説明

改質装置、燃料電池システム、及び改質装置の運転方法

【課題】改質装置が停止している状態から起動する際に、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度まで昇温するのに要する時間を短縮することができる改質装置等を提供すること。
【解決手段】改質装置20は、改質用原料mを改質して水素に富む水素多含有ガスr1を生成する改質部21と、水素多含有ガスr1を導入し水素多含有ガスr1よりも一酸化炭素濃度が低い変成ガスr2を生成する変成部23と、変成ガスr2を導入し変成ガスr2よりも一酸化炭素濃度が低い改質ガスgを生成する選択酸化部25と、改質部21に隣接する部分、変成部23に隣接する部分、選択酸化部25に隣接する部分にこの順で熱媒体wを流す第1の熱媒体流路83とを備える。第1の熱媒体流路83に熱媒体wを流して改質部21の熱を変成部23及び選択酸化部25の少なくとも一方に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改質装置、燃料電池システム、及び改質装置の運転方法に関し、特に改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度まで昇温するのに要する時間を短縮することができる改質装置、燃料電池システム、及び改質装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素とを使用して、これらの電気化学的反応により発電する燃料電池は、環境に優しい発電装置として注目されている。燃料電池は発電に水素を必要とするが、水素自体を供給するインフラが普及していないことから入手が比較的困難であるため、都市ガスや灯油等の原料を改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質装置を燃料電池に併設することが多い。改質装置は、改質ガスとなる原料を導入して改質する改質部と、改質部で生成されたガス中の一酸化炭素濃度を段階的に低減する変成部及び選択酸化部と、改質部における改質に利用される改質熱を発生する加熱部とを有するのが一般的である。改質装置の改質部、変成部、選択酸化部は、それぞれ各部における反応に適した温度がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−210131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改質装置は、停止している状態(改質ガスを生成していない状態)の温度が典型的には周囲環境の温度(室温あるいは外気温)となっている。改質装置が停止している状態から起動する際、改質部は加熱部からの受熱があるため比較的短時間で昇温する。他方、変成部及び選択酸化部は、構成部材を介した改質部からの伝達熱あるいは変成部及び選択酸化部における反応の際に生じる熱により昇温するため、定常運転時の適切な温度まで昇温するのに相当の時間を要していた。
【0004】
本発明は上述の課題に鑑み、改質装置が停止している状態から起動する際に、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度まで昇温するのに要する時間を短縮することができる改質装置、この改質装置を備える燃料電池システム、及びこの改質装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る改質装置は、例えば図1に示すように、改質用原料mを導入し改質して水素に富む水素多含有ガスr1を生成する改質部21と;水素多含有ガスr1を導入し水素多含有ガスr1よりも一酸化炭素濃度が低い変成ガスr2を生成する変成部23と;変成ガスr2を導入し変成ガスr2よりも一酸化炭素濃度が低い改質ガスgを生成する選択酸化部25と;改質部21に隣接する部分、変成部23に隣接する部分、選択酸化部25に隣接する部分にこの順で熱媒体wを流す第1の熱媒体流路83とを備える。
【0006】
このように構成すると、改質部に隣接する部分、変成部に隣接する部分、選択酸化部に隣接する部分にこの順で熱媒体を流す第1の熱媒体流路を備えるので、改質装置が停止している状態から起動する際に、熱媒体によって改質部の熱を変成部及び選択酸化部に伝達することが可能になり、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度に昇温するのに要する時間を短縮することができる。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る改質装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る改質装置20において、選択酸化部25に隣接する部分、変成部23に隣接する部分、改質部21に隣接する部分にこの順で熱媒体wを流す第2の熱媒体流路83を備える。
【0008】
このように構成すると、選択酸化部の温度が定常運転時の適切な温度よりも高くなったときに、選択酸化部を熱媒体で冷却することができ、その反動として熱媒体を加熱することができる。
【0009】
