放射線治療装置用患者位置決めシステム
【課題】患者位置照合過程の精度とスピードを上げる患者位置決め装置を提供する。
【解決手段】位置決めシステムは、放射線治療装置100の構成要素の位置および方向付けの測定値を取得し、可動でおよび/または屈曲を受けまたは公称から他の位置変化を受ける複数外部測定装置124を含む。外部測定装置は、より精度を高く患者を位置照合し、それらを放射線ビームの供給軸と位置合わせするための補正位置決めフィードバックを提供する。位置決めシステムはまた、動作エンベロップに侵入してくるかもしれない人に加え、放射線治療装置100の構成要素間のいずれの衝突をも避けるための動作を計画する。位置決めシステムは放射線治療装置100に一体化した部分として提供でき、あるいは既存の放射線治療装置の新版として追加することができる。
【解決手段】位置決めシステムは、放射線治療装置100の構成要素の位置および方向付けの測定値を取得し、可動でおよび/または屈曲を受けまたは公称から他の位置変化を受ける複数外部測定装置124を含む。外部測定装置は、より精度を高く患者を位置照合し、それらを放射線ビームの供給軸と位置合わせするための補正位置決めフィードバックを提供する。位置決めシステムはまた、動作エンベロップに侵入してくるかもしれない人に加え、放射線治療装置100の構成要素間のいずれの衝突をも避けるための動作を計画する。位置決めシステムは放射線治療装置100に一体化した部分として提供でき、あるいは既存の放射線治療装置の新版として追加することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、「精確な患者位置合わせおよびビーム治療システム」と共に称する2003年8月12日出願の米国予備出願第60/494,699号および2004年6月10日出願の米国予備出願第60/575,095号の利益を主張し、それらはすべて参照として組み入れられている。
【0002】
本発明は、放射線治療装置の分野、より詳細には患者の位置決めおよび位置合わせシステムに関し、本発明のある実施形態は、外部測定装置と局所位置フィードバックを含む。本発明の実施形態は、改良した患者位置合わせおよび位置決め精度を提供する。他の実施形態は、機械的動作公差や厳密に剛構造でない等の要因による位置合わせ不良を補償する。更に他の実施形態は、動作経路計画、効率的な動作を容易にするための衝突回避および改善した安全性を提供する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療装置は、既知であり、多種多様な症状を患う患者に治療を施すために使用される。放射線治療は、代表的には癌組織のような望ましくない組織の死滅または成長の阻害のために使用される。決められた量の高ネルギ−電磁放射線および/または高ネルギ−粒子を望ましくない組織を損傷する目的で、望ましくない組織に誘導し、所望のまたは健康な組織に対する意図しない障害を減らしながら、放射線をその組織を通り望ましくない組織へ伝える。
【0004】
陽子線治療は、多様な症状に特に有効な治療法として出現した。陽子線治療において、正電荷陽子亜原子粒子は、加速され、密集束ビームに視準され、患者体内の指定対象部位に誘導される。陽子は、患者組織に対して電磁放射線や低質量電子荷電粒子より横方向の衝突の分散がより小さく、従ってビーム軸に沿ったより正確な照準と供給が可能となる。また、患者組織に対する衝撃において、加速陽子は、相対的に低エネルギ−転移で近位の組織を通過し、加速質量の運動エネルギ−のかなりの部分が患者体内の比較的狭い透過深さの範囲内に投入する特有のブラッグピークを示す。これは加速陽子粒子から指定対象部位を越えて位置する”ダウンレンジ”組織に加え対象部位と陽子線治療機の供給ノズルの間に介在する健康な組織へのエネルギ−の供給を減らす顕著な利点を提供する。特定の患者に対する効能とその症状にもよるが、治療上有効な陽子線ビームの供給は、介在する所望の/健康な組織の副次照射線量を減らしながら対象部位に供給する総計線量を実現するため好ましくは複数の治療部分において複数の方向からおこなうのが良い。
【0005】
従って、陽子線ビーム治療装置等の放射線治療装置は、通常陽子線ビームに対して患者を複数の方向に位置決めおよび位置合わせする準備をしている。患者内部に好ましい陽子線ビームの照準点を決めるための代表的な手順は、初期計画段階または処方段階において複数のデジタル再生放射線写真(DRRs)を決定できるコンピュータ断層撮影(CT)走査を行うことであった。DRRは、複数の方向付けから考慮した二次元表示でのCTスキャンから取得した患者の内部生理学的構造を表す三次元データを合成して示し、従って、照射する組織の対象画像としての機能を果たすことができる。治療を行う組織に対応する所望の対象アイソセンタが指定される。対象画像において示したように患者(モニュメント)の生理学的構造に対して対象アイソセンタの空間位置を基準とすることができる。
【0006】
放射線治療を施す次の段取りとして、既知のX線像のような患者の放射線画像を取得し、この放射線画像を、指定対象アイソセンタを基準として対象画像と比較または位置照合する。患者の位置をできるだけ近接または一定の公差内になるよう調節し、医師の処方で示したように対象アイソセンタを放射線ビームに対して所望の姿勢に位置合わせする。所望の姿勢はしばしば初期計画または処方スキャンの姿勢として選択される。
【0007】
所望の対象アイソセンタに対して放射線ビームの位置合わせ不良を減らし、所望の治療上有効な恩恵を得、他の組織の望ましくない照射を減らすため、ビームノズルに対する患者の配置精度がこれら目的達成のため重要であることがわかるであろう。特に、対象アイソセンタは、回転の態様において患者を所望の姿勢に配置するため正確な位置に位置決めされ、同時に供給ビーム軸と一致するよう並進して位置決めされる。特に、ブラッグピークの空間位置は深さ同様供給陽子線ビームのエネルギ−およびビームが通過する組織構成の両方に依存するので、たとえ並進し位置合わせされても、対象アイソセンタの回りの患者の回転は、初期衝撃ポイントと患者体内に位置する対象アイソセンタ間の組織の変化深さと基盤を表すことができ、それにより透過深さを変えられることがわかるであろう。
【0008】
位置合わせおよび位置決めについての更なる困難は、一般に放射線治療療法が、数週間にわたって投与する日毎の治療のようなある期間にわたって投与する複数の別個の治療セッションにより行われる事にある。従って、ビームに対して患者の所望の姿勢への位置決めに加え患者および対象アイソセンタの位置合わせが通常繰返し決定され、数日または数週間の期間にわたり複数回実施される。
【0009】
放射線治療装置に対しこの患者位置決めを精度よく行う場合いくつかの困難がある。前述したように患者の位置照合は、放射線治療供給部位の現在の治療セッションにおける患者の放射線画像を取得し、この得られた画像と患者に対し特定の治療処方を指示するのに使用される以前に取得したDRRまたは対象画像を比較することにより行われる。患者は放射線治療装置内で移動し位置を変えたので、患者の正確な位置および姿勢は治療セッションから治療セッションに正確に反復されず、また対象画像を生成した正確な位置および姿勢、例えばオリジナルCTスキャンがDRRsを生成した方向付け、にも反復されないであろう。従って、各治療セッション/分画は、通常精度よく引き続き取得した放射線画像を該当の相当するDRRと整合させることを伴い、補正の並進および/または回転ベクトルの決定を推進し、患者を所望の位置および姿勢に位置決めする。
【0010】
そのような操作で引き起こされる測定や計算の困難さに加え、精度と同様に実行のスピードが要望されている。特に、放射線治療装置は、建設に必要な材料および機器と装置を操作および維持する比較的高度に訓練された要員が必要であるという両方の理由のため、建設および維持するには高価な医療機器である。また、陽子線治療のような放射線治療は、多種多様な症状に対して次第に効果的な治療であることが判明し、従って、治療代金を支払う患者または保険会社に対する限界コストの削減を始めとして、この有益な治療の利用をより多くの治療の必要な患者への拡大と治療流通プロバイダーの収益性増加の両方のため、患者のスループットを増やすことが所望の。一度患者を適切に位置決めすると放射線量の実際の供給は比較的速い工程なので、治療装置からの患者の出入り、撮影および患者の位置決めや位置照合におけるあらゆる付加的な待ち時間が全体的な患者のスループットを損ね、それによりシステムの有用性、コストおよび収益性が損なわれている。
【0011】
ビームノズルに対して患者および対応する対象アイソセンタを所望の位置および姿勢に精度よく位置決めすることに伴う更なる困難は、放射線治療装置の各種構成要素の正確な位置および相対的な角度における多彩で付加的な不確実性にある。例えば、窮屈なまた不自由な位置決めを望まない患者自身に対して、ビームノズルをガントリセンタ回りに回転可能とし、各種角度から放射線ビームの供給を容易にするためビームノズルを比較的剛性のガントリ構造に固定することができる。しかし、ガントリ構造は、相対的に大きく(数メートルのオーダー)嵩高で厳密には剛性でない材料で作られているので、ノズルがガントリ回りを回転する際、必然的にいくらかの構造的な屈曲/歪や反復できない機械的公差が存在する。更に、ノズルは、ノズルの遠心放射端がある程度屈曲可能な、例えば、ノズルが頭上の垂直位置から水平位置に移動時のビームの横斜めの供給のような、また厳密には剛性でない伸張する配分質量として構成していることがある。また、正確なノズル位置の正しい識別がガントリと共に回るコルクで複雑化しかねない。
【0012】
同様に、患者を支持ポッドまたはテーブル上に配置しても良く、それを患者位置決め装置に連結しても良いが、可能な患者の姿勢範囲のいたるところで必ずしも一致する必要のない両者は、動作する接合部での機械的公差に加え重力荷重下である程度機械的に屈曲を受ける。これら変動のある程度の見積りおよび測定は可能であるが、一方、それらは通常変化しやすく反復できないので、繰返し患者を一貫して位置および姿勢の両方で多数の治療セッションにわたり予測ベースでミリメートル以下の精度のような狭い精度限界に位置決めすることはかなりの挑戦である。従って、ガントリや患者テーブルの位置決め不良に対処する既知の方法は、治療前に患者を再位置照合することである。患者を撮影のため、追加のX線照射にさらし、再位置照合により付加された待ち時間による全体的な患者のスループットが減少するようなことは望ましくない。
【0013】
放射線治療装置の可動構成要素は、かなり大きく嵩高になる傾向にあり、それにより各種構成要素の電動動作が必要になっている。構成要素が動作中かなりの慣性を持ち概して電動駆動に向かっているので、障害や危害を抑制する安全システムを備えるとよい。安全システムはコンタクトスイッチによる電源遮断を含むことができる。コンタクトスイッチは動作限界の動作停止範囲で起動し、モータを駆動する電源を遮断する。また、ハード動作停止またはリミッターを備え、設定範囲を超える動作を物理的に妨げることもできる。しかし、コンタクトスイッチやハードストップは対応する構成要素が動作限界に達した時に起動し、従って、機械装置に磨耗を加え、もし過剰に嵌合すれば障害さえ引き起こすかもしれない比較的突然の動作停止を課す。また、特に複合動作する構成要素を含む応用例においては、コンタクトスイッチおよび/またはハードリミッターの動作停止の構成は、複数の構成要素間の衝突を阻止するためかなり複雑で、衝突回避を単純化するため構成要素が一度に一つが動作するよう限定した場合、全体的なシステム操作が非能率になることがある。
【0014】
上記から、患者位置照合過程の精度とスピードを上げる必要があることがわかるであろう。また、所望の姿勢を得るための反復撮影や患者の再度の方向付けを減らすことも必要である。更に、放射線治療装置で患者の位置照合および位置合わせ精度を上げるため、可変で予測困難な位置誤差を説明するシステムも必要である。また、放射線治療装置の複数の可動構成要素を位置決めしながら操作の安全と障害管理を維持するため、衝突回避方法を備える必要がある。更に、患者位置照合の精度と速度を維持するため、動作を効率的に行うことが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述のニーズは、患者と供給した治療上有効な放射線ビーム間の公称の位置および方向付けからの変動またはずれを外部測定し補正フィ−ドバックする患者位置照合システムによる一実施形態で満たされる。この実施形態は、放射線治療設備の固定および可動両方の構成要素の可変で予測困難な機械的公差と構造的な屈曲にただちに適応できる。この実施形態は、治療部分間の患者撮影のニーズを減らし、位置照合過程の待ち時間を減少することで、患者のスループットを増やす。更なる実施形態は、効率的な動作手順を決定し、機器と人の間での衝突を積極的に回避するための動作を調整する動作経路計画システムを含む。
【0016】
他の実施形態は、ガントリと、患者固定装置に対して患者を固定するよう構成される患者固定装置と,患者固定装置を並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者固定装置と相互に接続した患者位置決め置と、ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、少なくとも患者固定装置とノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、少なくとも患者固定装置とノズルの位置測定値を取得し患者位置決め装置に制御信号を送りビーム軸に対して患者を所望の方向付けに位置決めする制御装置とを備える放射線治療システムである。
【0017】
更なる実施形態は、動作する複数の構成要素を有する放射線治療装置用患者位置決めシステムからなり、位置情報を提供するため複数の構成要素の位置測定値を取得するよう配置した複数の外部測定装置と、患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成された可動患者支持器と、位置決めシステムが複数の構成要素の動作を補償するよう複数の外部装置から情報を取得し可動患者支持器を作動指示し患者を所望の姿勢に位置合わせする制御装置とを備える。
【0018】
他の実施形態は、動作する複数の構成要素を備える装置により治療を施す患者を位置照合および位置合わせする方法であり、患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、複数の構成要素の選定ポイントの位置を外部測定するステップと、観察された初期患者の姿勢と所望の患者の姿勢の間の差ベクトルを決定するステップと、患者位置決め装置に動作指示し患者を所望の患者の姿勢に導くステップとを含む。
【0019】
他の実施形態は、粒子の発生源と、粒子を放出するノズルであって、患者に対して可動であり、患者の選択部位への粒子の供給を複数の異なる経路により容易にするノズルとを含む複数の構成要素を有する放射線治療設備として使用する位置決めシステムであり、ノズルに対して患者を方向付けし患者の選択部位への粒子の供給を容易にするよう可動である患者を収容する患者位置決め装置と、治療に先立ち患者に対する少なくとも一つの構成要素の方向付けを示す治療画像を作成し位置決め装置に近接した放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を撮影するモニターシステムと、粒子を患者に供給する際少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを含む信号であって、実施する治療を指示する信号を取得し、更に治療画像を取得し、治療画像を評価して治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定し、治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けと少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを比較し、実際の方向付けが所望の方向付けに対応する既定の基準に合わない場合、粒子を供給中に実際の方向付けが所望の方向付けに対してより厳密に対応するよう患者位置決め装置に信号を送り、患者位置決め装置を動作する患者への粒子の供給を制御する制御システムとを備える。
【0020】
更なる実施形態は、固定および可動構成要素を有する放射線治療装置であって、ガントリ、患者ポッドに対して実質的に患者を不動に固定する構成された患者ポッドと、患者ポッドを複数の並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者ポッドと相互に接続する患者位置決め装置と、ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得し、ビーム軸に対して患者を所望の姿勢に位置決めするための動作指示決定し、その動作指示に基づき治療装置の他の固定および可動構成要素に対して患者ポッドの対応する動作軌道を決定し、動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合動作を阻止する制御装置を備える。
【0021】
また、ある実施形態は、固定および可動構成要素を有しビーム軸に沿って選択的に放射線治療ビームを供給する放射線治療装置用経路計画および衝突回避システムを含む。位置決めシステムは、位置情報を提供するよう構成要素の位置測定値を取得するため配置した複数の外部測定装置と、患者支持器に対し実質的に位置固定した患者を支持し患者を複数の並進回転軸で制御可能に位置決めするよう構成する可動患者支持器と、複数の外部測定装置から位置情報を取得し、可動患者支持器に動作指示し、患者を自動的に所望の姿勢に位置合わせし、対応する動作エンベロープを決定し、動作エンベロープを評価し、衝突が示される場合患者支持器の動作を阻止し、そうでなければ動作を開始する制御装置を備える。
【0022】
更なる実施形態は、固定および少なくとも一つの可動構成要素を有する装置により治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法を含み、患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、観察された初期の患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、患者を所望の姿勢に導くための患者位置決め装置に対する対応する動作指示および動作軌道を決定するステップと、衝突が示される場合患者位置決め装置の動作を阻止するよう動作軌道と固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの測定位置を比較するステップとを含む。
【0023】
本発明のこれらの目的や他の目的ならびに利点は、添付図面と関連した次の記載によりより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】第一の方向付けにおける患者位置決めシステムを有する放射線治療装置の一実施形態の概略図である。
【図1B】第二の方向付けにおける概略図を示す。
【図2A】伸張位置における格納可能なイメージャの一実施形態を示す。
【図2B】格納位置におけるイメージャを示す。
【図3】患者ポッドを取付け可能な患者位置決め装置の一実施形態を示す。
【図4A】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4B】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4C】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4D】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4E】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図5】放射線治療環境において治療対象の位置および方向付けを決定する方法の一実施形態のフローチャートである。
【図6】放射線治療装置用外部測定装置の一実施形態を示す。
【図7】放射線治療装置用外部測定装置の他の実施形態を示す。
