放電灯駆動装置
【課題】 オフ期間からオン期間に切り替わる点灯開始1サイクル目で充分な電圧をトランス1の次巻線12に印加し、放電に充分なランプ電流を流すことにより、低調光率域でもちらつきのない安定点灯を可能にする。
【解決手段】 トランス1の2次巻線13側に高周波数矩形ランプ電流を通電されて点灯する外部電極式の放電灯11と、トランスの1次巻線12と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサ3,4と、トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子7,8と、該スイッチング素子に夫々駆動信号を印加する制御回路2とを備えた放電灯駆動装置において、制御回路から駆動信号がスイッチング素子を介してトランスの1次巻線に印加される前に、第3のスイッチング素子9をONにすることにより、トランス1起動時に安定した電圧を供給することができる。
【解決手段】 トランス1の2次巻線13側に高周波数矩形ランプ電流を通電されて点灯する外部電極式の放電灯11と、トランスの1次巻線12と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサ3,4と、トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子7,8と、該スイッチング素子に夫々駆動信号を印加する制御回路2とを備えた放電灯駆動装置において、制御回路から駆動信号がスイッチング素子を介してトランスの1次巻線に印加される前に、第3のスイッチング素子9をONにすることにより、トランス1起動時に安定した電圧を供給することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面電極式の放電灯を点灯させる放電灯駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル用のバックライトには、光源として水銀が封入された冷陰極蛍光ランプが使用されていたが、近年有害物質である水銀の代わりにキセノンを封入した外面電極蛍光ランプが開発されている。
【0003】
図5、図6に示した外面電極蛍光ランプ11は、密閉された放電空間を構成するバルブ21の内面に蛍光体被膜22を被着形成し、バルブ21の一端に内部電極23を封着し、バルブ21の外周面には導電線を螺旋状に巻着して成る外部電極24を設け、さらに短絡防止のための絶縁性を有する透光性樹脂製フィルム25を巻着した構成である。この外面電極蛍光ランプ11を点灯させるには、内部電極23を導入線26を介して電圧供給線27と接続し、また外部電極24を固定用金属棒28を介して電圧供給線27’と接続し、電源(インバータ)29を用いて、例えば、高周波矩形波電圧を印加して放電を開始させる。この放電によって放電媒体であるキセノンから紫外線を放出させ、これを蛍光体22によって可視光に変換させて外部に放射させ、光源として利用する。
【0004】
上述の外面電極蛍光ランプ11を点灯させるには、矩形波電圧を印加するのが最適であり、図7、図8、図9に放電灯駆動装置の従来回路図を、図10にそのタイミングチャートを示している。従来回路の場合、ランプ11の消灯、点灯にかかわらず、高圧発生用のトランス1を駆動する回路素子群へ常に入力電圧Vccを供給する構成である。
【0005】
図8は、制御回路10の出力する駆動信号イによりスイッチング素子7がオフし、駆動信号ロによりスイッチング素子8がオンすることで、正のランプ電流を作成する状態を示している。図9は、駆動信号イによりスイッチング素子7がオンし、駆動信号ロによりスイッチング素子8がオフすることで、負のランプ電流を作成する状態を示している。すなわち、図10のタイミングチャートに示す様に、駆動信号イ、ロのオン期間でランプ駆動用トランス1の1次巻線電圧が「L→H→L→H→L→H→…」と発振を繰り返すことで、トランス1の2次巻線13に接続された外面電極蛍光ランプ11に正負のランプ電流を供給する。制御回路10は与えられる調光信号19を判定し、必要数だけこれらの一連の動作を繰り返すことで、ランプ11に正負のランプ電流を継続的に印加し、出力効率の高いランプ点灯を実現する。
【0006】
しかし、従来回路方式では、図7に示すようにトランス1の1次巻線12側に例えばトランス1の発振検出を目的とする発振検出回路20等を直接接続すると、中点バイアス作成用のコンデンサ4から発振検出回路20へ微小ではあるが電流Ibが流れてしまうため、トランス1の1次巻線12の電圧(VC0)が低下した状態でトランス1の起動が開始する場合が発生する。さらに暫く消灯させた後(約2分以上)点灯を開始した場合は、コンデンサ3,4が自然放電することでGND電位まで降下することが考えられる。尚、回路方式によっては、電流Ibの方向が図7中とは逆の場合もあるが、この従来例では便宜上流入する回路を例にとり説明する。
