説明

探し物支援システムおよび探し物支援プログラム

【課題】任意の第3者に探し物の捜索を依頼することを可能とする探し物支援システムを提供する。
【解決手段】クライアント通信端末は、探し物を特定するための情報と、探し物を捜索する地域を判定するための情報とを伴う捜索依頼を、通信ネットワークを通じて探し物支援サーバに送る。探し物支援サーバは、受信した探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を伴う捜索依頼メールを生成すると共に、受信した探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、探し物を捜索する地域を判定する。探し物支援サーバは、その探し物を捜索する地域に存在する管理対象の通信端末のメールアドレスを、通信事業会社の管理装置から取得し、その取得したメールアドレスの全てに宛てて、捜索依頼メールを通信ネットワークを通じて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、忘れ物、落し物、迷子、徘徊老人などの探し物の捜索を支援する探し物支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、忘れ物、落し物、迷子、徘徊老人などの探し物などは、警察に届けるか、警備会社の捜索サービスを依頼するか、などの方法がしか無かった。
【0003】
これに対して、特許文献1(特開2004−118742号公報)には、列車内に忘れ物や落し物をした場合に、その遺失物の詳細、具体的には、何駅で何日何時に降りた列車のどこに何を忘れたか/落としたかをサーバに通知して捜索依頼をすることで、その遺失物に関する情報を広く収集し、当該遺失物の回収時間の短縮、回収率の向上を図ることができるようにすることが開示されている。
【0004】
この特許文献1においては、事前に乗客や乗務員、遺失物担当の駅係員などを登録しておく(段落0045参照)。そして、その登録された乗客や乗務員、遺失物担当の駅係員などの携帯電話端末のメールアドレスをデータベースに保持しておく(段落0059参照)と共に、通信会社が運営する位置情報センタから、登録されている乗務員や乗客の携帯電話端末に定期的に現在位置の問い合わせをすることにより、携帯電話端末の現在位置を取得してデータベースに保持しておくようにする(0028段落参照)。
【0005】
そして、捜索依頼を受けたサーバは、捜索依頼で通知された場所や時間の情報から、列車を特定して、予め登録されてデータベースに格納されているその列車の乗務員や乗客のメールアドレス宛に、遺失物の捜索依頼メールを配信するようにしている。したがって、列車の乗務員や乗客から、この捜索依頼メールに対する返信を受け取ることで、遺失物についての情報を収集することができ、当該遺失物の回収時間の短縮、回収率の向上を図ることができ、便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−118742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のシステムでは、事前に乗客や乗務員、遺失物担当の駅係員などを登録しておく必要があり、その登録の手間が煩雑となる。特に、乗客や乗務員については、その日時に運行される列車毎に登録をする必要があり、現実的ではない。しかも、特許文献1では、事前に登録された乗客や乗務員、遺失物担当の駅係員の携帯電話端末に対して、位置情報センタから現在位置の問い合わせを定期的に行うことにより、それぞれの現在位置を取得しなければならないという問題もある。
【0008】
この発明は、以上の点に鑑み、探し物を依頼する依頼先の登録が不要であって、任意の第3者に、探し物の捜索を依頼することを可能とする探し物支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、
探し物支援サーバと、前記探し物支援サーバに接続される通信事業会社の管理装置と、前記探し物支援サーバに通信ネットワークを通じて探し物支援を依頼するクライアント通信端末とからなる探し物支援システムであって、
前記通信事業会社の管理装置は、管理対象の通信端末からの現在位置情報を受信して、その受信した現在位置情報を前記管理対象の通信端末の識別情報のそれぞれに対応して記憶管理する端末位置管理手段と、前記管理対象の通信端末の識別情報に対応して前記管理対象の通信端末のそれぞれのメールアドレスを記憶する記憶手段を備え、
前記クライアント通信端末は、
少なくとも探し物を特定するための情報と、前記探し物を捜索する地域を判定するための情報とを伴う捜索依頼を、前記通信ネットワークを通じて前記探し物支援サーバに送る手段を備え、
前記探し物支援サーバは、
前記クライアント通信端末からの前記捜索依頼を、前記通信ネットワークを通じて受信する捜索依頼受信手段と、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を少なくとも伴う捜索依頼メールを生成するメール生成手段と、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、前記探し物を捜索する地域を判定する捜索地域判定手段と、
前記捜索地域判定手段で判定された前記探し物を捜索する地域の情報に基づいて、前記通信事業会社の管理装置から、前記探し物を捜索する地域に存在する前記管理対象の通信端末のメールアドレスを取得するメールアドレス取得手段と、
前記メールアドレス取得手段で取得した前記メールアドレスの全てに宛てて、前記メール生成手段で生成した前記捜索依頼メールを、前記通信ネットワークを通じて送信する手段と、
を備えることを特徴とする探し物支援システムを提供する。
【0010】
上述の構成のこの発明の探し物支援システムは、管理対象の通信端末からの現在位置情報を受信して、その受信した現在位置情報を前記管理対象の通信端末の識別情報のそれぞれに対応して記憶管理する端末位置管理手段と、前記管理対象の通信端末の識別情報に対応して前記管理対象の通信端末のそれぞれのメールアドレスを記憶する記憶手段を備える通信事業会社の管理装置を構成要素として備える。
【0011】
探し物支援サーバは、クライアント通信端末から取得した探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を少なくとも伴う捜索依頼メールを生成する。
【0012】
また、探し物支援サーバは、クライアント通信端末から取得した探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、探し物を捜索する地域を判定する。そして、探し物支援サーバは、その判定した探し物を捜索する地域に存在する管理対象の通信端末のメールアドレスを、通信事業会社の管理装置から取得する。そして、探し物支援サーバは、取得したメールアドレスの全てに宛てて、生成した捜索依頼メールを、通信ネットワークを通じて送信する。
【0013】
