説明

携帯電話機

【課題】携帯性を損なうことなく、片手操作あるいはゲーム専用機と同様の両手操作に好適な形態に容易に変更することを可能にする。
【解決手段】本体ユニット30の長手方向の一方の端部近傍にはゲームの実行時に所定の機能が割り当てられる機能キー35が配置され、他方の端部には、ユーザ操作によって出し入れ可能に収納された十字キーユニット32が設けられている。ディスプレイユニット31をディスプレイ36が露出される向きで重ね合わせ、十字キーユニット32を本体ユニット30から引き出すことにより、ディスプレイ36を中央に配置して、その両側で両手によってキー操作が可能な使用形態とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの実行に好適な携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機においてゲームを実行するユーザが増えている。携帯電話機で実行されるゲームプログラムは、例えばネットワークに接続して、ゲームを提供するサイトからダウンロードしたり、着脱可能な記録媒体を通じて読み込んだりすることができる。
【0003】
携帯電話機には、音声通話をする際に操作される複数の数字キーや発信キー、また各種機能を実行するための機能キーが設けられている。携帯電話機においてゲームを実行する場合、既存のキーにゲームで実行するキーが割り当てられる。多くの携帯電話機は、片手でキー操作ができるように構成されているため、ゲームを実行する場合にも片手で操作することができるように、適当なキーに機能が割り当てられることが多い。
【0004】
また、携帯電話機によってゲームを実行する際に、専用テレビゲーム機に近い操作感を実現するための携帯電話用ゲームコントローラが考えられている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された携帯電話用ゲームコントローラには、方向指示キー、決定選択キー、通話切り替えキーなどが設けられ、外部接続端子によって携帯電話機本体と接続することにより使用することができる。携帯電話用ゲームコントローラを携帯電話機本体と直接接続して使用することにより、本来、携帯電話機本体に付属するキーで行う操作を、携帯電話用コントローラから操作することが可能となり、より家庭用やゲームセンター用のゲーム専用機に近い感覚でゲームができるようになる。
【特許文献1】特開2003−111976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来では、携帯電話機においてゲームを実行する場合には、通常、携帯電話機を操作する場合と同様に片手で操作することになる。また、ゲーム専用ではない既存のキーだけで操作を行うので、動きの激しいゲームをするには操作が困難となっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載された携帯電話用ゲームコントローラを使用する場合には、携帯電話機で実行されるゲームを家庭用やゲームセンター用のゲーム専用機に近い感覚で操作することができるものの、本来、携帯電話機が有している携帯性(コンパクトさ)が失われてしまう。つまり、携帯電話機の他に携帯電話用ゲームコントローラを携帯していなければならない。また、携帯電話機に設けられている外部接続端子は、機種によって異なっているため、各機種の外部接続端子に合ったアダプタ等がさらに必要となってしまう。
【0007】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、携帯性を損なうことなく、片手操作あるいはゲーム専用機と同様の両手操作に好適な形態に容易に変更することが可能な携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、長手方向の一方の端部近傍にゲームの実行時に所定の機能が割り当てられる第1のキーが設けられた第1ユニットと、前記第1のユニットの他方の端部において、前記第1ユニットに出し入れ可能となるように装着された第2のキーが設けられた第2ユニットと、前記第1ユニットと重ね合わされた場合に前記第1のキーを露出させるサイズに構成されたディスプレイが設けられた第3ユニットと、前記第1ユニットの前記第2ユニットが設けられた側の端部に設けられ、前記第1ユニットと前記第3ユニットとを連結するものであって、前記第1ユニットに前記第3ユニットを重ね合わせた閉状態から前記第3ユニットを離間させた開状態となるように第1軸により回動可能とすると共に、前記第1軸と垂直な第2軸によって前記第3ユニットを回転可能にするヒンジ機構と、前記ヒンジ機構によって前記閉状態にされていることを検知する第1検知手段と、前記第2ユニットが前記第1ユニットから引き出されたことを