説明

操作ダイヤルにおけるクリック機構

【解決手段】取付部材の外周には磁石12のN極と磁石11のS極とを操作ノブ1の回動方向Xへ交互に並べた磁石群6を設けている。操作ノブ1の内周には磁石9のN極と磁石10のS極とを操作ノブ1の回動方向Xへ交互に並べた磁石群5を設けている。磁石群5,6は相対向し、操作ノブ1の回動操作位置で磁石群5の磁石9のN極と磁石群6の磁石11のS極との間で吸引磁力を生じるとともに磁石群5の磁石10のS極と磁石群6の磁石12のN極との間で吸引磁力を生じ、また、操作ノブ1の回動操作位置から操作ノブ1を取付部材に対し回動させる際に操作ノブ1に回動操作力を持たせるように磁石群5の磁石9のN極と磁石群6の磁石12のN極との間で反発磁力を生じるとともに磁石群5の磁石10のS極と磁石群6の磁石11のS極との間で反発磁力を生じる。
【効果】吸引磁力及び反発磁力により操作ダイヤルのクリック感触を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種制御機構等の操作ダイヤルにおいてその移動操作位置を操作者が認識する機能を高めるクリック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、ダイヤルノブのシャフト部にクリックが設けられているとともに、ベースのハウジングにスプリングを介してボールが内蔵されてこのクリックに当てがわれ、このダイヤルノブの回動に伴いこのクリックとボールとの間に回動抵抗力が生じてダイヤルノブのクリック感触を高めることができる。
【特許文献1】特開平8−152932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1では、スプリングの弾性力低下やクリック及びボールの摩耗等により、ダイヤルノブの回動抵抗力が低下してクリック感触が弱くなるおそれがあった。
この発明は、吸引磁力を利用して操作ノブに移動操作力を持たせることにより、操作ダイヤルのクリック感触を維持することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
後記実施形態の図面(図1、図2(a)及び図3に示す第1実施形態、図2(b)に示す第2実施形態、図4に示す第3実施形態、図5に示す第4実施形態、図6に示す第5実施形態、図7に示す第6実施形態、図8に示す第7実施形態、図9に示す第8実施形態、図10に示す第9実施形態、図11に示す第10実施形態、図12に示す第11実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0005】
請求項1の発明にかかる操作ダイヤルのクリック機構は、第1〜11実施形態に対応し、下記のように構成されている。
この操作ダイヤルにおいては、取付部材3に対し相対移動し得る操作ノブ1を備えている。この取付部材3に設けた吸着体6,13とこの操作ノブ1に設けた吸着体5,13とを相対向させてそれらの吸着体5,6,13間で生じる吸引磁力によりこの取付部材3に対し操作ノブ1を移動操作位置Pで保持している。その移動操作位置Pからこの操作ノブ1を取付部材3に対し相対移動させる際にこの吸引磁力に対抗する移動操作力を操作ノブ1に持たせている。例えば、操作ノブ1は取付部材3に対し回動し、取付部材3の吸着体6,13と操作ノブ1の吸着体5,13とは取付部材3に対する操作ノブ1の回動中心線4aを中心とする周面で互いに隙間をあけてまたは互いに接触して対向している。
【0006】
請求項1の発明では、取付部材3の吸着体6,13と操作ノブ1の吸着体5,13との間に生じる吸引磁力を利用して操作ノブ1に移動操作力を持たせているので、操作ダイヤルのクリック感触を維持することができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1,2,5,6,11実施形態に対応)において、前記取付部材3側の吸着体6と前記操作ノブ1側の吸着体5とのうち一方の吸着体5と他方の吸着体6とは、それぞれ、操作ノブ1の移動操作位置Pで互いに吸引磁力を生じる磁石9,10,11,12を備えている。請求項2の発明では、取付部材3側の吸着体6である磁石11,12と操作ノブ1側の吸着体5である磁石9,10との間で吸引磁力を発生させて操作ダイヤルのクリック感触を高めることができる。