以上により、探し物支援サーバは、探し物が存在する可能性の高い地域を捜索すべき地域として、その捜索すべき地域に居る善意の第3者の通信端末に、捜索対象物の特徴情報を伝達して、探し物の捜索を依頼することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明による、探し物支援システムによれば、探し物の捜索を依頼する者は、その者が所持するクライアント端末を通じて、捜索する探し物を特定するための情報と、探し物を捜索する地域を特定するための情報を、探し物支援サーバに送信するだけで、捜索すべき地域に居る善意の第3者に、探し物の捜索を依頼することが可能となる。したがって、この発明によれば、探し物を依頼する依頼先の登録が不要であって、且つ、登録した依頼先に、探し物支援サーバが現在位置を問い合わせるなどという処理も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明による探し物支援システムの実施形態の全体の構成例を示すブロック図である。
【図2】この発明による探し物支援システムの実施形態を構成する探し物支援サーバのハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明による探し物支援システムの実施形態を構成するクライアント通信端末のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図4】図3の例のクライアント通信端末の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図5】この発明による探し物支援システムの実施形態を説明するために用いる図である。
【図6】この発明による探し物支援システムの実施形態を説明するために用いる図である。
【図7】図3の例の探し物支援サーバの処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図8】図3の例の探し物支援サーバの処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明による探し物支援システムの実施形態を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明による探し物支援システムの実施形態の全体の構成例を説明するための図である。この実施形態の探し物支援システムは、探し物支援サーバ1と、通信事業会社の管理装置2と、クライアント通信端末3CLと、探し物の捜索依頼を受ける通信端末(以下、依頼受信端末という)3TEとからなり、通信ネットワーク4を通じて互いに接続される。
【0017】
クライアント通信端末3CLは、探し物の捜索依頼を探し物支援サーバ1に送る端末である。探し物支援サーバ1は、このクライアント通信端末3CLからの探し物の捜索依頼を受けて、探し物を捜索する地域範囲を定め、その定めた地域範囲に存在する依頼受信端末3TEに探し物の捜索依頼メールを送信するサーバである。通信事業会社の管理装置2は、探し物支援サーバ1からの要求に応じて、探し物を捜索する地域範囲に存在する依頼受信端末3TEのメールアドレス情報を、探し物支援サーバ1に提供する装置である。
【0018】
この実施形態においては、探し物支援サーバ1と、通信事業会社の管理装置2(以下、単に管理装置2という)とは、通信事業会社の設備装置10として設けられている。通信事業会社は、この実施形態では携帯電話事業会社とされる。そして、この実施形態においては、クライアント通信端末3CLは、携帯電話端末としている。また、捜索依頼メールを受ける依頼受信端末3TEも、携帯電話端末としている。
【0019】
通信ネットワーク4は、インターネットおよび携帯電話網5を含む。携帯電話網5には、クライアント通信端末3CLの例としての携帯電話端末および依頼受信端末3TEの例としての携帯電話端末が接続されていると共に、管理装置2が接続されている。
【0020】
探し物支援サーバ1と、クライアント通信端末3CLおよび依頼受信端末3TEとは、通信ネットワーク4を通じて通信路が生成されて通信可能とされている。管理装置2と、クライアント通信端末3CLおよび依頼受信端末3TEを含む携帯電話端末とは、携帯電話網5を通じて通信路が生成されて通信可能とされている。また、探し物支援サーバ1と管理装置2とは、この実施形態では、例えば有線LANを通じて接続されている。
【0021】
そして、この実施形態では、図1に示すように、通信ネットワーク4には、後述するように、探し物の支援についての補助的な役割を担う各種のwebサイトや通信装置、図1の例では、鉄道会社のwebサイト61やバス会社のwebサイト62、警察署の通信装置63、警備会社の通信装置64および各種の団体の連絡窓口の通信装置65が接続されている。なお、各種団体には、例えば町内会、消防署、青年団、駐在所、山岳会などが含まれる。
【0022】
なお、この明細書では、説明の便宜上、クライアント通信端末3CLとなる携帯電話端末と、捜索依頼メールを受ける依頼受信端末3TEの例としての複数の携帯電話端末とを区別して示したが、携帯電話端末としては、そのような区別は無く、クライアント通信端末3CLとしての携帯電話端末が、捜索依頼のメールを受ける依頼受信端末3TEとしての携帯電話端末となることもあるし、その逆の場合もある。
【0023】
[管理装置2の構成例]
管理装置2は、この実施形態では、設備装置10を有する携帯電話事業会社と契約関係にある携帯電話端末の携帯メールアドレスと、現在位置を管理する機能を備える。そして、管理装置2は、図1に示すように、携帯メールアドレス記憶部21と、携帯電話位置管理部22とを備えると共に、図示を省略するが、例えばコンピュータからなる制御部を備え、この制御部により、携帯メールアドレス記憶部21に対する携帯メールアドレス情報の書き込み/読み出しと、携帯電話位置管理部22の各携帯電話端末の位置情報の書き込み/読み出しとを制御して管理している。
【0024】
この実施形態における捜索依頼メールを受ける依頼受信端末3TEは、この管理装置2を有する携帯電話事業会社と契約関係にある加入者端末としての携帯電話端末(クライアント通信端末3CLとなる携帯電話端末を含んでも良い)である。
【0025】
依頼受信端末3TEとなる携帯電話端末の使用者のそれぞれは、携帯電話事業会社と契約した後、その通信端末3TEを用いて管理装置3に対してアクセスして、携帯メールアドレス情報を管理装置2に対して登録するようにする。管理装置2は、各依頼受信端末3TEを含む携帯電話端末の携帯メールアドレス情報を、それぞれの携帯電話端末の識別情報に対応付けて、携帯メールアドレス記憶部21に格納保持する。この実施形態では、識別情報としては、例えば携帯電話番号(加入者番号)が用いられている。
【0026】
なお、この実施形態においては、携帯電話端末の使用者のそれぞれは、携帯電話事業会社と契約する際に、探し物支援サービスにおける探し物の捜索依頼メールの受信を許可するか否かを登録し、探し物の捜索依頼メールの受信を許可すると登録した携帯電話端末のみが依頼受信端末3TEとなる。管理装置2は、携帯電話端末のそれぞれについての探し物の捜索依頼メールの受信を許可するか否かの情報を、それぞれの識別情報に対応付けて、携帯メールアドレス記憶部21に併せて記憶している。
【0027】
