説明

搬送装置および組合せ計量装置

【課題】振動によって物品を搬送する搬送装置の共振周波数を確実に検出する。
【解決手段】各電磁フィーダ1ごとに加振機7とフィーダ制御部30とを設ける。フィーダ制御部30には、加振機7に電力を供給するインバータ31、インバータ31を駆動パルスによって制御する加振制御部32、インバータ31から供給される電流が基準値を超えている時間(電流超過時間)を計測する計時部33、駆動パルスのパルス幅を設定するパルス幅設定部34および駆動パルスの周波数を設定する周波数設定部35を設ける。パルス幅設定部34は、電流超過時間が計測されるまで駆動パルスのパルス幅を徐々に大きくしつつ、電流超過時間が計測されたときのパルス幅をパルス幅dとして設定する。周波数設定部35は、パルス幅dの駆動パルスの周波数を変更しつつ、電流超過時間が最大となる周波数を電磁フィーダ1の共振周波数として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁的な振動によって物品を搬送する搬送装置およびこのような搬送装置を備えた組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁フィーダのように電磁的な振動によって物品を搬送する搬送装置が知られている。電磁フィーダでは、搬送される物品の量(主に重量)を高精度に制御するための様々な技術が提案されている。例えば、搬送を停止する際に、単に駆動パルスを停止するのではなく、特有のストップパターンを与える技術が提案されている。
【0003】
このストップパターンは、電磁フィーダの共振周波数と駆動周波数とに依存するため、適切なストップパターンを設定するためには、電磁フィーダの共振周波数を高精度で検出する必要がある。電磁フィーダでは共振状態において電流値がピークとなることを利用して、従来より、共振周波数を自動的に検出する技術が提案されている。例えば、このような技術が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されている技術では、駆動パルスの周波数を変化させつつ、電磁フィーダに流れる電流値が基準値を超えている時間(電流超過時間)を計測し、この電流超過時間が最も長くなるなるときの周波数を共振周波数として求める技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−145436公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、電磁フィーダのコイルなどの要因によって、流れる電流が非常に小さくなる場合が生じる。その場合、周波数を変化させても電流が基準値を超えず、電流超過時間が計測できない事態が発生するという問題があった。すなわち、各電磁フィーダごとの特性によっては、共振周波数が求められない電磁フィーダが存在するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電流超過時間を確実に計測して、搬送装置の共振周波数を確実に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、電磁的な振動によって物品を搬送する搬送装置であって、物品を搬送する搬送部と、前記搬送部を電磁的に振動させる加振部と、前記加振部を駆動パルスによって駆動する加振制御部と、前記加振制御部が前記加振部を駆動させた場合において、前記加振部を流れる電流が基準値を超えている電流超過時間を計測する計時部と、前記加振制御部が所定周波数の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって前記電流超過時間が計測されるように、前記所定周波数の駆動パルスのパルス幅を設定するパルス幅設定部と、前記加振制御部が前記パルス幅設定部によって設定されたパルス幅の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって計測される前記電流超過時間に応じて、前記駆動パルスの周波数を設定しつつ、前記搬送装置の共振周波数を検出する周波数設定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る搬送装置であって、前記パルス幅設定部は、前記計時部によって計測される前記電流超過時間が所定値か否かを判定し、前記電流超過時間が所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、前記加振制御部による前記加振部の振動を継続させ、前記電流超過時間が所定値である場合は、そのときのパルス幅を前記駆動パルスのパルス幅として設