説明

改良された耐燃性を有する製品

【課題】本発明の目的は、製品壁体厚3mm以下で良好な耐燃性を提供し、臭素含有添加剤を少量しか含まない易流動性の透明組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、A.ポリカーボネート、65〜99.998wt.%、B.脂肪族および芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩およびその混合物からなる群から選択される有機難燃性塩、0.001〜1wt.%、並びにC.1種類以上の臭素含有難燃添加剤、0.001〜1wt.%を含む耐燃性組成物であって、組成物全体が臭素を100ppm〜1000ppm含むことを特徴とする耐燃性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート並びに脂肪族または芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のクラスの1種類以上の難燃添加剤0.001wt.%〜1.000wt.%並びに更に臭素含有難燃添加剤のクラスの1種類以上の難燃添加剤を、組成物全体中の臭素含量が臭素100ppm〜1000ppmになるように含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックの優れた特性、例えば低い密度、透明性および熱成形性と組み合わされた強度(これは高いデザイン自由度を確実にする。)のため、プラスチックは、多くの用途において材料としての金属にますます取って代わりつつある。軽量化が優先事項であるあらゆる場所で、特に軽量材料が好ましい航空機の構造、更に鉄道または自動車構造において、プラスチックがますます使用されつつある。しかしながら、プラスチックは、更に、IT、電気工学およびエレクトロニクス分野においても使用されており、そこでは例えば充電部の支持体として使用されるかまたはテレビおよびモニターのハウジングの製造に使用されている。
【0003】
プラスチックは上記用途に良好な機械的および電気的性質を提供するが、例えば金属とは異なり、本質的に耐燃性ではなく、このことは難燃剤を添加しなければならないことを意味する。ここで、使用されるプラスチックの機械的、光学的および電気的にプラスの性質に難燃剤の添加が悪影響を及ぼしてはいけないことを考慮しなければならない。
【0004】
テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネートと、ペルフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、ビスフェノールAポリカーボネートとの組み合わせがUS 2009/0043023に記載されている。臭素含有難燃添加剤が5wt.%を超える高濃度で使用される。
【0005】
WO 2008/125203 A1は、組成物全体における臭素1000ppmを超える臭素含量を要求する濃度でハロゲン含有難燃剤を含む紫外線安定化ポリカーボネート成形組成物を記載している。
【0006】
US 4486560は、トリ−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)トリアジン0.08〜0.8wt.%をN−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホンアミドとの組み合わせで含む組成物を記載している。別のカリウムスルホン酸塩との組み合わせは記載されていない。
【0007】
特開平11−035814は、ポリカーボネートおよび任意に熱可塑性ポリエステル、有機ハロゲン含有化合物0.2〜20wt.%およびフッ素化ポリオレフィンを含む組成物を記載している。しかしながら、上記組成物は、脂肪族または芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のクラスの難燃添加剤を含まない。
【0008】
これまでの取り組みにもかかわらず、改良された耐燃性を有する、特にツインウォール製品における使用のための、ポリカーボネート組成物への要求が未だに存在する。このことは、透明組成物または透明製品の場合に最も当てはまる。なぜなら、必要な高濃度の難燃剤の添加は、多くの場合、組成物およびそれから製造される製品の光学特性に悪影響、例えば材料の低い透明度または変色、をもたらすからである。
【0009】
更に、同様に有効な防炎性を有するポリカーボネート組成物であって、良好な粘度、すなわち溶融流動性、を有するポリカーボネート組成物への要求も存在する。というのも、難燃剤の含量の増加は一般的に組成物の流動性に悪影響を及ぼすからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、この関連で、本発明の目的は、製品壁体厚3mm以下で良好な耐燃性を提供し、臭素含有添加剤を少量しか含まない易流動性の透明組成物を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、更に、この組成物から製造される製品の光学特性に悪影響を及ぼす難燃剤なしに低臭素含量と良好な難燃効果および高い流動性を組み合わせたポリカーボネートの透明組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、ポリカーボネートと、脂肪族または芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩のクラスの1種類以上の難燃添加剤0.001wt.%〜1.000wt.%と、1種類以上の臭素含有難燃添加剤0.001wt.%〜1.000wt.%とを含み、組成物全体における臭素含量が100ppm〜1000ppmである組成物に関する。
【0013】
上記組成物は、有利には、別の臭素含有成分を含まず、および/または臭素含有難燃添加剤以外の添加剤を含む。
【0014】
本発明の組成物は、好ましくは紫外線安定剤を含まず、ポリマー組成物への紫外線安定剤の使用はWO 2008/125203 A1で知られている。更に、この組成物は、好ましくは透明であり、黄色度指数(測定の詳細に関しては段落[0084]を参照。)が2.5未満であり、透過率(測定の詳細に関しては段落[0083]を参照。)は83.00%よりも高い。
【0015】
本発明の意味の範囲の難燃添加剤は、個々の難燃添加剤だけではなく2種類以上の異種難燃添加剤の混合物も含むと理解される。
【0016】
本発明の組成物は、様々な用途に有利に使用されうる。これらとしては、例えば電気/電子分野における応用および成形品、例えばランプハウジング、ブレーカー、プラグコネクタまたはテレビおよびモニターのハウジングが挙げられる。本発明による組成物は、更に、建築または工業のグレージングシステム用のシートの形態で使用されても高い耐燃性基準が要求される鉄道車両および航空機内部のクラッドとして使用されてもよい。
