説明

携帯端末、コンピュータプログラム

【課題】画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末において、ユーザによる接触操作を誤認識するのを抑制する技術を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末であって、タッチパネルへのユーザの接触操作の種類に応じて、接触操作に応じた処理を行う接触処理実行部と、表示部に表示した表示画像をスクロールさせるスクロール部と、タッチパネルへのユーザによる特定の接触操作に応じて、スクロールの停止を行うスクロール停止部と、スクロールの停止を伴う特定の接触操作によるタッチパネルへのユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、ユーザの接触が解除されるまで、接触処理実行部に接触操作に応じた処理を行わせない接触処理抑制部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、タブレット端末、PDAなど、画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末は、指や専用のペンを用いてタッチパネルに触れることによって種々の操作(以下、接触操作とも呼ぶ)を行う。接触操作には、タップ、フリック、ピンチイン/アウト、ドラッグ等、タッチパネルへの指または専用ペンの複数種類の接触の態様があり、それぞれ異なった意味をもつ操作として区別される。
【0003】
ところで、これらの接触操作の中には、携帯端末の処理状態によって、同じ態様の接触操作に対して異なる意味を持たせている場合がある。例えば、下記特許文献1の技術が知られている。また、その他に例えば、タッチパネル上の一定の位置を指(専用ペン)で触れる接触操作であるタップは、表示画像のクリックを意味する場合と、表示画像のスクロールの停止を意味する場合とがある。このように、同じ態様の接触操作に対して、携帯端末の処理状態によって異なる意味を持たせている場合、携帯端末が、ユーザの行った接触操作を誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−230328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、ユーザによる接触操作を、携帯端末が誤認識するのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
[適用例1]
画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末であって、
前記タッチパネルへのユーザの接触操作の種類に応じて、前記接触操作に応じた処理を行う接触処理実行部と、
前記表示部に表示した表示画像をスクロールさせるスクロール部と、
前記タッチパネルへの前記ユーザによる特定の接触操作に応じて、前記スクロールの停止を行うスクロール停止部と、
前記スクロールの停止を伴う前記特定の接触操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない接触処理抑制部と
を備える携帯端末。
【0007】
この携帯端末によると、接触処理抑制部は、スクロール中にユーザがスクロールの停止を伴う特定の接触操作をした際には、その特定の接触操作によるタッチパネルへのユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に接触操作に応じた処理を行わせないので、スクロール中にユーザが行う特定の接触操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0008】
[適用例2]
前記表示画像は地図を表す地図画像である適用例1記載の携帯端末。
【0009】
この携帯端末によると、表示画像としての地図画像のスクロール中に、スクロールの停止を伴う特定の接触操作をユーザがした際に、その特定の接触操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0010】
[適用例3]
適用例2記載の携帯端末であって、前記接触処理実行部は、前記スクロール部が前記スクロールを行ってないときの前記ユーザによる前記接触操作が、前記地図画像に対する前記所定の期間より短い一定期間を超えるタップ操作である場合、前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に関する特定の処理を行い、前記特定の接触操作は、前記地図画像へのタップ操作である携帯端末。
【0011】
この携帯端末によると、地図画像のスクロール中にユーザがタップ操作を行った際に、そのタップがスクロールの停止を意味するものであるか、スクロールの停止に加えタップ操作を行った地図画像の位置に関する特定の処理を意味するものであるのかを、タップ操作によるタッチパネルへのユーザの接触の解除、および、タッチパネルに接触している期間の長さによって区別しているので、地図画像のスクロール中にユーザが行うタップ操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0012】
