説明

携帯端末装置及び載置装置

【課題】RFIDアンテナを有する携帯端末装置の情報読み取り時の操作性を向上するとともに、アンテナ性能を自在に変更することである。
【解決手段】携帯端末装置10は、金属板23を有する本体部3と、ループコイルを有するRFIDアンテナ16aと、RFIDアンテナ16aと金属板23との間の距離を変更可能に本体部3とRFIDアンテナ16aとを接続する接続部4と、を備え、RFIDアンテナ16aと金属板23との間の距離に応じて、RFIDアンテナ16aの読取可能範囲を調節できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置及び携帯端末システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio frequency Identification)アンテナを有し、このRFIDアンテナによりIC(Integrated Circuit)タグ(RFIDタグ)に記録された情報を非接触に読み取るRFID機能を有するハンディターミナル、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。RFIDタグは、例えば、生産された商品に付され、その商品の識別情報が記録される。
【0003】
また、RFIDアンテナを有し、このRFIDアンテナにより非接触ICカード(RFIDカード)に記録された情報の読み書きを行うリーダ/ライタ装置が知られている。非接触ICカードは、例えば、電車,バス等の乗車券、電子マネーの情報の記録に用いられている。
【0004】
RFIDの伝送媒体方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式等の方式が存在する。小型の携帯端末装置には、HF(High Frequency)領域(特に、13.56MHz)において、電磁誘導方式のRFIDアンテナが用いられていた。電磁誘導方式では、RFIDアンテナ及びRFIDタグ(RFIDカード)は、それぞれループコイル型のエレメント(ループコイル)を有する。その各ループコイルが対向配置され、一方のループコイルに信号を通電することにより発生する誘導電磁界を媒体として、もう一方のループコイルに発生する交流信号により、情報が送信される。
【0005】
また、RFIDタグは、RFIDアンテナから比較的遠い距離(例えば、30cm)で情報が読み取られる。これに対し、RFIDカードは、RFIDアンテナから比較的近い距離(例えば、1cm)で情報が読み書きされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−208993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
携帯端末装置において、RFIDタグと、RFIDカードとの両方の情報を読み書き可能なRFID機能を搭載する要請がある。例えば、個人商店等の店舗において、店員による、入荷した商品に付されたRFIDタグを読み取る作業と、商品の精算時の電子マネーのRFIDカードを読み書きする作業と、に携帯端末装置を用いるためである。
【0008】
しかし、従来の携帯端末装置は、その本体部に対してRFIDアンテナが固定されており、RFIDアンテナの角度が調整できなかった。このため、RFIDカードを近傍から読み取る場合と、RFIDタグを遠方から読み取る場合とでは、携帯端末装置本体部に対する読み取り方向が異なるので、携帯端末装置を移動させねばならず、情報読み取りの操作性が悪くなるおそれがあった。
【0009】
また、RFIDタグと、RFIDカードとでは、要求される読み取り距離が異なっていた。しかし、従来の携帯端末装置において、この携帯端末装置にRFIDアンテナが固定的に取り付けられているため、RFIDアンテナの読取可能範囲(読取可能距離)が固定しており、RFIDアンテナのアンテナ性能をユーザが変更することができなかった。これに関し、従来の携帯端末装置において、この携帯端末装置に固定的に取り付けられたRFIDアンテナは、携帯端末装置自体の金属部品による影響を受けるため、絶えずアンテナ性能が一定に劣化していた。
【0010】
本発明の課題は、RFIDアンテナを有する携帯端末装置の情報読み取り時の操作性を向上するとともに、アンテナ性能を自在に変更することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の携帯端末装置は、第1の金属板を有する本体部と、ループコイルを有するRFIDアンテナと、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、を備え、前記接続部は、ヒンジを有し、当該ヒンジを中心として前記第1の金属板と前記RFIDアンテナとの間の角度を変更可能とし、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした。
【0012】
請求項2に記載の発明の携帯端末装置は、第1の金属板を有する本体部と、ループコイルを有するRFIDアンテナと、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記本体部に対し前記RFIDアンテナを平行にスライド可能なスライドレールを有し、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした。
【0013】
請求項3に記載の発明の携帯端末装置は、第1の金属板を有する本体部と、ループコイルを有するRFIDアンテナと、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記本体部と前記RFIDアンテナとを分離可能とし、前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の金属板とRFIDアンテナとの距離を変更するよう本体部に対するRFIDアンテナの位置を変更できるので、RFIDアンテナを有する携帯端末装置の情報読み取り時の操作性を向上でき、アンテナ性能を自在に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明に係る実施の形態の携帯端末装置の外観を示す正面図である。(b)は、携帯端末装置の外観を示す側面図である。(c)は、携帯端末装置の外観を示す背面図である。
【図2】携帯端末装置のRFIDアンテナの透視状態を示す図である。
【図3】(a)は、RFIDアンテナの可動範囲が示された携帯端末装置を示す図である。(b)は、携帯端末装置の側面の透視図である。
【図4】RFIDアンテナを本体部から取り外した状態を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の携帯端末システムの斜視図である。
