説明

持続放出医薬組成物

【課題】本発明は、製剤積載量の有意な増加を提供する持続放出医薬組成物、特に、その製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】シリコン支持料;シリコン支持棒内又は支持棒上に担持した医薬活性組成物(この医薬活性組成物は、少なくとも1つの医薬活性成分を含む);そして、場合によってはそのための担体を含む持続放出ミニインプラントであって;そのミニインプラントは、選択された適応症を治療するための医薬活性剤の所定の血液閾値を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続放出医薬組成物、特に、その製造方法に関する。より具体的には、本発明は、製剤積載量の有意な増加を提供する持続放出医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬物輸送システムは、先行技術において知られている。
例えば、生体に投与後、非分解性の疎水性ポリマー材料を担体として使用する薬物放出制御調製物。このような調製物からの薬物放出を制御する2つの方法がある:1つは、アルブミンのような添加物を用いること(特開平7−61959)、そして、別のものは、疎水性ポリマー単独からなる外層を形成することである(特開平7−187994)。
【0003】
しかしながら、疾患適応は、初期の高い血漿閾値の達成を要求し、さらに、複数の医薬品の輸送を要求し、及び/又は、その後、高レベルで長期に亘って継続するために持続放出を要求する場合、先行技術において既知の薬物放出システムは、一般的に、不十分な薬物の担持能力を提示する。
【0004】
加えて、持続放出のインプラントを製造するための先行技術において既知の技術は、押出又は成形システムに基づくシリコンベースの技術を利用する。
商業的規模までこのような技術をスケールアップする試みでは、困難に直面してきた。セフチオフール及び組換えブタソマトトロピン(rPST)のような医薬活性剤に対するこのような押出手法を適用することにおいても困難に直面してきた。例えば、このような活性剤は、それらに化学組成によってシリコン化学を妨害し、あるはい温度感受性を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、先行技術に関連した1又はそれより多くの困難及び欠陥を克服し、あるいは少なくとも軽減することである。
よって、本発明の第一の側面において、下記:
シリコン支持材;及び
シリコン支持棒内又は支持棒上に担持した医薬活性組成物
を含む持続放出ミニインプラントを提供し、前記医薬活性組成物は、
少なくとも1つの医薬活性成分;及び、場合により、
そのための担体
を含み、前記ミニインプラントは、選択された適応症を治療するために医薬活性剤の所定の血中閾値を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ハイブリッドの1次/0次放出、55日。
【図2】0次放出、90日、異なった製剤。
【発明を実施するための形態】
【0007】
持続放出ミニインプラントは、好ましくは、マトリックス又は被覆されていない若しくは被覆された棒(rod)の形態である。このような器具は、先行技術に提案されている一方で、そのような先行技術の器具は、それらの能力によって相対的に低い積載能力を提供することに制限され、及び/又はそれらの能力によって場合により初期の1次放出ととともに0次放出プロフィールを供給することに制限されている。
【0008】
さらに、国際特許出願PCT/AU02/00865において、出願人は、複数の持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置を開示し;各々のミニインプラントは、持続放出支持材;及び、持続放出支持材内又は支持材上に担持した医薬活性組成物を含み;この医薬活性組成物は、少なくとも1つの医薬活性成分;及び、そのための担体を含み;各々のインプラントは、選択された適応症を治療するために医薬活性剤の所定の所望の血中閾値を個別に提供するのに不十分な大きさ及び/又は積載量であり;ミニインプラント又はペレットの大きさは医薬活性剤の0次放出を提供し;持続放出器具は、使用において、選択された適応症を治療するための医薬活性剤の所望の閾値又はそれ以上で医薬活性剤の0次放出を提供する。
【0009】
現在、出願人は、驚くべきことに、本発明に係る単一の持続放出ミニインプラントが、先行技術の開示に要求された複数のインプラントの代わりに使用してもよいことを発見した。本発明に係る持続放出ミニインプラントは、有効であるために要求される血漿閾値を達成し、長期に亘る血中レベルを維持することができないために従来は疾患に適用することができなかった医薬活性成分を用いて、長期に亘って疾患を治療することを可能にする。
【0010】
持続放出ミニインプラントは、医薬活性剤のおよその0次放出を提供してもよい。あるいは、活性剤の急速な初期放出が有効である場合にあっては、持続放出ミニインプラントは、ハイブリッドの1次/0次放出を提供してもよい。つまり、放出は、初期には急速(1次)であるが、長期間の放出の一般的に一定な低速度を提供するために即座に平衡に達する。
【0011】
シリコン支持材は、シリコンエラストマーから形成されてもよい。シリコン支持材は、下記に記載される液体シリコンを含んでもよい。
医薬担体は、存在すれば、下記に記載される標準的な担体成分を含んでもよい。
【0012】
シリコン支持材は、マトリックスを形成してもよく、又は棒構造、好ましくは被覆された棒構造、より好ましくは同時押出された棒構造を提示してもよい。マトリックスインプラント及び被覆された棒インプランは併用してもよい。
【0013】
部分的に被覆された棒を使用してもよい。このような構造は、さらに、本発明に係る持続放出ミニインプラントの放出特性の変更を可能にする。偏心的又は非対称の棒は、場合により部分的又は完全に被覆され、使用してもよい。
【0014】
好ましい側面において、本発明に係る被覆した棒型のミニインプラントは、医薬活性剤のおよその0次放出を提供する。
