説明

搬送装置及びそれを備える検査システム

【課題】 物品が受け渡しされる上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されている場合において、物品の搬送姿勢を安定的に維持しながら、上流側コンベアの渡し部から下流側コンベアの受取部へ物品を乗り移らせることができるガイドを備える搬送装置及びそれを備える検査システムを提供する。
【解決手段】 渡し部と受取部の上方に跨って設けられ、上流側コンベアで搬送される物品の側面を両側から支持しながら下流側コンベアへ向かうよう方向転換するガイドを備える搬送装置であって、ガイドは、物品を上流側コンベアから下流側コンベアへ向かうよう方向転換させるために設けられる折れ曲がり部分が、湾曲形状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が受け渡しされる上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されている搬送装置及びそれを備える検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工食品等の生産工程では、搬送中の物品について、金属検出や重量チェック等の検査が行われている。これらの検査は、各物品に対して個別に行われる必要があるため、搬送中の物品間には、所定以上の間隔を確保しておく必要がある。しかしながら、生産スピードを高速化させた結果として、生産される物品間の間隔は小さくなり、その小さい間隔が維持されたままで物品が搬送されることが多い。これに対応するため、搬送中の物品について、搬送方向における間隔を広げることができる搬送装置が提案されている。
【0003】
そのような搬送装置として、特開平2002−61569号公報に記載されるように、二本のトップチェーン式のコンベアを直列に配置するとともに、両コンベアの上方に跨るように左右一対のサイドコンベアを平行に配置しておき、上流側コンベアを搬送される物品の側面を一対のサイドコンベアで挟み込んで減速させてから、搬送速度の速い下流側コンベアへ乗り移らせることにより、物品間の間隔を広げるようにするものがある。しかしながら、上記搬送装置では、物品がサイドコンベアの先端部に物品が衝突して、物品を転倒あるいは破損させることがあり、また、サイドコンベアで複数の物品を同時に挟み込んだ際に、その負荷によって駆動モーターが故障することがある。
【0004】
そこで、本件出願人は、サイドコンベアを使用せずに、物品間の間隔変更ができるようにした搬送装置を提案している(特許文献1参照。)。この搬送装置では、図6に示されるように、上流(図面左側)から順に、第一コンベア10、第二コンベア20、第三コンベア30(いずれもトップチェーン式コンベアで矢印X1の方向に搬送駆動される)が設けられており、第一コンベア10と第二コンベア20、第二コンベア20と第三コンベア30は、相互に平行に、かつ、上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されている。これらのコンベアの上方には、コンベアの幅方向で対となるように配置されるレール状のガイド40,50が、上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部を斜め方向に跨るように設けられている。
【0005】
上記ガイド40,50は、上流側コンベア上を搬送される物品Gの側面を両側から挟むように接触することで、物品Gの進行方向を斜め横方向(図中において、矢印Y1,Y2で示される方向)に転換させて、上流側コンベアの渡し部から下流側コンベアの受取部へ導く役割を果たすようになっている。第二コンベア20は、第一コンベア10及び第三コンベア30より搬送速度が遅く設定されており、第一コンベア10で搬送される物品を、第二コンベア20に移動させて減速した後、さらに第三コンベア30に移動させて加速して、搬送方向における物品間の間隔を広げることとしている。この搬送装置によれば、サイドコンベアを使用せずに、速度の異なるトップチェーン式コンベア間で物品を乗り移りさせることができ、上述したような物品を転倒・破損、過負荷による駆動モーターの故障が発生する心配がなく、部品点数の削減によりコストを低減させることもできるものである。
【特許文献1】特開2004−196474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記搬送装置に設けられるガイド40,50は、上流側コンベアの上方に設けられて物品Gをガイド内に導き入れる導入部40a,50a、導入部から斜め横方向に延びて物品を下流側コンベアへ移動させる移動部40b,50b、及び、下流側コンベアの上方に設けられて移動させられた物品を排出する排出部40c,50cの各部分で構成されている。ここで、できるだけ物品Gを安定的に搬送するために、ガイドは、上記各部分の幅が、一定となるように配置されている。すなわち、図6に示されるように、ガイド40は幅W1で、ガイド50は幅W2で統一されている。