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段によって前記閉状態にされていることを検知し、かつ前記第2検知手段により前記第2ユニットが前記第1ユニットから引き出されたことを検知した場合に、前記ディスプレイに表示される画面の表示向きを変更する表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯性を損なうことなく、片手操作あるいはゲーム専用機と同様の両手操作に好適な形態に容易に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯電話機1は、電話網やインターネットなどを含むネットワーク2を介して、他のモバイル端末3との通信(音声通話やデータ通信)、あるいは各種コンテンツを提供するサーバ4との通信が可能である。サーバ4は、携帯電話機1において実行可能なゲームプログラムをダウンロードするサービスを提供しているものとする。
【0011】
携帯電話機1は、例えばサーバ4からダウンロードしたゲームプログラムを実行する場合に、ゲーム内容に応じた好適な形態に変更して使用することができる。すなわち、携帯電話機1を片手で保持して操作したり、ゲーム専用機と同様にディスプレイを中心にして左右に配置した入力キーを両手で操作することができる。
【0012】
図1に示すように、携帯電話機1には、制御部10、表示部11、入力部12、サウンド部13、カメラ部14、通信部15、ROM16、RAM17、メモリデバイス着脱ユニット18、メモリデバイス着脱ユニット18に装着されるメモリデバイス19、及び複数のセンサ20(センサ20a,20b,20c)が設けられている。
【0013】
制御部10は、携帯電話機1全体の制御を司るもので、CPUによりROM16及びRAM17に記憶されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。制御部10により実現される機能には、電話機能部10a、Web機能部10b(ダウンロード部10c)、アプリケーション部10d、切替制御部10e(機能切替テーブル10f)が含まれる。
【0014】
電話機能部10aは、音声通話のための通信を制御する。
【0015】
Web機能部10bは、ネットワーク2(インターネット)を通じて、Webページにアクセスするための制御を行う。Web機能部10bは、例えば、サーバ4が公開しているWebページを通じて、ダウンロード部10cによってゲームプログラムなどをダウンロードすることができる。
【0016】
アプリケーション部10dと切替制御部10eは、RAM17に記憶されたゲームプログラム17aを実行することで実現される。アプリケーション部10dは、ゲームプログラム17aに従い、入力部12を通じて入力される、ユーザのキー操作に応じた指示に応じてゲームを進行させる。切替制御部10eは、アプリケーション部10dによって実行されるゲーム内容と、センサ20からの通知に応じて判別される携帯電話機1の使用形態に応じて、表示部11によってディスプレイに表示される画面の表示向きと、ゲームの実行に使用されるキーへの機能の割当てを変更する。ディスプレイの表示向きは、例えば縦方向と、90°回転させた横方向の何れかに変更可能であるものとする。キーに割り当てる機能については、携帯電話機1の使用形態別に、機能切替テーブル10fに設定されているものとする(図9参照)。
【0017】
表示部11は、制御部10の制御のもとで、ディスプレイにおいて映像、静止画像、テキストなどを表示させる。
【0018】
入力部12は、ユーザからの入力操作を受け付けるもので、複数のキーが設けられている。複数のキーには、電話としての機能を実行するための数字キー、発呼キー、切断キーなどの他、上下左右方向を指示するためのカーソルキー、選択実行を指示するためのするための選択実行キー、各種機能に対応する機能キーなどが含まれる。
【0019】
サウンド部13は、制御部10の制御のもとで音声を出力させる。サウンド部13は、入力部12の操作に応じた操作音の他、楽曲データ(BGMデータ)の再生による音声を出力する。
【0020】
カメラ部14は、制御部10の制御のもとで、ユーザ操作に応じて静止画像あるいは動画像を撮影する。
【0021】
通信部15は、制御部10の制御のもとで、ネットワーク2を通じて、モバイル端末3やサーバ4との通信を制御する。
【0022】
ROM16は、携帯電話機1に予め搭載された基本機能(音声通話等)を制御するためのプログラムやデータが記憶されている。
【0023】
RAM17は、通信部15によりダウンロードされたプログラムや各種データ、あるいはメモリデバイス着脱ユニット18を通じてメモリデバイス19から読み出されたプログラムやデータなどが記憶される。本実施形態では、サーバ4からダウンロードされたゲームプログラム17aなどが記憶される。