【0017】
本発明は、更に、ポリカーボネートと難燃添加剤とを一緒にして混合することを特徴とする、本発明による組成物の製造方法にも関する。上記成分の混合は、溶液で行われても、分散体で行われても、懸濁液で行われてもよく、この混合物は、好ましくは溶媒の除去前に均質化される。そのようにして得られるポリマーコンパウンドは、例えば、更なる工程においてペレット化され、次に成形品に直接加工される。
【0018】
最後に、本発明は、更に、本発明の組成物を含む製品にも関する。
【0019】
本発明による組成物のポリカーボネートは、ホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび熱可塑性の、好ましくは芳香族の、ポリエステルカーボネートであり、本明細書中、これらを用語「ポリカーボネート」に含める。
【0020】
ホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、一般的に、平均分子量M(重量平均)が2000〜200,000g/mol、好ましくは3000〜150,000g/mol、特に5000〜100,000、より特に好ましくは10,000〜30,000g/mol、特別には10,000〜28,000g/molであり、最も特に好ましくは平均分子量Mは12,000〜26,000g/molである(ポリカーボネート較正を伴うGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される。)。
【0021】
本発明による組成物用のポリカーボネートの製造に関して、本明細書中、一例として、Schnell,“Chemistry and Physics of Polycarbonates”,Polymer Reviews,第9巻,Interscience Publishers,ニューヨーク,ロンドン,シドニー1964年、D.C.PREVORSEK,B.T.DEBONA and Y.KESTEN,Corporate Research Center,Allied Chemical Corporation,モリスタウン,ニュージャージー07960,“Synthesis of Poly(ester)carbonate Copolymers”in Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry Edition,第19巻,75〜90頁(1980年)、D.Freitag,U.Grigo,P.R.Mueller,N.Nouvertne,BAYER AG,“Polycarbonates”in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第11巻,第2版,1988年,648〜718頁および最後にDrs.U.Grigo,K.Kircher and P.R.Mueller“Polycarbonate”in Becker/Braun,Kunststoff−Handbuch,第3/1巻,Polycarbonate,Polyacetale,Polyester,Celluloseester,Carl Hanser Verlag ミュンヘン,ウィーン1992年,117〜299頁を参照する。製造は、好ましくは、界面重縮合法または溶融エステル交換法によって行われ、最初に一例として界面重縮合法によって説明する。
【0022】
出発化合物として使用される好ましい化合物は、一般式(1)
HO−Z−OH (1)
〔式中、Zは、炭素原子を6〜30個有し、1個以上の芳香族基を含む2価の有機基である。〕
のビスフェノールである。
【0023】
そのような化合物の例は、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、インダンビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトンおよびα,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼンの群に属するビスフェノールである。
【0024】
上記化合物の群に属する特に好ましいビスフェノールは、ビスフェノールA、テトラアルキルビスフェノールA、4,4−(メタ−フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4−(パラ−フェニレンジイソプロピル)ジフェノール、N−フェニルイサチンビスフェノール、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BP−TMC)、2−ヒドロカルビル−3,3−ビス−(4−ヒドロキシアリール)フタルイミジンタイプのビスフェノール、特に2−フェニル−3,3−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、および更にそれらの混合物である。
【0025】
ビスフェノールAベースのホモポリカーボネートおよびモノマービスフェノールAと1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンベースのコポリカーボネートが特に好ましい。本発明による使用のためのビスフェノール化合物を、炭酸化合物、特にホスゲンと、または溶融エステル交換法ではジフェニルカーボネートもしくはジメチルカーボネートと反応させる。
【0026】
ポリエステルカーボネートは、既に記載したビスフェノールと、少なくとも1種類の芳香族ジカルボン酸と、要すれば炭酸同等物とを反応させることによって得られる。好適な芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3’−または4,4’−ジフェニルジカルボン酸およびベンゾフェノンジカルボン酸である。ポリカーボネート中のカーボネート基の一部、80mol%以下、好ましくは20〜50mol%を芳香族ジカルボン酸エステル基によって置換してもよい。
【0027】
界面重縮合法において使用される不活性有機溶媒は、例えばジクロロメタン、様々なジクロロエタンおよびクロロプロパン化合物、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、クロロベンゼンおよびクロロトルエンである。クロロベンゼンまたはジクロロメタンまたはジクロロメタンとクロロベンゼンとの混合物が好ましく使用される。
【0028】
界面重縮合反応は、触媒、例えば第3級アミン、特にN−アルキルピペリジンまたはオニウム塩によって加速されうる。トリブチルアミン、トリエチルアミンおよびN−エチルピペリジンが好ましく使用される。溶融エステル交換法の場合、DE−A 42 38 123に記載されている触媒が使用される。