【図6】携帯端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】RFIDカードの情報読み取りにおける携帯端末装置の第1の読み取り形態を示す図である。
【図8】RFIDタグの情報読み取りにおける携帯端末装置の第2の読み取り形態を示す図である。
【図9】金属板及びループコイルにより発生する逆相の磁界及び渦電流を示す図である。
【図10】金属板、ループコイル、ループコイルの鏡像における磁界と、金属板からの距離に対応する磁界の大きさとを示す。
【図11】(a)は、RFIDアンテナを折り畳んだ携帯端末装置における読取可能範囲を示す図である。(b)は、RFIDアンテナを広げた携帯端末装置における読取可能範囲を示す図である。
【図12】(a)は、クレードルに載置された携帯端末装置における金属板が近い状態での読取可能範囲を示す図である。(b)は、クレードルに載置された携帯端末装置における金属板が遠い状態での読取可能範囲を示す図である。
【図13】第1の変形例の携帯端末システムの構成を示す一部断面図である。
【図14】第2の変形例の携帯端末システムの構成を示す一部断面図である。
【図15】第3の変形例の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。
【図16】(a)は、第3の変形例の別の携帯端末装置の外観を示す正面図である。(b)は、別の携帯端末装置の外観を示す上面図である。
【図17】(a)は、第3の変形例の携帯端末システムの構成を示す図である。(b)は、第3の変形例の別の携帯端末システムの構成を示す図である。
【図18】(a)は、第4変形例のRFIDアンテナを折り畳んだ状態の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。(b)は、RFIDアンテナを90°広げた状態の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。(c)は、RFIDアンテナを180°広げた状態の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。(d)は、RFIDアンテナを360°広げた状態の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。
【図19】第5の変形例の携帯端末装置の外観を示す斜視図である。
【図20】第6の変形例の携帯端末装置の外観を示す背面図である。
【図21】(a)は、RFIDアンテナをスライドした状態での携帯端末装置の外観を示す正面図である。(b)は、RFIDアンテナをスライドした状態での携帯端末装置の外観を示す背面図である。
【図22】(a)は、第6の変形例の別のRFIDアンテナをスライドした状態での携帯端末装置の外観を示す正面図である。(b)は、RFIDアンテナをスライドした状態での別の携帯端末装置の外観を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施の形態及びその第1〜第6の変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0017】
図1〜図12を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1〜図6を参照して本実施の形態の装置構成を説明する。図1(a)に、携帯端末装置10の正面の外観を示す。図1(b)に、携帯端末装置10の側面の外観を示す。図1(c)に、携帯端末装置10の背面の外観を示す。
【0018】
本実施の形態の携帯端末装置10は、スーパーマーケット,コンビニエンスストア,個人商店等の店舗で使用されるハンディターミナルである。携帯端末装置10は、各種情報の入力及び記憶機能と、RFIDタグの情報読み取り機能と、RFIDカードの情報読み書き機能と、レジ端末、売上管理サーバ等の機器と無線通信を行う機能と、クレードルを介して機器と有線通信を行う機能と、商品に付されたバーコードの情報を読み取るバーコード読み取り機能と、を有する。しかし、携帯端末装置10は、ハンディターミナルに限定されるものではなく、少なくともRFIDタグ及びRFIDカード読み取り機能を有する携帯端末装置であればよい。また、携帯端末装置10は、店舗使用以外の他の用途で使用されるものとしてもよい。
【0019】
図1(a)に示すように、携帯端末装置10は、樹脂製等の略直方体のケース2で覆われた本体部3を備える。本体部3は、正面に、表示部14、キー入力部12aを備え、側面にトリガキー12bを備える。図1(b)、(c)に示すように、携帯端末装置10は、本体部3の背面側にRFIDアンテナ16aと、接続部4と、を備える。本体部3は、先端にスキャナ部19を有する。
【0020】
接続部4は、本体部3とRFIDアンテナ16aとの接続部である。表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro Luminescent Display)等の表示部
であり、各種画面を表示する。キー入力部12aは、各種機能キー、文字・数字入力キー、カーソルキー等を有し、ユーザによる各キー押下により、各種機能の決定、文字・数字、移動等の入力を受け付ける。トリガキー12bは、スキャナ部19によるバーコードの読み取りのトリガ入力を受け付ける。スキャナ部19は、発光し、その光がバーコードで反射された反射光を受光して、バーコードの情報を読み取る。RFIDアンテナ16aは、RFIDタグの情報読み取りとRFIDカードの情報の読み書きとを行うための平面形状のアンテナである。
【0021】
図2に、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aの透視状態を示す。図2に示すように、RFIDアンテナ16aは、ケース161と、ケース161内部に設けられたループコイル162と、を備える。RFIDアンテナ16aは、ケース161と、ケース161内部に設けられたループコイル162と、を備える。ケース161は、ケース2と同様に樹脂製等である。ループコイル162は、銅等の金属により形成されている。
【0022】
図3(a)に、RFIDアンテナ16aの可動範囲が示された携帯端末装置10を示す。図3(b)に、携帯端末装置10の側面の透視構成を示す。図3(a)に示すように、RFIDアンテナ16aは、本体部3に対し、接続部4を回転軸として回転可能である。RFIDアンテナ16aにおいて、本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度を、0〜90°の範囲で変更可能である。
【0023】