本発明に係る持続放出ミニインプラントにおいて、シリコン支持材は、シリコンベースのポリマーから形成してもよい。シリコンベースのポリマーは、任意の適切な型であってよい。生体適合性のシリコンベースのポリマーが好ましい。メチル−ビニルポリシロキサンポリマーが好ましい。ビニル置換のジメチルシロキサンポリマーが特に好ましい。低粘性材料は特に押出適用に好ましい。40デュロメーター又はより低い製剤が好ましい。
【0015】
補強充填剤、例えば、シリカ、好ましくは乾式(fumed)シリカは、シリコンベースのポリマーに含まれてもよい。商品名CS10401又はCS10701の乾式シリカを含むシリコンエラストマー及びそれらのブレンド(IMMIX Technologies LLC,Cri−Sil Divisionから利用可能)は適していることが判明している。補強充填剤は、持続放出ミニインプラントの全重量に基づいて、重量で約1.0〜33%、好ましくは10〜20%、より好ましくは重量で10〜15%の量で存在してもよい。
【0016】
シリコンベースのポリマー成分は、ミニインプラントの全重量に基づいて、重量で約15〜70%、好ましくは重量で約25%〜65%の量で存在してもよい。シリコンベースのポリマーは、液体形態又は「ゴムストック」のいずれかであり得る。持続放出ミニインプラントを形成及び被覆するために使用される処理形式によって、優先が決定される。複数の形態をブレンドすることは、所望の物理的性質を得るために典型的な手段である。
【0017】
医薬活性組成物は、上記で掲載したように、下記:
少なくとも1つの医薬活性成分;及び、場合により、
そのための担体
を含んでもよい。
【0018】
医薬として活性な成分は、水不溶性製剤、水溶性製剤、脂溶性製剤、又はそれらの混合物を含んでもよい。
医薬活性成分は、限定されないが、下記:
アセトン血症調製物、同化剤、麻酔薬、鎮痛剤、制酸剤、抗関節炎剤、抗体、鎮痙剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、抗潰瘍剤、抗ウイルス製剤、行動修正薬物、生物学的製剤、血液及び血液代用剤、気管支拡張剤及び去痰薬、癌治療及び関連製剤、心臓血管製剤、中枢神経系製剤、コクシジウム抑制薬及びコクシジオイデス属真菌薬、避妊薬、造影剤、糖尿病治療薬、利尿剤、受胎促進製剤、成長ホルモン、成長促進物質、造血因子、造血剤、止血薬、ホルモン補充治療薬、ホルモン及び類似体、免疫賦活剤、無機質、筋肉弛緩剤、天然産物、栄養補給製品及び栄養剤、肥満治療薬、点眼剤、骨粗鬆症薬物、疼痛治療剤、ペプチド及びポリペプチド、呼吸器系製剤、鎮静剤及び精神安定剤、移植物、尿酸性剤、ワクチン及びアジュバント、ビタミン
から成る群から選択される1又はそれより多くのものによって例証されてもよい。
【0019】
医薬活性成分は、水不溶性製剤、水溶性製剤、脂溶性製剤、又はそれらの混合物を含んでもよい。
本発明に係る持続放出ミニインプラントに有用な水溶性製剤は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、及び核酸のような薬物を含む。
【0020】
本発明は、極端に少量でさえ非常に活性であり、持続した長期間の投与が追及される製剤に対して特に適切である。実質的に増加した量で使用される場合、このような製剤は、長期に亘って、従来は治療不可能な疾患適用に応用されてもよい。製剤は、限定されないが、サイトカイン(例えば、インターフェロン及びインターロイキン)、造血因子(例えば、コロニー刺激因子及びエリスロポエチン(EPO))、ホルモン(例えば、成長ホルモン、成長ホルモン関連因子、カルシトニン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン関連ホルモン、及びインスリン)、増殖因子(例えば、ソマトメジン、神経成長因子)、神経栄養因子、線維芽細胞増殖因子、及び肝細胞増殖因子;細胞接着因子;免疫抑制剤;酵素(例えば、アスパラギナーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、及びプロウロキナーゼ)、血液凝固因子(例えば、血液凝固因子VIII)、骨代謝に関与するタンパク質(例えば、BMP(骨形成タンパク質))、及び抗体(免疫グロブリン(例えば、ガンマグロブリン))から成る群から選択される1又はそれより多くによって例証してもよい。
エリスロポエチン(EPO)及び免疫グロブリンが特に好ましい。
【0021】
インターフェロンは、アルファ、ベータ、ガンマ若しくは任意の他のインターフェロン又はそれらの組み合わせを含んでもよい。同様に、インターロイキンは、IL−1、IL−2、IL−3、又は任意の他のものを含んでもよく、そして、コロニー刺激因子は、マルチCSF(多能性CSF)、GM−CSF(顆粒球−マクロファージCSF)、G−CSF(顆粒球CSF)、M−CSF(マクロファージCSF)、あるいは任意の他のものを含んでもよい。
【0022】
ワクチンが特に好ましい。本発明に係る持続放出ミニインプラントに有用なワクチンは、限定されないが、下記:
アデノウイルス、炭疽菌、BCG、クラミジア、コレラ、サーコウイルス、古典的ブタコレラ、コロナウイルス、ジフテリア−破傷風(小児に対してはDT)、ジフテリア−破傷風(成人に対してはtD)、ジステンパーウイルス、DTaP、DTP、大腸菌、アイメリア(コクシドシス)、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ白血病ウイルス、足及び口疾患、ヘモフィルス属、A型肝炎、B型肝炎、B型肝炎/Hib、ヘルペスウイルス、Hib、インフルエンザ、日本脳炎、ライム疾患、麻疹、麻疹−風疹、髄膜炎、MMR、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ、パラインフルエンザウイルス、パルボウイルス、パスツレラ菌、百日咳菌、ペスチウイルス、ペスト(Plague)、肺炎球菌、ポリオ(IPV)、ポリオ(OPV)、仮性狂犬病、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、風疹(Rubella)、サルモネラ、破傷風、腸チフス、水痘、黄熱
に対するワクチンから成る群から選択される1又はそれより多くのものによって例証されてもよい。