【0024】
メモリデバイス着脱ユニット18は、メモリデバイス19を着脱させるためのユニットであり、制御部10によるメモリデバイス19に対するデータの読み書きを仲介する。メモリデバイス19は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)5によって記録されたゲームプログラムやデータを読み込む場合に利用される。
【0025】
センサ20(20a,20b,20c)は、携帯電話機1の使用形態を検知するためのもので、携帯電話機1を構成するユニットを結合する可動部分に設けられ、ユニットの状態を制御部10に通知する。本実施形態では、例えば携帯電話機1が折り畳み型に構成されている場合、3つのセンサ20a,20b,20cからの通知に基づいて、携帯電話機1の使用形態が判別されるものとする(図2〜図4参照)。
【0026】
図2は、本実施形態における携帯電話機1の外観構成を示す図である。
図2(a)(b)に示す携帯電話機1は、折り畳み型に構成されたもので、本体ユニット30とディスプレイユニット31とがヒンジ機構33によって連結されている。図2に示す例では、ヒンジ機構33は、本体ユニット30の十字キーユニット32が設けられた側の端部に設けられている。ヒンジ機構33は、本体ユニット30にディスプレイユニット31を重ね合わせた閉状態から、ディスプレイユニット31を離間させた開状態となるように第1軸により回動可能とすると共に、第1軸と垂直な第2軸によってディスプレイユニット31を回転可能にする。図2(a)(b)は、ディスプレイユニット31をヒンジ機構33によって開いた(本体ユニット30と重ね合わされていない)開状態を示している。
【0027】
また、本体ユニット30には、十字キーユニット32が収納されている。十字キーユニット32は、ユーザの操作によって、本体ユニット30から引き出すことができる(図3(c)(d)参照)。
【0028】
本体ユニット30は、主要な構成部品が収納されるもので、図2(a)に示すようにユニット表面には数字キー34、発呼キー、切断キーなどの電話としての機能を実行するための複数のキーの他、各種機能が割り当てられる複数の機能キー35が設けられている(図2では4つ)。機能キー35は、本体ユニット30の長手方向の端部近傍に設けられており、ディスプレイユニット31が本体ユニット30と重ね合わされた閉状態にある時には、ディスプレイユニット31によって隠れない位置に配置されている(図3(c)(d)参照)。
【0029】
十字キーユニット32には、上下左右方向を指示するための十字キー37や、その周辺に各種機能が割り当てられた複数の機能キーが設けられている。十字キーユニット32が本体ユニット30に収納された状態では、十字キーユニット32に設けられたキーは、一般の携帯電話機と同様にして、本体ユニット30に設けられた複数のキーと共に使用される。
【0030】
本体ユニット30の背面には、図2(b)に示すように、複数の背面キー38が設けられている。背面キー38には、通常の電話機能を使用する場合、あるいはゲームを実行する場合のそれぞれに応じて所定の機能が割り当てられる。ディスプレイユニット31の背面には、図2(b)に示すように、サブディスプレイ39、カメラユニット40が設けられている。
【0031】
なお、センサ20aは、ヒンジ機構33の第1軸の回転によってディスプレイユニット31が開状態あるいは閉状態にあるかを検知する。また、センサ20bは、ヒンジ機構33の第2軸の回転によってディスプレイユニット31が通常の使用時の向き(正方向)(図2に示すように開状態にある時に、本体ユニット30のキーが配設された表面と同じ向きにディスプレイ36が向いている状態)にあるか否かを検知する。また、センサ20cは、十字キーユニット32が本体ユニット30から引き出された状態にあるか否かを検知する。
【0032】
図3は、携帯電話機1のゲーム実行時の使用形態を示している。
図3(a)は、片手でキー操作するゲームに好適な使用形態である。切替制御部10eは、センサ20から、ディスプレイユニット31が開状態にあり、かつヒンジ機構33の第2軸による回転がなくディスプレイユニット31が正方向に向いており、さらに十字キーユニット32が本体ユニット30に収納された状態にあることが通知されている場合には、図3(a)に示す状態にあるものと判別する。
【0033】
両手でキー操作するゲームに好適な使用形態とする場合には、まず図3(b)に示すように、ディスプレイユニット31がヒンジ機構33の第2軸によって、正方向の向きから180°回転される。そして、ヒンジ機構33の第1軸によって、ディスプレイユニット31の背面と本体ユニット30のキーが配置された表面とが重ね合わされた閉状態にされる。
【0034】
