説明

捕集器具及び捕集器具の使用方法

【課題】被検液に含まれて分析に用いられる分析対象物を効率よく捕集する。
【解決手段】捕集器具1の流路11の一端側に設けられた供給部12に供給された被検液を他端側の開口13から吸引することで、被検液が容器20における本体部10の流路11内を流れて、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33を通過し、吸収体34に到達する。このとき、プレフィルタ部材32によって被検液に含まれる夾雑物を取り除くことができ、プレフィルタ部材32により孔径が大きく分析対象物よりも小さい孔径を有するフィルタ部材33により分析対象物を好適に捕集することができる。そして、フィルタ部材33よりも開口側に吸収体34が設けられていることで、分析対象物が捕集された後の被検液を好適に吸収することができる。したがって、被検液が少量であって分析対象物の濃度が低い場合であっても、被検液から分析対象物を効率よく捕集できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕集器具及びこの捕集器具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検液の特性を評価する方法として、被検液と検査試薬とを接触させることにより反応させ、その反応結果から特性を評価する方法が従来から用いられている。被検液が例えば人体の唾液である場合、最も簡易な方法として検査試薬を付着させた試験紙を口腔内に入れて被検液と検査試薬とを接触させることが考えられる。しかしながら、この方法では、口腔内で試験紙から検査試薬が溶け出すことにより検査試薬が体内に取り込まれる恐れがあることから、より簡易且つ安全に口腔内の唾液の特性を評価するための測定器具についての検討が種々行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−354311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、唾液に含まれて分析対象となる微生物の数や種類を測定することで口腔内の健康状態を評価する場合、口腔内から採取できる唾液の量は微量であることから、その唾液に含まれる微生物の数も非常に少なく、微生物の数や種類を短時間で正確に評価できない可能性がある。また、被検液が唾液ではなく、分析対象物が微生物ではない場合にも、分析に用いることができる被検液の量が少ない場合や被検液に含まれる分析対象物の濃度が低い場合には、被検液に含まれて分析に用いることができる分析対象物の量が少なく、高精度で分析を行うことが困難となる。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、被検液に含まれて分析に用いられる分析対象物を効率よく捕集することができる捕集器具及びこの捕集器具の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る捕集器具は、容器と、容器の内部に設けられた流路と、流路の一端に設けられ、流路に対して被検液を供給する供給部と、流路の他端に設けられた開口と、流路に設けられた第1のフィルタ部材と、流路の第1のフィルタ部材よりも開口側に設けられ、その孔径が第1のフィルタ部材よりも小さい第2のフィルタ部材と、流路の第2のフィルタ部材よりも開口側に設けられた吸収体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る捕集器具の使用方法は、容器と、容器の内部に設けられた流路と、流路の一端に設けられ、流路に対して被検液を供給する供給部と、流路の他端に設けられた開口と、流路に設けられた第1のフィルタ部材と、流路の第1のフィルタ部材よりも開口側に設けられ、その孔径が第1のフィルタ部材よりも小さい第2のフィルタ部材と、流路の第2のフィルタ部材よりも開口側に設けられた吸収体と、を備える捕集器具の使用方法であって、供給部内に被検液を投入し、開口から被検液を吸引することで被検液を流路内に導入して移動させることを特徴とする。
【0008】
上記捕集器具及びこの捕集器具の使用方法によれば、流路の一端側に設けられた供給部に供給された被検液を他端側の開口から吸引することで、被検液が容器の流路内を流れて、第1のフィルタ部材、第2のフィルタ部材を通過し、吸収体に到達する。このとき、第1のフィルタ部材は例えば被検液に含まれる夾雑物を取り除くためのプレフィルタ部材として機能し、第1のフィルタ部材の孔径よりも孔径が小さい第2のフィルタ部材が分析対象物を捕集するためのフィルタ部材として機能する。そして、第2のフィルタ部材よりも開口側に吸収体が設けられていることで、分析対象物が捕集された後の被検液を好適に捕集することができる。したがって、被検液が少量であって分析対象物の濃度が低い場合であっても、第1のフィルタ部材よりも孔径の小さな第2のフィルタ部材によって、第1のフィルタ部材を通過した被検液から分析対象物を効率よく捕集することができる。また、被検液を吸引することで被検液を流路内に導入することから、被検液が供給部や流路に滞留することなく、流路内を好適に移動し、分析対象物が第2のフィルタ部材において好適に捕集される。そして、このように分析対象物を効率よく捕集した後にこの分析対象物に係る分析を行うことができるため、高い精度で分析をすることが可能となる。
【0009】
ここで、第2のフィルタ部材には、特定の分析対象物と特異的に結合可能な分子認識素子が固定されている態様としてもよい。また、第2のフィルタ部材よりも供給部側に、特定の分析対象物と特異的に結合可能であり且つ標識された標識済分子認識素子を備える態様としてもよい。
【0010】
このように、特定の分析対象物と特異的に結合可能な分子認識素子が第2のフィルタ部材に固定されている態様とすることで、第2のフィルタ部材においてこの分子認識素子と結合する分析対象物のみを効率的に捕集することができる。また、特定の分析対象物と結合可能であり、且つ、標識された標識済分子認識素子を第2のフィルタ部材よりも前段に備え、この標識済分子認識素子と結合した分析対象物を第2のフィルタ部材で回収する態様とした場合には、分析対象物の量に応じてこの分析対象物と結合する標識済分子認識素子の量が変化し、標識済分子認識素子が結合した分析対象物が第2のフィルタ部材によって捕集されることから、第2のフィルタ部材によって捕集された分析対象物の分析が容易となる。
【0011】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的に、標識済分子認識素子は第2のフィルタ部材よりも供給部側の流路の内面に付着されている態様が挙げられる。
【0012】
また、標識済分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物は、分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物と同じである態様とすることが好ましい。
【0013】
このように、標識済分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物が、分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物と同じである態様とすることで、分析対象物の量に応じてこの分析対象物と結合する標識済分子認識素子の量が変化し、標識済分子認識素子が結合した分析対象物が第2のフィルタ部材によって捕集される。したがって、第2のフィルタ部材において分析対象物の捕集が効果的に行われると共に、この分析対象物のみを対象とした分析を行うために必要な前処理を必要としないため、操作性が高く且つ迅速に分析を行うことができる。