管理装置2は、後述するように、探し物支援サーバ1から、携帯メールアドレスの取得要求を受信したときには、探し物の捜索依頼メールの受信を許可すると登録されている携帯電話端末、すなわち、依頼受信端末3TEについての携帯メールアドレスのみを、探し物支援サーバ1に送るようにしている。これにより、この実施形態においては、探し物の捜索依頼に対応してくれる可能性のある依頼受信端末3TEの使用者にのみ、探し物の捜索依頼メールが送信されることになるので、無駄な携帯メールの送信を排除して、効果的な探し物支援ができる。
【0028】
また、この実施形態では、依頼受信端末3TEおよびクライアント通信端末3CLを含む携帯電話端末のそれぞれは、現在位置の検出手段の例としてのGPS測位部を備える。そして、携帯電話端末のそれぞれは、電源が投入されている状態では、GPS測位部で、現在位置の測位処理を行い、所定時間毎に、測位結果の現在位置の情報(緯度、経度の情報)を、各携帯電話端末の識別情報(この例では携帯電話番号)と共に、携帯電話網5を通じて管理装置2に送信するように構成されている。
【0029】
管理装置2は、各携帯電話端末からの現在位置情報を受信し、当該受信した現在位置情報を、その受信時間と各携帯電話端末の識別情報とに対応付けて、携帯電話位置管理部22に記憶して管理している。これは、いわゆる携帯プローブ情報と呼ばれるもので、携帯電話位置管理部22には、各携帯電話端末の現在位置情報が、当該現在位置情報の受信時間に対応付けられて格納されて管理されるものである。
【0030】
また、管理装置2は、後述するように、探し物支援サーバ1から、携帯メールアドレスの取得要求を受信したときには、その取得要求に含まれる地域範囲指定情報で特定される地域範囲内にその時点で存在する依頼受信端末3TEを、携帯電話位置管理部22により検出する。そして、管理装置2は、検出した依頼受信端末3TEの識別情報を用いて、携帯メールアドレス記憶部21から、当該検出した依頼受信端末3TEの携帯メールアドレス情報を、探し物支援サーバ1に送る。
【0031】
[探し物支援サーバ1の構成例]
図2は、探し物支援サーバ1のハードウエア構成例を示すブロック図である。すなわち、探し物支援サーバ1は、制御部101に対して、システムバス100を通じて、通信インターフェース102、送受信情報処理部103、捜索対象特定部104、捜索地域特定部105、捜索依頼メール生成部106、捜索依頼先メールアドレス一時記憶部107、特定連絡先情報記憶部108、時計回路部109、LAN(Local Area Network)インターフェース110、のそれぞれが接続されて構成されている。
【0032】
制御部101は、コンピュータで構成されており、この探し物支援サーバ1の全体の処理を制御する。LANインターフェース110は、管理装置2が接続されているLANに接続されている。
【0033】
通信インターフェース102は、通信ネットワーク4に接続されている。通信インターフェース102は、通信ネットワーク4を通じて受信した受信情報を、送受信情報処理部103に転送し、また、送受信情報処理部103から送られてくる送信情報を、通信ネットワーク4を通じて通信相手に宛てて送信する。
【0034】
送受信情報処理部103は、通信インターフェース102からの受信情報を解析し、制御部101の制御にしたがって、システムバス100を通じて必要な各部に受信情報を転送する。例えば、送受信情報処理部103は、クライアント通信端末3CLからの探し物の捜索依頼を受信したときには、それを制御部101に通知すると共に、受信した捜索依頼に含まれる情報のうち、探し物を特定するための情報は捜索対象特定部104に転送し、探し物を捜索する地域を判定するための情報は捜索地域特定部105に転送する。
【0035】
なお、後述するように、この実施形態では、探し物の捜索依頼は、探し物の種別、すなわち、落し物か、忘れ物か、迷子か、徘徊老人か、などのそれぞれに応じてクライアント通信端末3CLから発せられるようにされており、探し物を特定するための情報は、その探し物の種別に応じて異なる。例えば落し物や忘れ物の場合には、対象物品名およびその外観の特徴の記述情報からなる。探し物を特定するための情報には、対象物品を撮影した撮影画像が含まれていることもある。また、迷子や徘徊老人の場合には、探し物を特定するための情報には、年齢、性別、着ていた洋服や靴などの特徴、人相などの身体的特徴などが含まれ、また、撮影画像があればそれも含まれる。
【0036】
捜索対象特定部104は、受信した探し物を特定するための情報から、捜索依頼先の第3者が、捜索対象を認識できるような探し物の特徴情報を抽出して、その抽出した探し物の特徴情報を捜索依頼メール生成部106に転送する。この探し物の特徴情報は、捜索依頼者が記述した捜索対象物についてのコメント文のテキスト情報を主として含む。受信した探し物を特定するための情報に、その探し物の撮像画像情報が含まれている場合には、捜索対象特定部104は、その撮像画像情報は、捜索依頼メールに添付する添付ファイルの情報として、捜索依頼メール生成部106に転送する。なお、この撮像画像情報には、捜索依頼者により画像の説明等のコメント文が付加される場合もあるが、それも捜索依頼メールに添付する添付情報とされる。
【0037】
捜索地域特定部105は、受信した探し物を捜索する地域を判定するための情報から、当該探し物を捜索すべき地域範囲を特定し、その特定した地域範囲の情報を、捜索依頼先メールアドレス取得部107に転送する。
【0038】
この場合に、この実施形態では、捜索対象物を落したり、忘れたりした地点が、依頼者により指定されて、受信した探し物を捜索する地域を判定するための情報に含められていた場合には、捜索地域特定部105は、当該指定された地点を中心にした所定の半径範囲を捜索すべき地域範囲と特定する。
【0039】
この実施形態では、捜索地域特定部105で特定される探し物を捜索すべき地域範囲は、ある固定地点を中心とした所定の半径の地域範囲である場合だけに限られるのではなく、電車やバスなどの運輸機関の車両などの移動地域範囲も指定可能としている。
【0040】
すなわち、後述するように、捜索対象物を落したり、忘れたりした場所が、電車やバスなどの運輸機関の車両内であるときには、クライアント通信端末3CLからの探し物の捜索依頼の情報には、当該電車やバスなどの運輸機関の車両を判定するための情報が含められて送られてくる。
【0041】
例えば電車やバスなどの運輸機関の車両を判定するための情報として、判定すべき車両の運輸機関の名称と共に、乗車駅および乗車時間や、降車駅および降車時間が送られてきた場合には、捜索地域特定部105は、前記運輸機関のwebサイト61や62にアクセスして、乗車駅および乗車時刻や、降車駅および降車時刻と、車両の運行時刻表とから、捜索すべき車両を判定する。
【0042】
そして、捜索地域特定部105は、車両の運行時刻表から、判定した捜索すべき車両のその時点における存在位置を求め、求めた車両の存在位置と、移動車両であることを示す情報とを、捜索依頼先メールアドレス取得部107に送る。
【0043】
