説明

整髪用ミスト化粧料

【課題】従来の整髪機能を発揮させるミスト化粧料では成し得なかったべたつき感なく整髪することができ、再整髪性にも優れた効果を発揮する整髪用ミスト化粧料の提供。
【解決手段】ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、内容物がミスト状で吐出されてなる整髪用ミスト化粧料であって、該内容物が、(A)無水ケイ酸、(B)エタノール、(C)水、並びに(D)多価アルコールおよび/又は(E)界面活性剤を含有し、下層粉体層と上層液状層からなる2層式組成物であることを特徴とする整髪用ミスト化粧料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪用ミスト化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポンプ容器などの化粧料用噴霧容器に充填した液状の内容組成物をミスト状に吐出する化粧料としてミスト化粧料がある。これらミスト化粧料は、毛髪に対して広範囲に均一塗布することができるという利点があることから、整髪用の化粧料としても用いられている。
【0003】
これまで、整髪用のミスト化粧料には、十分な整髪機能を付与するために、被膜形成剤
などのセット剤が配合されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。しかしながら、整髪用のミスト化粧料において、汎用されている被膜形成剤などのセット剤を配合すると、十分な整髪力を付与することはできるものの、強固な被膜が形成されるため、再整髪性に劣るといった問題がある。また、長期使用によって吐出口の目詰まりが生じ、ミスト状の吐出形態が維持できないといった問題もある。
【0004】
そのため、特定の油性成分を用いて整髪機能を付与する試みもなされている(例えば、特許文献5を参照)。しかしながら、整髪用のミスト化粧料において、特定の油性成分などのセット剤を配合すると、被膜形成剤と対比して整髪機能に劣るだけでなく、油性成分特有のべたつき感が生じ、使用感や風合いが悪化するといった問題がある。
【0005】
通常、整髪用の化粧料において、使用感や風合いの悪化を抑えるために粉体を配合する試みがなされるが、粉体を配合すると、整髪機能を十分に発揮させることができないといった問題がある。更には、粉体を液状の内容組成物を充填したミスト化粧料に配合すると、静置保管時に粉体が組成物中に沈降して凝集するため、使用時の分散性に劣り、目詰まりの原因になるといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−97636号公報
【特許文献2】特開平8−217649号公報
【特許文献3】特開2003−26541号公報
【特許文献4】特開2003−81786号公報
【特許文献5】特開2009−191046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、従来の整髪機能を発揮させるミスト化粧料では成し得なかったべたつき感なく整髪することができ、再整髪性にも優れた効果を発揮する整髪用ミスト化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、整髪機能を十分に発揮させることのできるミスト化粧料を開発すべく鋭意研究を続けたところ、粉体成分である無水ケイ酸が優れた整髪機能を発揮することを見出し、これら成分を含む2層式のミスト化粧料は、粉体成分の分散性に優れるとともに、頭髪に適用すると、驚くべくことに、べたつき感なく整髪することができ、頭髪全体をふんわりとボリュームアップすることができるとともに、再整髪も可能であることを発見し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、内容物がミスト状で吐出されてなる整髪用ミスト化粧料であって、該内容物が、(A)無水ケイ酸、(B)エタノール、(C)水、並びに(D)多価アルコールおよび/又は(E)界面活性剤を含有し、下層粉体層と上層液状層からなる2層式組成物であることを特徴とする整髪用ミスト化粧料、
〔2〕前記(A)成分が、吸油量100〜1000mL/100gを満たすことを特徴とする前記〔1〕に記載の整髪用ミスト化粧料、
〔3〕前記(A)成分と、前記(B)成分との質量含有比が、(A):(B)=1:1〜1:50の範囲を満たすことを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の整髪用ミスト化粧、並びに
〔4〕前記(E)成分が、非イオン性界面活性剤および/又は陽イオン性界面活性剤である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の整髪用ミスト化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の整髪用ミスト化粧料は、粉体成分の分散性に優れ、ミスト状の形態で毛髪に対して広範囲に均一塗布できることから、べたつき感なく整髪することができ、頭髪全体をふんわりとボリュームアップすることができるとともに、再整髪性にも優れた効果を奏する。
【0011】
更に、本発明の整髪用ミスト化粧料は、静置保管時に下層粉体層が固化するといった現象、所謂、ケーキングを抑制し、粉体成分の再分散性が優れるという効果を奏する。また、再分散性に優れることから、長期使用したとしても吐出口の目詰まりがなく、ミスト状の吐出形態を維持し続けることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の整髪用ミスト化粧料は、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、内容物がミスト状で吐出されてなる整髪用ミスト化粧料であって、該内容物が、(A)無水ケイ酸、(B)エタノール、(C)水、並びに(D)多価アルコールおよび/又は(E)界面活性剤を含有し、下層粉体層と上層液状層からなる2層式組成物である。
【0013】
尚、本発明におけるミスト状とは、霧状をも包含するものである。
【0014】
まず、本発明の整髪用ミスト化粧料の内容物である粉体層と液状層からなる2層式組成物について説明する。