【0014】
また、上記の捕集器具は、供給部に収容され、被検液を吸収可能な吸収体をさらに備える態様とすることもできる。
【0015】
上記の構成によれば、被検液を吸収可能であり供給部に収容される吸収体を用いて被検液を容器内部に供給することが可能となるため、取扱い性が向上し、捕集器具への被検液の供給が容易になる。また、吸収体が吸収可能な被検液の量には上限があることを利用し、一定量の被検液を用いた分析対象物の捕集も可能となることから、この分析対象物についてより高精度の分析をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被検液に含まれて分析に用いられる分析対象物を効率よく捕集することができる捕集器具及びこの捕集器具の使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る捕集器具の斜視図である。
【図2】図1の捕集器具の上面図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】捕集器具の使用方法について説明する図である。
【図5】被検液分析装置の外観を説明する図である。
【図6】被検液分析装置の内部構成について説明する図である。
【図7】第2実施形態に係る捕集器具の上面図である。
【図8】捕集器具(変形例)の横断面図であり、図2のIII−III矢視図に対応する図である。
【図9】捕集器具(変形例)の使用方法について説明する図である。
【図10】被検液分析装置(変形例)の外観を説明する図である。
【図11】被検液分析装置(変形例)の内部構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る捕集器具1の斜視図、図2は、図1の捕集器具1の上面図、図3は、図2のIII−III矢視図である。まず、これらの図面を用いて、本実施形態に係る捕集器具1について説明する。
【0020】
本実施形態に係る捕集器具1は、図1〜4に示すように、矩形のシート状であって、流路11と、流路11の一端側に設けられた供給部12と、流路11の他端側に設けられた開口13と、流路11、供給部12及び開口13の周囲を形成する縁部14と、を有する本体部10と、本体部10の流路11、供給部12、開口13及び縁部14を覆う蓋部15と、からなる容器20と、容器20の供給部12内に収容された前段吸収体31、プレフィルタ部材(第1のフィルタ部材)32、フィルタ部材(第2のフィルタ部材)33、及び吸収体34と、を備える。流路11は、捕集器具1の長手方向に沿って延び、プレフィルタ部材(第1のフィルタ部材)32、フィルタ部材(第2のフィルタ部材)33、及び吸収体34は、流路11内において供給部12から開口13に向かってこの順序で配置されている。なお、保存性等の観点から、捕集器具1の開口13には逆支弁35が設けられていると共に、使用前はシール等により閉じられていて使用時に開封される態様とすることもできる。
【0021】
本実施形態に係る捕集器具1は、分析対象物が含まれる被検液を付着させた前段吸収体31を供給部12に収容し、開口13側から吸引することで前段吸収体31に付着した被検液を前段吸収体31から分離させて流路11を移動させ、プレフィルタ部材32及びフィルタ部材33をこの順に通過させて、フィルタ部材33を通過した被検液を吸収体34に吸収させる。ここで、被検液に含まれる分析対象物をフィルタ部材33で捕集し、この分析対象物が保持されたフィルタ部材33に対して後述の被検液分析装置を用いて測定光を照射することで、分析対象物の数の測定等の分析を行う。この捕集器具1を用いて分析を行う被検液としては、臨床サンプル、唾液、血液、尿、便、鼻孔・鼻腔・咽頭・鼻咽頭由来の鼻汁液や鼻汁吸引液、痰或、脳髄液、尿道−性器スワブ、咽喉スワブ等の各種分泌液や、組織抽出物、細胞抽出物、微生物培養液、環境サンプル等が挙げられる。また、被検液が、例えば唾液である場合には、口腔内の健康状態を評価するための分析対象物としては、虫歯原因菌であるストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)、ストレプトコッカスソブリヌス菌(Ss菌)及びラクトバチルスアシドフィリウス菌(La菌)等が挙げられる。また、分析対象物は微生物に限られず、被検液に含まれる特定の種類のタンパク質、抗体、抗原、ホルモン、ペプチド、糖タンパク質、核酸、糖類、ビタミン、天然化合物、合成化合物、細胞、細胞組織、ウィルス、色素、蛍光分子、金属、金属イオン等が挙げられる。なお、以下の実施形態では、被検液が唾液であって、分析対象物が特定の微生物である場合を中心に説明する。
【0022】
本実施形態に係る捕集器具1は、取扱い性、少量の被検液であっても分析できること、精度よく分析することなどを考慮して矩形のシート状とされている。また、捕集器具1の大きさは特に限定されないが、取扱い性の面から、例えば、厚み:0.05mm〜5.0mm、長辺長さ:5mm〜150mm、短辺長さ:3mm〜100mmとすることが好ましい。
【0023】
次に、上記の構成を有する捕集器具1に含まれる各部位について説明する。
【0024】
本体部10は矩形板状で光透過性を有する部材からなり、流路11と、流路11の端部に設けられた供給部12及び開口13と、流路11、供給部12及び開口13の周囲を形成する縁部14と、を有する。この本体部10としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ナイロン(登録商標)などのラミネートフィルムから形成されるものや、ガラスが挙げられる。
【0025】
上記の本体部10では、長手方向に延びる流路11に対して、縁部14はコの字状に設けられている。そして、流路11のうちの一端側が外部と接続する溝となっていて、そして、この溝の上面が蓋部15により覆われることで、捕集器具1の開口13が形成される。この開口13には、逆支弁35が取り付けられる。逆支弁35は、流路11内の被検液等の液体が開口13から外部に漏れ出すことを防ぐための部材である。なお、縁部14の表面には接着層17が設けられている。この接着層17は、本体部10に対して蓋部15を取り付けた際に本体部10と蓋部15とが接する領域に設けられる。
【0026】
なお、上記の本体部10は複数の材料から形成されていてもよく、例えば、流路11及び供給部12の底面を形成する平板状の部材と、平板状の部材の上に積層されて、流路11の側壁を形成すると共に縁部14として機能する枠材とを組み合わせることで本体部10が構成されていてもよい。
【0027】
蓋部15は、本体部10の流路11、供給部12、開口13及び縁部14を覆う部材であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ナイロン(登録商標)等から形成され、光透過性を有し且つ柔軟性のあるラミネートフィルムであることが好ましい。この蓋部15は、接着層17を介して本体部10の縁部14と接着される。すなわち、本体部10の縁部14の表面に設けられる接着層17は、縁部14と蓋部15とを接着可能な材料からなることが好ましく、縁部14及び蓋部15を構成する材料に基づいて適宜選択することができる。接着層17の選択例としては、例えば、縁部14がポリエチレンからなり、蓋部15がポリエチレンからなる場合には、接着層17としてはSBR(Styrene-Butadiene Rubber)系接着剤が好適に用いられる。