捜索依頼先メールアドレス取得部107は、捜索地域特定部105から受信した捜索すべき地域範囲を特定するための情報から地域範囲指定情報を生成して、その生成した地域範囲指定情報を含む携帯メールアドレスの取得要求を管理装置2に送る。この場合、地域範囲指定情報は、次のような情報とされる。
【0044】
すなわち、捜索地域特定部105は、例えば探し物が落し物や忘れ物であって、落とした場所や忘れた場所として依頼者により入力された場所が、鉄道車両の中以外やバス車両の中以外、あるいは、タクシーの車内などのような移動車両以外である場合には、その入力された場所あるいはその近傍を中心とした所定の半径の地域範囲を捜索する地域範囲として特定する。また、探し物が迷子や徘徊老人であって、見失った場所が、移動車両以外である場合には、同様に、依頼者により入力された場所あるいはその近傍を中心とした所定の半径の地域範囲を捜索する地域範囲として特定する。なお、探し物が迷子や徘徊老人の場合には、捜索対象が移動することを考慮して、落し物や忘れ物の場合に比べて半径の大きい地域範囲を捜索対象範囲として特定するようにする。
【0045】
そして、捜索地域特定部105は、その特定した地域範囲の中心位置の場所名を、例えば通信ネットワーク4を通じて地図サイト(webサイト)に送って、この地図サイトから当該中心位置の緯度、経度の情報を取得する。そして、捜索地域特定部105は、その取得した中心位置の緯度、経度と、定めた半径とを、捜索依頼先メールアドレス取得部107に送信する。
【0046】
捜索依頼先メールアドレス取得部107は、この捜索地域特定部105から取得した中心位置の緯度、経度と、定めた半径の情報とを含む地域範囲指定情報を、携帯メールアドレスの取得要求に含めて管理装置2に送る。
【0047】
また、捜索地域特定部105は、捜索すべき地域範囲が、鉄道車両の中やバス車両の中、あるいは、タクシーの車内などのような移動車両内であるときには、前述のように、特定した移動車両の存在位置(緯度、経度)と、移動車両であることを示す情報とを含む地域範囲指定情報を、携帯メールアドレスの取得要求に含めて管理装置2に送る。
【0048】
すると、管理装置2は、地域範囲指定情報が、中心位置および半径で特定される地域範囲を特定する情報である場合には、その地域範囲に存在する依頼受付端末3TEとなる携帯電話端末のすべてを、携帯電話位置管理部22から検出する。そして、管理装置2は、その検出した依頼受付端末3TEの識別情報を用いて、携帯メールアドレス記憶部21から、当該検出した依頼受付端末3TEの携帯メールアドレス情報を読み出して、探し物支援サーバ1に送信する。
【0049】
また、管理装置2は、地域範囲指定情報が、移動車両の存在位置(緯度、経度)と、移動車両であることを示す情報とを含む情報である場合には、携帯電話位置管理部22において、移動車両の存在位置の近傍に存在する依頼受信端末3TEの中から、車両の移動と共に、同じ速度で移動しているであろうと推測される依頼受信端末3TEの全てを抽出し、その抽出した依頼受信端末3TEの識別情報を検出する。そして、管理装置2は、その検出した依頼受付端末3TEの識別情報を用いて、携帯メールアドレス記憶部21から、当該検出した依頼受付端末3TEの携帯メールアドレス情報を読み出して、探し物支援サーバ1に送信する。
【0050】
探し物支援サーバ1の捜索依頼先メールアドレス取得部107は、受け取った依頼受付端末3TEの携帯メールアドレス情報を一時保持するようにする。以上のようにして、捜索依頼先メールアドレス取得部107は、指定した地域範囲に存在している携帯電話端末3TEや、特定した車両内の携帯電話端末3TEの携帯メールアドレスを、管理装置2から取得する。
【0051】
捜索依頼メール生成部106は、捜索対象特定部104から受信した前記探し物の特徴情報を反映したメール文を生成する。捜索対象特定部104から撮像画像情報が送られてきている場合には、捜索依頼メール生成部106は、その撮像画像情報を、生成した捜索依頼メールの添付ファイルの情報とするようにする。
【0052】
そして、捜索依頼メール生成部106は、制御部101の制御の下に、生成した捜索依頼メールおよび添付情報を、捜索依頼先メールアドレス取得部107で取得した携帯メールアドレスの全て宛てに、同報送信する。
【0053】
特定連絡先情報記憶部108は、捜索対象地域の警察署や、探し物の捜索サービスをしてくれる警備会社の通信装置63や64への連絡先情報(電話番号やメールアドレス)を記憶している。また、特定連絡先情報記憶部108は、例えば町内会、消防署、青年団、駐在所、山岳会などの各種の団体の連絡窓口の連絡先情報(電話番号やメールアドレス)も記憶している。
【0054】
特定連絡先情報記憶部108には、これら各種団体の連絡先情報は、地域情報に関連して登録されており、探し物支援サーバ1は、捜索依頼メールを送る地域が、その地域情報で示される範囲に含まれている場合には、依頼受信端末3TEのみではなく、それらの各種団体の連絡先にも、捜索依頼メールを送るようにする。これは、例えば山菜取りに山に入った老人が行方不明になった場合には、町内会、消防団、青年団、駐在所、山岳会などにも捜索依頼をした方が良いと考えられるからである。
【0055】
時計回路部109は、カレンダ機能を備える日時情報の発生部である。この実施形態では、探し物支援サーバ1の制御部101は、探し物の捜索依頼を受信したときに、この時計回路部109の日時情報を取得し、その取得した受信日時情報を、捜索地域特定部105に送るようにする。例えば、捜索範囲が車両の場合に、降車時間からの経過時間をその受信日時情報から特定し、捜索すべき車両を特定するための補助情報として用いるようにする。
【0056】
また、この実施形態では、探し物支援サーバ1は、探し物の捜索開始時点からの経過時間に応じて、捜索する地域範囲を拡大するようにしたり、最寄の警察署や警備会社に捜索先を切り替えて依頼をしたりする機能を備えているが、前記経過時間を、この時計回路部109からの日時情報を監視することにより計測するようにしている。
【0057】
なお、図2の探し物支援サーバ1のハードウエア構成において、送受信情報処理部103、捜索対象特定部104、捜索地域特定部105、捜索依頼メール生成部106および捜索依頼先メールアドレス取得部107の処理機能は、制御部101を構成するコンピュータが、ソフトウエア処理機能として実行するように構成することもできる。
【0058】
[クライアント通信端末3CLのハードウエア構成例]
クライアント通信端末3CLは、探し物支援サーバ1に通信ネットワーク4を通じてアクセスして探し物支援サービスの要求をすることにより、当該探し物支援サービスの提供を支援するプログラム(以下、支援プログラムという)を受信して、この支援プログラムの支援の下、探し物支援サービスの提供を受けることができるように構成される。
【0059】
図3は、この実施形態におけるクライアント通信端末3CLとしての携帯電話端末のハードウエア構成例を示す図である。
【0060】
すなわち、図3に示すように、この例の携帯電話端末は、マイクロコンピュータで構成される制御部201が、システムバス200を通じて、無線通信回路部202、送受信情報処理部203、通話回路部204、ディスプレイインターフェース205、タッチパネルインターフェース206、GPS測位部207、メモリ208、のそれぞれと接続されている。