【図8】放射線治療装置の精密患者位置決めシステムの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図9】患者位置決めシステムの外部測定装置および6Dコーデイネーションシステムの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図10】患者位置決めシステムの患者位置照合モジュールのブロックダイアグラムである。
【図11】患者位置決めシステムの動作制御モジュールの経路計画モジュールのブロックダイアグラムである。
【図12】患者位置決めシステムの動作制御モジュールの動作衝突回避のブロックダイアグラムである。
【図13】動作制御モジュールの衝突回避モジュールおよび動作シーケンスコーデイネーターの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図14】患者を位置決めし、放射線治療を施す方法の一実施形態の操作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで図面について説明する。図中、類似参照名称は全図にわたって類似部分を意味する。図1Aおよび1Bは、ここに参照としてすべてを取り入れる現在カリフォルニア州ロマリンダのLoma Linda UniversityMedical Centerで用いられている陽子線治療装置に基づく、1989年9月26日発行の米国特許第4,870,287号に記載の放射線治療装置100の一実施形態の第一および第二の方向付けを概略的に示す。放射線治療装置100は、治療上有効な放射線量を悪性腫瘍または他の症状の治療のため、患者体内の対象部位に患者に対して一つ以上の角度または方向付けから供給するよう設計されている。装置100はガントリ102を備え、ガントリ102は放射線治療装置100の他の構成要素を取り付け支持するための通常半球状または円錐台状の支持フレームを含む。ガントリ102の実施形態の構造および操作の追加の詳細は、ここに参照としてすべてを取り入れる米国特許第4,917,344号および同第5,039,057号において見出すことができる。
【0026】
また、装置100は、ガントリ102およびノズル104がガントリアイソセンタ120の回りを比較的精度よく回転できるようガントリ102により取り付け支持されるが、基準から、らせん回転したり、撓んだり、他のひずみを受けるノズル104を備える。また、装置100は、加速陽子線のビームのような放射線ビームを放射線ビーム軸140に沿って供給する放射線源106を備える。放射線ビームは、供給軸142に沿って供給される治療上有効なビームを規定するため、アパーチャ110を通過し、アパーチャ110で整形される。アパーチャ110はノズル104の末端に位置し、好ましくはアパーチャ110を治療上有効な放射線治療の患者の詳細な処方に具体的に設定すると良い。ある応用例においては、異なる治療部分に対して複数のアパーチャ110を準備する。
【0027】
また、装置100は、本実施形態において、図2Aで示した伸長位置と図2Bで示した格納位置間のガントリ102に対して格納可能な一つ以上のイメージャ112を備える。一実施形態において、イメージャ112は、患者の体を通過した入射X線放射線からのような画像情報を作成できる市販のソリッドステートアモルファスシリコンX線イメージャを備える。イメージャ112の格納可能な態様は、イメージャ112が必要でない時、放射線源106の供給軸142からイメージャスクリーンを引っ込めることによりイメージャ112を放射線源106からの潜在的に有害な射出の経路の外に配置し、それによってイメージャ112に与えられる遮蔽の必要性が減らせることに加えて、ガントリ102囲い内部に追加のあきを提供する利点がある。
【0028】
また、装置100は、介在した患者組織を通過しイメージャ112により介在した物質の放射線画像を生成するよう一つ以上のX線源軸144に沿って選択的に適正なX線放射線を放射する対応する一つ以上のX線源130を備える。撮影のためのX線源130および治療のための放射線源106により好ましく用いられる特殊なエネルギー、線量、持続時間および他の露出パラメータは、異なる応用例毎に変わるが、当業者により直ちに理解され、決定されるであろう。
【0029】
本実施形態において、X線源130の少なくとも一つはX線源軸144が供給軸142と公称上一致するよう位置決め可能である。本実施形態は名目上治療配置と同じ配置から位置照合のための患者画像を作成する利点を提供する。また、本実施形態は、第一のイメージャ112、X線源130対、第二のイメージャ112およびX線源130対を実質的に互いに直交して配置する態様を含む。本実施形態は以下により詳細を述べるように、位置照合精度を増すため患者像を二つの直交する面で取得することができる利点がある。撮影方法は、ここに参照として取り入れる米国特許第5,825,845号および同第5,117,829号に記載された方法と同じとすることができる。
【0030】
また、装置100は、患者位置決め装置114(図3)および患者位置決め装置114の末端または作業末端に取付けられる患者ポッド116を備える。適正な動作指示を受けると、患者位置決め装置114は、複数の並進回転軸で患者ポッド116の位置決めに適応し、好ましくは運動の全6自由度を患者ポッド116の配置に提供するよう三つの直交する回転軸に加え三つの直交する並進軸で患者ポッド116の位置決めを可能とする。
【0031】
患者ポッド116は、患者ポッド116に対する患者に関連するあらゆる動作を実質的に抑制するよう患者を確実に患者ポッド116の定位置に保持するよう構成する。種々の実施形態において、患者ポッド116は、固定装置および/または材料としての拡張可能なフォーム、バイトブロックおよび/または前面を覆うフェースマスクを備える。患者ポッド116はまた治療部分が患者ポッド116の境界または遷移域での実施を示す際に遭遇する困難を減らすよう構成するのが好ましい。患者位置決め装置114および患者ポッド116の所望の実施形態の他の詳細は、ここに参照としてすべてを取り入れる「モジューラ患者支持システム」と題する本願と共に同時に出願された共に譲受される出願(継続番号不詳、弁護士明細書番号LOMARRL.128VPC)で知ることができる。
【0032】
前述したように、装置100のある応用例において、陽子線ビーム治療装置を備える場合のように、患者ポッド116および患者位置決め装置114により支持される患者体内の対象組織に対して放射線源106により供給される治療上有効なビーム供給軸142の精度の良い相対位置決めおよび方向付けは、装置100の重要な目的である。しかしながら、前述したように、ガントリ102、ノズル104、放射線源106、イメージャ112、患者位置決め装置114、患者ポッド116およびX線源130等装置100の種々の構成要素は、ビームの患者への精度の良い供給に影響しうる公称位置および方向付けからある量の構造的な屈曲および動作公差を受ける。
【0033】
図1Aおよび1Bは装置100のある構成要素の異なる配置を示し、装置100内でおこりうる公称からの並進および回転両方のずれを破線矢印で示す。例えば、図1Aに示した実施形態において、ノズル104および第一のイメージャ112は実質的に水平に伸長し重力により特にそれぞれの末端で曲げられる。第二のイメージャ112は実質的に垂直に配置され、第一のイメージャ112の水平曲げを受けない。図1Bは、図1Aの方向付けからおおよそ45度反時計回りに回転した異なる配置の装置100を示す。この方向付けで、ノズル104に加え両イメージャ112が重力下で曲げられが、図1Aに示した方向付けよりも程度は異なる。図1Aおよび1Bで示したように、異なる方向付け間でのガントリ102の動作でまた装置100の構成要素は動作表面で機械的公差を受ける。公称からのこれらずれは少なくとも部分的には予知不可能で反復できず付加的であるため、予測ベースでのずれの補正は非常に難しく、全体的なアラインメントの精度を制約する。装置の公称方向付けからのこれらずれは単なる例であり、誤差の多くの原因のいずれもここに開示した装置で本発明の技術的思想の範囲内で対処できることがわかるであろう。
【0034】
図4A乃至4Eは、アイソセンタ120での、例えば、ノズル104および患者の対象組織の位置合わせの手順において存在し得る潜在的なあいまいさまたは誤差の実施形態をより詳細に示す。図4A乃至4Eは、ある距離および位置に関するあいまいさまたは誤差の原因を示す。
【0035】
前述の誤差の原因は、示された実施形態の装置100により対処した種類の誤差を単に説明するものであり、前述の装置100が追加の誤差に対処できることがわかるであろう。本実施形態において、距離SADは、理想的にはアイソセンタ120を通過する放射線源106からガントリの回転軸までの距離として定義される。相対尺度および距離の説明および理解のため、本実施形態ではSADはおおよそ2.3メートルに等しい。
【0036】
図4Aは、誤差の潜在原因の一つが放射線源106の真の位置が推定または公称位置から片寄った放射線源誤差であることを示す。本実施形態において、放射線源106から供給される治療上有効な放射線ビームはビームをセンタリングする役目を果たす二つの伝送電離箱(TIC)を通過する。これらはTIC1およびTIC3として示されまたノズル104に取り付けられる。放射線源誤差は、TIC1および/またはTIC3において観察されるようなビームの動作、真のガントリ102回転角度における誤差および回転する際のガントリ102周囲からの”エッギング“または歪みによる誤差を含む多数の原因から発生しうる。図4Aは、推定または公称位置からの放射線源106の真の位置の片寄りと、アイソセンタ120で対応する誤差を生じるSAD距離の端から端までのアパーチャ110を経た放射線ビームの伝達とを備える放射線源誤差を示す。
【0037】
図4Bは、TIC1,放射線源106およびTIC3が公称ガントリアイソセンタ120を通過する理想ビーム軸からの片寄りであるTIC位置誤差に起因する起こりうる誤差を示す。図4Aおよび4Bで示した誤差はランダムで関連がないと推定されるので、アイソセンタ120に投射された放射線源106誤差による全体の誤差寄与を定めるため、誤差を求積で一体化し、アパーチャ110の推定公称中心を投射することができる。本実施形態において、正しい測定(より詳細は以下に記載する)に先立って、放射線源誤差は、おおよそ±0.6mmから±0.4mmの範囲とすることができる。
【0038】
図4Cはアパーチャ110位置による誤差またはあいまいさを示す。放射線源106の位置は公称と推定される。しかし、誤差またはあいまいさは、アパーチャ110自身の製造公差とノズル104の公差積み重ね、ゆがみおよび屈曲との両方により導入される。また,放射線源106から公称アイソセンタ120の距離SADの端から端まで投射されるので、ビーム供給目標点(BDAP)誤差は、推定公称BDAPと実際のBDAPの間にあると推定される。本実施形態において、アパーチャ110位置の誤差から生じるこのBDAP誤差はおおよそ±1.1mmから±1.5mmの範囲にある。
【0039】
装置100は、また、図4Dおよび4Eに示したようにX線源130に加えイメージャ112の位置決めによる誤差を受ける。図4Dは公称と推定される相当X線源130の位置に対するイメージャ112位置のあいまいさによる誤差を示す。X線源130からの放射は実質的にアイソセンタ120に位置すると推定される患者を通過しイメージャ112に向かうので、この距離はSAD距離と異なり、本実施形態では2.2mmに等しい。イメージャ112の真の位置における誤差またはあいまいさは、DRRsに対するイメージャ112により取得した画像の位置照合誤差に加えイメージャ112の真の位置の横シフト、対応するX線源130に対するイメージャ112の軸シフトによる誤差から生じる可能性がある。本実施形態において、補正前の各イメージャ112による誤差はおおむね±0.7mmである。
【0040】
同様に、図4Eは公称と推定される相当イメージャ112の位置に対するX線源130の位置決めのあいまいさによる誤差を示す。X線源130による誤差の推定原因には、X線源130の初期位置合わせによる誤差、X線源130のビーム線内およびビーム線外への移動から生じる誤差、たわみのとらえ方およびTIC1とTIC3の相対距離による誤差がある。これら誤差はまたランダムで関連がないまたは独立していると推定され、従って、求積に加えられ、本実施形態において、おおよそ±0.7mmの各X線源130による誤差となる。
【0041】
これら誤差はランダムで独立しており関連がない、従って潜在的に付加的であるので、本実施形態において、装置100は,また,これら誤差の評価および補償を容易にするため複数の外部測定装置124を備える。一実施形態において、装置100はまた図2A,2B,6および7で示したように外部測定装置と協同するマーカー122のようなモニュメントを備える。各外部測定124装置は、装置100の一つ以上の構成要素の空間におけるここでは“ワールド”132とも称する一つ以上の固定ランドマークに加えモニュメントにより示される三次元位置についての測定情報を取得する。
【0042】
本実施形態において、外部測定装置124は、視界126内の治療対象光学画像を独立して取得し、本実施形態においておおむね水平に85°垂直に70°であるメガピクセル解像度と200から1000Hzのフレームレートを有するCMOSデジタルカメラのような市販のカメラを備える。デジタルカメラを構成する外部測定装置124は、例えば、ViconMotion System Inc.CA.LakeForrestのVicon Tracker systemのコンポーネントとして市場で入手できる。しかし、他の実施形態において、外部測定装置124は、本実施形態の光学カメラに加えまたは代替としてレーザー測定装置および/または無線位置装置から構成できる。
【0043】
本実施形態において、マーカー122は、装置100の各種構成要素に固定する球状の高度に反射するランドマークを備える。本実施形態において、少なくとも三つのマーカー122を対象装置100の各構成要素に固定し、治療対象の近くに、好ましくは、例えば、センターラインから等距離でなくまたコーナーで均等でない、非対称に配置する。外部測定装置124は、少なくとも二つの外部測定装置124がその視界内に装置100の特定の構成要素と対応するマーカー122を有するよう配置され、一実施形態において、合計10個の外部装置を備える。この実施態様は、双眼の視力を備える性能を装置100に付与し、装置100が装置100の構成要素の位置および方向付けをより精度よく決定可能とする。マーカー122を備え、マーカー122を付けた治療対象の位置および方向付けの認識と正確な決定を容易にする。しかし、外部マーカー122を使用しない装置100を備える他の実施形態においては、装置100は治療対象の端または角のような特徴的な外部輪郭を備えるモニュメントに基づく位置情報を取得するため外部測定装置124を使用する。
【0044】
図5は装置100の構成要素の空間的位置と角度を成す方向付けを決定する一実施形態を示す。対象の構成要素は、ガントリ102、ノズル104、アパーチャ110、イメージャ112、ワールド132または他の構成要素であってよく、参照が全体になされる「治療対象」に対して説明する。その治療対象について記載した工程を複数の治療対象と平行してまたは連続して進められることがわかるであろう。開始ステートに続き、ステート150において、装置100は各々とワールド132を基準として複数の外部測定装置124を較正する。較正ステートにおいて、装置100は各外部測定装置124の空間的位置と角度を成す方向付けを決定する。装置100は、また、専用L−フレームで定義可能で装置100の空間原点または基準系を定義できるワールド132の位置を決定する。もちろんワールド132は実質的に外部測定装置124の視界内に固定される任意の構成要素または構造体から構成可能である。従って、装置100の結果として移動あるいは偏向しそうにない構造体は、外部測定装置124のためのワールド132または基準点を構成可能である。
【0045】
一つ以上のマーカー122を含むことができるワンドを外部測定装置124の視界内で動かす。外部測定装置124は、複数の外部測定装置124(本実施形態において少なくとも2個)が任意の時間に視界126内の装置100の作用面積内に治療対象を有するように配置されるので、装置100は各外部測定装置124から独立して与えられた位置および方向付け情報を互いに関連付け、複数の外部測定装置124が次の較正に整合する独立の位置および方向付け情報を与えるよう補正要因を決定する。外部測定装置124を較正する個々の数学的ステップは、使用する座標系に加え、装置の数、相対間隔、相互の幾何学的方向付けおよびワールド132に依存し、個々の応用例間で変わり得るが、当業者には理解されるであろう。また、ある応用例において、外部測定装置124またはワールド132の一つ以上が較正に追従して動く場合、較正ステート150の繰り返しが必要なことがわかるであろう。
【0046】
較正ステート150に続いて、ステート152で複数の外部測定装置124は対象の治療対象の画像を取得する。ステート152で得られた画像から、装置100はステート154で治療対象を撮影する各対応する外部測定装置124からの治療対象に対する対応する方向ベクトル155を決定する。これを、その各々の視界126内に治療対象を有する外部測定装置124a−dに対応するベクトル155a−dとして図6に示す。そして、ステート156において、装置100はステート154で決定したベクトル155(図6)が交差する空間の点を較正する。それにより、ステート156は、その位置で交差する複数のベクトルに対応する治療対象に関してワールド132を基準にして、空間の三次元位置を復帰させる。治療対象には三つ以上の動作またはマーカー122が備わったため、装置100は、また、治療対象に関連する個々のマ−カー122の相対位置を評価することにより三次元の角度を成す方向付けを決定する。この実施において、外部測定装置124はカメラを備えるが、本発明の趣旨内において、多くの異なる装置の任意のものを撮影、例えばモニュメントの位置の決定、のため使用できる。特に、可視波長エネルギ、非可視波長エネルギおよび超音波を含む電磁エネルギまたは可聴周波エネルギを放射または取得する装置を撮影またはモニュメントの位置決定のため用いることができる。
【0047】
治療対象に関して決定した位置および方向付け情報をより詳細を以下に記載する装置100で使用するためステート160に提供する。一実施形態において、較正ステート150はおおよそ1分以内で行うことができ、装置100は待ち時間10分でステート152,154,156および160における治療対象の位置を0.1分以内、また、治療対象の方向付けを0.15分以内に決定できる。前述したように、他の実施形態において、外部測定装置124はレーザー測定装置、無線位置装置または上述した外部測定装置124に加えてまたは代替として外部測定装置124への方向または外部測定装置124からの距離を測定できる他の装置から構成することができる。従って、ある実施形態においては、単一の外部測定装置124で治療対象に対する範囲と方向の両方を決め、治療対象の位置と方向付けを決定できる。他の実施形態においては、外部測定装置124は治療対象に距離情報のみを提供し、空間の治療対象の位置は、対応する外部測定装置124に集中した複数の事実上球の交点の決定により決定される。
【0048】
ある実施形態において、装置100は、また、一つ以上の局部位置フィードバック装置またはリゾルバ134(例えば図1参照)を備える。局部位置フィードバック装置またはリゾルバ134はガントリ102、ノズル104、放射線源106、アパーチャ110、イメージャ112、患者位置決め装置114、患者ポッド116および/またはワールド132のように装置100の一つ以上の構成要素内に組み入れるか一つ以上の構成要素と通信する。局部位置フィードバック装置134は装置100の関連構成要素に関係する独立の位置情報を提供する。種々の実施形態において、局部位置フィードバック装置134は回転エンコーダ、線形エンコーダ、サーボまたは市場で入手可能な他の位置インディケータから構成され、その操作は当業者によく理解されている。局部位置フィードバック装置134は、患者をより精度よく位置決めするため、外部測定装置124により提供された情報に加え装置100が活用できる独立した位置情報を提供する。
【0049】
