説明

搬送装置、搬送制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】ディスク等の搬送対象物に異物が付着しているか否かを適切に判定する。
【解決手段】搬送装置(10)は、回転しながら搬送対象物(1)に接触することで搬送対象物を搬送する第1搬送手段(21)と、第1搬送手段との間に搬送対象物を挟持しながら回転することで、第1搬送手段と協働して搬送対象物を搬送する第2搬送手段(31)と、第1及び第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、搬送対象物とは異なる異物が搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段(40)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCDドライブやDVDドライブやBDドライブ等の搬送装置、このような搬送装置において行われる搬送対象物の搬送制御方法及びこのような搬送装置を制御するコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)や、CD(Compact Disc)、ブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc)等のディスクに対し、情報の記録又は再生を行うディスクドライブがある。ディスクドライブは、ディスクプレーヤや、ディスクレコーダや、オーディオシステムや、パーソナルコンピュータや、カーナビゲーションシステム等の様々な装置に用いられている。
【0003】
このようなディスクドライブにおけるディスクの搬送(具体的には、例えば、ローディング及びイジェクト等)の方式の一つとして、スロットイン方式がある。スロットイン方式のディスクドライブでは、搬送用のローラーがディスクの搬送方向に沿って回転しながらディスクの表面に接触し、その結果、当該ローラーの回転に合わせてディスクが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−90539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように搬送用のローラーが回転しながらディスクの表面に接触することでディスクの搬送を実現する場合には、以下に示す技術的な問題点が生じてしまいかねない。具体的には、例えば、ディスクの表面に紙片やカード等の異物が付着している場合には、ディスクのみならず当該異物が誤ってディスクドライブ内に搬送されてしまう。その結果、当該異物がディスクドライブ内部の機構の正常な動作に悪影響を与えてしまいかねないという技術的な問題点が生ずる。このため、異物が誤ってディスクドライブ内に搬送されてしまうことを防止するためには、まずは、ディスクに異物が付着しているか否かを適切に判定することが好ましい。
【0006】
尚、ディスクに限らず、例えば各種カードや各種紙書類等をスロットイン方式に準拠した又は類似した方式で搬送するドライブにおいても、同様の技術的な問題点が生ずる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、ディスク等の搬送対象物に異物が付着しているか否かを適切に判定することが可能な搬送装置、搬送制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、搬送装置は、搬送される搬送対象物に接触しながら回転することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために、搬送制御方法は、搬送される搬送対象物に接触しながら回転することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段とを備える搬送装置における前記搬送対象物の搬送制御方法であって、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様を検出する検出工程と、前記検出工程における検出結果に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定工程とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために、コンピュータプログラムは、搬送される搬送対象物に接触しながら回転することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段とを備える搬送装置を制御するコンピュータプログラムであって、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段として前記搬送装置を機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ディスクドライブの外観を示す斜視図である。
【図2】ディスクドライブの内部構成を示す平面図である。
【図3】ディスクドライブによる光ディスクの搬送動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】ディスクドライブによる光ディスクの搬送動作の一過程を示す断面図である。
【図5】変形例のディスクドライブの内部構成を示す平面図である。
【図6】変形例のディスクドライブによる光ディスクの搬送動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】変形例のディスクドライブによる光ディスクの搬送動作の一過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、搬送装置、搬送制御方法及びコンピュータプログラムの実施形態について順に説明する。
【0013】
(搬送装置の実施形態)
本実施形態の搬送装置は、搬送される搬送対象物に接触しながら回転することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段とを備える。
【0014】