【0061】
制御部201は、携帯電話端末の電話機能やその他の各種制御処理を制御するためのものである。この例では、制御部201は、メモリ208に格納されるプログラムを実行して、後述する探し物支援サーバ1における探し物支援サービスを受けるための処理などの種々のアプリケーション処理を実行制御するようにする。
【0062】
無線通信回路部202は、携帯電話網5の基地局を通じて通信ネットワーク4に接続するためのものである。送受信情報処理部203は、無線通信回路部202を通じて受信される情報を解析し、制御部201の制御にしたがって、システムバス200を通じて必要な各部に転送すると共に、通信ネットワークに送出する送信情報を生成し、無線通信回路部202に転送する。
【0063】
通話回路部204は、電話音声の処理であり、受話器を構成するスピーカ209と送話器を構成するマイクロホン210が接続されている。
【0064】
ディスプレイインターフェース205には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ211が接続される。ディスプレイ211の表示画面上にはタッチパネル212が設けられており、このタッチパネル212は、タッチパネルインターフェース206に接続されている。
【0065】
この実施形態では、操作ボタンなどの操作入力は、このタッチパネル212を通じて行えるようにされており、ディスプレイ211の表示画面には、制御部201の制御にしたがって、文字入力キー操作画面や設定受付画面などが表示される。使用者は、このタッチパネル212に対して、指でタッチ操作したり、指でスライドさせたりする所定の振る舞いをすることにより、所定の操作入力をすることができる。
【0066】
タッチパネルインターフェース206は、タッチパネル212を通じた使用者による操作指示入力に応じた操作検出信号を、システムバス200を通じて制御部201に送出する。制御部201は、タッチパネルインターフェース206から受けた操作検出信号から、使用者により、どのような操作入力がされたかを検出し、その検出結果に応じた制御処理を行う。
【0067】
GPS測位部207は、GPS衛星からの電波を受信して、携帯電話端末の現在位置を測位して検知し、その検知した現在位置の位置情報をシステムバス200を通じて制御部201に転送する。この実施形態では、携帯電話端末の制御部201は、支援プログラムを実行して探し物支援サーバ1に探し物の捜索依頼を送る際に、このGPS測位部207で測位された現在位置の位置情報を、前記捜索依頼の情報に含めるようにする。
【0068】
この現在位置の位置情報は、探し物の捜索地域が現在地の周辺などと指定された場合を考慮して、探し物の捜索依頼の情報に含められる。また、車両から降車した駅と現在地との距離から、降車時間を推定する場合にも用いることができる。
【0069】
メモリ208は、携帯電話端末で用いられる種々のデータの格納部であり、この実施形態では、探し物支援サーバ1から取得する支援プログラムや携帯メールの送受信用プログラムなどのアプリケーションプログラムの記憶エリアであるプログラム記憶部2081と、探し物となる対象物を予め撮影した撮影画像情報を記憶する画像情報記憶部2082とを備えている。画像情報記憶部2082には、迷子になる可能性のある子供や徘徊老人を撮影した画像情報のほか、将来の捜索依頼を考慮した物品を撮影した画像情報が記憶される。
【0070】
なお、図3の携帯電話端末のハードウエア構成において、送受信情報処理部203の処理機能は、制御部201を構成するコンピュータが、ソフトウエア処理機能として実行するように構成することもできる。
【0071】
また、依頼受信端末3TEの例としての携帯電話端末も、以上の図3の例と同様のハードウエア構成を備えるものである。
【0072】
[探し物支援サービスにおける処理動作]
<クライアント通信端末3CLにおける処理動作>
次に、クライアント通信端末3CLにおける探し物支援サービスにおける探し物の捜索依頼の実行時の処理動作例の流れを、図4のフローチャートおよび図5、図6のディスプレイ211の表示画面の例を参照しながら以下に説明する。
【0073】
クライアント通信端末3CLの制御部201は、タッチパネルインターフェース206の出力を監視して、探し物支援サービスを受けるための起動指示入力があったか否か判別し(ステップS1)、起動指示入力がなかったと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS2)、その処理の終了後、処理をステップS1に戻す。
【0074】
ステップS1で、探し物支援サービスを受けるための起動指示入力があったと判別したときには、制御部201は、メモリ208に格納されている支援プログラムを起動させて、その処理動作を開始する(ステップS3)。そして、制御部201は、その支援プログラムにしたがって、以下の処理を行う。
【0075】
先ず、制御部201は、探し物支援サーバ1に探し物支援サービスのためのアクセスをして、探し物支援サーバ1と通信ネットワーク4を通じて接続し、ディスプレイ211の表示画面に、捜索依頼する探し物の種別の一覧や捜索依頼者の入力欄を表示して、その入力を促すようにする(ステップS4)。
【0076】
図5は、ディスプレイ211の表示画面211Dに表示される捜索依頼する探し物の種別や捜索依頼者の入力画面の一例を示すものである。図5に示すように、この例では、この入力画面には、氏名、住所、連絡先の電話番号およびメールアドレスなどの捜索依頼者情報の入力欄221が表示されると共に、「落し物」、「忘れ物」、「迷子」、「徘徊」、「その他」などからなる探し物の種別の一覧222が表示され、その入力および選択が促される。連絡先の電話番号およびメールアドレスは、探し物支援サーバ1からの捜索結果を受ける連絡先となる。なお、「迷子」には、ペットを含む。
【0077】
そして、制御部201は、タッチパネルインターフェース206の出力を監視して、決定ボタンアイコン223がタッチ操作されたか否かにより、捜索依頼者情報の入力や探し物の種別の選択入力の受け付けを完了したか否か判別する(ステップS5)。このステップS5で、捜索依頼者情報の入力や探し物の種別の選択入力の受け付けを完了してはいないと判別したときには、制御部201は、支援プログラムの終了操作(中止ボタンアイコン224の操作)があったか否か判別し(ステップS6)、終了操作があったと判別したときには、支援プログラムを終了し(ステップS7)、処理をステップS1に戻す。また、ステップS6で、終了操作がなかったと判別したときには、制御部201は、処理をステップS5に戻す。
【0078】
ステップS5で、捜索依頼者情報の入力や探し物の種別の選択入力の受け付けを完了したと判別したときには、制御部201は、ディスプレイ211の表示画面211Dに、使用者により選択された探し物の種別に応じた探し物依頼入力ページを表示する(ステップS8)。
【0079】