また、本発明の第3の態様に係る改質装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第2の態様に係る改質装置20において、第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とが一つの流路83であって、時間の経過に従い第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とが切り替わるように構成されている。ここで、第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とが一つの流路であるとは、当該一つの流路が第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを兼ねることをいう。
【0010】
このように構成すると、熱媒体流路の設置スペースを小さくすることができ、改質装置をコンパクトにすることができる。
【0011】
また、本発明の第4の態様に係る改質装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第2の態様又は第3の態様に係る改質装置20において、改質部21に隣接する部分を通過した第2の熱媒体流路83を流れる熱媒体wを、改質部21に導く改質用水流路85を備え;熱媒体wが、改質用原料mを改質する際に用いられる改質用水sである。
【0012】
このように構成すると、改質部の熱を改質用水に与えることができる。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第5の態様に係る燃料電池システムは、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る改質装置20と;改質ガスgと酸素を含有する酸化剤ガスtとを導入して発電する燃料電池30とを備える。
【0014】
このように構成すると、燃料電池システムが停止している状態から起動するまでに要する時間を短縮することができる。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様に係る改質装置の運転方法は、例えば図1及び図3を参照して示すと、改質用原料mを導入し改質して水素に富む水素多含有ガスr1を生成する改質部21と、水素多含有ガスr1を導入し水素多含有ガスr1よりも一酸化炭素濃度が低い変成ガスr2を生成する変成部23と、変成ガスr2を導入し変成ガスr2よりも一酸化炭素濃度が低い改質ガスgを生成する選択酸化部25と、を有する改質装置20を運転する方法であって;改質部21の熱を変成部23及び選択酸化部25の少なくとも一方に移動させる熱移動工程(St1、St2)を備える。
【0016】
このように構成すると、改質装置が停止している状態から起動する際に、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度に昇温するのに要する時間を短縮することができる。
【0017】
また、本発明の第7の態様に係る改質装置の運転方法は、例えば図1及び図3を参照して示すと、上記本発明の6の態様に係る改質装置の運転方法において、変成部23及び選択酸化部25の少なくとも一方を冷却する冷却工程(St3、St4)を備える。
【0018】
このように構成すると、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度に維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、改質装置が停止している状態から起動する際に、熱媒体によって改質部の熱を変成部及び選択酸化部に伝達することが可能になり、改質部、変成部、選択酸化部を定常運転時の適切な温度に昇温するのに要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず図1を参照して本発明の実施の形態に係る改質装置20の構成について説明する。図1は、改質装置20の模式的系統図である。改質装置20は、改質部21と、変成部23と、選択酸化部25と、加熱部26と、第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを兼ねる加熱冷却流路83と、改質用水流路を形成する改質用水管85と、改質装置20の運転を制御する制御装置38とを備えている。改質部21と変成部23とは水素多含有ガス流路22を介して接続されることにより互いに連通している。水素多含有ガス流路22は典型的には配管であるが、両部分21、23の開口部が直接接続されることにより形成されていてもよい。変成部23と選択酸化部25とは変成ガス流路24を介して接続されることにより互いに連通している。変成ガス流路24は典型的には配管であるが、両部分23、25の開口部が直接接続されることにより形成されていてもよい。
【0022】
改質部21は、改質用原料mと改質用水としての水蒸気sとを導入し、水蒸気改質反応により、改質用原料mを水素に富む水素多含有ガスr1に改質する。水素に富む水素多含有ガスr1とは、水素を主成分とするガスであり、水素を40体積%以上、典型的には70〜80体積%程度含んだ、燃料電池30(図2参照)に供給するガスである。水素多含有ガスr1中の水素濃度は80体積%以上でもよく、すなわち燃料電池30(図2参照)に供給したときに酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電可能な濃度であればよい。水素多含有ガスr1には、典型的には、一酸化炭素が10体積%程度含まれている。改質用原料mは、典型的には、メタン、エタン等の鎖式炭化水素(天然ガスも含む)、あるいはメタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ、LPG等)等の炭化水素を主成分とする炭化水素系の燃料である。改質部21には改質触媒(不図示)が充填されており、水蒸気改質反応を促進させるように構成されている。改質触媒は、典型的には、ニッケル系改質触媒やルテニウム系改質触媒が用いられる。また、改質部21には、改質用原料mを導入する原料導入管41が接続されている。原料導入管41には、改質用原料mが液体である場合に気化させる気化器(不図示)が配設されている。改質部21の定常運転時の適正温度は、本実施の形態では約680℃〜750℃である。改質部21には、内部の温度を検出する改質部温度センサ21tが配設されている。改質部温度センサ21tは制御装置38と信号ケーブルで接続されており、検出した改質部21内の温度を信号として制御装置38に送信することができるように構成されている。