ここで、携帯端末装置10において、本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約0°の場合に、RFIDアンテナ16aが折り畳まれた状態とする。同様に、本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約90°の場合に、RFIDアンテナ16aが広げられた状態とする。また、携帯端末装置10は、本体部3に、後述するクレードル30と電気的接続を行うための電極からなる端子部20aを備える。
【0024】
図3(b)に示すように、本体部3は、内部に金属板23を備える。金属板23は、アルミニウム等の金属を材料とし、本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約0°の状態で、RFIDアンテナ16aの平面と略平行となる位置に配置されている。
【0025】
図4に、RFIDアンテナ16aを本体部3から取り外した状態を示す。図4に示すように、接続部4は、本体部3からRFIDアンテナ16aを取り外し可能な構造を有する。接続部4は、RFIDアンテナ16a側に設けられたヒンジ41、ピンコネクタ42と、本体部3側に設けられたフック43、接点44と、を備える。
【0026】
ヒンジ41は、ケース161と同様に樹脂製の軸部である。ピンコネクタ42は、突起状の電極の端子である。フック43は、ケース2と同様に樹脂製であり、ヒンジ41を取り外し可能に引っ掛けて回転可能である。接点44は、ピンコネクタ42と電気的に接続可能な接点である。
【0027】
次いで、図5を参照して、本実施の形態の携帯端末システム1を説明する。図5に、携帯端末システム1の斜視構成を示す。図5に示すように、携帯端末システム1は、携帯端末装置10と、クレードル30と、を備える。携帯端末システム1は、携帯端末装置10と、クレードル30と、を備える。
【0028】
クレードル30は、携帯端末装置10が載置され、その載置された携帯端末装置10に対し、電力供給及び情報通信を行う。クレードル30は、載置部31と、スリット部33と、金属板34と、を備える。載置部31は、RFIDアンテナ16aが広げられた状態の携帯端末装置10の載置部である。載置部31は、RFIDアンテナ16aが載置されるアンテナ載置部32を有する。
【0029】
スリット部33は、複数のスリット穴を有する。各スリット穴は、金属板34が挿入可能である。各スリット穴は、アンテナ載置部32の平面と、挿入された金属板34の平面とが平行となるよう配置されている。また、各スリット穴は、アンテナ載置部32の平面との距離が互いに異になるよう配置されている。金属板34は、アルミニウム等の金属を材料とし、また、RFIDアンテナ16aの平面部と同程度の面積を有する。
【0030】
次いで、図6を参照して、携帯端末装置10の機能構成を説明する。図6に、携帯端末装置10の機能構成を示す。図6に示すように、携帯端末装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表
示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、リーダ/ライタ部16と、フラッシュメモリ17と、通信部18と、スキャナ部19と、I/F(InterFace)部20と、を備
え、各部がバス22を介して接続されている。また、携帯端末装置10は、電源部21を備える。
【0031】
CPU11は、携帯端末装置10の各部を中央制御する。CPU11は、ROM15に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM13に展開し、RAM13に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0032】
CPU11は、各種プログラムとの協働により、操作部12を介する操作情報の入力を受け付け、ROM15から各種情報を読み出し、フラッシュメモリ17に各種情報の読み書きを行い、通信部18を介して外部機器と無線通信を行い、スキャナ部19によりバーコードのデータを読み取り、I/F20を介して、クレードル30に接続された外部機器と有線通信を行う。
【0033】
操作部12は、キー入力部12a、トリガキー12b、電源キー等の各種キーを備え、ユーザからの操作入力を受付けて操作信号を取得し、その操作信号をCPU11に出力する。また、操作部12は、表示部14と一体的に、タッチパネルとして構成されることとしてもよい。
【0034】
RAM13は、情報を一時的に格納する揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有する。表示部14は、LCD、ELD等で構成され、CPU11からの表示信号に従って各種画面表示を行う。ROM15は、各種プログラム、各種データが予め読み出し専用に記憶されている記憶部である。
【0035】
リーダ/ライタ部16は、RFIDアンテナ16aを有し、CPU11の指示に従い、RFIDアンテナ16aを介してRFIDタグの情報を読み取り、RFIDカードの情報を読み書きする。より具体的には、リーダ/ライタ部16は、RFIDタグ又はRFIDカードがRFIDアンテナ16aの読取可能範囲に配置された状態で、CPU11から入力された送信信号を変調してRFIDアンテナ16aのループコイル162に入力する。すると、ループコイル162から発生する電磁界を介して、RFIDタグ又はRFIDカード内のループコイルに電流が発生し、その電気信号が復調され符号化されることにより、RFIDタグ又はRFIDカード側で情報が受信される。そして、RFIDタグ又はRFIDカード内のメモリの情報読み出し又は情報書き込みが行われる。また、RFIDタグ又はRFIDカードから、メモリから読み出した情報等の送信情報の信号に応じてループコイルに発生する電磁界を介して、ループコイル162に電流が流れ、リーダ/ライタ部16によりその電気信号が変調され符号化されることにより、リーダ/ライタ部16側で情報が受信される。
【0036】
フラッシュメモリ17は、各種データ等の情報が読み出し及び書き込み可能な記憶部である。通信部18は、無線アンテナ18aを有し、アクセスポイント等を介して、売上管理サーバ等の機器と無線通信を行う。通信部18は、CPU11の指示により、送信信号を変調して無線アンテナ18aに出力し、無線アンテナ18aで受信された受信信号を復調してその復調信号をCPU11に出力する。
【0037】
スキャナ部19は、レーザ光等の発光部、受光部、ゲイン回路、二値化回路等を備える。スキャナ部19において、発光部から出射された光がバーコードに照射され、その反射光が受光部により受光されて電気信号に変換され、その電気信号がゲイン回路により増幅
され、二値化回路により白黒のバーコードイメージのデータに変換される。このように、スキャナ部19は、バーコードイメージを読み取り、そのバーコードイメージのデータをCPU11に出力する。
【0038】