探し物の種別に応じて探し物依頼入力ページを変更するようにしたのは、落し物や忘れ物の捜索依頼の場合と、迷子や徘徊老人の捜索依頼の場合とでは、探し物を特定するための情報が異なるので、その違いを考慮した適切な情報を、探し物を特定するための情報として、探し物支援サーバ1に送れるようにするためである。
【0080】
図6に、探し物の種別が「忘れ物」である場合に、ディスプレイ211の表示画面211Dに表示される探し物依頼入力ページの例を示す。
【0081】
すなわち、この探し物依頼入力ページには、忘れ物は何かをテキスト文字で入力する入力欄231が設けられ、使用者の文字入力を受け付ける。また、忘れ物の画像がメモリ208の画像情報記憶部2082に記憶されていて、その画像を使用者が捜索依頼に添付したいとしたときのための、画像情報の添付の「有」「無」の指定欄232も設けられている。
【0082】
画像情報の添付の「有」が選択されたときには、図示は省略するが、表示画面211Dには、メモリ208の画像情報記憶部2082に格納されている画像情報の一覧が表示され、その中から添付する画像ファイル名を使用者に選択させるようにする。
【0083】
更に、この例の探し物依頼入力ページには、忘れ物をした日時の入力欄233、忘れ物をした場所の入力欄234、謝礼を提供するか否かの入力欄235、見つからなかった場合に警察や警備会社に捜索を依頼するかどうかの入力欄236などが表示される。
【0084】
忘れ物の場所の入力欄234は、忘れた場所が、鉄道車両の中、バス車両の中、施設である場合には、そのための入力を促すように構成されている。そして、鉄道車両の中およびバス車両の中が忘れた場所として選択されたときには、鉄道会社やバス会社の一覧が表示されて、その中から選択指定することができるようにされていると共に、図示は省略するが、乗車駅、乗車時刻、降車駅、降車時刻の入力画面が更に表示されて、その入力ができるようにされている。
【0085】
また、忘れた場所として、施設が選択された場合には、使用者は、その施設名の文字入力ができるようにされている。また、忘れた場所が、鉄道車両の中以外、バス車両の中以外、施設以外の場合には、使用者は、その場所を特定する文字を入力するようにされている。なお、忘れた場所は、鉄道車両の中以外やバス車両の中以外、あるいは、タクシーの車内などのような移動車両以外であるときには、忘れ物をしたであろう固定的な場所名や施設名などにより入力指定されることになるが、その入力指定される場所は、一つではなく、複数であっても良い。また、「○○駅の近く」などの曖昧な表現であっても良い。
【0086】
なお、入力指定された場所が複数の場合には、探し物支援サーバ1では、それらの指定された場所をそれぞれ中心とした地域範囲の全てを、捜索範囲として特定する。また、曖昧な表現の場所の場合には、その曖昧な表現で示される地点を中心として若干広い半径範囲を捜索範囲として特定するようにする。
【0087】
また、謝礼を提供するか否かの入力欄235には、「謝礼の提供をする」、「謝礼の提供をしない」の選択入力の他、謝礼を提供する場合には、その金額を記入してもよい。
【0088】
更に、見つからなかった場合に警察や警備会社に捜索を依頼するかどうかの入力欄236においては、「警察に届ける」、「警備会社に依頼する」、「連絡不要」が選択可能とされている。後述するように、探し物支援サーバ1は、「警察に届ける」あるいは「警備会社に依頼する」が選択されている場合には、捜索開始から所定時間経過後に、指示された通りに、「警察に届ける」あるいは「警備会社に依頼する」を実行する。なお、何等かの事情により、警察や警備会社に依頼が困難な場合には、探偵社や捜索専門会社に捜索を依頼するようにしても良い。
【0089】
以上は、探し物が「忘れ物」の場合の入力ページの例であるが、「落し物」の場合の入力ページもほぼ同様に構成することができる。一方、探し物が「迷子」や「徘徊老人」などの場合の入力ページの場合には、対象人物の性別、年齢、身体的特徴、見失った場所、などの入力項目が必要になる。
【0090】
クライアント通信端末3CLの使用者(依頼者)は、上記の探し物依頼入力ページへの入力が完了すると、依頼実行のボタンアイコン237をタッチ操作する。また、探し物の捜索依頼を中止するときには、使用者は、中止ボタンアイコン238をタッチ操作する。
【0091】
そこで、クライアント通信端末3CLの制御部201は、タッチパネルインターフェース206の出力を監視して、依頼実行のボタンアイコン227がタッチ操作されたか否かにより、捜索依頼の実行指示入力を受け付けたか否か判別する(ステップS9)。このステップS9で、捜索依頼の実行指示入力を受け付けてはいないと判別したときには、制御部201は、支援プログラムの終了操作(中止ボタンアイコン228の操作)があったか否か判別し(ステップS10)、終了操作があったと判別したときには、支援プログラムを終了し(ステップS7)、処理をステップS1に戻す。また、ステップS10で、終了操作がなかったと判別したときには、制御部201は、処理をステップS9に戻す。
【0092】
ステップS9で、捜索依頼の実行指示入力を受け付けたと判別したときには、制御部201は、探し物支援サーバ1に、通信ネットワーク4を通じて探し物の捜索依頼を送信する(ステップS11)。この探し物の捜索依頼には、図6に例を示した探し物依頼入力ページに入力された情報および添付の指定をされた画像情報を含む。
【0093】
そして、制御部201は、探し物支援サーバ1からの受信確認応答の受信を待ち(ステップS12)、探し物支援サーバ1からの受信確認応答の受信を判別したときには、支援プログラムを終了し(ステップS7)、処理をステップS1に戻す。
【0094】
[探し物支援サーバ1の処理動作例]
次に、探し物支援サーバ1における探し物支援サービス実行時の処理動作例の流れを、図7および図8のフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、以下のフローチャートの説明は、図2に示した送受信情報処理部103、捜索対象特定部104、捜索地域特定部105、捜索依頼メール生成部106および捜索依頼先メールアドレス取得部107の処理機能を、探し物支援サーバ1の制御部101を構成するコンピュータが、ソフトウエア処理機能として実行するように構成した場合としている。
【0095】
すなわち、探し物支援サーバ1の制御部101は、クライアント通信端末3CLからの探し物の捜索依頼を受信したか否か判別し(ステップS21)、探し物の捜索依頼を受信してはいないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS22)、その処理の終了後、処理をステップS21に戻す。
【0096】
ステップS21で、探し物の捜索依頼を受信したと判別したときには、制御部101は、その探し物の捜索依頼に含まれる情報を受け付けて一時保持すると共に、受信確認応答をクライアント通信端末3CLに返す(ステップS23)。この一時保持する情報の中には、捜索依頼メールに添付する画像情報も含まれる。
【0097】
次に、制御部101は、一時保持した情報から探し物を捜索する地域範囲を特定するための情報を抽出して、捜索する地域範囲や鉄道やバスなどの移動車両を特定し、その特定した地域範囲や移動車両を特定するための地域範囲指定情報を生成する(ステップS24)。