[適用例4]
前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に関する特定の処理は、前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に所定のマークを表示する処理である適用例3記載の携帯端末。
【0013】
この携帯端末によると、地図画像のスクロール中にユーザが行うタップ操作が、スクロールの停止を意味するものであるか、スクロールの停止に加えタップ操作を行った地図画像の位置に所定のマークを表示する処理を意味するものであるのかを、タップ操作によるタッチパネルへのユーザの接触の解除、および、タッチパネルに接触している期間の長さによって区別しているので、地図画像のスクロール中にユーザが行うタップ操作に対してユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0014】
[適用例5]
前記表示画像は、ハイパーリンクを含んだ画像であるリンク画像である適用例1記載の携帯端末。
【0015】
この携帯端末によると、表示画像としてのリンク画像のスクロール中に、ユーザがスクロールの停止を伴う特定の接触操作をした際に、その特定の接触操作を他の接触操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0016】
[適用例6]
適用例5記載の携帯端末であって、前記特定の接触操作はタップ操作であり、前記接触処理抑制部は、前記スクロールの停止を伴う前記タップ操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない携帯端末。
【0017】
この携帯端末によると、リンク画像のスクロール中にユーザがタップ操作を行った際に、そのタップがスクロールの停止を意味するものであるのか、スクロールの停止に加えタップ操作を行ったリンク画像の位置に関する特定の処理を意味するものであるのかを、タップ操作によるタッチパネルへのユーザの接触の解除、および、タッチパネルに接触している期間の長さによって区別しているので、リンク画像のスクロール中にユーザが行うタップ操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0018】
[適用例7]
前記リンク画像は、検索エンジンによる検索処理の結果を示す画像である検索結果画像である適用例4ないし適用例6のいずれか記載の携帯端末。
【0019】
この携帯端末によると、検索結果画像のスクロール中にユーザが行うタップ操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を実行することを抑制できる。
【0020】
[適用例8]
画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末のコンピュータが実行するコンピュータプログラムであって、前記タッチパネルへのユーザの接触操作の種類に応じて、前記接触操作に応じた処理を行う機能と、前記表示部に表示した表示画像をスクロールさせる機能と、前記タッチパネルへの前記ユーザによる特定の接触操作に応じて、前記スクロールの停止を行う機能と、前記スクロールの停止を伴う前記特定の接触操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでは、所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない機能とを前記携帯端末のコンピュータによって実現させるプログラム。
【0021】
このコンピュータプログラムによると、表示画像のスクロール中にユーザが行う特定の接触操作を他の接触操作と誤認識して、ユーザの意志に反した処理を携帯端末が実行することを抑制することができる。
【0022】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、接触操作認識装置、接触操作認識システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】携帯端末10の構成を説明する構成図である。
【図2】主な接触操作について説明した説明図である。
【図3】接触操作制御処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】地図画像にチェックマークを表示する様子を示した説明図である。
【図5】第1実施例の効果を説明する説明図である。
【図6】検索結果画像が表示されている携帯端末10を示す説明図である。
【図7】第2実施例における接触操作制御処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】第2実施例の効果を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