【0028】
また、蓋部15には、本体部10の供給部12と流路11との境界に相当する位置であって、流路11と交差する方向に折り曲げ線Lが設けられていてもよい。この折り曲げ線Lは蓋部15のうち供給部12に対応する領域のみを折り曲げることを容易にするために設けられる。
【0029】
前段吸収体31は、被検液を吸収した状態で捕集器具1の供給部12に収容することで、被検液を流路11の内部に導入するための部材である。したがって、前段吸収体31としては、被検液を効率的に吸収することが可能な材料からなるものが好ましく、ろ紙、不織布、高吸収性ポリマー等が好適に使用できる。また、ガラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、綿、麻、コットン、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ロックウール、ポリアミド、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、レーヨン、ポリエステル、ナイロン(登録商標)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、高吸収性ケルセチン配糖体、及びポリオレフィン等からなる多孔メッシュ等を前段吸収体31として用いることができる。
【0030】
流路11には、供給部12から開口13へ向けて、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33、及び吸収体34がこの順となるように互いに離間して配置されている。
【0031】
プレフィルタ部材32は、被検液に含まれる夾雑物を取り除くために、供給部12とフィルタ部材33との間に設けられる。プレフィルタ部材32を構成する材料としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、綿、麻、コットンニトロセルロース、セルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリカーボネート等からなる多孔メッシュ等が挙げられる。このプレフィルタ部材32の孔径は、分析対象物の大きさに応じて適宜選択することができるが、分析対象物よりもその孔径が大きく、例えば分析対象物がストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)等の虫歯原因菌である場合には、10〜200μm程度のものが好ましい。孔径が10μmよりも小さい場合には、分析対象物がプレフィルタ部材32によって捕捉されてしまう可能性があり、孔径が200μmよりも大きい場合には、被検液に含まれる夾雑物を好適に除去できない可能性がある。
【0032】
フィルタ部材33は、分析対象物を濃縮して捕捉するために設けられる。このフィルタ部材33には分析対象物を捕捉するための分子認識素子が固定されていて、標識済分子認識素子が結合した分析対象物が、フィルタ部材33に固定された分子認識素子と結合することで、フィルタ部材33において分析対象物を捕捉することができる。フィルタ部材33を構成する材料としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、綿、麻、コットンニトロセルロース、セルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリカーボネート等が挙げられる。このフィルタ部材33の孔径は、分析対象物の大きさに応じて適宜選択することができるが、プレフィルタ部材32の孔径よりも小さくされる。また、フィルタ部材33の孔径は被検液に含まれる分析対象物よりも小さく、例えば分析対象物がストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)等の虫歯原因菌を始めとする微生物である場合には、孔径が0.2〜1μm程度のフィルタ部材33を用いることが好ましい。孔径が0.2μmよりも小さい場合には、分析対象物の微生物(虫歯原因菌)とは異なる物質がフィルタ部材33によって捕捉されてしまう可能性があり、孔径が1μmよりも大きい場合には、分析対象物の微生物を好適に捕捉できない可能性がある。また、フィルタ部材33に固定される分子認識素子としては、抗原、抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、核酸配列断片、エフェクター分子、レセプター分子、酵素とそのインヒビター、補酵素、アビジン、ビオチン、糖鎖化合物、レクチン、アプタマー(DNAアプタマー、RNAアプタマー、ペプチドアプタマー等)、分子鋳型等が挙げられ、分析対象物に応じて適宜選択される。
【0033】
ここで、本体部10の流路11のうちプレフィルタ部材32とフィルタ部材33との間の領域11Aには標識済分子認識素子が付着されている。この標識済分子認識素子とは、本実施形態の捕集器具1による分析の対象となる特定の分析対象物のみに特異的に結合可能な分子認識素子を標識物質により標識したものである。具体的には、分子認識素子としては、抗原、抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、核酸配列断片、エフェクター分子、レセプター分子、酵素とそのインヒビター、補酵素、アビジン、ビオチン、糖鎖化合物、レクチン、アプタマー(DNAアプタマー、RNAアプタマー、ペプチドアプタマー等)、分子鋳型等が挙げられ、分析対象物に応じて適宜選択される。また、上記の分子認識素子を標識する標識物質は、分析対象物の数や濃度等を光学測定する際に用いられる物質であり、特定の波長の光に対して吸収ピークを有するか、或いは蛍光を発する機能等を有する物質である。この標識物質としては、金コロイド、銀コロイド粒子、白金コロイド粒子等の金属コロイド、着色した脂質小胞(リボソーム)や小胞、着色してもよいラテックス粒子、磁気微粒子などの各種微粒子、蛍光物質、発色物質、発光物質、酵素、ビオチン、放射性同位元素、酸化還元物質等が挙げられる。
【0034】
この標識済分子認識素子を流路11の領域11Aに付着させる方法としては、例えば、標識済分子認識素子を超純水、純水、トリスバッファー、ホウ酸バッファー、りん酸バッファー、グリシンバッファー、クエン酸バッファー、酢酸バッファー、コハク酸バッファー、MOPSバッファー、HEPESバッファー、MESバッファー、トリシンバッファー、マレイン酸バッファーなどに混合させた後、流路11の領域11Aに対して塗布し、これを乾燥させる方法等が挙げられる。
【0035】
上記のように標識済分子認識素子が付着した領域11Aを供給部12から供給された被検液を通過する際に、標識済分子認識素子が領域11Aから流路11内に溶け出し、被検液に含まれる分析対象物と結合する。したがって、流路11内を移動してフィルタ部材33で捕集される分析対象物は、標識済分子認識素子と結合したものである。
【0036】
なお、標識済分子認識素子として流路11に付着させる分子認識素子及びフィルタ部材33に固定する分子認識素子が結合可能な分析対象物は互いに同種である必要があるが、流路11に付着させる分子認識素子とフィルタ部材33に固定する分子認識素子とは、分析対象物となる分析対象物に対する結合部位が互いに異なることが好ましい。
【0037】
上記の構成を備えることで、フィルタ部材33の分子認識素子に結合した分析対象物には、流路11に付着した標識済分子認識素子が結合している。そして、この分析対象物に結合した標識済分子認識素子を標識する標識物質の発色を後述の分析装置によって分析することで、分析対象物の量を分析することが可能となる。
