説明

放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法

【課題】放射線治療装置の製造コストの低減。
【解決手段】撮像装置を位置53,54に移動して、その撮像装置を用いて、第1照射装置から曝射される放射線に基づいて透視画像を撮影するステップと撮像装置を位置53,54に移動して、その撮像装置を用いて、第2照射装置から曝射される放射線に基づいて透視画像を撮影するステップとを備えている。このような放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置は、第1照射装置から曝射される第1放射線を用いて透視画像を撮影する撮像装置と第2照射装置から曝射される放射線24を用いて透視画像を撮影する撮像装置とを別個に備える必要がなく、より安価に作製されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法に関し、特に、人体内部の腫瘍患部を放射線治療するときに利用される放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影対象の回りを回転する線源からその撮影対象に照射される円錐状(コーン状)のX線を用いて撮影される複数の透視画像に基づいて、その撮影対象の三次元CTデータを再構成するCBCT(Cone Beam Computed Tomography)が知られている。このようなCBCTは、その線源を複数回の回転させることなく、その三次元CTデータを短時間に作成することができる。より適切な視野を示す三次元CTデータを作成することが望まれている。
【0003】
腫瘍患部に治療用放射線を曝射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療を実行する放射線治療装置は、カウチに横臥する患者の透視画像を撮像するイメージャシステムと、その患者に治療用放射線を曝射する治療用放射線照射装置とを備えている。その放射線治療装置は、製造コストがより安いことが望まれ、長寿命であることが望まれている。
【0004】
「DEVELOPMENT OF A FOUR−DIMENSIONAL IMAGE−GUIDED RADIOTHERAPY SYSTEM WITH A GIMBALED X−RAY HEAD」には、EPID(Electronic Portal Imaging Device)を用いて治療ビームにより腫瘍の位置を確認する技術が開示されている。
【0005】
特表2003−522576号公報には、物体の回りを回転しながらその物体を通過したX線ビームにより透視画像を撮影する平坦パネル画像器を備え、その透視画像に基づいて三次元CTデータを再構成するコーンビームコンピュータ断層撮像システムが開示されている。そのコーンビームコンピュータ断層撮像システムは、さらに、そのX線ビームを発射するX線ソースに対するその平坦パネル画像器の位置を変化させることにより、その三次元CTデータの視野の大きさを変化させることができる。
【0006】
特許第3785136号公報には、被検体に対して放射線治療がなされた後の治療計画を容易にすることのできる放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、治療用放射線を照射する放射線照射ヘッドと、前記放射線照射ヘッドからの前記治療用放射線が照射される被検体の患部の画像を生成する画像処理部と、前記画像の生成と前記治療用放射線の照射を含む周期を繰り返すように、また、第1周期の前記治療用放射線の照射前に、前記第1周期の次の第2周期における診断用X線を用いる前記画像の撮像が終了し、第1周期の前記治療用放射線の照射の間に前記撮像された画像の処理を終了して前記患部の画像が生成されるように、前記放射線照射ヘッドと前記画像処理部とを制御する制御部とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2003−522576号公報
【特許文献2】特許第3785136号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kamino Y, Takayama K, Kokubo M, et al.,DEVELOPMENT OF A FOUR−DIMENSIONAL IMAGE−GUIDED RADIOTHERAPY SYSTEM WITH A GIMBALED X−RAY HEAD. Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.,Vol.66,No.1,pp.271−278,2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、放射線治療装置の製造コストをより低減する放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、適切な視野の三次元データを再構成する放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、放射線治療装置の寿命を延長させる放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されるように、ガントリ(3)に対して撮像装置(28)を移動させる撮像装置駆動装置(29)を制御する第1撮影部(76)と、撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されるように、撮像装置駆動装置(29)を制御する第2撮影部(77)とを備えている。撮像装置(28)は、撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されているときに、ガントリ(3)に支持される第1照射装置(26)が曝射する第1放射線(32)のうちの所定位置(14)を通過した第1透過放射線を受光して、その第1透過放射線を用いて第1透視画像を撮像する。撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されているときに、ガントリ(3)に支持される第2照射装置(6)が曝射する第2放射線(24)のうちの所定位置(14)を通過した第2透過放射線を受光して、その第2透過放射線を用いて第2透視画像を撮像する。このような放射線治療装置制御装置(10)によれば、放射線治療装置(1)は、第2照射装置(6)から曝射される第2放射線(24)を用いて透視画像を撮影する撮像装置(28)と第1照射装置(26)から曝射される第1放射線(32)を用いて透視画像を撮影する撮像装置(28)とを別個に備える必要がなく、より安価に作製されることができる。
【0012】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、ガントリ(3)に対する第1再構成用位置(53)に撮像装置(28)が配置されるように、撮像装置駆動装置(29)を制御する第1再構成用画像撮影部(71)と、撮像装置(28)が第1再構成用位置(53)に配置されているときに撮像装置(28)により第1放射線(32)を用いて撮像された複数の第1透視画像に基づいて、第1三次元データを再構成する第1再構成部(72)と、ガントリ(3)に対する第2再構成用位置(54)に撮像装置(28)が配置されるように、撮像装置駆動装置(29)を制御する第2再構成用画像撮影部(73)と、撮像装置(28)が第2再構成用位置(54)に配置されているときに撮像装置(28)により撮像された複数の第2透視画像に基づいて、第2三次元データを再構成する第2再構成部(74)とを備えている。ガントリ(3)は、リング(2)に対して回転軸(12)を中心に回転する。その複数の第1再構成用透視画像は、リング(2)に対して互いに異なる複数の第1ガントリ角度にガントリ(3)が配置されたときにそれぞれ撮影された画像である。その複数の第2再構成用透視画像は、リング(2)に対して互いに異なる複数の第2ガントリ角度にガントリ(3)が配置されたときにそれぞれ撮影された画像である。第1再構成用位置(53)と第2再構成用位置(54)は、その複数の第1再構成用透視画像に回転軸(12)が映し出される位置が、その複数の第2再構成用透視画像に回転軸(12)が映し出される位置と異なるように、設定される。このような放射線治療装置制御装置(10)は、第1再構成用位置(53)と第2再構成用位置(54)とを適切に設定することにより、その第2三次元データの視野をその第1三次元データの視野より大きくすることができ、その複数の第1再構成用透視画像を撮影する時間をその複数の第2再構成用透視画像を撮影する時間より短縮することができる。このような放射線治療装置制御装置(10)は、このような第1三次元データと第2三次元データとの両方を作成することができ、その第1三次元データと第2三次元データとのうちの適宜選択された一方のみを作成することができる。
【0013】
撮像装置駆動装置(29)は、ガントリ(3)に対して回転軸(12)を中心に撮像装置(28)を回転させる周方向駆動装置(42)と、ガントリ(3)に対して回転軸(12)に垂直である半径方向に平行移動させる半径方向駆動装置(43)とを備えている。このような放射線治療装置制御装置(10)によれば、撮像装置(28)は、第2照射装置(6)から発射される第2放射線(24)を用いた撮影に適切なその半径方向の位置が第1照射装置(26)から発射される第1放射線(32)を用いた撮影に適切なその半径方向の位置と異なる場合でも、その撮影に適切な位置に配置されることができ、透視画像をより適切に撮影することができる。