【0023】
変成部23は、改質部21から水素多含有ガスr1を導入し、水素多含有ガスr1に含まれる一酸化炭素を、同じく水素多含有ガスr1に含まれる水分と変成反応させて、二酸化炭素と水素とを生成することにより水素多含有ガスr1から一酸化炭素濃度が低減した変成ガスr2を生成する。変成反応は発熱反応である。変成部23には、変成触媒(不図示)が充填されており、変成反応を促進させるように構成されている。変成触媒は、典型的には、鉄−クロム系変成触媒、銅−亜鉛系変成触媒、白金系変成触媒等が用いられる。変成部23で生成される変成ガスr2は、典型的には一酸化炭素濃度が5000〜10000ppm程度に低減されている。変成部23の定常運転時の適正温度は、本実施の形態では約180℃〜250℃である。変成部23には、内部の温度を検出する変成部温度センサ23tが配設されている。変成部温度センサ23tは制御装置38と信号ケーブルで接続されており、検出した変成部23内の温度を信号として制御装置38に送信することができるように構成されている。
【0024】
選択酸化部25は、変成部23から変成ガスr2を導入し、系外から空気a(以下「選択酸化空気a」という。)を導入することにより酸素を導入して、変成ガスr2中に残存した一酸化炭素と導入した酸素との選択酸化反応により、変成ガスr2からさらに一酸化炭素濃度が低減した改質ガスgを生成する。選択酸化反応は発熱反応である。選択酸化部25には、選択酸化触媒(不図示)が充填されている。選択酸化触媒は、典型的には、白金系選択酸化触媒、ルテニウム系選択酸化触媒、白金−ルテニウム系選択酸化触媒等が用いられる。また、選択酸化部25には、選択酸化空気aを導入するための選択酸化空気管43が接続されている。選択酸化空気管43には選択酸化空気ブロワ13が配設されている。選択酸化空気ブロワ13は制御装置38と信号ケーブルで接続されており、制御装置38から信号を受信して選択酸化部25への選択酸化空気aの導入量を調節することができるように構成されている。選択酸化部25の定常運転時の適正温度は、本実施の形態では約130℃〜160℃である。選択酸化部25には、内部の温度を検出する選択酸化部温度センサ25tが配設されている。選択酸化部温度センサ25tは制御装置38と信号ケーブルで接続されており、検出した選択酸化部25内の温度を信号として制御装置38に送信することができるように構成されている。また、選択酸化部25には、改質ガスgを導出する改質ガス管51が接続されている。定常運転時に改質ガス管51から導出される改質ガスgは、典型的には水素を75%程度含むガスであり、改質ガスg中の一酸化炭素濃度はおよそ10ppm以下程度である。
【0025】
加熱部26は、典型的には、バーナー(不図示)を有しており、燃焼用燃料(不図示)、アノードオフガスp、改質ガスgのうちの1種類あるいは2種類以上と、燃焼用空気(不図示)とを導入し、燃焼用燃料等を燃焼させて改質熱を発生する。ここで、アノードオフガスpとは、燃料電池30(図2参照)から排出されるガスであって燃料電池30における電気化学反応に使われなかった水素を含んでいるガスである。また燃焼用燃料は、典型的には、改質用原料mと同じものが利用されるが異なる種類の燃料であってもよい。加熱部26は、改質に利用する熱を改質部21に与えることができる程度に改質部21の近くに配設されており、好ましくは改質部21をその中央に空間が形成されるように竹輪状に形成した上で中央の空間内に配設されるようにすると、効果的に改質部21に改質熱を伝えることができる。燃料を燃焼して生じた燃焼排ガスeを系外に排出する流路として、燃焼排ガス管88が加熱部26に接続されている。燃焼排ガス管88は、改質部21及び変成部23に近接して配置された後に系外に導かれるように配設されている。
【0026】
また加熱部26には、燃焼用燃料(不図示)を導入する燃焼用燃料導入管(不図示)、及びアノードオフガスp及び改質ガスgを導入するアノードオフガス管52が接続されている。変成部23に近接した部分よりも系外側の燃焼排ガス管88とアノードオフガス管52とには、燃焼排ガスeとアノードオフガスp又は改質ガスgとの間における熱交換を可能にする第1燃焼排ガス熱交換器29Aが挿入配置されている。
【0027】
加熱冷却流路83は、内部に熱媒体wを流す流路である。加熱冷却流路83は、改質部21に隣接する部分を通り、次に変成部23に隣接する部分を通り、次に選択酸化部25に隣接する部分を通るように配設されている。ここで「隣接する」とは、当該隣接する部位(改質部21等)と加熱冷却流路83内の熱媒体wとの間で熱の授受がある程度の近さで両者が配置されていることをいう。加熱冷却流路83は、当該隣接する部位と熱媒体wとの交換熱量を増やすために(流路面積を大きくするために)、典型的には、改質部21、変成部23、選択酸化部25の各触媒層の周りを囲むように形成されたジャケット(熱交換器)構造により構成されている。なお、加熱冷却流路83は、配管で構成されることとし、配管を当該部位と隣接する部分で蛇行するように配設してもよい。交換熱量の増加という趣旨に鑑み、加熱冷却流路83を例えば渦巻状に配設することも蛇行の概念に含まれることとする。