(A1)携帯端末の構成:
図1は、本発明の実施例としての携帯端末10の構成を説明する構成図である。携帯端末10は、画像を表示する表示部とタッチパネルとが重畳した携帯電話である。本実施例では、タッチパネルをカラーLEDパネルに重ねて配置した構成を採用している。タッチパネルは静電容量方式のものを採用した。また、静電容量方式に限らず、抵抗膜方式や電磁誘導方式のものを採用してもよい。携帯端末10は、基地局BSと無線によって接続されており、基地局BSを介して携帯電話としての音声信号の送受信を行う。さらに携帯端末10は、基地局BSを介してインターネットINTに接続されている。
【0025】
図1に示すように、携帯端末10は、主制御部110を中心に構成されており、タッチパネル120、表示部122、通信部124、通話制御部126、キー入力部128、音声出力部130、GPS受信機132が主制御部110に接続されている。主制御部110は、CPU112と、RAM114と、ROM116とを備え、携帯端末10の全体の動作を制御する。また、ROM116には、後で説明する接触操作制御処理を行うためのプログラム(接触操作制御プログラム)が記憶されており、CPU112がRAM114に読み出して実行することにより接触操作制御処理を行う。タッチパネル120は、ユーザによる指または専用のペン(以下、指または専用のペンをまとめて単に「指」と表現する)による接触操作を受け付ける。接触操作とは、ユーザが指でタッチパネルに触れることによって種々の操作を行うことである。接触操作には、タップ、フリック、ピンチイン/アウト、ドラッグ等、タッチパネルへの指による複数種類の接触の態様があり、それぞれ異なった意味をもつ操作である。
【0026】
表示部122は、種々の画像をユーザに向けて表示する。タッチパネル120と表示部122とを重畳して備え、ユーザによるタッチパネルへの接触操作によって、表示画像がユーザの指の動きに対応した動作をするように、表示した画像を処理することから、見かけ上、ユーザが指で直接的に表示画像を操作することを可能にしている。通信部124は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を行うための回路である。通信部124は基地局BSを介して、インターネットINTにアクセスすることができる。通話制御部126は、音声通話のための着信や呼び出し、音声信号と電気信号の変換などを行う回路である。携帯端末10は、通話制御部126と通信部124とを備えることにより、携帯電話として動作する。キー入力部128は、ユーザがタッチパネル120による操作以外の操作を行うための操作ボタンである。例えば、ユーザが表示部122にメインメニュー画面を表示させるために用いる。
【0027】
音声出力部130は、携帯端末10が備える種々のアプリケーション(例えば、音声による経路案内や、携帯端末10の操作方法の案内など)の実行時に、ユーザに向けて音声を出力する。GPS受信機132は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信することによって、携帯端末10の現在位置の座標(経度・緯度)を取得するための装置であり、携帯端末10が備える種々のアプリケーション(例えば、経路案内を行うアプリケーション)を実行する上で現在位置の情報が必要な場合に用いられる。
【0028】
(A2)接触操作制御処理:
次に、携帯端末10が行う接触操作制御処理について説明する。接触操作制御処理は、携帯端末10に画像を表示させた場合に、その表示画像に対してユーザが行う各接触操作(タップ、ドラッグ、フリック等)を認識し、その接触操作に対応した処理を実行する処理である。接触操作制御処理を説明するにあたり、先に、主な接触操作について説明する。図2は、携帯端末10の操作に用いる主な接触操作について説明した説明図である。主な接触操作として、タップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、ピンチアウトについて説明する。図2に説明するように、タップは、タッチパネル120上の一定の位置を指先で軽くつつくように触れる接触操作である。タップは、タッチパネル120に接触している期間(以下、接触期間とも呼ぶ)の長短によって、異なる接触操作として区別されることもある。次に、ドラッグは、タッチパネル120に指を接触させたまま上下左右にずらす接触操作である。フリックは、タッチパネル120を指ではじくような接触操作である。一般的に、フリックは、表示部122に表示されている表示画像をスクロールさせる場合に用いる。次に、ピンチアウトは二本の指でタッチパネル120を押さえ、その指の間隔を広げる接触操作である。一般的にピンチアウトは、表示画像を拡大表示させるときに用いる。ピンチインは二本の指でタッチパネル120を押さえ、その指の間隔を狭める接触操作である。一般的にピンチインは、表示画像を縮小表示させるときに用いる。