本実施形態の搬送装置によれば、第1搬送手段及び第2搬送手段は、互いに協働することで、搬送対象物を搬送装置の外部から内部へと搬送(つまり、ローディング)する。或いは、第1搬送手段及び第2搬送手段は、互いに協働することで、搬送対象物を搬送装置の内部から外部へと搬送(つまり、イジェクト)してもよい。尚、搬送対象物は、例えば、スロットイン方式によって又はスロットイン方式に準拠した若しくは類似した方式によって搬送される任意の対象物を示す趣旨である。このため、搬送対象物は、例えば板状の、シート状の又はカード状の形状を有していることが好ましい。このような搬送対象物として、例えば、CDやDVDやBD等の光ディスクや、MD(Mini Disc)等のカートリッジ付きのディスクや、クレジットカードやキャッシュカードやポイントカードや駐車券等の各種カードや、各種書類等が一具体例としてあげられる。
【0015】
具体的には、第1搬送手段及び第2搬送手段の夫々は、回転可能な態様で搬送装置に備え付けられている。例えば、第1搬送手段及び第2搬送手段は、搬送対象物を搬送する方向に向かって回転する。このとき、第1搬送手段の少なくとも一部は、第2搬送手段との間に搬送対象物を挟持するように搬送対象物の表面に接触している。言い換えれば、第2搬送手段の少なくとも一部は、第1搬送手段との間に搬送対象物を挟持するように搬送対象物の表面に接触している。その結果、第1搬送手段及び第2搬送手段の回転に合わせて、搬送対象物が搬送される。言い換えれば、搬送対象物の搬送に伴って、当該搬送対象物と接触する第1搬送手段及び第2搬送手段もまた回転する。
【0016】
第1搬送手段及び第2搬送手段の一方は、例えばモータ等の駆動手段からギア等の駆動力伝達手段を介して駆動力の供給を受けることで自発的に回転してもよい。一方で、第1搬送手段及び第2搬送手段のうちの他方は、例えばモータ等の駆動手段から駆動力の供給を受けることで自発的に回転してもよい。或いは、第1搬送手段及び第2搬送手段のうちの他方は、例えばモータ等の駆動手段やギア等の駆動力伝達手段から切り離された状態で自由に回転してもよい。つまり、第1搬送手段及び第2搬送手段のうちの他方は、駆動力の供給を受けることなく、搬送対象物の搬送に伴って自発的に回転してもよい。或いは、第1搬送手段及び第2搬送手段の双方が、駆動力の供給を受けることなく、搬送対象物の搬送に伴って自発的に回転してもよい。
【0017】
本実施形態では特に、判定手段は、搬送対象物とは異なる異物が、搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを判定する。このとき、判定手段は、第1搬送手段の回転の態様及び第2搬送手段の回転の態様に基づいて、搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを判定する。
【0018】
ここで、仮に、搬送対象物の表面に異物が張り付いた状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている状況を想定する。また、異物は、搬送対象物の2つの表面(つまり、表側の表面及び裏側の表面)のうちの表側の表面に張り付いているとする。また、第1搬送手段は、搬送対象物の2つの表面のうちの表側の表面に接触し、第2搬送手段は、搬送対象物の2つの表面のうちの裏側の表面に接触するものとする。この場合、第2搬送手段は、搬送対象物の表面(つまり、裏側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。一方で、第1搬送手段の少なくとも一部は、異物の存在により、搬送対象物の表面(つまり、表側の表面)に直接的に接触することができない。言い換えれば、第1搬送手段の少なくとも一部は、搬送対象物の表面に張り付いている異物に直接接触する。つまり、第1搬送手段は、異物に直接的に接触しながら回転する。言い換えれば、第1搬送手段は、第1搬送手段の少なくとも一部が搬送対象物の表面(つまり、表側の表面)に接触していない状態で回転する。このとき、搬送対象物と異物との間の摩擦力によっては、異物が搬送対象物に対して滑ることがある。従って、異物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性がある。
【0019】
一方で、搬送対象物の表面に異物が張り付いていない状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている状況を想定する。この場合、第2搬送手段は、搬送対象物の表面(つまり、裏側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。同様に、第1搬送手段は、搬送対象物の表面(つまり、表側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。従って、搬送対象物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、同一の搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。
【0020】
以上の説明した状況を考慮すれば、判定手段は、第1搬送手段の回転の態様及び第2搬送手段の回転の態様に基づいて、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0021】
本実施形態の搬送装置の一の態様では、前記判定手段は、(i)前記第1搬送手段の回転の態様と前記第2搬送手段の回転の態様とが同期していない場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1搬送手段の回転の態様と前記第2搬送手段の回転の態様とが同期している場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定する。
【0022】
この態様によれば、判定手段は、第1搬送手段の回転と第2搬送手段の回転とが同期しているか否かを監視することで、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0023】
より具体的には、上述したように、仮に、搬送対象物の表面に異物が張り付いた状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、異物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性がある。一方で、搬送対象物の表面に異物が張り付いていない状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、搬送対象物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、同一の搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。従って、判定手段は、第1搬送手段の回転と第2搬送手段の回転とが同期しているか否かを監視することで、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0024】