【0098】
次に、制御部101は、生成した地域範囲指定情報を管理装置2に送信して、地域範囲指定情報で特定される範囲内に存在する依頼受信端末3TEの携帯メールアドレス情報を、管理装置2から取得するようにする(ステップS25)。
【0099】
次に、制御部101は、ステップS23で一時保持している情報を用いて、依頼受信端末3TEに送信する捜索依頼メールを生成し(ステップS26)、生成した捜索依頼メールを、ステップS25で携帯メールアドレス情報を取得した依頼受信端末3TEの全てに宛てて送信する(ステップS27)。この際に、添付する画像情報がある場合には、その画像情報が、捜索依頼メールに添付されて送信される。
【0100】
次に、制御部101は、特定連絡先情報記憶部108の記憶内容を参照して、地域範囲指定情報で特定される地域範囲に関連して登録されている捜索依頼先が有るか否か判別する(図8のステップS31)。
【0101】
このステップS31で、地域範囲指定情報で特定される地域範囲に関連して登録されている捜索依頼先が有ると判別したときには、制御部101は、その登録された捜索依頼先にも、捜索依頼メールを送信する(ステップS32)。
【0102】
このステップS32の後、あるいは、ステップS31で、地域範囲指定情報で特定される地域範囲に関連して登録されている捜索依頼先は無いと判別したときには、制御部101は、予め定めた所定時間経過したか否か判別する(ステップS33)。このステップS33で、所定時間経過していないと判別したときには、例えば依頼受信端末3TEのいずれかから探し物の捜索依頼に対して応答があって、捜索が不要になったなどの理由により、捜索終了の指示があったか否か判別する(ステップS34)。
【0103】
このステップS34で捜索終了の指示があったと判別したときには、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS34で捜索終了の指示は無いと判別したときには、制御部101は、処理をステップS33に戻す。
【0104】
ステップS33で所定時間経過したと判別したときには、制御部101は、捜索する地域範囲を拡大し、その拡大した地域範囲に存在する依頼受信端末3TEの携帯メールアドレス情報を、前述と同様にして、管理装置2から取得する(ステップS35)。そして、制御部101は、ステップS35で取得した全ての携帯メールアドレス宛てに、捜索依頼メールを再送信する(ステップS36)。なお、このステップS36では、拡大する前の地域範囲に存在していて、捜索依頼メールを既に送信した依頼受信端末3TEには、捜索依頼メールを再送信しないようにしても良い。
【0105】
次に、制御部101は、予め定めた所定時間経過したか否か判別する(ステップS37)。このステップS37で、所定時間経過していないと判別したときには、捜索終了の指示があったか否か判別する(ステップS38)。このステップS38で捜索終了の指示があったと判別したときには、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS38で捜索終了の指示は無いと判別したときには、制御部101は、処理をステップS37に戻す。
【0106】
ステップS33で所定時間経過したと判別したときには、制御部101は、ステップS23で一時保持した情報を参照して、捜索依頼先の切り替え要求が有るか否か判別する(ステップS39)。このステップS39で、捜索依頼先の切り替え要求が有ると判別したときには、指定された捜索依頼先、例えば警察署あるいは警備会社の最寄の連絡先に、捜索依頼メールを送る、あるいは、電話連絡をするなどにより、捜索依頼をする(ステップS40)。そして、この処理ルーチンを終了する。ステップS39で、捜索依頼先の切り替え要求がない判別したときにも、この処理ルーチンを終了する。
【0107】
なお、依頼受信端末3TEの使用者が、捜索依頼メールに対して返信したときには、その返信メールは探し物支援サーバ1に送られる。そして、探し物支援サーバ1は、その返信メールを、捜索依頼者に転送する。しかし、捜索依頼メールに、返信の宛先として、捜索依頼者のメールアドレスを記述しておくようにして、返信メールが捜索依頼者に直接に送られるようにしても良い。
【0108】
[実施形態の効果]
以上のようにして、上述の実施形態によれば、捜索依頼者は、探し物支援サーバに捜索依頼するだけで、捜索依頼メールを、捜索依頼に応じて特定される捜索すべき地域に居る善意の第3者の依頼受信端末に送ることができる。したがって、落し物や忘れ物あるいは迷子や徘徊老人に対して、迅速に対応することができる。
【0109】
また、上述の実施形態によれば、捜索範囲は、鉄道やバスなどの移動車両の範囲とすることもできるという効果がある。したがって、忘れ物などだけではなく、子供だけ乗り遅れた、降り遅れたなどの場合にも、有効な捜索支援ができる。
【0110】
また、探し物支援サーバ1は、捜索依頼メールの依頼受信端末への送信から、ある程度の時間が経過したら、捜索依頼者の要求に応じて、警察や警備会社への捜索依頼に切り替えるようにしたので、捜索依頼者は、自分で警察に依頼したり、警備会社の捜索サービスを依頼したりする必要が無く、便利である。
【0111】
また、探し物支援サーバ1は、捜索依頼メールの依頼受信端末への送信から所定時間経過したら、捜索範囲を拡大して捜索依頼メールを再送信するようにするので、効果的な捜索ができ、特に、迷子や徘徊老人の捜索に有益である。
【0112】
また、上述の実施形態では、探し物を特定するための情報として、予め撮影した保持している画像情報を含めることができるので、探し物を特定するのに有益である。
【0113】
[他の実施形態または変形例]
なお、上述の実施形態では、クライアント通信端末は、携帯電話端末である場合としたが、この発明による探し物支援システムにおいては、クライアント通信端末は、探し物支援サーバに探し物の捜索依頼をすることができる通信端末であれば、どのような通信端末でも良い。
【0114】
また、上述の実施形態では、探し物の捜索依頼は、探し物支援サーバ1に対して通信ネットワークを通じてアクセスして接続して、探し物依頼ページに、依頼内容を入力することで行うようにした。しかしながら、依頼者が、探し物支援サーバ1の運営会社に電話をかけて、通話音声により依頼内容を、探し物支援サーバ1の運営会社のオペレータに伝えるようにしても良い。その場合には、探し物依頼の内容情報は、探し物支援サーバ1の運営会社のオペレータが探し物支援サーバ1に入力するようにする。
【0115】
また、上述の実施形態では、管理装置2は、探し物支援サーバ1と別の装置の構成としたが、探し物支援サーバ1内に、管理装置2と同じ機能部を設けるようにしても勿論良い。
【0116】
また、上述の実施形態では、探し物支援サーバ1と管理装置2とは、通信事業会社が備えるようにしたが、探し物支援サーバ1は、通信事業会社とは別の会社が運営するようにしても良い。その場合には、探し物支援サーバ1と、管理装置2とは、通信ネットワーク4を通じて接続される構成となる。
【符号の説明】
【0117】