【0007】
トランス1の1次巻線12の電圧が低下した状態でトランス1が起動すると、トランス駆動用の半導体スイッチング素子7に他方の半導体スイッチング素子8に比べて過大な電流が流れることで、両コンデンサ3,4の充放電電流のバランスが崩れ、1次巻線12にスパイク状の高い電圧が発生する場合がある。図11は、トランス1の起動初期だけ1次巻線12の発振が不安定な場合の実波形であり、図12は、不安定状態が継続している場合の実波形である。
【0008】
上述のスパイク状の電圧が発生すると、その影響で中点電圧(VC0)が大きく変動し、最悪の場合にはトランス1の発振が不安定な状態を継続する恐れもある。そのため、ランプ11に正常な矩形波電圧が印加されない期間が生じ、その期間はランプ光がちらつくことがあり、さらにスパイク状の電圧ノイズがトランス駆動用の半導体スイッチング素子7,8の耐圧以上になるとサージ破壊を招く恐れもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、オフ期間からオン期間に切り替わる点灯開始1サイクル目で充分な電圧をトランスの1次巻線に印加し、放電に充分なランプ電流を流すことによって1%程度の低い調光率の場合でも放電灯をちらつきのなく安定して点灯させることができる放電灯駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の放電灯駆動装置は、トランスの2次巻線側に接続され、高周波矩形波ランプ電流を通電されて点灯する外面電極放電灯と、前記トランスの1次巻線と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサと、前記トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子と、該スイッチング素子それぞれに駆動信号を印加する制御回路と、前記トランスの1次巻線側に接続された前記中点バイアス作成用の第1、第2コンデンサへ供給する入力電圧をオン・オフする入力電圧供給回路とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の放電灯駆動装置において、前記入力電圧供給回路は、前記制御回路に入力される調光信号を判定し、ランプの消灯時及び調光率0%時には前記入力電圧を遮断し、調光率0%以外の点灯時には前記入力電圧を供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1、第2のスイッチング素子が共にオフしている状態からいずれかがオンになる直前に第3のスイッチング素子がオンになる構成であるので、中点バイアス用コンデンサによる中点電圧を入力電圧のほぼ1/2に上昇させてからトランスを起動することができ、点灯1サイクル目のランプ電流の低下を改善し、低調光率域での安定点灯が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態の放電灯駆動装置の回路図である。図1において、放電灯駆動装置は、トランス1の1次側には電源Vccと、制御回路2と、第1、第2のコンデンサ3,4と、第1、第2の抵抗成分を有する素子5,6、第1、第2、第3のスイッチング素子7,8,9とを備え、トランス1の2次側には放電灯11を負荷として備えて構成されている。具体的に説明すると、直流電源Vccには第1、第2のコンデンサ3,4が直列に接続されており、第2のコンデンサ4の第1のコンデンサ3と接続されていない側は接地されている。また、直流電源Vccには、トランス1の1次巻線12の一方の端子が第1のコンデンサ3を介して接続されている。また、直流電源Vccには第1のスイッチング素子7が接続されると共に、第1、第2のスイッチング素子7,8は第1、第2の抵抗成分を有する素子5,6を介して直列に接続されている。
【0014】
制御回路2には電源電圧Vccを矩形波直流電圧に整形して3つの波形データを生成し、この波形を駆動信号イ、ロ、入力電圧スイッチング信号ハに割り当てて出力し、この制御回路2より出力する駆動信号イが第1のスイッチング素子7を動作させ、駆動信号ロが第2のスイッチング素子8を動作させ、入力電圧スイッチング信号ハが第3のスイッチング素子9を動作させるようにしている。各信号イ、ロ、ハは、入力電圧スイッチング信号ハがオフ状態からオンに切り替わった後、互いに位相の反転したパルス信号である駆動信号イ、ロが出力し、第1のスイッチング素子7と第2のスイッチング素子8を交互にオン・オフするように構成されている。
【0015】