装置100は、また、本実施形態において、治療対象に関してステート160において提供された位置情報を使用する精密患者位置合わせシステム200を備える。図8で示すように、精密患者位置合わせシステム200は、6Dシステム204と通信する指示および制御モジュール202と、患者位置照合モジュール206と、データファイル210と、動作制御モジュール212と、安全モジュール214と、ユーザインターフェース216とを備える。患者位置合わせシステム200は、6Dシステム204により提供される位置情報を使用し、より精度よく患者を位置照合し、ノズル104および患者位置決め装置を動作し、データファイル210により提供された患者の処方により指示されるような所望の治療姿勢を実現する。
【0050】
本実施形態において、6Dシステム204は、外部測定装置124およびワールド132として図9に示した一つ以上の固定ランドマークの位置に加え、ノズル104、アパーチャ110、イメージャ112、患者位置決め装置114および患者ポッド116の現在位置に関連するリゾルバ134から位置データを取得する。固定ランドマークまたはワールド132は不可動原点または基準系を提供し、放射線治療装置100の駆動構成要素の位置の決定を容易にする。この位置情報を一次6D位置測定装置220に提供し、次に一次6D位置測定装置220は外部測定装置124およびリゾルバ134からの観察データを使用し、第一基準系のこれら5つの構成要素および原点の位置および方向付け座標を計算する。この位置情報は座標変換モジュール224とアービトレーションモジュール226を備える6Dコーデイネーションモジュール222に提供される。座標変換モジュール224は、指示および制御モジュール202、経路計画に対する動作制御および衝突回避モジュール212のような患者位置合わせシステム200と通信する。
【0051】
患者の位置照合や治療実施工程の段階にもよるが、患者位置合わせシステム200の他のモジュールは、放射線治療装置100の現状構成の位置要求に対して6Dシステム204に対してコールを出すことができる。患者位置合わせシステム200の他のモジュールも6Dシステム204に対して座標変換要求のようなコールを出すことができる。通常、そのような要求には特定基準系における位置データの提供、データが提出される基準系の指示およびコーリングモジュールが変換された位置データを所有したい所望の基準系が含まれるであろう。この座標系変換要求は、特定基準系において提出データの適切な計算をおこない、データを所望の基準系に変換し、これを患者位置合わせシステム200のコーリングモジュールに復帰させる座標系変換モジュール224に提出される。
【0052】
例えば、放射線治療装置100は、患者位置決め装置114の動作が正しく患者を位置照合していると決定しても良い。例えば、X軸に沿って+2mm、Y軸に沿って−1.5mm、Z軸に沿って変化なしおよび縦軸の回りに正の1oの回転の変換が判明する。データが座標変換モジュール224に提出され、次に座標変換モジュール224はデータを操作し対応する動作指示を患者位置決め装置114に戻す。正確な座標変換が、例えば、装置100の他の構成要素に対する患者位置決め装置114の正確な構成や寸法および患者位置決め装置114の相対位置により装置100の具体的なインプリメンテーションを変えるであろう。しかし、そのような座標変換は、特殊な応用例に関する当事業者により簡単に決定できる。
【0053】
アービトレーションモジュール226は、位置要求を取得次第具体的な治療対象の位置情報を提供することにより動作制御モジュール212の操作を支援する。二次位置測定装置230は、放射線治療装置100の各種構成要素に対して代替またはバックアップ位置測定機能を提供する。一実施形態において、二次位置測定装置230は、初期の位置および指示動作に基づく予測位置情報を使用する従来の位置決め機能を備える。一実施形態において、一次位置測定装置220は、外部測定装置124から情報を取得し、二次位置測定装置230は、レゾルバ134から独立した位置情報を取得する。一般的にいえば、6D測定装置220が、位置決め精度およびスピードの前述した利点のため一次位置決めシステムとして動作するのが好ましい。
【0054】
図10は患者位置合わせシステム200の患者位置照合モジュール206をより詳細に示す。前述したように、6Dシステム204はテーブルまたは患者ポッド116およびノズル104を含む放射線治療装置100の各種構成要素の位置測定値を取得し、これら各種構成要素の位置座標を決め、それらを所望の基準系の中に示す。データファイル210は計画または処方セッションで前もって取得した治療計画およびCTデータを含む患者の治療処方に関する情報を提供する。この患者のデータはデータコンバータ232で構成され、データを好ましい形式で表す。イメージャ112はまた位置情報を撮像モジュール236に加え6Dシステム204に提供する。撮像モジュール236はイメージャ112から生の画像を取得し、このデータをフィルタリング、露出補正、スケーリングおよびクロッピング等により処理し、補正画像データを位置照合アルゴリズム241に提供する。
【0055】
この実施形態において、CTデータはトランスグラフ作成モジュール234により中間処理段階を経て、CTデータを位置照合アルゴリズム241に提供されるトランスグラフに変換される。トランスグラフは中間的なデータ表示で、DRRsの生成速度を上げる。位置照合アルゴリズム241はトランスグラフ、治療計画、6Dシステム204により提供される現在の治療対象の位置およびイメージャ112からの補正画像データを使用し、位置照合姿勢を決め、その情報を指示および制御モジュール202に提供する。位置照合アルゴリズム241はイメージャ112からの補正データをできるだけ近くあるいは指定した公差内で適正なDRRと調和させ所望の姿勢を確立するか患者を位置照合しようとする。指示および制御モジュール202は、現状の位置照合姿勢を評価し、指示または要求を出し、放射線治療装置100の構成要素の一つ以上の動作を誘導し、この所望の姿勢を実現する。適切な位置照合アルゴリズムに関する追加の詳細はCarnegieMellon Universityに「加速体積レンダリングを用いる繰返しX線/CT位置照合」の表題で2001年5月に提出されたここに参照としてすべてを取り入れるDavidA. LaRoseの既刊の博士学位論文で見出すことができる。
【0056】
図11乃至13は、装置100が動作する実施形態を示す。図11は指示および制御モジュール202が装置100の一つ以上の構成要素の動作を呼び出したことを示す。ステート238において、動作制御モジュール212は6Dシステム204から現在位置構成を検索し、この位置構成に経路計画モジュール240に対する新しく要求された位置構成を提供する。経路計画モジュール240は、放射線治療装置100の種々の構成要素の予想される動作により定義される位置囲いを示す三次元モデルデータのライブラリーを備える。例えば、前述したように、イメージャ112は格納でき、3Dモデルデータモジュール242はイメージャ112がその現状および最終位置に依存して動作できる空間の囲いまたは体積を示す。
【0057】
経路計画モジュール240は、また、3Dモデルデータモジュール242からデータを取得し、このデータに基づき放射線治療装置100の各種構成要素に関して動作シミュレーションを計算できる治療対象動作シミュレーター244を備える。この治療対象動作シミュレーター244は、図12で示したように好ましくは衝突回避モジュール270と協同して動作する。図12は、また、本実施形態において、固定ランドマークまたはワールド132に加え、アパーチャ110、イメージャ112、ノズル104、患者位置決め装置114および患者ポッド116の位置測定値を取得する6Dシステム204の操作の一実施形態を示す。図12は、また、本実施形態において、局部フィードバックが患者位置決め装置114、ノズル104、イメージャ112およびガントリ102の角度に対応するリゾルバ134から得られていることを示す。
【0058】
この位置情報を治療対象位置データライブラリー272の治療対象情報を集める衝突回避モジュール270に提供する。この治療対象データをデータが実証可能かどうかを評価する決定モジュール274に提供する。ある実施形態において、モジュール274の評価は範囲外のデータや例えば複数の治療対象が同じ位置を占めることを示すデータのようなライブラリー272からの治療対象位置データとの予想される矛盾あるいは対立を究明できる。対立または範囲外の状態が決定されると、例えば、停止モジュール274の結果がネガティブの場合、ステート284においてシステム停止を指示し、放射線治療装置100の構成要素の更なる動作を禁止し、適切な対策を取り欠陥を回復または補正する欠陥回復ステート286に進む。欠陥回復ステート286が完了すると、モジュール272の治療対象位置データライブラリーのデータ検索に戻り、続いてリセットステート290を行う。
【0059】
ステート274の評価が肯定の場合、ステート276が続き、衝突回避モジュール270は現状および予測軌道に沿って相対距離を計算し、この計算した情報を治療対象または放射線治療装置100の構成要素の一つ以上が余りにも近接していないかどうかを決定するエバリュエーションステート280に提供する。ステート280の評価が否定的であり、例えば、現状位置および予測軌道が衝突のおそれを示さない場合、休眠または休止ステート282が続き、その間放射線治療装置100の一つ以上の構成要素の動作は指示に応じて継続でき、指示に応じてモジュール272、276、280および282を通って再帰的シーケンスに進む。
【0060】
しかし、エバリュエーションステート280の結果が肯定の場合、例えば、治療対象の一つまたはそれ以上が余りにも近接または予測軌道がそれらを衝突させる場合、ステート284のシステム停止は前記に従い欠陥回復286およびリセットステート290で実施される。従って、衝突回避モジュール270は、放射線治療装置100が現状および予測位置と装置100の可動構成要素の動作軌道両方の予防的な評価を行うことを可能にし、衝突が起こる前または更に開始前に予測される衝突を軽減する。これは、例えば、停止起動で動作停止し、かなりの慣性を有する比較的大きく強力であるおそれがある動作構成要素に対する障害の防止または装置のユーザーまたは患者に対する危害の防止に対しては不適切であるかもしれないコンタクトスウィッチで起こされる動作停止を採用するシステムにとって有利である。
【0061】
衝突回避モジュール270と協同する際の治療対象動作シミュレーションモジュール244は指示動作が衝突リスクを引き起こさないであろうことを示すと仮定して、放射線治療装置100の一つ以上の構成要素の指示動作ベクトルを評価し、本実施形態において、これら動作を五つの変換モジュールによってシーケンスする動作シーケンスコーディネータモジュール246に実際の動作指示を送る。特に、変換モジュール250,252,254,260および262は、指示動作ベクトルを、与えられた基準系から患者位置きめ装置114、ガントリ102、X線源130、イメージャ112およびノズル104のそれぞれに適切な指示基準系に変換する。
【0062】
前述したように、放射線治療装置100の各種可動構成要素は異なる寸法だと想定でき、異なる制御パラメータに従う、そして、変換モジュール250,252,254,260および262は第一基準系における運動ベクトルを放射線治療装置100の対応する構成要素向けの適切な基準系に相互に関係づけまたは変換する。例えば、本実施形態において、ガントリ102は軸の回りに時計回りと反時計回りの回転が可能であり、一方、患者位置決め装置114は6個の並進および回転動作自由度で位置決め可能で、従ってガントリ102に比較し動作指示に対し異なる基準系で動作する。放射線治療装置100の各種構成要素に関する外部測定位置情報を利用することにより、動作シーケンスコーディネータモジュール246は、簡単で効率的で安全な方法でこれら構成要素の動作を効率的に計画できる。
【0063】
図14は患者位置合わせシステム200を備えた放射線治療装置100の操作の一実施形態のワークフローまたは方法300を示す。開始ステート302から、提供される個々の患者および治療ポータルを確認する確認ステート304に続く。これは治療処方検索ステート306に続き、ステート304および306の確認および治療処方の検索はユーザーインターフェイス216により、モジュール210のデータファイルにアクセスし行うことができる。次に、患者を患者ポッド116に入れ患者位置決め装置114の動作によりステート310の撮影位置に移動し、患者ポッド116に位置決めし、撮影のためのおおよその位置に患者を固定する。また、ガントリ102、イメージャ112および放射線源130をステート312で撮影位置に移動し、ステート314で前述したように外部測定装置124、協同マーカー122およびレゾルバ134を使用し6Dシステム204によりX線撮影軸パラメータを決定する。
【0064】
ステート316において、患者の放射線画像をイメージャ112で撮影し、補正を前述したように必要に応じモジュール236で行うことができる。本実施形態において、二つのイメージャ112と対応するX線源130を実質的に互いに直角をなして配置する。従って、二つの独立した放射線画像が直交した面から得られる。この実施態様は単一面からの放射線画像情報より完全な放射線画像情報を提供する。また、ある実施形態において、ステート316の複数の撮影が追加データを目的として実施できることがわかるであろう。ステート320において、放射線画像取得工程が終了したか否かを決定するため評価がおこなわれ、この決定は、ステート312の動作を継続するネガティブな場合、指示されたようにステート314の決定およびステート316の撮影をし、また肯定の場合、ステート322に続くことになる。
【0065】
ステート322において、外部測定は前述したように6Dシステム204で行われ、前述したように患者位置照合モジュール206により放射線治療装置100の各種構成要素の相対的位置および方向付けを決定する。ステート324において、患者を正しく所望の姿勢に合わせるため動作計算が行われる。
【0066】
治療を施す各事例において必要ないとは言え、この実施形態は、ステート326において患者を指示姿勢に位置決めするステート330における患者位置決め装置114によるような患者の動作に加え治療位置においてガントリ102を位置決めするため或る程度のガントリ102動作が必要なことを示す。これらの動作に続いて、ステート332で再度6Dシステム204を使用し外部測定を行い、ステート334で測定位置を計算および解析し、ステート336で所望の患者の姿勢が所望の公差内で実現したか否かを決定する。患者の正確な位置照合および位置決めがまだ十分に実現されていない場合、ステート340は、ガントリ102および/または患者位置決め装置114を更に動作するために補正ベクトルの計算および適切な基準系への変換へと続く。ステート336の決定が肯定的な場合、例えば、患者が所望の姿勢に十分に位置決めされた場合、ステート342において患者の処方に従い放射線治療部分が可能となる。ある患者の処方に対して、治療セッションが複数の方向付けからの治療のような複数の治療部分を必要とし、方法300の該当する部分を複数の処方された治療部分に対して繰り返してもよいことが理解されるであろう。しかし、説明を簡単にするため、単一の繰り返しを図14において説明する。従って、ステート342の治療に続いて、その日または特定の一連の治療についてその患者に対する治療の完了から構成できる終了ステート344が続く。
【0067】
従って、患者位置合わせシステム200を有する放射線治療装置100は、装置100の可動構成要素を直接測定することにより、これら各種構成要素の位置決めをより精度よく決定し制御するため測定フィードバックを採用する。装置100の著しい利点は、治療を施すセッションにおいて、患者を既知の装置で可能な位置照合よりもより精度よく位置照合でき、繰返し連続の放射線画像撮影、患者の再位置決めおよびその後の放射線画像撮影とデータ解析がないことである。このことは、治療上有効な放射線のより精度の高い供給、位置照合、撮影および位置決め工程の待ち時間の著しい減少と、それによる治療セッション中の複数X線照射のニーズの減少による放射線画像撮影中の患者のX線放射線への照射の減少に加え可能な患者のスループットの増加の両方の著しい利点を提供する。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は、これら実施形態に適用したように本発明の基本的で新奇な特徴を示し、説明し、そして指摘したが、示した装置の詳細の形態において、本発明の趣旨の範囲内で種々の省略、代替および変更が当事業者により可能であることがわかるであろう。従って、発明の範囲は上記の説明に限定されるべきでなく、添付の特許請求の範囲により定義される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、「精確な患者位置合わせおよびビーム治療システム」と共に称する2003年8月12日出願の米国予備出願第60/494,699号および2004年6月10日出願の米国予備出願第60/575,095号の利益を主張し、それらはすべて参照として組み入れられている。
【0002】
本発明は、放射線治療装置の分野、より詳細には患者の位置決めおよび位置合わせシステムに関し、本発明のある実施形態は、外部測定装置と局所位置フィードバックを含む。本発明の実施形態は、改良した患者位置合わせおよび位置決め精度を提供する。他の実施形態は、機械的動作公差や厳密に剛構造でない等の要因による位置合わせ不良を補償する。更に他の実施形態は、動作経路計画、効率的な動作を容易にするための衝突回避および改善した安全性を提供する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療装置は、既知であり、多種多様な症状を患う患者に治療を施すために使用される。放射線治療は、代表的には癌組織のような望ましくない組織の死滅または成長の阻害のために使用される。決められた量の高ネルギ−電磁放射線および/または高ネルギ−粒子を望ましくない組織を損傷する目的で、望ましくない組織に誘導し、所望のまたは健康な組織に対する意図しない障害を減らしながら、放射線をその組織を通り望ましくない組織へ伝える。
【0004】
陽子線治療は、多様な症状に特に有効な治療法として出現した。陽子線治療において、正電荷陽子亜原子粒子は、加速され、密集束ビームに視準され、患者体内の指定対象部位に誘導される。陽子は、患者組織に対して電磁放射線や低質量電子荷電粒子より横方向の衝突の分散がより小さく、従ってビーム軸に沿ったより正確な照準と供給が可能となる。また、患者組織に対する衝撃において、加速陽子は、相対的に低エネルギ−転移で近位の組織を通過し、加速質量の運動エネルギ−のかなりの部分が患者体内の比較的狭い透過深さの範囲内に投入する特有のブラッグピークを示す。これは加速陽子粒子から指定対象部位を越えて位置する”ダウンレンジ”組織に加え対象部位と陽子線治療機の供給ノズルの間に介在する健康な組織へのエネルギ−の供給を減らす顕著な利点を提供する。特定の患者に対する効能とその症状にもよるが、治療上有効な陽子線ビームの供給は、介在する所望の/健康な組織の副次照射線量を減らしながら対象部位に供給する総計線量を実現するため好ましくは複数の治療部分において複数の方向からおこなうのが良い。
【0005】
従って、陽子線ビーム治療装置等の放射線治療装置は、通常陽子線ビームに対して患者を複数の方向に位置決めおよび位置合わせする準備をしている。患者内部に好ましい陽子線ビームの照準点を決めるための代表的な手順は、初期計画段階または処方段階において複数のデジタル再生放射線写真(DRRs)を決定できるコンピュータ断層撮影(CT)走査を行うことであった。DRRは、複数の方向付けから考慮した二次元表示でのCTスキャンから取得した患者の内部生理学的構造を表す三次元データを合成して示し、従って、照射する組織の対象画像としての機能を果たすことができる。治療を行う組織に対応する所望の対象アイソセンタが指定される。対象画像において示したように患者(モニュメント)の生理学的構造に対して対象アイソセンタの空間位置を基準とすることができる。
【0006】
放射線治療を施す次の段取りとして、既知のX線像のような患者の放射線画像を取得し、この放射線画像を、指定対象アイソセンタを基準として対象画像と比較または位置照合する。患者の位置をできるだけ近接または一定の公差内になるよう調節し、医師の処方で示したように対象アイソセンタを放射線ビームに対して所望の姿勢に位置合わせする。所望の姿勢はしばしば初期計画または処方スキャンの姿勢として選択される。
【0007】
