説明

採尿用容器

【課題】沈殿物のみを円滑に採取できるようにする。
【解決手段】採尿用容器1は、一端が閉塞され、他端が開口端に形成されて尿を収容するため収容筒2と、一端が閉塞端に形成され、他端が収容筒2の開口端部の取り付け及び取り外しが自在な開口端に形成されると共に、側面に採尿口33が形成されて採尿するための採尿筒3と、一端が閉塞され、他端が開口されると共に、採尿筒3の挿入及び抜き取りが自在に形成され、採尿口33を覆うためのカバー筒4とを備えている。収容筒2の閉塞側の端部の内面には、尿の沈殿物が付着する粗面部26が形成されている。粗面部26は、収容筒2の先細部22の内周面において、底面2cの外周端から側面の全周に亘って所定幅で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や検査センター等で実施されている尿検査のために使用される採尿用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や検査センターなどにおいては、数多くの尿検査が実施されている。
【0003】
この尿検査に使用される採尿用容器には、従来、特許文献1に開示されているように、尿を収容する収容筒と、該収容筒の開口端に取り付けられ、側面に採尿口が形成されて採尿する採尿筒と、該採尿筒の挿入自在なに成るように上記採尿口を覆うカバー筒とより構成されているものがある。
【0004】
上記採尿用容器は、収容筒に採尿筒を取り付けた組み立て状態とする。そして、被検査者は、採尿筒を下方に向けて収容筒を把持する。該被検査者は、採尿口に尿を掛けることにより、該尿が収容筒に溜まり、尿の採取が終了する。
【0005】
続いて、上記採尿筒を下方に向けたままカバー筒に挿入する。この結果、汚れ部分である採尿筒が覆われる。その後、例えば、上記採尿用容器の上下を逆にし、収容筒を下側に向けて容器立て等に挿入して検査室等に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−047537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の採尿用容器は、収容筒の内面が全体に亘って平滑面で形成されていた。上記収容筒は、検査室において尿沈渣の鏡検を行うために、遠心分離器に装着され、遠心分離が行われた後、液体成分を除去して固体成分である沈殿物のみを採取する。
【0008】
しかしながら、従来、上記収容筒の内面全体が平滑面であるため、液体成分を除去した際、沈殿物も除去される場合があり、沈殿物のみを円滑に採取できないという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、沈殿物のみを円滑に採取できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、一端が閉塞され、他端が開口端に形成されて尿を収容するための細長い筒状の収容筒と、一端が閉塞端に形成され、他端が上記収容筒の開口端部の取り付け及び取り外しが自在な開口端に形成されると共に、側面に採尿口が形成されて採尿するための細長い筒状の採尿筒と、一端が閉塞され、他端が開口された細長い筒状に形成されると共に、上記採尿筒の挿入及び抜き取りが自在に成るように該採尿筒より僅かに大径に形成され、上記採尿口を覆うためのカバー筒とを備えた採尿用容器である。そして、上記収容筒の閉塞側の端部の内面には、尿の沈殿物が付着する粗面部が形成されている。
【0011】
上記第1の発明では、上記収容筒の内面に沈殿物が付着する粗面部が形成されているので、液体成分を除去した後において、粗面部に沈殿物が付着して残存することになり、尿沈渣が精度よく行われる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記収容筒の閉塞側に、閉塞端に向かって先細となる先細部が形成され、上記粗面部が、先細部の内周面において、底面の外周端から側面の全周に亘って所定幅で形成されたものである。
【0013】
上記第2の発明では、粗面部が収納筒の底部近傍に形成されているので、沈殿物が確実に付着することになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記収容筒の内面に沈殿物が付着する粗面部を形成しているので、尿検査において、液体成分を除去した際、粗面部に沈殿物が確実に付着して残存することになる。この結果、尿沈渣の鏡検を精度よく行うことができる。