図4(a)(b)(c)には、ディスプレイユニット31がヒンジ機構33の第1軸によって回動され、本体ユニット30と重ね合わされる様子を示している。図4に示すように、ディスプレイユニット31をヒンジ機構33の第2軸によって回転された後に、第1軸により本体ユニット30と重ね合わせることにより、ディスプレイユニット31に設けられたディスプレイ36が露出された状態となる。また、ディスプレイユニット31の長手方向の長さが本体ユニット30より短くなっており、本体ユニット30に設けられた機能キー35が端部近傍に配設されているため、ディスプレイユニット31を本体ユニット30と重ね合わせた閉状態にあっても、機能キー35が操作可能となっている。
【0035】
そして、本体ユニット30に収納された十字キーユニット32が、図3(c)に示すように、本体ユニット30から引き出される。図3(d)は、十字キーユニット32が、十字キー37を操作可能とする位置まで引き出された状態を示している。
【0036】
図5には、本体ユニット30に十字キーユニット32が摺動可能となるように収納される構成を示している。図5(a)は、本体ユニット30、図5(b)は、十字キーユニット32の構成をそれぞれ示す斜視図である。図5(a)に示すように、本体ユニット30のヒンジ機構33が設けられる側には、十字キーユニット32を収納するための凹部が形成されており、この凹部に相当する側面にはスライド溝42が形成されている。一方、十字キーユニット32の側面には、図5(b)に示すように、スライド溝42に係合する凸形状の係合部43が形成されている。十字キーユニット32は、図5(c)に示すように、係合部43がスライド溝42と係合するように本体ユニット30に装着される。従って、十字キーユニット32は、図5(d)に示すように、スライド溝42に沿って摺動可能となるように本体ユニット30に収納される。
【0037】
図6は、携帯電話機1を両手でキー操作する使用形態を示している。
図6に示すように、ディスプレイユニット31を本体ユニット30と重ね合わせ、十字キーユニット32を本体ユニット30から引き出して横向きに使用することによって、ディスプレイ36を中央に配置して、その両脇にキーを配設することができる。従って、ある種類の携帯型ゲーム専用機と同様にして、両手で携帯電話機1を保持しながら、両手でキー操作することが可能となる。図6に示す例では、ディスプレイ36の左側に上下左右方向を指示することができる十字キー37を配置し、右側に各種機能が割り当てられる機能キー35が配置されている。また、本体ユニット30の背面に設けられた背面キー38についても、図6に示す使用形態において操作することができる。なお、図6に示す使用形態は一例であって、例えばディスプレイ36の右側に十字キー37、左側に機能キー35を配置するなど、別のキー配置とすることも可能である。
【0038】
なお、図6と図3(a)に示す使用形態では、各キーの配置関係とディスプレイ36における画像の表示向きが異なる。制御部10の切替制御部10eは、何れの使用形態で使用されているかを検知して、各キーに割り当てられる機能の変更、及びディスプレイ36における画像の表示向きの変更を以下に説明するように実行する。
【0039】
まず、ゲームに使用されるキーに割り当てられる機能を変更するための機能切替制御処理について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
切替制御部10eは、センサ20cからの通知によって、十字キーユニット32が本体ユニット30から引き出された状態にあることが検知され(ステップA1、Yes)、さらにセンサ20a,20bからの通知によって、ディスプレイユニット31がディスプレイ36を露出させるように本体ユニット30と重ね合わされた閉状態にあることが検知された場合には(ステップA2、Yes)、図6に示す使用形態に変更されたものと判別する。
【0041】
この場合、切替制御部10eは、機能切替テーブル10fを参照して、十字キー37の各キーに割り当てられた機能を変更する(ステップA3)。また、切替制御部10eは、機能切替テーブル10fを参照して、本体ユニット30の機能キー35に割り当てられた機能を変更する(ステップA4)。
【0042】
例えば、十字キー37は、図3(a)に示す使用形態では、図8(a)に示すようにA位置のキーは上、B位置のキーは左、C位置のキーは下、D位置のキーは右の方向を指示するキーとして割り当てられている。これに対して、図6に示す横向きに使用される使用形態では、図89横に示すように、A位置のキーは左、B位置のキーは下、C位置のキーは右、D位置のキーは上に配置されることになる。切替制御部10eは、ゲームを実行する際に同じ操作性を提供するために、機能切替テーブル10fを参照して各キーに割り当てる機能を変更する。
【0043】
