説明

整髪方法

【課題】熟練者でなくとも、寝ぐせやハネ、うねり等の頭髪の乱れを、ブラシブローによって簡単に整えることができ、しかも乱れが戻りにくい整髪方法の提供。
【解決手段】工程(I)〜(III)を順に行い、頭髪の乱れを整える整髪方法。
工程(I):洗髪した後、頭髪を3時間以上自然乾燥させるか又はドライヤーを用いて十分に乾燥後1時間以上自然乾燥させる工程
工程(II):成分(A)〜(D)を含有する毛髪処理剤を、乾燥させた頭髪に適用する工程
(A) 水 50質量%以上
(B) 炭素数2〜6の脂肪族アルコール 0.1〜49質量%
(C) 界面活性剤 0.01〜5質量%
(D) 疎水性シリコーン 0.01〜10質量%
工程(III):毛髪処理剤を適用した頭髪から幅1〜10cmの毛束を取り、ドライヤーの温風を当てながら整髪道具を用いて毛束の長さ方向に引き伸ばす操作を2〜15秒かけて行う工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮き毛、ハネ毛、うねり、寝ぐせなどが原因で毛髪が望まない方向に曲がってしまったことで乱れたヘアスタイル(以下、乱れともいう)を整える方法であって、曲がった毛髪を簡単に伸ばして頭髪の乱れを整えることができ、しかも乱れが戻りにくい整髪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルを形作る際、水で毛髪を濡らすことによって毛髪内の水素結合を切断し、毛髪の形状を変えられる状態とし、その後、毛髪を所望の形に決めて乾かすことで毛髪内の水素結合を再度形成させていることはよく知られている(例えば、特許文献1の段落[0002])。
【0003】
一方、浮き毛、ハネ毛、うねり、寝ぐせなどの頭髪の乱れを効果的に整える整髪方法として、毛束をとり、クシやブラシを使用して毛束に引っ張り力(テンション)をかけることで滑らかに伸ばすスタイリング方法がとられている。
【0004】
このようなスタイリング工程においても、水で毛束をぬらした後、ドライヤーの温風で熱をかけながら水素結合を再形成させること(一般的にブラシブローと称する)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-36130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗髪してタオルドライした後の髪など、水分をある程度含む状態の頭髪を、乱れのない滑らかな状態にブラシブローによって整える場合、まず毛束をとり、それぞれの毛束に対して熱をしっかり当てて水分を乾かす操作を行わないと、毛髪内部に余分な水分が残留するため、乱れを完全には整えることができない、あるいは乱れのない滑らかな状態に一旦は整えることができたとしても、すぐに乱れが戻ってくる、という問題がある。
【0007】
このような問題を回避するためには、それぞれの毛束に対してドライヤーの温風をしっかりあてて毛髪を乾かしきることが必要となるが、熱を長時間毛髪に当てることで毛髪をより損傷させやすいという欠点があった。また、ドライヤーの温風をあてることで、一見乾いたようにみえても、毛髪内部の余分な水分まで十分に乾かしきれないことも多かった。加えて、このような操作を毛束の数だけ繰り返してスタイリングを完了するのに要する時間が長くなってしまうため、簡単におこなえる操作とはいえなかった。その結果、毛束に対して適切なテンションをかけ、うねりや寝ぐせ等の乱れを滑らかに整えることは、熟練の技術を要する高度な技能が必要であった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、熟練者でなくとも(例えば新米の美容師でも)、寝ぐせやハネ、うねり等の頭髪の乱れを、ブラシブローによって簡単に整えることができ、しかも乱れが戻りにくい整髪方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、頭髪の乱れをブラシブローにより滑らかな状態に整えるスタイリング工程において、洗髪してタオルドライした後少なくとも3時間以上経過した、又はドライヤーを用いて十分に乾燥させてから少なくとも1時間以上経過した状態の頭髪に、特定の毛髪処理剤を、特定範囲の幅にある毛束に対して適用し、更に一束の毛束に対して特定の範囲内の時間をかけてブラシブローを行う整髪方法により、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
本発明は、次の工程(I)〜(III)を順に行い、頭髪の乱れを整える整髪方法を提供するものである。
工程(I):洗髪した後、頭髪を3時間以上自然乾燥させるか又はドライヤーを用いて十分に乾燥後1時間以上自然乾燥させる工程
工程(II):成分(A)〜(D)を含有する毛髪処理剤を、工程(I)で乾燥させた頭髪の全体又は一部分に適用する工程
(A) 水 50質量%以上
(B) 炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール 0.1〜49質量%
(C) 界面活性剤 0.01〜5質量%
(D) 疎水性シリコーン 0.01〜10質量%
工程(III):工程(II)で毛髪処理剤を適用した頭髪から幅1〜10cmの毛束を取り、これにドライヤーの温風を当てながら整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす操作を、2〜15秒かけて行う工程
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熟練者でなくとも(例えば新米の美容師でも)、寝ぐせやハネ、うねり等の頭髪の乱れを、ブラシブローによって簡単に整えることができ、しかも乱れが戻りにくい整髪方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<毛髪処理剤について>
本発明の整髪方法の工程(II)で用いられる毛髪処理剤は、乾いた毛髪に水素結合を切断する程度の水分を与えつつ、乾燥のために過度の熱を与える必要のないよう処方調整されている。
【0013】
〔成分(A):水〕
成分(A)の水は、毛髪内水素結合を切断し、クセ、うねり等の乱れをほぐす機能を有する。毛髪処理剤中の水の含有量は、ブラシブロー操作により、曲がった毛髪を効果的に伸ばして整えることができる観点から、50質量%以上であるが、好ましくは60〜95質量%、更に好ましくは70〜95質量%である。