【0028】
改質部21に隣接する部分と変成部23に隣接する部分との間の加熱冷却流路83と、水素多含有ガス流路22とには、熱媒体wと水素多含有ガスr1との間における熱交換を可能にする水素多含有ガス熱交換器27が挿入配置されている。また、変成部23に隣接する部分と選択酸化部25に隣接する部分との間の加熱冷却流路83と、変成ガス流路24とには、熱媒体wと変成ガスr2との間における熱交換を可能にする変成ガス熱交換器28が挿入配置されている。
【0029】
加熱冷却流路83の、改質部21に隣接して配設された部分から変成部23への方向とは逆の方向に延びた先の端部は、改質用水sを改質部21に導く改質用水管85に接続されている。換言すれば、加熱冷却流路83と改質用水管85とは、接続点J1で接続されている。改質用水管85の接続点J1とは反対側の端部は、原料導入管41(典型的には原料導入管41に配設された気化器(不図示))に接続されている。
【0030】
また、接続点J1には、内部に熱媒体wを流す加熱水導入管82が接続されている。加熱水導入管82は、接続点J1とは反対側の端部で、加熱冷却流路83の選択酸化部25に隣接して配設された部分から変成部23への方向とは逆の方向に延びた先の端部と接続されている。換言すれば、加熱水導入管82と加熱冷却流路83とは、接続点J2で接続されている。加熱水導入管82には、熱媒体wの流れを遮断可能な開閉弁82vが挿入配置されている。接続点J2と選択酸化部25に隣接する部分との間の加熱冷却流路83には、熱媒体wの流れを遮断可能な開閉弁83vが挿入配置されている。開閉弁82v及び開閉弁83vは、それぞれ制御装置38と信号ケーブルで接続されており、それぞれ制御装置38からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。
【0031】
また、接続点J2には、系外から加熱水導入管82及び加熱冷却流路83に熱媒体wを導く加熱冷却水導入管81が接続されている。加熱冷却水導入管81には熱媒体wを圧送する改質用水ポンプ14が挿入配置されている。改質用水ポンプ14は制御装置38と信号ケーブルで接続されており、制御装置38から信号を受信して加熱水導入管82又は加熱冷却流路83への熱媒体wの導入量を調節することができるように構成されている。改質用水ポンプ14と接続点J2との間の加熱冷却水導入管81と、燃焼排ガス管88とには、熱媒体wと燃焼排ガスeとの間における熱交換を可能にする第2燃焼排ガス熱交換器29Bが挿入配置されている。第2燃焼排ガス熱交換器29Bが改質用水ポンプ14の下流側に配設されていることで、第2燃焼排ガス熱交換器29B内が負圧になることを回避することができる。なお、系外から導入され、加熱冷却水導入管81内を流れる熱媒体wが蒸気の場合は改質用水ポンプ14を設けなくてもよい。
【0032】
選択酸化部25に隣接する部分と接続点J2との間の加熱冷却流路83には、熱媒体wを改質装置20外へ導出する加熱水導出管84が接続されている。加熱水導出管84には、熱媒体wの流れを遮断可能な開閉弁84vが挿入配置されている。開閉弁84vは、制御装置38と信号ケーブルで接続されており、制御装置38からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。また、接続点J1と開閉弁82vとの間の加熱水導入管82には、熱媒体wを改質装置20外へ導出する冷却水導出管86が接続されている。冷却水導出管86には、熱媒体wの流れを遮断可能な開閉弁86vが挿入配置されている。開閉弁86vは、制御装置38と信号ケーブルで接続されており、制御装置38からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。
【0033】
制御装置38は、改質装置20の運転を制御するように構成されている。制御装置38は、改質部温度センサ21t、変成部温度センサ23t、選択酸化部温度センサ25t、のそれぞれと信号ケーブルで接続されており、温度信号を受信する。また、制御装置38は、各開閉弁82v、83v、84v、86vのそれぞれに、弁を開又は閉にする開閉信号を送信する。なお、各開閉弁は制御装置38から受信する信号により弁の開度(全開及び全閉を含む)を調節することができるように構成されていてもよい。また、制御装置38は、選択酸化空気ブロワ13及び改質用水ポンプ14のそれぞれに、流体の流量を調節する流量調節信号を送信する。制御装置38による制御(改質装置20の作用)の説明は後述する。
【0034】
次に図2を参照して本発明の実施の形態に係る燃料電池システム10の構成について説明する。図2は、燃料電池システム10の模式的系統図である。燃料電池システム10は、これまでに説明した改質装置20と、水素と酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池30と、燃料電池システム10を制御する制御装置38とを備えている。本実施の形態では、燃料電池システム10を制御する制御装置と改質装置20を制御する制御装置とを共通のものとしているが、別々に構成してもよい。