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、物品が所定重量となるように組み合わせる組合せ計量装置であって、電磁的な振動によって物品を搬送する複数の搬送装置と、前記複数の搬送装置に対応して設置される複数の計量装置と、前記複数の計量装置の計量結果に応じて、組み合わせる物品を決定する制御部とを備え、前記複数の搬送装置のそれぞれが、物品を搬送する搬送部と、前記搬送部を電磁的に振動させる加振部と、前記加振部を駆動パルスによって駆動する加振制御部と、前記加振制御部が前記加振部を駆動させた場合において、前記加振部を流れる電流が基準値を超えている電流超過時間を計測する計時部と、前記加振制御部が所定周波数の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって前記電流超過時間が計測されるように、前記所定周波数の駆動パルスのパルス幅を設定するパルス幅設定部と、前記加振制御部が前記パルス幅設定部によって設定されたパルス幅の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって計測される前記電流超過時間に応じて、前記駆動パルスの周波数を設定しつつ、前記搬送装置の共振周波数を検出する周波数設定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る組合せ計量装置であって、前記パルス幅設定部は、前記計時部によって計測される前記電流超過時間が、前記複数の搬送装置の加振部において略同一となるように前記パルス幅を設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明に係る組合せ計量装置であって、前記パルス幅設定部は、前記計時部によって計測される前記電流超過時間が、前記複数の搬送装置において共通の所定値か否かを判定し、前記電流超過時間が前記共通の所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、前記加振制御部による前記加振部の振動および前記計時部による前記電流超過時間の計測を継続させ、前記電流超過時間が前記共通の所定値である場合は、そのときのパルス幅を前記駆動パルスのパルス幅として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし5に記載の発明では、加振制御部が所定周波数の駆動パルスによって加振部を振動させた場合において、計時部によって電流超過時間が計測されるように、所定周波数の駆動パルスのパルス幅を設定することにより、電流超過時間を確実に測定することができる。したがって、周波数設定部は、確実に共振周波数を検出することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、パルス幅設定部は、計時部によって計測される電流超過時間が所定値か否かを判定し、電流超過時間が所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、加振制御部による加振部の振動を継続させ、電流超過時間が所定値である場合は、そのときのパルス幅を駆動パルスのパルス幅として設定することにより、電流超過時間を所望する値(所定値)に容易に設定することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、パルス幅設定部は、計時部によって計測される電流超過時間が、複数の搬送装置の加振部において略同一となるようにパルス幅を設定することにより、複数の搬送装置の加振部における電流値をほぼ略同一とすることができる。したがって、共振周波数特性を略同一にすることができるので、複数の搬送装置における機差(ヘッド間差)を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、パルス幅設定部は、計時部によって計測される電流超過時間が、複数の搬送装置において共通の所定値か否かを判定し、電流超過時間が共通の所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、加振制御部による加振部の振動および計時部による電流超過時間の計測を継続させ、電流超過時間が共通の所定値である場合は、そのときのパルス幅を駆動パルスのパルス幅として設定することにより、電流超過時間を共通の所定値に容易に設定することができる。すなわち、請求項4に記載の発明に適用すれば、すべての搬送装置において、容易に電流超過時間を略同一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る電磁フィーダ1を備えた組合せ計量装置2の概略構成を示す側面図である。また、図2は、電磁フィーダ1の構成を示す図である。図1を参照して、組合せ計量装置2は、基台3の中央に加振機4を介して設置され、上方の筒状の投入シュート5から投下された被計量物を周囲に分散する分散テーブル6と、その周囲に複数の加振機7のそれぞれを介して放射状に配設され、被計量物を搬送する複数のトラフ8と、複数のトラフ8の先端部下方にそれぞれ位置するように放射状に配設された複数のプールホッパ9と、複数のプールホッパ9のそれぞれの下方に配設された複数の計量ホッパ10とを備えている。ここで、電磁フィーダ1は、加振機7及びトラフ8を含む。