【0029】
ポリカーボネートは、少量の分枝剤の使用によって意図的な制御された方法で分枝されてもよい。いくつかの好適な分枝剤は、イサチンビスクレゾール、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ヘキサ−(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルト−テレフタル酸エステル、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラ−(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン、α,α’,α’’−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル、3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、1,4−ビス−(4’,4’’−ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼン、特に1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよびビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0030】
使用されるジフェノールに対して任意に使用してもよい分枝剤または分枝剤の混合物0.05〜2mol%をジフェノールと共に使用しても合成の後の段階において添加してもよい。
【0031】
連鎖停止剤が使用されうる。フェノール、例えばフェノール、アルキルフェノール、例えばクレゾールおよび4−tert−ブチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールまたはそれらの混合物、ビスフェノール1molに対して1〜20mol%、好ましくは2〜10mol%が連鎖停止剤として好ましく使用される。フェノール、4−tert−ブチルフェノールおよびクミルフェノールが好ましい。
【0032】
連鎖停止剤および分枝剤は、合成に単独で添加してもビスフェノールと共に添加してもよい。
【0033】
本発明による好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAホモポリカーボネートである。
【0034】
代わりに、本発明によるポリカーボネートは、溶融エステル交換法によって製造してもよい。溶融エステル交換法は、例えばEncyclopedia of Polymer Science,第10巻(1969年),Chemistry and Physics of Polycarbonates,Polymer Reviews,H.Schnell,第9巻,John Wiley and Sons,Inc.(1964年)およびDE−B 10 31 512に記載されている。
【0035】
溶融エステル交換法では、界面重縮合法との関連で既に記載した芳香族ジヒドロキシ化合物を溶融状態で炭酸ジエステルと、好適な触媒および要すれば別の添加剤を用いてエステル交換する。
【0036】
本発明の意味での炭酸ジエステルは、式(2)および(3)
【化1】

〔式中、
R、R’およびR’’は、互いに独立してH、任意に分枝されていてもよいC〜C34アルキル/シクロアルキル、C〜C34アルカリールまたはC〜C34アリールである。〕
の炭酸ジエステル、
例えば、
ジフェニルカーボネート、ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジブチルフェニルカーボネート、イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジイソブチルフェニルカーボネート、tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチルフェニルカーボネート、n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(n−ペンチルフェニル)カーボネート、n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(n−ヘキシルフェニル)カーボネート、シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジシクロヘキシルフェニルカーボネート、フェニルフェノールフェニルカーボネート、ジフェニルフェノールカーボネート、イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジイソオクチルフェニルカーボネート、n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(n−ノニルフェニル)カーボネート、クミルフェニルフェニルカーボネート、ジクミルフェニルカーボネート、ナフチルフェニルフェニルカーボネート、ジナフチルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(ジ−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ジクミルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(ジクミルフェニル)カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ−(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ−(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、トリチルフェニルフェニルカーボネート、ジトリチルフェニルカーボネート、
好ましくは
ジフェニルカーボネート、tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチルフェニルカーボネート、ジフェニルフェノールカーボネート、クミルフェニルフェニルカーボネート、ジフェニルフェノールフェニルカーボネート、クミルフェニルカーボネート、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
【0037】
上記炭酸ジエステルの混合物も使用されうる。
【0038】
炭酸エステルの割合は、ジヒドロキシ化合物に対して、100〜130mol%、好ましくは103〜120mol%、特に好ましくは103〜109mol%である。
【0039】