【0007】
しかしながら、導入部40a,50aと移動部40b,50bの接続部となる折れ曲がり部分40d,50d、あるいは移動部40b,50bと排出部40c,50cの接続部となる折れ曲がり部分40e,50eにおいては、そのガイド幅(W3,W4)が、他の部分(導入部、移動部、排出部)よりも広くなっている(W1<W3,W2<W4)。そのために、上記折れ曲がり部分で、搬送される物品の搬送姿勢が乱れてしまい、その結果として、検査に必要な物品間の間隔を確保できない、物品が縦長である場合には転倒する等の不具合を生じる。
【0008】
また、搬送される物品が牛乳等の紙パック製品である場合、内容物による圧力等で、物品の上下方向の中央付近が横方向に膨らむが、高さが異なる紙パック製品では、その膨らみ位置や膨らみ量が様々に異なっており、すべての物品を安定的に搬送することができなかった。
【0009】
本願発明は、上記のような事情に鑑みて、物品が受け渡しされる上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されている場合において、物品の搬送姿勢を安定的に維持しながら、上流側コンベアの渡し部から下流側コンベアの受取部へ物品を乗り移らせることができるガイドを備える搬送装置及びそれを備える検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、上流側コンベア及び下流側コンベアが、相互に平行となるように、かつ、前記上流側コンベアの渡し部と前記下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されており、
前記渡し部と前記受取部の上方に跨って設けられ、前記上流側コンベアで搬送される物品の側面を両側から支持しながら前記下流側コンベアへ向かうよう方向転換するガイドを備える搬送装置であって、
前記ガイドは、前記物品を前記上流側コンベアから前記下流側コンベアへ向かうよう方向転換させるために設けられる折れ曲がり部分が、湾曲形状に形成されていることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搬送装置において、
前記ガイドは、前記物品の底部近傍を支持することを特徴とする搬送装置を提供する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載の搬送装置において、
前記ガイドは、上下方向の複数位置に設けられていることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3に記載の搬送装置において、
上下方向の複数位置に設けられるガイドの少なくとも1つは、前記物品の底部近傍を支持することを特徴とする搬送装置を提供する。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置において、
前記ガイドを水平方向に平行移動させることができるスライド機構を備えることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、
その下流に配置され、前記搬送装置から一定間隔で排出される物品を検査する検査装置と、を備えてなる検査システムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の搬送装置によれば、物品の側面を両側から支持するガイドの折れ曲がり部分が湾曲形状に形成されているため、ガイド幅を均一に設定することができ、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるという優れた効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載の搬送装置によれば、請求項1に記載の搬送装置が奏する効果に加えて、下記の優れた効果を奏する。物品の底部近傍を支持することとしたので、搬送対象となる物品が牛乳等の紙パック製品である場合において、最も変形量(膨らみ量)の少ない部分を確実に支持することとなり、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【0018】
請求項3に記載の搬送装置によれば、請求項1に記載の搬送装置が奏する効果に加えて、下記の優れた効果を奏する。物品を支持するガイドを上下方向の複数位置に設けたので、搬送対象となる物品が縦長である場合において、物品が横方向に傾かないように支持することができるので、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【0019】