図9には、機能切替テーブル10fに設定されるデータの一例を示している。図9に示すように、十字キー37のA,B,C,D位置の各キーに対しては、図3(a)に示す使用形態1の場合には、上、左、下、右方向の指示の機能が設定され、図6に示す使用形態2の場合では、左、下、右、上方向の指示の機能が設定されている。
【0044】
従って、切替制御部10eは、使用形態1(図3(a))から使用形態2(図6)に変更されたことを検知した場合には、十字キー37のA,B,C,D位置の各キーに割り当てる機能を、左、下、右、上方向の指示に変更する。
【0045】
同様にして、十字キーユニット32に設けられている十字キー37以外のキーや、本体ユニット30に設けられた機能キー35に割り当てられた機能についても、機能切替テーブル10fの使用形態2について設定されている機能に変更する。また、本体ユニット30の背面に設けられた背面キー38についても割り当てられた機能を変更することで、使用形態に応じた操作が可能となる。
【0046】
次に、ディスプレイ36に表示される画像の表示向きを変更するための表示切替制御処理について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
切替制御部10eは、機能切替制御処理と同様に、センサ20cからの通知によって、十字キーユニット32が本体ユニット30から引き出された状態にあることが検知され(ステップB1、Yes)、さらにセンサ20a,20bからの通知によって、ディスプレイユニット31がディスプレイ36を露出させるように本体ユニット30と重ね合わされた閉状態にあることが検知された場合には(ステップB2、Yes)、図6に示す使用形態に変更されたものと判別する。
【0048】
この場合、切替制御部10eは、表示部11に対して、ディスプレイ36における画像の表示方向を変更させる(ステップB3)。すなわち、図3(a)に示す使用形態1において表示させていた画像を左90°回転させて表示させる。これにより、使用形態2によりユーザが携帯電話機1を保持して操作する場合に、ディスプレイ36に表示される画像を正しい向きにすることができる。
【0049】
なお、図6に示す例では、十字キー37をディスプレイ36の左側に配置する形態を示しているが、例えば十字キー37を右側に配置し、その他の機能キー35を左側に配置するようにしても良い。この場合、機能切替テーブル10fには、それぞれのキー配置に応じた機能が設定され、切替制御部10eによって使用形態に応じた機能の割当てが行われるものとする。また、切替制御部10eによって、使用形態1において表示させていた画像を右90°回転させて表示させる。
【0050】
また、図6に示す使用形態とするか、十字キー37と機能キー35の配置が左右逆の配置とするかは、ゲームプログラム17aのゲーム内容によって決定されていても良い。この場合、切替制御部10eは、アプリケーション部10d(ゲームプログラム17a)からの指示に応じて、機能切替制御及び表示切り換え制御を実行するようにしても良い。
【0051】
また、携帯電話機1に姿勢(傾き)を検知するセンサを実装することによって、図6に示す使用形態とするか、十字キー37と機能キー35の配置が左右逆の配置とした使用形態の何れに該当するかを検知し、この検知に応じて機能切替制御及び表示切り換え制御を実行するようにしても良い。
【0052】
このようにして、本実施形態における携帯電話機1では、ゲームを実行しようとする場合には、図3(a)に示すような片手でキー操作するゲームに好適な使用形態だけでなく、図6に示すような、両手でキー操作する場合に好適な使用形態にすることができる。すなわち、携帯電話機1とは別のコントローラなどの付加機器を必要とすることなく、ディスプレイ36の両側にキーを配置した、携帯型ゲーム専用機と同様の使用形態とすることができる。このため、携帯型ゲーム専用機で実行されるような、両手でキー操作が必要なゲームプログラムの利用も可能となる。
【0053】
また、センサ20からの通知に応じて現在の形態が使用形態1,2の何れであるかを検知して機能切替制御及び表示切替制御を実行するので、ユーザは、使用形態を変更する操作する以外の特別な設定操作などを行わなくて良い。また、使用形態1,2の何れの形態によってゲームを実行するかをユーザが任意に選択できるので、1つのゲームについて何れの使用形態によっても実行することができる。
【0054】
なお、前述した構成では、ディスプレイユニット31の長手方向の長さを本体ユニット30の長手方向の長さより短くすることにより、ヒンジ機構33によって両者を重ね合わされた時にも機能キー35が露出されるようにしているが、ディスプレイユニット31と本体ユニット30の長さをほぼ同じにした構成とすることもできる。この場合、機能キー35については、十字キーユニット32と同様に本体ユニット30に収納可能として、ディスプレイユニット31と本体ユニット30とを重ね合わせた際に引き出して使用できるようにしても良い。切替制御部10eは、機能キー35が設けられたユニットが引き出されたことをセンサを通じて検知し、機能切替制御及び表示切り換え制御を実行する。