I/F20は、端子部20aの通信端子を有し、端子部20aの通信端子を介してクレードル30に接続され、クレードル30に接続された機器との通信を行う。端子部20aの通信端子は、クレードル30の通信端子(図示略)に接続される。電源部21は、端子部20aの電源端子を有し、端子部20aの電源端子を介してクレードル30に接続され、クレードル30から供給された電源電力を携帯端末装置10の各部に電源供給する。端子部20aの電源端子は、クレードル30の電源端子(図示略)に接続される。電源部21は、2次電池を含み、クレードル30に接続されている場合に、2次電池への充電がなされるとともに携帯端末装置10の各部に電源供給を行い、クレードル30に接続されていない場合に、2次電池が携帯端末装置10の各部に電源供給を行う。
【0039】
次に、図7及び図8を参照して、携帯端末装置10における情報読み取り形態を説明する。図7に、RFIDカードCの情報読み取りにおける携帯端末装置10の第1の読み取り形態を示す。図8に、RFIDタグTの情報読み取りにおける携帯端末装置10の第2の読み取り形態を示す。
【0040】
図7に示すように、比較的読み取り距離が短い(1cm以下)RFIDカードCの情報を読み取る場合に、携帯端末装置10は、本体部3にRFIDアンテナ16aを折り畳んだ形態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約0°)にされる。この形態を第1の読み取り形態とする。第1の読み取り形態で、ユーザは、RFIDアンテナ16aの平面に、略平行な位置にRFIDカードCを配置する。この状態で、携帯端末装置10は、RFIDアンテナ16aを介してRFIDカードCに記録された情報を読み取る。第1の読み取り形態において、携帯端末装置10の読取可能距離は、RFIDアンテナ16aと金属板23との間の距離に対応している。
【0041】
図8に示すように、比較的読み取り距離が長い(数十cm)RFIDタグTの情報を読み取る場合に、携帯端末装置10は、本体部3に対してRFIDアンテナ16aが広げられた状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約90°)にされる。この形態を第2の読み取り形態とする。第2の読み取り形態で、ユーザは、RFIDアンテナ16aの平面から所定距離離れた位置に、RFIDタグTを配置する。この状態では、携帯端末装置10の先端方向にRFIDアンテナ16aの指向性が向くので、ユーザが携帯端末装置10を手で持った場合の操作性が向上している。また、この状態で、携帯端末装置10は、RFIDアンテナ16aを介してRFIDタグTに記録された情報を読み取る。第2の読み取り形態において、携帯端末装置10の読取可能距離は、RFIDアンテナ16aと金属板23との間の距離に対応している。
【0042】
図5に示すように、携帯端末装置10を据え置いてRFIDカードC等の情報を読み取る場合に、携帯端末装置10は、クレードル30に載置される。このとき、本体部3に対してRFIDアンテナ16aが広げられた状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度が約90°)にされている。この形態を第3の読み取り形態とする。第3の読み取り形態は、例えば、店舗におけるレジ横で、顧客のRFIDカードCを読み取る場合にとられる形態である。第3の読み取り形態で、ユーザは、RFIDアンテナ16aの平面の近傍又はその平面に接触する位置にRFIDカードC等を配置する。この状態では、携帯端末システム1が、据え置きカードリーダとして機能し、適切な操作性が確保される。また、この状態で、携帯端末装置10は、RFIDアンテナ16aを介してRFIDカードCに記録された情報を読み取る。第3の読み取り形態において、携帯端末装置10の読取可能距離は、RFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離に対応する。
【0043】
次に、図9〜図12を参照して、RFIDアンテナ16aによる情報読み取りの原理を説明する。図9に、金属板M及びループコイル162により発生する逆相の磁界B及び渦電流iを示す。図10に、金属板M、ループコイル162、ループコイル162の鏡像における磁界と、金属板Mからの距離に対応する磁界の大きさとを示す。図11(a)に、RFIDアンテナ16aを折り畳んだ携帯端末装置10における読取可能範囲を示す。図11(b)に、RFIDアンテナ16aを広げた携帯端末装置10における読取可能範囲を示す。図12(a)に、クレードル30に載置された携帯端末装置10における金属板34が近い状態での読取可能範囲を示す。図12(b)に、クレードル30に載置された携帯端末装置10における金属板34が遠い状態での読取可能範囲を示す。
【0044】
図9に示すように、金属板Mと、金属板Mから垂直方向に距離H(H:任意の距離)離れたRFIDアンテナ16aのループコイル162と、を考える。ループコイル162に電流が流されると、磁界が発生する。すると、この磁界の変化に応じた電磁誘導により金属板Mに渦電流iが発生する。この渦電流iにより、前記磁界と逆位相の磁界B2が発生する。
【0045】
図10に示すように、金属板Mと、金属板Mから垂直方向に距離H離れたループコイル162と、を考える。図10上、ループコイル162から直接発生する磁界B1が点線によって表されている。また、ループコイル162と反対側に、金属板Mから垂直方向に距離H離れた位置に、ループコイル162の見かけ上の鏡像16mが存在する。鏡像16mから発生する磁界B2は、金属板Mの渦電流iにより空中に放射される逆位相の磁界となっている。図10上、磁界B2は、実線によって表されている。
【0046】
図10において、金属板Mからループコイル162への方向の距離に対する、金属板M及びループコイル162から発生する磁界の大きさの関係が示されている。金属板Mの位置を基準位置0とすると、距離が3Hの位置で、磁界の大きさが急激に減少していることが分かる。なぜなら、逆位相の磁界B2は、電界B1を打ち消す作用を有するが、金属板Mとループコイル162との距離が2H以上で大きく作用するからである。この作用により、RFIDカード等の読み取り距離を距離d(d:所定の距離)とする構成は、RFIDカード等の読み取り側に対し、ループコイル162からd/2の距離を離れた反対側に金属板Mを設けることで実現できる。
【0047】
図11(a)に示すように、RFIDアンテナ16aを折り畳んだ携帯端末装置10では、本体部3内の金属板23により、RFIDアンテナ16aと金属板23との間の距離Hの2倍の距離2Hまでの範囲が、RFIDカードC等の読取可能範囲となる。図11(b)に示すように、RFIDアンテナ16aを広げた携帯端末装置10では、本体部3内の金属板23に渦電流が流れず、RFIDアンテナ16aから発生する電磁界が、逆位相の影響を受けなくなり、アンテナ性能を全て使うことができ、遠方までの範囲が、RFIDカードC等の読取可能範囲となる。
【0048】