【0029】
上記説明した接触操作の内容を踏まえた上で、携帯端末10が行う接触操作制御処理について説明する。本実施例では、表示部122に表示画像として地図画像が表示されている場合における、携帯端末10が行う接触操作制御処理について説明する。表示部122に表示されている地図画像は、携帯端末10がインターネットINTを介して取得したものである。図3は、表示部122に地図画像が表示されている場合に携帯端末10が行う接触操作制御処理の流れを示したフローチャートである。接触操作制御処理は、携帯端末10がインターネットINTを介して地図画像を取得し、表示部122に表示すると同時に開始される。接触操作制御処理が開始されると、携帯端末10は、タッチパネル120に対してユーザが接触操作をするまで待機状態となる(ステップS102:NO)。ユーザがタッチパネルに対して接触操作を行うと(ステップS102:YES)、携帯端末10(主制御部110)は、その接触操作を認識する。
【0030】
携帯端末10が、接触操作をドラッグであると認識した場合、携帯端末10は、予め用意したフラグを0(F=0)に設定する(ステップS104)。そして、ユーザがドラッグとして移動させる指の方向に合わせて地図画像を移動させる(ステップS106)。地図画像の移動量は指の移動量とほぼ等しくなくように設定されている。その後、携帯端末10は、ドラッグとしてのユーザのタッチパネルへの指の接触が解除されるまでは、換言すると、タッチパネル120から指が離れるまでは、ユーザの指の動き(上下左右等)に合わせて表示画像(地図画像)を移動させる(ステップS108:NO)。携帯端末10は、ドラッグとしての指の接触が解除されると(ステップS108:YES)、フラグを0(F=0)にリセットする(ステップS140)。
【0031】
一方、携帯端末10が、ステップS102において、ユーザによる接触操作をピンチイン/アウトであると認識した場合、携帯端末10はフラグを0(F=0)に設定する(ステップS110)。そして、ユーザがタッチパネル120を押さえている2本の指の幅の変化に応じて、表示画像(地図画像)を拡大または縮小させる(ステップS112)。その後、携帯端末10は、ピンチイン/アウトとしてのユーザのタッチパネルへの指の接触が解除されるまでは、ユーザの2本の指の幅に合わせて地図画像を拡大または縮小させる(ステップS113:NO)。携帯端末10は、ピンチイン/アウトとしての指の接触が解除されると(ステップS113:YES)、フラグを0(F=0)にリセットする(ステップS140)。
【0032】
ステップS102においてユーザによる接触操作がフリックである場合、携帯端末10はフラグを1(F=1)に設定する(ステップS114)。そして、携帯端末10は、ユーザが指をフリックした方向に地図画像をスクロールする(ステップS116)。そして、地図画像のスクロール中にユーザがタップを行うかを監視する(ステップS118)。地図画像のスクロール中にユーザがタップを行わない場合(ステップS118:NO)、予め定めた所定期間(例えば1秒間)が経過するまでは、地図画像のスクロールを継続し(ステップS120:NO)、所定期間を経過すると地図画像のスクロールを停止し(ステップS122)、フラグを0(F=0)にリセットする(ステップS140)。一方、フリックによる地図画像のスクロール中にユーザがタップを行った場合(ステップS118:YES)、携帯端末10は、処理をステップS126に進める。ステップS126の処理については後述する。
【0033】
次に、ステップS102において、携帯端末10が、ユーザによる接触操作がタップであると認識した場合、携帯端末10はフラグを0(F=0)に設定する(ステップS124)。その後、携帯端末10はフラグがF=0であるかF=1であるか確認する(ステップS126)。すなわち、ユーザが行ったタップが、地図画像がスクロール中に行われた操作(F=1)か、スクロールしていないときに行われた操作(F=0)かを判断する。フラグが0であった場合(ステップS126:F=0)、すなわち、当該タップが、地図画像がスクロールしていないときに行われた操作であった場合、携帯端末10は、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、予め定めた期間内(期間T1)に解除されるかを監視する(ステップS128)。すなわち、タップによる接触期間がT1以内か否かを監視する。そして、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T1の経過しても解除されなかった場合は(ステップS128:YES)、携帯端末10は、タップとしてユーザが指を接触させている地図画像の位置に、マーク(以下、チェックマークとも呼ぶ)を表示し、そのマークを表示した位置の地図上の絶対位置(経度・緯度)をRAM114に記憶する(ステップS130)。チェックマークの表示は、ユーザがその地図画像の位置を記録として残しておくことを意味する。チェックマークの表示の態様については後で説明する。一方、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T1以内に解除された場合は(ステップS128:NO)、携帯端末10は、処理をステップS140へ進めてフラグを0(F=0)にリセットする。