【0038】
吸収体34は、供給部12から流路11内に導入され、プレフィルタ部材32及びフィルタ部材33を通過した被検液を吸収するためのものである。すなわち、捕集器具1ではプレフィルタ部材32及びフィルタ部材33を通過した被検液が開口13から外部に流出することを防止するために設けられたものである。また、流路11内の領域11Aから被検液内に溶け出した標識済分子認識素子のうち、分析対象物と結合できなかったものもこの吸収体34によって捕集される。
【0039】
吸収体34としては、ろ紙、不織布、高吸収性ポリマー等が好適に使用できる。また、ガラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、綿、麻、コットン、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ロックウール、ポリアミド、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、レーヨン、ポリエステル、ナイロン(登録商標)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、高吸収性ケルセチン配糖体、及びポリオレフィン等からなる多孔メッシュ等を吸収体34として用いることができる。この吸収体34が吸収できる液体の量(保水量)は、供給部12から流路内に導入される被検液の量、すなわち、前段吸収体31の保水量の10分の1〜前段吸収体31の保水量の範囲であることが好ましい。
【0040】
また、吸収体34は、被検液を吸収することで状態が変わる機能を有していることが好ましい。具体的には、例えば、吸収体34に対して予め水性インク等による印字を施しておき、吸収体34が被検液を吸収することによってこの水性インクによる印字が消失する構成とすることができる。また、上記の捕集器具1のように標識済分子認識素子と結合した分析対象物をフィルタ部材33で捕集する構成を有する場合には、分析対象物と結合しなかった未反応の標識済分子認識素子が吸収体34に到達して吸収体34に捕集されることで、標識物質により吸収体34が発色する構成とすることもできる。このように、吸収体34に被検液が到達したことを確認する構成とすることで、被検液がフィルタ部材33を通過したこと、すなわち、被検液に含まれる分析対象物がフィルタ部材33に捕集されたことを確認することができる。
【0041】
また、流路11の端部である開口13には、逆支弁35が取り付けられる。この逆支弁35は、通常時は閉じた状態とされていて、後述の被検液分析装置に対して捕集器具1を挿入して分析を行う場合に、開口13に対して吸引器具を取り付けるときのみ開口可能となる弁である。これにより、捕集器具1の使用前は開口13は逆支弁35により閉じられていて使用時に開口する構成とされ、さらに、使用後に吸引器具を取り外した後も捕集器具1の内部からの被検液の流出を防止することができる。
【0042】
ここで、上記の捕集器具1の使用方法について、図4を用いて説明する。図4は、捕集器具1の使用方法を模式的に示す図である。
【0043】
まず、図4(A)に示すように、被検液を吸収した状態の前段吸収体31を供給部12に収容する。前段吸収体31への被検液の吸収は、被検液が貯められた容器等の内部に前段吸収体31を浸す等の方法により行われる。本体部10に設けられた供給部12への前段吸収体31の収容時には、図4(A)に示すように蓋部15の一部のみを開封する構成としてもよい。ここで、図1〜図3に示すように、蓋部15の一部を開封するための折り曲げ線Lを蓋部15に対して予め設けておくことで、蓋部15の一部のみの開封が容易となる。捕集器具1の本体部10に設けられた流路11には、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33、吸収体34が予め取り付けられており、さらに前段吸収体31を収容する流路11の領域11Aには標識済分子認識素子が付着されている。このような捕集器具1の流路11に対して、被検液を吸収した前段吸収体31が収容される。被検液を吸収した前段吸収体31を供給部12に収容した後、蓋部15と本体部10の縁部14とは接着される。
【0044】
次に、図4(B)に示すように、流路11の開口13側から吸引器具50によって吸引する。図4(B)では、開口13から逆支弁35を押し開けてシリンジ型の吸引器具50の先端を挿入して吸引することで、被検液を前段吸収体31から内部へ導入させる状態を示している。これにより、前段吸収体31により吸収されていた被検液が前段吸収体31の外部へ流出し、流路11へ導入される。そして、この被検液は、流路11に沿って移動し、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33と通過する。このとき、被検液に含まれるサイズの大きな夾雑物はプレフィルタ部材32により捕捉される。次いで、被検液が領域11Aを通過する際に、この領域11Aに付着した標識済分子認識素子と被検液とが接することで、標識済分子認識素子が特定の分析対象物と結合する。これにより、標識済分子認識素子と結合した分析対象物を含む被検液がフィルタ部材33を通過する。そして、標識済分子認識素子と結合した分析対象物は、フィルタ部材33に固定された分子認識素子と結合することで、フィルタ部材33によって捕集される。そして、フィルタ部材33によって捕集されることによって除かれた分析対象物を除く被検液と、被検液中に溶け出した標識済分子認識素子とは、フィルタ部材33の後段の吸収体34によって吸収される。以上によって捕集器具1による分析対象物の捕集が完了し、分析装置を用いてフィルタ部材33によって捕集された分析対象物を分析する。これにより、捕集器具1によりフィルタ部材33で濃縮された分析対象物の分析が行われ、被検液の特性等が評価される。
【0045】
ここで、捕集器具1のフィルタ部材33における分析対象物の捕集と、このフィルタ部材33により捕集された分析対象物の分析と、を行う被検液分析装置100について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、被検液分析装置100の概略構成図であり、図8は、被検液分析装置100の内部構成を模式的に示す図である。
【0046】
図5に示すように、被検液分析装置100は、略円筒状の筺体101と、筺体51の内部に設けられ、被検液が内部に収容された捕集器具1を筺体101の長手方向に沿って収容する収容部102と、収容部102に収容された捕集器具1を固定すると共にその内部に捕集器具1の開口13に対して接続する吸引機構を備えるクリップ部103と、吸引機構を構成する中空の円筒形である円筒部104と、円筒部104の内部に挿入されることで円筒部104と共にポンプ機構に含まれる円筒形のピストン105と、このピストン105を操作するためのピストン操作部106と、を含んで構成される。また、図5では図示しないが、クリップ部103の内部には、補習器具1の開口13に挿入するためのシリンジの先端が設けられる。上記の円筒部104、及びピストン105が可動式の吸引動作を行う可動式のピストンに相当する機能を有し、このシリンジの先端が捕集器具1の開口13に挿入された状態で、吸引動作を行うことで、捕集器具1の内部の被検液が吸引される。すなわち、被検液分析装置100では、円筒部104、及びピストン105が図4(B)の吸引器具50に相当する。なお、上記の被検液分析装置100の吸引機構を構成する円筒部54及びピストン55は円筒形の形状であるが、この形状は特に限定されない。例えば、四角柱状であってもよいし、断面が楕円形である筒状部材を用いることもできる。