【0019】
そして、基台3の内部には、各プールホッパ9の各ゲート9a及び各計量ホッパ10の各ゲート10aの開閉を制御する、複数のゲート開閉装置11が配設されている。ゲート開閉装置11は、図示しないモータによって駆動され、被計量物の排出指令を受けたときに、図示しない駆動機構により計量ホッパ10内の被計量物を集合シュート12内に排出させ、空になった計量ホッパ10内にプールホッパ9内の被計量物を投入させるように動作する。
【0020】
また、計量ホッパ10には、図示しない重量検出器が基台3内で連設されており、計量ホッパ10内の被計量物の重量を計量する。なお、重量検出器は、各計量ホッパについて、計量結果を制御部13に伝達する。
【0021】
さら、組合せ計量装置2は、各構成を適切に制御する制御部13、各種データをオペレータに対して表示する表示部14およびオペレータが指示を入力するための操作部15を備えている。
【0022】
制御部13は、図示しないCPUと記憶装置とを備え、一般的なマイクロコンピュータとしての機能を有している。制御部13は、記憶装置に記憶されたプログラムに従って動作し、各種データの処理や制御信号の生成等を行う。
【0023】
表示部14は、例えば液晶パネルディスプレイであって、オペレータが組合せ計量装置2の設定内容や、動作履歴等を確認するために使用される。表示部14は制御部13と電気的に接続されており、表示部14に表示されるデータ(後述する設定画面データ等)は、制御部13から伝達される。
【0024】
また、操作部15は、ボタンやキーボード、あるいはマウス等から構成される。操作部15は、制御部13と電気的に接続されており、オペレータによる操作(後述する設定操作等)を電気信号に変換して制御部13に伝達する。
【0025】
図2を参照して、電磁フィーダ1が備える加振機7は、複数のコイルスプリング21を介して基台3上に設置されたベース部材22と、ベース部材22の上面上に設置された電磁石23と、ベース部材22の前部側(図面右側)及び後部側(図面左側)にボルト24によって後傾姿勢で平行に取り付けられた一対の板バネ25とを有している。
【0026】
但し、一対の板バネ25は必ずしも平行に取り付けられている必要はない。これら両板バネ25の各上部には、トラフ8のブラケット8aがボルト26によって固定されている。また、ブラケット8aにおける電磁石23の磁力発生面23aに対向する面には、磁性体27が取り付けられている。電磁石23には、後述するフィーダ制御部30によって間欠的に通電がなされる。
【0027】
電磁石23に通電がなされると、磁力発生面23aと磁性体27との間に電磁力(吸引力)が作用し、その結果、前後の板バネ25が撓みながら、またこれと同時にトラフ8がやや沈み込みながら、後方(図面左側)に変位することとなる。つまり、板バネ25が固定されて弾性部材として機能するトラフ8が、後方に変位することとなる。一方、電磁石23への通電が停止されると、磁力発生面23aと磁性体27との間の電磁力(吸引力)が消失し、トラフ8が、板バネ25の弾性復元力によって上方へやや浮き上がりながら前方(図面右側)に変位することとなる。
【0028】
したがって、電磁石23に間欠的に通電がなされることによって電磁力が間欠的に発生し、これにより、トラフ8が前後方向に振動することとなる。このとき、電磁石23に発生する電磁力は、フィーダ制御部30からの通電時の電圧値によって決まる。
【0029】
トラフ8が振動すると、トラフ8上の物品(被計量物、被搬送物)が図1に示したプールホッパ9に移送される。また、予め定められた物品の搬送期間が終了すると、トラフ8の振動を停止させることにより、電磁フィーダ1からプールホッパ9への物品の移送が停止される。
【0030】
上記の通り、組合せ計量装置2において、電磁フィーダ1からプールホッパ9への物品供給量の精度を向上させるためには、物品が搬送される期間(すなわち、トラフ8が振動している期間、以下、「物品搬送期間」と称する)を精度よく制御することが重要となる。
【0031】