図12(a)に示すように、クレードル30に載置された携帯端末装置10における金属板34が近い状態での読取可能範囲は、クレードル30内の金属板34により、RFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離Hの2倍の距離2Hまでの範囲が、RFIDカードC等の読取可能範囲となる。また、スリット部33の各スリット穴へ金属板34を差し替えすることにより、RFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離Hを変更できる。
【0049】
図12(b)に示すように、クレードル30に載置された携帯端末装置10における金属板34が距離Hよりも遠い状態での読取可能範囲は、クレードル30内の金属板34により、RFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離H1の2倍の距離2H1までの範囲が、RFIDカードC等の読取可能範囲となる。このように、スリット部33の金属板34の位置をユーザが自由に変更できる構造であるので、ユーザが求める読み取り距離を自由に設定することが可能となる。ここで、顧客の商品精算時のRFIDカードを読み取るために、店舗のレジ端末の横に、携帯端末装置10をクレードル30に載置した携帯端末システム1を設置する第3の読み取り形態を考える。顧客が読み取りを意図せずに携帯端末システム1に少し近づけたRFIDカードを誤って読み取らないためには、例えば、図12(a)に示すようにRFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離Hを小さくするように、店員がスリット部33の距離Hが小さいスリット孔に金属板23を差し入れて調整する。
【0050】
以上、本実施の形態によれば、携帯端末装置10において、金属板23とRFIDアンテナ16aとの間の距離を変更するよう接続部4により本体部3に対するRFIDアンテナ16aの位置を変更できる。このため、RFIDアンテナ16aを有する携帯端末装置10の情報読み取りの操作性を向上でき、RFIDアンテナ16aのアンテナ性能を自在に変更できる。
【0051】
また、携帯端末装置10は、ヒンジ41等からなる接続部4を備える。このため、接続部4のヒンジ41を軸中心として、本体部3の背面とRFIDアンテナ16aの平面との間の角度を自在に変更でき、その角度が約0度の第1の読み取り形態で、RFIDカードCの情報を容易に読み取ることができ、その角度が約90度の第2の読み取り形態で、RFIDタグTの情報を容易に読み取ることができる。
【0052】
また、携帯端末装置10は、接続部4により、本体部3からRFIDアンテナ16aを取り外し可能な構造を有する。このため、携帯端末装置10の落下時等に、接続部4により本体部3とRFIDアンテナ16aとが分離し、携帯端末装置10(接続部4)が破壊されることを防ぐことができる。
【0053】
また、携帯端末システム1は、スリット部33を有するクレードル30を備える。このため、携帯端末装置10がクレードル30に載置された第3の読み取り形態で、RFIDカードC等の情報を容易に読み取ることができ、スリット部33の各スリット穴に金属板34を差し替えることができ、クレードル30に載置された携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aのアンテナ性能を自在に変更できる。
【0054】
(第1の変形例)
図13を参照して、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。図13に、本変形例の携帯端末システム1Aの断面構成を示す。本変形例の携帯端末システム1Aは、携帯端末システム1でクレードル30をクレードル30Aに変更したものである。
【0055】
図13に示すように、クレードル30Aは、アンテナ載置部32を含む載置部31と、金属板34aと、ガイド35と、ネジ部36aを有する軸部36と、ハンドル37と、支持部38と、を備える。金属板34aは、軸部36に接続されている。ネジ部36aは、雄ネジである。また、支持部38は、クレードル30Aにおいて固定されており、軸部36を可動に支持する。ガイド35は、4本有り、支持部38に対する位置が変更される軸部36をガイドする。支持部38は、ガイド35用の貫通孔と、軸部36のネジ部36a用の雌ネジ孔とを有する。軸部36は、軸方向がアンテナ載置部32の平面に直角な方向に設けられている。ネジ部36aと雌ネジ孔とは、螺合している。ハンドル37は、ユーザによる回転操作により軸部36を回転する。
【0056】
ユーザによるハンドル37の回転操作による軸部36の回転により、金属板34aは、その平面をアンテナ載置部32の平面に平行にしつつ前後に移動される。このように、軸部36、ハンドル37、支持部38により、アンテナ載置部32に載置されたRFIDアンテナ16aと、金属板34aとの間の距離を変更して、RFIDアンテナ16aの読取可能範囲を変更できる。
【0057】
以上、本変形例によれば、携帯端末システム1Aは、ガイド35、軸部36、ハンドル37、支持部38等を有するクレードル30Aを備える。このため、ハンドル37の回転操作による軸部36の軸方向の運動により、金属板34aの位置を変えることで、クレードル30Aに載置された携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aのアンテナ性能を自在に変更できる。
【0058】
なお、クレードル30Aの構成に限定されるものではない。例えば、クレードル30Aにおいて、軸部36がネジ部36aを有せず支持部38の貫通穴で支持され、ユーザが軸部36を軸方向に動かすことにより、金属板34aの位置を移動させる構成としてもよい。
【0059】
(第2の変形例)
図14を参照して、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。図14に、本変形例の携帯端末システム1Bの断面構成を示す。本変形例の携帯端末システム1Bは、携帯端末システム1でクレードル30をクレードル30Bに変更したものである。
【0060】
図14に示すように、クレードル30Bは、載置部31と、金属板34bと、スペーサ39a,39bとを備える。載置部31は、アンテナ載置部32aを含む。スペーサ39a,39bは、それぞれ異なる厚さを有する樹脂性等の板である。スペーサ39aが、スペーサ39bに比べて薄いものとする。アンテナ載置部32aは、スペーサ39a又は39bが載置された状態で、さらに、広げられたRFIDアンテナ16aが載置される。金属板34bは、その平面部が、アンテナ載置部32aの平面と平行且つ所定距離を空けて固定されている。
【0061】