【0014】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、第2照射装置(6)が治療用放射線(24)を被検体(35)に曝射するように、第2照射装置(6)を制御する放射線治療部(80)をさらに備えている。放射線治療部(80)は、さらに、治療用放射線(24)が被検体(35)に曝射されるときに、撮像装置(28)が退避位置(52,53,54)に配置されるように撮像装置駆動装置(29)を制御する。退避位置(52,53,54)は、撮像装置(28)が退避位置(52,53,54)に配置されているときに撮像装置(28)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量が、撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されているときに撮像装置(28)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量より小さくなるように、設定される。このような放射線治療装置制御装置(10)は、撮像装置(28)が被曝する治療用放射線(24)の被曝量を低減することができ、撮像装置(28)の寿命を延長させることができる。
【0015】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、ガントリ(3)に支持される第3照射装置(25)が曝射する放射線(31)のうちの所定位置(14)を通過した放射線により第3透視画像を撮像するように、ガントリ(3)に支持される他の撮像装置(27)を制御するステレオ視画像撮像部(79)をさらに備えている。放射線治療部(80)は、撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されているときに撮像装置(28)により撮像された第1ステレオ視画像と他の撮像装置(27)により撮像された第2ステレオ視画像とに基づいて、ガントリ(3)に対して第2照射装置(6)を移動させるジンバル装置(23)を制御する。このような放射線治療装置制御装置(10)によれば、互いに異なる2方向から撮影されるその第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とを概ね同時に撮影することができきる。このため、このような放射線治療装置制御装置(10)によれば、その第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とに基づいて被検体(35)のうちの運動する部位の位置をより高精度に算出することができ、その部位に治療用放射線(24)をより高精度に曝射することができる。
【0016】
本発明による放射線治療装置制御方法は、放射線を受光することにより透視画像を撮像する撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されるように、ガントリ(3)に支持される第1照射装置(26)から第1放射線(32)が曝射される前に、ガントリ(3)に対して撮像装置(28)を移動させる撮像装置駆動装置(29)を制御するステップと、撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されるように、ガントリ(3)に支持される第2照射装置(6)から第2放射線(24)が曝射される前に、撮像装置駆動装置(29)を制御するステップとを備えている。第1放射線(32)のうちの所定位置(14)を通過した第1透過放射線は、撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されているときに、撮像装置(28)に受光される。第2放射線(24)のうちの所定位置(14)を通過した第2透過放射線は、撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されているときに、撮像装置(28)に受光される。このような放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置(1)は、第2照射装置(6)から曝射される第2放射線(24)を用いて透視画像を撮影する撮像装置(28)と第1照射装置(26)から曝射される第1放射線(32)を用いて透視画像を撮影する撮像装置(28)とを別個に備える必要がなく、より安価に作製されることができる。
【0017】
本発明による放射線治療装置制御方法は、リング(2)に対して回転軸(12)を中心にガントリ(3)を回転させるステップと、ガントリ(3)に対する第1再構成用位置(53)に撮像装置(28)が配置されるように、撮像装置駆動装置(29)を制御するステップと、撮像装置(28)が第1再構成用位置(53)に配置されているときに第1照射装置(26)から曝射される放射線(32)を用いて撮影された複数の第1再構成用透視画像に基づいて、第1三次元データを再構成するステップと、ガントリ(3)に対する第2再構成用位置(54)に撮像装置(28)が配置されるように、撮像装置駆動装置(29)を制御するステップと、撮像装置(28)が第2再構成用位置(54)に配置されているときに第2照射装置(6)から曝射される放射線(24)を用いて撮影された複数の第2再構成用透視画像に基づいて、第2三次元データを再構成するステップとを備えている。その複数の第1再構成用透視画像は、リング(2)に対して互いに異なる複数の第1ガントリ角度にガントリ(3)が配置されたときにそれぞれ撮影された画像である。その複数の第2再構成用透視画像は、リング(2)に対して互いに異なる複数の第2ガントリ角度にガントリ(3)が配置されたときにそれぞれ撮影された画像である。第1再構成用位置(53)と第2再構成用位置(54)は、その複数の第1再構成用透視画像に回転軸(12)が映し出される位置が、その複数の第2再構成用透視画像に回転軸(12)が映し出される位置と異なるように、設定される。このような放射線治療装置制御方法によれば、第1再構成用位置(53)と第2再構成用位置(54)とを適切に設定することにより、その第2三次元データの視野をその第1三次元データの視野より大きくすることができ、その複数の第1再構成用透視画像を撮影する時間をその複数の第2再構成用透視画像を撮影する時間より短縮することができる。このような放射線治療装置制御方法によれば、このような第1三次元データと第2三次元データとの両方を作成することができ、その第1三次元データと第2三次元データとのうちの適宜選択された一方のみを作成することができる。
【0018】
撮像装置駆動装置(29)は、ガントリ(3)に対して回転軸(12)を中心に撮像装置(28)を回転させる周方向駆動装置(42)と、ガントリ(3)に対して回転軸(12)に垂直である半径方向に平行移動させる半径方向駆動装置(43)とを備えている。このような放射線治療装置制御方法によれば、撮像装置(28)は、治療用照射装置(6)から発射される放射線を用いた撮影に適切なその半径方向の位置がその診断用照射装置から発射される放射線を用いた撮影に適切なその半径方向の位置と異なる場合でも、その撮影に適切な位置に配置されることができ、透視画像をより適切に撮影することができる。
【0019】
本発明による放射線治療装置制御方法は、ガントリ(3)に対する退避位置(52,53,54)に撮像装置(28)を移動させるように、第2照射装置(6)が治療用放射線(24)を曝射する前に、撮像装置駆動装置(29)を制御するステップをさらに備えている。退避位置(52,53,54)は、撮像装置(28)が退避位置(52,53,54)に配置されているときに撮像装置(28)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量が、撮像装置(28)が第2位置(51)に配置されているときに撮像装置(28)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量より小さくなるように、設定される。このような放射線治療装置制御方法は、撮像装置(28)が被曝する放射線の被曝量を低減することができ、撮像装置(28)の寿命を延長させることができる。
【0020】
本発明による放射線治療装置制御方法は、第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とに基づいて照射位置を算出するステップと、治療用放射線(24)が曝射される前に、ガントリ(3)に対して第2照射装置(6)を移動させるジンバル装置(23)をその照射位置に基づいて制御するステップを備えている。ガントリ(3)は、第3放射線(31)を曝射する第3照射装置(25)と、第3放射線(31)のうちの所定位置(14)を通過した放射線を受光することにより透視画像を撮像する他の撮像装置(27)とをさらに支持する。その第1ステレオ視画像は、撮像装置(28)が第1位置(53,54)に配置されているときに、撮像装置(28)により撮像された透視画像である。その第2ステレオ視画像は、他の撮像装置(27)により撮像された透視画像である。このような放射線治療装置制御方法によれば、互いに異なる2方向から撮影されるその第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とを概ね同時に撮影することができきる。このため、このような放射線治療装置制御方法によれば、その第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とに基づいて被検体(35)のうちの運動する部位の位置をより高精度に算出することができ、その部位に治療用放射線(24)をより高精度に曝射することができる。
【0021】
本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による放射線治療装置制御方法をコンピュータ(10)に実行させるためのものである。