上記文献に記載されているように、塩基性触媒、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物および酸化物、更にアンモニウムまたはホスホニウム塩(以下、オニウム塩という。)を溶融エステル交換法において本発明の意味の範囲内の触媒として使用する。ここではオニウム塩が好ましく使用され、特に好ましくはホスホニウム塩が使用される。本発明の意味の範囲内のホスホニウム塩は、式(4)
【化2】

〔式中、
1〜4は、同一であっても異なっていてもよく、C〜C10アルキル、C〜C10アリール、C〜C10アラルキルまたはC〜Cシクロアルキル、好ましくはメチル、またはC〜C14アリール、特に好ましくはメチルまたはフェニルであり、
は、アニオン、例えば水酸化物、硫化物、硫酸水素塩、炭酸水素塩、炭酸塩、ハロゲン化物、好ましくは塩化物、または式ORのアルコレート(式中、RはC〜C14アリールまたはC〜C12アラルキル、好ましくはフェニルである。)である。〕
のホスホニウム塩である。好ましい触媒は、テトラフェニルホスホニウム塩化物、テトラフェニルホスホニウム水酸化物、テトラフェニルホスホニウムフェノレート、特に好ましくはテトラフェニルホスホニウムフェノレートである。
【0040】
上記触媒は、好ましくはビスフェノール1molに対して10−8〜10−3molの量で、特に好ましくは10−7〜10−4molの量で使用される。
【0041】
重合の速度を増加させるために別の触媒を単独で使用しても要すればオニウム塩に加えて使用してもよい。これらとしては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物、アルコキシドおよびアリールオキシド、好ましくはナトリウムの水酸化物、アルコキシドまたはアリールオキシド塩が挙げられる。水酸化ナトリウムおよびナトリウムフェノレートが最も好ましい。
【0042】
共触媒の量は、それぞれナトリウムとして計算して、1〜200ppb、好ましくは5〜150ppb、最も好ましくは10〜125ppbである。
【0043】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの溶融状態におけるエステル交換反応は、好ましくは2段階で行われる。第1段階では、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを温度80〜250℃、好ましくは100〜230℃、特に好ましくは120〜190℃において常圧のもとで0〜5時間、好ましくは0.25〜3時間溶融する。触媒の添加後、真空(装置中の圧力2.6mbar以下)を適用し、温度を(260℃まで)上昇させることによってモノフェノールを留去することによって、オリゴカーボネートを上記芳香族ジヒドロキシ化合物と上記炭酸ジエステルとから生じる。上記オリゴカーボネートのほとんどが処理蒸気として生じる。このようにして製造されるオリゴカーボネートの重量平均分子量Mw(ジクロロメタンまたはフェノール/o−ジクロロベンゼンの等重量混合物中で相対溶液粘度を測定し、光散乱によって較正することによって決定される。)は、2000g/mol〜18,000g/mol、好ましくは4000g/mol〜15,000g/molである。
【0044】
第2段階では、更に2.6mbar未満の圧力の下で温度を250〜320℃、好ましくは270〜295℃に上昇させることによる重縮合によってポリカーボネートを製造し、残留処理蒸気を除去する。
【0045】
触媒は互いの組み合わせ(2種類以上)で使用してもよい。
【0046】
アルカリ金属/アルカリ土類金属触媒を使用する場合、アルカリ金属/アルカリ土類金属触媒は、好ましくは後で(例えば、オリゴカーボネート合成後の第2段階における重縮合中に)添加される。
【0047】
本発明による方法の意味の範囲内で、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのポリカーボネートへの反応は、例えば撹拌槽型反応器、薄膜式蒸発器(film evaporators)、流下液膜式蒸発器(falling−film evaporators)、一連の撹拌槽型反応器、押出機、配合機、シンプルディスク型リアクター(simple disc reactors)および高粘度ディスク型リアクター(high−viscosity disc reactors)中で、バッチ形式で行われても好ましくは連続的に行われてもよい。
【0048】
分枝ポリカーボネートまたはコポリカーボネートは、多官能価化合物を使用することによって界面重縮合法と類似した方法で製造されうる。
【0049】
別の芳香族ポリカーボネートおよび/または別のプラスチック、例えば芳香族ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレートもしくはポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えばポリアルキル(メタ)アクリレートおよびここで特にポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオレフィン、ハロゲン含有ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリシロキサン、ポリベンズイミダゾール、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、スチレンもしくはα−メチルスチレンとジエンもしくはアクリル酸誘導体とのコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンもしくはアクリレートゴムベースのグラフトコポリマーベースのグラフトポリマー(例えばEP−A 640 655に記載のグラフトポリマー参照。)またはシリコーンゴムもまた本発明によるポリカーボネートに既知の方法で、例えば配合によって、添加してもよい。
【0050】
上記熱可塑性樹脂に常套の添加剤、例えば充填剤、紫外線安定剤、熱安定剤、帯電防止剤および顔料もまた常套の量で本発明によるポリカーボネートおよび任意に含まれていてもよい別のプラスチックに添加されうる。離型性および/または流動性もまた、要すれば外部離型剤および/または流れ調節剤(例えばアルキルおよびアリールホスファイト、ホスフェート、ホスファン、低分子量カルボン酸エステル、ハロ化合物、塩、チョーク、シリカ粉末、グラスファイバー、カーボンファイバー、顔料およびそれらの組み合わせ)の添加によって改良されうる。
【0051】
そのような化合物は、例えば、WO 99/55772 A1,15〜25頁、EP 1 308 084および“Plastics Additives Handbook”,Hans Zweifel編,第5版,2000年,Hanser Publishers,ミュンヘンの対応する章に記載されている。
【0052】