【0008】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1,2,5,6,11実施形態に対応)において、前記取付部材3側の吸着体6と前記操作ノブ1側の吸着体5とのうち一方の吸着体5と他方の吸着体6とは、それぞれ、操作ノブ1の移動操作位置Pから操作ノブ1を取付部材3に対し相対移動させる際に操作ノブ1に移動操作力を持たせるように互いに反発磁力を生じる磁石9,10,11,12を備えている。請求項3の発明では、取付部材3側の吸着体6である磁石11,12と操作ノブ1側の吸着体5である磁石9,10との間で吸引磁力及び反発磁力を発生させて操作ダイヤルのクリック感触を高めることができる。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項4の発明(第1,2,5,6,11実施形態に対応)において、前記取付部材3側の吸着体6と前記操作ノブ1側の吸着体5とのうち一方の吸着体5と他方の吸着体6とは、それぞれ、磁石9,12のN極と磁石10,11のS極とを操作ノブ1の相対移動方向Xへ並べた磁石群5,6であって、操作ノブ1の移動操作位置Pで一方の磁石群5の磁石9のN極と他方の磁石群6の磁石11のS極との間で吸引磁力を生じるとともに一方の磁石群5の磁石10のS極と他方の磁石群6の磁石12のN極との間で吸引磁力を生じ、また、操作ノブ1の移動操作位置Pから操作ノブ1を取付部材3に対し相対移動させる際に操作ノブ1に移動操作力を持たせるように一方の磁石群5の磁石9のN極と他方の磁石群6の磁石12のN極との間で反発磁力を生じるとともに一方の磁石群5の磁石10のS極と他方の磁石群6の磁石11のS極との間で反発磁力を生じる。請求項4の発明では、取付部材3側の吸着体6である磁石11のS極及び磁石12のN極と操作ノブ1側の吸着体5である磁石9のN極及び磁石10のS極との間で吸引磁力及び反発磁力を発生させて操作ダイヤルのクリック感触を高めることができる。
【0010】
請求項1の発明を前提とする請求項5の発明(第3,4,7,8,9,10実施形態に対応)において、前記取付部材3側の吸着体6,13と前記操作ノブ1側の吸着体5,13とのうち、一方の吸着体5,6は磁石9,10,11,12であり、他方の吸着体13は操作ノブ1の移動操作位置Pでこの磁石9,10,11,12の吸引磁力により吸引される磁性体13である。請求項5の発明では、取付部材3側の吸着体6,13である磁石11,12または磁性体13と操作ノブ1側の吸着体5,13である磁性体13または磁石9,10との間で吸引磁力を発生させて操作ダイヤルのクリック感触を高めることができる。
【0011】
請求項1の発明を前提とする請求項6の発明(第3,4,7,8,9,10実施形態に対応)において、前記取付部材3側の吸着体6,13と前記操作ノブ1側の吸着体5,13とのうち、一方の吸着体5,6は磁石9,12のN極と磁石10,11のS極とを操作ノブ1の相対移動方向Xへ並べた磁石群5,6であり、他方の吸着体13は操作ノブ1の移動操作位置Pでこの磁石群5,6における磁石9,12のN極及び磁石10,11のS極の吸引磁力により吸引される磁性体13の歯14を互いに空隙15をあけて操作ノブ1の相対移動方向Xへ並べたものであり、この磁石群5,6における磁石9,12のN極及び磁石10,11のS極をこの磁性体13の歯14に対向させた際に生じる吸引磁力は、この磁石群5,6における磁石9,12のN極及び磁石10,11のS極をこの磁性体13の空隙15に対向させた際に生じる吸引磁力よりも大きくなっている。請求項6の発明では、取付部材3側の吸着体6,13である磁石11のS極及び磁石12のN極または磁性体13の歯14及び空隙15と操作ノブ1側の吸着体5,13である磁性体13の歯14及び空隙15または磁石9のN極及び磁石10のS極との間で吸引磁力を発生させて操作ダイヤルのクリック感触を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、操作ダイヤルのクリック感触を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の第1実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について図1、図2(a)及び図3を参照して説明する。
図1(a)及び図2(a)に示すように、プラスチックからなる操作ノブ1内には穴部2が形成され、プラスチックからなる取付部材3にはこの穴部2内に挿入される軸部4が形成されている。図3(a)に示すように、この操作ノブ1の穴部2の内周には吸着体としての磁石群5が円環状に嵌め込まれているとともに、この取付部材3の軸部4の外周には吸着体としての磁石群6が円環状に嵌め込まれている。この操作ノブ1は取付部材3に対し軸部4の中心線4aを中心に回動可能に支持され、取付部材3に対する操作ノブ1の回動中心線4aを中心とする磁石群5の内周面と磁石群6の外周面とが互いに僅かな隙間をあけてまたは互いに接触して対向している。図1(b)に示すように、この操作ノブ1の外周に形成されたフランジ1aには指針7が付され、この取付部材3には操作ノブ1のフランジ1aに沿って複数の目盛8が付されている。この操作ノブ1を回動させると、操作ノブ1はその指針7が取付部材3の各目盛8のうちいずれかの目盛8を指す各回動操作位置Pで保持される。
