって、保持リング58が、傾斜エッジ52bの上を通過する際に、リングを半径方向に拡張させる。
【0074】
保持リング58が傾斜エッジ52bを超えて通過すると、保持リング58が解放されて、近位ハブ22を近位チューブ50に対して近位側に向けて、これによって、細長部材30を、例えば、折りたたんだ構造に向けて引っ張る。例えば、保持部材58は、保持リング58が近位チューブ50に対して耐えられなくならないような十分に大きなサイズに組成的に変形させることができる。代替的に、保持リング58は、拡張して、傾斜エッジ52bを通過したら、壊れるあるいは押し戻されるようにしてもよい。このように、迅速で、比較的大きな力(装置10の通常の使用に比較して)で、近位ハブ22が近位チューブ50から解除され、細長部材30を迅速に折りたたむことができる。
【0075】
図8を参照すると、保持リング58’の別の実施例が示されており、ここでは、リングを摩擦によって、コア部材20の近位チューブ50の近位端52の周囲で受けている。上記の実施例とは異なり、近位チューブ50の近位端52は、保持リング58’を封じるための隆起したランプあるいはエッジを具えていない。代わりに、保持部材58’は摩擦によって、近位チューブ50の上にほぼ静止して保持されている。この摩擦は、例えば、近位チューブ50(及び、拡開ツール70)に対して保持リング58’を近位チューブ50の上を近位側にスライドさせる十分な力によって、ハブ22を引っ張ることによって、克服される。従って、近位ハブ22が引っ張られて、細長部材30がおりたたまれ、装置10の迅速な除去が可能である。
【0076】
本発明の例示的実施例を上記に説明した。当業者は、本発明の範囲内で多くの実施例が可能であることを認識するであろう。その他の変形例、改良、及びここに述べた様々な構成要素と方法の組み合わせが可能であり、これらは本発明の範囲内に入る。例えば、ここに述べたどの治療デバイスも、ここに述べた送達システム及び方法のいずれとでも組み合わせることができる。従って、本発明は以下の請求の範囲およびその均等によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接照射治療装置において:
組織を通して管に導入する近位端と遠位端を具える細長本体と;
前記遠位端上の複数のチューブ状部材であって、これに沿って前記細長本体の近位端から放射線源を受けるルーメンを具え、組織の管を通ってターゲット位置に導入するための折りたたんだ構造から、拡開した構造へ移動可能なチューブ状部材と;
各チューブ状部材のルーメンに沿って取り外し可能に受けることができる複数のマーカデバイスであって、当該マーカデバイスが前記チューブ状部材のルーメン内に受けられるときに前記チューブ状部材の近位端に係合して前記ルーメンを実質的に密封する端部キャップをそれぞれ有する複数のマーカデバイスと;
を具えることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項2】
近接照射治療装置において:
組織を通って管に導入するように構成された近位端と遠位端を具え、当該近位端及び遠位端が縦軸を規定している細長コア部材と;
前記コア部材の遠位端に連結した遠位ハブと;
前記コア部材上において前記遠位ハブよりも近位側にあり、前記遠位ハブに対して軸上を移動可能な近位ハブと;
前記近位及び遠位ハブに連結され、前記コア部材の近位及び遠位端の間に延在する複数のチューブ状部材であって、組織の管を通ってターゲット位置に導入するために前記縦軸にほぼ並行に延在する折りたたんだ構造、及び前記近位ハブが前記遠位ハブに対して遠位側に向けられたときの拡開した構造から移動可能であり、前記近位ハブに対して近位側にある近位端と、この近位端から遠位方向に延在し、これに沿って放射線源を受けるルーメンとを具える、チューブ状部材と;
各チューブ状部材のルーメンに沿って取り外し可能に受けることができる複数のデバイスであって、当該デバイスが前記チューブ状部材のルーメン内に受けられるときに前記チューブ状部材の近位端上で受けることができ、前記ルーメンを実質的に密封する端部キャップをそれぞれ有する複数のデバイスと;
を具えることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項3】
近接照射治療装置において:
放射線源を受けるルーメンを有し、組織の管を通って患者の体内のターゲット位置に導入するようにサイズ設定された細長本体であって、前記ルーメンが、当該細長本体の近位端における開口から当該細長本体の閉じた遠位端まで延在する細長本体と;
前記細長本体の遠位端に隣接する遠位部分と、この遠位部分が前記ターゲット位置に導入されるときに患者の体から延出するように構成された近位部分とを有する複数のチューブ状部材であって、前記遠位部分が、組織の管を通ってターゲット位置に導入するための折りたたんだ構造、及びターゲット位置で周囲の組織に接触するための拡開した構造から移動可能であり、前記近位部分の開口から前記遠位部分の閉じた端部まで延在して放射線源を受けるルーメンを具える、チューブ状部材と;
各チューブ状部材のルーメン及び前記細長本体のルーメンに沿って取り外し可能に前記開口内に受けることができる複数のデバイスであって、当該デバイスが前記チューブ状部材のルーメン内に受けられるときに各チューブ状部材の開口に係合して前記ルーメンを実質的に密封する端部キャップをそれぞれ有する複数のマーカデバイスと;
を具えることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置が更に、折りたたんだ構造と拡開した構造との間で前記チューブ状部材を移動させる拡開ツールを具え、当該拡開ツールが、前記近位部分に隣接し、かつ前記細長本体に連結されることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、前記デバイスが放射線不透過性材料を具えることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置において、前記デバイスが前記チューブ状部材を支持するのに十分な強度を有することを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置において、前記デバイスが、前記チューブ状部材内に挿入されるときに、相対的に強力であるがフレキシブルなサポートを提供して、治療の間における前記チューブ状部材へのダメージまたはねじれまたはその他の変形を防止することを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置において、前記デバイスが前記ルーメンを通って前記チューブ状部材の遠位端へと延在するように、前記デバイスが前記ルーメン内に受けられることを特徴とする近接照射治療装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置において、前記デバイスが、その遠位端に1またはそれ以上のマーカを含むことを特徴とする近接照射治療装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63289(P2013−63289A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264004(P2012−264004)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2009−531637(P2009−531637)の分割
【原出願日】平成19年10月6日(2007.10.6)
【出願人】(509097404)シアナ メディカル,インク. (3)
【Fターム(参考)】