フィーダ制御部30は、組合せ計量装置2が備える各電磁フィーダ1に対応して設けられており、それぞれが、インバータ31、加振制御部32、計時部33、パルス幅設定部34および周波数設定部35を備えている。また、フィーダ制御部30は、組合せ計量装置2の基台3の内部に設けられており、加振機7、制御部13および電源16との間で電気的に接続されている。
【0032】
インバータ31は、加振機7に対して電力を供給する。インバータ31には、図示しない商用電源に接続された電源16から電力の供給が行われる。
【0033】
加振制御部32は、パルス幅設定部34および周波数設定部35からの入力に基づいて、駆動パルスを生成して、当該駆動パルスをインバータ31に伝達する。これにより、インバータ31が駆動され、加振機7に電力が供給されて、加振機7が振動する。すなわち、加振制御部32は、加振機7を駆動パルスによって駆動する。
【0034】
また、加振制御部32は、制御部13からの入力に基づいて駆動パルスを生成して、当該駆動パルスをインバータ31に伝達する。これによっても、インバータ31が駆動され、加振機7が振動する。
【0035】
計時部33は、加振制御部32が駆動パルスによって加振機7を駆動させた場合において、加振機7を流れる電流(より詳しくは電磁石23を流れる電流。以下、「電流i」と称する)が、基準値(以下、「基準電流I」と称する)を超えている時間(以下、「電流超過時間T」と称する)を計測する。
【0036】
計時部33は、図示しないフォトカプラとカウンタ回路とを備えている。フォトカプラは、電流iが基準電流Iを超えている間、カウンタ回路に向けてON信号を出力する。カウンタ回路は、フォトカプラからON信号が入力されている時間を、クロック等によって計測し、電流超過時間Tとして出力する。
【0037】
計時部33は、カウンタ回路が計測した電流超過時間Tを、パルス幅設定部34および周波数設定部35に伝達する。
【0038】
図3は、インバータ31から加振機7に供給される電流iの例を示す図である。曲線CF1,CF2,CF3は、加振機7(インバータ31)がそれぞれ異なる駆動パルスによって駆動される場合の電流iの変化を示している。
【0039】
図3において、曲線CF1は、最大電流が比較的小さく、電流iが基準電流Iを超えることがない例における電流iの変化を示している。また、曲線CF2,CF3は、電流iの最大電流が基準電流Iを超える例における電流iの変化を示している。
【0040】
曲線CF1に示すように、電流iが基準電流Iを超えることがない場合は、計時部33は電流超過時間Tを計測することができない。この場合、計時部33は、電流超過時間Tを「0」として出力する。
【0041】
一方、曲線CF2,CF3に示すように、電流iが基準電流Iを超える場合は、電流超過時間Tを計測することが可能である(電流超過時間Tが「0」より大きくなる)。曲線CF2で示す例では、電流超過時間Tは「T1」であり、曲線CF3で示す例では、電流超過時間Tは「T2」である。
【0042】
パルス幅設定部34は、加振制御部32が所定周波数の駆動パルスによって加振機7を振動させた場合において、計時部33によって電流超過時間Tが計測されるように、駆動パルスのパルス幅(以下、「パルス幅d」と称する)を設定する。
【0043】
パルス幅設定部34は、計時部33によって計測された電流超過時間Tを所定値と比較し、電流超過時間Tが所定値か否かを判定する。電流超過時間Tが所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更して、さらに加振制御部32に加振機7を駆動させる。
【0044】
これにより、加振制御部32は、パルス幅が新たに変更された駆動パルスによって、加振機7を振動させる。そして、計時部33がこのときの電流超過時間Tを計測して、再びパルス幅設定部34に伝達する。
【0045】
一方、電流超過時間Tが所定値となっている場合、パルス幅設定部34は、そのときのパルス幅を駆動パルスのパルス幅dとして設定する。なお、パルス幅設定部34は、設定したパルス幅dを制御部13に転送してもよい。この場合、制御部13は、各電磁フィーダ1のパルス幅設定部34から入力されたパルス幅dを、各電磁フィーダ1ごとに識別できる状態で記憶装置に記憶させる。
【0046】
また、パルス幅設定部34は、周波数設定部35に対して、パルス幅dが設定されたことを示す信号を出力する。この信号によって、後述する周波数設定部35が能動化される。
【0047】
周波数設定部35は、パルス幅設定部34によって設定されたパルス幅dの駆動パルスを用いて加振制御部32が加振機7を振動させた場合において、計時部33によって計測される電流超過時間Tに応じて、駆動パルスの周波数を設定する。
【0048】