【0047】
さらに、被検液分析装置100の内部には、所定の波長の光を含む光を出射する光源110を備えると共に、光源110に対向する位置に配置され、光源110から出射された光に対して感度を有する受光部111を備える。光源110としては、LED(LightEmitting Diode)、半導体レーザー、EL(Electro Luminescence)、蛍光灯、電球等が好適に用いられる。また、受光部111としては、フォトダイオード、太陽電池及び光電変換素子等が好適に用いられる。この光源110及び受光部111が測定部として機能する。分析対象物が標識済分子認識素子と結合している場合、光源110から出射される光の波長は、標識物質の特性によって決められる。なお、光源は1個であってもよいし、2以上の複数個とすることもできる。また、互いに異なる波長の光を出射する複数の光源及びこれらの複数の光源のそれぞれに対応した受光部を備えた構成としてもよい。また、光源110と捕集器具1との間に光学フィルタを設けることで、光源110から出射される光のうち特定の波長の光のみを捕集器具1に対して照射する構成とすることもできる。
【0048】
被検液分析装置100は、図6に示すように、内部に光源110及び受光部1111が電気的に接続される制御部112を備える。制御部112は、CPU(Central Processing Unit)及び外部記憶装置から構成され、CPUは、所定の演算処理を行う演算プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と演算処理の際に各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)とを有している。このCPUは、分析開始ボタン(図示せず)からの指示に基づいて、光源110からの測定光の出射を開始すると共に、受光部111で検出された光強度に係る情報を受光部111から受け取り、光源110から出力された測定光の波長及び強度と、受光部111で検出された光強度とに基づいて算出された標識物質の光透過率から、外部記憶装置に記憶させた予め得られている標識物質についての光透過率と標識物質の指標(原因菌濃度等)との相関(検量線)に基づいて被検液の指標値(例えば原因菌濃度に基づいた口腔内の環境評価)を算出し、得られた結果に基づいた評価を図5に示すインジケータ113に表示させる機能を備える。
【0049】
上記の被検液分析装置100を用いて分析を行う場合、まず、被検液を吸収した前段吸収体31を供給部12に収容した捕集器具1を収容部102に挿入し、捕集器具1がクリップ部103に保持されるように押し込む。このとき、捕集器具1をクリップ部103が正しく嵌まるまで押し込むことにより、捕集器具1のフィルタ部材33が光源110と受光部111との間に正確に収容させることができる。さらに、正しく嵌まるまで押し込むことで、クリップ部103の内部に設けられたシリンジの先端が、捕集器具1の逆支弁35を押し開けて、開口13の内部に挿入される。
【0050】
次に、ピストン操作部106を操作することにより、ピストン105を移動させて、吸引を行う。これにより、被検液が供給部12から流路11に導入され、プレフィルタ部材32、領域11A、フィルタ部材33と通過することで、標識済分子認識素子と結合した分析対象物がフィルタ部材33により捕集される。さらに、被検液が吸収体34に吸収されるまで移動した後、光源110から光を照射を開始して上述の分析対象物の分析を行う。なお、被検液が吸収体34に吸収されたことを被検液分析装置100の外部から目視で確認ができるように、筺体101に開閉自在の確認窓を設ける構成としてもよい。
【0051】
このように、捕集器具1のフィルタ部材33に捕集された分析対象物を上記に示す被検液分析装置100を用いて分析することで、分析対象物の量を算出することができる。具体的には、例えば、標識済分子認識素子を標識する標識物質として金コロイド粒子を用いる場合には、金コロイド粒子は波長520nmの光に対して吸収特性を有するので、波長520nmの光をフィルタ部材33に対して照射することでフィルタ部材33を通過する光の強度を測定することで、フィルタ部材33に捕集された金コロイド粒子の量を測定することができ、この結果から被検液に含まれる分析対象物の量を分析することができる。なお、被検液の捕集及び分析対象物の分析に用いられた捕集器具1は再利用されない。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る捕集器具1によれば、流路11の一端側に設けられた供給部12に供給された被検液を他端側の開口13から吸引することで、被検液が容器20の本体部10に形成された流路11内を流れて、第1のフィルタ部材であるプレフィルタ部材32、第2のフィルタ部材であるフィルタ部材33を通過し、吸収体34に到達する。このとき、プレフィルタ部材32の孔径は分析対象物よりも大きいため、このプレフィルタ部材32により被検液に含まれる夾雑物を取り除くことができると共に、フィルタ部材33の孔径は、プレフィルタ部材32よりも小さく、且つ、分析対象物よりも小さいため、このフィルタ部材33によって分析対象物が捕集される。そして、フィルタ部材33よりも開口側に吸収体34が設けられていることで、分析対象物が捕集された後の被検液を好適に吸収することができる。したがって、被検液が少量であって分析対象物の濃度が低い場合であっても、フィルタ部材33において分析対象物を効率よく捕集できる。また、被検液を吸引して被検液を流路内に導入することから、被検液が供給部12や流路11に滞留することなく、流路11内を好適に移動し、分析対象物がフィルタ部材33において好適に捕集される。そして、このように分析対象物を効率よく捕集した後にこの分析対象物に係る分析を行うことができるため、高い精度で分析をすることが可能となる。
【0053】
また、上記実施形態に係る捕集器具1では、特定の分析対象物と特異的に結合可能な分子認識素子がフィルタ部材33に固定されている態様とすることで、フィルタ部材33においてこの分子認識素子と結合する分析対象物のみを効率的に捕集することができる。また、特定の分析対象物と結合可能であり、且つ、標識された標識済分子認識素子がフィルタ部材33よりも供給部12側の流路11の領域11Aに付着され、この標識済分子認識素子と結合した分析対象物をフィルタ部材33で回収する態様とすることで、分析対象物の量に応じてこの分析対象物と結合する標識済分子認識素子の量が変化し、標識済分子認識素子が結合した分析対象物がフィルタ部材33によって捕集されることから、フィルタ部材33によって捕集された分析対象物の分析が容易となる。また、この分析対象物のみを対象とした分析を行うために必要な前処理を必要としないため、操作性が高く且つ迅速に分析を行うことができる。
【0054】
また、被検液を吸収可能であり供給部12に収容される前段吸収体31を用いて被検液を容器20の内部に供給するため、取扱い性が向上し、捕集器具1への被検液の供給が容易になる。また、前段吸収体31が吸収可能な被検液の量には上限があることを利用し、一定量の被検液を用いた分析対象物の捕集も可能となることから、この分析対象物についてより高精度の分析をすることが可能となる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る捕集器具2について図7を用いて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る捕集器具2の上面図である。本実施形態に係る捕集器具2が第1実施形態に係る捕集器具1と異なる点は流路が複数設けられていて、各流路にそれぞれフィルタ部材及び吸収体が設けられている点である。