クレードル30Bに載置される、RFIDアンテナ16aを広げた状態の携帯端末装置10について、スペーサ39aを載置する状態と、スペーサ39bを載置する状態とをユーザが変更することにより、RFIDアンテナ16aと金属板34bとの間の距離を変更して、RFIDアンテナ16aの読取可能範囲を変更できる。
【0062】
以上、本変形例によれば、携帯端末システム1Bは、スペーサ39Aa,39bを有するクレードル30Bを備える。このため、アンテナ載置部32aに載置するスペーサ39a,39bを交換して、広げた状態のRFIDアンテナ16aと金属板34との間の距離を変えることで、クレードル30Aに載置された携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aのアンテナ性能を自在に変更できる。
【0063】
(第3の変形例)
図15〜図17を参照して、上記実施の形態の第3の変形例を説明する。図15に、本変形例の携帯端末装置10Aの外観を示す。図16(a)に、本変形例の携帯端末装置10Bの正面の外観を示す。図16(b)に、携帯端末装置10Bの上面の外観を示す。図17(a)に、本変形例の携帯端末システム1Cの構成を示す。図17(b)に、本変形例の携帯端末システム1Dの構成を示す。
【0064】
本変形例の携帯端末装置10Aは、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aをRFIDアンテナ16bに変更したものである。図15に示すように、携帯端末装置10Aは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16bと、接続部4aと、を備える。接続部4aは、接続部4と同様に、ヒンジ、フック等により構成される。接続部4aは、本体部3の背面とRFIDアンテナ16bの平面との間の先端方向への角度を0°〜180°に変更可能な構成を有する。
【0065】
本変形例の携帯端末装置10Aは、RFIDアンテナ16bを広げた状態(RFIDアンテナ16bの平面と本体部3の背面との間の角度が約180°)にされる。この状態で、店員が、表示部14の表示画面を上にして携帯端末装置10Aを持ち、顧客にその画面を見せつつ、RFIDアンテナ16bに顧客のRFIDカードを載せてもらうような対面業務が可能となる。
【0066】
本変形例の別の携帯端末装置10Bは、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aをRFIDアンテナ16cに変更したものである。図16(a),(b)に示すように、携帯端末装置10Bは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16cと、接続部4bと、を備える。接続部4bは、接続部4と同様に、ヒンジ、フック等により構成される。接続部4bは、本体部3の背面とRFIDアンテナ16cの平面との間の横方向(本体部3を正面から見て左右方向)への角度を0°〜180°に変更可能な構成を有する。
【0067】
本変形例の携帯端末装置10Bは、携帯端末装置10Aと同様に、RFIDアンテナ16cを広げた状態(RFIDアンテナ16cの平面と本体部3の背面との間の角度が約180°)にされる。この状態で、店員が、表示部14の表示画面を上にして携帯端末装置10Bを持ち、顧客にその画面を見せつつ、RFIDアンテナ16cに顧客のRFIDカードを載せてもらうような対面業務が可能となる。
【0068】
図17(a)に示すように、携帯端末システム1Cは、携帯端末装置10Aと、クレードル30Cと、を備える。クレードル30Cは、RFIDアンテナ16bが広げられた携帯端末装置10Aを載置可能であり、アンテナ載置部32bと、金属板34cと、を備える。アンテナ載置部32bは、広げられた状態のRFIDアンテナ16bが載置される。このように、携帯端末装置10Aをクレードル30Cに載置した状態でも、表示画面を顧客に見せてRFIDカードCをRFIDアンテナ16bに乗せてもらう対面業務が可能である。また、金属板34cは、距離調整部(図示略)により、金属板34cの位置を変更して、RFIDアンテナ16bと金属板34cとの間の距離を変更できる。
【0069】
図17(b)に示すように、携帯端末システム1Dは、携帯端末装置10Bと、クレードル30Dと、を備える。クレードル30Dは、RFIDアンテナ16cが広げられた携帯端末装置10Bを載置可能であり、アンテナ載置部32cと、金属板34dと、を備える。アンテナ載置部32cは、広げられた状態のRFIDアンテナ16cが載置される。このように、携帯端末装置10Bをクレードル30Dに載置した状態でも、表示画面を顧客に見せてRFIDカードCをRFIDアンテナ16cに乗せてもらう対面業務が可能である。また、金属板34dは、距離調整部(図示略)により、金属板34dの位置を変更して、RFIDアンテナ16bと金属板34dとの間の距離を変更して、RFIDアンテナ16bの読取可能範囲を変更できる。
【0070】
以上、本変形例によれば、携帯端末システム1C,1Dは、携帯端末システム1と同様に、RFIDアンテナ16b,16cを有する携帯端末装置10A,10Bの情報読み取りの操作性を向上でき、RFIDアンテナ16b,16cのアンテナ性能を自在に変更できる。さらに、表示部14の画面と平行な面に、RFIDアンテナ16b,16cを配置させることができる。このため、顧客等に表示部14の画面を見せつつ、RFIDアンテナ16b,16cにRFIDカードC等を載置して情報を読み書きすることができる。
【0071】
(第4の変形例)
図18を参照して、上記実施の形態の第4の変形例を説明する。図18(a)に、本変形例のRFIDアンテナ16dを折り畳んだ状態の携帯端末装置10Cの外観を示す。図18(b)に、RFIDアンテナ16dを90°広げた状態の携帯端末装置10Cの外観を示す。図18(c)に、RFIDアンテナ16dを180°広げた状態の携帯端末装置10Cの外観を示す。図18(d)に、RFIDアンテナ16dを360°広げた状態の携帯端末装置10Cの外観を示す。
【0072】
本変形例の携帯端末装置10Cは、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aをRFIDアンテナ16dに変更したものである。図18(a)に示すように、携帯端末装置10Aは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16dと、接続部4cと、を備える。RFIDアンテナ16dは、その平面と本体部3の背面との間の角度を0°〜360°に変更可能な構成を有する。
【0073】
接続部4cは、本体部3とRFIDアンテナ16dとを接続している。接続部4cは、本体部3側の軸部と、RFIDアンテナ16d側の軸部とを有し、各軸部を中心として回転可能である。図18(a)では、携帯端末装置10Cは、RFIDアンテナ16dを折り畳んだ状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16dの平面との間の角度が約0°)にされている。この状態では、本体部3内の金属板(図示略)により、RFIDアンテナ16dの読み取り範囲が比較的小さい。