所望の対象アイソセンタに対して放射線ビームの位置合わせ不良を減らし、所望の治療上有効な恩恵を得、他の組織の望ましくない照射を減らすため、ビームノズルに対する患者の配置精度がこれら目的達成のため重要であることがわかるであろう。特に、対象アイソセンタは、回転の態様において患者を所望の姿勢に配置するため正確な位置に位置決めされ、同時に供給ビーム軸と一致するよう並進して位置決めされる。特に、ブラッグピークの空間位置は深さ同様供給陽子線ビームのエネルギ−およびビームが通過する組織構成の両方に依存するので、たとえ並進し位置合わせされても、対象アイソセンタの回りの患者の回転は、初期衝撃ポイントと患者体内に位置する対象アイソセンタ間の組織の変化深さと基盤を表すことができ、それにより透過深さを変えられることがわかるであろう。
【0008】
位置合わせおよび位置決めについての更なる困難は、一般に放射線治療療法が、数週間にわたって投与する日毎の治療のようなある期間にわたって投与する複数の別個の治療セッションにより行われる事にある。従って、ビームに対して患者の所望の姿勢への位置決めに加え患者および対象アイソセンタの位置合わせが通常繰返し決定され、数日または数週間の期間にわたり複数回実施される。
【0009】
放射線治療装置に対しこの患者位置決めを精度よく行う場合いくつかの困難がある。前述したように患者の位置照合は、放射線治療供給部位の現在の治療セッションにおける患者の放射線画像を取得し、この得られた画像と患者に対し特定の治療処方を指示するのに使用される以前に取得したDRRまたは対象画像を比較することにより行われる。患者は放射線治療装置内で移動し位置を変えたので、患者の正確な位置および姿勢は治療セッションから治療セッションに正確に反復されず、また対象画像を生成した正確な位置および姿勢、例えばオリジナルCTスキャンがDRRsを生成した方向付け、にも反復されないであろう。従って、各治療セッション/分画は、通常精度よく引き続き取得した放射線画像を該当の相当するDRRと整合させることを伴い、補正の並進および/または回転ベクトルの決定を推進し、患者を所望の位置および姿勢に位置決めする。
【0010】
そのような操作で引き起こされる測定や計算の困難さに加え、精度と同様に実行のスピードが要望されている。特に、放射線治療装置は、建設に必要な材料および機器と装置を操作および維持する比較的高度に訓練された要員が必要であるという両方の理由のため、建設および維持するには高価な医療機器である。また、陽子線治療のような放射線治療は、多種多様な症状に対して次第に効果的な治療であることが判明し、従って、治療代金を支払う患者または保険会社に対する限界コストの削減を始めとして、この有益な治療の利用をより多くの治療の必要な患者への拡大と治療流通プロバイダーの収益性増加の両方のため、患者のスループットを増やすことが所望の。一度患者を適切に位置決めすると放射線量の実際の供給は比較的速い工程なので、治療装置からの患者の出入り、撮影および患者の位置決めや位置照合におけるあらゆる付加的な待ち時間が全体的な患者のスループットを損ね、それによりシステムの有用性、コストおよび収益性が損なわれている。
【0011】
ビームノズルに対して患者および対応する対象アイソセンタを所望の位置および姿勢に精度よく位置決めすることに伴う更なる困難は、放射線治療装置の各種構成要素の正確な位置および相対的な角度における多彩で付加的な不確実性にある。例えば、窮屈なまた不自由な位置決めを望まない患者自身に対して、ビームノズルをガントリセンタ回りに回転可能とし、各種角度から放射線ビームの供給を容易にするためビームノズルを比較的剛性のガントリ構造に固定することができる。しかし、ガントリ構造は、相対的に大きく(数メートルのオーダー)嵩高で厳密には剛性でない材料で作られているので、ノズルがガントリ回りを回転する際、必然的にいくらかの構造的な屈曲/歪や反復できない機械的公差が存在する。更に、ノズルは、ノズルの遠心放射端がある程度屈曲可能な、例えば、ノズルが頭上の垂直位置から水平位置に移動時のビームの横斜めの供給のような、また厳密には剛性でない伸張する配分質量として構成していることがある。また、正確なノズル位置の正しい識別がガントリと共に回るコルクで複雑化しかねない。
【0012】
同様に、患者を支持ポッドまたはテーブル上に配置しても良く、それを患者位置決め装置に連結しても良いが、可能な患者の姿勢範囲のいたるところで必ずしも一致する必要のない両者は、動作する接合部での機械的公差に加え重力荷重下である程度機械的に屈曲を受ける。これら変動のある程度の見積りおよび測定は可能であるが、一方、それらは通常変化しやすく反復できないので、繰返し患者を一貫して位置および姿勢の両方で多数の治療セッションにわたり予測ベースでミリメートル以下の精度のような狭い精度限界に位置決めすることはかなりの挑戦である。従って、ガントリや患者テーブルの位置決め不良に対処する既知の方法は、治療前に患者を再位置照合することである。患者を撮影のため、追加のX線照射にさらし、再位置照合により付加された待ち時間による全体的な患者のスループットが減少するようなことは望ましくない。
【0013】
放射線治療装置の可動構成要素は、かなり大きく嵩高になる傾向にあり、それにより各種構成要素の電動動作が必要になっている。構成要素が動作中かなりの慣性を持ち概して電動駆動に向かっているので、障害や危害を抑制する安全システムを備えるとよい。安全システムはコンタクトスイッチによる電源遮断を含むことができる。コンタクトスイッチは動作限界の動作停止範囲で起動し、モータを駆動する電源を遮断する。また、ハード動作停止またはリミッターを備え、設定範囲を超える動作を物理的に妨げることもできる。しかし、コンタクトスイッチやハードストップは対応する構成要素が動作限界に達した時に起動し、従って、機械装置に磨耗を加え、もし過剰に嵌合すれば障害さえ引き起こすかもしれない比較的突然の動作停止を課す。また、特に複合動作する構成要素を含む応用例においては、コンタクトスイッチおよび/またはハードリミッターの動作停止の構成は、複数の構成要素間の衝突を阻止するためかなり複雑で、衝突回避を単純化するため構成要素が一度に一つが動作するよう限定した場合、全体的なシステム操作が非能率になることがある。
【0014】
上記から、患者位置照合過程の精度とスピードを上げる必要があることがわかるであろう。また、所望の姿勢を得るための反復撮影や患者の再度の方向付けを減らすことも必要である。更に、放射線治療装置で患者の位置照合および位置合わせ精度を上げるため、可変で予測困難な位置誤差を説明するシステムも必要である。また、放射線治療装置の複数の可動構成要素を位置決めしながら操作の安全と障害管理を維持するため、衝突回避方法を備える必要がある。更に、患者位置照合の精度と速度を維持するため、動作を効率的に行うことが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述のニーズは、患者と供給した治療上有効な放射線ビーム間の公称の位置および方向付けからの変動またはずれを外部測定し補正フィ−ドバックする患者位置照合システムによる一実施形態で満たされる。この実施形態は、放射線治療設備の固定および可動両方の構成要素の可変で予測困難な機械的公差と構造的な屈曲にただちに適応できる。この実施形態は、治療部分間の患者撮影のニーズを減らし、位置照合過程の待ち時間を減少することで、患者のスループットを増やす。更なる実施形態は、効率的な動作手順を決定し、機器と人の間での衝突を積極的に回避するための動作を調整する動作経路計画システムを含む。
【0016】
他の実施形態は、ガントリと、患者固定装置に対して患者を固定するよう構成される患者固定装置と,患者固定装置を並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者固定装置と相互に接続した患者位置決め置と、ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、少なくとも患者固定装置とノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、少なくとも患者固定装置とノズルの位置測定値を取得し患者位置決め装置に制御信号を送りビーム軸に対して患者を所望の方向付けに位置決めする制御装置とを備える放射線治療システムである。
【0017】
更なる実施形態は、動作する複数の構成要素を有する放射線治療装置用患者位置決めシステムからなり、位置情報を提供するため複数の構成要素の位置測定値を取得するよう配置した複数の外部測定装置と、患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成された可動患者支持器と、位置決めシステムが複数の構成要素の動作を補償するよう複数の外部装置から情報を取得し可動患者支持器を作動指示し患者を所望の姿勢に位置合わせする制御装置とを備える。
【0018】
他の実施形態は、動作する複数の構成要素を備える装置により治療を施す患者を位置照合および位置合わせする方法であり、患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、複数の構成要素の選定ポイントの位置を外部測定するステップと、観察された初期患者の姿勢と所望の患者の姿勢の間の差ベクトルを決定するステップと、患者位置決め装置に動作指示し患者を所望の患者の姿勢に導くステップとを含む。
【0019】
他の実施形態は、粒子の発生源と、粒子を放出するノズルであって、患者に対して可動であり、患者の選択部位への粒子の供給を複数の異なる経路により容易にするノズルとを含む複数の構成要素を有する放射線治療設備として使用する位置決めシステムであり、ノズルに対して患者を方向付けし患者の選択部位への粒子の供給を容易にするよう可動である患者を収容する患者位置決め装置と、治療に先立ち患者に対する少なくとも一つの構成要素の方向付けを示す治療画像を作成し位置決め装置に近接した放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を撮影するモニターシステムと、粒子を患者に供給する際少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを含む信号であって、実施する治療を指示する信号を取得し、更に治療画像を取得し、治療画像を評価して治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定し、治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けと少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを比較し、実際の方向付けが所望の方向付けに対応する既定の基準に合わない場合、粒子を供給中に実際の方向付けが所望の方向付けに対してより厳密に対応するよう患者位置決め装置に信号を送り、患者位置決め装置を動作する患者への粒子の供給を制御する制御システムとを備える。
【0020】
更なる実施形態は、固定および可動構成要素を有する放射線治療装置であって、ガントリ、患者ポッドに対して実質的に患者を不動に固定する構成された患者ポッドと、患者ポッドを複数の並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者ポッドと相互に接続する患者位置決め装置と、ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得し、ビーム軸に対して患者を所望の姿勢に位置決めするための動作指示決定し、その動作指示に基づき治療装置の他の固定および可動構成要素に対して患者ポッドの対応する動作軌道を決定し、動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合動作を阻止する制御装置を備える。
【0021】
また、ある実施形態は、固定および可動構成要素を有しビーム軸に沿って選択的に放射線治療ビームを供給する放射線治療装置用経路計画および衝突回避システムを含む。位置決めシステムは、位置情報を提供するよう構成要素の位置測定値を取得するため配置した複数の外部測定装置と、患者支持器に対し実質的に位置固定した患者を支持し患者を複数の並進回転軸で制御可能に位置決めするよう構成する可動患者支持器と、複数の外部測定装置から位置情報を取得し、可動患者支持器に動作指示し、患者を自動的に所望の姿勢に位置合わせし、対応する動作エンベロープを決定し、動作エンベロープを評価し、衝突が示される場合患者支持器の動作を阻止し、そうでなければ動作を開始する制御装置を備える。
【0022】
更なる実施形態は、固定および少なくとも一つの可動構成要素を有する装置により治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法を含み、患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、観察された初期の患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、患者を所望の姿勢に導くための患者位置決め装置に対する対応する動作指示および動作軌道を決定するステップと、衝突が示される場合患者位置決め装置の動作を阻止するよう動作軌道と固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの測定位置を比較するステップとを含む。
【0023】
本発明のこれらの目的や他の目的ならびに利点は、添付図面と関連した次の記載によりより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】第一の方向付けにおける患者位置決めシステムを有する放射線治療装置の一実施形態の概略図である。
【図1B】第二の方向付けにおける概略図を示す。
【図2A】伸張位置における格納可能なイメージャの一実施形態を示す。
【図2B】格納位置におけるイメージャを示す。
【図3】患者ポッドを取付け可能な患者位置決め装置の一実施形態を示す。
【図4A】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4B】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4C】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4D】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図4E】放射線治療装置の一実施形態の種々の位置誤差原因を示す。
【図5】放射線治療環境において治療対象の位置および方向付けを決定する方法の一実施形態のフローチャートである。
【図6】放射線治療装置用外部測定装置の一実施形態を示す。
【図7】放射線治療装置用外部測定装置の他の実施形態を示す。
【図8】放射線治療装置の精密患者位置決めシステムの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図9】患者位置決めシステムの外部測定装置および6Dコーデイネーションシステムの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図10】患者位置決めシステムの患者位置照合モジュールのブロックダイアグラムである。
【図11】患者位置決めシステムの動作制御モジュールの経路計画モジュールのブロックダイアグラムである。
【図12】患者位置決めシステムの動作制御モジュールの動作衝突回避のブロックダイアグラムである。
【図13】動作制御モジュールの衝突回避モジュールおよび動作シーケンスコーデイネーターの一実施形態のブロックダイアグラムである。
【図14】患者を位置決めし、放射線治療を施す方法の一実施形態の操作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで図面について説明する。図中、類似参照名称は全図にわたって類似部分を意味する。図1Aおよび1Bは、ここに参照としてすべてを取り入れる現在カリフォルニア州ロマリンダのLoma Linda UniversityMedical Centerで用いられている陽子線治療装置に基づく、1989年9月26日発行の米国特許第4,870,287号に記載の放射線治療装置100の一実施形態の第一および第二の方向付けを概略的に示す。放射線治療装置100は、治療上有効な放射線量を悪性腫瘍または他の症状の治療のため、患者体内の対象部位に患者に対して一つ以上の角度または方向付けから供給するよう設計されている。装置100はガントリ102を備え、ガントリ102は放射線治療装置100の他の構成要素を取り付け支持するための通常半球状または円錐台状の支持フレームを含む。ガントリ102の実施形態の構造および操作の追加の詳細は、ここに参照としてすべてを取り入れる米国特許第4,917,344号および同第5,039,057号において見出すことができる。
【0026】
また、装置100は、ガントリ102およびノズル104がガントリアイソセンタ120の回りを比較的精度よく回転できるようガントリ102により取り付け支持されるが、基準から、らせん回転したり、撓んだり、他のひずみを受けるノズル104を備える。また、装置100は、加速陽子線のビームのような放射線ビームを放射線ビーム軸140に沿って供給する放射線源106を備える。放射線ビームは、供給軸142に沿って供給される治療上有効なビームを規定するため、アパーチャ110を通過し、アパーチャ110で整形される。アパーチャ110はノズル104の末端に位置し、好ましくはアパーチャ110を治療上有効な放射線治療の患者の詳細な処方に具体的に設定すると良い。ある応用例においては、異なる治療部分に対して複数のアパーチャ110を準備する。
【0027】
また、装置100は、本実施形態において、図2Aで示した伸長位置と図2Bで示した格納位置間のガントリ102に対して格納可能な一つ以上のイメージャ112を備える。一実施形態において、イメージャ112は、患者の体を通過した入射X線放射線からのような画像情報を作成できる市販のソリッドステートアモルファスシリコンX線イメージャを備える。イメージャ112の格納可能な態様は、イメージャ112が必要でない時、放射線源106の供給軸142からイメージャスクリーンを引っ込めることによりイメージャ112を放射線源106からの潜在的に有害な射出の経路の外に配置し、それによってイメージャ112に与えられる遮蔽の必要性が減らせることに加えて、ガントリ102囲い内部に追加のあきを提供する利点がある。
【0028】
また、装置100は、介在した患者組織を通過しイメージャ112により介在した物質の放射線画像を生成するよう一つ以上のX線源軸144に沿って選択的に適正なX線放射線を放射する対応する一つ以上のX線源130を備える。撮影のためのX線源130および治療のための放射線源106により好ましく用いられる特殊なエネルギー、線量、持続時間および他の露出パラメータは、異なる応用例毎に変わるが、当業者により直ちに理解され、決定されるであろう。
【0029】
本実施形態において、X線源130の少なくとも一つはX線源軸144が供給軸142と公称上一致するよう位置決め可能である。本実施形態は名目上治療配置と同じ配置から位置照合のための患者画像を作成する利点を提供する。また、本実施形態は、第一のイメージャ112、X線源130対、第二のイメージャ112およびX線源130対を実質的に互いに直交して配置する態様を含む。本実施形態は以下により詳細を述べるように、位置照合精度を増すため患者像を二つの直交する面で取得することができる利点がある。撮影方法は、ここに参照として取り入れる米国特許第5,825,845号および同第5,117,829号に記載された方法と同じとすることができる。
【0030】
また、装置100は、患者位置決め装置114(図3)および患者位置決め装置114の末端または作業末端に取付けられる患者ポッド116を備える。適正な動作指示を受けると、患者位置決め装置114は、複数の並進回転軸で患者ポッド116の位置決めに適応し、好ましくは運動の全6自由度を患者ポッド116の配置に提供するよう三つの直交する回転軸に加え三つの直交する並進軸で患者ポッド116の位置決めを可能とする。
【0031】
患者ポッド116は、患者ポッド116に対する患者に関連するあらゆる動作を実質的に抑制するよう患者を確実に患者ポッド116の定位置に保持するよう構成する。種々の実施形態において、患者ポッド116は、固定装置および/または材料としての拡張可能なフォーム、バイトブロックおよび/または前面を覆うフェースマスクを備える。患者ポッド116はまた治療部分が患者ポッド116の境界または遷移域での実施を示す際に遭遇する困難を減らすよう構成するのが好ましい。患者位置決め装置114および患者ポッド116の所望の実施形態の他の詳細は、ここに参照としてすべてを取り入れる「モジューラ患者支持システム」と題する本願と共に同時に出願された共に譲受される出願(継続番号不詳、弁護士明細書番号LOMARRL.128VPC)で知ることができる。