【0022】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、治療用照射装置(6)が治療用放射線(24)を所定位置(14)に曝射するように、治療用照射装置(6)を制御する放射線治療部(80)と、治療用照射装置(6)が撮影用放射線(24)を所定位置(14)に曝射するときに、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されるように、撮像装置(28)(63)を移動させる撮像装置駆動装置(29)(64)を制御する撮影部(77)とを備えている。放射線治療部(80)は、治療用放射線(24)を曝射するときに、撮像装置(28)(63)が退避位置(52,53,54)に配置されるように、撮像装置駆動装置(29)(64)を制御する。撮像装置(28)(63)は、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されているときに、撮影用放射線(24)のうちの所定位置(14)を通過した透過放射線を受光して、その透過放射線を用いて透視画像を撮像する。退避位置(52,53,54)は、撮像装置(28)(63)が退避位置(52,53,54)に配置されているときに撮像装置(28)(63)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量が、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されているときに撮像装置(28)(63)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量より小さくなるように、設定される。このような放射線治療装置制御装置(10)は、治療用放射線(24)が曝射されるときに撮像装置(28)(63)を撮影位置(51)に配置することに比較して、撮像装置(28)(63)が被曝する放射線(24)の被曝量を低減することができ、撮像装置(28)(63)の寿命を延長させることができる。
【0023】
本発明による放射線治療装置制御方法は、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されるように、治療用照射装置(6)が撮影用放射線(24)を所定位置(14)に曝射する前に、撮像装置(28)(63)を移動させる撮像装置駆動装置(29)(64)を制御するステップと、撮像装置(28)(63)が退避位置(52,53,54)に配置されるように、治療用照射装置(6)が治療用放射線(24)を所定位置(14)に曝射する前に、撮像装置駆動装置(29)(64)を制御するステップとを備えている。撮像装置(28)(63)は、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されているときに、撮影用放射線(24)のうちの所定位置(14)を通過した透過放射線を受光して、その透過放射線を用いて透視画像を撮像する。退避位置(52,53,54)は、撮像装置(28)(63)が退避位置(52,53,54)に配置されているときに撮像装置(28)(63)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量が、撮像装置(28)(63)が撮影位置(51)に配置されているときに撮像装置(28)(63)が治療用放射線(24)に被曝される被曝量より小さくなるように、設定される。このような放射線治療装置制御方法によれば、治療用放射線(24)が曝射されるときに撮像装置(28)(63)を撮影位置(51)に配置することに比較して、撮像装置(28)(63)が被曝する放射線(24)の被曝量を低減することができ、撮像装置(28)(63)の寿命を延長させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置は、2つの照射装置に対応する2つの撮像装置を別個に備える必要がなく、より安価に作製されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、放射線治療システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、撮像装置駆動装置を示す平面図である。
【図4】図4は、第2センサアレイが配置される複数の位置を示す平面図である。
【図5】図5は、放射線治療装置制御装置を示すブロック図である。
【図6】図6は、他の放射線治療装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、本発明による放射線治療装置制御装置の実施の形態を記載する。その放射線治療装置制御装置10は、図1に示されているように、放射線治療システムに適用されている。その放射線治療システムは、放射線治療装置1と放射線治療装置制御装置10とを備えている。放射線治療装置制御装置10は、双方向に情報を伝送することができるように、放射線治療装置1に接続されている。
【0027】
放射線治療装置1は、図2に示されているように、Oリング2と走行ガントリ3と治療用放射線照射装置6とを備えている。Oリング2は、リング状に形成され、リング回転軸11を中心に回転可能に基礎に支持されている。リング回転軸11は、鉛直方向に平行である。走行ガントリ3は、リング状に形成されている。走行ガントリ3は、Oリング2のリングの内側に配置され、ガントリ回転軸12を中心に回転可能にOリング2に支持されている。ガントリ回転軸12は、鉛直方向に垂直であり、アイソセンタ14でリング回転軸11と交差している。ガントリ回転軸12は、Oリング2に対して固定され、すなわち、Oリング2とともにリング回転軸11を中心に回転する。
【0028】
治療用放射線照射装置6は、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。治療用放射線照射装置6は、チルト軸16に回転可能に、かつ、パン軸17に回転可能に、走行ガントリ3に支持されている。チルト軸16は、パン軸17に直交している。チルト軸16とパン軸17との交点は、アイソセンタ14から1mだけ離れている。治療用放射線照射装置6は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、照射野が制御された治療用放射線24を出射する。治療用放射線24としては、加速電圧が8MVである電子線の制動放射により生成されるMV−X線が例示される。治療用放射線24は、治療用放射線照射装置6が有する仮想的点線源から出射され、その仮想的点線源を頂点とする円錐状のコーンビームである。その仮想的点線源は、チルト軸16とパン軸17との交点に配置されている。
【0029】
放射線治療装置1は、さらに、リング駆動装置21とジンバル装置23とを備え、図示されていないガントリ駆動装置を備えている。リング駆動装置21は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、リング回転軸11を中心にOリング2を回転させる。リング駆動装置21は、さらに、基礎に対してOリング2が配置されるリング角度を測定し、そのリング角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。そのガントリ駆動装置は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、ガントリ回転軸12を中心に走行ガントリ3を回転させる。そのガントリ駆動装置は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が配置されるガントリ角度を測定し、そのガントリ角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0030】
ジンバル装置23は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、チルト軸16を中心に治療用放射線照射装置6を回転させ、パン軸17を中心に治療用放射線照射装置6を回転させる。ジンバル装置23は、さらに、チルト軸16を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するチルト角を測定し、そのチルト角を放射線治療装置制御装置10に出力する。ジンバル装置23は、さらに、パン軸17を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するパン角を測定し、そのパン角を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0031】
治療用放射線24は、治療用放射線照射装置6が走行ガントリ3にこのように支持されることにより、治療用放射線照射装置6がアイソセンタ14に向くように走行ガントリ3に一旦固定されると、リング駆動装置21によりOリング2が回転されても、または、そのガントリ駆動装置により走行ガントリ3が回転されても、常に概ねアイソセンタ14に出射される。すなわち、放射線治療装置1は、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ14に向けて治療用放射線24の照射が可能になる。
【0032】
放射線治療装置1は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置1は、第1診断用放射線照射装置25と第2診断用放射線照射装置26と第1撮像装置27と第2撮像装置28と撮像装置駆動装置29とを備えている。第1診断用放射線照射装置25は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第1診断用放射線照射装置25を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用放射線照射装置26は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第2診断用放射線照射装置26を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用放射線照射装置26は、さらに、アイソセンタ14から第1診断用放射線照射装置25を結ぶ線分とアイソセンタ14から第2診断用放射線照射装置26を結ぶ線分とのなす角が直角(90度)になるように、配置されている。
【0033】
第1診断用放射線照射装置25は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第1診断用放射線31をアイソセンタ14に向けて出射する。第1診断用放射線31としては、加速電圧が100kVである電子線の制動放射により生成されるkV−X線が例示される。第1診断用放射線31は、第1診断用放射線照射装置25が有する仮想的点線源から出射され、その仮想的点線源を頂点とする円錐状のコーンビームである。第2診断用放射線照射装置26は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第2診断用放射線32をアイソセンタ14に向けて出射する。第2診断用放射線32としては、加速電圧が100kVである電子線の制動放射により生成されるkV−X線が例示される。第2診断用放射線32は、第2診断用放射線照射装置26が有する仮想的点線源から出射され、その仮想的点線源を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0034】