【0015】
また、上記第2の発明によれば、粗面部が収納筒の底部近傍に形成されているので、尿沈渣に要する所定量の沈殿物を確実に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態を示し、カバー筒を省略した採尿用容器の正面図である。
【図2】図2は、カバー筒を取り付けた採尿用容器の縦断面図である。
【図3】図3は、収容筒の縦断面図である。
【図4】図4は、採尿筒の縦断面図である。
【図5】図5は、カバー筒の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、採尿用容器1は、病院等で行われる尿検査の際に尿を採取するための容器である。
【0019】
上記採尿用容器1は、採取した尿を収容する収容筒2と、採尿を行うと共に計量を行う採尿筒3と、上記採尿筒3に着脱自在に取り付けられるカバー筒4とより構成されている。
【0020】
該収容筒2は、図3及び図4に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該収容筒2は、合成樹脂などの透明材料より形成されている。尚、上記収容筒2の材料は、透明材料に限られず、有色半透明材料など各種の材料であってもよいことは勿論である。
【0021】
上記収容筒2は、図4の左側のほぼ半部の本体部21と、図4の右側のほぼ半部の先細部22とを備えている。そして、上記収容筒2は、尿検査装置にセット可能な外径及び長さのスピッツに構成されている。
【0022】
上記収容筒2の本体部21は、先細部22に向かって僅かに細くなるテーパ状に形成され、開口端部の外周面には、採尿筒3を固定するための固定螺子23が形成されている。上記収容筒2の先細部22は、本体部21に連続し、閉塞端に向かって細くなるテーパ状に形成されている。上記収容筒2の先細部22は、本体部21のテーパ角度より大きく形成されている。
【0023】
上記収容筒2の先細部22の先端部には、第1の標線2aと第2の標線2aと形成されている。上記第1の標線2a及び第2の標線2aは、採取した尿を遠心分離して上澄を捨て、尿沈渣試験用のサンプル(15μl;マイクロリットル)を採取するための残尿量を表示するものであって、それぞれ0.1ml(ミリリットル)及び0.2ml(ミリリットル)の収納量を表示するように設定されている。
【0024】
上記収容筒2には、採尿量を示す採尿目盛り2bが付されている。該採尿目盛り2bは、収容筒2の長手方向に付され、採尿量が識別できるように構成されている。
【0025】
尚、上記採尿用容器1は、収容筒2のキャップ25を備えている。該キャップ25は、上記収容筒2の本体部21に嵌め込まれ、収容筒2を完全閉鎖するように形成されている。
【0026】
上記採尿筒3は、図5及び図6に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該採尿筒3は、合成樹脂などの半透明材料より形成されている。尚、上記採尿筒3の材料は、半透明材料に限られず、無着色合成樹脂など各種の材料であってもよいことは勿論である。
【0027】
上記採尿筒3は、本体部3aと開口端に形成された大径部3bとを備えている。上記本体部3aは、図5の左側のほぼ半部の計量部31と、図5の右側のほぼ半部の採尿部32とより形成されている。上記計量部31は、一端が閉塞され、尿検査に必要な尿を計量するように構成されている。例えば、上記採尿筒3の計量部31は、10ml(ミリリットル)の収容容積に構成され、この容量の場合、上記計量部31は、例えば、内径が13.8mmの円筒体に形成され、長さが69.00mmに形成されている。尚、この計量部31の収容容積は、15ml(ミリリットル)や20ml(ミリリットル)であってもよく、要するに、上記計量部31の収容容積は、検査等の要望に対応して10ml(ミリリットル)以上であってもよく、逆に10ml(ミリリットル)未満であってもよい。
【0028】
上記採尿筒3の採尿部32は、一端が計量部31に連続し、他端が開口された円筒体に形成されている。そして、上記採尿部32は、採尿口33と補助口34とが形成されている。該採尿口33は、尿の採取時に該尿が注入される開口であって、採尿筒3の外周面から内周面に貫通して形成されている。上記採尿口33は、採尿筒3の円周方向の過半部を切り欠いて形成され、例えば、軸方向長さが28.00mmに形成されている。
【0029】