本実施形態の搬送装置の他の態様では、前記判定手段は、(i)前記第1搬送手段の回転によって実現される搬送量と前記第2搬送手段の回転によって実現される搬送量との差分が所定値以上である場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1搬送手段の回転によよって実現される搬送量と前記第2搬送手段の回転によって実現される搬送量との差分が前記所定値未満である場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定する。
【0025】
この態様によれば、判定手段は、第1搬送手段の回転によって実現される搬送量及び第2搬送手段の回転によって実現される搬送量を監視することで、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0026】
上述したように、仮に、搬送対象物の表面に異物が張り付いた状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、異物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性がある。従って、第1搬送手段に回転によって実現される搬送量(つまり、異物の搬送量)と、第2搬送手段の回転によって実現される搬送量(つまり、搬送対象物の搬送量)との間にずれが生ずる可能性がある。一方で、搬送対象物の表面に異物が張り付いていない状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、搬送対象物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、同一の搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。従って、第1搬送手段に回転によって実現される搬送量(つまり、搬送対象物の搬送量)と、第2搬送手段の回転によって実現される搬送量(つまり、同一の搬送対象物の搬送量)との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。従って、この態様によれば、判定手段は、第1搬送手段の回転と第2搬送手段の回転とが同期しているか否かを監視することで、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0027】
尚、判定手段は、第1搬送手段の回転によって実現される搬送量及び第2搬送手段の回転によって実現される搬送量を直接的に監視してもよい。或いは、判定手段は、第1搬送手段の回転によって実現される搬送量及び第2搬送手段の回転によって実現される搬送量を、搬送装置における搬送の態様を特定することが可能な任意のパラメータを監視することによって間接的に監視してもよい。
【0028】
本実施形態の搬送装置の他の態様では、前記第1搬送手段を、前記搬送対象物を搬送する際に前記第1搬送手段が回転する方向とは逆の方向に回転させるための駆動力を前記第1搬送手段に加える第1駆動手段を更に備え、前記判定手段は、(i)前記第1駆動手段によって前記駆動力が加えられた結果、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていない場合の回転の態様と比較して、前記第1搬送手段の回転の態様に変化が生じた場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1駆動手段によって前記駆動力が加えられた結果、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていない場合の回転の態様と比較して、前記第1搬送手段の回転の態様に変化が生じない場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定する。
【0029】
この態様によれば、第1駆動手段によって第1搬送手段に加えられる駆動力によって、異物と搬送対象物との間の滑りをいわば強制的に発生させることができる。その結果、仮に、搬送対象物の表面に異物が張り付いた状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、駆動力が加えられることで、異物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間にずれが生ずることになる。一方で、搬送対象物の表面に異物が張り付いていない状態で搬送対象物が第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されている場合には、駆動力が加えられたとしても、搬送対象物に接触しながら回転する第1搬送手段の回転の態様と、同一の搬送対象物に接触しながら回転する第2搬送手段の回転の態様との間に依然としてずれは生じない。このため、判定手段は、異物が搬送対象物と共に第1搬送手段及び第2搬送手段によって搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0030】
上述の如く第1駆動手段を更に備える搬送装置の態様では、前記第1搬送手段に加えられる、前記搬送対象物を搬送する際に前記第1搬送手段が回転する方向とは逆の方向に回転させるための駆動力は、前記搬送対象物を搬送するための駆動力よりも小さいように構成してもよい。
【0031】
このように構成すれば、第1駆動手段から加えられる駆動力が、搬送対象物の搬送(つまり、第1駆動手段から加えられる駆動力とは逆の駆動力によって実現される搬送対象物の搬送)にそれほど、又は殆ど若しくは全く影響を与えることはない。従って、搬送対象物の搬送に対する悪影響を最小限に抑えつつ、第1駆動手段から加えられる駆動力によって、異物と搬送対象物との間の滑りをいわば強制的に発生させることができる。
【0032】
上述の如く第1駆動手段を更に備える搬送装置の態様では、前記第2搬送手段を回転させて前記搬送対象物を搬送させるための駆動力を加える第2駆動手段を更に備えるように構成してもよい。
【0033】