第1撮像装置27は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14を介して第1診断用放射線照射装置25に対向するように、配置されている。第2撮像装置28は、走行ガントリ3に対して移動可能に支持されている。撮像装置駆動装置29は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、走行ガントリ3に対して第2撮像装置28を移動させる。
【0035】
第1撮像装置27は、受光部を備えている。第1撮像装置27は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第1透視画像を生成する。第1撮像装置27としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。第2撮像装置28は、受光部を備えている。第2撮像装置28は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第2透視画像を生成する。第2撮像装置28としては、EPID(Electronic Portal Imaging Device)、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。その透視画像は、複数のピクセルから形成されている。その複数のピクセルは、その透視画像上にマトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。その透視画像は、その複数のピクセルの各々に対応する輝度がその複数のピクセルの各々に着色されることにより、被写体を映し出している。
【0036】
放射線治療装置1は、さらに、カウチ33とカウチ駆動装置34とを備えている。カウチ33は、X軸とY軸とZ軸とを中心に回転移動可能に、かつ、そのX軸とY軸とZ軸とに平行に平行移動可能に基礎に支持されている。そのX軸とY軸とZ軸とは、互いに直交している。カウチ33は、その放射線治療システムにより治療される患者35が横臥することに利用される。カウチ33は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、患者35が動かないように、患者35をカウチ33に固定する。カウチ駆動装置34は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、カウチ33を回転移動させ、カウチ33を平行移動させる。
【0037】
図3は、撮像装置駆動装置29を示している。撮像装置駆動装置29は、フレーム41と周方向駆動装置42と半径方向駆動装置43とを備えている。フレーム41は、ガントリ回転軸12を中心に回転移動することができるように、走行ガントリ3に支持されている。このとき、第2撮像装置28は、半径方向に平行移動可能に回転可能にフレーム41に支持されている。その半径方向は、ガントリ回転軸12に垂直であり、第2撮像装置28の受光部の中央とアイソセンタ14とを結ぶ線分に平行である。周方向駆動装置42は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、走行ガントリ3に対してガントリ回転軸12を中心にフレーム41を回転させる。半径方向駆動装置43は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、フレーム41に対してアイソセンタ14に向かって第2撮像装置28を平行移動させる。
【0038】
このため、撮像装置駆動装置29は、第2撮像装置28の受光部をアイソセンタ14に向けたまま、第2撮像装置28を移動させることができる。
【0039】
図4は、撮像装置駆動装置29により第2撮像装置28が配置される複数の位置を示している。その複数の位置は、MV−X線画像撮像位置51と退避位置52とkV−X線画像撮像位置53と広視野再構成用画像撮像位置54とを含んでいる。
【0040】
MV−X線画像撮像位置51は、アイソセンタ14を介して治療用放射線照射装置6に対向する位置を示している。すなわち、第2撮像装置28がMV−X線画像撮像位置51に配置されたときに、第2撮像装置28の受光部の中央と治療用放射線24が放射される仮想的点線源とアイソセンタ14とは、直線上に配置される。すなわち、第2撮像装置28は、MV−X線画像撮像位置51に配置されているときに、治療用放射線照射装置6から放射される治療用放射線24によりアイソセンタ14を中央に映し出す透視画像を撮影することができる。
【0041】
退避位置52は、治療用放射線照射装置6から放射される治療用放射線24に被曝される領域から十分に離れた位置を示している。すなわち、第2撮像装置28は、退避位置52に配置されているときに、MV−X線画像撮像位置51に配置されているときの治療用放射線24の被曝量に比較して、治療用放射線24の被曝量が十分に小さい。
【0042】
kV−X線画像撮像位置53は、アイソセンタ14を介して第2診断用放射線照射装置26に対向する位置を示し、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されたときに、第2撮像装置28の受光部の中央と第2診断用放射線32が放射される仮想的点線源55とアイソセンタ14とが直線上に配置されるように、設定される。すなわち、第2撮像装置28は、MV−X線画像撮像位置51に配置されているときに、第2診断用放射線照射装置26から放射される第2診断用放射線32によりアイソセンタ14を中央に映し出す透視画像を撮影することができる。
【0043】
広視野再構成用画像撮像位置54は、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されたときに、仮想的点線源55とアイソセンタ14とを結ぶ直線が第2撮像装置28の受光部の端部に交差するように、設定される。すなわち、第2撮像装置28は、kV−X線画像撮像位置53に配置された後に、撮像装置駆動装置29の周方向駆動装置42によりガントリ回転軸12を中心に所定の角度だけ移動したときに、広視野再構成用画像撮像位置54に配置される。
【0044】
なお、退避位置52は、kV−X線画像撮像位置53に配置された第2撮像装置28が治療用放射線24に十分に被曝されないときに、kV−X線画像撮像位置53に一致させることもできる。さらに、退避位置52は、広視野再構成用画像撮像位置54に配置された第2撮像装置28が治療用放射線24に十分に被曝されないときに、広視野再構成用画像撮像位置54に一致させることもできる。
【0045】
図5は、放射線治療装置制御装置10を示している。放射線治療装置制御装置10は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録する。その記憶装置は、さらに、そのCPUにより利用される情報を記録する。そのリムーバルメモリドライブは、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その通信装置は、通信回線網を介して放射線治療装置制御装置10に接続される他のコンピュータからコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にダウンロードし、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、そのCPUにより生成された画像を表示するディスプレイが例示される。
【0046】
そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置10に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、治療用放射線照射装置6とリング駆動装置21とガントリ駆動装置とジンバル装置23と第1診断用放射線照射装置25と第2診断用放射線照射装置26と第1撮像装置27と第2撮像装置28と撮像装置駆動装置29とカウチ駆動装置34とを含んでいる。
【0047】
放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムは、放射線治療装置制御装置10に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、再構成用画像撮影部71と再構成部72と広視野再構成用画像撮影部73と広視野再構成部74と治療計画部75とkV−X線画像撮影部76とMV−X線画像撮影部77と位置合わせ部78とステレオ視画像撮影部79と放射線治療部80とを含んでいる。
【0048】
再構成用画像撮影部71は、アイソセンタ14に配置された被写体を映し出す複数の再構成用透視画像が撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、再構成用画像撮影部71は、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。再構成用画像撮影部71は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。再構成用画像撮影部71は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が一定の角速度でガントリ回転軸12を中心に回転するように、そのガントリ駆動装置を制御する。再構成用画像撮影部71は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度としては、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が180度である等差数列が例示される。再構成用画像撮影部71は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。
【0049】