【0035】
燃料電池30は、典型的には固体高分子型燃料電池である。燃料電池30は、改質ガスgを導入する燃料極と、酸化剤ガスtを導入する空気極と、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部とを含んで構成されている。酸化剤ガスtは、典型的には空気である。燃料電池30は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜を燃料極と空気極とで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部を介し複数枚積層して構成されている。燃料電池30では、燃料極に供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過して空気極に移動すると共に電子が燃料極と空気極とを結ぶ導線を通って空気極に移動して、空気極に供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応における、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。燃料電池30には、必要に応じて、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナー(不図示)が接続される。
【0036】
燃料電池30の燃料極と改質装置20の選択酸化部25(図1参照)とは、改質ガス管51を介して接続されている。改質ガス管51には改質ガス開閉弁61が挿入配置されている。また、燃料電池30の燃料極と改質装置20の加熱部26(図1参照)とは、アノードオフガス管52を介して接続され、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスpを加熱部26(図1参照)に導入することができるようになっている。アノードオフガス管52には、アノードオフガス開閉弁62が挿入配置されている。また、改質ガス開閉弁61の上流側の改質ガス管51と、アノードオフガス開閉弁62よりも下流のアノードオフガス管52とが、バイパス管53で接続されている。バイパス管53にはバイパス開閉弁63が挿入配置されている。燃料電池30の空気極には、酸化剤ガスtを導入する酸化剤ガス管54と、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった酸素を含むカソードオフガスqを排出するカソードオフガス管55とが接続されている。酸化剤ガス管54には酸化剤ガスtを圧送する酸化剤ガスブロワ18が挿入配置されている。酸化剤ガスブロワ18は、制御装置38からの指令(制御信号を含む)を受けて起動及び停止(回転速度が調節可能な場合は回転速度の調節を含む)が行なわれるように構成されている。また、各開閉弁61〜63は、それぞれ制御装置38と信号ケーブルで接続されており、それぞれ制御装置38から開閉信号を受信して弁の開度(全開及び全閉を含む)を調節することができるように構成されている。
【0037】
続いて改質装置20及びこれを備える燃料電池システム10の作用を説明する。
まず図3を参照し、また適宜図1及び図2を参照して、改質装置20の起動時の動作を説明する。図3は、改質装置20の起動時の動作を説明するフローチャートである。本発明に係る改質装置の起動時の動作の概要は以下のとおりである。
【0038】
改質装置20が停止している状態で、改質装置20の各部21、23、25の温度が周囲の環境温度(室内温度や外気温度)あるいはこれに近い温度となっている状態から改質装置20を起動する場合、まず、加熱部26のバーナーを着火すると共に熱媒体wを改質部21、変成部23、選択酸化部25に隣接する部分をこの順番で流す(熱移動工程:St1、St2)。改質部21は加熱部26から最も近い位置に配置されているので比較的短時間で目標温度(各部21、23、25の性能を一応発揮できる温度)に昇温する一方、変成部23及び選択酸化部25は加熱部26から離れているので短時間で目標温度まで昇温することが困難である。しかし、熱移動工程により熱媒体wを介して改質部21の熱を変成部23及び/又は選択酸化部25に伝達することで、変成部23及び選択酸化部25の温度が目標温度まで昇温するのに要する時間を短縮することができる。
【0039】
変成部23及び選択酸化部25が目標温度に達したら、熱媒体wの流れを逆転させて選択酸化部25、変成部23、改質部21に隣接する部分をこの順番で流す(冷却工程:St3、St4)。このように熱媒体wの流れを変えることで、変成部23及び選択酸化部25の温度が適正温度よりも上昇することを防ぐことができる。概要は以上のとおりであり、以下詳細に説明する。
【0040】