このように構成すれば、第1駆動手段から加えられる駆動力によって異物と搬送対象物との間の滑りをいわば強制的に発生させる一方で、第2駆動手段から加えられる駆動力によって搬送対象物の搬送が行われる。従って、搬送対象物の搬送に対する悪影響を最小限に抑えつつ、異物と搬送対象物との間の滑りをいわば強制的に発生させることができる。
【0034】
尚、第2駆動手段が加える駆動力は、第1搬送手段に加えられてもよいし、第2搬送手段に加えられてもよいし、第1搬送手段及び第2搬送手段の双方に加えられてもよい。
【0035】
(搬送制御方法の実施形態)
本実施形態の搬送制御方法は、回転しながら搬送対象物に接触することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段とを備える搬送装置における前記搬送対象物の搬送制御方法であって、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様を検出する検出工程と、前記検出工程における検出結果に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定工程とを備える。
【0036】
本実施形態の搬送制御方法によれば、上述した本実施形態の搬送装置が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0037】
尚、上述した本実施形態の搬送装置における各種態様に対応して、本実施形態の搬送制御方法も各種態様を採ることが可能である。
【0038】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本実施形態のコンピュータプログラムは、回転しながら搬送対象物に接触することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段とを備える搬送装置を制御するコンピュータプログラムであって、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段として前記搬送装置を機能させる。
【0039】
本実施形態のコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態の搬送装置が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0040】
尚、上述した本実施形態の搬送装置における各種態様に対応して、本実施形態のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
【0041】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の搬送装置は、第1搬送手段と、第2搬送手段と、判定手段とを備える。本実施形態の搬送制御方法は、検出工程と、判定工程とを備える。本実施形態のコンピュータプログラムは、搬送装置を判定手段として機能させる。従って、搬送対象物に異物が付着しているか否かを適切に判定することができる。
【実施例】
【0043】
以下、図面を参照しながら、搬送装置、搬送制御方法及びコンピュータプログラムの実施例について説明する。尚、以下では、搬送装置を、光ディスク1用のディスクドライブ10に適用した例について説明する。但し、搬送装置を、光ディスク1用のディスクドライブ10以外の任意の装置に対して適用してもよい。
【0044】
(1)ディスクドライブの外観
図1を参照して、本実施例のディスクドライブ10の外観について説明する。図1は、ディスクドライブ10の外観を示す斜視図である。
【0045】
図1に示すように、ディスクドライブ10は、光ディスク1に対し、情報の記録及び再生の少なくとも一方を行う装置である。ディスクドライブ10は、光ディスク1を搬送することができるタイプであり、また、光ディスク1の搬送方式についてスロットイン方式を採用している。尚、光ディスク1としては、例えばDVDや、CDや、ブルーレイディスク等が一例としてあげられる。
【0046】
ディスクドライブ10は、シャーシ11及びフロントカバー12を備えている。
【0047】
シャーシ11は例えば金属材料により形成され、底板を有し、必要に応じて側板、天井板を有している。
【0048】
フロントカバー12は例えば樹脂材料により形成されている。フロントカバー12にはディスクスロット13が形成されている。ディスクスロット13は、光ディスク1の搬送(つまり、ローディング及びイジェクト)を行うときに光ディスク1を通過させる溝である。
【0049】
なお、以下の説明では、図1中の矢示X方向を左右方向といい、矢示Y方向を前後方向といい、矢示Z方向を上下方向という。
【0050】
(2)ディスクドライブの内部構成
続いて、図2を参照して、ディスクドライブ10の内部構成について説明する。図2は、ディスクドライブ10の内部構成を示す平面図及び断面図である。
【0051】
ディスクドライブ10のXY平面に沿った平面図である図2(a)に示すように、ディスクドライブ10は、メインローラ21と、メインモータ22と、メイン回転検出器23と、サブローラ31と、サブ回転検出器33と、システムコントローラ40と、トラバースメカ61とを備えている。
【0052】
メインローラ21は、ディスクドライブ10の左右方向(X方向)に沿って伸長するローラー状の部材である。メインローラ21は、ディスクスロット13付近に配置される。尚、メインローラ21は、例えば樹脂又はゴム等の部材から構成されている。同様に、サブローラ31は、ディスクドライブ10の左右方向(X方向)に沿って伸長するローラー状の部材である。サブローラ31は、ディスクスロット13付近に配置される。尚、サブローラ31は、例えば樹脂又はゴム等の部材から構成されている。
【0053】
ディスクドライブ10のYZ平面に沿った断面図である図2(b)に示すように、メインローラ21とサブローラ31とは、その間に光ディスク1が通過することができる空隙を確保することができるように配置される。言い換えれば、メインローラ21とサブローラ31とは、その間に光ディスク10を挟持することができるように配置される。図2(b)に示す例では、メインローラ21が光ディスク1の下側に配置され且つサブローラ21が光ディスク1の上側に配置されている。尚、メインローラ21とサブローラ31との間を光ディスク1が搬送される場合には、光ディスク1の下側(言い換えれば、裏側)の表面は、メインローラ21と接触していることが好ましい。同様に、メインローラ21とサブローラ31との間を光ディスク11が搬送される場合には、光ディスク10の上側(言い換えれば、表側)の表面は、サブローラ31と接触していることが好ましい。