再構成部72は、再構成用画像撮影部71により撮影された複数の再構成用画像に基づいて三次元データを再構成する。その三次元データは、複数の断層画像またはボクセルデータを示している。その複数の断層画像は、ガントリ回転軸12に垂直である複数の切断面に対応している。その複数の断層画像の任意の断層画像は、複数のピクセルに複数のCT値を対応付けている。その複数のピクセルは、それぞれ、その複数の切断面のうちのその任意の断層画像に対応する切断面に隙間なく充填される複数の領域に対応している。たとえば、その複数の領域は、それぞれ、正方形に形成されている。その複数のCT値のうちの任意のピクセルに対応する1つのCT値は、その複数の領域のうちのその任意のピクセルに対応する領域の近傍の空間の透過係数(X線吸収係数)に対応している。そのボクセルデータは、複数のボクセルに複数のCT値を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者35が配置される空間に隙間なく充填される複数の領域に対応している。たとえば、その複数の領域は、それぞれ、直方体に形成されている。その複数のCT値のうちの任意のボクセルに対応する1つのCT値は、その複数の領域のうちのその任意のボクセルに対応する領域の透過係数(X線吸収係数)に対応している。
【0050】
広視野再構成用画像撮影部73は、アイソセンタ14に配置された被写体を映し出す複数の再構成用透視画像が撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、広視野再構成用画像撮影部73は、第2診断用放射線照射装置26が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。広視野再構成用画像撮影部73は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。広視野再構成用画像撮影部73は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が一定の角速度でガントリ回転軸12を中心に回転するように、そのガントリ駆動装置を制御する。広視野再構成用画像撮影部73は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度としては、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が360度である等差数列が例示される。広視野再構成用画像撮影部73は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。
【0051】
広視野再構成部74は、広視野再構成用画像撮影部73により撮影された複数の再構成用画像に基づいて三次元データを再構成する。その三次元データは、広視野再構成部74により再構成された三次元データと同様にして、複数の断層画像またはボクセルデータを示している。
【0052】
治療計画部75は、再構成部72により再構成された三次元データをディスプレイに表示し、または、広視野再構成部74により再構成された三次元データをディスプレイに表示する。治療計画部75は、さらに、入力装置から治療計画を収集する。その治療計画は、その三次元データに基づいて作成され、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者35の患部に治療用放射線24を照射する方向を示し、リング角度とガントリ角度とを示している。そのリング角度は、基礎に対するOリング2の位置を示している。そのガントリ角度は、Oリング2に対する走行ガントリ3の位置を示している。その線量は、その照射角度から患者35に照射される治療用放射線24の線量を示している。
【0053】
kV−X線画像撮影部76は、アイソセンタ14に配置された被写体を映し出す第1kV−X線透視画像と第2kV−X線透視画像とが撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、kV−X線画像撮影部76は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。kV−X線画像撮影部76は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されるように、そのガントリ駆動装置を制御する。kV−X線画像撮影部76は、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。
【0054】
次いで、kV−X線画像撮影部76は、第1診断用放射線31が曝射されるように、第1診断用放射線照射装置25を制御する。kV−X線画像撮影部76は、第1kV−X線透視画像が撮像されるように、第1撮像装置27を制御する。kV−X線画像撮影部76は、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。kV−X線画像撮影部76は、第2kV−X線透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。
【0055】
MV−X線画像撮影部77は、アイソセンタ14に配置された被写体を映し出すMV−X線透視画像が撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、MV−X線画像撮影部77は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。MV−X線画像撮影部77は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されるように、そのガントリ駆動装置を制御する。MV−X線画像撮影部77は、第2撮像装置28がMV−X線画像撮像位置51に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。次いで、MV−X線画像撮影部77は、治療用放射線24が曝射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。MV−X線画像撮影部77は、MV−X線透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。
【0056】
位置合わせ部78は、治療計画部75により利用された三次元データとkV−X線画像撮影部76により撮影された第1kV−X線透視画像と第2kV−X線透視画像とに基づいて患者ずれ量を算出する。その三次元データは、再構成部72により再構成された三次元データであり、または、広視野再構成部74により再構成された三次元データである。その患者ずれ量は、その第1kV−X線透視画像と第2kV−X線透視画像とが示す患者35の位置がその三次元データが示す患者35の位置からずれている移動の種類と程度とを示している。位置合わせ部78は、その患者ずれ量に基づいて、その三次元データが示す患者35の位置に患者35が配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。
【0057】
位置合わせ部78は、さらに、MV−X線画像撮影部77により撮影されたMV−X線透視画像に基づいて、治療用放射線照射装置ずれ量を算出する。その治療用放射線照射装置ずれ量は、治療用放射線24の位置が患者35の患部の位置からずれている程度を示している。位置合わせ部78は、その治療用放射線照射装置ずれ量に基づいて、治療用放射線24が所定の位置に曝射されるように、ジンバル装置23を制御する。
【0058】
ステレオ視画像撮影部79は、患者35の患部を映し出す追尾用第1透視画像と追尾用第2透視画像とが撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、ステレオ視画像撮影部79は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。その所定のリング角度は、治療計画部75により作成された治療計画が示すリング角度を示している。ステレオ視画像撮影部79は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されるように、そのガントリ駆動装置を制御する。その所定のガントリ角度は、治療計画部75により作成された治療計画が示すガントリ角度を示している。ステレオ視画像撮影部79は、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。
【0059】
次いで、ステレオ視画像撮影部79は、第1診断用放射線31が曝射されるように、第1診断用放射線照射装置25を制御する。ステレオ視画像撮影部79は、追尾用第1透視画像が撮像されるように、第1撮像装置27を制御する。ステレオ視画像撮影部79は、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。ステレオ視画像撮影部79は、追尾用第2透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。
【0060】
放射線治療部80は、ステレオ視画像撮影部79により撮影された追尾用第1透視画像と追尾用第2透視画像とに基づいて、患者35の患部の位置を算出する。放射線治療部80は、さらに、その患部の位置に治療用放射線24が曝射されるように、ジンバル装置23を制御する。
【0061】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の形態は、放射線治療装置制御装置10により実行され、狭視野三次元データを作成する動作と広視野三次元データを作成する動作と治療計画を作成する動作と患者を位置合わせする動作と放射線治療する動作とを備えている。
【0062】