本発明の意味の範囲内の好適な難燃剤は、特に、脂肪族または芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばカリウムペルフルオロブタンスルホネート、カリウムジフェニルスルホンスルホネート、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドカリウム塩である。
【0053】
本発明による成形組成物中で難燃剤として好ましく使用される塩は、ナトリウムまたはカリウムペルフルオロブタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムペルフルオロメタンスルホネート、ナトリウムまたはカリウムペルフルオロオクタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウム−2,5−ジクロロベンゼンスルフェート、ナトリウムまたはカリウム−2,4,5−トリクロロベンゼンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムメチルホスホネート、ナトリウムまたはカリウム−(2−フェニルエチレン)ホスホネート、ナトリウムまたはカリウムペンタクロロベンゾエート、ナトリウムまたはカリウム−2,4,6−トリクロロベンゾエート、ナトリウムまたはカリウム−2,4−ジクロロベンゾエート、リチウムフェニルホスホネート、ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホンスルホネート、ナトリウムまたはカリウム−2−ホルミルベンゼンスルホネート、ナトリウムまたはカリウム−(N−ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホンアミド、三ナトリウムまたは三カリウムヘキサフルオロアルミネート、二ナトリウムまたは二カリウムヘキサフルオロチタネート、二ナトリウムまたは二カリウムヘキサフルオロシリケート、二ナトリウムまたは二カリウムヘキサフルオロジルコネート、ナトリウムまたはカリウムピロホスフェート、ナトリウムまたはカリウムメタホスフェート、ナトリウムまたはカリウムテトラフルオロボレート、ナトリウムまたはカリウムヘキサフルオロホスフェート、ナトリウムまたはカリウムまたはリチウムホスフェート、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドカリウム塩およびそれらの混合物を包含する群から選択される。
【0054】
ナトリウムまたはカリウムペルフルオロブタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムペルフルオロオクタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホンスルホネートおよびナトリウムまたはカリウム−2,4,6−トリクロロベンゾエートおよびN−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドカリウム塩がより好ましく使用される。
【0055】
好ましい態様では、有機難燃性塩は、ナトリウムまたはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネート、ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホン酸スルホネートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、カリウム塩の混合物が特に好ましい。
【0056】
ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホン酸スルホネートとナトリウムまたはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートとの比は、好ましくは3:1〜8:1、好ましくは4:1〜7:1、特に好ましくは約6:1である。
【0057】
カリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートおよびナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホンスルホネートが難燃性塩として特に好ましい。カリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートは、特にBayowetTMC4(ドイツ国レーフェルクーゼン在Lanxess、CAS番号29420−49−3)、RM64(イタリア在Miteni)または3MTM Perfluorobutanesulfonyl Fluoride FC−51(米国在3M)として市販されている。
【0058】
カリウムジフェニルスルホネートは、例えばSloss Industries Corpから商品名KSS−FRのもとで市販されている。
【0059】
上記塩の別の混合物も同様に好適である。
【0060】
有機難燃性塩は、本発明の成形組成物中で、それぞれ組成物全体に対して0.001wt.%〜1.000wt.%、好ましくは0.01wt.%〜0.80wt.%、特に好ましくは0.01wt.%〜0.60wt.%、特に0.03wt.%〜0.20wt.%の量で使用される。
【0061】
本発明の意味の範囲内の別の好適な難燃剤は、臭素含有化合物である。これらとしては、臭素化化合物、例えば臭素化オリゴカーボネート(例えばテトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネートBC−52TM(CAS番号94334−64−2)、臭素含量52%、溶融範囲180℃〜210℃、比重2.2g/mL(25℃において決定。)のテトラブロモビスフェノールAのフェノキシ末端カーボネートオリゴマー;BC−58TM(CAS番号71342−77−3)、臭素含量58%、溶融範囲200℃〜230℃、比重2.2g/mL(25℃において決定。)