1…探し物支援サーバ、2…通信端末の管理装置、3CL…クライアント通信端末、3TE…依頼受信端末、4…通信ネットワーク、5…携帯電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探し物支援サーバと、前記探し物支援サーバに接続される通信事業会社の管理装置と、前記探し物支援サーバに通信ネットワークを通じて探し物支援を依頼するクライアント通信端末とからなる探し物支援システムであって、
前記通信事業会社の管理装置は、管理対象の通信端末からの現在位置情報を受信して、その受信した現在位置情報を前記管理対象の通信端末の識別情報のそれぞれに対応して記憶管理する端末位置管理手段と、前記管理対象の通信端末の識別情報に対応して前記管理対象の通信端末のそれぞれのメールアドレスを記憶する記憶手段を備え、
前記クライアント通信端末は、
少なくとも探し物を特定するための情報と、前記探し物を捜索する地域を判定するための情報とを伴う捜索依頼を、前記通信ネットワークを通じて前記探し物支援サーバに送る手段を備え、
前記探し物支援サーバは、
前記クライアント通信端末からの前記捜索依頼を、前記通信ネットワークを通じて受信する捜索依頼受信手段と、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を少なくとも伴う捜索依頼メールを生成するメール生成手段と、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、前記探し物を捜索する地域を判定する捜索地域判定手段と、
前記捜索地域判定手段で判定された前記探し物を捜索する地域の情報に基づいて、前記通信事業会社の管理装置から、前記探し物を捜索する地域に存在する前記管理対象の通信端末のメールアドレスを取得するメールアドレス取得手段と、
前記メールアドレス取得手段で取得した前記メールアドレスの全てに宛てて、前記メール生成手段で生成した前記捜索依頼メールを、前記通信ネットワークを通じて送信する手段と、
を備えることを特徴とする探し物支援システム。
【請求項2】
前記通信事業会社の管理装置の前記端末位置管理手段は、前記捜索依頼メールの受信を許可している前記通信端末の前記メールアドレスを前記探し物支援サーバに送出する
ことを特徴とする請求項1に記載の探し物支援システム。
【請求項3】
前記探し物支援サーバは、前記通信事業会社が備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の探し物支援システム。
【請求項4】
前記通信事業会社は、携帯電話事業会社であり、
前記管理対象の通信端末は、現在位置の検出手段を備え、前記検出手段で検出した現在位置の情報を前記通信事業会社の設備装置に送信する携帯電話端末である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項5】
前記捜索対象物の特徴情報は、前記クライアント通信端末からの捜索依頼に伴う捜索対象物の画像情報を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項6】
前記探し物支援サーバは、
前記捜索依頼メールの送信時点よりも所定時間経過したときに、前記通信事業会社の管理装置から、拡大した探し物を捜索する地域に存在する前記管理対象の通信端末のメールアドレスを取得し、取得した前記メールアドレスの全てに宛てて、前記メール生成手段で生成した前記捜索依頼メールを送信する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項7】
前記探し物支援サーバは、
前記捜索依頼メールの送信時点よりも所定時間経過したときに、前記捜索依頼を警察署または警備会社の連絡先に送る
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項8】
前記捜索対象物が運輸機関の車両内での忘れ物の場合に、前記捜索する地域を判定するための情報は降車駅と降車時間についての情報を含み、前記探し物支援サーバは、前記降車駅と降車時間と前記車両の運行情報から、前記忘れ物が存在すると推定される車両を特定し、前記特定した車両に乗車している人が所持している通信端末のメールアドレスを前記通信事業会社の管理装置から取得し、取得した前記メールアドレスの全てに宛てて、前記メール生成手段で生成した前記捜索依頼メールを送信する
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項9】
前記探し物支援サーバには、捜索地域に応じて、探し物を支援する団体の連絡先が登録されており、前記探し物支援サーバは、前記判定した捜索する地域について前記探し物を支援する団体の連絡先が登録されているときには、前記登録された連絡先にも、前記捜索依頼メールをする
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の探し物支援システム。
【請求項10】
探し物支援サーバと、前記探し物支援サーバに接続される通信事業会社の管理装置と、前記探し物支援サーバに通信ネットワークを通じて探し物支援を依頼するクライアント通信端末とからなり、前記通信事業会社の管理装置は、管理対象の通信端末からの現在位置情報を受信して、その受信した現在位置情報を前記管理対象の通信端末の識別情報のそれぞれに対応して記憶管理する端末位置管理手段と、前記管理対象の通信端末の識別情報に対応して前記管理対象の通信端末のそれぞれのメールアドレスを記憶する記憶手段を備え、前記クライアント通信端末は、少なくとも探し物を特定するための情報と、前記探し物を捜索する地域を判定するための情報とを伴う捜索依頼を前記探し物支援サーバに送る手段を備える探し物支援システムにおける前記探し物支援サーバが備えるコンピュータを、
前記クライアント通信端末からの前記捜索依頼を、前記通信ネットワークを通じて受信する捜索依頼受信手段、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を少なくとも伴う捜索依頼メールを生成するメール生成手段、
前記捜索依頼に伴って取得した前記探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、前記探し物を捜索する地域を判定する捜索地域判定手段、
前記捜索地域判定手段で判定された前記探し物を捜索する地域の情報に基づいて、前記通信事業会社の管理装置から、前記探し物を捜索する地域に存在する前記管理対象の通信端末のメールアドレスを取得するメールアドレス取得手段、
前記メールアドレス取得手段で取得した前記メールアドレスの全てに宛てて、前記メール生成手段で生成した前記捜索依頼メールを、前記通信ネットワークを通じて送信する手段、
として機能させるための探し物支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109685(P2013−109685A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255826(P2011−255826)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】