【0054】
メインローラ21の回転軸は、メインモータ22の動力軸と不図示のギア等を介して接続されている。メインローラ21は、不図示のギアを介して伝達されるメインモータ22の駆動力によって自律的に回転することが好ましい。一方で、サブローラ31の回転軸は、メインモータ22の動力軸と不図示のギア等を介して接続されていなくともよい。このため、サブローラ31は、メインモータ22の駆動力によらず、自由に回転してもよい。
【0055】
このようなメインローラ21及びサブローラ31によって光ディスク1が搬送される態様は以下のとおりである。まず、光ディスク1がディスクスロット13からディスクドライブ10内部に挿入されると、メインモータ22が駆動を開始し、結果、メインモータ22の駆動力によってメインローラ21が回転を開始する。その後、光ディスク1がメインローラ21に接触することができる程度まで光ディスク1がディスクドライブ10内部に挿入されると、光ディスク1は、メインローラ21の回転に伴ってディスクドライブ10の更に内部に向かって搬送される。このとき、光ディスク1がサブローラ31に接触する程度まで光ディスク1がディスクドライブ10内部に挿入又は搬送されると、サブローラ31は、光ディスク1の挿入又は搬送に伴って回転する。このような態様で、ディスクドライブ10内部への光ディスク1の搬送(つまり、ディスクドライブ10の前後方向におけるローディング)が行われる。尚、ディスクドライブ10外部への光ディスク1の搬送(つまり、ディスクドライブ10の前後方向におけるイジェクト)もまた、同様の態様で行われる。
【0056】
メイン回転検出器23は、メインローラ21の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する。同様に、サブ回転検出器33は、サブローラ31の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する。
【0057】
システムコントローラ40は、ディスクドライブ10全体の動作を制御する。本実施例では更に、システムコントローラ40は、メイン回転検出器23による検出結果及びサブ回転検出器33による検出結果に基づいて、光ディスク1と共に異物が搬送されているか否かを判定する。ここで、異物として、例えば、光ディスク1の表面に張り付く又は付着する物(例えば、他の搬送対象物や、搬送対象物とは形状が異なる板状の部材や、各種布等)や、光ディスク1の表面に取り残される物(例えば、光ディスク1のセンターホールを保護するスポンジ等の保護部材等)が一例としてあげられる。尚、システムコントローラ40による判定動作の詳細については後に詳述するため(図3及び図4参照)、ここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
トラバースメカ61には、ターンテーブル62及び光ピックアップ63等が設けられている。メインローラ21及びサブローラ31の回転によってディスクドライブ10内部にローディングされた光ディスク1は、ターンテーブル62にクランプされることで図2(a)中XY平面に沿った面内で回転する。その結果、回転する光ディスク1に対して光ピックアップ63からレーザ光が照射されることで、光ディスク1に対する記録動作ないしは再生動作が行われる。
【0059】
(3)ディスクドライブによる光ディスクの搬送動作
続いて、図3を参照して、ディスクドライブ10による光ディスク1の搬送動作について説明する。図3は、ディスクドライブ10による光ディスク1の搬送動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図3に示すように、光ディスク1がディスクスロット13からディスクドライブ10内部に挿入されることで、ディスクドライブ10による光ディスク1のローディングが開始される(ステップS1)。
【0061】
このとき、メイン回転検出器23は、メインローラ21の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する(ステップS2)。メイン回転検出器23は、検出したメインローラ21の回転の態様を示すパラメータを、システムコントローラ40に対して通知する。その結果、システムコントローラ40は、メインローラ21の回転の態様を認識することができる。
【0062】
同様に、サブ回転検出器33は、サブローラ31の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する(ステップS3)。サブ回転検出器33は、検出したサブローラ31の回転の態様を示すパラメータを、システムコントローラ40に対して通知する。その結果、システムコントローラ40は、サブローラ31の回転の態様を認識することができる。
【0063】
その後、システムコントローラ40は、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0064】
例えば、システムコントローラ40は、メインコントローラ21による搬送量とサブローラ31による搬送量との間の差分が所定値以上であるか否かを判定することで、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期しているか否かを判定してもよい。この場合、例えば、システムコントローラ40は、メインコントローラ21による搬送量とサブローラ31による搬送量との間の差分が所定値以上である場合には、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していないと判定してもよい。或いは、例えば、システムコントローラ40は、メインコントローラ21による搬送量とサブローラ31による搬送量との間の差分が所定値未満である場合には、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していると判定してもよい。
【0065】