第2のスイッチング素子8の第2の抵抗成分を有する素子6と接続されていない側は接地されている。第1の抵抗成分を有する素子5と第2の抵抗成分を有する素子6との間にはトランス1の1次巻線12の他方の端子が接続されている。トランス1の1次巻線12の他方の端子は、例えば特開2002−75682号公報記載のようにコイル、ダイオード、抵抗、抵抗成分を有する素子若しくはこれらを組み合わせて第1、第2のスイッチング素子7,8から矩形波直流電圧の駆動信号イ、ロを入力するように構成されているものであってもよい。
【0016】
電源Vccの入力端のすぐ後に第3のスイッチング素子9が接続され、入力電圧供給回路50を構成している。制御回路2から出力される入力電圧スイッチング信号ハによってこの第3の半導体スイッチング素子9がオンすることで、充電電流Iaが充電期間中、コンデンサ3,4へ供給される。概ね充電電流Iaがトランス1の発振検出回路20等への漏れ電流Ibと等しければ、電源投入時の電圧(Vcc/2)が維持され、トランス1の起動時の初期電圧が確保される。トランス1の2次巻線13は従来同様の外面電極蛍光ランプ11に接続される。
【0017】
図2は、各信号イ、ロ、ハ、トランス1の1次巻線電圧及びランプ電流の関係を示すタイミングチャートである。本実施の形態の放電灯駆動装置では、消灯モードから点灯モードになる直前に入力電圧スイッチング信号ハの信号により第3のスイッチング素子9をオンにし、第1、第2のコンデンサ3,4への電圧供給を遮断状態から一気にVccまで上げることで、駆動回路素子群と中点バイアス回路へ入力電圧Vccが供給され、中点バイアス作成用コンデンサ3,4が均等に充電され、中点電位VC1が入力電圧Vccの概ね半分(Vcc/2)となり、トランス1の安定した起動に最適な1次巻線12の初期電圧(概ねVcc/4〜3Vcc/4)を確保することが可能となる。このため、過大なスパイク状の電流が半導体スイッチング素子→トランスの1次巻線→中点バイアス用コンデンサへ流れないため、中点バイアス用コンデンサ3,4の電圧が乱れず、安定なトランス1の起動と安定した発振が継続して可能となる。これにより2サイクル目以降の中点バイアス用コンデンサ3,4の充電、放電電流が等しくなることで、コンデンサ3,4の中点電位が概ねVcc/2の電圧を維持することが可能となり、安定したトランスの発振動作の継続が達成できる上に、キセノン蛍光ランプのような外面電極蛍光ランプ11を高輝度で点灯することが可能である。
【0018】
図3は本実施の形態によるトランス1の起動時の実波形を示す。この図3よりトランス1の起動時でもトランス1次電圧VT1が安定していることがわかる。また、本実施の形態のランプ点灯時の実波形を示す図4より、ランプ点灯時でも安定した電圧を供給できていることがわかる。
【0019】
以上のように本実施の形態の放電灯駆動装置では、トランスの1次巻線側にトランスの発振検出を目的とする回路を直接接続しても、点灯モードとなる直前に中点バイアス作成用のコンデンサに電圧供給を開始されることで、トランスの安定な発振に必要な1次側の初期電圧を最適値にすることができ、半導体スイッチング素子→トランスの1次巻線→中点バイアス作成用のコンデンサへ過大なスパイク状の電流が流れなくなるために中点バイアス作成用のコンデンサの電圧が乱れることがなく、安定したトランスの起動と安定な発振が継続して得られ、キセノン蛍光ランプのような外面電極蛍光ランプを1%程度の低調光率の際にもちらつきなく点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1つの実施の形態の放電灯駆動装置の回路図。
【図2】上記実施の形態の放電灯駆動装置のタイミングチャート。
【図3】上記実施の形態によるトランス起動時の実波形図。
【図4】上記実施の形態によるランプ点灯時の実波形。
【図5】外面電極蛍光ランプの正面図。
【図6】外面電極蛍光ランプの正面断面図。
【図7】従来例の回路図。
【図8】スイッチ8がオンした場合の従来の回路図。
【図9】スイッチ7がオンした場合の従来の回路図。
【図10】従来回路のタイミングチャート図。
【図11】従来回路のトランス起動時の実波形図。
【図12】従来回路の不安定点灯時の実波形図。
【符号の説明】
【0021】
1 トランス
2 制御回路
3,4 コンデンサ
7 第1のスイッチング素子
8 第2のスイッチング素子
9 第3のスイッチング素子
11 外面電極蛍光ランプ
12 1次巻線
13 2次巻線
19 調光信号
20 トランスの発振検出回路
21 バルブ
22 蛍光体皮膜
23 内部電極
24 外部電極
50 入力電圧供給回路
Vcc 電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面電極式の放電灯を点灯させる放電灯駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル用のバックライトには、光源として水銀が封入された冷陰極蛍光ランプが使用されていたが、近年有害物質である水銀の代わりにキセノンを封入した外面電極蛍光ランプが開発されている。