【0014】
〔成分(B):炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール〕
成分(B)の炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコールは、毛髪処理剤の界面張力を低下させることで、毛髪処理剤を乾いた髪になじみやすいものとする機能を有する。
【0015】
成分(B)の脂肪族アルコールとしては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等が挙げられる。これらのうち、エタノール、2-プロパノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。成分(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、毛髪処理剤中の含有量は、ブラシブローの操作性を向上させる観点から、0.1〜49質量%であるが、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。
【0016】
〔成分(C):界面活性剤〕
成分(C)の界面活性剤も成分(B)と同様、毛髪処理剤の界面張力を低下させることで、毛髪処理剤を乾いた髪になじみやすいものとする機能を有する。成分(C)の界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれをも使用できるが、なかでも更に毛髪の感触を良好にする観点から、カチオン界面活性剤を含むことが好適である。
【0017】
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩が挙げられ、なかでもモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましい。具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0018】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
【0019】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。
【0020】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。
【0021】
上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)のプロトン化物を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0022】
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その含有量は、ブラシブローの操作性を向上させ、仕上がりの感触を良好にする観点から、毛髪処理剤中の0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%である。
【0023】
〔成分(D):疎水性シリコーン〕
成分(D)の疎水性シリコーンは、工程(III)においてブラシ、クシなどの整髪道具で毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす際、整髪道具が毛髪(特にダメージした毛髪)に絡まったり、引っ掛かったりするのを防止して、根元から毛先まで、均等にテンションをかけることで、ムラのない仕上がりとする機能を有する。また、仕上げた後の乾いた髪の毛髪表面に柔らかなセット皮膜を作ることで経時的に浮き毛・ふくらみが出るのを抑えてヘアスタイルの持続性をよくするという効果を有する。
【0024】
ここで、疎水性シリコーンとは、室温において、評価液(精製水、好ましくは50質量%エタノール水溶液、最も好ましくは95質量%エタノール水溶液)と1:1の質量比で混合して、5分間静置後に透明とはならない(分離、ゲル化又は白濁)シリコーンをいうものとする。なお、市販されているシリコーンのうち、エマルジョンタイプのもの、有機溶剤と混合されているものは、疎水性シリコーンであるものとする。
【0025】
疎水性シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン(HLBが11未満)、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。この中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン(HLBが11未満、好ましくは8未満、最も好ましくは5未満)、アミノ変性シリコーンが好ましく、特にアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0026】
ジメチルポリシロキサンとしては、一般式(d1)で表されるものが挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
〔式中、R1はSi(CH3)3又は水素原子を示し、n1は3〜20000の数を示す。〕
【0029】
ジメチルポリシロキサンには、シリコーンオイル(数平均重合度1000未満)とシリコーンガム(数平均重合度1000以上)がある。シリコーンオイルの市販品としては、SH200シリーズ(SH200 C Fluid 1CS、同2CS、同5CS、同10CS、同20CS、同30CS、同50CS、同100CS、同200CS、同350CS、同500CS、同1,000CS、同5,000CS、SH200 Fluid 1.5CS、同3,000CS、同10,000CS、同12,500CS、同30,000CS等)(東レ・ダウコーニング社)、TSF-451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、KF-96シリーズ(信越化学社)等が挙げられる。また、これらのシリコーンオイルをエマルションとしたものも使用できる。
【0030】