【0023】
本発明に係る医薬活性組成物に適用することができる製剤は、さらに、水溶性抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、アルキル化剤、及び免疫抑制剤のような低分子量薬物によって例示されてもよい。これらの薬物の例には、アドリアマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、フルオロウラシル、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、ヒドロキシウレア、ネオカルジノスタチン、シゾフィラン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、カルボプラチン、ベータ−ラクタム、テトラサイクリン、アミノグリコシド、及びホスホマイシンが含まれる。
【0024】
本発明の医薬活性組成物は、疾患及び適用方法に依存して2又はそれより多くの薬物を含有してもよい。
本発明に係る持続放出ミニインプラントに利用してもよい水不溶性の医薬活性成分は、脂溶性製剤を含む。
【0025】
脂溶性製剤は、調製剤が投与されるべき動物又はヒトの体温で固体状態である調製剤の形態として、そうである限り任意の脂溶性物質であってよい。本明細書中で使用される脂溶性は、水中における物質の溶解性が低く、具体的には、Pharmacopoeia of Japan 13版(1996年)に記載されるように、下記の性質を含むことを意味する:実質的に不溶性(溶媒10000mlより多い又はそれに等しい量が溶質1g又は1mlを溶解するのに必要とされる)、溶解が非常に困難(溶媒1000mlより多い又はそれに等しく、及び10000ml未満の量が溶質1g又は1mlを溶解するのに必要とされる)、あるいは溶解が困難(溶媒100mlより多い又はそれに等しく、及び1000ml未満の量が溶質1g又は1mlを溶解するのに必要とされる)。
【0026】
脂溶性製剤の具体的な例は、限定されないが、アベルメクチン、イベルメクチン、スピラマイシン、及びセフチオフールのような抗生物質;抗菌剤(例えば、アモキシリン、エリスロマイシン、オキシテトラサイクリン、及びリノマイシン)、抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン及びフェニルブタゾン)、ホルモン(例えば、レボチロキシン)、アドレノコルチコステロイド(例えば、パルミチン酸デキサメタゾン、トリアムシノロン・アセトニド、及び酢酸ハロプレドン)、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、インドメタシン及びアスピリン)、動脈閉塞に対する治療薬(例えば、プロスタグランジンE1)、抗癌剤(例えば、アクチノマイシン及びダウノマイシン)、糖尿病に対する治療薬(例えば、アセトヘキサミド)、及び骨障害に対する治療薬(例えば、エストラジール)を含む。
【0027】
疾患又は適用方法に依存して、複数の脂溶性薬物が含有されてもよい。直接的な治療効果を有する脂溶性薬物に加えて、薬物は、生物学的活性を有する物質であってよく、それは、ワクチンに対するアジュバント、例えばサポニンを含む、生物学的活性を促進又は誘導する物質のようなものである。このような場合、製剤へのワクチンの導入は、アジュバントを含むワクチンの持続放出製剤に帰着する。
【0028】
医薬活性組成物は、持続放出ミニインプラントの全重量に基づいて、重量で約15〜85%、好ましくは重量で約15〜60%、より好ましくは重量で約30〜50%の量の医薬活性成分を含んでよい。
【0029】
上述したように、本発明に係る医薬活性組成物は、さらに、医薬活性成分に対する担体を含んでよい。
医薬担体は、長期間、組成物からの医薬活性成分の放出を可能にするために選択されてよい。
【0030】
担体は、水溶性物質を含んでよい。
水溶性物質は、薬物分散内に水の浸透を制御する役割を果たす物質である。投与されるべき動物又はヒトの体温で固体状態(製剤の形態として)である限り、水溶性物質、及び医薬として許容される水溶性物質の点において制限はない。
【0031】
1つの水溶性物質、又は2若しくはそれより多くの水溶性物質の組み合わせを使用してもよい。水溶性物質は、具体的には、合成ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール)、糖類(例えば、スクロース、マンニトール、グルコース)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、多糖(例えば、デキストラン、特に硫酸デキストラン)、アミノ酸類(例えば、グリシン及びアラニン)、無機塩類(例えば、塩化ナトリウム)、有機塩類(例えば、クエン酸ナトリウム又はグルタミン酸ナトリウム)、及びタンパク質(例えば、ゼラチン及びコラーゲン、並びにそれらの混合物)から成る群の1又はそれより多くのものから選択されてもよい。それらの糖又は塩あるいはそれらの混合物が好ましい。塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム及び硫酸デキストランの混合物が特に好ましい。
【0032】
加えて、水溶性物質が、有機溶媒及び水の両方に溶解する両親媒性物質である場合、例えば、その溶解性を変更することによって脂溶性薬物の放出を制御する効果を有する。両親媒性物質は、限定されないが、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール若しくはその誘導体、脂肪酸エステル、糖類のアルキル硫酸ナトリウム、並びに、より具体的には、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレン[196]ポリオキシプロピレン[67]グリコール、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコール、ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール、脂肪酸のスクロースエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、及びデゾキシコリン酸ナトリウム(デオキシコリン酸ナトリウム(DAC))を含む。