【0014】
図3(a)に示すように、前記操作ノブ1の磁石群5においては複数の磁石9と複数の磁石10とが操作ノブ1の回動方向X(移動方向)へ等間隔で交互に並べられて互いに接触し、この磁石群5の内周面でこれらの磁石9のN極とこれらの磁石10のS極とが操作ノブ1の回動方向Xへ等間隔で交互に並べられている。また、前記取付部材3の磁石群6においては複数の磁石11と複数の磁石12とが操作ノブ1の回動方向Xへ等間隔で交互に並べられて互いに接触し、この磁石群6の外周面でこれらの磁石11のS極とこれらの磁石12のN極とが操作ノブ1の回動方向Xへ等間隔で交互に並べられている。前記磁石群5の磁石9及び磁石10の内周方向幅と前記磁石群6の磁石11及び磁石12の外周方向幅とは等しく設定されている。
【0015】
前記操作ノブ1の各回動操作位置P(移動操作位置)では、図3(a)(b)に示すように、操作ノブ1の磁石9のN極と取付部材3の磁石11のS極との間で最大の吸引磁力が生じるとともに、操作ノブ1の磁石10のS極と取付部材3の磁石12のN極との間で最大の吸引磁力が生じる。そのため、操作ノブ1を各回動操作位置Pで保持することができる。
【0016】
この操作ノブ1の各回動操作位置Pから操作ノブ1を取付部材3に対し回動させると、図3(c)に示すように、操作ノブ1の磁石9のN極と取付部材3の磁石12のN極との間で最大の反発磁力が生じるとともに、操作ノブ1の磁石10のS極と取付部材3の磁石11のS極との間で最大の反発磁力が生じる。その後、図3(d)に示すように図3(b)と同様な状態に戻って取付部材3の各目盛8で操作ノブ1の指針7が1目盛範囲だけ移動する。図3(b)の状態から図3(c)の状態までは操作ノブ1の回動操作力(移動操作力)が前記吸引磁力や反発磁力に対抗するために大きくなり、図3(c)の状態から図3(d)の状態までは操作ノブ1の回動操作力が前記反発磁力や吸引磁力に助けられるために小さくなる。従って、取付部材3の各目盛8でその1目盛範囲ごとに操作ノブ1を回動させる際に操作ノブ1の回動操作力が変化し、操作ダイヤルのクリック感触が増して操作ノブ1の各回動操作位置Pを操作者が認識する機能を高めることができる。
【0017】
なお、図示しないが、例えば、前記操作ノブ1にホール素子などの感磁素子を取り付けることにより、前述した操作ダイヤルをセンサとして利用することができる。
次に、本発明の第2実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図2(b)を参照して説明する。
【0018】
この第2実施形態では、第1実施形態とは逆に、取付部材3内に穴部2が形成され、操作ノブ1にはこの穴部2内に挿入される軸部4が形成され、この取付部材3の穴部2の内周には吸着体としての磁石群6が円環状に嵌め込まれているとともに、この操作ノブ1の軸部4の外周には吸着体としての磁石群5が円環状に嵌め込まれている。
【0019】
次に、本発明の第3実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図4を参照して説明する。
第1実施形態の磁石群6に代えて吸着体としての磁性体13が取付部材3の軸部4の外周に円環状に嵌め込まれている。この磁性体13の外周においては、複数の歯14が互いに溝状空隙15をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ等間隔で並設され、その各歯14の先端面が磁石群5の内周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向しているとともに、その各空隙15が磁石群5の内周面に対向している。各歯14の先端面の外周方向幅が互いに等しく設定されているとともに、各空隙15の外周方向幅が互いに等しく設定され、一つの歯14の先端面の外周方向幅と一つの空隙15の外周方向幅との和が磁石群5の磁石9及び磁石10の内周方向幅と等しく設定されている。
【0020】
前記操作ノブ1の各回動操作位置Pでは、図4(a)(b)に示すように、操作ノブ1の磁石9のN極と取付部材3の磁性体13の歯14との間で最大の吸引磁力が生じるとともに、操作ノブ1の磁石10のS極と取付部材3の磁性体13の歯14との間で最大の吸引磁力が生じる。そのため、操作ノブ1を各回動操作位置Pで保持することができる。
【0021】