或いは、例えば、メインローラ21の径とサブローラ31の径とが略同一である場合には、システムコントローラ40は、メインコントローラ21の所定期間中の回転数(或いは、回転量ないしは回転角)とサブローラ31の所定期間中の回転数(或いは、回転量ないしは回転角)との間の差分が所定値以上であるか否かを判定することで、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期しているか否かを判定してもよい。この場合、例えば、システムコントローラ40は、メインコントローラ21の回転数とサブローラ31の回転数との間の差分が所定値以上である場合には、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していないと判定してもよい。或いは、例えば、システムコントローラ40は、メインコントローラ21の回転数とサブローラ31の回転数との間の差分が所定値未満である場合には、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していると判定してもよい。
【0066】
ステップS4の判定の結果、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していないと判定される場合には(ステップS4:No)、システムコントローラ40は、光ディスク1と共に異物が搬送されていると判定する(ステップS5)。この場合、当該異物がディスクドライブ10の内部に侵入するのを防止するために、ディスクドライブ10は、光ディスク1のローディングを中止すると共に光ディスク1をイジェクトする(ステップS6)。つまり、ディスクドライブ10は、メインローラ21の回転方向を逆転させることで、光ディスク1をイジェクトする。
【0067】
他方で、ステップS4の判定の結果、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していると判定される場合には(ステップS4:Yes)、システムコントローラ40は、光ディスク1と共に異物が搬送されていないと判定する(ステップS7)。この場合、ディスクドライブ10は、光ディスク1のローディングを継続する。
【0068】
ここで、ステップS4の判定結果に基づく異物の検出について、図4を参照して更に詳細に説明する。図4は、ディスクドライブ10による光ディスク1の搬送動作の一過程を示す断面図である。
【0069】
図4(a)に示すように、光ディスク1の表面に異物が張り付いていない状態で光ディスク1がローディングされている状況を想定する。この場合、メインローラ21は、光ディスク1の表面(つまり、下側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。同様に、サブローラ31は、光ディスク1の表面(つまり、上側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。従って、光ディスク1に接触しながら回転するメインローラ21の回転の態様と、同一の光ディスク1に接触しながら回転するサブローラ31の回転の態様との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。このため、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していると判定される場合には、光ディスク1と共に異物が搬送されていないと判定することができる。
【0070】
一方で、図4(b)に示すように、光ディスク1の表面(具体的には、サブローラ31側の表面)に異物が張り付いている状態で光ディスク1がローディングされている状況を想定する。この場合、メインローラ21は、光ディスク1の表面(つまり、下側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。一方で、サブローラ31の少なくとも一部は、異物の存在により、光ディスク1の表面(つまり、上側の表面)に直接的に接触することができない。言い換えれば、サブローラ31の少なくとも一部は、光ディスク1の表面に張り付いている異物に直接接触する。つまり、サブローラ31は、異物に直接的に接触しながら回転する。言い換えれば、サブローラ31は、サブローラ31の少なくとも一部が光ディスク1の表面に接触していない状態で回転する。このとき、光ディスク1と異物との間の摩擦力によっては、異物が光ディスク1に対して滑ることがある。従って、異物に接触しながら回転するサブローラ31の回転の態様と、光ディスク1に接触しながら回転するメインローラ21の回転の態様との間にずれが生ずる可能性がある。このため、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していないと判定される場合には、光ディスク1と共に異物が搬送されていると判定することができる。
【0071】
このように、本実施例のディスクドライブ10によれば、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とに基づいて、光ディスク1と共に異物が搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0072】
尚、図4では、光ディスクの表面(具体的には、サブローラ31側の表面)に異物が張り付いている状態を説明しているが、光ディスクの表面(具体的には、メインローラ21側の表面)に異物が張り付いている状態であっても、同様の技術的効果を享受することができる。
【0073】
(4)変形例
続いて、図5から図7を参照して、変形例のディスクドライブ10aについて説明する。
【0074】
(4−1)ディスクドライブの内部構成
初めに、図5を参照して、変形例のディスクドライブ10aの内部構成について説明する。図5は、変形例のディスクドライブ10aの内部構成を示す平面図及び断面図である。尚、上述したディスクドライブ10と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0075】
ディスクドライブ10aのXY平面に沿った平面図である図5(a)に示すように、ディスクドライブ10aは、ディスクドライブ10と同様に、メインローラ21と、メインモータ22と、メイン回転検出器23と、サブローラ31と、サブ回転検出器33と、システムコントローラ40と、トラバースメカ61とを備えている。
【0076】
変形例のディスクドライブ10aは、サブモータ32aを更に備えているという点で、上述したディスクドライブ10とは異なっている。変形例では、サブローラ31の回転軸は、サブモータ32aの動力軸と不図示のギア等を介して接続されている。サブローラ31は、不図示のギアを介して伝達されるサブモータ32aの駆動力によって自律的に回転する。