請求項4に記載の搬送装置によれば、請求項3に記載の搬送装置が奏する効果に加えて、下記の優れた効果を奏する。上下方向の複数位置に設けられるガイドの少なくとも1つが、物品の底部近傍を支持することとしたので、搬送対象となる物品が牛乳等の紙パック製品である場合において、最も変形量(膨らみ量)の少ない部分を確実に支持することとなり、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【0020】
請求項5に記載の搬送装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置が奏する効果に加えて、下記の優れた効果を奏する。ガイドを水平方向に平行移動させることができるスライド機構を備えるので、搬送対象となる物品に応じた最適なガイド幅を設定することができ、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る検査システム1の平面図及び正面図である。図3は、検査システム1に備えられる搬送装置2のガイド24,25を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA視である。図4は、物品Gがガイド24,25によって案内搬送される状態を示す平面図である。図5は、(a)が図3のB−B断面図、(b)がC−C断面図である。
【0022】
〔検査システム1〕
検査システム1は、図1及び図2に示されるように、搬送装置2と、検査装置としての金属検出部3、印字検査部4及び重量計測部5と、不良品排除部6と、を備えてなる。搬送装置2は、上流工程から供給される物品G(図1,図2では不図示)を受け取り、物品Gどうしの搬送方向の間隔を広げた状態で、その下流に配置される検査装置に向けて排出する。金属検出部3は、物品Gへの金属混入有無を検査し、印字検査部4は、インクジェットプリンタによる物品Gへの印字及びその適否を検査し、重量計測部5は、物品Gの重量検査を行う。そして、上記検査装置による検査で、物品Gに、金属混入、印字不良、重量の過不足等の不具合があると判断される場合には、不良品排除部6の伸縮アーム61を伸張させて物品Gを工程外へ排除する。
【0023】
〔搬送装置2〕
搬送装置2は、図1及び図2に示されるように、支持台2aに上流側(図面左側)から順に設けられる第一コンベア21、第二コンベア22及び第三コンベア23と、これらのコンベアの上方に跨って設けられて、搬送される物品Gをコンベア間で乗り移りさせる第一ガイド24及び第二ガイド25と、を備えてなり、搬送方向において、物品Gの検査に必要な間隔を確保する切り離しを行う。
【0024】
〔第一コンベア21、第二コンベア22及び第三コンベア23〕
第一コンベア21、第二コンベア22及び第三コンベア23は、いずれも上面に載置される物品を搬送するトップチェーン式コンベアであって、図1及び図4に示されるように、相互に平行に配置され、矢印X方向に駆動される。第二コンベア22は、第一コンベア21及び第三コンベア23に対して、搬送(駆動)方向で相互に重なり合うように配置され、自らの上流側に設けられる受取部22aが、第一コンベア21の渡し部21bと幅方向で相互に隣接させられ、自らの下流側に設けられる渡し部22bが、第三コンベア23の受取部23aと幅方向で隣接させられるようになっている。すなわち、上流側コンベアと、それに続いて設けられる下流側コンベアが、相互に平行に、かつ、上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部とが、コンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されている。
【0025】
第二コンベア22は、第一コンベア21及び第三コンベア23よりも搬送速度が小さく設定されている。その結果、搬送方向における物品Gどうしの間隔は、第一コンベア21から第二コンベア22への乗り移りにより狭められ、第二コンベア22から第三コンベア23への乗り移りにより広げられる。これにより、搬送装置2を通過する物品Gについて、その搬送方向における切り離しが行われ、下流での検査に必要な間隔が確保される。なお、第二コンベア22と第三コンベア23の上方を跨るように、加速装置(不図示)が設けられている。この加速装置は、第三コンベア23の搬送速度と略同じ周速度で鉛直軸周りに回転する駆動ローラー、及びこれに対向するように設けられる補助ローラーを備えてなり、これらのローラーで物品Gの側面を両側から挟み込むようにして搬送方向に加速させる。これによって、物品Gは、搬送速度の小さい第二コンベア22から搬送速度の大きい第三コンベア23へスムーズに乗り移ることが可能である。
【0026】
〔第一ガイド24及び第二ガイド25〕