この操作ノブ1の各回動操作位置Pから操作ノブ1を取付部材3に対し回動させると、図4(c)に示すように、操作ノブ1の磁石9のN極と取付部材3の磁性体13の空隙15との間で最小の吸引磁力が生じるとともに、操作ノブ1の磁石10のS極と取付部材3の磁性体13の空隙15との間で最小の吸引磁力が生じる。その後、図4(d)に示すように図4(b)と同様な状態に戻って第1実施形態と同様に取付部材3の各目盛8で操作ノブ1の指針7が1目盛範囲だけ移動する。従って、取付部材3の各目盛8でその1目盛範囲ごとに操作ノブ1を回動させる際に操作ノブ1の回動操作力が変化し、操作ダイヤルのクリック感触が増して操作ノブ1の各回動操作位置Pを操作者が認識する機能を高めることができる。
【0022】
次に、本発明の第4実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図5を参照して説明する。
第1実施形態の磁石群5に代えて吸着体としての磁性体13が操作ノブ1の穴部2の内周に円環状に嵌め込まれている。この磁性体13の内周においては、複数の歯14が互いに溝状空隙15をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ等間隔で並設され、その各歯14の先端面が磁石群6の外周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向しているとともに、その各空隙15が磁石群6の外周面に対向している。各歯14の先端面の内周方向幅が互いに等しく設定されているとともに、各空隙15の内周方向幅が互いに等しく設定され、一つの歯14の先端面の内周方向幅と一つの空隙15の内周方向幅との和が磁石群6の磁石11及び磁石12の外周方向幅と等しく設定されている。
【0023】
前記操作ノブ1の各回動操作位置Pでは、図5(a)(b)に示すように、取付部材3の磁石11のS極と操作ノブ1の磁性体13の歯14との間で最大の吸引磁力が生じるとともに、取付部材3の磁石12のN極と操作ノブ1の磁性体13の歯14との間で最大の吸引磁力が生じる。そのため、操作ノブ1を各回動操作位置Pで保持することができる。
【0024】
この操作ノブ1の各回動操作位置Pから操作ノブ1を取付部材3に対し回動させると、図5(c)に示すように、取付部材3の磁石11のS極と操作ノブ1の磁性体13の空隙15との間で最小の吸引磁力が生じるとともに、取付部材3の磁石12のN極と操作ノブ1の磁性体13の空隙15との間で最小の吸引磁力が生じる。その後、図5(d)に示すように図5(b)と同様な状態に戻って第1実施形態と同様に取付部材3の各目盛8で操作ノブ1の指針7が1目盛範囲だけ移動する。従って、取付部材3の各目盛8でその1目盛範囲ごとに操作ノブ1を回動させる際に操作ノブ1の回動操作力が変化し、操作ダイヤルのクリック感触が増して操作ノブ1の各回動操作位置Pを操作者が認識する機能を高めることができる。
【0025】
次に、本発明の第5実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図6を参照して説明する。第1実施形態の磁石群6が変更され、取付部材3の軸部4の外周には一つの磁石11と一つの磁石12とを並設した一組が180度間隔で設けられ、取付部材3の軸部4の外周面が操作ノブ1の磁石群5の内周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0026】
次に、本発明の第6実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図7を参照して説明する。第1実施形態の磁石群5が変更され、操作ノブ1の穴部2の内周には一つの磁石9と一つの磁石10とを並設した一組が180度間隔で設けられ、操作ノブ1の穴部2の内周面が取付部材3の磁石群6の外周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0027】
次に、本発明の第7実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第3実施形態との相違点を中心に図8を参照して説明する。第3実施形態の磁性体13が変更され、取付部材3の軸部4の外周には一対の歯14と両歯14間の空隙15とを並設した一組が180度間隔で設けられ、取付部材3の軸部4の外周面が操作ノブ1の磁石群5の内周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0028】
次に、本発明の第8実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第3実施形態との相違点を中心に図9を参照して説明する。第3実施形態の磁石群5が変更され、操作ノブ1の穴部2の内周には一つの磁石9と一つの磁石10とを並設した一組が180度間隔で設けられ、操作ノブ1の穴部2の内周面が取付部材3の磁性体13の歯14に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0029】