【0033】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(総称としてポロキシマーとも呼ばれる)、スクロース、又はスクロース及びデオキシコリン酸ナトリウム(DCA)の混合物が好ましい。
【0034】
加えて、水溶性物質は、水溶性であって、インビボで任意の活性を有する物質を含んでよく、例えば、低分子量薬物、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、又はワクチンとして使用される抗原性物質、即ち、水溶性薬物である。
【0035】
医薬担体は、持続放出ミニインプラントの全重量に基づいて、重量で0%〜約50%、好ましくは重量で約15%〜30%、より好ましくは重量で約10%〜20%を構成してよい。
【0036】
持続放出ミニインプラントは、追加の担体又は賦形剤、充填剤、潤滑剤、可塑剤、結合剤、顔料及び安定化剤を含んでよい。
適した充填剤は、タルク、二酸化チタン、スターチ、カオリン、セルロース(微結晶性又は粉末化)及びそれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0037】
持続放出ミニインプラントが、生体適合物、例えばインプラントの形態をとる場合、カルシウム充填剤、例えばリン酸カルシウムが特に好ましい。
適した結合剤は、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにそれらの混合物を含む。
【0038】
したがって、本発明の更なる態様において、持続放出ミニインプラントの製造方法が提供され、該方法は、下記:
シリコンベースのポリマー;
架橋剤;
医薬活性成分;
過酸化物又は金属触媒;及び、
低温硬化阻害剤
を提供すること、
シリコンベースのポリマーの少なくとも一部及び金属触媒を一緒に予混合し、第一部分を形成すること;及び
医薬活性剤を少なくとも部分的に湿らせ、第二部分を形成するのに十分な時間で、架橋剤、低温硬化阻害剤、残存のシリコンベースのポリマー、及び医薬活性剤を予混合し、;そして、
第一部分及び第二部分をバッチとして又は連続的に一緒に混合すること;そして、
ミニインプラントを形成するために前記成分の硬化を可能にするのに十分な相対的に短い時間、相対的に低い温度で成形又は押出器具に前記混合物を送り込むこと
を含む。
【0039】
驚くべきことに、本発明に係る方法の使用が、有意に増加した積載量で持続放出ミニインプラントの調製を可能にすることを見出した。
上述したように、シリコンベースのポリマーは、メチル−ビニルシリコンポリマーを含んでもよい。シリコンベースのポリマーは、さらに、補強充填剤、例えば、乾式シリカを含んでよい。乾式シリカは、その重量と比べて高い表面積を提供し、そのため、押出しのような高い引裂強度応用に対して好ましい。
【0040】
持続放出ミニインプラントを調製する方法は、多段階工程;例えば、予混合、混合、形成、硬化、及び場合によっては被覆である。これは、医薬活性剤及び触媒が接触に至る前に、シリコンベースのポリマーを用いて、組成物を完全に混合するのを容認にする。
【0041】
したがって、例えば、シリコン硬化の阻害により、従来使用することができなかった医薬活性剤、例えば硫黄含有化学物質は、本発明に係る方法に使用してよい。
予混合工程を利用することによって、医薬活性剤及び触媒との間の潜在的な干渉が減少し又は最小化されるかもしれない。予混合工程はまた、最終的なシリコン混合の「作業時間」に加えることなしに、医薬活性剤及び担体の分散を通してより可能となる。
【0042】
約100℃〜200℃、好ましくは約100℃〜150℃の間の温度を使用してよい。
本方法は、約200℃又はそれ以下で実行されてもよいので、この方法は、感受性、特に熱感受性の医薬活性剤を含む医薬活性剤に対する輸送システムの調製に適用してよい。硬化工程の持続時間は、使用される方法の形式に依存して、約30秒〜180分の範囲であってよい。熱感受性活性剤に関して、持続温度以下の温度で約30秒〜30分、好ましくは約30秒〜15分、より好ましくは約45秒〜5分の硬化時間を使用してよい。
【0043】
使用される触媒は、過酸化物又は金属触媒であってよい。しかしながら、例えば、触媒の汚染のために、従来は使用することができなかった医薬活性剤、例えば、硫黄含有医薬製剤は、本発明に係る方法に使用されてもよい。
【0044】
このような硬化条件は、好ましくは金属触媒、より好ましくは白金又はロジウム触媒を利用して達成される。
白金含有触媒は、医学的応用に好ましい。白金触媒が使用される場合、それは有機リガンドに付着しても又は付着しなくてもよい。好ましい触媒は、阻害剤の選択、阻害剤の濃度、架橋剤の濃度、及び所望の硬化プロフィールに依存する。
【0045】
好ましくは、白金触媒は、反応混合物の全重量に基づいて、重量で約0.05%〜0.25%の量で存在する。
相対的に高い濃度の金属触媒は、方法が実施される相対的に低い温度のため相殺するかもしれない。便宜上、金属触媒は、シリコンベースのポリマー成分の一部を含む混合物中に提供されてもよい。
【0046】
本発明に係る方法が、このように相対的に低い温度で実施されるため、そのような低い温度で硬化阻害剤として作用するであろう硬化阻害剤が要求される。このましくは、低温硬化阻害剤は、不飽和シクロシロキサン、より好ましくはテトラメチルテトラビニルシクロシロキサンを含む。
【0047】
使用される阻害剤の量は、選択される硬化温度、要求される阻害剤のより低い温度、より低い濃度に依存する。重量で約2.5〜約15%、好ましくは約5〜10%の濃度を使用してもよい。
【0048】
好ましい形態において、医薬活性成分がシリコン硬化方法を阻害する傾向にない場合、医薬活性成分の一部は、第一部分に含まれてよい。これは、活性剤の高い積載能力が達成されるべきである場合に好ましい。
【0049】
本発明の方法の好ましい態様において、医薬活性剤のための担体が含まれてよい。したがって、この方法は、さらに、下記:
反応混合物の全重量に基づいて、重量で約15%〜25%の量で医薬活性成分のための担体を提供すること;及び