【0032】
前述したように、装置100のある応用例において、陽子線ビーム治療装置を備える場合のように、患者ポッド116および患者位置決め装置114により支持される患者体内の対象組織に対して放射線源106により供給される治療上有効なビーム供給軸142の精度の良い相対位置決めおよび方向付けは、装置100の重要な目的である。しかしながら、前述したように、ガントリ102、ノズル104、放射線源106、イメージャ112、患者位置決め装置114、患者ポッド116およびX線源130等装置100の種々の構成要素は、ビームの患者への精度の良い供給に影響しうる公称位置および方向付けからある量の構造的な屈曲および動作公差を受ける。
【0033】
図1Aおよび1Bは装置100のある構成要素の異なる配置を示し、装置100内でおこりうる公称からの並進および回転両方のずれを破線矢印で示す。例えば、図1Aに示した実施形態において、ノズル104および第一のイメージャ112は実質的に水平に伸長し重力により特にそれぞれの末端で曲げられる。第二のイメージャ112は実質的に垂直に配置され、第一のイメージャ112の水平曲げを受けない。図1Bは、図1Aの方向付けからおおよそ45度反時計回りに回転した異なる配置の装置100を示す。この方向付けで、ノズル104に加え両イメージャ112が重力下で曲げられが、図1Aに示した方向付けよりも程度は異なる。図1Aおよび1Bで示したように、異なる方向付け間でのガントリ102の動作でまた装置100の構成要素は動作表面で機械的公差を受ける。公称からのこれらずれは少なくとも部分的には予知不可能で反復できず付加的であるため、予測ベースでのずれの補正は非常に難しく、全体的なアラインメントの精度を制約する。装置の公称方向付けからのこれらずれは単なる例であり、誤差の多くの原因のいずれもここに開示した装置で本発明の技術的思想の範囲内で対処できることがわかるであろう。
【0034】
図4A乃至4Eは、アイソセンタ120での、例えば、ノズル104および患者の対象組織の位置合わせの手順において存在し得る潜在的なあいまいさまたは誤差の実施形態をより詳細に示す。図4A乃至4Eは、ある距離および位置に関するあいまいさまたは誤差の原因を示す。
【0035】
前述の誤差の原因は、示された実施形態の装置100により対処した種類の誤差を単に説明するものであり、前述の装置100が追加の誤差に対処できることがわかるであろう。本実施形態において、距離SADは、理想的にはアイソセンタ120を通過する放射線源106からガントリの回転軸までの距離として定義される。相対尺度および距離の説明および理解のため、本実施形態ではSADはおおよそ2.3メートルに等しい。
【0036】
図4Aは、誤差の潜在原因の一つが放射線源106の真の位置が推定または公称位置から片寄った放射線源誤差であることを示す。本実施形態において、放射線源106から供給される治療上有効な放射線ビームはビームをセンタリングする役目を果たす二つの伝送電離箱(TIC)を通過する。これらはTIC1およびTIC3として示されまたノズル104に取り付けられる。放射線源誤差は、TIC1および/またはTIC3において観察されるようなビームの動作、真のガントリ102回転角度における誤差および回転する際のガントリ102周囲からの”エッギング“または歪みによる誤差を含む多数の原因から発生しうる。図4Aは、推定または公称位置からの放射線源106の真の位置の片寄りと、アイソセンタ120で対応する誤差を生じるSAD距離の端から端までのアパーチャ110を経た放射線ビームの伝達とを備える放射線源誤差を示す。
【0037】
図4Bは、TIC1,放射線源106およびTIC3が公称ガントリアイソセンタ120を通過する理想ビーム軸からの片寄りであるTIC位置誤差に起因する起こりうる誤差を示す。図4Aおよび4Bで示した誤差はランダムで関連がないと推定されるので、アイソセンタ120に投射された放射線源106誤差による全体の誤差寄与を定めるため、誤差を求積で一体化し、アパーチャ110の推定公称中心を投射することができる。本実施形態において、正しい測定(より詳細は以下に記載する)に先立って、放射線源誤差は、おおよそ±0.6mmから±0.4mmの範囲とすることができる。
【0038】
図4Cはアパーチャ110位置による誤差またはあいまいさを示す。放射線源106の位置は公称と推定される。しかし、誤差またはあいまいさは、アパーチャ110自身の製造公差とノズル104の公差積み重ね、ゆがみおよび屈曲との両方により導入される。また,放射線源106から公称アイソセンタ120の距離SADの端から端まで投射されるので、ビーム供給目標点(BDAP)誤差は、推定公称BDAPと実際のBDAPの間にあると推定される。本実施形態において、アパーチャ110位置の誤差から生じるこのBDAP誤差はおおよそ±1.1mmから±1.5mmの範囲にある。
【0039】
装置100は、また、図4Dおよび4Eに示したようにX線源130に加えイメージャ112の位置決めによる誤差を受ける。図4Dは公称と推定される相当X線源130の位置に対するイメージャ112位置のあいまいさによる誤差を示す。X線源130からの放射は実質的にアイソセンタ120に位置すると推定される患者を通過しイメージャ112に向かうので、この距離はSAD距離と異なり、本実施形態では2.2mmに等しい。イメージャ112の真の位置における誤差またはあいまいさは、DRRsに対するイメージャ112により取得した画像の位置照合誤差に加えイメージャ112の真の位置の横シフト、対応するX線源130に対するイメージャ112の軸シフトによる誤差から生じる可能性がある。本実施形態において、補正前の各イメージャ112による誤差はおおむね±0.7mmである。
【0040】
同様に、図4Eは公称と推定される相当イメージャ112の位置に対するX線源130の位置決めのあいまいさによる誤差を示す。X線源130による誤差の推定原因には、X線源130の初期位置合わせによる誤差、X線源130のビーム線内およびビーム線外への移動から生じる誤差、たわみのとらえ方およびTIC1とTIC3の相対距離による誤差がある。これら誤差はまたランダムで関連がないまたは独立していると推定され、従って、求積に加えられ、本実施形態において、おおよそ±0.7mmの各X線源130による誤差となる。
【0041】
これら誤差はランダムで独立しており関連がない、従って潜在的に付加的であるので、本実施形態において、装置100は,また,これら誤差の評価および補償を容易にするため複数の外部測定装置124を備える。一実施形態において、装置100はまた図2A,2B,6および7で示したように外部測定装置と協同するマーカー122のようなモニュメントを備える。各外部測定124装置は、装置100の一つ以上の構成要素の空間におけるここでは“ワールド”132とも称する一つ以上の固定ランドマークに加えモニュメントにより示される三次元位置についての測定情報を取得する。
【0042】
本実施形態において、外部測定装置124は、視界126内の治療対象光学画像を独立して取得し、本実施形態においておおむね水平に85°垂直に70°であるメガピクセル解像度と200から1000Hzのフレームレートを有するCMOSデジタルカメラのような市販のカメラを備える。デジタルカメラを構成する外部測定装置124は、例えば、ViconMotion System Inc.CA.LakeForrestのVicon Tracker systemのコンポーネントとして市場で入手できる。しかし、他の実施形態において、外部測定装置124は、本実施形態の光学カメラに加えまたは代替としてレーザー測定装置および/または無線位置装置から構成できる。
【0043】
本実施形態において、マーカー122は、装置100の各種構成要素に固定する球状の高度に反射するランドマークを備える。本実施形態において、少なくとも三つのマーカー122を対象装置100の各構成要素に固定し、治療対象の近くに、好ましくは、例えば、センターラインから等距離でなくまたコーナーで均等でない、非対称に配置する。外部測定装置124は、少なくとも二つの外部測定装置124がその視界内に装置100の特定の構成要素と対応するマーカー122を有するよう配置され、一実施形態において、合計10個の外部装置を備える。この実施態様は、双眼の視力を備える性能を装置100に付与し、装置100が装置100の構成要素の位置および方向付けをより精度よく決定可能とする。マーカー122を備え、マーカー122を付けた治療対象の位置および方向付けの認識と正確な決定を容易にする。しかし、外部マーカー122を使用しない装置100を備える他の実施形態においては、装置100は治療対象の端または角のような特徴的な外部輪郭を備えるモニュメントに基づく位置情報を取得するため外部測定装置124を使用する。
【0044】
図5は装置100の構成要素の空間的位置と角度を成す方向付けを決定する一実施形態を示す。対象の構成要素は、ガントリ102、ノズル104、アパーチャ110、イメージャ112、ワールド132または他の構成要素であってよく、参照が全体になされる「治療対象」に対して説明する。その治療対象について記載した工程を複数の治療対象と平行してまたは連続して進められることがわかるであろう。開始ステートに続き、ステート150において、装置100は各々とワールド132を基準として複数の外部測定装置124を較正する。較正ステートにおいて、装置100は各外部測定装置124の空間的位置と角度を成す方向付けを決定する。装置100は、また、専用L−フレームで定義可能で装置100の空間原点または基準系を定義できるワールド132の位置を決定する。もちろんワールド132は実質的に外部測定装置124の視界内に固定される任意の構成要素または構造体から構成可能である。従って、装置100の結果として移動あるいは偏向しそうにない構造体は、外部測定装置124のためのワールド132または基準点を構成可能である。
【0045】
一つ以上のマーカー122を含むことができるワンドを外部測定装置124の視界内で動かす。外部測定装置124は、複数の外部測定装置124(本実施形態において少なくとも2個)が任意の時間に視界126内の装置100の作用面積内に治療対象を有するように配置されるので、装置100は各外部測定装置124から独立して与えられた位置および方向付け情報を互いに関連付け、複数の外部測定装置124が次の較正に整合する独立の位置および方向付け情報を与えるよう補正要因を決定する。外部測定装置124を較正する個々の数学的ステップは、使用する座標系に加え、装置の数、相対間隔、相互の幾何学的方向付けおよびワールド132に依存し、個々の応用例間で変わり得るが、当業者には理解されるであろう。また、ある応用例において、外部測定装置124またはワールド132の一つ以上が較正に追従して動く場合、較正ステート150の繰り返しが必要なことがわかるであろう。
【0046】
較正ステート150に続いて、ステート152で複数の外部測定装置124は対象の治療対象の画像を取得する。ステート152で得られた画像から、装置100はステート154で治療対象を撮影する各対応する外部測定装置124からの治療対象に対する対応する方向ベクトル155を決定する。これを、その各々の視界126内に治療対象を有する外部測定装置124a−dに対応するベクトル155a−dとして図6に示す。そして、ステート156において、装置100はステート154で決定したベクトル155(図6)が交差する空間の点を較正する。それにより、ステート156は、その位置で交差する複数のベクトルに対応する治療対象に関してワールド132を基準にして、空間の三次元位置を復帰させる。治療対象には三つ以上の動作またはマーカー122が備わったため、装置100は、また、治療対象に関連する個々のマ−カー122の相対位置を評価することにより三次元の角度を成す方向付けを決定する。この実施において、外部測定装置124はカメラを備えるが、本発明の趣旨内において、多くの異なる装置の任意のものを撮影、例えばモニュメントの位置の決定、のため使用できる。特に、可視波長エネルギ、非可視波長エネルギおよび超音波を含む電磁エネルギまたは可聴周波エネルギを放射または取得する装置を撮影またはモニュメントの位置決定のため用いることができる。
【0047】
治療対象に関して決定した位置および方向付け情報をより詳細を以下に記載する装置100で使用するためステート160に提供する。一実施形態において、較正ステート150はおおよそ1分以内で行うことができ、装置100は待ち時間10分でステート152,154,156および160における治療対象の位置を0.1分以内、また、治療対象の方向付けを0.15分以内に決定できる。前述したように、他の実施形態において、外部測定装置124はレーザー測定装置、無線位置装置または上述した外部測定装置124に加えてまたは代替として外部測定装置124への方向または外部測定装置124からの距離を測定できる他の装置から構成することができる。従って、ある実施形態においては、単一の外部測定装置124で治療対象に対する範囲と方向の両方を決め、治療対象の位置と方向付けを決定できる。他の実施形態においては、外部測定装置124は治療対象に距離情報のみを提供し、空間の治療対象の位置は、対応する外部測定装置124に集中した複数の事実上球の交点の決定により決定される。
【0048】
ある実施形態において、装置100は、また、一つ以上の局部位置フィードバック装置またはリゾルバ134(例えば図1参照)を備える。局部位置フィードバック装置またはリゾルバ134はガントリ102、ノズル104、放射線源106、アパーチャ110、イメージャ112、患者位置決め装置114、患者ポッド116および/またはワールド132のように装置100の一つ以上の構成要素内に組み入れるか一つ以上の構成要素と通信する。局部位置フィードバック装置134は装置100の関連構成要素に関係する独立の位置情報を提供する。種々の実施形態において、局部位置フィードバック装置134は回転エンコーダ、線形エンコーダ、サーボまたは市場で入手可能な他の位置インディケータから構成され、その操作は当業者によく理解されている。局部位置フィードバック装置134は、患者をより精度よく位置決めするため、外部測定装置124により提供された情報に加え装置100が活用できる独立した位置情報を提供する。
【0049】
装置100は、また、本実施形態において、治療対象に関してステート160において提供された位置情報を使用する精密患者位置合わせシステム200を備える。図8で示すように、精密患者位置合わせシステム200は、6Dシステム204と通信する指示および制御モジュール202と、患者位置照合モジュール206と、データファイル210と、動作制御モジュール212と、安全モジュール214と、ユーザインターフェース216とを備える。患者位置合わせシステム200は、6Dシステム204により提供される位置情報を使用し、より精度よく患者を位置照合し、ノズル104および患者位置決め装置を動作し、データファイル210により提供された患者の処方により指示されるような所望の治療姿勢を実現する。
【0050】
本実施形態において、6Dシステム204は、外部測定装置124およびワールド132として図9に示した一つ以上の固定ランドマークの位置に加え、ノズル104、アパーチャ110、イメージャ112、患者位置決め装置114および患者ポッド116の現在位置に関連するリゾルバ134から位置データを取得する。固定ランドマークまたはワールド132は不可動原点または基準系を提供し、放射線治療装置100の駆動構成要素の位置の決定を容易にする。この位置情報を一次6D位置測定装置220に提供し、次に一次6D位置測定装置220は外部測定装置124およびリゾルバ134からの観察データを使用し、第一基準系のこれら5つの構成要素および原点の位置および方向付け座標を計算する。この位置情報は座標変換モジュール224とアービトレーションモジュール226を備える6Dコーデイネーションモジュール222に提供される。座標変換モジュール224は、指示および制御モジュール202、経路計画に対する動作制御および衝突回避モジュール212のような患者位置合わせシステム200と通信する。
【0051】
患者の位置照合や治療実施工程の段階にもよるが、患者位置合わせシステム200の他のモジュールは、放射線治療装置100の現状構成の位置要求に対して6Dシステム204に対してコールを出すことができる。患者位置合わせシステム200の他のモジュールも6Dシステム204に対して座標変換要求のようなコールを出すことができる。通常、そのような要求には特定基準系における位置データの提供、データが提出される基準系の指示およびコーリングモジュールが変換された位置データを所有したい所望の基準系が含まれるであろう。この座標系変換要求は、特定基準系において提出データの適切な計算をおこない、データを所望の基準系に変換し、これを患者位置合わせシステム200のコーリングモジュールに復帰させる座標系変換モジュール224に提出される。
【0052】
例えば、放射線治療装置100は、患者位置決め装置114の動作が正しく患者を位置照合していると決定しても良い。例えば、X軸に沿って+2mm、Y軸に沿って−1.5mm、Z軸に沿って変化なしおよび縦軸の回りに正の1oの回転の変換が判明する。データが座標変換モジュール224に提出され、次に座標変換モジュール224はデータを操作し対応する動作指示を患者位置決め装置114に戻す。正確な座標変換が、例えば、装置100の他の構成要素に対する患者位置決め装置114の正確な構成や寸法および患者位置決め装置114の相対位置により装置100の具体的なインプリメンテーションを変えるであろう。しかし、そのような座標変換は、特殊な応用例に関する当事業者により簡単に決定できる。
【0053】
アービトレーションモジュール226は、位置要求を取得次第具体的な治療対象の位置情報を提供することにより動作制御モジュール212の操作を支援する。二次位置測定装置230は、放射線治療装置100の各種構成要素に対して代替またはバックアップ位置測定機能を提供する。一実施形態において、二次位置測定装置230は、初期の位置および指示動作に基づく予測位置情報を使用する従来の位置決め機能を備える。一実施形態において、一次位置測定装置220は、外部測定装置124から情報を取得し、二次位置測定装置230は、レゾルバ134から独立した位置情報を取得する。一般的にいえば、6D測定装置220が、位置決め精度およびスピードの前述した利点のため一次位置決めシステムとして動作するのが好ましい。
【0054】
図10は患者位置合わせシステム200の患者位置照合モジュール206をより詳細に示す。前述したように、6Dシステム204はテーブルまたは患者ポッド116およびノズル104を含む放射線治療装置100の各種構成要素の位置測定値を取得し、これら各種構成要素の位置座標を決め、それらを所望の基準系の中に示す。データファイル210は計画または処方セッションで前もって取得した治療計画およびCTデータを含む患者の治療処方に関する情報を提供する。この患者のデータはデータコンバータ232で構成され、データを好ましい形式で表す。イメージャ112はまた位置情報を撮像モジュール236に加え6Dシステム204に提供する。撮像モジュール236はイメージャ112から生の画像を取得し、このデータをフィルタリング、露出補正、スケーリングおよびクロッピング等により処理し、補正画像データを位置照合アルゴリズム241に提供する。
【0055】
この実施形態において、CTデータはトランスグラフ作成モジュール234により中間処理段階を経て、CTデータを位置照合アルゴリズム241に提供されるトランスグラフに変換される。トランスグラフは中間的なデータ表示で、DRRsの生成速度を上げる。位置照合アルゴリズム241はトランスグラフ、治療計画、6Dシステム204により提供される現在の治療対象の位置およびイメージャ112からの補正画像データを使用し、位置照合姿勢を決め、その情報を指示および制御モジュール202に提供する。位置照合アルゴリズム241はイメージャ112からの補正データをできるだけ近くあるいは指定した公差内で適正なDRRと調和させ所望の姿勢を確立するか患者を位置照合しようとする。指示および制御モジュール202は、現状の位置照合姿勢を評価し、指示または要求を出し、放射線治療装置100の構成要素の一つ以上の動作を誘導し、この所望の姿勢を実現する。適切な位置照合アルゴリズムに関する追加の詳細はCarnegieMellon Universityに「加速体積レンダリングを用いる繰返しX線/CT位置照合」の表題で2001年5月に提出されたここに参照としてすべてを取り入れるDavidA. LaRoseの既刊の博士学位論文で見出すことができる。