シリコーンガムの市販品としては、SH200シリーズ(SH200 Fluid 60,000CS、同100,000CS、同1,000,000CS等;東レ・ダウコーニング社)、TSF451-100MA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越化学社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越化学社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等が挙げられる。
【0031】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等の総称であり、一般式(d2)又は(d3)で表されるものが挙げられる。
【0032】
【化2】

【0033】
〔式中、R2は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、n2は1〜2000、m2は1〜1000、a1は0〜10、b1は0〜50、c1は0〜50を示し、b1+c1≧1である。〕
【0034】
HLBが11未満のポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、SH3775M、SS-2805(以上、東レ・ダウコーニング社)、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6029(以上、信越化学社)等が挙げられる。
【0035】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有していればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーンのどちらでもよく、以下の一般式(d4)又は(d5)で表されるものが挙げられる。
【0036】
【化3】

【0037】
〔式中、R3はSi(CH3)3又は水素原子を示し、R4は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、n3は1〜20000の数を示し、m3は1〜2000の数を示し、a2は0〜3の数を示し、窒素含量は好ましくは0.02〜4質量%、特に0.1〜1質量%である。〕
【0038】
アミノ変性シリコーンの市販品としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング社,粘度600mm2/s,窒素含量0.8質量%)、SF8452C(東レ・ダウコーニング社,粘度700mm2/s,窒素含量0.2質量%)、SF8457C(東レ・ダウコーニング社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8003(信越化学社,粘度1850mm2/s,窒素含量0.7質量%)、KF8005(信越化学社,粘度1200mm2/s,窒素含量0.1質量%)、KF867(信越化学社,粘度1300mm2/s,窒素含量0.8質量%)、KF8012(信越化学社,粘度90mm2/s,窒素含量0.6質量%)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.8質量%)、SM8904C(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.3質量%)、BY22-079(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.6質量%)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。また、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度550)、ジメチルポリシロキサン(数平均重合度2700)及びアミノ変性シリコーンの混合物(質量比は10:3.7:2.9)であるCF1046(東レ・ダウコーニング社,窒素含量0.14質量%)等も好適に使用できる。
【0039】
成分(D)の疎水性シリコーンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、ブラシブローの操作性及び仕上がりの滑らかさの向上の観点から、毛髪処理剤中の0.01〜10質量%であるが、好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0040】
〔成分(E):皮膜形成ポリマー〕
毛髪処理剤には、整髪後のセットの持続性向上のため、更に成分(E)の皮膜形成ポリマーを含有させることができる。皮膜形成ポリマーとしては、特に限定されず、例えば、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン等のポリシリコーン-9;特開平2-180911号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;特開平8-291206号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;ユカフォーマーR205、同M-75(三菱化学社)、RAMレジン(大阪有機化学社)等の(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー;ダイヤフォーマーZ-712(三菱化学社)等の(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;ダイヤフォーマーZ-632(三菱化学社)等の(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;ダイヤフィックスC-601(三菱化学社)等の(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー;プラスサイズL-9540B(互応化学社)等のアクリル樹脂アルカノールアミン液;ウルトラホールド8、同Strong(以上、BASF社)等のアクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体;ルビフレックスSilk(BASF社)等のアクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコン共重合体液;ルビセットShape(BASF社)等のポリアクリレート-22;ルビセットP.U.R.