のテトラブロモビスフェノールAのフェノキシ末端カーボネートオリゴマー;BC−52HPTM(CAS番号94334−64−2)、臭素含量53.9%、溶融範囲210℃〜240℃、比重2.2g/mL(25℃において決定)のChemtura製のテトラブロモビスフェノールAのフェノキシ末端カーボネートオリゴマー、ポリペンタブロモベンジルアクリレート(例えば、Dead Sea Bromine(DSB)製のFR 1025);テトラブロモビスフェノールAとエポキシドとのオリゴマー反応生成物(例えば、Dead Sea Bromine製のF 2300、CAS番号68928−70−1、臭素含量51%、平均分子量Mw=3600およびF 2400、CAS番号68928−70−1、臭素含量52〜54%、平均分子量Mw=40,000〜60,000);Sinobrom、Chemtura、Manac、Shandong Laizhou、Shandong Ocean、Shouguang Ocean、Solaris ChemTech、Weifang DachengもしくはICL−IPから入手可能な商品名FR−613、FR 20、Solaris FR 20、PH−73、PH−73FFの2,4,6−トリブロモフェノール(CAS番号118−79−6);または臭素化オリゴスチレンもしくはポリスチレン(例えば、Ferro Corporation製のPyro−ChekTM 68PB;Chemtura製のPDBS 80およびFiremasterTM PBS−64HWおよび2,4,6−トリス−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(CAS:25713−60−4)(例えば、ICL製のFR245、または第一工業製薬株式会社から入手可能なPYROGUARD SR−245)および1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン(CAS:84852−53−9)(例えば、Chemtura製のFiremaster 2100、またはAlbemarle製のSaytex 8010)が挙げられる。
【0062】
記載されている臭素化化合物の混合物も同様に好適である。
【0063】
本発明との関連で特に好ましい臭素化難燃性化合物は、下記市販の製品である:
−臭素含量53.9%、溶融範囲210℃〜240℃、比重2.2g/mL(25℃において決定。)のChemtura製のテトラブロモビスフェノールAのフェノキシ末端カーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネートBC−52HPTM(CAS番号94334−64−2)、
−臭素含量82.27%、融点350℃、比重3.25(25℃において測定。)の1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタンSaytex 8010TM(CAS:84852−53−9)、および
−臭素含量67.37%、融点230℃、比重2.44g/mL(25℃において決定。)の2,4,6−トリス−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジンFR 245TM(CAS:25713−60−4)
【0064】
臭素化オリゴカーボネート、特にテトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネートベースの臭素化オリゴカーボネートが特に好ましい。
【0065】
本発明の組成物中の臭素含有化合物の割合は0.001wt.%〜1.000wt.%、好ましくは0.01wt.%〜0.80wt.%、特に好ましくは0.1wt.%〜0.6wt.%であり、組成物全体における臭素含量は100ppm〜1000ppm、好ましくは200ppm〜950ppm、特に好ましくは300ppm〜900ppm、最も好ましくは600ppm〜900ppmである。
【0066】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、好ましくはパウダーまたはブレンドとして、を更にアンチドリップ剤として成形組成物に添加してもよい。これらは様々な製品グレードで市販されている。それらとしては、添加剤、例えばHostaflonTMTF2021および更にPTFEブレンド、例えばMetablenTMA−3800(三菱レイヨン株式会社製、PTFE(CAS 9002−84−0)約40%およびメチルメタクリレート/ブチルアクリレートコポリマー(CAS 25852−37−3)約60%)またはBlendexTMB449(Chemtura製、PTFE約50%およびSAN[スチレン80%とアクリロニトリル20%とからなる。]約50%)が挙げられる。
【0067】
本発明との関連で、PTFEは、それぞれ組成物全体および純粋なPTFE含有物に対して0.05wt.%〜5.00wt.%、好ましくは0.1wt.%〜1.0wt.%、特に好ましくは0.1wt.%〜0.5wt.%の量で使用される。
【0068】
特に好ましい態様は、有機難燃性塩および臭素含有難燃添加剤を、組成物全体に対して重量部の合計で、1wt.%未満含み、有機難燃性塩は好ましくはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートである。
【0069】
組成物の製造:
【0070】
ポリカーボネートおよび難燃添加剤を含む組成物の製造を、常套の混合プロセスで行い、例えば難燃添加剤の溶液をポリカーボネートの溶液と共に、好適な溶媒、例えばジクロロメタン、ハロアルカン、ハロゲン芳香族化合物、クロロベンゼンおよびキシレン、中で混合することによって行われる。次に、上記物質の混合物を、好ましくは既知の方法で押出によって均質化する。上記溶液の混合物を、好ましくは既知の方法で溶媒の蒸発および次の押出によって処理する(例えば配合する。)。
【0071】
更に、上記組成物を、常套の混合デバイス中、例えば押出機(例えば二軸押出機)、配合機、ブラベンダーまたはバンバリーミルで混合し、次に押し出してもよい。押し出しに続いて、押出品を、冷却し、シュレッドしてもよい。更に、個々の成分を予備混合し、次に、残る出発材料を、個々におよび/または同様に混合物で、添加してもよい。
【0072】
本発明による組成物は、当業者に既知の方法で処理され、例えば、押出成形、射出成形または押出吹込成形によって、あらゆるタイプの成形品に転化されうる。
【0073】
本発明によるシートの製造では、ベース材料のポリカーボネートペレットをメインの押出機のフィードホッパーに供給し、共押出材料を共押出機(coextruder)のフィードホッパーに供給する。それぞれの材料を溶融し、それぞれのシリンダー/スクリュー可塑化システムに輸送する。上記2種類の材料溶融物は同時押出アダプター(coex adapter)において一緒にされ、ノズルを出て冷却された後、コンポジットを生じる。別の装置が、押出シートを輸送し、所定の長さに切断し、スタックする役割を果たす。
【0074】
共押出機を作動させないかまたは共押出機にメインの押出機と同じポリマー組成物を装填するかいずれかによって、共押出層を有さないシートを対応する方法で製造する。
【0075】
ポリカーボネートの吹込成形は、特にDE 102 29 594およびそこに挙げられている文献により詳細に記載されている。
【0076】
防炎性試験
【0077】
多くの様々な防炎性試験が知られている。今回のケースでは、プラスチックの耐燃性を、UL94V法(この方法に関しては、
(a)Underwriters Laboratories Inc.Standard of Safety,“Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”,14頁以降,ノースブルック1998年;