周波数設定部35は、駆動パルスの周波数を徐々に変更しつつ、駆動パルスの周波数(共振周波数f0)を設定する。なお、周波数設定部35によって、電磁フィーダ1の共振周波数f0を検出し設定する手法は、例えば従来の技術を用いることができるので、ここではこれ以上詳細に述べない。ただし、周波数設定部35が共振周波数f0を求める手法は、電流超過時間Tを用いるものであれば、従来の手法に限定されるものでもない。
【0049】
周波数設定部35は、設定した共振周波数f0を制御部13に転送する。制御部13は、各電磁フィーダ1の周波数設定部35から入力された共振周波数f0を、各電磁フィーダ1ごとに識別できる状態で記憶装置に記憶させる。
【0050】
以上が、本実施の形態における組合せ計量装置2の構成および機能の説明である。
【0051】
本実施の形態における組合せ計量装置2では、物品をグループごとに計量して、合計重量が所望する値となるように、各グループを組み合わせる処理に先立って、様々な初期設定が行われる。組合せ計量装置2における初期設定には、オペレータによって実行されるものと、組合せ計量装置2が自動的に行うものがある。
【0052】
まず、オペレータによる初期設定の例を説明する。組合せ計量装置2では、表示部14に表示される情報(画面)に基づいて、オペレータが操作部15を操作することによって、各種パラメータについての設定作業が行えるようになっており、このような作業が初期設定において行われる。
【0053】
図4は、組合せ計量装置2における周辺機器の設定画面40の例を示す図である。設定画面40は、制御部13からの制御に従って、表示部14に表示される画面である。設定画面40では、包装機連動仕様、タイミングホッパおよび集合コンベアに関する設定を行うことができる。図4に示す例では、このうちの包装機連動仕様に関する設定を行う画面41を示している。さらに、図4に示す画面41では、連動方式のうち「マスター」項目を設定する画面を示している。また、設定画面40には、周辺機器の設定を終了させるための操作ボタン48も表示されている。
【0054】
図4に示す画面41では、入力欄42ないし47が表示されており、各入力欄42ないし47によって入力できる項目と、現在の入力状況が表示されている。オペレータは、設定を変更したい項目に応じて、操作部15を操作することによって、各入力欄42ないし47のいずれかを選択するとともに、選択した入力欄に新たな設定を入力することによって、包装機連動仕様に関する設定を変更することができる。変更された設定は、直ちに各入力欄42ないし47に表示される。
【0055】
なお、入力欄42は、連動方式を選択するための入力欄である。オペレータが入力欄42のプルダウンキー42aを操作すると、画面41には、入力欄43ないし47に代わって、他の連動方式(後述)に関する設定を行う入力欄が表示される。
【0056】
必要な入力が終了して、周辺機器の設定の変更が終了すると、オペレータは操作ボタン48を操作して、周辺機器の設定を終了する。
【0057】
図5は、組合せ計量装置2における予約設定画面50の例を示す図である。予約設定画面50には、操作ボタン51,52および入力欄53が表示されている。
【0058】
操作ボタン51は、予約設定画面50において入力された内容を破棄して、予約設定画面50における処理を終了するためのボタンである。すなわち、操作ボタン51が操作されると、制御部13は、予約設定画面50が表示される前の設定を保持しつつ、予約設定画面50における処理を終了する。
【0059】
また、操作ボタン52は、予約設定画面50において入力された内容を有効にして、予約設定画面50における処理を終了するためのボタンである。すなわち、操作ボタン52が操作されると、制御部13は、予約設定画面50が表示される前の設定を破棄して、ここで入力された設定を有効にしつつ、予約設定画面50における処理を終了する。
【0060】
さらに、入力欄53は、現在設定されている連動方式(図5に示す例では「マスター」)を表示しつつ、これを変更するための指示を入力するための欄である。すなわち、オペレータは入力欄53を視認することによって、現在選択されている連動方式(項目)を確認することができる。
【0061】
また、入力欄53にはプルダウンキー53aが設けられており、包装機連動方式を選択するための入力を受け付ける。オペレータがプルダウンキー53aを操作すると、組合せ計量装置2の制御部13は、入力欄53に表示されている連動方式を、オペレータが変更しようとしていると判断して、当該項目として選択可能な項目を一覧表示する。
【0062】
図6は、プルダウンキー53aが操作された場合に表示される予約設定画面50の例を示す図である。図6に示す予約設定画面50には、選択メニュー欄54、確認欄55およびプルアップキー56が表示されている。