(BASF社)等のポリウレタン-1;バイキュサンC1000、C1001(バイエルマテリアルサイエンス社)等のポリウレタン-34;バイキュサン1003(バイエルマテリアルサイエンス社)等のポリウレタン-32;バイキュサン1004(バイエルマテリアルサイエンス社)等のポリウレタン-35;ルビスコールプラス(BASF社)等のポリビニルカプロラクタム;ルビマー100P、同30E(以上、BASF社)等のアクリル酸アルキル共重合体;アンフォーマーSH-701、同28-4910、同LV-71、同LV-47(以上、ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー;アンフォーマーV-42(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー;レジン28-2930(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー;ダイナムX(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等のポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー;ガフカット440、同734(ISP社)等のポリクオタニウム-11;ガフカット HS-100(ISP社)等のポリクオタニウム-28;ガントレッツES-225(ISP社)等の(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー;アクアフレックスSF-40(ISP社)等の(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー;アクアフレックスFX-64(ISP社)等の(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド)コポリマー;スタイリーゼW-20(ISP社)等のポリクオタニウム-55;スタイリーゼCC-10(ISP社)等の(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー;PVP/VA735(ISP社)等の(ビニルピロリドン/VA)コポリマー;ルビスコールK-12、17、30、60、80、90(以上、BASF社)、PVP K-15、30、60、90(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0041】
上記皮膜形成ポリマーの中でも、特に良好なセット保持力を得る観点から、ポリシリコーン-9;アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー;(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー;アクリル樹脂アルカノールアミン液;アクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体;アクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコン共重合体液;ポリアクリレート-22;ポリウレタン-1;ポリウレタン-34;バイキュサン1003(バイエルマテリアルサイエンス社)等のポリウレタン-32;ポリウレタン-35;ポリビニルカプロラクタム;アクリル酸アルキル共重合体;(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー;(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー;(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー;ポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー;ポリクオタニウム-11;ポリクオタニウム-28;(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー;(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー;(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド)コポリマー;ポリクオタニウム-55;(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマーが好ましい。
【0042】
更には、ポリシリコーン-9;アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体;(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー;(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー;アクリル樹脂アルカノールアミン液;アクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコン共重合体液;ポリアクリレート-22;ポリウレタン-1;ポリウレタン-34;バイキュサン1003(バイエルマテリアルサイエンス社)等のポリウレタン-32;ポリウレタン-35;(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー;ポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー;ポリクオタニウム-11;ポリクオタニウム-55;(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマーが好ましい。
【0043】
更には、ポリシリコーン-9、アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、アクリル樹脂アルカノールアミン液、ポリアクリレート-22、ポリクオタニウム-11が好ましい。特に、ブラシブローによって曲がった毛髪をなめらかに整える効果を高めることができる観点からポリシリコーン-9が好ましい。
【0044】
成分(E)の皮膜形成ポリマーのうち好ましいポリシリコーン-9について説明する。