【0055】
前述した説明では、折り畳み型の携帯電話機1を例にして説明しているが、スライド型の携帯電話機1を対象とすることも可能である。
【0056】
図11は、スライド型の携帯電話機1の外観構成を示す図である。
図11(a)(b)に示す携帯電話機1は、ディスプレイユニット50と本体ユニット52とが、所定範囲内でスライド(摺動)可能となるように重ね合わされて結合されている。図11(a)は、ディスプレイユニット50と本体ユニット52とが完全に重ねられた状態を示している。また、図12(a)には、ディスプレイユニット50と本体ユニット52とが完全に重ね合わされた状態の側面図を示している。
【0057】
ディスプレイユニット50の上面部には、長手方向の端部近傍にゲーム実行時も使用される十字キー55が配置され、その他の範囲にディスプレイ54が配置されている。
【0058】
また、本体ユニット52の上面部には、長手方向の一方の端部(ディスプレイユニット50に十字キー55が配設されている側)に数字キー57や複数の機能キーが設けられており、電話機能を使用する場合には、図11(b)に示すように、ディスプレイユニット50がスライドされて、本体ユニット52に設けられた数字キー57の部分が露出される。図12(b)には、ディスプレイユニット50がスライドされて、数字キー57が露出された状態の側面図を示している。
【0059】
また、本体ユニット52には、数字キー57が設けられていない他方の端部において、本体ユニット52に出し入れ可能となるように機能キーユニット53が装着されている。機能キーユニット53の上面部には、複数の機能キー58が設けられている。機能キーユニット53は、例えば図5に示すような構造により、本体ユニット52に収納され、図11(c)に示すように、ユーザの操作によって引き出すことができるものとする。図12(c)には、機能キーユニット53が本体ユニット52から引き出された状態の側面図を示している。
【0060】
図11(c)に示すように、機能キーユニット53を引き出すことにより、両手でキー操作する場合に好適な使用形態にすることができる。
【0061】
なお、図11及び図12に示すスライド型の携帯電話機1においても、前述した折り畳み型の携帯電話機1と同様にして、機能切替制御及び表示切替制御が実行されるものとして詳細な説明を省略する。図11及び図12に示す構成では、ディスプレイユニット50がスライドされたことを検知するセンサの他、機能キーユニット53が本体ユニット52から引き出されたことを検知するセンサが設けられるものとする。切替制御部10eは、各センサからの通知をもとに、携帯電話機1がどの使用形態にあるかを判別することができる。
【0062】
このようにして、スライド型の携帯電話機1においても、片手でキー操作するゲームに好適な使用形態だけでなく、図11(c)に示すような、両手でキー操作する場合に好適な使用形態にすることができる。
【0063】
なお、折り畳み型やスライド型以外の構造を有する携帯電話機、例えば可動するユニットを含まないバー型の携帯電話機に適用することもできる。この場合、携帯電話機の本体の一方の端部に、ゲームで使用される機能キーが設けられた機能ユニットを収納し、ユーザ操作によって引き出すことができる構成を設ければよい。これにより、ディスプレイと隣接して携帯電話機本体の一方の端部に設けられた既存のキーと、他方側に設けられた機能ユニットに設けられた機能キーにより、ディスプレイを中央に配置して両手を使ってキー操作することが可能となる。
【0064】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態における携帯電話機1の機能構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態における携帯電話機1の外観構成を示す図。
【図3】携帯電話機1のゲーム実行時の使用形態を示す図。
【図4】ディスプレイユニット31がヒンジ機構33の第1軸によって回動され、本体ユニット30と重ね合わされる様子を示す図。
【図5】本体ユニット30に十字キーユニット32が摺動可能となるように収納される構成を示す図。
【図6】携帯電話機1を両手でキー操作する使用形態を示す図。
【図7】ゲームに使用されるキーに割り当てられる機能を変更するための機能切替制御処理について説明するためのフローチャート。
【図8】十字キー37の各キーの配置を示す図。
【図9】機能切替テーブル10fに設定されるデータの一例を示す図。
【図10】ディスプレイ36に表示される画像の表示向きを変更するための表示切替制御処理について説明するためのフローチャート。
【図11】スライド型の携帯電話機1の外観構成を示す図。