【0034】
次に、ステップS126において、携帯端末10がフラグを確認したときに、フラグが1であった場合(ステップS126:F=1)の処理について説明する。携帯端末10は、フラグが1であった場合、即ち、当該タップがスクロール中に行われた操作(ステップS118:YES)であった場合、地図画像のスクロールを停止する(ステップS132)。その後、携帯端末10は、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、予め定めた期間内(期間T2)に解除されるかを監視する(ステップS134:NO→ステップS136)。期間T2は、上述した期間T1よりも長い期間である(T2>T1)。そして、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T2の経過前に解除された場合は(ステップS136:NO→ステップS134:YES)、携帯端末10は、フラグを0(F=0)にリセットする(ステップS140)。
【0035】
一方、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T2を経過しても解除されない場合は(ステップS136:YES)、携帯端末10は、タップとしてユーザが指を接触させている地図画像の位置に、マーク(チェックマーク)を表示し、そのマークを表示した位置の座標をRAM114に記憶する(ステップS130)。
【0036】
携帯端末10は、上記説明したユーザによる各接触操作による処理(ステップS102〜ステップS140)を、表示部122への地図画像の表示を終了するまで、繰り返し行い(ステップS142:NO)、ユーザがキー入力部128またはタッチパネル120への所定の操作によって地図画像の表示を終了したきは、表示終了とともに、接触操作制御処理を終了する(ステップS142)。
【0037】
次に、ステップS130において、携帯端末10が地図画像にチェックマークを表示する処理について説明する。図4は、携帯端末10が地図画像にチェックマークを表示する様子を示した説明図である。図4に示すように、携帯端末10は、タップとしてユーザの指が接触している地図画像の位置に、チェックマークを表示する。また、ユーザがチェックマークを表示する条件を満たす複数回のタップを行った際には、携帯端末10は、地図画像に複数個のチェックマークを同時に表示するとしてもよいし、表示するチェックマークの数に制限を設け、表示されたチェックマークとして新しいものから優先的に表示し、古いチェックマークは削除していくとしてもよい。
【0038】
以上、接触操作制御処理について説明した。以下、第1実施例の効果について図5を用いて説明する。上記説明したように、携帯端末10は、スクロール中にユーザが行ったタップに対して、タッチパネル120からの接触の解除があるまでは、期間T2の間、接触操作に対する処理は行わない。つまり、スクロールの停止を伴うタップによって、ユーザの指がスクロール停止後も継続的にタッチパネルに接触している場合、期間T2以内であれば、その接触を継続したままドラッグやフリック等の他の接触操作を行ったとしても、その接触操作による処理は行わない。即ち、「スクロールの停止」と認識する。
【0039】
また、スクロール中のタップは「スクロールの停止のみ」と「スクロールの停止に加えチェックマークの表示」の2つの意味を持つため、期間T2以内の指の接触によるタップは「スクロールの停止のみ」を、期間T2以上の指の接触によるタップは「スクロールの停止に加えチェックマークの表示」を、それぞれ意味するように区別している。さらに、ユーザが、スクロール中のタップによって、スクロールの停止とチェックマークの表示の両方を行いたい場合は、通常状態(スクロールをしていないとき)のチェックマークの表示を伴うタップによる指の接触期間(期間T1)より長い期間(期間T2以上)の接触を継続することによって、スクロールの停止およびチェックマークの表示を行う。このようにすることで、ユーザによるタップという接触操作に対して、ユーザの意志に反した誤認識を抑制し、ユーザによる接触操作に対して適切な処理を行うことができる。
【0040】
B.第2実施例:
次に第2実施例について説明をする。第2実施例では、ハイパーリンクを含む表示画面に対して携帯端末10が行う接触操作制御処理について説明する。その一例として、検索エンジンが行った検索処理に基づく検索結果を示す画像(検索結果画像)が表示画像として表示部122に表示されている場合について説明する。図6は、表示部122に表示画像として検索結果画像が表示されている携帯端末10を示す説明図である。検索結果画像には、検索結果項目としてハイパーテキスト(ハイパーリンク)が含まれている。検索結果および検索結果画像は、携帯端末10とインターネットINTを解して接続されている検索サーバから取得する。