【0074】
図18(b)に示すように、携帯端末装置10Cは、RFIDアンテナ16dを直角に広げた状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16dの平面との間の角度が約90°)にすることが可能である。この状態では、RFIDアンテナ16dに対する本体部3内の金属板(図示略)の影響が少なく、RFIDアンテナ16dの読み取り範囲が比較的大きい。また、この状態は、RFIDアンテナ16dの読取可能範囲(指向性)を先端方向にとれるので、RFIDタグTの情報の読み取りに適する。
【0075】
図18(c)に示すように、携帯端末装置10Cは、RFIDアンテナ16dを平面に広げた状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16dの平面との間の角度が約180°)にすることが可能である。この状態では、RFIDアンテナ16dに対する本体部3内の金属板(図示略)の影響が少なく、RFIDアンテナ16dの読み取り範囲が比較的大きい。また、この状態は、RFIDアンテナ16dに読み取り対象物を乗せることができ、表示部14が本体部3の正面にあるので、対面業務等において、顧客に画面を見せながらのRFIDカードCの情報の読み取りに適する。
【0076】
図18(d)に示すように、携帯端末装置10Cは、RFIDアンテナ16dを正面側に折り畳んだ状態(本体部3の背面とRFIDアンテナ16dの平面との間の角度が約360°)にすることが可能である。この状態では、RFIDアンテナ16dに対する本体部3内の金属板(図示略)により、RFIDアンテナ16dの読み取り範囲が比較的小さい。また、この状態は、RFIDアンテナ16dに読み取り対象物を乗せることができ、RFIDカードCの情報の読み取りに適する。
【0077】
以上、本変形例によれば、携帯端末装置10Cは、表示部14の画面と平行な面に、RFIDアンテナ16dを配置させることができる。このため、顧客等に表示部14の画面を見せつつ、RFIDアンテナ16dにRFIDカードC等を載置して情報を読み書きすることができる。
【0078】
(第5の変形例)
図19を参照して、上記実施の形態の第5の変形例を説明する。図19に、本変形例の携帯端末装置10Dの外観構成を示す。本変形例の携帯端末装置10Dは、携帯端末装置10にアンテナケーブル45を加えたものである。
【0079】
図19に示すように、携帯端末装置10Dは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16eと、接続部4dと、を備える。接続部4dは、ヒンジ41、ピンコネクタ42、フック43、接点44に加え、一端がピンコネクタ42に接続され他端が接点44に接続されている導線を含むアンテナケーブル45を備える。
【0080】
携帯端末装置10Dは、RFIDアンテナ16aをヒンジ41によりフック43に接続して、携帯端末装置10と同様に使用することができる。また、携帯端末装置10Dは、ヒンジ41をフック43から外してアンテナケーブル45の長さの範囲でRFIDアンテナ16aを本体部3から離して配置することができる。このため、遠方にあるRFIDタグTを読み取る際に、本体部3をRFIDタグT近傍に近づけることなく、RFIDアンテナ16aのみをRFIDタグTに近づけることができる。
【0081】
アンテナケーブル45は、取り外し可能な構成としたり、巻き取り用のリールを備え、そのリールにより余分なケーブル部分を巻き取る構成としてもよい。
【0082】
以上、本変形例によれば、携帯端末装置10Dは、接続部4dにより、本体部3からRFIDアンテナ16aを取り外し、アンテナケーブル45の長さの範囲で自在にRFIDアンテナ16aを配置することができる。このため、RFIDタグT等の遠方の読み取り対象物の情報読み取りの操作性をさらに向上できる。
【0083】
(第6の変形例)
図20〜図22を参照して、上記実施の形態の第6の変形例を説明する。図20に、本変形例の携帯端末装置10Eの背面の外観を示す。図21(a)に、RFIDアンテナ16eをスライドした状態での携帯端末装置10Eの正面の外観を示す。図21(b)に、RFIDアンテナ16eをスライドした状態での携帯端末装置10Eの背面の外観を示す。図22(a)に、本変形例のRFIDアンテナ16fをスライドした状態での携帯端末装置10Fの正面の外観を示す。図22(b)に、RFIDアンテナ16fをスライドした状態での携帯端末装置10Fの背面の外観を示す。
【0084】
本変形例の携帯端末装置10Eは、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aをRFIDアンテナ16eに変更したものである。図20に示すように、携帯端末装置10Eは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16eと、接続部4eと、を備える。接続部4eは、本体部3とRFIDアンテナ16eとをスライド可能に接続するスライドレールを有する。RFIDアンテナ16eは、本体部3の背面の短手方向(横方向)にスライド可能な構成を有する。図20では、携帯端末装置10Eは、RFIDアンテナ16eが収納された状態となっている。
【0085】
図21(a),(b)に示すように、携帯端末装置10Eは、その使用時に、正面から見て右方向にRFIDアンテナ16eがスライドされた状態に変更できる。スライドされた状態でも、RFIDアンテナ16eは、本体部3(リーダ/ライタ部16)に電気的に接続されている。なお、RFIDアンテナ16fのスライド方向は、正面から見て左方向、左右両方向であってもよい。携帯端末装置10Eは、RFIDアンテナ16eがスライドされた状態で、RFIDアンテナ16eが、本体部3と平行な平面として露出している。また、この状態は、RFIDアンテナ16eに読み取り対象物を乗せることができ、表示部14の画面が本体部3の正面にあるので、対面業務等において、顧客に画面を見せながらのRFIDカードCの情報の読み取りに適する。
【0086】
本変形例の別の例としての携帯端末装置10Fは、携帯端末装置10のRFIDアンテナ16aをRFIDアンテナ16fに変更したものである。図21(a),(b)に示すように、携帯端末装置10Fは、本体部3と、本体部3の背面に設けられたRFIDアンテナ16gと、接続部4fと、を備える。接続部4fは、本体部3とRFIDアンテナ16fとをスライド可能に接続するスライドレールを有する。RFIDアンテナ16fは、本体部3の背面の長手方向(縦方向)にスライド可能な構成を有する。
【0087】