【図12】図11に対応する携帯電話機1の側面図。
【符号の説明】
【0066】
1…携帯電話機、2…ネットワーク、3…モバイル端末、4…サーバ、5…PC、10…制御部、10a…電話機能部、10b…Web機能部、10c…ダウンロード部、10d…アプリケーション部、10e…切替制御部、10f…機能切替テーブル、11…表示部、12…入力部、13…サウンド部、14…カメラ部、15…通信部、16…ROM、17…RAM、17a…ゲームプログラム、18…メモリデバイス着脱ユニット、19…メモリデバイス、20a,20b,20c…センサ、30,52…本体ユニット、31,50…ディスプレイユニット、32…十字キーユニット、33…ヒンジ機構、34,57…数字キー、35…機能キー、36,54…ディスプレイ、37,55…十字キー、38…背面キー、39…サブディスプレイ、40…カメラユニット、42…スライド溝、43…係合部、53…機能キーユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一方の端部近傍にゲームの実行時に所定の機能が割り当てられる第1のキーが設けられた第1ユニットと、
前記第1のユニットの他方の端部において、前記第1ユニットに出し入れ可能となるように装着された第2のキーが設けられた第2ユニットと、
前記第1ユニットと重ね合わされた場合に前記第1のキーを露出させるサイズに構成されたディスプレイが設けられた第3ユニットと、
前記第1ユニットの前記第2ユニットが設けられた側の端部に設けられ、前記第1ユニットと前記第3ユニットとを連結するものであって、前記第1ユニットに前記第3ユニットを重ね合わせた閉状態から前記第3ユニットを離間させた開状態となるように第1軸により回動可能とすると共に、前記第1軸と垂直な第2軸によって前記第3ユニットを回転可能にするヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構によって前記閉状態にされていることを検知する第1検知手段と、
前記第2ユニットが前記第1ユニットから引き出されたことを検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段によって前記閉状態にされていることを検知し、かつ前記第2検知手段により前記第2ユニットが前記第1ユニットから引き出されたことを検知した場合に、前記ディスプレイに表示される画面の表示向きを変更する表示制御手段とを具備したことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記第1検知手段によって前記閉状態にされていることを検知し、かつ前記第2検知手段により前記第2ユニットが前記第1ユニットから引き出されたことを検知した場合に、前記第1のキー及び前記第2のキーに割り当てられた機能を変更することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記第1ユニットの前記第1のキーが設けられている面の反対側の面に第3のキーが設けられ、ゲーム実行時に所定の機能が割り当てられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯電話機。
【請求項4】
長手方向の端部近傍にゲームの実行時に所定の機能が割り当てられる第1のキーとその他の範囲にディスプレイが設けられた第1ユニットと、
長手方向の一方の端部近傍に第2のキーが設けられ、前記第2のキーが設けられた面を前記第1ユニットの前記ディスプレイが設けられていない裏面と重ね合わせて、前記長手方向に前記第2のキーが露出される範囲で摺動可能に連結された第2ユニットと、
前記第2ユニットの他方の端部において、前記第2ユニットに出し入れ可能となるように装着された第3のキーが設けられた第3ユニットと、
前記第2のキーが露出されない状態で重ね合わされていることを検知する第1検知手段と、
前記第3ユニットが前記第2ユニットから引き出されたことを検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段によって前記第2のキーが露出されない状態で重ね合わされていることを検知し、かつ前記第2検知手段により前記第3ユニットが前記第2ユニットから引き出されたことを検知した場合に、前記ディスプレイに表示される画面の表示向きを変更する表示制御手段とを具備したことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−65287(P2009−65287A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229397(P2007−229397)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】