第一部分において製剤としての担体を予混合すること
を含んでもよい。
【0050】
医薬担体は、好ましくは、塩化ナトリウム、マンニトール又はそれらの混合物を含んでよい。
射出成形法は、最大100%の液体シリコンベースのポリマーを利用してよい。圧縮成形又はトランスファー成形は、液体シリコン成分の重量で約0.5〜20%、好ましくは約2.5〜7.5%を利用してもよい。しかしながら、押出成形法、好ましくは同時押出成形法が好まれる。
【0051】
本発明に係る方法に利用される架橋剤は、任意の適した型であってよい。シロキサンポリマー;例えば、部分的にメチル化されたポリシロキサンポリマーが使用されてもよい。短鎖の部分的に水素化されたジメチルシロキサンポリマーが特に好ましい。
【0052】
架橋剤は、反応混合物の全重量に基づいて、重量で約5%〜25%、好ましくは重量で約10%〜15%の量で存在してよい。
上述の通り、持続放出ミニインプラントは、好ましくは、シリコン被覆を伴って提供される。したがって、本発明の好ましい側面において、この方法は、さらに、下記:
液体被覆組成物を提供すること;及び
被覆組成物を用いて器具を被覆すること
を含んでよい。
【0053】
液体被覆組成物は、液体シリコン成分、例えば、液体シリコンポリマーを含んでよい。
液体被覆組成物は、任意の標準的な技術を利用して適用されてもよい。浸漬被覆法を使用してもよく、被覆は乾燥するまで容認される。
【0054】
本発明のさらに好ましい側面において、被覆は、より強力な被覆層を提供し、そして、インプラントの寿命を延長するために修飾されてよい。したがって、この側面において、この方法は、さらに、下記:
液体シリコンベースの材料;
架橋剤;及び
金属触媒
を含む液体被覆組成物を提供すること;
該被覆組成物を用いて器具を被覆すること;そして、
被覆層を硬化するのに十分な温度及び時間で被覆された器具を加熱すること
を含んでよい。
【0055】
より好ましくは、この方法は、さらに、下記:
同時押出器具を提供すること;
液体被覆組成物を同時押出器具に送り込むこと;そして、
成分の硬化を可能にし、被覆層が持続放出ミニインプラントの周囲を同心円的に送られるように同時押出の被覆ミニインプラントを形成すること
を含んでよい。
【0056】
被覆組成物の液体シリコンベースの材料は、不飽和シリコン、例えば、シロキサンポリマーであってよい。液体シリコンベースの材料は、上述した低温硬化阻害材料と同一か又は類似してよい。テトラメチルテトラビニルシクロシロキサンを使用してよい。
【0057】
液体シリコンベースの材料は、被覆組成物の全重量に基づいて、重量で約35%〜95%、好ましくは重量で約40%〜80%、より好ましくは重量で約50〜70%の量で被覆組成物中に存在してよい。
【0058】
被覆組成物の架橋剤は、短鎖の液体シリコンポリマーであってよい。架橋剤は、上述した架橋剤と同一か又は類似してよい。短鎖の水素化されたジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0059】
金属触媒は、上述したように、白金又はロジウム触媒であってよい。
被覆方法は、バッチ法を利用して実行してもよく、又は、好ましくは、連続的に器具の形成を用いて実行してもよい。例えば、被覆方法は、被覆層が持続放出ミニインプラントの周囲に同心円的に送られてもよいように、同時押出器具を利用して実行してよい。したがって、被覆方法は、上述したものと類似した温度及び時間で実行されてよい。
【0060】
架橋剤は、被覆組成物の全重量に基づいて、重量で約2.5%〜25%、好ましくは重量で約5%〜15%の量で被覆組成物中に存在してよい。
本発明の持続放出ミニインプラントは、錠剤、又は、例えば、円形シリンダー、プリズム、及び楕円シリンダーから選択される棒状形であってよい。この装置が注射形式の器具を用いて投与されるであろう場合、他の形をした物を使用してもよいが、注射器本体及び注射針は、典型的には、円形のシリンダー状の形を有するため、円形シリンダーが好ましい。例えば、イヌのマイクロチップが、注射形式の器具を用いて投与されてよい。
【0061】
本発明の医薬製剤の大きさは、皮下投与の場合、相対的に小さくてよい。例えば、注射形式の器具を用いると、形状は円形のシリンダー状であってよく、そして、この態様における断面の直径は、好ましくは、約0.5〜5.0mm、より好ましくは0.5〜4mmであり、並びに、軸の長さは、好ましくは約1〜40mm、より好ましくは5〜35mm、最も好ましくは7.5〜15mmである。
【0062】
外層の厚さは、材料特性及び所望の放出速度に応じて選択されるべきである。外層の厚さは、好ましくは0.02mm〜2mm、より好ましくは0.10mm〜1mm、そして、さらにより好ましくは0.15〜0.2mmである。
【0063】
医薬製剤の軸の長さと内層の断面の直径の比は、いずれの場合でも、1又はそれより大きくてよく、より好ましくは2又はそれより大きく、そして、最も好ましくは5又はそれより大きくてよい。
【0064】
二重層構造が使用される場合、製剤を含有する内層及び薬物不浸透性の外層は、別個に又は同時に加工されてよい。シリコンは、水で膨張し、気体透過性であることで知られる。
一端で開口部を有する医薬製剤は、外層材料を溶解する溶液中に医薬製剤の一端を浸し、乾燥させることによって、又は、医薬製剤の一端を外層材料から作製されたキャップで覆うことによって加工されてよい。加えて、この加工は、別個に製造される、一端で閉口部を覆う外層への内層の挿入、またこの覆いに内層の形成を含んでもよい。
【0065】
本発明の更なる側面において、治療的又は予防的処置を必要とする動物(ヒトを含む)における疾患状態のこのような処置の方法が提供され、この方法は、下記:
シリコン支持材;及び
シリコン支持材内又は支持材上に担持した医薬活性組成物
を含む持続放出ミニインプラントを動物に投与することを含み、この医薬活性剤が、
下記:
少なくとも1つの医薬活性成分;及び、場合により
そのための担体
を含み、このミニインプラントは、選択された適応症を治療するために医薬活性剤の所定の血中閾値を提供する。
【0066】