【0003】
図5、図6に示した外面電極蛍光ランプ11は、密閉された放電空間を構成するバルブ21の内面に蛍光体被膜22を被着形成し、バルブ21の一端に内部電極23を封着し、バルブ21の外周面には導電線を螺旋状に巻着して成る外部電極24を設け、さらに短絡防止のための絶縁性を有する透光性樹脂製フィルム25を巻着した構成である。この外面電極蛍光ランプ11を点灯させるには、内部電極23を導入線26を介して電圧供給線27と接続し、また外部電極24を固定用金属棒28を介して電圧供給線27’と接続し、電源(インバータ)29を用いて、例えば、高周波矩形波電圧を印加して放電を開始させる。この放電によって放電媒体であるキセノンから紫外線を放出させ、これを蛍光体22によって可視光に変換させて外部に放射させ、光源として利用する。
【0004】
上述の外面電極蛍光ランプ11を点灯させるには、矩形波電圧を印加するのが最適であり、図7、図8、図9に放電灯駆動装置の従来回路図を、図10にそのタイミングチャートを示している。従来回路の場合、ランプ11の消灯、点灯にかかわらず、高圧発生用のトランス1を駆動する回路素子群へ常に入力電圧Vccを供給する構成である。
【0005】
図8は、制御回路10の出力する駆動信号イによりスイッチング素子7がオフし、駆動信号ロによりスイッチング素子8がオンすることで、正のランプ電流を作成する状態を示している。図9は、駆動信号イによりスイッチング素子7がオンし、駆動信号ロによりスイッチング素子8がオフすることで、負のランプ電流を作成する状態を示している。すなわち、図10のタイミングチャートに示す様に、駆動信号イ、ロのオン期間でランプ駆動用トランス1の1次巻線電圧が「L→H→L→H→L→H→…」と発振を繰り返すことで、トランス1の2次巻線13に接続された外面電極蛍光ランプ11に正負のランプ電流を供給する。制御回路10は与えられる調光信号19を判定し、必要数だけこれらの一連の動作を繰り返すことで、ランプ11に正負のランプ電流を継続的に印加し、出力効率の高いランプ点灯を実現する。
【0006】
しかし、従来回路方式では、図7に示すようにトランス1の1次巻線12側に例えばトランス1の発振検出を目的とする発振検出回路20等を直接接続すると、中点バイアス作成用のコンデンサ4から発振検出回路20へ微小ではあるが電流Ibが流れてしまうため、トランス1の1次巻線12の電圧(VC0)が低下した状態でトランス1の起動が開始する場合が発生する。さらに暫く消灯させた後(約2分以上)点灯を開始した場合は、コンデンサ3,4が自然放電することでGND電位まで降下することが考えられる。尚、回路方式によっては、電流Ibの方向が図7中とは逆の場合もあるが、この従来例では便宜上流入する回路を例にとり説明する。
【0007】
トランス1の1次巻線12の電圧が低下した状態でトランス1が起動すると、トランス駆動用の半導体スイッチング素子7に他方の半導体スイッチング素子8に比べて過大な電流が流れることで、両コンデンサ3,4の充放電電流のバランスが崩れ、1次巻線12にスパイク状の高い電圧が発生する場合がある。図11は、トランス1の起動初期だけ1次巻線12の発振が不安定な場合の実波形であり、図12は、不安定状態が継続している場合の実波形である。
【0008】
上述のスパイク状の電圧が発生すると、その影響で中点電圧(VC0)が大きく変動し、最悪の場合にはトランス1の発振が不安定な状態を継続する恐れもある。そのため、ランプ11に正常な矩形波電圧が印加されない期間が生じ、その期間はランプ光がちらつくことがあり、さらにスパイク状の電圧ノイズがトランス駆動用の半導体スイッチング素子7,8の耐圧以上になるとサージ破壊を招く恐れもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、オフ期間からオン期間に切り替わる点灯開始1サイクル目で充分な電圧をトランスの1次巻線に印加し、放電に充分なランプ電流を流すことによって1%程度の低い調光率の場合でも放電灯をちらつきのなく安定して点灯させることができる放電灯駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の放電灯駆動装置は、トランスの2次巻線側に接続され、高周波矩形波ランプ電流を通電されて点灯する外面電極放電灯と、前記トランスの1次巻線と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサと、前記トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子と、該スイッチング素子それぞれに駆動信号を印加する制御回路と、前記トランスの1次巻線側に接続された前記中点バイアス作成用の第1、第2コンデンサへ供給する入力電圧をオン・オフする入力電圧供給回路とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の放電灯駆動装置において、前記入力電圧供給回路は、前記制御回路に入力される調光信号を判定し、ランプの消灯時及び調光率0%時には前記入力電圧を遮断し、調光率0%以外の点灯時には前記入力電圧を供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1、第2のスイッチング素子が共にオフしている状態からいずれかがオンになる直前に第3のスイッチング素子がオンになる構成であるので、中点バイアス用コンデンサによる中点電圧を入力電圧のほぼ1/2に上昇させてからトランスを起動することができ、点灯1サイクル目のランプ電流の低下を改善し、低調光率域での安定点灯が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態の放電灯駆動装置の回路図である。図1において、放電灯駆動装置は、トランス1の1次側には電源Vccと、制御回路2と、第1、第2のコンデンサ3,4と、第1、第2の抵抗成分を有する素子5,6、第1、第2、第3のスイッチング素子7,8,9とを備え、トランス1の2次側には放電灯11を負荷として備えて構成されている。具体的に説明すると、直流電源Vccには第1、第2のコンデンサ3,4が直列に接続されており、第2のコンデンサ4の第1のコンデンサ3と接続されていない側は接地されている。また、直流電源Vccには、トランス1の1次巻線12の一方の端子が第1のコンデンサ3を介して接続されている。また、直流電源Vccには第1のスイッチング素子7が接続されると共に、第1、第2のスイッチング素子7,8は第1、第2の抵抗成分を有する素子5,6を介して直列に接続されている。
【0014】
制御回路2には電源電圧Vccを矩形波直流電圧に整形して3つの波形データを生成し、この波形を駆動信号イ、ロ、入力電圧スイッチング信号ハに割り当てて出力し、この制御回路2より出力する駆動信号イが第1のスイッチング素子7を動作させ、駆動信号ロが第2のスイッチング素子8を動作させ、入力電圧スイッチング信号ハが第3のスイッチング素子9を動作させるようにしている。各信号イ、ロ、ハは、入力電圧スイッチング信号ハがオフ状態からオンに切り替わった後、互いに位相の反転したパルス信号である駆動信号イ、ロが出力し、第1のスイッチング素子7と第2のスイッチング素子8を交互にオン・オフするように構成されている。
【0015】
第2のスイッチング素子8の第2の抵抗成分を有する素子6と接続されていない側は接地されている。第1の抵抗成分を有する素子5と第2の抵抗成分を有する素子6との間にはトランス1の1次巻線12の他方の端子が接続されている。トランス1の1次巻線12の他方の端子は、例えば特開2002−75682号公報記載のようにコイル、ダイオード、抵抗、抵抗成分を有する素子若しくはこれらを組み合わせて第1、第2のスイッチング素子7,8から矩形波直流電圧の駆動信号イ、ロを入力するように構成されているものであってもよい。
【0016】
電源Vccの入力端のすぐ後に第3のスイッチング素子9が接続され、入力電圧供給回路50を構成している。制御回路2から出力される入力電圧スイッチング信号ハによってこの第3の半導体スイッチング素子9がオンすることで、充電電流Iaが充電期間中、コンデンサ3,4へ供給される。概ね充電電流Iaがトランス1の発振検出回路20等への漏れ電流Ibと等しければ、電源投入時の電圧(Vcc/2)が維持され、トランス1の起動時の初期電圧が確保される。トランス1の2次巻線13は従来同様の外面電極蛍光ランプ11に接続される。
【0017】
図2は、各信号イ、ロ、ハ、トランス1の1次巻線電圧及びランプ電流の関係を示すタイミングチャートである。本実施の形態の放電灯駆動装置では、消灯モードから点灯モードになる直前に入力電圧スイッチング信号ハの信号により第3のスイッチング素子9をオンにし、第1、第2のコンデンサ3,4への電圧供給を遮断状態から一気にVccまで上げることで、駆動回路素子群と中点バイアス回路へ入力電圧Vccが供給され、中点バイアス作成用コンデンサ3,4が均等に充電され、中点電位VC1が入力電圧Vccの概ね半分(Vcc/2)となり、トランス1の安定した起動に最適な1次巻線12の初期電圧(概ねVcc/4〜3Vcc/4)を確保することが可能となる。このため、過大なスパイク状の電流が半導体スイッチング素子→トランスの1次巻線→中点バイアス用コンデンサへ流れないため、中点バイアス用コンデンサ3,4の電圧が乱れず、安定なトランス1の起動と安定した発振が継続して可能となる。これにより2サイクル目以降の中点バイアス用コンデンサ3,4の充電、放電電流が等しくなることで、コンデンサ3,4の中点電位が概ねVcc/2の電圧を維持することが可能となり、安定したトランスの発振動作の継続が達成できる上に、キセノン蛍光ランプのような外面電極蛍光ランプ11を高輝度で点灯することが可能である。