【0015】
本発明の2層式組成物を構成する粉体層には、(A)無水ケイ酸が用いられる。(A)成分の無水ケイ酸は、べたつき感なく整髪でき、優れた整髪力を有し、再整髪もすることができる成分として、組成物中に配合される粉体である。
【0016】
本発明においては、整髪力を十分に発揮させる観点、並びに、再整髪をも可能とする観点から、後述する吸油量(mL/100g)を満たすものを用いることが好ましい。
【0017】
より具体的な吸油量としては、無水ケイ酸の100gあたりの吸油量が、100〜1000mL/100gの範囲を満たすことが好ましく、より好ましくは150〜800mL/100gの範囲、さらに好ましくは200〜700mL/100gの範囲である。尚、吸油量は、JIS K5101に記載の方法に準拠し測定された値である。
【0018】
尚、(A)成分の無水ケイ酸は、市販品をそのまま用いることもできる。具体的には、無水ケイ酸の市販品としては、例えば、AEROSIL 50、90G、130、150、200、300、380、200V、OX50(商品名,いずれも日本アエロジル社製);サンスフェアH−31、H−51、H−121、H−201、H−32、H−52、H−122、H−33、H−53(商品名,いずれもAGCエスアイテック社製)などを例示することができる。
【0019】
(A)成分の含有量は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、べたつき感なく整髪することができ、十分な整髪力を発揮させる観点から、組成物中、0.2質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、使用感の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、0.2〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0020】
本発明の2層式組成物を構成する液状層には、(B)エタノールが配合される。(B)成分のエタノールは、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされない。(B)成分の含有量は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、塗布後の速乾性の観点から、組成物中、2質量%以上が好ましく、より好ましくは5量%以上である。また、調製時の分散性の観点から、60質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、2〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
【0021】
本発明の2層式組成物においては、初期整髪性の観点から、前記(A)成分と、前記(B)成分との質量含有比が、(A):(B)=1:1〜1:50の範囲を満たし調製されることが好ましく、より好ましくは(A):(B)=1:5〜1:40の範囲である。(A)成分の1質量部に対して、(B)成分が1質量部未満の場合、整髪時に乾燥が遅いために好ましくない。また、(A)成分の1質量部に対して、(B)成分が50質量部よりも多い場合、整髪時に乾燥が速く整髪が困難となるために好ましくない。
【0022】
本発明の2層式組成物を構成する液状層には、(C)水が配合される。(C)成分の水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされないが、例えば、精製水が用いられる。(C)成分の含有量は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、調製時の分散性の観点から、組成物中、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60量%以上である。また、速乾性の観点から、95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、50〜95質量%が好ましく、より好ましくは60〜90質量%である。
【0023】
本発明の2層式組成物においては、調製時の分散性の観点から、前記(B)成分と、前記(C)成分との質量含有比が、(B):(C)=1:1〜1:50の範囲を満たし調製されることが好ましく、より好ましくは(B):(C)=1:2〜1:40の範囲である。
【0024】
また、本発明の2層式組成物を構成する液状層には、上記した(A)成分である粉体の再分散性を高める観点から、(D)多価アルコールおよび/又は(E)界面活性剤が配合される。
【0025】
(D)成分の多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコールなどが挙げられる。より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどを例示することができる。これら(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】
好適な(D)成分としては、整髪時のきしみ低減および再分散性の観点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンの群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0027】
(D)成分の含有量は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、上記観点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、整髪性の観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
【0028】
本発明の2層式組成物においては、再分散性の観点から、前記(A)成分と、前記(D)成分との質量含有比が、(A):(D)=1:0.2〜1:15の範囲を満たし調製されることが好ましく、より好ましくは(A):(D)=1:0.5〜1:10の範囲である。(A)成分の1質量部に対して、(D)成分が0.2質量部未満の場合、再分散性に劣るために好ましくない。また、(A)成分の1質量部に対して、(D)成分が15質量部よりも多い場合、粉体特有の整髪力が阻害されるために好ましくない。