【0063】
選択メニュー欄54は、本実施の形態における組合せ計量装置2において、包装機連動方式として選択可能な各種方式が表示される欄である。すなわち、選択可能な項目が一覧表示される欄である。オペレータは、選択メニュー欄54に表示された複数の連動方式(図6に示す例では、4種類の方式)から、所望の連動方式を選択する。これによって、組合せ計量装置2の包装機連動方式の設定が新たに設定される。
【0064】
確認欄55は、現在選択されている方式(図6に示す例では「マスター」)についての各種パラメータの設定状況を表示する欄である。すなわち、オペレータは、図4に示す設定画面40を表示させなくても、現在選択されている連動方式の各パラメータを確認することができる。
【0065】
このように、ある項目(ここでは、包装機連動方式)を選択させる場合に、選択可能な項目を一覧表示すると同時に、選択されている項目について既に設定されているパラメータを表示することにより、オペレータは容易に必要項目を選択することができる。また、選択した項目のパラメータについても、変更が必要か否かも容易に判定することがてきる。なお、オペレータが連動方式を変更した場合には、変更された連動方式に応じて、確認欄55の表示内容が変更される。
【0066】
プルアップキー56は、選択メニュー欄54および確認欄55を非表示状態にして、図5に示す予約設定画面50に戻すためのキーである。すなわち、プルアップキー56が操作されると、制御部13は、包装機連動方式の選択処理を終了して、図5に示す予約設定画面50を表示部14に表示させる。
【0067】
次に、組合せ計量装置2が自動的に行う初期設定の例について説明する。本実施の形態における組合せ計量装置2では、初期設定において、各電磁フィーダ1の共振周波数f0を検出する処理が行われる。
【0068】
電磁フィーダ1の物品の搬送量は、トラフ8の振動によって決定され、トラフ8の振動状態は加振機7の振動特性によってほぼ決定される。また、組合せ計量装置2のような装置において、効率よく計量を行うためには、各電磁フィーダ1の搬送量を高精度に制御する必要があることは従来から提唱されている。したがって、電磁フィーダ1では、加振機7の振動を高精度に制御する必要がある。
【0069】
一方、組合せ計量装置2では、電磁石23のコイルと鉄心との距離が電磁フィーダ1ごとに僅かに異なっていたり、製造誤差や経時変化等によって、複数の電磁フィーダ1の間で特性が異なる。例えば、各電磁フィーダ1の共振周波数f0は同一ではなく、多少のバラツキが生じている。また、1つの電磁フィーダ1に注目したとしても、その電磁フィーダ1の特性は設計上の値とは異なっている。
【0070】
このような状況では、駆動パルスに対する電磁フィーダ1の挙動を予測することができず、制御部13が各電磁フィーダ1の振動を高精度に制御することはできない。すなわち、電磁フィーダ1を高精度に制御するためには、電磁フィーダ1の振動特性を予め取得しておく必要がある。
【0071】
そこで、組合せ計量装置2は、初期設定において、各電磁フィーダ1を試験的に駆動して、各電磁フィーダ1の振動特性(特に共振周波数f0)を取得する。
【0072】
まず、加振制御部32が、試験動作用の初期の駆動パルスによって、インバータ31を駆動し、加振機7を振動させる。このときの駆動パルスは、周波数やパルス幅が予め決められた所定のパルスであって、すべての電磁フィーダ1について同じものを用いる。このような駆動パルスのパラメータは、制御部13の記憶装置に予め記憶させておき、初期設定において、制御部13から各電磁フィーダ1の加振制御部32に伝達されるようにしておけばよい。
【0073】
このとき、加振機7に流れる電流iについて、計時部33が電流超過時間Tを測定し、パルス幅設定部34に出力する。
【0074】
電流超過時間Tが入力されると、パルス幅設定部34は、入力された電流超過時間Tが所定値(>0)であるか否かを判定する。
【0075】
入力された電流超過時間Tが所定値でなかった場合は、駆動パルスのパルス幅を変更する。なお、本実施の形態におけるパルス幅設定部34は、入力された電流超過時間Tが所定値でなかった場合には、現在の駆動パルスのパルス幅を1msだけ増加させて、新たなパルス幅とする。このようにして設定された新たなパルス幅は、加振制御部32に伝達され、駆動パルスのパルス幅が変更された状態で、再び、加振機7が駆動される。
【0076】
一方、計時部33からパルス幅設定部34に入力された電流超過時間Tが所定値であった場合、パルス幅設定部34は、このときの駆動パルスのパルス幅をパルス幅dとして設定し、パルス幅dが設定された旨の信号を周波数設定部35に伝達する。なお、このとき加振制御部32の駆動パルスはパルス幅dであるから、パルス幅設定部34は加振制御部32の駆動パルスについては新たに変更しない。