【0056】
図11乃至13は、装置100が動作する実施形態を示す。図11は指示および制御モジュール202が装置100の一つ以上の構成要素の動作を呼び出したことを示す。ステート238において、動作制御モジュール212は6Dシステム204から現在位置構成を検索し、この位置構成に経路計画モジュール240に対する新しく要求された位置構成を提供する。経路計画モジュール240は、放射線治療装置100の種々の構成要素の予想される動作により定義される位置囲いを示す三次元モデルデータのライブラリーを備える。例えば、前述したように、イメージャ112は格納でき、3Dモデルデータモジュール242はイメージャ112がその現状および最終位置に依存して動作できる空間の囲いまたは体積を示す。
【0057】
経路計画モジュール240は、また、3Dモデルデータモジュール242からデータを取得し、このデータに基づき放射線治療装置100の各種構成要素に関して動作シミュレーションを計算できる治療対象動作シミュレーター244を備える。この治療対象動作シミュレーター244は、図12で示したように好ましくは衝突回避モジュール270と協同して動作する。図12は、また、本実施形態において、固定ランドマークまたはワールド132に加え、アパーチャ110、イメージャ112、ノズル104、患者位置決め装置114および患者ポッド116の位置測定値を取得する6Dシステム204の操作の一実施形態を示す。図12は、また、本実施形態において、局部フィードバックが患者位置決め装置114、ノズル104、イメージャ112およびガントリ102の角度に対応するリゾルバ134から得られていることを示す。
【0058】
この位置情報を治療対象位置データライブラリー272の治療対象情報を集める衝突回避モジュール270に提供する。この治療対象データをデータが実証可能かどうかを評価する決定モジュール274に提供する。ある実施形態において、モジュール274の評価は範囲外のデータや例えば複数の治療対象が同じ位置を占めることを示すデータのようなライブラリー272からの治療対象位置データとの予想される矛盾あるいは対立を究明できる。対立または範囲外の状態が決定されると、例えば、停止モジュール274の結果がネガティブの場合、ステート284においてシステム停止を指示し、放射線治療装置100の構成要素の更なる動作を禁止し、適切な対策を取り欠陥を回復または補正する欠陥回復ステート286に進む。欠陥回復ステート286が完了すると、モジュール272の治療対象位置データライブラリーのデータ検索に戻り、続いてリセットステート290を行う。
【0059】
ステート274の評価が肯定の場合、ステート276が続き、衝突回避モジュール270は現状および予測軌道に沿って相対距離を計算し、この計算した情報を治療対象または放射線治療装置100の構成要素の一つ以上が余りにも近接していないかどうかを決定するエバリュエーションステート280に提供する。ステート280の評価が否定的であり、例えば、現状位置および予測軌道が衝突のおそれを示さない場合、休眠または休止ステート282が続き、その間放射線治療装置100の一つ以上の構成要素の動作は指示に応じて継続でき、指示に応じてモジュール272、276、280および282を通って再帰的シーケンスに進む。
【0060】
しかし、エバリュエーションステート280の結果が肯定の場合、例えば、治療対象の一つまたはそれ以上が余りにも近接または予測軌道がそれらを衝突させる場合、ステート284のシステム停止は前記に従い欠陥回復286およびリセットステート290で実施される。従って、衝突回避モジュール270は、放射線治療装置100が現状および予測位置と装置100の可動構成要素の動作軌道両方の予防的な評価を行うことを可能にし、衝突が起こる前または更に開始前に予測される衝突を軽減する。これは、例えば、停止起動で動作停止し、かなりの慣性を有する比較的大きく強力であるおそれがある動作構成要素に対する障害の防止または装置のユーザーまたは患者に対する危害の防止に対しては不適切であるかもしれないコンタクトスウィッチで起こされる動作停止を採用するシステムにとって有利である。
【0061】
衝突回避モジュール270と協同する際の治療対象動作シミュレーションモジュール244は指示動作が衝突リスクを引き起こさないであろうことを示すと仮定して、放射線治療装置100の一つ以上の構成要素の指示動作ベクトルを評価し、本実施形態において、これら動作を五つの変換モジュールによってシーケンスする動作シーケンスコーディネータモジュール246に実際の動作指示を送る。特に、変換モジュール250,252,254,260および262は、指示動作ベクトルを、与えられた基準系から患者位置きめ装置114、ガントリ102、X線源130、イメージャ112およびノズル104のそれぞれに適切な指示基準系に変換する。
【0062】
前述したように、放射線治療装置100の各種可動構成要素は異なる寸法だと想定でき、異なる制御パラメータに従う、そして、変換モジュール250,252,254,260および262は第一基準系における運動ベクトルを放射線治療装置100の対応する構成要素向けの適切な基準系に相互に関係づけまたは変換する。例えば、本実施形態において、ガントリ102は軸の回りに時計回りと反時計回りの回転が可能であり、一方、患者位置決め装置114は6個の並進および回転動作自由度で位置決め可能で、従ってガントリ102に比較し動作指示に対し異なる基準系で動作する。放射線治療装置100の各種構成要素に関する外部測定位置情報を利用することにより、動作シーケンスコーディネータモジュール246は、簡単で効率的で安全な方法でこれら構成要素の動作を効率的に計画できる。
【0063】
図14は患者位置合わせシステム200を備えた放射線治療装置100の操作の一実施形態のワークフローまたは方法300を示す。開始ステート302から、提供される個々の患者および治療ポータルを確認する確認ステート304に続く。これは治療処方検索ステート306に続き、ステート304および306の確認および治療処方の検索はユーザーインターフェイス216により、モジュール210のデータファイルにアクセスし行うことができる。次に、患者を患者ポッド116に入れ患者位置決め装置114の動作によりステート310の撮影位置に移動し、患者ポッド116に位置決めし、撮影のためのおおよその位置に患者を固定する。また、ガントリ102、イメージャ112および放射線源130をステート312で撮影位置に移動し、ステート314で前述したように外部測定装置124、協同マーカー122およびレゾルバ134を使用し6Dシステム204によりX線撮影軸パラメータを決定する。
【0064】
ステート316において、患者の放射線画像をイメージャ112で撮影し、補正を前述したように必要に応じモジュール236で行うことができる。本実施形態において、二つのイメージャ112と対応するX線源130を実質的に互いに直角をなして配置する。従って、二つの独立した放射線画像が直交した面から得られる。この実施態様は単一面からの放射線画像情報より完全な放射線画像情報を提供する。また、ある実施形態において、ステート316の複数の撮影が追加データを目的として実施できることがわかるであろう。ステート320において、放射線画像取得工程が終了したか否かを決定するため評価がおこなわれ、この決定は、ステート312の動作を継続するネガティブな場合、指示されたようにステート314の決定およびステート316の撮影をし、また肯定の場合、ステート322に続くことになる。
【0065】
ステート322において、外部測定は前述したように6Dシステム204で行われ、前述したように患者位置照合モジュール206により放射線治療装置100の各種構成要素の相対的位置および方向付けを決定する。ステート324において、患者を正しく所望の姿勢に合わせるため動作計算が行われる。
【0066】
治療を施す各事例において必要ないとは言え、この実施形態は、ステート326において患者を指示姿勢に位置決めするステート330における患者位置決め装置114によるような患者の動作に加え治療位置においてガントリ102を位置決めするため或る程度のガントリ102動作が必要なことを示す。これらの動作に続いて、ステート332で再度6Dシステム204を使用し外部測定を行い、ステート334で測定位置を計算および解析し、ステート336で所望の患者の姿勢が所望の公差内で実現したか否かを決定する。患者の正確な位置照合および位置決めがまだ十分に実現されていない場合、ステート340は、ガントリ102および/または患者位置決め装置114を更に動作するために補正ベクトルの計算および適切な基準系への変換へと続く。ステート336の決定が肯定的な場合、例えば、患者が所望の姿勢に十分に位置決めされた場合、ステート342において患者の処方に従い放射線治療部分が可能となる。ある患者の処方に対して、治療セッションが複数の方向付けからの治療のような複数の治療部分を必要とし、方法300の該当する部分を複数の処方された治療部分に対して繰り返してもよいことが理解されるであろう。しかし、説明を簡単にするため、単一の繰り返しを図14において説明する。従って、ステート342の治療に続いて、その日または特定の一連の治療についてその患者に対する治療の完了から構成できる終了ステート344が続く。
【0067】
従って、患者位置合わせシステム200を有する放射線治療装置100は、装置100の可動構成要素を直接測定することにより、これら各種構成要素の位置決めをより精度よく決定し制御するため測定フィードバックを採用する。装置100の著しい利点は、治療を施すセッションにおいて、患者を既知の装置で可能な位置照合よりもより精度よく位置照合でき、繰返し連続の放射線画像撮影、患者の再位置決めおよびその後の放射線画像撮影とデータ解析がないことである。このことは、治療上有効な放射線のより精度の高い供給、位置照合、撮影および位置決め工程の待ち時間の著しい減少と、それによる治療セッション中の複数X線照射のニーズの減少による放射線画像撮影中の患者のX線放射線への照射の減少に加え可能な患者のスループットの増加の両方の著しい利点を提供する。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は、これら実施形態に適用したように本発明の基本的で新奇な特徴を示し、説明し、そして指摘したが、示した装置の詳細の形態において、本発明の趣旨の範囲内で種々の省略、代替および変更が当事業者により可能であることがわかるであろう。従って、発明の範囲は上記の説明に限定されるべきでなく、添付の特許請求の範囲により定義される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療システムであって、
ガントリと、
患者固定装置に対して患者を固定するよう構成される患者固定装置と、
患者固定装置を並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者固定装置と相互に接続する患者位置決め装置と、
ガントリと相互に接続し、ビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、
少なくとも患者固定装置およびノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、
少なくとも患者固定装置およびノズルの位置測定値を取得し制御信号を患者位置決め装置に送り患者をビーム軸に対して所望の方向付けに位置決めする制御装置と
を備えている、放射線治療システム。
【請求項2】
前記位置測定値を取得するため、前記外部測定装置が少なくとも前記患者固定装置および前記ノズルの光学画像を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも前記患者固定装置と前記ノズルに固定した複数のマーカーを更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つと動作通信する少なくとも一つの局部位置フィードバック装置を更に備え、
前記少なくとも一つの局部位置フィードバック装置が前記ガントリおよび患者位置決め装置の前記少なくとも一つの位置を示す位置データを前記制御装置に提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記装置が、患者の画像を取得し、前記ノズルに対し患者対象アイソセンタの相対位置を決定する患者撮影装置を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記装置が患者を初期位置に位置決めし、患者撮影後補正ベクトルを決定し、制御信号を送り、前記患者位置決め装置および前記患者対象アイソセンタを前記ノズルに対し所望の患者の姿勢に移動する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記患者撮影装置が、少なくとも一つの放射線用イメージャを備えている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者撮影装置が、少なくとも一つのX線源と、少なくとも一つのソリッドステートX線イメージャとを備えている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者撮影装置が、ビーム軸内およびビーム軸外へ可動である、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記患者撮影装置が、前記対象アイソセンタのより精度の高い決定のため複数の面から前記患者の画像を取得する、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
位置測定値の取得と、前記位置決め制御信号の前記患者位置決め装置への伝送と、を繰返し行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ノズルが、ガントリアイソセンタの回りを回転できるよう前記ガントリと相互に接続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、第一基準系において前記外部測定装置により測定した方向付けおよび位置差ベクトルを決定し、
前記差ベクトルを第二基準系において少なくとも一つの補正ベクトルに変換し、前記患者を前記ビーム軸に対して所望の姿勢に位置決めする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの補正ベクトルが前記ノズルを前記ガントリアイソセンタの回りを回転するよう誘導する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
動作する複数の構成要素を有する放射線治療装置用患者位置決めシステムであって、
位置情報を提供するために前記複数の構成要素の位置測定値を取得するよう配置した複数の外部測定装置と、
患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成された可動患者支持器と、
位置決め装置が複数の構成要素の動作を補償するよう複数の外部測定装置から情報を取得し、患者可動支持器に動作指示して患者を所望の姿勢に位置合わせする制御装置と
を備えている、患者位置決めシステム。
【請求項16】
患者の所望の姿勢への位置合わせは、前記放射線治療装置が放射線ビームを誘導するビーム供給目標点に対する前記患者支持器の位置合わせを含んでいる、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項17】
前記患者の画像を取得する患者イメージャシステムと、対象アイソセンタと、を更に備え、
前記位置決めシステムが、対象アイソセンタの位置を決定し、対象アイソセンタを前記ビーム供給目標点に位置合わせする、請求項16に記載の位置決めシステム。
【請求項18】
動作する前記構成要素の少なくとも一つが動作制御可能であり、前記位置決めシステムがフィードバック機能を備え、制御信号を送ることにより前記患者を前記所望の姿勢に位置合わせし、前記少なくとも一つの動作制御可能な構成要素を位置決めする、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項19】
動作する前記複数の構成要素の選択ポイントに固定した複数のマーカーを更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項20】
単一マーカー位置の測定を単一の外部測定装置による測定よってより精度を高めるため、複数の外部測定装置が前記単一マーカーの位置測定値を取得する、請求項19に記載の位置決めシステム。
【請求項21】
動作する複数の構成要素を有するシステムで治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法であって、
制御可能な患者位置決め装置で患者を初期の治療姿勢に位置決めするステップと、
複数の構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、
観察された初期患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、
患者位置決め装置に動作指示し患者を所望の患者の姿勢に導くステップと
を含んでいる、方法。
【請求項22】
前記複数の構成要素の前記選択ポイントの位置の外部測定が、複数のカメラを使用して前記複数の構成要素の光学画像を取得する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記差ベクトルを第一基準系で決定し、前記動作指示を前記第一基準系における前記差ベクトルを第二基準系における前記患者位置決め装置用の対応する動作ベクトルに変換する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の放射線画像を取得し、少なくとも部分的に前記患者画像に基づき前記差ベクトルを決定するステップを更に含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線画像の取得が、
X線源とX線イメージャを総じて治療ビーム軸に沿って前記患者を間に介在させて位置決めするステップと、
X線源により患者とX線イメージャを照射するステップと、
治療ビーム軸から前記X線源とイメージャを取り除くステップと
を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
粒子の発生源と、粒子を放出するノズルであって、患者に対して可動であり、患者の選択部位への粒子の供給を複数の異なる経路により容易にするノズルとを含む複数の構成要素を有する放射線治療設備で使用する位置決めシステムであって、
患者をノズルに対して方向付けして患者の選択部位への粒子の供給を容易にするよう可動の患者を収容する患者位置決め装置と、
治療に先立ち患者に対して少なくとも一つの構成要素の方向付けを示す治療画像を作成し患者位置決め装置に近接した放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を撮影するモニターシステムと、
粒子を患者に供給する際、少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを含み、実施する治療を指示する信号を取得し、更に治療画像を取得し、治療画像を評価して治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定し、治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けと少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを比較し、実際の方向付けが所望の方向付けと対応する既定の基準に合わない場合、粒子を供給中に実際の方向付けが所望の方向付けに、より厳密に対応するよう患者位置決め装置に信号を送って患者位置決め装置を動作する、患者への前記粒子の供給を制御する制御システムと
を備えることを特徴とする、位置決めシステム。
【請求項27】
前記患者位置決め装置が、
前記患者固定装置に対して治療する患者の部位を実質的に不動の方向付けに維持するための患者固定装置と、