(b)J.Troitzsch,“International Plastics Flammability Handbook”,346頁以降,Hanser Verlag,ミュンヘン1990年
を参照。)によって決定する。
【0078】
ASTM規格試験片の燃焼時間およびドリップ挙動を評価する。
【0079】
防炎加工プラスチックが燃焼性評価UL94V−0を得るために、下記詳細な基準を満たさなければならない:1セットの5つのASTM規格試験片(寸法:127×12.7×Xmm、X=試験片の厚さ、例えば3.2mm、3.0mm、1.5mm、1.0mmまたは0.75mm)では、10秒間にわたって2回点火させた後、全てのサンプルが所定の高さの裸炎を伴って10秒以下燃焼し続けてもよい。5つのサンプルの10回の点火に対する燃焼時間の合計は50秒を超えてはならない。更に、いずれの燃焼材料も落下してはならず、試験片は完全に燃焼してはならず、試験片は30秒よりも長く赤熱し続けてはならない。評価UL94V−1は、個々の試験片が30秒以下燃焼し続け、5つのサンプルの10回の点火に対する燃焼時間の合計が250秒を超えないことを要求する。全ての赤熱時間は250秒を超えてはならない。別の基準は、上記基準と同じである。燃焼材料が落下すること以外UL94V−1の基準を満たす場合、UL94V−2の評価が与えられる。
【0080】
レオロジー特性:
【0081】
溶融流量(MFR、MVR)をASTM D1238 MVRに準拠して決定する。
【0082】
光学測定:
【0083】
ISO 13468に準拠して寸法60×40×4mmのシートに対して曇り度および透過率を測定した。
【0084】
黄色度指数(YI)を、ASTM E313に準拠して計算する。
【実施例】
【0085】
組成物の製造:
【0086】
本発明による組成物を、成分の計量添加ユニット、スクリュー径25mmの共回転二軸配合機(Werner&Pfleiderer製のZSK 25)、溶融ストランドを押し出すための穿孔ノズル、ストランドを冷却し、固化するためのウォーターバス、およびペレタイザーを備えるデバイス中で配合する。
【0087】
上記配合装置中での実施例1〜12の組成物の製造のために、下記成分を使用した:
【0088】
MakrolonTM 2408は、Bayer MaterialScience AGから商業的に入手可能なポリカーボネートである。MakrolonTM 2408は、EU/FDAグレードであり、紫外線吸収剤を含まない。ISO 1133に規定のメルト・ボリューム−フロー・レート(MVR)は、300℃において1.2kgの負荷のもとで19cm/(10分)である。
【0089】
IrganoxTM1076(CAS番号2082−79−3)は、Ciba AGから商業的に入手可能であり、フェノール系酸化防止剤の群に属する、単官能価の立体的に込み合ったフェノールである。
【0090】
IrgafosTMP−EPQ FF(CAS番号119345−01−6)は、Ciba AGから商業的に入手可能なホスフィナイトである。
【0091】
LoxiolTMVPG 861は、Cognis AGから商業的に入手可能なペンタエリトリトールテトラステアレートである。
【0092】
KSSは、Sloss Industriesから商業的に入手可能なカリウムジフェニルスルホンスルホネートである。
【0093】
C4、BayowetTMC4は、Lanxess AGから商業的に入手可能なカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートである。
【0094】
FR245は、ICL−IPから商業的に入手可能な2,4,6−トリス−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(CAS:25713−60−4)である。FR245は、臭素を67.37%含む。
【0095】
S8010、SaytexTM8010は、Albemarleから商業的に入手可能なビス(ペンタブロモフェニル)エタン(CAS:84852−53−9)である。製造業者の情報によると、SaytexTM8010は、臭素を82.27%含む。
【0096】
BC52、BC−52HPTMは、Chemturaから商業的に入手可能なフェノキシ末端テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマーである。製造業者の情報によると、BC−52 HPは、臭素を53.9%含む。
【0097】
Irganox 1076 0.01wt.%、Irgafos P−EPQ FF 0.04wt.%、PETS 0.4wt.%および実施例に記載されている量の本発明によるスルホン酸塩(KSS、C4)および臭素含有難燃添加剤の群の記載されている難燃添加剤を有するMakrolonTM2408パウダーのパウダーミックス10wt.%(すなわち、IrganoxTM1076 0.01wt.%、Irgafos P−EPQ FF 0.04wt.%、PETS 0.40wt.%および表に記載されている量の本発明によるスルホン酸塩(KSS、C4)および臭素含有難燃添加剤の群の記載されている難燃添加剤をMakrolonTM2408パウダーに添加して組成物全体の10.00wt.%を得る)をMakrolonTM2408ペレット90wt.%に添加することによって実施例1〜12のコンパウンドを製造して実施例に記載されている混合物(コンパウンド)を生じる(wt.%で示される数字は、足し合わせると100%になり、組成物全体の重量に対して示されている。)。
【0098】
次に、スクリュー径18mmのArburg Allrounder 270S−500−60を使用して実施例1〜12のコンパウンドを、防炎性測定用に寸法127×12.7×Dmm(D[mm単位の厚さ]=3.0および2.8)の試験片に加工し、光学測定用に60×40×4mmの試験片に加工する。
【0099】
【表1】

【0100】
防炎性試験を、UL 94 Vに準拠して行った。2セットの5UL試験片(全部で10UL試験片を試験する。)をUL94Vに準拠して測定した。一方のセットを50%相対湿度中23℃における48時間の貯蔵後に測定し、もう一方のセットを温風オーブン中70℃における7日間の貯蔵後に測定した。
【0101】
【表2】

【0102】
上記表から明らかなように、本発明の組成物2〜4、6〜8、10〜12は、少量の難燃剤を含むにもかかわらず、溶融流動性に悪影響を及ぼさずに特に小さい試験片厚において比較例1、5および9と比較して著しく改良された防炎性を示す。実施例2〜4および6〜8は、更に、YIの明確な改良も示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.ポリカーボネート、65.000〜99.998wt.%、