【0077】
(4−2)ディスクドライブによる光ディスクの搬送動作
続いて、図6を参照して、変形例のディスクドライブ10aによる光ディスク1の搬送動作について説明する。図6は、変形例のディスクドライブ10aによる光ディスク1の搬送動作の流れを示すフローチャートである。尚、上述したディスクドライブ10と同一の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0078】
図6に示すように、光ディスク1がディスクスロット13からディスクドライブ10a内部に挿入されることで、ディスクドライブ10aによる光ディスク1のローディングが開始される(ステップS1)。
【0079】
このとき、メイン回転検出器23は、メインローラ21の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する(ステップS2)。同様に、サブ回転検出器33は、サブローラ31の回転の態様を示すパラメータ(例えば、回転量や、回転速度や、回転角等)を検出する(ステップS3)。その後、システムコントローラ40は、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0080】
ステップS4の判定の結果、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していないと判定される場合には(ステップS4:No)、システムコントローラ40は、光ディスク1と共に異物が搬送されていると判定する(ステップS5)。この場合、当該異物がディスクドライブ10の内部に侵入するのを防止するために、ディスクドライブ10は、光ディスク1のローディングを中止すると共に光ディスク1をイジェクトする(ステップS6)。
【0081】
他方で、ステップS4の判定の結果、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していると判定される場合には(ステップS4:Yes)、システムコントローラ40は、サブモータ32aの動作を制御することで、光ディスク1がローディングされている場合にサブローラ31が回転する方向とは逆の方向に向かってサブローラ31を回転させるための駆動力を、サブローラ31に対して供給する(ステップS11a)。言い換えれば、システムコントローラ40は、サブモータ32aの動作を制御することで、光ディスク1をイジェクトさせる方向に向かってサブローラ31を回転させるための駆動力を、サブローラ31に対して供給する。
【0082】
尚、ステップS11aでサブローラ31に対して供給する駆動力は、光ディスク1を実際に搬送するために必要となる駆動力よりも小さい(或いは、弱い)ことが好ましい。例えば、ステップS11aでサブローラ31に対して供給する駆動力は、メインモータ22がメインローラ21に対して供給する駆動力よりも小さい(或いは、弱い)ことが好ましい。
【0083】
その後、システムコントローラ40は、ステップS11aにおいて供給した駆動力に起因して、サブローラ31の回転の態様に変化が生じたか否かを判定する(ステップS12a)。言い換えれば、システムコントローラ40は、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期しているか否かを判定する。
【0084】
ステップS12aにおける判定の結果、サブローラ31の回転の態様に変化が生じた(つまり、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していない)と判定される場合には(ステップS12a:Yes)、システムコントローラ40は、光ディスク1と共に異物が搬送されていると判定する(ステップS5)。この場合、当該異物がディスクドライブ10の内部に侵入するのを防止するために、ディスクドライブ10は、光ディスク1のローディングを中止すると共に光ディスク1をイジェクトする(ステップS6)。
【0085】
他方で、ステップS12aの判定の結果、サブローラ31の回転の態様に変化が生じていない(つまり、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期している)と判定される場合には(ステップS12a:No)、システムコントローラ40は、光ディスク1と共に異物が搬送されていないと判定する(ステップS7)。この場合、ディスクドライブ10は、光ディスク1のローディングを継続する。
【0086】
ここで、ステップS12aの判定結果に基づく異物の検出について、図7を参照して更に詳細に説明する。図7は、ディスクドライブ10による光ディスク1の搬送動作の一過程を示す断面図である。
【0087】
図7(a)に示すように、光ディスク1の表面に異物が張り付いていない状態で光ディスク1がローディングされている状況を想定する。この場合、メインローラ21は、光ディスク1の表面(つまり、下側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。同様に、サブローラ31は、光ディスク1の表面(つまり、上側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。この状態でサブローラ31に対して、サブローラ31の現在の回転方向とは逆の方向に向かってサブローラ31を回転させる駆動力を加えたとしても、サブローラ31は、光ディスク1の表面と接触しているがゆえに、光ディスク1のローディングに合わせて回転の態様を変えることは殆ど又は全くない。従って、光ディスク1に接触しながら回転するメインローラ21の回転の態様と、同一の光ディスク1に接触しながら回転するサブローラ31の回転の態様との間にずれが生ずる可能性は極めて低い。このため、サブローラ31の回転の態様に変化が生じていない(言い換えれば、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期している)と判定される場合には、光ディスク1と共に異物が搬送されていないと判定することができる。
【0088】