次に、本発明の第9実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第4実施形態との相違点を中心に図10を参照して説明する。第4実施形態の磁性体13が変更され、操作ノブ1の穴部2の内周には一対の歯14と両歯14間の空隙15とを並設した一組が180度間隔で設けられ、操作ノブ1の穴部2の内周面が取付部材3の磁石群6の外周面に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0030】
次に、本発明の第10実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第4実施形態との相違点を中心に図11を参照して説明する。第4実施形態の磁石群6が変更され、取付部材3の軸部4の外周には一つの磁石11と一つの磁石12とを並設した一組が180度間隔で設けられ、取付部材3の軸部4の外周面が操作ノブ1の磁性体13の歯14に対し僅かな隙間をあけてまたは接触して対向している。
【0031】
次に、本発明の第11実施形態にかかる操作ダイヤルのクリック機構について第1実施形態との相違点を中心に図12を参照して説明する。
図12(a)(b)に示すように操作ノブ1の回動中心線3aに対し直交する操作ノブ1の端面に磁石群5が円環状に並設されているとともに、図12(a)(c)に示すようにその回動中心線3aに対し直交する取付部材3の端面に磁石群6が円環状に並設され、その磁石群5における磁石9のN極及び磁石10のS極と磁石群6における磁石11のS極及び磁石12のN極とがこの回動中心線3aの方向で互いに僅かな隙間をあけてまたは互いに接触して対向している。なお、第1実施形態の図3(a)(b)(c)(d)が第11実施形態の図12(a)(d)(e)(f)に対応する。
【0032】
図示しないが、前記各実施形態以外にも下記のように構成してもよい。
* 第1実施形態において、操作ノブ1側の磁石群5で各磁石10を省略して各磁石9のN極を互いに間隔をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ並設するとともに、取付部材3側の磁石群6で各磁石12を省略して各磁石11のS極を互いに間隔をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ並設する。また、第1実施形態において、操作ノブ1側の磁石群5で各磁石9を省略して各磁石10のS極を互いに間隔をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ並設するとともに、取付部材3側の磁石群6で各磁石11を省略して各磁石12のN極を互いに間隔をあけて操作ノブ1の回動方向Xへ並設する。これらの場合には、操作ノブ1側の磁石群5と取付部材3側の磁石群6との間で吸引磁力のみが働いて反発磁力は働かない。
【0033】
* 第3実施形態において、操作ノブ1側の磁石群5で各磁石9または各磁石10を省略する。または、第3実施形態において、取付部材3側の磁石群6で各磁石11または各磁石12を省略する。
【0034】
* 各実施形態において、磁石材料の強さや磁石の大きさを変えて吸引磁力や反発磁力を変更することにより、操作ノブ1の回動操作力を増減してクリック感触を変更することができる。また、磁石の数を変えて取付部材3の各目盛8の数や間隔を変更することができる。
【0035】
* 各実施形態では吸着体としての磁石群5,6や磁性体13を円環状に設けているが、この吸着体を直線状に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は第1実施形態にかかる操作ダイヤルを概略的に示す正面図であり、(b)は同じく平面図である。
【図2】(a)は第1実施形態にかかる操作ダイヤルを正面側から見て概略的に示す断面図であり、(b)は第2実施形態にかかる操作ダイヤルを正面側から見て概略的に示す断面図である。