ポリシリコーン-9としては、オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)
【0045】
【化4】

【0046】
〔式中、R5は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)が結合してなり、該オルガノポリシロキサンセグメントと該ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜35/65であり、重量平均分子量が10,000〜500,000であるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0047】
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、
【0048】
【化5】

【0049】
等が挙げられる。特に、窒素原子を含む炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。また、一般式(1)中のR1で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、R1で示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが挙げられ、アラルキル基としてはフェニルアルキル、ナフチルアルキル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル、アルキル置換フェニル等が挙げられる。
【0050】
ポリシリコーン-9は、公知の方法により製造することができ、例えば特開平7-133352号公報に記載の方法に従って、下記一般式(2)
【0051】
【化6】

【0052】
〔式中、R6は同一又は異なって、炭素数1〜22の飽和アルキル基又はフェニル基を示し、R7及びR8はそれぞれR6と同一の基を示すか又は下記式
【0053】
【化7】

【0054】
で表される基を示し、R9は上記式で表される基を示し、aは100〜4000の整数を示し、bは1〜300の整数を示す。〕
で表されるオルガノポリシロキサンと、下記一般式(3)
【0055】
【化8】

【0056】
〔式中、R5及びnは前記と同義である。〕
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0057】
ここで、環状イミノエーテル(3)の開環重合は、例えばLiebigs Ann. Chem., p996〜p1009(1974)に記載の方法に従って行うことができる。重合開始剤は、求電子反応性の強い化合物、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等の強酸のメチル、エチル、3-プロペニル、ベンジルエステルなどを用いることができる。特に、トルエンスルホン酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル等を好ましく用いることができる。環状イミノエーテル(3)として例えば2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、ポリ(N-アシルエチレンイミン)(式(1)中、n=2に相当)が得られ、2-置換-ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、ポリ(N-アシルプロピレンイミン)(式(1)中、n=3に相当)が得られる。
【0058】
上記ポリ(N-アシルアルキレンイミン)鎖とシリコーン鎖との連結方法には、カルボキシ基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応;カルボキシル基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応;ハロゲン化アルキル基と1級、2級あるいは3級アミノ基とによる2級、3級あるいは4級アンモニウムの形成反応;Si−H基のビニル基への付加反応;エポキシ基とアミノ基とによるβ-ヒドロキシアミン形成反応など多くの手法を利用することができる。このうち、特開平2-276824号公報、特開平4-85334号公報、特開平4-85335号公報、特開平4-96933号公報等に開示されているように、環状イミノエーテルをカチオン開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)に式(2)で表されるオルガノポリシロキサン、すなわち側鎖に前記置換基を有する変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法が簡便かつ有効である。
【0059】
アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンと、環状イミノエーテルのカチオン重合で得たポリ(N-アシルアルキレンイミン)の反応性末端との反応は、例えば以下のようにして行うことができる。開始剤を極性溶媒、好適にはアセトニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、酢酸エチル、酢酸メチル等の単独溶媒、あるいは必要に応じて他の溶媒との混合溶媒に溶かし、40〜150℃、好適には60〜100℃に昇温する。そこに上記一般式(3)で表される環状イミノエーテルを一括投入、あるいは反応が激しい場合には滴下し、重合を行う。重合の進行はガスクロマトグラフィーなどの分析機器でモノマーである環状イミノエーテルの残存量を定量することにより追跡することができる。環状イミノエーテルが消費され重合が終了しても、生長末端の活性種は反応性を維持している。ポリマーを単離することなく、引き続き、このポリマー溶液と分子内にアミノ基を含有するオルガノポリシロキサンとを混合し、5〜100℃、好ましくは20〜60℃の条件で反応させる。混合割合は所望により適宜選ぶことができるが、オルガノポリシロキサン中のアミノ基1モルに対してポリ(N-アシルアルキレンイミン)0.1〜1.3モル当量の割合で反応させるのが好ましい。以上の如き反応によって、ポリジメチルシロキサンにポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの付いたブロックコポリマー又はグラフトポリマーを得ることができる。
【0060】