【0041】
図7は、表示部122に検索結果画像が表示されている場合に携帯端末10が行う接触操作制御処理の流れを示したフローチャートである。第2実施例における接触操作制御処理は、携帯端末10が、インターネットINTを介して検索結果画像を取得し、表示部122に表示すると同時に開始される。第2実施例における接触操作制御処理と第1実施例における接触操作制御処理とで異なる処理は、図7において破線で囲んだ処理、即ち、ステップS128A、ステップS130A、ステップS136A、およびステップS136A:YESの場合に処理を進めるステップ(図内の(B))である。他の処理は、表示画像が異なるのみで(第2実施例:検索結果画像、第1実施例:地図画像)、処理内容は第1実施例と同じであるので、第1実施例と同じ符号を付している。従って、第2実施例における接触操作制御処理の説明は、図7のステップS102において携帯端末10が、ユーザによる接触操作をタップであると認識した場合(ステップS102→ステップS124〜ステップS140)からとし、ステップS102〜ステップ122の処理については説明を省略する。
【0042】
図7のステップS102において、携帯端末10が、ユーザによる接触操作をタップであると認識した場合、携帯端末10はフラグを0(F=0)に設定する(ステップS124)。その後、携帯端末10はフラグがF=0であるかF=1であるか確認する(ステップS126)。すなわち、ユーザが行ったタップが、検索結果画像がスクロール中に行われた操作(F=1)か、スクロールしていないときに行われた操作(F=0)かを判断する。フラグが0であった場合(ステップS126:F=0)、すなわち、当該タップが、検索結果画像がスクロールしていないときに行われた操作であった場合、携帯端末10は、ユーザがタップをしたタッチパネル120上の位置がハイパーテキスト上であるかを判断する(ステップS128A)。ユーザのタップをした位置がハイパーテキスト上であった場合(ステップS128A:YES)、タップしたハイパーテキストのリンク先にジャンプする(ステップS130A)。一方、ユーザのタップをした位置がハイパーテキスト以外の位置であった場合(ステップS128A:NO)、携帯端末10は、携帯端末10は、処理をステップS140へ進めてフラグを0(F=0)にリセットする。
【0043】
次に、ステップS126において、携帯端末10がフラグを確認したときに、フラグが1であった場合(ステップS126:F=1)の処理について説明する。携帯端末10は、フラグが1であった場合、即ち、当該タップがスクロール中に行われた操作であった場合(ステップS118:YES)、検索結果画像のスクロールを停止する(ステップS132)。その後、携帯端末10は、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、予め定めた期間内(期間T3)に解除されるかを監視する(ステップS134:NO→ステップS136A)。期間T3は、通常ユーザが一般的に行うタップによるタッチパネル120への接触期間より長い期間に設定している(例えば、T3=3秒)。そして、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T3の経過前に解除された場合は(ステップS136A:NO→ステップS134:YES)、携帯端末10は、フラグを0(F=0)にリセットする(ステップS140)。一方、タップとしてのユーザのタッチパネル120への指の接触が、期間T3を経過しても解除されない場合は(ステップS136A:YES)、携帯端末10は、処理をステップS128Aに進める。ステップS128A以降の処理内容は第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0044】
以上、第2実施例における接触操作制御処理について説明した。以下、図8を用いて第2実施例の効果について説明する。上記説明したように、携帯端末10は、スクロール中にユーザが行ったタップに対して、タッチパネル120からの接触の解除があるまでは、期間T3の間、接触操作に対する処理は行わない。つまり、スクロールの停止を伴うタップによって、スクロール停止後も継続的にタッチパネルに接触している場合、期間T3以内であれば、その接触を継続したままドラッグやフリック等の他の接触操作を行ったとしても、その接触操作による処理は行わない。即ち、第1実施例と同様、「スクロールの停止」と認識する。
【0045】
また、スクロール中のハイパーリンクの位置へのタップは、「スクロールの停止のみ」と「スクロールの停止に加えハイパーリンクのリンク先へのジャンプ」の2つの意味を持つため、期間T3以内の接触によるタップは「スクロールの停止のみ」を、期間T3以上の接触によるタップは「スクロールの停止に加えリンク先へジャンプ」を、それぞれ意味するように区別している。このようにすることで、表示画像として検索結果画像を表示している場合に、ユーザによるタップという接触操作に対して、ユーザの意志に反した誤認識を抑制し、ユーザによる接触操作に対して適切な処理を行うことができる。