携帯端末装置10Fは、その使用時に、正面から見て先端方向にRFIDアンテナ16fがスライドされた状態に変更できる。スライドされた状態でも、RFIDアンテナ16fは、本体部3(リーダ/ライタ部16)に電気的に接続されている。なお、RFIDアンテナ16fのスライド方向は、正面から見て後端方向、先端後端両方向であってもよい。携帯端末装置10Fは、RFIDアンテナ16fがスライドされた状態で、RFIDアンテナ16fが、本体部3と平行に露出している。また、この状態は、RFIDアンテナ16fに読み取り対象物を乗せることができ、表示部14の画面が本体部3の正面にあるので、対面業務等において、顧客に画面を見せながらのRFIDカードCの情報の読み取りに適する。
【0088】
以上、本変形例によれば、携帯端末装置10E,10Fは、本体部3からRFIDアンテナ16e,16fを表示部14の画面と平行な面にスライドさせることができる。このため、顧客等に表示部14の画面を見せつつ、RFIDアンテナ16e,16fにRFIDカードC等を載置して情報を読み書きすることができる。
【0089】
なお、上記実施の形態及び各変形例における記述は、本発明に係る携帯端末装置及び携帯端末システムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態及び上記変形例のうち少なくとも2つを組み合わせる構成としてもよい。
【0090】
上記実施の形態及び各変形例では、携帯端末装置としてハンディターミナルを用いる構成としたが、PDA、携帯電話機等、他の携帯端末装置としてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態及び各変形例における携帯端末装置及び携帯端末システムの各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B,1C,1D 携帯端末システム
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F 携帯端末装置
2 ケース
3 本体部
11 CPU
12 操作部
12a キー入力部
12b トリガキー
13 RAM
14 表示部
15 ROM
16 リーダ/ライタ部
16a,16b,16c,16d,16e,16f RFIDアンテナ
161 ケース
162 ループコイル
17 フラッシュメモリ
18 通信部
19 スキャナ部
20 I/F部
20a 端子部
21 電源部
22 バス
23 金属板
4,4a,4b,4c,4d,4e,4f 接続部
41 ヒンジ
42 ピンコネクタ
43 フック
44 接点
45 アンテナケーブル
30,30A,30B,30C,30D クレードル
31 載置部
32,32a,32b,32c アンテナ載置部
33 スリット部
34,34a,34b,34c,34d 金属板
35 ガイド
36 軸部
36a ネジ部
37 ハンドル
38 支持部
39a,39b スペーサ
RFIDカード C
RFIDタグ T

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属板を有する本体部と、
ループコイルを有するRFIDアンテナと、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、ヒンジを有し、当該ヒンジを中心として前記第1の金属板と前記RFIDアンテナとの間の角度を変更可能とし、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした携帯端末装置。
【請求項2】
第1の金属板を有する本体部と、
ループコイルを有するRFIDアンテナと、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、前記本体部に対し前記RFIDアンテナを平行にスライド可能なスライドレールを有し、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした携帯端末装置。
【請求項3】
第1の金属板を有する本体部と、
ループコイルを有するRFIDアンテナと、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離を変更可能に前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、前記本体部と前記RFIDアンテナとを分離可能とし、
前記RFIDアンテナと前記第1の金属板との間の距離に応じて、前記RFIDアンテナの読取可能範囲を調節できるようにした携帯端末装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記本体部と前記RFIDアンテナとを接続するケーブルを有する請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
画面表示を行う表示部を備え、
前記RFIDアンテナは、前記表示部により表示される画面と平行な位置に移動可能である請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末装置と、
前記携帯端末装置を載置するクレードルと、を備え、
前記クレードルは、
前記携帯端末装置を載置する載置部と、
前記携帯端末装置が前記載置部に載置された状態で、前記RFIDアンテナと所定の距離を有する第2の金属板と、を備える携帯端末システム。
【請求項7】
前記クレードルは、
前記携帯端末装置が前記載置部に載置された状態の前記RFIDアンテナと、前記第2の導体部との距離を調整するための距離調整部を備える請求項6に記載の携帯端末システム。
【請求項8】
前記距離調整部は、前記RFIDアンテナとの距離がそれぞれ異なるとともに前記第2の金属板がそれぞれ挿入可能な複数のスリット穴を有する請求項7に記載の携帯端末システム。
【請求項9】
前記距離調整部は、前記第2の金属板が接続されて軸方向の移動により前記RFIDアンテナと前記第2の金属板との間の距離が変更可能な軸部と、当該軸部の支持部と、を有する請求項7に記載の携帯端末システム。
【請求項10】
前記距離調整部は、前記載置部の前記第2の金属板と前記RFIDアンテナとの間に載置され、それぞれ厚さの異なる複数のスペーサを有する請求項7に記載の携帯端末システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−101721(P2013−101721A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−44579(P2013−44579)
【出願日】平成25年3月6日(2013.3.6)
【分割の表示】特願2008−299695(P2008−299695)の分割
【原出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】