【図3】(a)は第1実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図4】(a)は第3実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図5】(a)は第4実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図6】(a)は第5実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図7】(a)は第6実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図8】(a)は第7実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図9】(a)は第8実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図10】(a)は第9実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図11】(a)は第10実施形態にかかる操作ダイヤルを平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【図12】(a)は第11実施形態にかかる操作ダイヤルを正面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(b)(c)はそれぞれ平面側から見て概略的に示す部分断面図であり、(d)(e)(f)はそれぞれ(a)の操作ダイヤルの作用を説明するための部分断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…操作ノブ、3…取付部材、5…吸着体としての磁石群、6…吸着体としての磁石群、9,10,11,12…磁石、13…吸着体としての磁性体、14…磁性体の歯、15…磁性体の空隙、P…操作ノブの回動操作位置、X…相対移動方向としての回動方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に対し相対移動し得る操作ノブを備え、この取付部材に設けた吸着体とこの操作ノブに設けた吸着体とを相対向させてそれらの吸着体間で生じる吸引磁力によりこの取付部材に対し操作ノブを移動操作位置で保持し、その移動操作位置からこの操作ノブを取付部材に対し相対移動させる際にこの吸引磁力に対抗する移動操作力を操作ノブに持たせたことを特徴とする操作ダイヤルにおけるクリック機構。
【請求項2】
前記取付部材側の吸着体と前記操作ノブ側の吸着体とのうち一方の吸着体と他方の吸着体とは、それぞれ、操作ノブの移動操作位置で互いに吸引磁力を生じる磁石を備えていることを特徴とする請求項1に記載の操作ダイヤルにおけるクリック機構。
【請求項3】
前記取付部材側の吸着体と前記操作ノブ側の吸着体とのうち一方の吸着体と他方の吸着体とは、それぞれ、操作ノブの移動操作位置から操作ノブを取付部材に対し相対移動させる際に操作ノブに移動操作力を持たせるように互いに反発磁力を生じる磁石を備えていることを特徴とする請求項2に記載の操作ダイヤルにおけるクリック機構。
【請求項4】
前記取付部材側の吸着体と前記操作ノブ側の吸着体とのうち一方の吸着体と他方の吸着体とは、それぞれ、磁石のN極と磁石のS極とを操作ノブの相対移動方向へ並べた磁石群であって、操作ノブの移動操作位置で一方の磁石群の磁石のN極と他方の磁石群の磁石のS極との間で吸引磁力を生じるとともに一方の磁石群の磁石のS極と他方の磁石群の磁石のN極との間で吸引磁力を生じ、また、操作ノブの移動操作位置から操作ノブを取付部材に対し相対移動させる際に操作ノブに移動操作力を持たせるように一方の磁石群の磁石のN極と他方の磁石群の磁石のN極との間で反発磁力を生じるとともに一方の磁石群の磁石のS極と他方の磁石群の磁石のS極との間で反発磁力を生じることを特徴とする請求項1に記載の操作ダイヤルにおけるクリック機構。
【請求項5】
前記取付部材側の吸着体と前記操作ノブ側の吸着体とのうち、一方の吸着体は磁石であり、他方の吸着体は操作ノブの移動操作位置でこの磁石の吸引磁力により吸引される磁性体であることを特徴とする請求項1に記載の操作ダイヤルにおけるクリック機構。
【請求項6】
前記取付部材側の吸着体と前記操作ノブ側の吸着体とのうち、一方の吸着体は磁石のN極と磁石のS極とを操作ノブの相対移動方向へ並べた磁石群であり、他方の吸着体は操作ノブの移動操作位置でこの磁石群における磁石のN極及び磁石のS極の吸引磁力により吸引される磁性体の歯を互いに空隙をあけて操作ノブの相対移動方向へ並べたものであり、この磁石群における磁石のN極及び磁石のS極をこの磁性体の歯に対向させた際に生じる吸引磁力は、この磁石群における磁石のN極及び磁石のS極をこの磁性体の空隙に対向させた際に生じる吸引磁力よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の操作ダイヤルにおけるクリック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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