その狭視野三次元データを作成する動作では、放射線治療装置制御装置10は、患者35がカウチ33に固定された後に、まず、基礎に対してカウチ33が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。放射線治療装置制御装置10は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が一定の角速度でガントリ回転軸12を中心に回転するように、そのガントリ駆動装置を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度は、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が180度である等差数列である。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その複数の再構成用画像に基づいて狭視野三次元データを再構成する。
【0063】
その広視野三次元データを作成する動作では、放射線治療装置制御装置10は、患者35がカウチ33に固定された後に、まず、基礎に対してカウチ33が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2診断用放射線照射装置26が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。放射線治療装置制御装置10は、基礎に対してOリング2が所定のリング角度に配置されるように、リング駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が一定の角速度でガントリ回転軸12を中心に回転するように、そのガントリ駆動装置を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度は、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が360度である等差数列である。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その複数の再構成用画像に基づいて広視野三次元データを再構成する。
【0064】
第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されたときに第2撮像装置28により撮像される再構成用透視画像の視野56は、図4に示されているように、その再構成用透視画像の中央にガントリ回転軸12が映し出されるように、設定されている。第2撮像装置28が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されたときに第2撮像装置28により撮像される複数の再構成用透視画像により再構成された三次元データが示す領域58は、所定の図形がガントリ回転軸12を中心に回転することにより得られる回転体を形成している。
【0065】
第2撮像装置28が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されたときに第2撮像装置28により撮像される再構成用透視画像の視野57は、図4に示されているように、その再構成用透視画像の端にガントリ回転軸12が映し出されるように、設定されている。第2撮像装置28が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されたときに第2撮像装置28により撮像される複数の再構成用透視画像により再構成された三次元データが示す領域59は、所定の図形がガントリ回転軸12を中心に回転することにより得られる回転体を形成している。このとき、領域59は、領域58より体積が大きい。すなわち、放射線治療装置1は、領域58の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像と領域59の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像とを、1つの第2診断用放射線照射装置26と1つの第2撮像装置28とを用いて撮影することができる。
【0066】
さらに、このような放射線治療装置制御方法によれば、領域59の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像の枚数は、領域58の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像の枚数に比較して、より多い。このため、領域59の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像を撮像するための時間は、領域58の三次元データを再構成するために必要である再構成用透視画像を撮像するための時間に比較して、より長時間である。さらに、領域59の三次元データを再構成するための再構成用透視画像を撮像するときに患者35に曝射される第2診断用放射線32の線量は、領域58の三次元データを再構成するための再構成用透視画像を撮像するときに患者35に曝射される第2診断用放射線32の線量に比較して、より多い。
【0067】
すなわち、このような放射線治療装置1によれば、ユーザは、患者35のうちの広範囲な領域の三次元データを取得したいときに、その広視野三次元データを作成する動作を放射線治療装置制御装置10に実行させる。ユーザは、三次元データを再構成するための再構成用透視画像をより高速に撮影したいときに、または、患者35の被曝線量をより小さくしたいときに、その狭視野三次元データを作成する動作を放射線治療装置制御装置10に実行させる。すなわち、このような放射線治療装置1によれば、ユーザは、領域58と領域59とのうちの適切な領域を示す三次元データを適宜選択して取得することができる。
【0068】
三次元データを再構成するために撮影される複数の透視画像の視野の位置を変更することによりその三次元データの視野の大きさを変更する技術は、公知であり、たとえば、特表2003−522576号公報に開示されている。
【0069】
その治療計画を作成する動作は、その狭視野三次元データを作成する動作が実行された後に、または、その広視野三次元データを作成する動作が実行された後に、実行される。放射線治療装置制御装置10は、その再構成された三次元データをディスプレイに表示し、または、広視野再構成部74により再構成された三次元データをディスプレイに表示する。ユーザは、その三次元データに基づいて治療計画を作成する。その治療計画は、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者35の患部に治療用放射線24を照射する方向を示し、リング角度とガントリ角度とを示している。そのリング角度は、基礎に対するOリング2の位置を示している。そのガントリ角度は、Oリング2に対する走行ガントリ3の位置を示している。その線量は、その照射角度から患者35に照射される治療用放射線24の線量を示している。ユーザは、放射線治療装置制御装置10の入力装置を介して、その治療計画を放射線治療装置制御装置10に入力する。
【0070】
その患者を位置合わせする動作は、その治療計画を作成する動作が実行された後に、たとえば、その治療計画を作成する動作が実行されてから数日後に、実行される。放射線治療装置制御装置10は、患者35がカウチ33に固定された後に、まず、基礎に対してカウチ33が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その治療計画が示すリング角度にOリング2が基礎に対して配置されるように、リング駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示すガントリ角度に走行ガントリ3が配置されるように、放射線治療装置1のガントリ駆動装置を制御する。
【0071】
放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、第1診断用放射線31が曝射されるように第1診断用放射線照射装置25を制御し、第1kV−X線透視画像が撮影されるように第1撮像装置27を制御する。放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、さらに、第2診断用放射線32が曝射されるように第2診断用放射線照射装置26を制御し、第2kV−X線透視画像が撮影されるように第2撮像装置28を制御する。
【0072】
放射線治療装置制御装置10は、その三次元データとその第1kV−X線透視画像とその第2kV−X線透視画像とに基づいて患者ずれ量を算出する。放射線治療装置制御装置10は、その患者ずれ量に基づいて、その三次元データが示す患者35の位置に患者35が配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その患者ずれ量が所定の値より小さくなるまで、その第1kV−X線透視画像およびその第2kV−X線透視画像の撮影と患者35の移動とを繰り返して実行する。
【0073】
放射線治療装置制御装置10は、その三次元データが示す患者35の位置に患者35が配置された後に、第2撮像装置28がMV−X線画像撮像位置51に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。次いで、放射線治療装置制御装置10は、治療用放射線24が曝射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、MV−X線透視画像が撮像されるように、第2撮像装置28を制御する。放射線治療装置制御装置10は、そのMV−X線透視画像に基づいて、治療用放射線照射装置ずれ量を算出する。その治療用放射線照射装置ずれ量は、治療用放射線24の位置が患者35の患部の位置からずれている程度を示している。放射線治療装置制御装置10は、その治療用放射線照射装置ずれ量に基づいて、治療用放射線24が所定の位置に曝射されるように、ジンバル装置23を制御する。
【0074】
すなわち、放射線治療装置1は、そのkV−X線透視画像とそのMV−X線透視画像とを、1つの第2診断用放射線照射装置26と1つの第2撮像装置28とを用いて撮影することができる。このとき、放射線治療装置1は、治療用放射線24を受光する撮像装置と第2診断用放射線32を受光する撮像装置とを別個に備える他の放射線治療装置に比較して、安価に作製されることができる。
【0075】