B.脂肪族および芳香族スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩およびそれらの混合物からなる群から選択される有機難燃性塩、0.001〜1.000wt.%、
C.1種類以上の臭素含有難燃性添加剤、0.001〜1.000wt.%
を含み、組成物全体が臭素を100ppm〜1000ppm含むことを特徴とする、難燃性組成物。
【請求項2】
ポリカーボネートの平均分子量Mが2000〜200,000g/mol、好ましくは3000〜150,000g/mol、特に5000〜100,000g/mol、より特に好ましくは10,000〜30,000g/mol、特別には10,000〜28,000g/molであり、とりわけ好ましくは平均分子量Mが12,000〜26,000g/molであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該有機難燃性塩が、ナトリウムまたはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネート、ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホン酸スルホネートおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
ナトリウムまたはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートおよびナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホン酸スルホネートの混合物が有機難燃性塩として使用されることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホン酸スルホネートおよびナトリウムまたはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートが3:1〜8:1、好ましくは4:1〜7:1、特に好ましくは約6:1の比で使用されることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
該臭素含有難燃添加剤が臭素化オリゴカーボネートであることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
該臭素含有難燃添加剤が好ましくはテトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネート(TBBOC)であることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
該臭素含有難燃添加剤が2,4,6−トリス−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(CAS:25713−60−4)、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン(CAS:84852−53−9)および/またはトリブロモフェノールであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
更にポリテトラフルオロエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンブレンドをアンチドリップ剤として含むことを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物全体における有機難燃性塩と臭素含有難燃添加剤との重量部の合計が1wt.%未満であり、該有機難燃性塩が好ましくはカリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネートであることを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えばポリアルキル(メタ)アクリレート、特にポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオレフィン、ハロゲン含有ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリシロキサン、ポリベンズイミダゾール、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル酸誘導体とのコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンまたはアクリレートゴムベースのグラフトコポリマーベースのグラフトポリマーおよびシリコーンゴムを包含する群から選択される少なくとも1種類の別のポリマー、を含むことを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
充填剤、紫外線安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、顔料、離型剤、流れ調節剤およびそれらの組み合わせを包含する群から選択される常套の添加剤を含むことを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を含む製品。
【請求項14】
電気/電子分野における、好ましくは射出成形によって製造される成形品、ランプハウジング、ブレーカー、プラグコネクタ、テレビもしくはモニターのハウジング、建築もしくは工業グレージングシステム用のシートの製造への、または鉄道車両および航空機の内部用クラッドとしての、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
(a)ポリカーボネートパウダーと、ペルフルオロ化スルホン酸塩の群の少なくとも1種類の難燃添加剤および少なくとも1種類の臭素含有難燃剤および要すれば常套の添加剤とからなるパウダーミックスを製造する工程、
(b)パウダーミックス(a)を別のポリカーボネート、好ましくはパウダーミックス(a)のポリカーボネートに一致するポリカーボネートに添加する工程、並びに
(c)工程(b)の混合物を280〜330℃の温度において押し出す工程
を包含する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の難燃性組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−46948(P2011−46948A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−191626(P2010−191626)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】