一方で、図7(b)に示すように、光ディスク1の表面(具体的には、サブローラ31側の表面)に異物が張り付いている状態で光ディスク1がローディングされている状況を想定する。この場合、メインローラ21は、光ディスク1の表面(つまり、下側の表面)に直接的に接触しながら回転することができる。一方で、サブローラ31の少なくとも一部は、異物の存在により、光ディスク1の表面(つまり、上側の表面)に直接的に接触することができない。言い換えれば、サブローラ31の少なくとも一部は、光ディスク1の表面に張り付いている異物に直接接触する。この状態でサブローラ31に対して、サブローラ31の現在の回転方向とは逆の方向に向かってサブローラ31を回転させる駆動力を加えると、光ディスク1と異物との間の摩擦力によっては、異物が光ディスク1に対して滑ることがある。つまり、異物が光ディスク1に対して滑ることで、異物がサブローラ31の回転に合わせてイジェクトされる一方で、光ディスク1はメインローラ21の回転に合わせてそのままローディングされることがある。言い換えれば、異物が光ディスク1に対して滑ることで、サブローラ31の回転の態様が、光ディスク1(或いは、異物)をローディングさせる方向に向かう回転から、異物をイジェクトする方向に向かう回転に変化する。従って、異物に接触しながら回転するサブローラ31の回転の態様と、光ディスク1に接触しながら回転するメインローラ21の回転の態様との間にずれが生ずる可能性がある。このため、サブローラ31の回転の態様に変化が生じている(言い換えれば、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とが同期していない)と判定される場合には、光ディスク1と共に異物が搬送されていると判定することができる。
【0089】
このように、変形例のディスクドライブ10aによれば、メインローラ21の回転の態様とサブローラ31の回転の態様とに基づいて、光ディスク1と共に異物が搬送されているか否かを適切に判定することができる。
【0090】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う搬送装置、搬送制御方法及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 光ディスク
10 ディスクドライブ
21 メインローラ
22 メインモータ
23 メイン回転検出器
31 サブローラ
32a サブモータ
33 サブ回転検出器
40 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される搬送対象物に接触しながら回転することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記判定手段は、(i)前記第1搬送手段の回転の態様と前記第2搬送手段の回転の態様とが同期していない場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1搬送手段の回転の態様と前記第2搬送手段の回転の態様とが同期している場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記判定手段は、(i)前記第1搬送手段の回転によって実現される搬送量と前記第2搬送手段の回転によって実現される搬送量との差分が所定値以上である場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1搬送手段の回転によよって実現される搬送量と前記第2搬送手段の回転によって実現される搬送量との差分が前記所定値未満である場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送手段を、前記搬送対象物を搬送する際に前記第1搬送手段が回転する方向とは逆の方向に回転させるための駆動力を前記第1搬送手段に加える第1駆動手段を更に備え、
前記判定手段は、(i)前記第1駆動手段によって前記駆動力が加えられた結果、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていない場合の回転の態様と比較して、前記第1搬送手段の回転の態様に変化が生じた場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていると判定し、(ii)前記第1駆動手段によって前記駆動力が加えられた結果、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていない場合の回転の態様と比較して、前記第1搬送手段の回転の態様に変化が生じない場合に、前記異物が前記搬送対象物と共に搬送されていないと判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送手段に加えられる、前記搬送対象物を搬送する際に前記第1搬送手段が回転する方向とは逆の方向に回転させるための駆動力は、前記搬送対象物を搬送するために前記第1搬送手段に加えられる駆動力よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第2搬送手段を回転させて前記搬送対象物を搬送させるための駆動力を加える第2駆動手段を有することを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項7】
回転しながら搬送対象物に接触することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段と
を備える搬送装置における前記搬送対象物の搬送制御方法であって、
前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様を検出する検出工程と、
前記検出工程における検出結果に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定工程と
を備えることを特徴とする搬送制御方法。
【請求項8】
回転しながら搬送対象物に接触することで前記搬送対象物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段との間に前記搬送対象物を挟持しながら回転することで、前記第1搬送手段と協働して前記搬送対象物を搬送する第2搬送手段と
を備える搬送装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の夫々の回転の態様に基づいて、前記搬送対象物とは異なる異物が前記搬送対象物と共に搬送されているか否かを判定する判定手段として前記搬送装置を機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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