ポリシリコーン-9において、オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比は98/2〜35/65であるが、高いセット力と高いセット保持力を得る観点と、詰まりのなさの観点から、90/10〜42/58、更には80/20〜45/55、更には75/25〜47/53が好ましい。なお、この質量比は、ポリシリコーン-9を重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0061】
また、ポリシリコーン-9の隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は、セット性とその持続性の向上の観点から、1300〜5500、更には1600〜3500、更には1800〜3200が好ましい。
【0062】
ここで、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR6SiO単位と、1つのR10と、y+1個のR62SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0063】
【化9】

【0064】
〔式中、R6は前記と同じ意味を示し、R10はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、Wはポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R11は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。〕
【0065】
MWgは、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0066】
MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)とポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)を用いて下記式により求めることができる。
【0067】
【数1】

【0068】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは500〜10000、より好ましくは1200〜5500、より好ましくは1600〜3500、更に好ましくは1800〜3200である。これにより、セット性とその持続性をより一層向上させることができる。
【0069】
ポリシリコーン-9において、原料化合物であるオルガノポリシロキサン(2)の重量平均分子量は、水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさ、及びセット性とその持続性向上の観点から、7,000〜100,000、更には10,000〜80,000、更には20,000〜60,000が好ましい。なお、原料化合物であるオルガノポリシロキサン(2)の平均分子量は、GPCにより下記測定条件で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0070】
カラム :Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液 :1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :UV
サンプル :50μL
【0071】
ポリシリコーン-9の重量平均分子量は、10,000〜500,000であるが、セット性とその持続性をより一層向上させる観点から、12,000〜150,000、更には24,000〜120,000、更には37,000〜92,000が好ましい。なお、ポリシリコーン-9の重量平均分子量は、原料化合物であるオルガノポリシロキサン(2)の重量平均分子量と、前述のオルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント)との質量比から求めることができる。
【0072】
これら皮膜形成ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、ブラシブローの操作性および仕上がりの滑らかさの向上の観点より、毛髪処理剤中の0.01〜10質量%が好ましく、更には0.1〜7質量%、更には0.2〜5質量%が好ましい。
【0073】
〔ヒートケア成分〕
毛髪処理剤には、ドライヤーの熱による毛髪損傷防止のため、更にヒートケア成分を含有させることができる。ヒートケア成分としては、ビタミン、パンテノール、アミノ酸、ジペプチド、オリゴペプチド、タンパク加水分解物、コラーゲン、ヒアルロン酸及びこれらの誘導体が挙げられる。ヒートケア成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ヒートケア成分の含有量は、仕上がりの滑らかさの向上の観点より、毛髪処理剤中の0.005〜5質量%が好ましく、更には0.01〜4質量%、更には0.02〜2質量%が好ましい。
【0074】
〔植物油〕
毛髪処理剤には、仕上がりの滑らかさを向上させ、さらにつやを付与するために、更に植物油を含有させることができる。植物油としては、オリーブ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アルモンド油、アボカド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、パーム核油、ミンク油、卵黄油、ホホバ油等が挙げられる。植物油の含有量は、なめらかさ向上と自然なつや感の付与の観点より、毛髪処理剤中の0.005〜5質量%が好ましく、更には0.01〜4質量%、更には0.02〜2質量%が好ましい。
【0075】
〔他の任意成分〕
本発明で使用する毛髪処理剤には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて配合できる。このような成分としては、カチオン性ポリマー、油剤、増粘剤、抗フケ剤、殺菌剤、抗炎症剤、キレート剤、pH調整剤、染料、顔料等の着色剤、植物エキス、パール化剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0076】