本実施の形態では、熱媒体w及び改質用水sを水としている。したがって、両者は物質としては同じものであるが、その機能に着目して、水が熱の媒体として作用しているときは熱媒体wと、改質用原料mの改質に用いる水として作用しているときは改質用水sと呼称している。改質装置20を起動すると、制御装置38は各開閉弁82v〜86vに信号を送信し、開閉弁83v、86vを閉にし、開閉弁82v、84vを開にする(St1)。また、制御装置38は、改質ガス開閉弁61(図2参照)及びバイパス開閉弁63(図2参照)に信号を送信し、改質ガス開閉弁61及びバイパス開閉弁63を閉にする。改質ガス開閉弁61及びバイパス開閉弁63を閉にすることで、熱媒体wが改質用水管85を介して改質部21に流入することを防いでいる。この各開閉弁の状態となったら、制御装置38は、加熱部26のバーナーを点火し(このとき加熱部26に燃焼用燃料が導入される。)、改質用水ポンプ14を起動する。すると、熱媒体wは、加熱冷却水導入管81、加熱水導入管82、加熱冷却流路83、加熱水導出管84の順に流れる(以下、この方向の熱媒体wの流れを「加熱方向」(図1中符号Hで示される方向)という。)。この流れの中で、熱媒体wは、改質部21に隣接した部分を流れる際に改質部21から熱を受け取り、変成部23に隣接した部分を流れる際に変成部23に熱を与え、また選択酸化部25に隣接する部分を流れる際に選択酸化部25に熱を与え、そのあと系外に導出される。この熱媒体wの熱の授受により、変成部23及び選択酸化部25が後述する目標温度に上昇するのに要する時間を、従来に比べて短縮することができる。この起動時間の短縮は、起動時に消費するエネルギーの減少にも寄与することとなる。なお、熱媒体wが加熱方向Hに流れるときの加熱冷却流路83は、本発明の第1の熱媒体流路を形成している。
【0041】
熱媒体wが加熱方向Hに流れているとき、制御装置38は、各温度センサ21t、23t、25tから温度信号を受信している。制御装置38は、改質部温度センサ21tからの温度信号に基づき、改質部21の温度が適正温度を超えないように加熱部26における燃焼量(典型的には燃焼用燃料の投入量)を制御する。さらに制御装置38は、変成部温度センサ23t及び選択酸化部温度センサ25tから温度信号を受信して、変成部23及び選択酸化部25の温度が目標温度に達したか否かを判断する(St2)。ここでの目標温度は、各部23、25の適正温度の下限温度(本実施の形態の場合、変成部23は180℃、選択酸化部25は130℃)あるいは適正温度の範囲内の温度としてもよく、適正温度の下限温度よりも低い温度であってもよい。上述のように変成部23及び選択酸化部25における反応は発熱反応であるので、改質用原料mが投入され、反応が開始されると熱が発生し、適正温度の下限温度よりも低い温度であっても両部23、25の温度が上昇して適正温度になるからである。この趣旨に鑑み、目標温度は両部23、25における反応が開始されたときに、この反応により速やかに適正温度になる温度とするのが好ましい。
【0042】
変成部23及び選択酸化部25の温度が目標温度に達したか否かを判断する工程(St2)において、目標温度に達していないときは熱媒体wの加熱方向Hの流れを維持する。目標温度に達したときは、制御装置38は、各開閉弁82v〜86vに信号を送信し、開閉弁83v、86vを開にし、開閉弁82v、84vを閉にする(St3)。すると、熱媒体wは、加熱冷却水導入管81、加熱冷却流路83、加熱水導入管82、冷却水導出管86の順に流れる(以下、この方向の熱媒体wの流れを「冷却方向」(図1中符号Cで示される方向)という。)。この流れの中で、熱媒体wは、選択酸化部25及び変成部23の温度が適正温度を超えないように冷却し、改質部21に隣接した部分を流れてから系外に導出される。この熱媒体wの流れにより、変成部23及び選択酸化部25の温度が適切な温度に維持される。なお、熱媒体wが冷却方向Cに流れるときの加熱冷却流路83は、本発明の第2の熱媒体流路を形成している。
【0043】
熱媒体wが冷却方向Cに流れているときも、制御装置38は各温度センサ21t、23t、25tから温度信号を受信している。制御装置38は、変成部温度センサ23t及び選択酸化部温度センサ25tからの温度信号に基づき、変成部23及び選択酸化部25の温度が適切な温度を維持するように改質用水ポンプ14の回転速度を調節して熱媒体wの流量を調節する。さらに制御装置38は、改質部温度センサ21tから温度信号を受信して、改質部21が所定の温度に達したか否かを判断する(St4)。ここでの所定の温度は、改質部21に改質用原料mを投入しうる温度(典型的には改質触媒が作用して改質用原料mの改質を行うことができる温度)である。改質部21が所定の温度に達していなければ熱媒体wの冷却方向Cの流れを維持し、変成部23及び選択酸化部25の適切な温度を維持しつつ加熱部26による改質部21の昇温を続ける。他方、改質部21が所定の温度に達した場合、制御装置38は、各開閉弁82v〜86v、63(図2参照)に信号を送信し、バイパス開閉弁63(図2参照)を開にし、開閉弁86vを閉にする(St5)。開閉弁83vは開のまま維持し、開閉弁82v、84v、改質ガス開閉弁61(図2参照)は閉のまま維持する。すると、熱媒体wは改質用水sとして改質用水管85を介して改質部21に導入され、以降は定常運転となる。
【0044】
改質用水sが改質部21に導入される頃には、各部21、23、25はほぼ適正温度となっている。このとき、改質用水s(熱媒体w)は、選択酸化部25に隣接する部分、変成部23に隣接する部分と流れるにしたがって昇温し、改質部21に隣接する部分を流れるときには蒸気となっている。ゆえに、本実施の形態では、加熱冷却水導入管81を流れるときは液体であった改質用水s(熱媒体w)が蒸気となって改質部21に導入される。以下、引き続き図1を参照して改質装置20の定常運転について説明する。
【0045】
改質部21に改質用水sが導入されると、同じく改質部21には改質用原料mが導入される。改質部21では、以下の(1)式に示すような水蒸気改質反応が行なわれ、改質用原料mが改質されて水素多含有ガスr1が生成される。
CH4+H2O→3H2+CO ・・・(1)