第一ガイド24は、図1及び図4に示されるように、上流側の第一コンベア21の渡し部21bと、その下流側の第二コンベア22の受取部22aの上方に跨って設けられる。第一ガイド24は、第一コンベア21で搬送される物品Gの側面を、コンベアの幅方向の両側から案内支持しながら、物品Gを第二コンベア22に向かうように方向転換させる。第二ガイド25は、上流側の第二コンベア22の渡し部22bと、その下流側の第三コンベア23の受取部23aの上方に跨って設けられる。第二ガイド25は、第二コンベア22で搬送される物品Gの側面を、コンベアの幅方向の両側から案内支持しながら、物品Gを第三コンベア23に向かうように方向転換させる。なお、詳しくは後述するが、第一ガイド24及び第二ガイド25は、図5に示されるように、それぞれ上下方向の2箇所(複数位置)に設けられており、下側に位置するガイドが物品Gの底部近傍を支持するように設定されている。
【0027】
第一ガイド24は、物品Gの側面をコンベアの幅方向の両側から案内支持するために、コンベアの幅方向で対となるガイドバー241,241を備える。前記ガイドバー241,241は、断面円形のパイプ体で形成されるとともに、案内支持する物品Gを方向転換するように折り曲げられており、図4に示されるように、第一ガイド24において、上流側から順に、導入部24a、移動部24b及び排出部24cを形成する。導入部24aは、第一コンベア21の上方でその搬送方向に延びて、物品Gをガイド内に導き入れる。移動部24bは、導入部24aから斜め横方向(矢印Ya方向)に延びて、物品Gを第二コンベア22に向かうように方向転換させる。排出部24cは、第二コンベア22の上方でその搬送方向に延びて、第一コンベア21から移動してくる物品Gを下流に排出する。
【0028】
第二ガイド25も、第一ガイド24と同様、物品Gの側面をコンベアの幅方向の両側から案内支持するために、コンベアの幅方向で対となるガイドバー251,251を備える。前記ガイドバー251,251は、物品との接触面がR状に形成されるとともに、案内支持する物品Gを方向転換するように折り曲げられており、図4に示されるように、第二ガイド25において、上流側から順に、導入部25a、移動部25b及び排出部25cを形成する。導入部25aは、第二コンベア22の上方でその搬送方向に延びて、物品Gをガイド内に導き入れる。移動部25bは、導入部25aから斜め横方向(矢印Yb方向)に延びて、物品Gを第三コンベア23に向かうように方向転換させる。排出部25cは、第三コンベア23の上方でその搬送方向に延びて、第二コンベア22から移動してくる物品Gを下流に配置される検査装置に向けて排出する。なお、前述した加速装置は、移動部25bに沿うように設けられている。
【0029】
ガイドバー241は、図4に示されるように、第一ガイド24の導入部24aから移動部24bへ変化する折れ曲がり部分24d、及び、移動部24bから排出部24cへ変化する折れ曲がり部分24eで、急激に折り曲げられるのではなく、徐々に向きを変えるように湾曲形状に形成されている。このようにすることで、第一ガイド24は、そのガイド幅が、導入部24a、移動部24b、排出部24c、及びこれらの間の折れ曲がり部分24d、24eも含めた全体で一定の幅寸法Wに設定される。
【0030】
第一ガイド24,24は、上述したように上下方向の複数位置に設けられているが、コンベアの幅方向の両側のそれぞれにおいて、図3(b)及び図5(a)に示されるように、上下に配置されるガイドバー241,241の両端どうしが連結ブラケット242,242で一体的に連結される。そして、図3(a)に示されるように、連結ブラケット242の一方に長いアジャストボルト243が、他方に短いアジャストボルト244が、コンベアの幅方向の外側に延びるように固定される。アジャストボルト243,244は、支持台2aに設けられる支持ブラケット26,27に形成される貫通穴に挿通された状態で、アジャストナット245により締付固定されている。したがって、アジャストナット245の位置を調整することにより、第一ガイド24は、コンベアの幅方向に移動することができる。すなわち、搬送装置2は、アジャストナット245の回転操作により、第一ガイド24を水平方向に平行移動させて、ガイド幅を変更できるスライド機構を備えるものである。
【0031】
ガイドバー251も、第一ガイド24と同様に、図4に示されるように、第二ガイド25の導入部25aから移動部25bへ変化する折れ曲がり部分25d、及び、移動部25bから排出部25cへ変化する折れ曲がり部分25eで、急激に折り曲げられるのではなく、徐々に向きを変えるように湾曲形状に形成されている。このようにすることで、第二ガイド25は、そのガイド幅が、導入部25a、移動部25b、排出部25c、及びこれらの間の折れ曲がり部分25d,25eも含めた全体で一定の幅寸法Wに設定される。