前記制御システムからの信号に対応して前記患者固定装置を動作することによって前記患者を、粒子供給中に所望の方向付けに、より厳密に対応する実際の方向付けに移動するための前記患者固定装置に連結した動作機構と
を備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記患者固定装置が前記患者を患者ポッドに対して実質的に不動の方向付けで保持するよう位置決めする患者ポッドを備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記動作機構が三つの直交する軸の回りでの前記患者ポッドの並進回転運動を可能にする、患者ポッドに取付けられたロボットアセンブリを備えている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記モニターシステムが前記放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を視覚的に撮影して前記少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定する、少なくとも一つの撮影装置を備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも一つの撮影装置が前記放射線設備の前記少なくとも一つの構成要素の視覚像を撮影する複数のカメラを備え、当該複数のカメラを三つの直交する面に対して少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定できるよう配置する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記複数のカメラが前記少なくとも一つの構成要素に関連するモニュメントの三次元位置を解明して前記少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定できるように前記少なくとも一つの構成要素の視覚像を撮影する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも一つの構成要素に取付けた少なくとも一つの外部マーカーを更に備え、前記少なくとも一つの外部マーカーが前記少なくとも一つの構成要素に関連する前記モニュメントを備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記モニターシステムが前記ノズルを含む複数の構成要素を撮影し、前記制御システムは、前記複数の構成要素が前記所望の方向付けの予め選定された基準内になるよう前記患者位置決め装置を調節する、請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御システムが基準の設定値を前記モニターシステムの視界内に定義付けし、前記基準の設定値を基準にして前記実際の方向付けおよび前記所望の方向付けを決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項36】
前記モニターシステムが前記患者位置決め装置を更に撮影し、前記制御システムが前記患者位置決め装置の方向付けを示す信号を取得し、これらの信号を使用して前記少なくとも一つの構成要素の前記実際の方向付けと前記所望の方向付けを決定する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御システムが前記放射線治療設備から前記システム内部の構成要素の動作を示す信号を取得し、当該制御システムがこれらの信号を利用して前記少なくとも一つの構成要素の前記実際の方向付けと所望の方向付けを決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項38】
固定および可動構成要素を有する放射線治療システムであって、
ガントリと、
患者ポッドに対して患者を実質的に不動にするよう構成する患者ポッドと、
患者ポッドを複数の並進回転軸に沿って前記ガントリ内部に位置決めするよう患者ポッドと相互に接続する患者位置決定装置と、
ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、
少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、
少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得し、ビーム軸に対して患者を所望の姿勢に位置決めするための動作指示と、その動作指示に基づき治療装置の他の固定および可動構成要素に対して患者ポッドの対応する動作軌道を決定し、動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合動作を阻止する制御装置と
を備えている、放射線治療システム。
【請求項39】
前記外部測定装置が位置測定値を取得するために少なくとも前記患者ポッドとノズルの光学画像を取得する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも前記患者ポッドとノズルに固定した複数のマーカー更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つと動作通信する少なくとも一つの局部位置フィードバック装置を更に備え、前記少なくとも一つの局部位置フィードバック装置が前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つの位置を示す位置データを前記制御装置に提供する、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記患者の画像を取得するために前記ビーム軸内への可動であり、前記放射線ビームへの前記撮影装置の露出を減らすために前記ビーム軸の外へ可動である患者撮影装置を更に備え、前記システムが前記ノズルに対する患者対象アイソセンタの相対位置を決定する、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムが前記患者を初期位置に位置決めし、患者撮影後、補正ベクトルおよび対応する動作指示と軌道を決定して前記ノズルに対して前記患者位置決め装置と前記患者対象アイソセンタとを所望の姿勢に移動し、前記動作軌道を評価し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記患者位置決め装置に対して位置測定値の取得と動作指示を繰返し行う、請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記ノズルをガントリアイソセンタの回りを回転可能となるよう前記ガントリに相互接続する、請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
前記システムが、患者を所望の姿勢に位置決めするため前記患者位置決め装置および前記ガントリの両方に対する動作指示と前記動作指示に基づき前記治療装置の他の固定および可動構成要素、前記ガントリおよび前記患者位置決め装置各々に対する動作軌道とを決定し、前記動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記装置が、前記所望の姿勢の取得スピードを上げるため、前記患者位置決め装置とガントリの同時動作のための動作指示と対応する軌道を決定する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記外部測定装置が、決定した動作軌道に入る可能性のある治療対象をさらにモニターし、そのような治療対象との衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項38に記載のシステム。
【請求項49】
固定および可動構成要素を有しビーム軸に沿って選択的に放射線治療ビームを供給する放射線治療装置に関する経路計画および衝突回避システムであって、
位置情報を提供するために前記構成要素の位置測定値を取得するよう配置された複数の外部測定装置と、
患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成する可動患者支持器と、
複数の外部測定装置から位置情報を取得し、可動患者支持器を動作指示し患者を自動的に所望の姿勢に位置合わせし、対応する動作エンベロープを決定する制御装置であって、動作エンベロップを評価し、衝突が示される場合、患者支持器の動作を阻止し、そうでなければ動作を開始する制御装置と
を備えている、位置決めシステム。
【請求項50】
前記患者の所望の姿勢への位置合わせが、前記放射線治療装置が放射線ビームを誘導するビーム供給目標点に対して前記患者支持器を位置合わせすることを含んでいる、請求項49に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項51】
前記患者の画像および対象アイソセンタを取得するために前記ビーム軸の内外へ可動可能な患者イメージャシステムを更に備え、前記経路計画および衝突回避システムが前記患者イメージャと前記患者支持器の両方についての動作指示と軌道を決定し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項49に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項52】
動作する前記複数の構成要素の選択ポイントに固定した複数のマーカーを備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項49に記載の前記経路計画および衝突回避システム。
【請求項53】
前記単一マーカー位置の測定を単一の外部測定装置によってより精度の高い測定を行うため、複数の外部測定装置が単一マーカーの位置測定値を取得する、請求項52に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項54】
前記外部測定装置が、前記決定した動作軌道に入る可能性のある治療対象をモニターし、そのような治療対象との衝突が示される場合、前記制御装置が動作を阻止する、請求項49に記載の前記経路計画および衝突回避システム。
【請求項55】
固定および少なくとも一つの可動構成要素を有する装置により治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法であって、
患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、
固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、
観察された初期の患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、
患者位置決め装置に対する対応する動作指示および動作軌道を決定して患者を所望の姿勢に導くステップと、
衝突が示される場合患者位置決め装置の動作を阻止するために、動作軌道と、固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの測定位置とを比較するステップと
を含んでいる、患者の位置照合および位置決め方法。
【請求項56】
前記固定および少なくとも一つの可動構成要素の前記選択ポイントの前記位置の外部測定は、複数のカメラを使用して前記構成要素の光学画像を取得する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記差ベクトルを第一基準系で決定し、前記動作指示の決定が前記第一基準系での前記差ベクトルを第二基準系における前記患者位置決め装置用の対応する動作ベクトルに変換することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記患者の放射線画像を取得するステップと、
少なくとも部分的に前記患者画像に基づき前記差ベクトルを決定するステップと
を更に含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記放射線画像の取得が、
少なくとも一つのX線源と少なくとも一つのX線イメージャを前記患者が間に介在するように位置決めするステップと、
前記少なくともX線源により前記患者と前記少なくとも一つのX線イメージャを照射するステップと
を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記患者位置決め装置と前記少なくとも一つのX線源およびイメージャの両方について対応する動作指示および動作軌道を決定するステップと、
衝突が示される場合、動作を阻止するように、前記動作軌道と、前記固定および少なくとも一つの可動構成要素の前記選択ポイントの前記測定位置、および前記患者位置決め装置と前記少なくとも一つのX線源およびイメージャ間の前記測定位置とを比較するステップと
を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも一つのX線源および少なくとも一つのX線イメージャを実質的に治療軸に沿って位置決めすることを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
患者体内の予め選定した位置へ放射線治療を施すシステムであって、
患者位置決め装置とノズルを含む複数の可動構成要素を備え、
更に複数の可動構成要素の物理的位置をモニターし、それを表す信号を送り、複数の可動構成要素の動作を更にモニターする内部モニターシステムを更に含み、それを表す信号を送り、前記内部および外部モニターシステムからの信号をモニターし、信号が構成要素の衝突が起きそうであると示す場合、複数の構成要素の動作を阻止する、システム。
【請求項63】
前記外部モニターシステムが前記可動構成要素の特徴的なモニュメントを撮影し、その物理的位置をモニターする、請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記モニュメントが前記可動構成要素の選択部位に取付けたマーカーを備えている、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記外部モニターシステムが前記可動構成要素の光学画像を取得する複数のカメラを備えている、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記外部モニターシステムが、さらに、前記可動構成要素の予測行程経路への異物の侵入をモニターし、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項62に記載の装置。
【請求項67】
前記内部モニターシステムが前記可動構成要素の前記測定位置に関する情報を供給するために前記動作構成要素と動作通信するレゾルバーを備えている、請求項62に記載の装置。
【請求項68】
前記レゾルバーが回転角エンコーダを備えている、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記患者位置決め装置により支持された患者の少なくとも一つの画像を取得する患者イメージャを備え、前記システムが前記少なくとも一つの患者画像を評価し、制御信号を送り、前記患者位置決め装置および前記ノズルの少なくとも一つを互いに動作するよう誘導し、所望の治療姿勢を実現する、請求項62に記載の装置。
【請求項1】
放射線治療システムであって、
ガントリと、
患者固定装置に対して患者を固定するよう構成される患者固定装置と、
患者固定装置を並進回転軸に沿ってガントリ内部に位置決めするよう患者固定装置と相互に接続する患者位置決め装置と、
ガントリと相互に接続し、ビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、
少なくとも患者固定装置およびノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、
少なくとも患者固定装置およびノズルの位置測定値を取得し制御信号を患者位置決め装置に送り患者をビーム軸に対して所望の方向付けに位置決めする制御装置と
を備えている、放射線治療システム。
【請求項2】
前記位置測定値を取得するため、前記外部測定装置が少なくとも前記患者固定装置および前記ノズルの光学画像を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも前記患者固定装置と前記ノズルに固定した複数のマーカーを更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つと動作通信する少なくとも一つの局部位置フィードバック装置を更に備え、
前記少なくとも一つの局部位置フィードバック装置が前記ガントリおよび患者位置決め装置の前記少なくとも一つの位置を示す位置データを前記制御装置に提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記装置が、患者の画像を取得し、前記ノズルに対し患者対象アイソセンタの相対位置を決定する患者撮影装置を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記装置が患者を初期位置に位置決めし、患者撮影後補正ベクトルを決定し、制御信号を送り、前記患者位置決め装置および前記患者対象アイソセンタを前記ノズルに対し所望の患者の姿勢に移動する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記患者撮影装置が、少なくとも一つの放射線用イメージャを備えている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者撮影装置が、少なくとも一つのX線源と、少なくとも一つのソリッドステートX線イメージャとを備えている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者撮影装置が、ビーム軸内およびビーム軸外へ可動である、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記患者撮影装置が、前記対象アイソセンタのより精度の高い決定のため複数の面から前記患者の画像を取得する、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
位置測定値の取得と、前記位置決め制御信号の前記患者位置決め装置への伝送と、を繰返し行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ノズルが、ガントリアイソセンタの回りを回転できるよう前記ガントリと相互に接続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、第一基準系において前記外部測定装置により測定した方向付けおよび位置差ベクトルを決定し、
前記差ベクトルを第二基準系において少なくとも一つの補正ベクトルに変換し、前記患者を前記ビーム軸に対して所望の姿勢に位置決めする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの補正ベクトルが前記ノズルを前記ガントリアイソセンタの回りを回転するよう誘導する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
動作する複数の構成要素を有する放射線治療装置用患者位置決めシステムであって、
位置情報を提供するために前記複数の構成要素の位置測定値を取得するよう配置した複数の外部測定装置と、
患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成された可動患者支持器と、
位置決め装置が複数の構成要素の動作を補償するよう複数の外部測定装置から情報を取得し、患者可動支持器に動作指示して患者を所望の姿勢に位置合わせする制御装置と
を備えている、患者位置決めシステム。
【請求項16】
患者の所望の姿勢への位置合わせは、前記放射線治療装置が放射線ビームを誘導するビーム供給目標点に対する前記患者支持器の位置合わせを含んでいる、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項17】
前記患者の画像を取得する患者イメージャシステムと、対象アイソセンタと、を更に備え、
前記位置決めシステムが、対象アイソセンタの位置を決定し、対象アイソセンタを前記ビーム供給目標点に位置合わせする、請求項16に記載の位置決めシステム。
【請求項18】