【0018】
図3は本実施の形態によるトランス1の起動時の実波形を示す。この図3よりトランス1の起動時でもトランス1次電圧VT1が安定していることがわかる。また、本実施の形態のランプ点灯時の実波形を示す図4より、ランプ点灯時でも安定した電圧を供給できていることがわかる。
【0019】
以上のように本実施の形態の放電灯駆動装置では、トランスの1次巻線側にトランスの発振検出を目的とする回路を直接接続しても、点灯モードとなる直前に中点バイアス作成用のコンデンサに電圧供給を開始されることで、トランスの安定な発振に必要な1次側の初期電圧を最適値にすることができ、半導体スイッチング素子→トランスの1次巻線→中点バイアス作成用のコンデンサへ過大なスパイク状の電流が流れなくなるために中点バイアス作成用のコンデンサの電圧が乱れることがなく、安定したトランスの起動と安定な発振が継続して得られ、キセノン蛍光ランプのような外面電極蛍光ランプを1%程度の低調光率の際にもちらつきなく点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1つの実施の形態の放電灯駆動装置の回路図。
【図2】上記実施の形態の放電灯駆動装置のタイミングチャート。
【図3】上記実施の形態によるトランス起動時の実波形図。
【図4】上記実施の形態によるランプ点灯時の実波形。
【図5】外面電極蛍光ランプの正面図。
【図6】外面電極蛍光ランプの正面断面図。
【図7】従来例の回路図。
【図8】スイッチ8がオンした場合の従来の回路図。
【図9】スイッチ7がオンした場合の従来の回路図。
【図10】従来回路のタイミングチャート図。
【図11】従来回路のトランス起動時の実波形図。
【図12】従来回路の不安定点灯時の実波形図。
【符号の説明】
【0021】
1 トランス
2 制御回路
3,4 コンデンサ
7 第1のスイッチング素子
8 第2のスイッチング素子
9 第3のスイッチング素子
11 外面電極蛍光ランプ
12 1次巻線
13 2次巻線
19 調光信号
20 トランスの発振検出回路
21 バルブ
22 蛍光体皮膜
23 内部電極
24 外部電極
50 入力電圧供給回路
Vcc 電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスの2次巻線側に接続され、高周波矩形波ランプ電流を通電されて点灯する外面電極放電灯と、
前記トランスの1次巻線と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサと、
前記トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子と、
該スイッチング素子それぞれに駆動信号を印加する制御回路と、
前記トランスの1次巻線側に接続された前記中点バイアス作成用の第1、第2コンデンサへ供給する入力電圧をオン・オフする入力電圧供給回路とを備えたことを特徴とする放電灯駆動装置。
【請求項2】
前記入力電圧供給回路は、前記制御回路に入力される調光信号を判定し、ランプの消灯時及び調光率0%時には前記入力電圧を遮断し、調光率0%以外の点灯時には前記入力電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載の放電灯駆動装置。
【請求項1】
トランスの2次巻線側に接続され、高周波矩形波ランプ電流を通電されて点灯する外面電極放電灯と、
前記トランスの1次巻線と並列に接続された中点バイアス作成用の第1、第2のコンデンサと、
前記トランスの1次巻線に電流を流すための第1、第2のスイッチング素子と、
該スイッチング素子それぞれに駆動信号を印加する制御回路と、
前記トランスの1次巻線側に接続された前記中点バイアス作成用の第1、第2コンデンサへ供給する入力電圧をオン・オフする入力電圧供給回路とを備えたことを特徴とする放電灯駆動装置。
【請求項2】
前記入力電圧供給回路は、前記制御回路に入力される調光信号を判定し、ランプの消灯時及び調光率0%時には前記入力電圧を遮断し、調光率0%以外の点灯時には前記入力電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載の放電灯駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−4669(P2006−4669A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177172(P2004−177172)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]