【0077】
電磁フィーダ1において、駆動パルスのパルス幅を増加させると、電流iは充分に大きくなるため、ある時点で必ず電流iが基準電流Iを超える。したがって、「0」より大きな値である所定値を適切に設定しておけば、すべての電磁フィーダ1においてパルス幅dを設定することができる。
【0078】
このようにして、すべての電磁フィーダ1においてパルス幅dが設定されると、当該パルス幅dの駆動パルスで加振機7(インバータ31)を駆動すれば、すべての電磁フィーダ1について、電流超過時間Tを測定することができる。
【0079】
したがって、本実施の形態における電磁フィーダ1は、従来の装置のように、電流iが小さいために、電流超過時間Tを測定することができないという事態を回避することができる。
【0080】
また、すべての電磁フィーダ1の電流超過時間Tを共通の所定値にするということは、すべての電磁フィーダ1の加振機7に流れる電流iを略同一にすることにほぼ相当する。加振機7の振動特性は、加振機7に流れる電流値に応じて多少の変動がある。しかし、本実施の形態における組合せ計量装置2では、すべての電磁フィーダ1において、電流超過時間Tを共通の所定値にすることにより、後述の処理において、略同一の条件で共振周波数を検出することができる。
【0081】
なお、先述のように、電磁フィーダ1の個々の特性は互いに異なる。そのため、パルス幅dは各電磁フィーダ1において互いに異なる場合もある。しかし、これによって略同一の条件で共振周波数測定を実行できるということは、各電磁フィーダ1ごとに設定されるパルス幅dによって、各電磁フィーダ1の機差(ヘッド間差)を吸収することができることを意味する。
【0082】
パルス幅dが設定された旨の信号を受け取った周波数設定部35は、駆動パルスの周波数を変更して設定し、加振制御部32に伝達する。周波数設定部35は、計時部33から入力される電流超過時間Tを監視しつつ、駆動パルスの周波数を変更したことによる電流超過時間Tの変化を解析し、電流超過時間Tが最大となるときの駆動パルスの周波数を、電磁フィーダ1の共振周波数f0として設定する。
【0083】
先述のように、パルス幅設定部34によって、すべての電磁フィーダ1において、電流超過時間Tを計測することが可能とされているため、周波数設定部35は、確実に共振周波数f0を設定することができる。
【0084】
設定された共振周波数f0は、制御部13に伝達され、制御部13の記憶装置に記憶される。このようにして記憶された各電磁フィーダ1の共振周波数f0は、後の処理において、各電磁フィーダ1の加振機7を制御するために使用される。
【0085】
以上のように、本実施の形態における電磁フィーダ1は、電流超過時間Tを測定できるように、駆動パルスのパルス幅dがパルス幅設定部34によって設定されるので、電磁フィーダ1の共振周波数f0を確実に検出することができる。したがって、後の処理において、電磁フィーダ1を高精度に制御することが可能となる。
【0086】
なお、本実施の形態におけるパルス幅設定部34は、ソフトウェアによって実現可能な機能である。すなわち、本実施の形態における組合せ計量装置2は、従来の装置に、特別な回路(ハードウェア)を追加することなく、実現することも可能な装置である。したがって、製造コストの増大を抑制することができる。
【0087】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0088】
例えば、共振周波数f0を検出する処理は、初期設定において実行されるものと限定されるべきではなく、所定のタイミングごとに実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る電磁フィーダを備えた組合せ計量装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】電磁フィーダの構成を示す図である。
【図3】インバータから加振機に供給される電流の例を示す図である。
【図4】組合せ計量装置における周辺機器の設定画面の例を示す図である。
【図5】組合せ計量装置における予約設定画面の例を示す図である。
【図6】プルダウンキーが操作された場合に表示される予約設定画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 電磁フィーダ(搬送装置)
10 計量ホッパ
13 制御部
14 表示部
15 操作部
2 組合せ計量装置
21 コイルスプリング
23 電磁石
30 フィーダ制御部
31 インバータ
32 加振制御部
33 計時部