【0056】
具体的には、捕集器具2の容器20Aの内部には流路の一部が流路41A,41Bの2つに分かれていて、これらの流路41A,41Bは、プレフィルタ部材32の後段(開口13側)の分岐部42で分岐し、開口13の直前の合流部43で合流している。そして、流路41A,41Bのそれぞれに、フィルタ部材33A,33B、吸収体34A,34Bが設けられていて、供給部12から流路に導入された被検液はプレフィルタ部材32を通過した後に流路41A,41Bのいずれかへと進む。そして、流路41Aに進んだ被検液はフィルタ部材33Aを通過して吸収体34Aに吸収される一方、流路41Bに進んだ被検液はフィルタ部材33Bを通過して吸収体34Bに吸収される。なお、分岐部42及び合流部43の位置は分析内容等に応じて適宜変更される。
【0057】
なお、この捕集器具2の使用方法は、捕集器具1と同様である。すなわち、被検液を吸収した前段吸収体31を供給部12に収容し、蓋部15で覆った後に開口13から被検液を吸引することで、被検液が流路の内部に導入される。そして、この被検液がプレフィルタ部材32、フィルタ部材33A,33Bを通過することで、被検液中の分析対象物がフィルタ部材33A,33Bに捕集される。そして、このフィルタ部材33A,33Bに対して測定光を照射することで、フィルタ部材33A,33Bに捕集された分析対象物に係る分析が行われる。なお、この捕集器具2の分析に用いる被検液分析装置は光源及び受光部の位置及び数が流路の数に応じて適宜される。
【0058】
このように、本実施形態に係る捕集器具2であっても、プレフィルタ部材32によって夾雑物が取り除かれた後に、プレフィルタ部材32よりも孔径の小さなフィルタ部材33A,33Bによって被検液中の分析対象物を効率よく捕集できる。また、被検液を吸引して被検液を流路内に導入することから、被検液が供給部12や流路に滞留することなく、流路内を好適に移動し、分析対象物がフィルタ部材33A,33Bにおいて好適に捕集される。そして、このように分析対象物を効率よく捕集した後にこの分析対象物に係る分析を行うことができるため、高い精度で分析をすることが可能となる。
【0059】
また、捕集器具2では2つの互いに異なる流路を有しているので、2種類の分析を行うことができる。例えば、2種類の互いに異なる分析対象物をフィルタ部材33A,33Bにおいて捕集し、各フィルタ部材33A,33Bで捕集された分析対象物についての分析を行うことも可能であるし、同一種類の分析対象物を各フィルタ部材33A,33Bで捕集し、これらの分析対象物を異なる手法で分析することも可能である。なお、上記の捕集器具2において複数種類の標識済分子認識素子を用いて分析を行う場合、分岐部42よりも後段であってフィルタ部材33A,33Bよりも前段に付着させることで、互いに異なる複数種類の標識済分子認識素子が混合することなく、互いに異なる複数の流路で分析を行うことができる。
【0060】
このように捕集器具2に設けられる流路は複数個であってもよく、この場合には、各流路を別の用途に用いることで、同一の被検液を用いた複数種類の分析を同時に行うことができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る捕集器具及びこの捕集器具の使用方法は種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、供給部12から流路11に投入された被検液は、プレフィルタ部材32、標識済分子認識素子が付着された領域11Aをこの順に通過する構成について説明したが、プレフィルタ部材32の通過と、標識済分子認識素子及び被検液の接触とは、その順序を変更してもよい。すなわち標識済分子認識素子を被検液が接触して、分析対象物が標識済分子認識素子と結合した状態でプレフィルタ部材32を通過させる態様としてもよい。また、例えば、プレフィルタ部材32に標識済分子認識素子を付着させることで、プレフィルタ部材32によって夾雑物を除去しつつ、分析対象物と標識済分子認識素子とを結合させる態様としてもよい。また、フィルタ部材33の前段側(例えば供給部12側の表面のみ)に標識済分子認識素子を付着させる態様とすることで、プレフィルタ部材32を通過した被検液と標識済分子認識素子とを接触させることもできる。
【0063】
また、上記実施形態では、容器20内部の流路11、供給部12及び開口13の周囲を形成する縁部14が本体部10側に設けられ、縁部14と蓋部15とが接着層17を介して接着される構成を有する捕集器具について説明したが、この構成は必須ではない。すなわち、上記実施形態の捕集器具1,2では、捕集器具1,2の主面のうちのいずれか一方(蓋部15側)の面を開封し、前段吸収体31を用いて供給部12へ被検液を供給する構成を有しているが、捕集器具1,2の主面とは異なる面から供給部12を開封して被検液を供給する構成としてもよい。
【0064】
ここで、図8,9を用いて、主面とは異なる面(側面)から被検液を供給する捕集器具である捕集器具3について説明する。図8は、捕集器具3の横断面図であって図2のIII−III矢視図に対応する図であり、図9は、この捕集器具3の使用方法を模式的に示す図である。この捕集器具3は、第1実施形態に係る捕集器具1と比較して、下記の点が異なっている。すなわち、本体部10Bは、供給部12の周囲を形成する縁部14のうち、捕集器具3の一端面(側面)を構成する部分がなく、本体部10Bの供給部12の一端側が図8の左側(図2の上側に対応)の側面から本体部10Bを見ると端面が溝状となるように形成されている(図9(A)参照)。また、蓋部15Bは、捕集器具1の蓋部15と同様に、本体部10Bの縁部14を覆うと共に、さらに、溝状に形成された本体部10Bの側面(図8の左側の側面)を覆うように構成されている。そして、図8の左側の本体部10Bにおいて供給部12の底面を構成する領域と蓋部15Bとの間に接着層17Bが設けられていて、この接着層17Bを介して本体部10Bにおいて供給部12の底面を構成する領域と蓋部15Bとが接着されることで、供給部12が形成される。また、側面側の蓋部15Bには、側面側の蓋部15Bの開閉が容易となるように折り曲げ線Lが設けられる。
【0065】
上記の捕集器具3の供給部12に前段吸収体31を収容する場合には、図9(A)に示すように、蓋部15Bのうち捕集器具3の側面側の一部を開封することで、被検液を吸収した前段吸収体31を供給部12内に挿入する。なお、捕集器具3の本体部10Bに設けられた流路11には、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33、吸収体34が予め取り付けられている点と、前段吸収体31を収容する流路11の領域11Aに標識済分子認識素子が付着されている点は捕集器具1と同様である。被検液を吸収した前段吸収体31を供給部12に収容した後、蓋部15Bと本体部10Bの縁部14を含む端面は接着される。次に、図4(B)に示すように、流路11の開口13側から吸引器具50によって吸引する。このように、開口13側から吸引することで供給部12内の前段吸収体31から被検液が流れ出し、流路を流れる構成は捕集器具1と同様である。このように、前段吸収体31を用いて供給部12へ被検液を供給する際の構成は適宜変更することができる。
【0066】