その放射線治療する動作は、患者を位置合わせする動作が実行された直後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、第2撮像装置28がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、撮像装置駆動装置29を制御する。放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、患者35の第1追尾用透視画像が撮影されるように第1診断用放射線照射装置25と第1撮像装置27とを制御し、患者35の第2追尾用透視画像が撮影されるように第2診断用放射線照射装置26と第2撮像装置28とを制御する。
【0076】
放射線治療装置制御装置10は、その第1追尾用透視画像と第2追尾用透視画像とに基づいて患者35の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置10は、その算出された位置に治療用放射線照射装置6が向くように、ジンバル装置23を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その患部の形状に治療用放射線24の照射野が一致するように、かつ、その患部に治療用放射線24が所定の線量だけ照射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線24が患者35の患部に照射されるまで、その追尾用透視画像の撮影から治療用放射線24の照射までの動作を周期的に繰り返して実行する。
【0077】
このような放射線治療によれば、放射線治療装置制御装置10は、患者35の患部が運動している場合でも、その患部に治療用放射線24をより高精度に照射することができ、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0078】
このような放射線治療によれば、さらに、第2撮像装置28がMV−X線画像撮像位置51に配置された状態で治療用放射線24が患者35に曝射されることに比較して、第2撮像装置28が被曝する治療用放射線24の線量をより低減することができ、第2撮像装置28の寿命を延長することができる。
【0079】
なお、その放射線治療する動作では、放射線治療装置制御装置10は、その第2追尾用透視画像を撮影しないで、第2撮像装置28と異なる他のセンサにより測定されたサロゲート値に基づいて患者35の患部の位置と形状とを算出することもできる。そのセンサとしては、患者35に取り付けられるマーカの画像を映す赤外線カメラが例示され、このとき、そのサロゲート値としては、その画像にそのマーカが映し出される位置が例示される。このとき、放射線治療装置制御装置10は、第2撮像装置28が退避位置52に配置されるように撮像装置駆動装置29を制御した後に、その算出された位置に治療用放射線照射装置6が向くようにジンバル装置23を制御して、その患部に治療用放射線24が曝射されるように治療用放射線照射装置6を制御する。
【0080】
このような放射線治療は、既述の実施の形態における放射線治療と同様にして、第2撮像装置28がMV−X線画像撮像位置51に配置された状態で治療用放射線24が患者35に曝射されることに比較して、第2撮像装置28が被曝する治療用放射線24の線量をより低減することができ、第2撮像装置28の寿命を延長することができる。
【0081】
図6は、他の放射線治療装置を示している。その放射線治療装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置1の第2撮像装置28と撮像装置駆動装置29とが、kV−X線画像撮像装置61と第1撮像装置駆動装置62とMV−X線画像撮像装置63と第2撮像装置駆動装置64とに置換されている。第1撮像装置駆動装置62は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、kV−X線画像撮像位置53または広視野再構成用画像撮像位置54のうちの一方にkV−X線画像撮像装置61を配置する。kV−X線画像撮像装置61は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、受光部に受光されるX線に基づいて透視画像を生成する。第2撮像装置駆動装置64は、MV−X線画像撮像位置51または退避位置52のうちの一方にMV−X線画像撮像装置63を配置する。MV−X線画像撮像装置63は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、受光部に受光されるX線に基づいて透視画像を生成する。
【0082】
放射線治療装置制御装置10は、領域58の三次元データを再構成するときに、まず、kV−X線画像撮像装置61がkV−X線画像撮像位置53に配置されるように、第1撮像装置駆動装置62を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度は、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が180度である等差数列である。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、kV−X線画像撮像装置61を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その複数の再構成用画像に基づいて領域58の三次元データを再構成する。
【0083】
放射線治療装置制御装置10は、領域59の三次元データを再構成するときに、まず、kV−X線画像撮像装置61が広視野再構成用画像撮像位置54に配置されるように、第1撮像装置駆動装置62を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、走行ガントリ3が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用放射線32が曝射されるように、第2診断用放射線照射装置26を制御する。その所定のガントリ角度は、公差が0.5度であり、その初項と末項との差が360度である等差数列である。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3がその所定のガントリ角度に配置されたときに、再構成用透視画像が撮像されるように、kV−X線画像撮像装置61を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その複数の再構成用画像に基づいて領域59の三次元データを再構成する。
【0084】
放射線治療装置制御装置10は、治療用放射線24を用いて透視画像を撮像するときに、たとえば、治療用放射線照射装置6が所定の向きに向いているかどうかを確認するときに、まず、MV−X線画像撮像装置63がMV−X線画像撮像位置51に配置されるように、第2撮像装置駆動装置64を制御する。放射線治療装置制御装置10は、MV−X線画像撮像装置63がMV−X線画像撮像位置51に配置された後に、治療用放射線24が曝射されるように治療用放射線照射装置6を制御して、透視画像が撮像されるようにMV−X線画像撮像装置63を制御する。
【0085】
放射線治療装置制御装置10は、放射線治療するときに、まず、MV−X線画像撮像装置63が退避位置52に配置されるように、第2撮像装置駆動装置64を制御する。放射線治療装置制御装置10は、MV−X線画像撮像装置63が退避位置52に配置された後に、治療用放射線24が患者35に曝射されるように治療用放射線照射装置6を制御する。
【0086】
このような放射線治療装置によれば、ユーザは、放射線治療装置制御装置10を用いて、領域58と領域59とのうちの適切な領域を示す三次元データを適宜選択して取得することができる。
【0087】
このような放射線治療装置によれば、放射線治療装置制御装置10は、さらに、MV−X線画像撮像装置63が被曝する治療用放射線24の線量をより低減することができ、MV−X線画像撮像装置63の寿命を延長することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 :放射線治療装置
2 :Oリング
3 :走行ガントリ
6 :治療用放射線照射装置
10:放射線治療装置制御装置
11:リング回転軸
12:ガントリ回転軸
14:アイソセンタ
16:チルト軸
17:パン軸
21:リング駆動装置
23:ジンバル装置
24:治療用放射線
25:第1診断用放射線照射装置
26:第2診断用放射線照射装置
27:第1撮像装置
28:第2撮像装置
29:撮像装置駆動装置
31:第1診断用放射線
32:第2診断用放射線
33:カウチ
34:カウチ駆動装置
35:患者
41:フレーム
42:周方向駆動装置
43:半径方向駆動装置
51:MV−X線画像撮像位置
52:退避位置
53:kV−X線画像撮像位置
54:広視野再構成用画像撮像位置
55:仮想的点線源
56:により撮像される再構成用透視画像の視野
57:により撮像される再構成用透視画像の視野
58:領域
59:領域
71:再構成用画像撮影部
72:再構成部
73:広視野再構成用画像撮影部
74:広視野再構成部
75:治療計画部
76:kV−X線画像撮影部
77:MV−X線画像撮影部
78:位置合わせ部
79:ステレオ視画像撮影部
80:放射線治療部
61:kV−X線画像撮像装置
62:第1撮像装置駆動装置
63:MV−X線画像撮像装置
64:第2撮像装置駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が第1位置に配置されるように、ガントリに対して前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動装置を制御する第1撮影部と、
前記撮像装置が第2位置に配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御する第2撮影部とを具備し、
前記撮像装置は、
前記撮像装置が前記第1位置に配置されているときに、前記ガントリに支持される第1照射装置が曝射する第1放射線のうちの所定位置を通過した第1透過放射線を受光して、前記第1透過放射線を用いて第1透視画像を撮像し、
前記撮像装置が前記第2位置に配置されているときに、前記ガントリに支持される第2照射装置が曝射する第2放射線のうちの前記所定位置を通過した第2透過放射線を受光して、前記第2透過放射線を用いて第2透視画像を撮像する