さらに好ましい形態において、本発明のこの側面に係る方法は、医薬活性剤の要求される放出プロフィールによって従来処置できなかった疾患及び関連する適応症の長期に亘る治療を可能にする。
【0067】
この形態において、持続放出ミニインプラントは、シリコン支持材のような、上述したような生体適合物、例えば、医療装置又はインプラントの形態をとってよい。
代替の態様において、造血因子(例えば、EPO)及び/又は抗体/免疫グロブリンは、ヒトを含む動物に投与してもよい。要求される血中濃度は、長期間維持されてよい。
【0068】
したがって、一態様において、本発明は、治療的又は予防的処置を必要とする動物(ヒトを含む)における赤血球産生の不制御のこのような処置のための方法を提供し、該方法は、下記:
シリコン支持材;及び
シリコン支持材内又は支持材上に担持した医薬活性組成物;
を含む持続放出ミニインプラントを動物に投与することを含み、この医薬活性組成物は、下記:
エリスロポエチン(EPO)成分;及び、場合により、
そのための担体
を含み、このミニインプラントは、循環している赤血球レベルにおける持続した増加を促進するのに十分なEPOの持続放出を提供する。
【0069】
エリスロポエチン治療は、癌の化学療法と関連した貧血、腎不全と関連した貧血、間接リウマチ、HIV感染、潰瘍性大腸炎、及び鎌状赤血球貧血の治療に支持されてよい。
投与法は、皮下又は筋内注射、鼻腔内挿入又は留置直腸内挿入、例えば、坐剤の挿入、又は経口投与の利用を含む。
【0070】
治療されるべき動物は、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ、ラクダ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、有袋動物、バッファロー、ヤク、霊長類、ヒト、ニワトリを含む鳥類、ガチョウ及びシチメンチョウ、ラット及びマウスを含むげっ歯類、魚類、爬虫類等から成る群から選択されてもよい。
【0071】
本発明に係る方法は、より大きな動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ及びヒトに特に適用可能であり、高い投与量レベルは、選択される疾患の適応症の成功的治療のために必要条件の医薬活性剤の血中閾値を達成するために要求される。
【0072】
本発明は、現在、添付の図面及び実施例に照らしてより十分に記載されるであろう。しかしながら、下記の記載は、例証するだけであることが理解されるべきであり、上述の発明の一般性に関する限定としていかなる方法においても採用されるべきでない。
【実施例】
【0073】
実施例1
ヒト免疫グロブリンの放出制御
ハイブリッドの1次/0次放出
1次/0次の組み合わせとしての放出制御のためのヒト免疫グロブリン(ガンマグロブリン)の製剤化
インプラントは、マトリックスとして製剤化し、直径3mm及び長さ10mmとして調製した。ヒトガンマグロブリンは、表1に示される最終組成物の30〜50%の種々の製剤に導入した。
【0074】
表1
ヒトガンマグロブリンマトリックス(グラム)。ミニ押出機はマトリックス製剤を実行する。
【0075】
【表1】

【0076】
M=マトリックス形式のインプラント
ヒトガンマグロブリンはSigma−Aldrich(St Louis USA)(カタログNo.G4388、純度99%(電気泳動による))より購入した。
MED4104シリコンポリマー(ゴム)
CSM4050−1シリコンエラストマー(ベース)
PLY−7511ジメチルシリコンポリマー(流体)
CAT−55白金触媒
XL112架橋剤
【0077】
実験方法
インプラントは、無菌法を用いてマルチウェル・ディッシュに設置した。各ウェルは、2mlのpH7.2のリン酸緩衝塩類溶液(PBS、pH7.2)を含有した。単一のインプラントは、各ウェルに設置され、フタを戻した。次に、マルチウェル・ディッシュを37℃のインキュベータ内で維持した。これらの条件は、ヒト患者内でのインプラントのインビボでの実行を真似るために使用された。PBS、pH7.2を毎日AM9時に置換し、ヒトIgGの放出をPierce(Rockford,USA)から購入したBCAタンパク質アッセイ試薬キット(No.23227)を用いて監視した。全てのインプラントから放出したヒトIgGは、製造からインプラント、及び37℃での長期のインキュベーションで無傷であり、電気泳動及び標準的なゲルクロマトグラフィー技術によって160,000ダルトンの分子量を有することを確かめた。
【0078】
結果
図1に示すように、調製した製剤は、最大55日(この時点で実験を停止した)まで37℃でヒトガンマグロブリンの放出制御を首尾よく可能にした。そのままであり無傷のヒトガンマグロブリンが、インプラントがIgGを使い果たすまで継続したことは非常に可能性が高い。
【0079】
結論
1.初期の1次放出、その後の持続した0次放出を達成するための「マトリックス」形式の単一なインプラントを使用することは可能である。この放出パターンの最も妥当な説明は、初期の「爆発的な」放出は、ヒト患者における免疫グロブリンの高い初期の循環レベルを達成する急速に放出されるインプラントの表面でのヒトガンマグロブリンの結果であり、その後、0次方法でヒトガンマグロブリンの放出制御されることであり、4日後のシリコンマトリックスからの放出の異なる機構を反映している。
【0080】
2.55日間37℃で保持されたヒトガンマグロブリンを用いたpH7.2での生理食塩水におけるインビトロの結果は、治療的ヒトモノクローナル抗体が、首尾よく装置内に調合され、長期間、抗体力価のいずれの低下もなくそれらの抗体特性を維持することを意味する。
【0081】
3.ハイブリッドの1次/0次マトリックスから放出されたヒトモノクローナル抗体は、治療的モノクローナル抗体の放出が、初めの数日における急速な治療的処置、その後、はるかにより効果的であり、患者への1回の移植だけを要求するであろうヒト患者における抗体レベルの長期間の効果的な維持の達成を可能にするであろう。
【0082】
実施例2
ヒト免疫グロブリンの放出制御
0次放出
0次放出制御のためのヒト免疫グロブリン(ガンマグロブリン)の製剤化
インプラントを被覆された棒として製剤化し、直径3mm及び長さ10mmとして調製した。ヒトガンマグロブリンは、表2に示すように30〜50%の最終組成物から種々の製剤に導入した。