また、容器20の全体が光透過性を有する必要はない。すなわち、上記実施形態のように、フィルタ部材33に捕集された物質の光透過性に係る測定を行う場合には、容器20のうちフィルタ部材33の主面と対向する領域(測定光が入射する領域及び出射する領域)が光透過性を有していればよい。また、フィルタ部材33を透過した光を測定することに代えて、フィルタ部材33で反射した光を測定する場合には、フィルタ部材33の主面のうちの一つの面のみが光透過性を有する態様とすることもできる。
【0067】
上記のように反射光を測定する場合には、被検液分析装置の光源及び受光部の位置が変更される。この反射光を測定する場合に用いられる被検液分析装置を図10,11に示す。図10は、被検液分析装置200の外観を説明する図であり、図11は、この被検液分析装置200の内部構成について説明する図である。上記実施形態で説明した被検液分析装置100と図10,11に示す被検液分析装置200とが異なる点は、所定の波長の光を含む光を出射する光源110Aと、光源110Aから出射された光に対して感度を有する受光部111Aとが、捕集器具に対して同一の側(図10,11では、捕集器具1の上側)に設けられている点である。このような構成を有する被検液分析装置200によれば、捕集器具1に対して光源110Aから出射する光を照射し、フィルタ部材33で反射した光を受光部111Aにおいて受光することができる。また、このような被検液分析装置200を用いてフィルタ部材33での反射光の分析を行う場合、捕集器具1の一つの面(図11では蓋部15側)のうちフィルタ部材33の主面と対向する領域が光透過性を有していればよい。なお、上記で示した被検液分析装置200は、反射光を測定するための装置の一例であり、光源及び受光部の位置及び数は適宜変更することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、フィルタ部材33より供給部12側の領域11Aに標識済分子認識素子が付着され、さらにフィルタ部材33に分子認識素子が固定された態様について説明するが、これら標識済分子認識素子及び分子認識素子は必須ではない。すなわち、フィルタ部材33の孔径が分析対象物よりも小さければよく、このような構成とすることで、分析対象物は孔径が小さいフィルタ部材33を通過することができずフィルタ部材33により捕集されるため、分析対象物を効率的よく捕集することができる。
【0069】
上記と同様に、標識済分子認識素子がフィルタ部材33より供給部12側の領域11Aに付着されておらず、フィルタ部材33に分子認識素子が固定されている場合であっても、フィルタ部材33の分子認識素子に対して特定の分析対象物のみが結合することで、分析対象物を捕集することができる。ただし、単体で光学特性を持たない分析対象物を光学的手法により分析する場合には、微生物に限らず、分子認識素子及び標識物質を用いて分析対象物を標識する必要がある。したがって、フィルタ部材33によって微生物を捕集した後に、標識済分子認識素子とフィルタ部材33により捕集された微生物とを結合させる処理が行われる。また、標識済分子認識素子をフィルタ部材33より供給部12側の領域11Aに付着させることに代えて、被検液と標識済分子認識素子とを混合することで分析対象物に標識済分子認識素子を結合させた後に、この混合物を供給部12に供給する態様とすることもできる。
【0070】
また、上記実施形態では、分析対象物に対して標識済分子認識素子を結合させることで、特定の分析対象物のみを検出し、高精度の分析を実現する方法について説明したが、フィルタ部材30の孔径と分析対象物の大きさとの関係を用いて分析対象物をフィルタ部材30で回収する方法と、他の公知の方法を組み合わせることによって特定の分析対象物のみについての分析を行う方法を用いることもできる。具体的には、フィルタ部材30の孔径と分析対象物の大きさとの関係を利用してフィルタ部材30の孔径よりも大きな物質(分析対象物が含まれる)を捕集した後、分析対象物に対してのみ特異的に結合する試薬(例えばDNAプローブ、RNAプローブ、分子鋳型等)を用いて分析対象物のみを反応させて、その反応結果を測定する態様とすることもできる。
【0071】
また、上記実施形態の捕集器具1,2のように、供給部12へ被検液を供給する際に、前段吸収体31を使用しなくてもよい。すなわち、例えばスポイト等を用いて、供給部12に対して被検液を直接供給する態様とすることもできる。
【0072】
また、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33、及び吸収体34が設けられた領域以外の流路11にもメンブレン等を載置する態様としてもよい。ただし、流路11にもメンブレン等を載置しない場合のほうが、流路11内の被検液の移動が容易となり、分析対象物の捕集及び分析を速やかに行うことができるので好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
上記第1実施形態の捕集器具1及び被検液分析装置100を用いた場合のフィルタ部材33における分析対象物の捕集能力を、以下に示す実施例1の方法により確認した。
【0075】
具体的には、図1に示す捕集器具1を使用し、被検液として唾液を用いて、Sm菌を分析対象物とした。この捕集器具1の本体部10はポリエチレンからなり、PETフィルムからなる蓋部15を用いた。また、捕集器具1内に収容される前段吸収体31としては、セルローススポンジを使用し、プレフィルタ部材32としては、孔径約10μmのガラス繊維フィルタを使用し、フィルタ部材33としては、孔径約0.45μmのガラス繊維フィルタを使用し、吸収体34としては、セルローススポンジを使用し、前段側(供給部12側)の端部に青色水性インクを予め付着させた。また、流路11の領域11Aに付着される標識済分子認識素子としては金微粒子により標識したSm菌に特異的に結合するアプタマーを使用し、フィルタ部材33には分子認識素子を固定しなかった。
【0076】
上記の捕集器具1を用いて、被検液である唾液を前段吸収体31に吸収させた後、この前段吸収体31を捕集器具1の供給部12に収容した。そして、この捕集器具1を被検液分析装置100に取り付けた。シリンジの先端が捕集器具1の開口13に挿入された状態で、被検液分析装置100のピストン操作部106を移動させて吸引動作を行うことで、前段吸収体31に吸収された被検液が流路11内に導入され、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33を被検液が通過し、吸収体34に被検液が吸収された。このことは吸収体34内を被検液が移動し、吸収体34の一端に付着された青色水性インクによって吸収体34全体が着色したことを、筺体101に設けられた確認窓から目視することにより確認できた。
【0077】
その後、捕集器具1のフィルタ部材33に対して被検液分析装置100内の緑色LEDからなる光源110からの光を照射し、フィルタ部材33を透過した光をフォトダイオードからなる受光部111で受光し、この透過光の強度から、Sm菌濃度を算出することができた。また、測定光の捕集器具1を被検液分析装置100から取り出したところ、プレフィルタ部材32において唾液中に混入していた表皮細胞や食べかすなどのゴミ等が捕集されたこと、及びフィルタ部材33においてSm菌が捕集されたことで、フィルタ部材33がSm菌に結合した標識済分子認識素子を標識する金微粒子によって赤く着色していることが確認された。また、逆支弁35により開口13は閉じられていることが確認された。
【0078】
(実施例2)
上記実施例1と比較して以下の点を変更して、第1実施形態の捕集器具1を用いた場合のフィルタ部材30における分析対象物の捕集能力を確認した。