34 パルス幅設定部
35 周波数設定部
7 加振機
8 トラフ(搬送部)
I 基準電流
T 電流超過時間
d パルス幅
f0 共振周波数
i 電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁的な振動によって物品を搬送する搬送装置であって、
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部を電磁的に振動させる加振部と、
前記加振部を駆動パルスによって駆動する加振制御部と、
前記加振制御部が前記加振部を駆動させた場合において、前記加振部を流れる電流が基準値を超えている電流超過時間を計測する計時部と、
前記加振制御部が所定周波数の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって前記電流超過時間が計測されるように、前記所定周波数の駆動パルスのパルス幅を設定するパルス幅設定部と、
前記加振制御部が前記パルス幅設定部によって設定されたパルス幅の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって計測される前記電流超過時間に応じて、前記駆動パルスの周波数を設定しつつ、前記搬送装置の共振周波数を検出する周波数設定部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記パルス幅設定部は、
前記計時部によって計測される前記電流超過時間が所定値か否かを判定し、
前記電流超過時間が所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、前記加振制御部による前記加振部の振動を継続させ、
前記電流超過時間が所定値である場合は、そのときのパルス幅を前記駆動パルスのパルス幅として設定することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
物品が所定重量となるように組み合わせる組合せ計量装置であって、
電磁的な振動によって物品を搬送する複数の搬送装置と、
前記複数の搬送装置に対応して設置される複数の計量装置と、
前記複数の計量装置の計量結果に応じて、組み合わせる物品を決定する制御部と、
を備え、
前記複数の搬送装置のそれぞれが、
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部を電磁的に振動させる加振部と、
前記加振部を駆動パルスによって駆動する加振制御部と、
前記加振制御部が前記加振部を駆動させた場合において、前記加振部を流れる電流が基準値を超えている電流超過時間を計測する計時部と、
前記加振制御部が所定周波数の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって前記電流超過時間が計測されるように、前記所定周波数の駆動パルスのパルス幅を設定するパルス幅設定部と、
前記加振制御部が前記パルス幅設定部によって設定されたパルス幅の駆動パルスによって前記加振部を振動させた場合において、前記計時部によって計測される前記電流超過時間に応じて、前記駆動パルスの周波数を設定しつつ、前記搬送装置の共振周波数を検出する周波数設定部と、
を備えることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項4】
請求項3に記載の組合せ計量装置であって、
前記パルス幅設定部は、
前記計時部によって計測される前記電流超過時間が、前記複数の搬送装置の加振部において略同一となるように前記パルス幅を設定することを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の組合せ計量装置であって、
前記パルス幅設定部は、
前記計時部によって計測される前記電流超過時間が、前記複数の搬送装置において共通の所定値か否かを判定し、
前記電流超過時間が前記共通の所定値でない場合は、そのときのパルス幅を変更しつつ、前記加振制御部による前記加振部の振動および前記計時部による前記電流超過時間の計測を継続させ、
前記電流超過時間が前記共通の所定値である場合は、そのときのパルス幅を前記駆動パルスのパルス幅として設定することを特徴とする組合せ計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−45601(P2007−45601A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233296(P2005−233296)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】