【0083】
【表2】

【0084】
実験方法
ハイブリッドの1次/0次製剤について概要した実験方法及び試薬は、ヒトガンマグロブリン製剤の0次放出を試験するために使用した。
【0085】
結果
図2で観察することができるように、良好に調製した製剤は、最大90日(この時点で実験を停止した)までの期間、37℃でヒトガンマグロブリンの放出制御を可能にした。例証の目的のために、ハイブリッド製剤(14M)は、被覆された棒状インプラントを用いて達成された1次放出と0次放出との間で対照を示した。ヒトガンマグロブリンの0次放出制御は、インプラントがヒトガンマグロブリンを枯渇するまで継続したことが予測される。
【0086】
結論
1.ヒトガンマグロブリンの長期間の0次放出を達成するために「被覆した棒」形式の単一のインプラントを使用することが可能である。
【0087】
2.37℃90日間保持したヒトガンマグロブリンを用いたpH7.2の生理食塩水におけるインビトロの結果は、治療用ヒトモノクローナル抗体がインプラント中に調合され得て、それらの安定性が少なくとも3ヶ月間、ヒト患者において抗体の有効性の維持を達成するために37℃で90日間維持したことを意味する。ヒトガンマグロブリンの半減期が約20日なので、マトリックス及び被覆した棒状型を用いたヒトモノクローナル抗体の放出制御は、記載した製剤を用いて6〜12ヶ月まで延長することができた。
3.ヒトガンマグロブリン/モノクローナル抗体のPEG化はまた、ヒト免疫グロブリンの長期放出のためのインプラントとともに使用することができた。
【0088】
実施例3
組換えヒトEPOインプラント製剤化
組換えヒトEPOは、各々、100万のrhEPOユニットの総量について40,000ユニットを含有する、各1mlのProcritの1回投与の防腐剤不含バイアルの24ボトルとしてOrtho Biotechから購入した。
【0089】
25ボトルの内容物を凍結乾燥させ、EPOと呼ばれる白色粉末の458mgを得た。458mgの白色粉末の実際の組成物は、製造物挿入に従って、下記:
・62.5mgのヒトアルブミン
・144.5mgのNaCl
・17.4mgのクエン酸ナトリウム
・1.5mgのクエン酸
・232.1mgのrhEPO
を含有した。
【0090】
被覆した棒状シリコンインプラントとしてのrhEPOの製剤化
rhEPOは、実際30%のrhEPOを被覆した棒状インプラントを達成するために製剤化された。
【0091】
下記の成分:
・EPO白色粉末 0.456グラム
・MED4104 0.276グラム
・PLY−7511 0.0065グラム
・XL112 0.0135グラム
・CAT−55 0.006グラム
を合わせ、被覆した棒状インプラントを製造した。
【0092】
MED4104 シリコンポリマー(ゴム)
CSM4050−1 シリコンエラストマー(ベース)
PLY−7511 ジメチルシリコンポリマー(流体)
CAT−55 白金触媒
XL112 架橋剤
【0093】
実験プロトコール
出資者:Smart Drug Systmes Inc
研究者:
CPC Veterinary Consulting Pty Ltd
3/206 Tucker Rd
Bentleigh Vic Australia,3206
Craing Cunningham BVSc PhD
研究場所:
ACA Breeders Kennels
RMB 1492
South Gippsland Highway
Longford Vic Australia
【0094】
目的:
循環している赤血球(血中血球容積−PCV)レベルにおける持続した増加を促進するために、ヒト組換えエリスロポエチン(rhEPO)を含有する単一のシリコンインプラントを用いる実行可能性を決定すること。
【0095】
インプラント:
各イヌに単一のシリコンインプラント1.5mm×10mmを与えた。
イヌ:
4匹の雌性ベーグル−1匹は対照であり、3匹は単一のシリコンインプラントを移植した。
【0096】
投与量:
イヌにおける慣例的な使用のために、6週間(初めの週は3回の注射、次の5週間は週毎に2回の注射)、rhEPOの等量を含有する単一のインプラントをイヌに移植した。
【0097】
手順:
イヌ(3)は、EPOを含有するシリコンインプラントで皮下に移植された。血液サンプル(EDTA−白血球)は、基底のPCV測定のために移植する前に回収された。PCVは、Moorabbin Veterinary HospitalでVetTestのヘモグラム機器を用いて測定した。イヌは、4週間、週毎に血液を採取された。
【0098】
結果
【表3】

【0099】
結論
1.rhEPOの放出制御は、表3に明らかに示されるように、3週間良好に達成された。
2.3週間のイヌにおける血中血球容積の良好な増加は、シリコンインプラントの製剤化及び製造がrhEPOの生物学的効果に影響を与えなかったことを示す。
【0100】
3.rhEPO生産者によって使用された高塩濃度の結果として、rhEPOの放出速度があまりにも速かったようである。塩濃度を下げることは、rhEPOに対する有意により長期の0次放出プロフィールへと導くであろう。
4.rhEPOの半減期を長期化するPEG化を含む他の技術はまた、シリコンインプラントを用いる有効性を増加するように導くであろう。
【0101】
本明細書に開示され及び定義された発明は、文面又は図面に言及される又はそれらから明らかとされる2又はそれより多くの個々の特徴の代替の組み合わせ全てに拡張することが理解されるであろう。これらの異なった組み合わせの全ては、本発明の種々の代替の側面を構成する。
【0102】
用語「含む(comprise)」(又はその文法的な変形体)は、本明細書中で使用されるとき、用語「含む(include)」に均等であり、相互に交換できるように使用してもよく、そして、他の要素又は特徴の存在を排除するように解釈するべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のインプラントとして使用されるための、被覆された棒構造を有する持続放出ミニインプラントを製造する方法であって、下記:
メチル−ビニルシロキサンポリマーを含むシリコンベースのポリマー;