【0032】
第二ガイド25,25は、上述したように上下方向の複数位置に設けられているが、コンベアの幅方向の両側のそれぞれにおいて、図3(b)及び図5(b)に示されるように、上下に配置されるガイドバー251,251の両端どうしが連結ブラケット252,252で一体的に連結される。そして、図3(a)に示されるように、連結ブラケット252の一方に長いアジャストボルト253が、他方に短いアジャストボルト254が、コンベアの幅方向の外側に延びるように固定される。アジャストロッド253,254は、支持台2aに設けられる支持ブラケット27,28に形成される貫通穴に挿通された状態で、アジャストナット255により締付固定されている。したがって、アジャストナット255の位置を調整することにより、第一ガイド25は、コンベアの幅方向に移動することができる。すなわち、搬送装置2は、アジャストナット255の回転操作により、第二ガイド24を水平方向に平行移動させて、ガイド幅を変更できるスライド機構を備えるものである。
【0033】
なお、第二ガイド25は、第一ガイド24と異なり、上下のガイドバー251,251のそれぞれにコンベアの幅方向に延びる長穴251aが形成されており、図5(b)に示されるように、その長穴251aに挿通される固定ボルト251bを介して連結ブラケット252に固定されている。したがって、固定ボルト251bを緩めることで、上下の複数位置に設けられる第二ガイド25,25が、相互に独立して水平方向に平行移動可能となっている。そのため、搬送される物品Gが、牛乳の紙パック製品等であって、図5(b)に2点鎖線で示されるように、高さ寸法の違いによってその膨らみ位置や膨らみ量が様々に異なる場合であっても、各ガイドのガイド幅をそれらの寸法に合わせて調整することができる。
【0034】
〔上記実施形態の特徴点〕
上記実施形態に係る搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、下記の特徴点を有する。
【0035】
第一に、搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、平行に隣接配置される上流側コンベアの渡し部と下流側コンベアの受取部の上方に跨って設けられ、上流側コンベアで搬送される物品の側面を両側から支持しながら下流側コンベアへ向かうよう方向転換する第一ガイド24及び第二ガイド25を備えているが、これらのガイド24,25は、物品Gを上流側コンベアから下流側コンベアへ向かうよう斜め横方向に方向転換させるために設けられる折れ曲がり部分24d,24e,25d,25eが、湾曲形状に形成されているという特徴点を有する。これにより、ガイド幅を、物品Gの搬送経路の全体において一定の幅寸法Wとすることができる。その結果として、搬送中の物品Gに作用するガイドの摩擦抵抗の変動が抑えられ、物品Gは、コンベア間を乗り移りする際に姿勢を乱されることがなく、例え縦長状であっても転倒させられることがないものである。したがって、物品Gの搬送方向における間隔の切り離しが安定的に行われるものである。
【0036】
第二に、搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、第一ガイド24及び第二ガイド25が、それぞれ上下方向の複数位置に設けられているという特徴点を有する。その結果として、搬送される物品Gが縦長状である場合において、ガイドの幅方向に、すなわち横方向に傾かないように支持するので、物品Gの搬送姿勢を安定させることができる。
【0037】
第三に、搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、上下方向の複数位置に設けられる第一ガイド24及び第二ガイド25のうち、下側に位置するガイドが搬送される物品Gの底部近傍を支持するように設定されているという特徴点を有する。したがって、搬送される物品Gが牛乳等の紙パック製品のように胴膨れするものであっても、最も変形量(膨らみ量)の少ない底部近傍部分を確実に支持することができ、その結果として、物品Gの搬送姿勢を安定させることができる。
【0038】
第四に、搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、第一ガイド24及び第二ガイド25を水平方向に平行移動させることができるスライド機構を備えるという特徴点を有する。搬送される物品Gが牛乳等の紙パック製品のように胴膨れするものであって、物品の高さ寸法が異なる場合には、膨らみ位置や膨らみ量が様々に異なるが、これによれば、それに応じた最適なガイド幅に調整することができ、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【0039】