なお、本実施の形態では、改質用原料mにメタンを使用している。上述のように、水素多含有ガスr1には、水素が約75体積%程度、一酸化炭素が10体積%程度含まれており、その他水蒸気等の上記(1)式に示していないガスが含まれている。
【0046】
改質部21で生成された水素多含有ガスr1は、その後変成部23に送られる。水素多含有ガスr1が水素多含有ガス流路22を流れる際、水素多含有ガス熱交換器27において改質用水sとの間で熱交換が行なわれる。この熱交換で水素多含有ガスr1の温度が下がり、改質用水sの温度が上がることにより、変成部23の温度が適正範囲を超えることを抑制すると共に改質用水sの蒸気化を促進している。水素多含有ガスr1が変成部23に導入されると、変成触媒の作用により以下の(2)式に示すような水蒸気との変成反応が行なわれて、変成ガスr2が生成される。
CO+H2O→H2+CO2 ・・・(2)
変成反応の際、変成部23の温度は、約180℃〜250℃となる。変成反応は発熱反応であり、変成反応によって発生した熱は加熱冷却流路83を流れる改質用水sに授熱される。変成部23における変成反応により、変成ガスr2中の一酸化炭素濃度は、5000〜10000ppm程度にまで低減される。
【0047】
変成部23で生成された変成ガスr2は、その後選択酸化部25に送られる。変成ガスr2が変成ガス流路24を流れる際、変成ガス熱交換器28において改質用水sとの間で熱交換が行なわれる。この熱交換で変成ガスr2の温度が下がり、改質用水sの温度が上がることにより、選択酸化部25の温度が適正範囲を超えることを抑制すると共に改質用水sの蒸気化を促進している。選択酸化部25には、変成ガスr2の他に、選択酸化空気aが導入され、以下の(3)式に示すような選択酸化反応が行なわれて、改質ガスgが生成される。
2CO+O2→2CO2 ・・・(3)
選択酸化反応の際、選択酸化部25の温度は、約130℃〜160℃となる。選択酸化反応は発熱反応であり、選択酸化反応によって発生した熱は加熱冷却流路83を流れる改質用水sに授熱される。選択酸化部25における選択酸化反応により、改質ガスg中の一酸化炭素濃度は、10ppm以下程度となる。改質ガスg中の一酸化炭素濃度を10ppm以下程度とすることで、改質ガスgを燃料電池30(図2参照)に供給したときに燃料電池の電極触媒が被毒するのを防ぐことができる。選択酸化部25で生成された改質ガスgは、燃料電池30(図2参照)へ向けて、改質ガス管51から導出される。
【0048】
続いて図2を主に参照し、適宜図1を参照して燃料電池システム10の作用を説明する。改質装置20で生成された改質ガスgは、改質ガス管51を介して燃料電池30に向けて導出されるが、改質ガスgが生成され始めの頃は改質ガスgの組成が安定していないため、改質ガス開閉弁61及びアノードオフガス開閉弁62を閉にし、バイパス開閉弁63を開にして、組成が安定していない改質ガスgを燃料電池30に供給せずに改質装置20の加熱部26に導いて燃焼させる。改質装置20で生成される改質ガスgの組成が安定するようになると、制御装置38が改質ガス開閉弁61及びアノードオフガス開閉弁62を開に、バイパス開閉弁63を閉に切り替えて、改質ガスgが燃料電池30に導入されるようにする。これにより、燃料電池30の燃料極に改質ガスgが導入される。他方、制御装置38は、酸化剤ガスブロワ18を起動させ、燃料電池30の空気極に酸化剤ガスtを導入する。
【0049】
燃料電池30では燃料極に導入された改質ガスg中の水素と、空気極に導入された酸化剤ガスt中の酸素とによる電気化学的反応が行なわれる。電気化学的反応は、燃料極側では以下の(4)式に示す反応が行なわれ、空気極側では以下の(5)式に示す反応が行なわれる。
2H2 → 4H+ + 4e- ・・・(4)
2 + 4H+ + 4e- → 2H2O ・・・(5)
この電気化学的反応によって発電し、発熱すると共に水分が生成される。さらに説明を加えると、燃料極側の電子が外部電気回路を通って空気極側に移動する際に電力を得ることができる。燃料極側の水素イオンは固体高分子膜を通過して空気極側に移動し、酸素と結合して水分が発生する。この電気化学的反応は発熱反応である。
【0050】
燃料電池30によって得られる電力は直流電力であり、必要に応じてパワーコンディショナー(不図示)で交流電力に変換されて電力負荷(不図示)に送電される。他方、燃料電池30で発生する熱は、例えば貯湯タンク(不図示)に蓄えられ、必要に応じて給湯や暖房等の熱負荷において消費される。燃料電池30で発生した熱を有効利用することにより、燃料電池システム10の効率が向上することとなる。
【0051】
燃料電池30の燃料極からはアノードオフガスpが排出される。排出されたアノードオフガスpは、改質装置20に導かれ燃焼されて改質熱を発生するのに用いられる。他方、燃料電池30の空気極からはカソードオフガスqが排出され、カソードオフガス管55を介して系外に排出される。アノードオフガスp等が改質装置20の加熱部26における燃焼によって生じた燃焼排ガスeは燃焼排ガス管88を介して系外に排出される。燃焼排ガスeは、燃焼排ガス管88を介して系外に排出される過程で、まず第1燃焼排ガス熱交換器29Aにおいてアノードオフガスp(起動初期は改質ガスg)との間で熱交換が行なわれ、次いで第2燃焼排ガス熱交換器29Bにおいて改質用水s(熱媒体w)との間で熱交換が行なわれる。第1燃焼排ガス熱交換器29Aでは、熱交換により燃焼排ガスeの温度が下がり、アノードオフガスpの温度が上がることにより、排熱を利用してアノードオフガスpの着火温度に近づけることができる。第2燃焼排ガス熱交換器29Bでは、熱交換により燃焼排ガスeの温度がさらに下がり、改質用水sの温度が上ることにより、熱公害の発生が抑制されると共に改質用水sの蒸気化が促進される。