【0046】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
(C1)変形例1:
上記実施例においては、携帯端末10として携帯電話を採用したが、それに限ることなく、タブレット端末、PDAなど、画像を表示する表示部にタッチパネルを重畳した携帯端末であれば他の携帯端末を採用することができる。このような携帯端末を採用しても上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(C2)変形例2:
上記実施例においては、スクロールを停止させる接触操作としてタップを採用したが、それに限ることなく、フリックやドラッグなど、他の接触操作を採用するとしてもよい。例えば、ドラッグを採用した場合には、図2に示したタップにおける処理内容(ステップS124〜ステップS140)をドラッグに置き換え、ステップS130(図3)における処理を「画像を移動」に置き換えることにより実現可能である。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(C3)変形例3:
上記実施例においては、表示画像として地図画像および検索結果画像を採用したが、それに限ることなく、写真画像、web画像、ユーザが作成した資料を示す画像など、表示部122に表示可能な画像であれば種々の画像を採用することができる。例えば、第1実施例の接触操作制御処理(図3)において、表示画像として写真画像を採用した場合、ステップS130の処理を「タップの位置を中心に写真を拡大表示する」に変えて採用するとしてもよい。この場合、スクロール中のタップは「スクロールの停止のみ」と「スクロールの停止に加え、タップの位置を中心に写真を拡大表示する」の2つの意味を持つため、期間T2以内の接触によるタップは「スクロールの停止のみ」を、期間T2以上の接触によるタップは「スクロールの停止に加えタップの位置を中心に写真を拡大表示する」を、それぞれ意味するように区別することができる。このように、表示画像として種々の画像を採用しても、ユーザによるタップという接触操作に対して、ユーザの意志に反した誤認識を抑制し、ユーザによる接触操作に対して適切な処理を行うことができる。
【0050】
(C4)変形例4:
上記実施例においては、フリックによって表示画像がスクロールするとしたが(図3、図7)、それに限ることなく、他の操作や外部からの信号など、携帯端末に与えられる外的要因によって、表示画像がスクロールするとしてもよい。例えば、携帯端末が加速度センサーを搭載しており、ユーザが携帯端末を所定の加速度以上で振ることによって、携帯端末が表示画像のスクロールを行うとしてもよい。その他、携帯端末が音声認識モジュールを備えており、ユーザが携帯端末に対して所定の音声(例えば「スクロール」)を発することによって、携帯端末が表示画像のスクロールを行うとしてもよい。このように、スクロールの開始を意味する操作は、タッチパネルへの接触操作に限らず、携帯端末に対するユーザの種々の操作および外部からの信号(例えば音声)等の、携帯端末に与えられる外的要因を採用することができる。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(C5)変形例5:
上記第1実施例においては、接触操作制御処理(図3)におけるステップS130の処理は「チェックマークの表示」としたが、それに限ることなく、例えば、タップした位置を中心とした地図の拡大表示や、タップした位置の地理的な詳細情報の表示など、その地図画像の位置に関する特定の処理を行うとすることができる。このようにしても、上記第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(C6)変形例6:
上記第1、第2実施例においては、スクロール中のタップは、そのタップによる指の接触を継続している場合には、接触期間が所定期間(第1実施例:期間T2、第2実施例:期間T3)を経過するまでは、他の接触操作による処理は行わないとしたが、それに限ることなく、選択的に他の接触操作による処理を行うとしてもよい。例えば、タップによる指の接触期間が所定期間経過前であっても、接触操作のうち、例えば、タップによる指の接触に続けてドラッグによる表示画像の移動を可能にするとしてもよい。このようにしても、携帯端末10が、ユーザの接触操作を誤認識して、ユーザの意志に反した処理を行う(例えば、タップによる接触期間が所定期間内にもかかわらずチェックマークの表示を行うなど)ことを抑制することができる。
【0053】
(C7)変形例7:
上記実施例では、携帯端末10は、接触操作制御処理を順次処理によって行うとしたが、イベントドリブン方式によって接触操作制御処理を行うとしてもよい。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(C8)変形例8:
上記実施例における携帯端末10は、スクロールの停止を伴うタップによってタッチパネル120にユーザが接触を継続している場合、所定の接触期間(第1実施例:期間T2、第2実施例:期間T3)が経過した後には、スクロールの停止を伴うタップによってタッチパネル120にユーザが接触が継続していても、他の処理が行えるとしたが(図5、図8参照)、それに限ることなく、以下のような態様を採用することができる。即ち、スクロールの停止を伴うタッチパネルへのユーザの接触が解除されるまでは、接触期間にかかわらず、携帯端末10は、他の処理を行わないとする態様を採用することができる。このようにしても、上記実施例と同様に、ユーザの意志に反した誤認識を抑制し、ユーザによる接触操作に対して適切な処理を行うことができる。
【0055】
(C9)変形例9:
上記第1実施例においては(図5参照)、期間T2は期間T1より長いとしたが、それに限ることなく、期間T2と期間T1とを同じ長さにするとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…携帯端末
110…主制御部
112…CPU
114…RAM
116…ROM
120…タッチパネル
122…表示部
124…通信部
126…通話制御部
128…キー入力部
130…音声出力部
132…GPS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末であって、
前記タッチパネルへのユーザの接触操作の種類に応じて、前記接触操作に応じた処理を行う接触処理実行部と、
前記表示部に表示した表示画像をスクロールさせるスクロール部と、
前記タッチパネルへの前記ユーザによる特定の接触操作に応じて、前記スクロールの停止を行うスクロール停止部と、
前記スクロールの停止を伴う前記特定の接触操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない接触処理抑制部と
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記表示画像は地図を表す地図画像である請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
請求項2記載の携帯端末であって、
前記接触処理実行部は、前記スクロール部が前記スクロールを行ってないときの前記ユーザによる前記接触操作が、前記地図画像に対する前記所定の期間より短い一定期間を超えるタップ操作である場合、前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に関する特定の処理を行い、
前記特定の接触操作は、前記地図画像へのタップ操作である
携帯端末。
【請求項4】
前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に関する特定の処理は、前記タップ操作を行った前記地図画像の位置に所定のマークを表示する処理である請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記表示画像は、ハイパーリンクを含んだ画像であるリンク画像である請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
請求項5記載の携帯端末であって、
前記特定の接触操作はタップ操作であり、
前記接触処理抑制部は、前記スクロールの停止を伴う前記タップ操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない
携帯端末。
【請求項7】
前記リンク画像は、検索エンジンによる検索処理の結果を示す画像である検索結果画像である請求項4ないし請求項6のいずれか記載の携帯端末。
【請求項8】
画像を表示する表示部にタッチパネルを備えた携帯端末のコンピュータが実行するコンピュータプログラムであって、
前記タッチパネルへのユーザの接触操作の種類に応じて、前記接触操作に応じた処理を行う機能と、
前記表示部に表示した表示画像をスクロールさせる機能と、
前記タッチパネルへの前記ユーザによる特定の接触操作に応じて、前記スクロールの停止を行う機能と、
前記スクロールの停止を伴う前記特定の接触操作による前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの所定の期間、または、前記ユーザの接触が解除されるまで、前記接触処理実行部に前記接触操作に応じた処理を行わせない機能とを
前記携帯端末のコンピュータによって実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15918(P2013−15918A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146714(P2011−146714)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】