部分的に水素化されたポリシロキサンポリマーを含む架橋剤;
医薬活性成分;
反応混合物の全重量に基づいて、重量で約0.05%〜0.25%の量で存在する白金触媒;及び
テトラメチル・テトラ−ビニルシクロシロキサンを含む低温硬化阻害剤
を提供すること;
シリコンベースのポリマーの少なくとも一部、及び金属触媒を一緒に予混合し、第一部分を形成すること;
医薬活性剤を少なくとも部分的に湿らせ、第二部分を形成するのに十分な時間で、架橋剤、低温硬化阻害剤、いずれかの残存のシリコンベースのポリマー、及び医薬活性剤を予混合すること;
第一部分及び第二部分をバッチとして又は連続的に一緒に混合すること;そして、
ミニインプラントを形成するために前記成分の硬化を可能にするのに十分な相対的に短い時間、100℃〜200℃の相対的に低い温度で成形又は押出器具に前記混合物を送り込むこと
を含む、前記方法。
【請求項2】
シリコンベースのポリマーが、補強充填剤として乾式(fumed)シリカをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、下記:
液体シリコンベースの材料;
架橋剤;及び
金属触媒
を含む液体被覆組成物を提供すること;
被覆組成物で器具を被覆すること;そして、
被覆層を硬化するのに十分な温度及び時間で被覆した器具を加熱すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
単一のインプラントとして使用されるための、被覆された棒構造を有する持続放出ミニインプラントであって、該持続放出ミニインプラントは、
メチル−ビニルシロキサンポリマーを含むシリコンベースのポリマーから形成されたシリコン支持棒;
シリコン支持棒内又は支持棒上に担持された医薬活性組成物;そして
該持続放出ミニインプラントの周囲を同心円上に供給される被覆層
を含み、
ここで、該医薬活性組成物は、
ワクチンを除く、少なくとも1つの医薬活性成分;及び、場合により、
そのための担体
を含み、該ミニインプラントが、選択された適応症を治療するために医薬活性剤の所定の血中閾値を提供する、前記ミニインプラント。
【請求項5】
シリコンベースのポリマーが、補強充填剤として乾式(fumed)シリカを含む、請求項4に記載の持続放出ミニインプラント。
【請求項6】
医薬活性剤のおよその0次放出を提供する、請求項4に記載の持続放出ミニインプラント。
【請求項7】
医薬活性組成物が、アセトン血症調製物、同化剤、麻酔薬、鎮痛剤、制酸剤、抗関節炎剤、抗体、鎮痙剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、抗潰瘍剤、抗ウイルス製剤、行動修正薬物、生物学的製剤、血液及び血液代用剤、気管支拡張剤及び去痰薬、癌治療及び関連製剤、心臓血管製剤、中枢神経系製剤、コクシジウム抑制薬及びコクシジオイデス属真菌薬、避妊薬、造影剤、糖尿病治療薬、利尿剤、受胎促進製剤、成長ホルモン、成長促進物質、造血因子、造血剤、止血薬、ホルモン補充治療薬、ホルモン及び類似体、免疫賦活剤、無機質、筋肉弛緩剤、天然産物、栄養補給製品及び栄養剤、肥満治療薬、点眼剤、骨粗鬆症薬物、疼痛治療剤、ペプチド及びポリペプチド、呼吸器系製剤、鎮静剤及び精神安定剤、移植物、尿酸性剤、ワクチン及びアジュバント、並びにビタミンから成る群の1又はそれより多くから選択される医薬活性成分を含む、請求項4に記載の持続放出ミニインプラント。
【請求項8】
医薬活性剤が、エリスロポエチン又はヒト免疫グロブリンを含む、請求項7に記載の持続放出ミニインプラント。
【請求項9】
医薬活性剤が、さらに、アセトン血症調製物、同化剤、麻酔薬、鎮痛剤、制酸剤、抗関節炎剤、抗体、鎮痙剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、抗潰瘍剤、抗ウイルス製剤、行動修正薬物、生物学的製剤、血液及び血液代用剤、気管支拡張剤及び去痰薬、癌治療及び関連製剤、心臓血管製剤、中枢神経系製剤、コクシジウム抑制薬及びコクシジオイデス属真菌薬、避妊薬、造影剤、糖尿病治療薬、利尿剤、受胎促進製剤、造血剤、止血薬、ホルモン補充治療薬、ホルモン及び類似体、免疫賦活剤、無機質、筋肉弛緩剤、天然産物、栄養補給製品及び栄養剤、肥満治療薬、点眼剤、骨粗鬆症薬物、疼痛治療剤、ペプチド及びポリペプチド、呼吸器系製剤、鎮静剤及び精神安定剤、移植物、尿酸性剤、ワクチン及びアジュバント、並びにビタミンから成る群から選択される少なくとも1つの医薬活性成分を含む、請求項8に記載の持続放出ミニインプラント。
【請求項10】
治療上又は予防上の処置を必要とするヒト以外の動物における疾患状態のこのような処置のための方法であって、該方法は、単一のインプラントとして使用されるための、被覆された棒構造を有する持続放出ミニインプラントを前記動物に投与することを含み、ここで、該持続放出ミニインプラントは、
メチル−ビニルシロキサンポリマーを含むシリコンベースのポリマーから形成されたシリコン支持棒;
シリコン支持棒内又は支持棒上に担持された医薬活性組成物;そして
該持続放出ミニインプラントの周囲を同心円上に供給される被覆層
を含み、
ここで、該医薬活性組成物は、
ワクチンを除く、少なくとも1つの医薬活性成分;及び、場合により、
そのための担体
を含み、該ミニインプラントが、選択された適応症を治療するために医薬活性剤の所定の血中閾値を提供するのに十分な積載量を担持する、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49705(P2013−49705A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−248714(P2012−248714)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2007−531543(P2007−531543)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(508366592)バーバック コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】