放射線治療装置制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ガントリに対する第1再構成用位置に前記撮像装置が配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御する第1再構成用画像撮影部と、
前記撮像装置が前記第1再構成用位置に配置されているときに前記撮像装置により前記第1放射線を用いて撮像された複数の第1透視画像に基づいて、第1三次元データを再構成する第1再構成部と、
前記ガントリに対する第2再構成用位置に前記撮像装置が配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御する第2再構成用画像撮影部と、
前記撮像装置が前記第2再構成用位置に配置されているときに前記撮像装置により撮像された複数の第2透視画像に基づいて、第2三次元データを再構成する第2再構成部とを具備し、
前記ガントリは、リングに対して回転軸を中心に回転し、
前記複数の第1再構成用透視画像は、前記リングに対して互いに異なる複数の第1ガントリ角度に前記ガントリが配置されたときにそれぞれ撮影された画像であり、
前記複数の第2再構成用透視画像は、前記リングに対して互いに異なる複数の第2ガントリ角度に前記ガントリが配置されたときにそれぞれ撮影された画像であり、
前記複数の第1再構成用透視画像に前記回転軸が映し出される位置は、前記複数の第2再構成用透視画像に前記回転軸が映し出される位置と異なる
放射線治療装置制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記撮像装置駆動装置は、
前記ガントリに対して前記回転軸を中心に前記撮像装置を回転させる周方向駆動装置と、
前記ガントリに対して前記回転軸に垂直である半径方向に平行移動させる半径方向駆動装置とを備える
放射線治療装置制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記第2照射装置が治療用放射線を被検体に曝射するように、前記第2照射装置を制御する放射線治療部をさらに具備し、
前記放射線治療部は、さらに、前記治療用放射線が前記被検体に曝射されるときに、前記撮像装置が退避位置に配置されるように前記撮像装置駆動装置を制御し、
前記撮像装置が前記退避位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量は、前記撮像装置が前記第2位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量より小さい
放射線治療装置制御装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ガントリに支持される第3照射装置が曝射する放射線のうちの前記所定位置を通過した放射線により第3透視画像を撮像するように、前記ガントリに支持される他の撮像装置を制御するステレオ視画像撮像部をさらに具備し、
前記放射線治療部は、前記撮像装置が前記第1位置に配置されているときに前記撮像装置により撮像された第1ステレオ視画像と前記他の撮像装置により撮像された第2ステレオ視画像とに基づいて、前記ガントリに対して前記第2照射装置を移動させるジンバル装置を制御する
放射線治療装置制御装置。
【請求項6】
放射線を受光することにより透視画像を撮像する撮像装置が第1位置に配置されるように、ガントリに支持される第1照射装置から第1放射線が曝射される前に、前記ガントリに対して前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動装置を制御するステップと、
前記撮像装置が第2位置に配置されるように、前記ガントリに支持される第2照射装置から第2放射線が曝射される前に、前記撮像装置駆動装置を制御するステップとを具備し、
前記第1放射線のうちの所定位置を通過した第1透過放射線は、前記撮像装置が前記第1位置に配置されているときに、前記撮像装置に受光され、
前記第2放射線のうちの前記所定位置を通過した第2透過放射線は、前記撮像装置が前記第2位置に配置されているときに、前記撮像装置に受光される
放射線治療装置制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
リングに対して回転軸を中心に前記ガントリを回転させるステップと、
前記ガントリに対する第1再構成用位置に前記撮像装置が配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御するステップと、
前記撮像装置が前記第1再構成用位置に配置されているときに前記第1照射装置から曝射される放射線を用いて撮影された複数の第1再構成用透視画像に基づいて、第1三次元データを再構成するステップと、
前記ガントリに対する第2再構成用位置に前記撮像装置が配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御するステップと、
前記撮像装置が前記第2再構成用位置に配置されているときに前記第2照射装置から曝射される放射線を用いて撮影された複数の第2再構成用透視画像に基づいて、第2三次元データを再構成するステップとを具備し、
前記複数の第1再構成用透視画像は、前記リングに対して互いに異なる複数の第1ガントリ角度に前記ガントリが配置されたときにそれぞれ撮影された画像であり、
前記複数の第2再構成用透視画像は、前記リングに対して互いに異なる複数の第2ガントリ角度に前記ガントリが配置されたときにそれぞれ撮影された画像であり、
前記複数の第1再構成用透視画像に前記回転軸が映し出される位置は、前記複数の第2再構成用透視画像に前記回転軸が映し出される位置と異なる
放射線治療装置制御方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記撮像装置駆動装置は、
前記ガントリに対して前記回転軸を中心に前記撮像装置を回転させる周方向駆動装置と、
前記ガントリに対して前記回転軸に垂直である半径方向に平行移動させる半径方向駆動装置とを備える
放射線治療装置制御方法。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれかにおいて、
前記ガントリに対する退避位置に前記撮像装置を移動させるように、前記第2照射装置が治療用放射線を曝射する前に、前記撮像装置駆動装置を制御するステップをさらに具備し、
前記撮像装置が前記退避位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量は、前記撮像装置が前記第2位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量より小さい
放射線治療装置制御方法。
【請求項10】
請求項9において、
第1ステレオ視画像と第2ステレオ視画像とに基づいて照射位置を算出するステップと、
前記治療用放射線が曝射される前に、前記ガントリに対して前記第2照射装置を移動させるジンバル装置を前記照射位置に基づいて制御するステップを具備し、
前記ガントリは、
第3放射線を曝射する第3照射装置と、
前記第3放射線のうちの前記所定位置を通過した放射線を受光することにより透視画像を撮像する他の撮像装置とをさらに支持し、
前記第1ステレオ視画像は、前記撮像装置が前記第1位置に配置されているときに、前記撮像装置により撮像された透視画像であり、
前記第2ステレオ視画像は、前記他の撮像装置により撮像された透視画像である
放射線治療装置制御方法。
【請求項11】
請求項6〜請求項10のいずれかに記載される放射線治療装置制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
治療用照射装置が治療用放射線を所定位置に曝射するように、前記治療用照射装置を制御する放射線治療部と、
前記治療用照射装置が撮影用放射線を前記所定位置に曝射するときに、前記撮像装置が撮影位置に配置されるように、前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動装置を制御する撮影部とを具備し、
前記放射線治療部は、前記治療用放射線を曝射するときに、前記撮像装置が退避位置に配置されるように、前記撮像装置駆動装置を制御し、
前記撮像装置は、前記撮像装置が前記撮影位置に配置されているときに、前記撮影用放射線のうちの前記所定位置を通過した透過放射線を受光して、前記透過放射線を用いて透視画像を撮像し、
前記撮像装置が前記退避位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量は、前記撮像装置が前記撮影位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量より小さい
放射線治療装置制御装置。
【請求項13】
撮像装置が撮影位置に配置されるように、治療用照射装置が撮影用放射線を所定位置に曝射する前に、前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動装置を制御するステップと、
撮像装置が退避位置に配置されるように、前記治療用照射装置が治療用放射線を前記所定位置に曝射する前に、前記撮像装置駆動装置を制御するステップとを具備し、
前記撮像装置は、前記撮像装置が前記撮影位置に配置されているときに、前記撮影用放射線のうちの前記所定位置を通過した透過放射線を受光して、前記透過放射線を用いて透視画像を撮像し、
前記撮像装置が前記退避位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量は、前記撮像装置が前記撮影位置に配置されているときに前記撮像装置が前記治療用放射線に被曝される被曝量より小さい
放射線治療装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45163(P2012−45163A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189754(P2010−189754)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】