【0052】
以上の説明では、加熱冷却流路83が第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを兼ねることとしたが、各々別個に設けるようにしてもよい。第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを別個の管で形成した場合は、開閉弁の数を減らすことができる。しかしながら第1の熱媒体流路と第2の熱媒体流路とを一つの管で兼用すると、改質装置20をコンパクトにすることができ、設置場所の自由度が向上することとなる。
【0053】
以上の説明では、改質装置20は改質部温度センサ21t、変成部温度センサ23t、選択酸化部温度センサ25tを有し、検出した温度により熱媒体w(改質用水s)の流れをフィードバック制御することとしたが、各温度センサ21t、23t、25tを有さずに熱媒体wの流れをシーケンス制御(例えば起動からの経過時間に応じて熱媒体wの流れ方向を変える等。)することとしてもよい。各温度センサ21t、23t、25tを用いなければコストダウンを図ることができる。しかしながら、各温度センサ21t、23t、25tを用いてフィードバック制御とすると、周囲環境温度の変化等の外乱が生じた場合でもそのときの改質装置20の状態に応じた適切な制御を行うことができ、効率よい熱収支が可能になる。
【0054】
以上の説明では、燃料電池30が固体高分子型燃料電池であるとして説明したが、りん酸型燃料電池等の固体高分子型燃料電池以外の燃料電池であってもよい。しかしながら、固体高分子型燃料電池とすると、比較的低温で運転することができ、装置を小型化できるので、一般家庭等に設置するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る改質装置の模式的系統図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの模式的系統図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る改質装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10 燃料電池システム
20 改質装置
21 改質部
23 変成部
25 選択酸化部
30 燃料電池
83 第1、第2の熱媒体流路
85 改質用水流路
g 改質ガス
m 改質用原料
r1 水素多含有ガス
r2 変成ガス
w 熱媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質用原料を導入し改質して水素に富む水素多含有ガスを生成する改質部と;
前記水素多含有ガスを導入し前記水素多含有ガスよりも一酸化炭素濃度が低い変成ガスを生成する変成部と;
前記変成ガスを導入し前記変成ガスよりも一酸化炭素濃度が低い改質ガスを生成する選択酸化部と;
前記改質部に隣接する部分、前記変成部に隣接する部分、前記選択酸化部に隣接する部分にこの順で熱媒体を流す第1の熱媒体流路とを備える;
改質装置。
【請求項2】
前記選択酸化部に隣接する部分、前記変成部に隣接する部分、前記改質部に隣接する部分にこの順で熱媒体を流す第2の熱媒体流路を備える;
請求項1に記載の改質装置。
【請求項3】
前記第1の熱媒体流路と前記第2の熱媒体流路とが一つの流路であって、時間の経過に従い前記第1の熱媒体流路と前記第2の熱媒体流路とが切り替わるように構成された;
請求項2に記載の改質装置。
【請求項4】
前記改質部に隣接する部分を通過した前記第2の熱媒体流路を流れる前記熱媒体を、前記改質部に導く改質用水流路を備え;
前記熱媒体が、前記改質用原料を改質する際に用いられる改質用水である;
請求項2又は請求項3に記載の改質装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の改質装置と;
前記改質ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを導入して発電する燃料電池とを備える;
燃料電池システム。
【請求項6】
改質用原料を導入し改質して水素に富む水素多含有ガスを生成する改質部と、前記水素多含有ガスを導入し前記水素多含有ガスよりも一酸化炭素濃度が低い変成ガスを生成する変成部と、前記変成ガスを導入し前記変成ガスよりも一酸化炭素濃度が低い改質ガスを生成する選択酸化部と、を有する改質装置を運転する方法であって;
前記改質部の熱を前記変成部及び前記選択酸化部の少なくとも一方に移動させる熱移動工程を備える;
改質装置の運転方法。
【請求項7】
前記変成部及び前記選択酸化部の少なくとも一方を冷却する冷却工程を備える;
請求項6に記載の改質装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−51710(P2009−51710A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222079(P2007−222079)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(500561595)荏原バラード株式会社 (68)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】