本発明の整髪剤組成物の形態は、泡状、液状、霧状、ゲル状、ペースト状、クリーム状等、適宜選択できるが、毛髪への均一な塗布を実現する観点から泡状、霧状が好ましく、霧状が特に好ましい。本発明で使用する毛髪処理剤は、ジャー、ポンプディスペンサー、エアゾール缶、ポンプミスト、トリガーミスト、ノンエアゾールフォーマー容器(たとえばポンプフォーマーやスクイズフォーマー)に入れて使用することができる。この中でもポンプミスト容器又はトリガーミスト容器に入れて使用することが好ましい。
【0077】
<工程について>
工程(I)は、洗髪した後、頭髪を3時間以上自然乾燥させるか又はドライヤーを用いて十分に乾燥させた後1時間以上自然乾燥する工程である。
本発明においては、後述する工程(III)の操作を施す際の操作性の観点、及び、工程(III)でなめらかに整えた髪の乱れが戻りにくくする観点より、毛髪表面のみではなく、毛髪内部まで十分に乾燥している必要がある。このため工程(I)では、整髪する頭髪を洗髪後3時間以上自然乾燥させるか、又はドライヤーを用いて十分に乾燥させ、更に1時間以上自然乾燥させる。
【0078】
工程(II)は、前述の毛髪処理剤を、工程(I)で乾燥させた頭髪の全体又は一部分に適用する工程である。
毛髪処理剤を頭髪に適用するに際しては、溶液の状態で手に取り頭髪に適用しても、またフォーマー容器から吐出した泡を手に取り頭髪に適用してもよいが、乾いた髪に均一になじませるため、霧状に噴霧して頭髪に適用することがより好ましい。この場合、霧滴の大きさは、数平均粒径150μm以下、更には120μm以下、更には100μm以下が好ましい。
【0079】
毛髪処理剤を適用する頭髪は、その全体でも一部分でもよいが、毛髪処理剤を均一に適用するため、頭髪から適度な量の毛束を取った後、処理剤を適用する方が好ましい。この「適度な量の毛束」は、次の工程(III)の操作を施す幅1〜10cmの毛束が好ましい。
ここで、幅1〜10cmの毛束とは、櫛やブラシの歯に通したときの髪の束であって、櫛やブラシに支えられた毛束の長軸方向に直行する面による毛束の断面の最も長い寸法をいう。
【0080】
毛髪処理剤の適用量は、毛髪内の水素結合を切断するのに十分な水分量であると共に、次の工程(III)で毛髪を乾燥させる際に過剰の熱をかける必要のない量とする観点より、毛髪1gに対し0.01〜0.2gの比率が好ましく、更には0.01〜0.15g、更には0.02〜0.1gの比率が好ましい。
【0081】
工程(III)は、工程(II)で毛髪処理剤を適用した頭髪から幅1〜10cmの毛束を取り、これにドライヤーの温風を当てながら整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす操作を、2〜15秒かけて行う工程である。
毛束の幅は、毛髪に適切なテンションをかけやすい1〜10cmが好ましく、更には2〜8 cm、更には2〜5cmが好ましい。ドライヤーの温風の温度は、50〜130℃、更には60〜120℃が好ましい。毛束を根元から毛先の方向に引き伸ばすのに用いる整髪道具としては、クシ、ブラシのほか、風口にブラシのアタッチメントを取りつけられるドライヤーを用いることもできる。本工程の操作は、毛髪に十分な熱を与えて乾燥させることで十分な整髪効果を得ると共に、腕の疲れや熱による過剰のダメージを防ぐ観点より、2〜15秒の時間をかけて行う必要があり、3〜12秒、更には5〜12秒の時間をかけることが好ましい。
毛髪に適切なテンションをかける際には、整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばした際、毛髪にたるみがなく、張った状態であることが好ましい。
【0082】
本発明の整髪方法では工程(III)を複数回繰り返すことにより、頭髪全体のハネ、浮き毛、うねり、寝ぐせなどの乱れを整えることができる。
工程(II)において、頭髪の一部分に処理剤を適用した場合には、工程(I)の後、工程(II)と工程(III)を複数回繰り返した方が好ましい。このとき、工程(II)と工程(III)は必ずしも交互に行う必要は無く、工程(II)を行った後、工程(III)を複数回繰り返し、その後更に工程(II)を繰り返しても良いが、毛髪処理剤の均一塗布と毛髪の仕上がりの観点から、工程(II)と工程(III)は交互に繰り返した方が好ましい。
【実施例】
【0083】
合成例: オルガノポリシロキサンA
硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.9g(0.13モル)を脱水した酢酸エチル28gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をゲルパーミエーション液体クロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量:100000、アミン当量:20000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を無色固体(108g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果アミノ基は残存していないことがわかった。
【0084】
実施例1〜5、比較例1〜7
表1に示す毛髪処理剤を常法に従い調製し、以下に示す方法・基準に従って評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
〔評価方法〕
うねりクセのある毛に対する整髪効果として、「うねりの伸ばしやすさ」、「うねりの伸び程度」、「うねり毛の浮き毛の程度」及び「仕上がりのなめらかさ」について評価を行った。
化学的処理履歴の無い、ややうねりクセのある日本人毛で、長さ20cm、幅4cm、重さ10gの毛束、及びこれを3つ組み合わせた、長さ20cm、幅12cm、重さ30gの毛束を作製した。この毛束を、花王社製「プリティアふんわり泡ブリーチ ハイブリーチ」の第1剤と第2剤との混合原液に浴比1:1で浸し、40℃で30分放置した後、水ですすいだ。次いでこの毛束を一般的なプレーンシャンプーで処理し、水ですすいだ後、一般的なプレーンリンスで処理し、水ですすいだ。タオルドライ後、ドライヤーにより70℃で10分間乾燥させた後、一昼夜(12時間)自然乾燥させ、評価用毛束とした。ただし、比較例5及び6については、タオルドライ後の毛束を用いて評価を行い、比較例7については、タオルドライ後ドライヤーにより70℃で5分間乾燥させた後、30分自然乾燥させた毛束を用いて評価をおこなった。