【0079】
すなわち、捕集器具1の流路11に設けられるフィルタ部材33の孔径を1μmに変更すると共に、フィルタ部材33に対して流路の領域11Aに付着させたSm菌に特異的に結合するアプタマーを固定した。
【0080】
上記の捕集器具1を用いて、被検液である唾液を前段吸収体31に吸収させた後、この前段吸収体31を捕集器具1の供給部12に収容した。そして、この捕集器具1を被検液分析装置100に取り付けた。シリンジの先端が捕集器具1の開口13に挿入された状態で、被検液分析装置100のピストン操作部106を移動させて吸引動作を行うことで、前段吸収体31に吸収された被検液が流路11内に導入され、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33を被検液が通過し、吸収体34に被検液が吸収された。このことは吸収体34内を被検液が移動し、吸収体34の一端に付着された青色水性インクによって吸収体34全体が着色したことを、筺体101に設けられた確認窓から目視することにより確認できた。
【0081】
その後、捕集器具1のフィルタ部材33に対して被検液分析装置100内の緑色LEDからなる光源110からの光を照射し、フィルタ部材33を透過した光をフォトダイオードからなる受光部111で受光し、この透過光の強度から、Sm菌濃度を算出することができた。また、測定光の捕集器具1を被検液分析装置100から取り出したところ、プレフィルタ部材32において唾液中に混入していた表皮細胞や食べかすなどのゴミ等が捕集されたこと、及びフィルタ部材33においてSm菌が捕集されたことで、フィルタ部材33がSm菌に結合した標識済分子認識素子を標識する金微粒子によって赤く着色していることが確認された。また、逆支弁35により開口13は閉じられていることが確認された。
【0082】
(実施例3)
上記実施例1と比較して以下の点を変更して、第1実施形態の捕集器具1を用いた場合のフィルタ部材30における分析対象物の捕集能力を確認した。
【0083】
すなわち、捕集器具1の流路11の領域11Aに対して標識済分子認識素子を付着させることに代えて、フィルタ部材33の前段側(供給部12側)の端部に標識済分子認識素子として金微粒子により標識したSm菌に特異的に結合するアプタマーを付着させた。なお、実施例1と同様に、フィルタ部材33の他の部分には分子認識素子を固定しなかった。
【0084】
上記の捕集器具1を用いて、被検液である唾液を前段吸収体31に吸収させた後、この前段吸収体31を捕集器具1の供給部12に収容した。そして、この捕集器具1を被検液分析装置100に取り付けた。シリンジの先端が捕集器具1の開口13に挿入された状態で、被検液分析装置100のピストン操作部106を移動させて吸引動作を行うことで、前段吸収体31に吸収された被検液が流路11内に導入され、プレフィルタ部材32、フィルタ部材33を被検液が通過し、吸収体34に被検液が吸収された。このことは吸収体34内を被検液が移動し、吸収体34の一端に付着された青色水性インクによって吸収体34全体が着色したことを、筺体101に設けられた確認窓から目視することにより確認できた。
【0085】
その後、捕集器具1のフィルタ部材33に対して被検液分析装置100内の緑色LEDからなる光源110からの光を照射し、フィルタ部材33を透過した光をフォトダイオードからなる受光部111で受光し、この透過光の強度から、Sm菌濃度を算出することができた。また、測定光の捕集器具1を被検液分析装置100から取り出したところ、プレフィルタ部材32において唾液中に混入していた表皮細胞や食べかすなどのゴミ等が捕集されたこと、及びフィルタ部材33においてSm菌が捕集されたことで、フィルタ部材33がSm菌に結合した標識済分子認識素子を標識する金微粒子によって赤く着色していることが確認された。
【0086】
上記の実施例1〜実施例3の結果から、被検液に含まれる分析対象物が、フィルタ部材30によって好適に捕集されることが確認された。また、分子認識素子をフィルタ部材30に固定させることは必須ではなく、分子認識素子が固定されていない場合であってもフィルタ部材30において分析対象物を好適に捕集できることについても上記実施例によって確認された。さらに、標識済分子認識素子はフィルタ部材33の前段側の端部に付着させた場合でも被検液と結合可能であり、標識済分子認識素子と結合した分析対象物がフィルタ部材33によって好適に捕集されることが確認された。また、逆支弁35により開口13は閉じられていることが確認された。
【符号の説明】
【0087】
1,2…捕集器具、10,10A…本体、11,41A,41B…流路、12…供給部、13…開口、15…プレフィルタ部材、20…捕集部、31…前段吸収体、32…プレフィルタ部材、33(33A,33B)…フィルタ部材、34(34A,34B)…吸収体、35…逆支弁、50…吸引器具、100…被検液分析装置。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器の内部に設けられた流路と、
前記流路の一端に設けられ、前記流路に対して被検液を供給する供給部と、
前記流路の他端に設けられた開口と、
前記流路に設けられた第1のフィルタ部材と、
前記流路の前記第1のフィルタ部材よりも前記開口側に設けられ、その孔径が前記第1のフィルタ部材よりも小さい第2のフィルタ部材と、
前記流路の前記第2のフィルタ部材よりも前記開口側に設けられた吸収体と、
を備える捕集器具。
【請求項2】
前記第2のフィルタ部材には、特定の分析対象物と特異的に結合可能な分子認識素子が固定されている請求項1記載の捕集器具。
【請求項3】
前記第2のフィルタ部材よりも前記供給部側に、特定の分析対象物と特異的に結合可能であり且つ標識された標識済分子認識素子を備える請求項1又は2記載の捕集器具。
【請求項4】
前記標識済分子認識素子は前記第2のフィルタ部材よりも前記供給部側の前記流路の内面に付着されている請求項3記載の捕集器具。
【請求項5】
前記標識済分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物は、前記分子認識素子が結合可能な特定の分析対象物と同じである請求項3又は4記載の捕集器具。
【請求項6】
前記供給部に収容され、前記被検液を吸収可能な前段吸収体をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の捕集器具。
【請求項7】
容器と、
前記容器の内部に設けられた流路と、
前記流路の一端に設けられ、前記流路に対して被検液を供給する供給部と、
前記流路の他端に設けられた開口と、
前記流路に設けられた第1のフィルタ部材と、
前記流路の前記第1のフィルタ部材よりも前記開口側に設けられ、その孔径が前記第1のフィルタ部材よりも小さい第2のフィルタ部材と、
前記流路の前記第2のフィルタ部材よりも前記開口側に設けられた吸収体と、
を備える捕集器具の使用方法であって、
前記供給部内に前記被検液を投入し、前記開口から前記被検液を吸引することで前記被検液を前記流路内に導入して移動させる使用方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−95157(P2011−95157A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250653(P2009−250653)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】