上記採尿口33における計量部31の側の一端は、採尿筒3の径方向に一致する直交面33aに形成され、他端は、開口端に向かって傾斜する傾斜面33bに形成されている。そして、上記採尿口33の直交面33aから採尿筒3の閉塞端までが上記計量部31に形成されている。
【0030】
上記補助口34は、採尿口33と反対側の採尿筒3の外周面から内周面に貫通して形成されている。尚、上記補助口34の個数は、2つ以上であってもよい。また、上記補助口34を形成した理由は、採尿時の空気抜き作用を行うようにして採尿の容易化を図るようにすると共に、成形時の変形を防止するようにするためである。
【0031】
上記大径部3bは、採尿部32の開口端部に連続して形成され、該採尿部32の外径より大径に形成され、上記収容筒2の開口端部が挿入自在に形成されている。
【0032】
上記大径部3bの内周面には、収容筒2の固定螺子23にネジ込まれる固定螺子35が形成されている。そして、上記収容筒2の固定螺子23と採尿筒3の固定螺子35とによって収容筒2と採尿筒3とが取り付け及び取り外し自在に構成されている。上記収容筒2の固定螺子23と採尿筒3の固定螺子35とは、例えば、収容筒2と採尿筒3とを相対的に3回転又は2回転若しくは1回転で取り付け及び取り外しが行われるように構成されている。
【0033】
上記大径部3bにおける採尿部32側の端面は、本体部3aとの間の段差面3dに形成され、該段差面3dは、採尿筒3の径方向に一致する直交面に形成されている。また、上記大径部3bにおける採尿部32側の外周端部には、覆い部36が一体形成されている。該覆い部36は、カバー筒4の端部が挿入可能な内径に形成され、該カバー筒4の端部を覆うように形成されている。
【0034】
また、上記採尿筒3における本体部3aの外周面の一部であって開口端と採尿口33との間には、カバー筒4を固定する固定螺子37が形成されている。該固定螺子37は、採尿筒3をカバー筒4に挿入した状態において、カバー筒4の取り付け及び取り外しが行われるように構成されている。
【0035】
上記カバー筒4は、図7に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該カバー筒4は、合成樹脂などの着色材料より形成されている。尚、上記カバー筒4の材料は、着色材料に限られず、各種の材料であってもよいことは勿論である。
【0036】
上記カバー筒4は、採尿筒3の挿入及び抜き取りが自在になるように該採尿筒3より僅かに大径に形成されている。
【0037】
上記カバー筒4は、採尿口33を閉鎖して採尿筒3の本体部3aの全体が挿入される長さに形成されている。該上記カバー筒4は、一端が閉塞され且つ他端が開口されて採尿口33を閉鎖する本体部41と、該本体部41の開口端部に形成された大径部42とより構成されている。上記大径部42は、採尿筒3の覆い部36の内側に挿入されるように形成されている。上記大径部42のの内周面には、採尿筒3の固定螺子37にネジ込まれる固定螺子43が形成されている。
【0038】
上記採尿筒3とカバー筒4との間には、端面シール手段12と側面シール手段13と仮止め手段6とが設けられている。
【0039】
上記端面シール手段12は、カバー筒4の開口端と採尿筒3との間をシールするものであり、カバー筒4の開口端面4aと採尿筒3の段差面3dとによって構成されている。つまり、上記端面シール手段12は、図8に示すように、採尿筒3にカバー筒4をネジ込んだ際、カバー筒4における大径部42の開口端面4aが採尿筒3における大径部3bの段差面3dに密着するように構成されている。
【0040】
上記側面シール手段13は、カバー筒4の開口端部と採尿筒3の開口端部との間を側面でシールするものであり、カバー筒4に形成された摺り合わせ面4bと、採尿筒3に形成された摺り合わせ面3eとによって構成されている。上記カバー筒4の摺り合わせ面4bは、カバー筒4における本体部41の内周面の一部であって開口端の周縁に形成されている。上記採尿筒3の摺り合わせ面3eは、採尿筒3における本体部3aの外周面の一部であって開口端と固定螺子37との間に形成されている。そして、上記カバー筒4の摺り合わせ面4bと採尿筒3の摺り合わせ面3eとは、図8に示すように、カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、互いに密着するように構成されている。
【0041】
上記仮止め手段6は、図9及び図10に示すように、カバー筒4が採尿筒3に引っ掛かるようにしたものであり、採尿筒3をカバー筒4に挿入した状態に該カバー筒4を採尿筒3に仮止めするためのものである。上記仮止め手段6は、カバー筒4の環状突起61と、採尿筒3の環状突起62とにより構成されている。該カバー筒4の環状突起61は、本体部41の長手方向のほぼ中央部に位置し、本体部41の内周面に形成されている。上記採尿筒3の環状突起62は、本体部3aにおける採尿口33と閉塞端部との間に位置し、本体部3aの外周面に形成されている。上記カバー筒4の環状突起61と採尿筒3の環状突起62とは、雄螺子51が雌螺子52に嵌り込む前の状態まで採尿筒3をカバー筒4に挿入した際、カバー筒4の環状突起61が採尿筒3の環状突起62を乗り越え、カバー筒4が採尿筒3に引っ掛かるように構成されている。
【0042】
上記収容筒2には、本発明の特徴として粗面部26が形成されると共に、キャップ25を固定するための固定用凸部27が形成されている。
【0043】
上記粗面部26は、上記収容筒2の閉塞側の端部の内面に形成され、尿の沈殿物が付着するように構成されている。上記粗面部26は、収容筒2の先細部22の内周面において、底面2cの外周端から側面の全周に亘って所定幅で形成されている。つまり、上記収容筒2は、内面が平滑な平滑面部2dに形成され、収容筒2の先細部22の先端部の内面が粗面部26に形成されている。そして、上記粗面部26は、底面2cの外周端から第2の標線2aまでの幅に構成されている。
【0044】
上記固定用凸部27は、収容筒2の本体部21における開口端部の内周面に環状に形成されている。一方、上記キャップ25には、収容筒2の本体部21に嵌め込まれる嵌合部2eが形成され、該嵌合部2eの外周面には、リング状の凸部2fが形成されている。そして、上記固定用凸部27は、キャップ25を収容筒2に嵌め込んだ際、キャップ25の凸部2fが乗り越えて、「カチン」などの嵌め込み完了音が発するように構成されている。
【0045】
〈採尿用容器の使用方法〉
次に、上述した採尿用容器1の使用方法について説明する。
【0046】
先ず、採尿する前の未使用の状態においては、採尿筒3の取付部35に収容筒2の開口端部が挿入され、採尿筒3の固定螺子35と収容筒2の固定螺子23とネジ合わせて該採尿筒3と収容筒2とが取り付けられている。更に、上記採尿筒3は、カバー筒4に挿入され、カバー筒4の環状突起61が採尿筒3の環状突起62を乗り越え、カバー筒4が採尿筒3に引っ掛かった仮止め状態に設定されている。
【0047】
次に、採尿時において、被検査者は、包装袋より採尿用容器1を取出し、カバー筒4を採尿筒3より抜き取る。そして、収容筒2に採尿筒3が取り付けられた状態とし、被検査者は、採尿筒3を下方に向けて収容筒2を把持する。そして、該被検査者は、採尿口33に尿を掛けることにより、該尿が採尿口33より採尿筒3に流入し、計量部31に溜まり、尿の採取が終了する。この採尿時において、所定量(例えば、10ml)の尿が計量部31に注入されると、採尿口33より採尿筒3の外に漏れるので、尿検査に必要な量が確実に採取され、余剰の尿が採取されることがない。
【0048】
この尿の採取が終了すると、採尿用容器1を検査室等に搬送する。その際の搬送状態は、2つの形態がある。
【0049】
1つの形態は、図2に示すように、上記採尿筒3を下方に向けたままカバー筒4に挿入する。この結果、汚れ部分である採尿筒3が覆われる。その際、上記カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、採尿口33がカバー筒4によって閉鎖される。続いて、上記カバー筒4に対して採尿筒3を回すと、固定螺子37,43によって上記カバー筒4と採尿筒3とが結合して固定される。
【0050】
また、上記カバー筒4と採尿筒3とを結合すると、図8に示すように、カバー筒4の開口端面4aが採尿筒3の大径部3bの段差面3dに当接して密着し、カバー筒4と採尿筒3との間がシールされる。更に、上記カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、カバー筒4の摺り合わせ面4bと採尿筒3の摺り合わせ面3eとが密着し、カバー筒4と採尿筒3との間がシールされる。したがって、採尿の漏れが防止される。
【0051】
続いて、上記採尿用容器1の上下を逆にし、収容筒2を下側に向けて容器立て等に挿入して検査室等に搬送される。その際、上記採尿筒3を上下を逆にすると、採尿が収容筒2に流れ、該尿が収容筒2に収納される。
【0052】