これらの処理により、実施例1〜5及び比較例1〜4に用いた毛髪は、内部まで完全に乾いた状態であり、比較例5及び6に用いた毛髪は、表面及び内部が湿った状態であり、比較例7に用いた毛髪は、表面は乾いているものの毛髪内部は完全には乾燥できていない状態であった。
表1に記載の毛髪処理剤をポンプミスト(吐出した際の噴霧粒径は50〜100μm)により毛束の表面と裏面全体に0.5g塗布し、目の粗いクシで全体になじませた。ただし、比較例1については1.5g塗布した。その後、表1に記載の手順によりブロードライヤー(パナソニック社製Ionity EH5305P)の温風を、毛束から5cmの距離を保って当てながら、直径約4cmのロールブラシを毛束の根元から毛先方向に動かすことによって毛束を伸ばした。5名の専門パネラーにより、下記基準に従って官能評価を行った。5名の評価の平均点を表1に示す。
【0086】
(1)うねりを伸ばす際の操作性
ロールブラシで毛束を伸ばしているときの操作のしやすさについて評価した。
5:ロールブラシで毛束を捉える際に、毛髪がブラシから飛び出したりブラシにひっかかったりすることがなく、手に不要な力がかからない。
4:ロールブラシで毛束を捉える際に、毛髪がブラシから飛び出したりブラシにひっかかったりすることが少なく、手に不要な力がかかりにくい。
3:ロールブラシで毛束を捉える際に、毛髪がブラシから飛び出したりブラシにひっかかったりすることがややあり、手に不要な力がかかることがある
2:ロールブラシで毛束を捉える際に、毛髪がブラシから飛び出したりブラシにひっかかったりすることがある。手に力をかける必要がある。
1:ロールブラシで毛束を捉える際に、毛髪がブラシから飛び出したりブラシにひっかかったりすることが多く、手に力をしっかりかける必要がある。
【0087】
(2)うねりを伸ばす操作の簡便性
毛束を伸ばす際にかかる時間の長短やブラシ操作性の高低により、ドライヤーやブラシを持つ手に感じる疲労感にもとづき、以下の基準にて評価した
4:ドライヤーやブラシを持つ手が疲れない
3:ドライヤーやブラシを持つ手が疲れにくい
2:ドライヤーやブラシを持つ手がやや疲れる
1:ドライヤーやブラシを持つ手が非常に疲れる
【0088】
(3)うねりの伸び程度
(1)及び(2)の評価後、毛束の根元から毛先に向かって2回手ぐしを通し、うねりの伸び程度を目視によって評価した。
5:うねりが伸びている
4:ややうねりが伸びている
3:どちらともいえない
2:あまりうねりが伸びていない
1:うねりが伸びていない
【0089】
(4)うねり毛の浮き毛の程度
(3)の評価後、うねり毛の浮き毛の程度を目視によって評価した。
5:浮き毛がない
4:あまり浮き毛がない
3:どちらともいえない
2:やや浮き毛がある
1:非常に浮き毛がある
【0090】
(5)仕上がりのなめらかさ
(4)の評価後、髪のなめらかさについて手で触って評価した。
5:なめらかである
4:ややなめらかである
3:どちらともいえない
2:あまりなめらかでない
1:なめらかでない
【0091】
(6) 乱れの戻りの程度
(5)の評価後、毛束を気温25℃、相対湿度65%の雰囲気下に3時間放置した後のうねりの程度、浮き毛の程度を目視によって評価した。
5:うねり、浮き毛がない
4:うねり、浮き毛があまりない
3:どちらともいえない
2:うねり、浮き毛ややがある
1:うねり、浮き毛が非常にある
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(I)〜(III)を順に行い、頭髪の乱れを整える整髪方法。
工程(I):洗髪した後、頭髪を3時間以上自然乾燥させるか又はドライヤーを用いて十分に乾燥後1時間以上自然乾燥させる工程
工程(II):成分(A)〜(D)を含有する毛髪処理剤を、工程(I)で乾燥させた頭髪の全体又は一部分に適用する工程
(A) 水 50質量%以上
(B) 炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール 0.1〜49質量%
(C) 界面活性剤 0.01〜5質量%
(D) 疎水性シリコーン 0.01〜10質量%
工程(III):工程(II)で毛髪処理剤を適用した頭髪から幅1〜10cmの毛束を取り、これにドライヤーの温風を当てながら整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす操作を、2〜15秒かけて行う工程
【請求項2】
工程(II)〜(III)を繰り返し行うことにより、頭髪全体の乱れを整える請求項1記載の整髪方法。
【請求項3】
工程(II)における毛髪処理剤の頭髪に対する適用量が、毛髪1gに対し0.01〜0.2gの比率である請求項1又は2記載の整髪方法。
【請求項4】
工程(II)における毛髪処理剤の頭髪に対する適用が、毛髪処理剤を数平均粒径150μm以下の霧滴からなる霧状に噴霧することにより行われる請求項1〜3のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項5】
毛髪処理剤が、成分(C)としてカチオン界面活性剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項6】
毛髪処理剤が、更に、成分(E)皮膜形成ポリマーを0.01〜10質量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項7】
毛髪処理剤が、更に、ビタミン、パンテノール、アミノ酸、ジペプチド、オリゴペプチド、タンパク加水分解物、コラーゲン、ヒアルロン酸及びこれらの誘導体から選ばれる1以上の成分を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項8】
毛髪処理剤が、更に、植物油を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の整髪方法。

【公開番号】特開2013−40163(P2013−40163A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−130234(P2012−130234)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】