第五に、搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、上下方向の複数位置に設けられる第二ガイド25が、相互に独立して水平方向に平行移動させることができるという特徴点を有する。搬送される物品Gが牛乳等の紙パック製品のように胴膨れするものであって、しかも縦長状の物品である場合には、膨らみ位置や膨らみ量が高さ方向で様々に変化するが、ガイド幅をその上下方向の複数位置で調整することにより、形状に応じた適切な支持をすることができ、その結果として、物品の搬送姿勢を安定させることができるものである。
【0040】
〔上記実施形態の変形例〕
上記実施形態に係る搬送装置2及びそれを備える検査システム1は、検査に必要な物品間隔を確保するために、第二コンベア22の搬送速度を第一コンベア21及び第三コンベア23の搬送速度よりも小さく設定していたが、これに限らず、本発明は、搬送される物品の間隔を狭めるために利用することとしても良い。また、隣接するように配置されるコンベア間に速度差がない場合において、これらのコンベア間で乗り移りさせるために、本発明を利用するようにしても良い。
【0041】
その他、本発明に係る搬送装置及び検査システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る検査システムの平面図。
【図2】本実施形態に係る検査システムの正面図。
【図3】本実施形態に係る検査システムに備えられる搬送装置のガイドを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA視図。
【図4】図3のガイドによって物品が案内される様子を示す平面図。
【図5】図3におけるガイドの横断面図であって、(a)がB−B断面、(b)がC−C断面。
【図6】従来の検査システムに備えられる搬送装置のガイドによって物品が案内される様子を示す平面図。
【符号の説明】
【0043】
1 検査システム
2 搬送装置
3 金属検出部(検査装置)
4 印字検査部(検査装置)
5 重量計測部(検査装置)
6 不良品排除部
21 第一コンベア
21b 渡し部(第一コンベア)
22 第二コンベア
22a 受取部(第二コンベア)
22b 渡し部(第二コンベア)
23 第三コンベア
23a 受取部(第三コンベア)
24 第一ガイド
24a 導入部(第一ガイド)
24b 移動部(第一ガイド)
24c 排出部(第一ガイド)
24d 折れ曲がり部分(第一ガイド)
24e 折れ曲がり部分(第一ガイド)
25 第二ガイド
25a 導入部(第二ガイド)
25b 移動部(第二ガイド)
25c 排出部(第二ガイド)
25d 折れ曲がり部分(第二ガイド)
25e 折れ曲がり部分(第二ガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側コンベア及び下流側コンベアが、相互に平行となるように、かつ、前記上流側コンベアの渡し部と前記下流側コンベアの受取部とがコンベアの幅方向で相互に隣接するように配置されており、
前記渡し部と前記受取部の上方に跨って設けられ、前記上流側コンベアで搬送される物品の側面を両側から支持しながら前記下流側コンベアへ向かうよう方向転換するガイドを備える搬送装置であって、
前記ガイドは、前記物品を前記上流側コンベアから前記下流側コンベアへ向かうよう方向転換させるために設けられる折れ曲がり部分が、湾曲形状に形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記ガイドは、前記物品の底部近傍を支持することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記ガイドは、上下方向の複数位置に設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送装置において、
上下方向の複数位置に設けられるガイドの少なくとも1つは、前記物品の底部近傍を支持することを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置において、
前記ガイドを水平方向に平行移動させることができるスライド機構を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、
その下流に配置され、前記搬送装置から一定間隔で排出される物品を検査する検査装置と、を備えてなる検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−89149(P2006−89149A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272703(P2004−272703)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】