その後、検査室等において、上記採尿筒3の覆い部36を把持し、該採尿筒3を収容筒2に対して回転すると、固定螺子23,35が外れる。この固定螺子23,35が外れた状態において、収容筒2が採尿筒3及びカバー筒4より外れる。そして、上記尿が収容された収容筒2のみを検査装置にセットする。
【0053】
一方、上記搬送状態の他の形態は、図3に示すように、収容筒2にキャップ25を取り付けて搬送する形態である。その際においても、採尿が終了すると、上記採尿筒3を下方に向けたままカバー筒4に挿入する。このカバー筒4に採尿筒3を挿入すると、上述の通り、採尿口33がカバー筒4によって閉鎖される。
【0054】
その後、上記採尿用容器1を上下を逆にすると、計量部31の採尿が収容筒2に流れ、該尿が収容筒2に収納される。この状態において、採尿筒3と収容筒2の固定螺子35,23を外し、採尿筒3及びカバー筒4を同時に収容筒2より取り外す。この結果、上記尿が収容された収容筒2のみとなり、この収容筒2の開口端にキャップ25を嵌め込み、容器立て等に立てて検査室等に搬送される。この検査室等では、キャップ25を収容筒2より外し、該収容筒2を検査装置にセットすることになる。このキャップ25を収容筒2に嵌め込んだ際、キャップ25の凸部2fが乗り越えて、「カチン」などの嵌め込み完了音が発する。
【0055】
上記尿検査において、収容筒2は、遠心分離器に装着され、液体成分と固体成分とが分離された後、デカンテーションを行い、上澄の液体成分を捨てる。そして、上記収容筒2を反転させて液体成分を除去することになるが、上記収容筒2に粗面部26が形成されているので、この粗面部26に沈殿物が付着して残存することになる。
【0056】
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、上記収容筒2の内面に沈殿物が付着する粗面部26を形成しているので、尿検査において、液体成分を除去した際、粗面部26に沈殿物が確実に付着して残存することになる。この結果、尿沈渣の鏡検を精度よく行うことができる。
【0057】
また、上記粗面部26が収納筒の底部近傍に形成されているので、尿沈渣に要する所定量の沈殿物を確実に付着させることができる。
【0058】
なお、上記実施形態において、粗面部26は、収容筒2の内面の全周に亘って形成したが、第1の発明では収容筒2の内周面の一部に形成してもよい。
【0059】
また、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、尿検査のための採尿用容器について有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 採尿用容器
2 収容筒
21 本体部
22 先細部
25 キャップ
26 粗面部
27 固定用凸部
2c 底面
2d 平滑面部
3 採尿筒
33 採尿口
4 カバー筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉塞され、他端が開口端に形成されて尿を収容するための細長い筒状の収容筒と、
一端が閉塞端に形成され、他端が上記収容筒の開口端部の取り付け及び取り外しが自在な開口端に形成されると共に、側面に採尿口が形成されて採尿するための細長い筒状の採尿筒と、
一端が閉塞され、他端が開口された細長い筒状に形成されると共に、上記採尿筒の挿入及び抜き取りが自在に成るように該採尿筒より僅かに大径に形成され、上記採尿口を覆うためのカバー筒とを備えた採尿用容器であって、
上記収容筒の閉塞側の端部の内面には、尿の沈殿物が付着する粗面部が形成されている
ことを特徴とする採尿用容器。
【請求項2】
請求項1において、
上記収容筒の閉塞側には、閉塞端に向かって先細となる先細部が形成され、
上記粗面部は、先細部の内周面において、底面の外周端から側面の全周に亘って所定幅で形成されている
ことを特徴とする採尿用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−40788(P2013−40788A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176052(P2011−176052)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(502023170)株式会社アトレータ (3)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】