動作する前記構成要素の少なくとも一つが動作制御可能であり、前記位置決めシステムがフィードバック機能を備え、制御信号を送ることにより前記患者を前記所望の姿勢に位置合わせし、前記少なくとも一つの動作制御可能な構成要素を位置決めする、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項19】
動作する前記複数の構成要素の選択ポイントに固定した複数のマーカーを更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項15に記載の位置決めシステム。
【請求項20】
単一マーカー位置の測定を単一の外部測定装置による測定よってより精度を高めるため、複数の外部測定装置が前記単一マーカーの位置測定値を取得する、請求項19に記載の位置決めシステム。
【請求項21】
動作する複数の構成要素を有するシステムで治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法であって、
制御可能な患者位置決め装置で患者を初期の治療姿勢に位置決めするステップと、
複数の構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、
観察された初期患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、
患者位置決め装置に動作指示し患者を所望の患者の姿勢に導くステップと
を含んでいる、方法。
【請求項22】
前記複数の構成要素の前記選択ポイントの位置の外部測定が、複数のカメラを使用して前記複数の構成要素の光学画像を取得する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記差ベクトルを第一基準系で決定し、前記動作指示を前記第一基準系における前記差ベクトルを第二基準系における前記患者位置決め装置用の対応する動作ベクトルに変換する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の放射線画像を取得し、少なくとも部分的に前記患者画像に基づき前記差ベクトルを決定するステップを更に含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線画像の取得が、
X線源とX線イメージャを総じて治療ビーム軸に沿って前記患者を間に介在させて位置決めするステップと、
X線源により患者とX線イメージャを照射するステップと、
治療ビーム軸から前記X線源とイメージャを取り除くステップと
を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
粒子の発生源と、粒子を放出するノズルであって、患者に対して可動であり、患者の選択部位への粒子の供給を複数の異なる経路により容易にするノズルとを含む複数の構成要素を有する放射線治療設備で使用する位置決めシステムであって、
患者をノズルに対して方向付けして患者の選択部位への粒子の供給を容易にするよう可動の患者を収容する患者位置決め装置と、
治療に先立ち患者に対して少なくとも一つの構成要素の方向付けを示す治療画像を作成し患者位置決め装置に近接した放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を撮影するモニターシステムと、
粒子を患者に供給する際、少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを含み、実施する治療を指示する信号を取得し、更に治療画像を取得し、治療画像を評価して治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定し、治療に先立ち少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けと少なくとも一つの構成要素の所望の方向付けを比較し、実際の方向付けが所望の方向付けと対応する既定の基準に合わない場合、粒子を供給中に実際の方向付けが所望の方向付けに、より厳密に対応するよう患者位置決め装置に信号を送って患者位置決め装置を動作する、患者への前記粒子の供給を制御する制御システムと
を備えることを特徴とする、位置決めシステム。
【請求項27】
前記患者位置決め装置が、
前記患者固定装置に対して治療する患者の部位を実質的に不動の方向付けに維持するための患者固定装置と、
前記制御システムからの信号に対応して前記患者固定装置を動作することによって前記患者を、粒子供給中に所望の方向付けに、より厳密に対応する実際の方向付けに移動するための前記患者固定装置に連結した動作機構と
を備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記患者固定装置が前記患者を患者ポッドに対して実質的に不動の方向付けで保持するよう位置決めする患者ポッドを備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記動作機構が三つの直交する軸の回りでの前記患者ポッドの並進回転運動を可能にする、患者ポッドに取付けられたロボットアセンブリを備えている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記モニターシステムが前記放射線治療設備の少なくとも一つの構成要素を視覚的に撮影して前記少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定する、少なくとも一つの撮影装置を備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも一つの撮影装置が前記放射線設備の前記少なくとも一つの構成要素の視覚像を撮影する複数のカメラを備え、当該複数のカメラを三つの直交する面に対して少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定できるよう配置する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記複数のカメラが前記少なくとも一つの構成要素に関連するモニュメントの三次元位置を解明して前記少なくとも一つの構成要素の実際の方向付けを決定できるように前記少なくとも一つの構成要素の視覚像を撮影する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも一つの構成要素に取付けた少なくとも一つの外部マーカーを更に備え、前記少なくとも一つの外部マーカーが前記少なくとも一つの構成要素に関連する前記モニュメントを備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記モニターシステムが前記ノズルを含む複数の構成要素を撮影し、前記制御システムは、前記複数の構成要素が前記所望の方向付けの予め選定された基準内になるよう前記患者位置決め装置を調節する、請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御システムが基準の設定値を前記モニターシステムの視界内に定義付けし、前記基準の設定値を基準にして前記実際の方向付けおよび前記所望の方向付けを決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項36】
前記モニターシステムが前記患者位置決め装置を更に撮影し、前記制御システムが前記患者位置決め装置の方向付けを示す信号を取得し、これらの信号を使用して前記少なくとも一つの構成要素の前記実際の方向付けと前記所望の方向付けを決定する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御システムが前記放射線治療設備から前記システム内部の構成要素の動作を示す信号を取得し、当該制御システムがこれらの信号を利用して前記少なくとも一つの構成要素の前記実際の方向付けと所望の方向付けを決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項38】
固定および可動構成要素を有する放射線治療システムであって、
ガントリと、
患者ポッドに対して患者を実質的に不動にするよう構成する患者ポッドと、
患者ポッドを複数の並進回転軸に沿って前記ガントリ内部に位置決めするよう患者ポッドと相互に接続する患者位置決定装置と、
ガントリと相互に接続しビーム軸に沿って選択的に放射線治療を施す放射線治療ノズルと、
少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得する複数の外部測定装置と、
少なくとも患者ポッドとノズルの位置測定値を取得し、ビーム軸に対して患者を所望の姿勢に位置決めするための動作指示と、その動作指示に基づき治療装置の他の固定および可動構成要素に対して患者ポッドの対応する動作軌道を決定し、動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合動作を阻止する制御装置と
を備えている、放射線治療システム。
【請求項39】
前記外部測定装置が位置測定値を取得するために少なくとも前記患者ポッドとノズルの光学画像を取得する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも前記患者ポッドとノズルに固定した複数のマーカー更に備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つと動作通信する少なくとも一つの局部位置フィードバック装置を更に備え、前記少なくとも一つの局部位置フィードバック装置が前記ガントリおよび患者位置決め装置の少なくとも一つの位置を示す位置データを前記制御装置に提供する、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記患者の画像を取得するために前記ビーム軸内への可動であり、前記放射線ビームへの前記撮影装置の露出を減らすために前記ビーム軸の外へ可動である患者撮影装置を更に備え、前記システムが前記ノズルに対する患者対象アイソセンタの相対位置を決定する、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムが前記患者を初期位置に位置決めし、患者撮影後、補正ベクトルおよび対応する動作指示と軌道を決定して前記ノズルに対して前記患者位置決め装置と前記患者対象アイソセンタとを所望の姿勢に移動し、前記動作軌道を評価し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記患者位置決め装置に対して位置測定値の取得と動作指示を繰返し行う、請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記ノズルをガントリアイソセンタの回りを回転可能となるよう前記ガントリに相互接続する、請求項38に記載のシステム。
【請求項46】
前記システムが、患者を所望の姿勢に位置決めするため前記患者位置決め装置および前記ガントリの両方に対する動作指示と前記動作指示に基づき前記治療装置の他の固定および可動構成要素、前記ガントリおよび前記患者位置決め装置各々に対する動作軌道とを決定し、前記動作指示に対して衝突が起きるかどうかを決定し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記装置が、前記所望の姿勢の取得スピードを上げるため、前記患者位置決め装置とガントリの同時動作のための動作指示と対応する軌道を決定する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記外部測定装置が、決定した動作軌道に入る可能性のある治療対象をさらにモニターし、そのような治療対象との衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項38に記載のシステム。
【請求項49】
固定および可動構成要素を有しビーム軸に沿って選択的に放射線治療ビームを供給する放射線治療装置に関する経路計画および衝突回避システムであって、
位置情報を提供するために前記構成要素の位置測定値を取得するよう配置された複数の外部測定装置と、
患者支持器に対して実質的に位置固定した患者を支持し、患者を制御可能に複数の並進回転軸で位置決めするよう構成する可動患者支持器と、
複数の外部測定装置から位置情報を取得し、可動患者支持器を動作指示し患者を自動的に所望の姿勢に位置合わせし、対応する動作エンベロープを決定する制御装置であって、動作エンベロップを評価し、衝突が示される場合、患者支持器の動作を阻止し、そうでなければ動作を開始する制御装置と
を備えている、位置決めシステム。
【請求項50】
前記患者の所望の姿勢への位置合わせが、前記放射線治療装置が放射線ビームを誘導するビーム供給目標点に対して前記患者支持器を位置合わせすることを含んでいる、請求項49に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項51】
前記患者の画像および対象アイソセンタを取得するために前記ビーム軸の内外へ可動可能な患者イメージャシステムを更に備え、前記経路計画および衝突回避システムが前記患者イメージャと前記患者支持器の両方についての動作指示と軌道を決定し、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項49に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項52】
動作する前記複数の構成要素の選択ポイントに固定した複数のマーカーを備え、前記外部測定装置が前記マーカーの位置測定値を取得する、請求項49に記載の前記経路計画および衝突回避システム。
【請求項53】
前記単一マーカー位置の測定を単一の外部測定装置によってより精度の高い測定を行うため、複数の外部測定装置が単一マーカーの位置測定値を取得する、請求項52に記載の経路計画および衝突回避システム。
【請求項54】
前記外部測定装置が、前記決定した動作軌道に入る可能性のある治療対象をモニターし、そのような治療対象との衝突が示される場合、前記制御装置が動作を阻止する、請求項49に記載の前記経路計画および衝突回避システム。
【請求項55】
固定および少なくとも一つの可動構成要素を有する装置により治療を施す患者を位置照合および位置決めする方法であって、
患者を制御可能な患者位置決め装置により初期の治療姿勢に位置決めするステップと、
固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの位置を外部測定するステップと、
観察された初期の患者の姿勢と所望の患者の姿勢間の差ベクトルを決定するステップと、
患者位置決め装置に対する対応する動作指示および動作軌道を決定して患者を所望の姿勢に導くステップと、
衝突が示される場合患者位置決め装置の動作を阻止するために、動作軌道と、固定および少なくとも一つの可動構成要素の選択ポイントの測定位置とを比較するステップと
を含んでいる、患者の位置照合および位置決め方法。
【請求項56】
前記固定および少なくとも一つの可動構成要素の前記選択ポイントの前記位置の外部測定は、複数のカメラを使用して前記構成要素の光学画像を取得する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記差ベクトルを第一基準系で決定し、前記動作指示の決定が前記第一基準系での前記差ベクトルを第二基準系における前記患者位置決め装置用の対応する動作ベクトルに変換することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記患者の放射線画像を取得するステップと、
少なくとも部分的に前記患者画像に基づき前記差ベクトルを決定するステップと
を更に含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記放射線画像の取得が、
少なくとも一つのX線源と少なくとも一つのX線イメージャを前記患者が間に介在するように位置決めするステップと、
前記少なくともX線源により前記患者と前記少なくとも一つのX線イメージャを照射するステップと
を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記患者位置決め装置と前記少なくとも一つのX線源およびイメージャの両方について対応する動作指示および動作軌道を決定するステップと、
衝突が示される場合、動作を阻止するように、前記動作軌道と、前記固定および少なくとも一つの可動構成要素の前記選択ポイントの前記測定位置、および前記患者位置決め装置と前記少なくとも一つのX線源およびイメージャ間の前記測定位置とを比較するステップと
を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも一つのX線源および少なくとも一つのX線イメージャを実質的に治療軸に沿って位置決めすることを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
患者体内の予め選定した位置へ放射線治療を施すシステムであって、
患者位置決め装置とノズルを含む複数の可動構成要素を備え、
更に複数の可動構成要素の物理的位置をモニターし、それを表す信号を送り、複数の可動構成要素の動作を更にモニターする内部モニターシステムを更に含み、それを表す信号を送り、前記内部および外部モニターシステムからの信号をモニターし、信号が構成要素の衝突が起きそうであると示す場合、複数の構成要素の動作を阻止する、システム。
【請求項63】
前記外部モニターシステムが前記可動構成要素の特徴的なモニュメントを撮影し、その物理的位置をモニターする、請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記モニュメントが前記可動構成要素の選択部位に取付けたマーカーを備えている、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記外部モニターシステムが前記可動構成要素の光学画像を取得する複数のカメラを備えている、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記外部モニターシステムが、さらに、前記可動構成要素の予測行程経路への異物の侵入をモニターし、衝突が示される場合、動作を阻止する、請求項62に記載の装置。
【請求項67】
前記内部モニターシステムが前記可動構成要素の前記測定位置に関する情報を供給するために前記動作構成要素と動作通信するレゾルバーを備えている、請求項62に記載の装置。
【請求項68】
前記レゾルバーが回転角エンコーダを備えている、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記患者位置決め装置により支持された患者の少なくとも一つの画像を取得する患者イメージャを備え、前記システムが前記少なくとも一つの患者画像を評価し、制御信号を送り、前記患者位置決め装置および前記ノズルの少なくとも一つを互いに動作するよう誘導し、所望の治療姿勢を実現する、請求項62に記載の装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−224383(P2011−224383A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−130388(P2011−130388)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2006−523345(P2006−523345)の分割
【原出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503042820)ローマ リンダ ユニヴァーシティ メディカル センター (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130388(P2011−130388)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2006−523345(P2006−523345)の分割
【原出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503042820)ローマ リンダ ユニヴァーシティ メディカル センター (21)
【Fターム(参考)】
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