【0029】
(E)成分の界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これら(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。本発明においては、これら界面活性剤の中でも、粉体の再分散性を高める観点から、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0030】
好ましい非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルグルコシド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンなどが挙げられる。
【0031】
より具体的には、例えば、アルキル(C8〜16)グルコシド、セトステアリルグルコシド、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドなどのアルキルグルコシド;モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4〜10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6〜10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリルなどの上記したグリセリン脂肪酸エステルの重合度2〜10のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル;モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどを例示することができる。
【0032】
好適な非イオン性界面活性剤の中でも、粉体の再分散性を更に高める観点から、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることがより好ましく、アルキルグルコシドの中でも、アルキル(C8〜16)グルコシド、セトステアリルグルコシドを用いることが最も好ましい。
【0033】
好ましい陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0034】
より具体的には、例えば、ジオクチルアミン、ジメチルステアリルアミン、トリラウリルアミンなどのアルキルアミン塩;ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン塩;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(20〜22)トリメチルアンモニウムなどのモノアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウムなどのジアルキル型4級アンモニウム塩;塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウムなどのトリアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ベンザルコニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのベンザルコニウム型4級アンモニウム塩などを例示することができる。
【0035】
好適な陽イオン性界面活性剤の中でも、粉体の再分散性を更に高める観点から、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩を用いることがより好ましく、中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを用いることが最も好ましい。
【0036】
(E)成分の含有量は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、上記観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上である。また、整髪性の観点から、15質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜10質量%である。
【0037】
本発明の2層式組成物においては、再分散性の観点から、前記(A)成分と、前記(E)成分との質量含有比が、(A):(E)=1:0.05〜1:8の範囲を満たし調製されることが好ましく、より好ましくは(A):(E)=1:0.1〜1:5の範囲である。(A)成分の1質量部に対して、(E)成分が0.05質量部未満の場合、再分散性に劣るために好ましくない。また、(A)成分の1質量部に対して、(E)成分が8質量部よりも多い場合、粉体特有の整髪力が阻害されるために好ましくない。
【0038】
本発明の2層式組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、防腐剤、pH調整剤、香料、保湿剤、金属封鎖剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0039】
本発明の2層式組成物の製造方法は、公知の方法により製造することができれば特に限定されないが、例えば、上記した成分を加えて、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などを例示することができるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【0040】
次に、本発明の整髪剤用ミスト化粧料について説明する。
【0041】
本発明の整髪剤用ミスト化粧料は、上記した下層粉体層と上層液状層からなる2層式組成物をポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーを用いて、ミスト状として吐出することを特徴とする。また、整髪剤用ミスト化粧料の使用方法は、2層式組成物を十分に振盪し、粉体を液状層に均一分散させた後に、頭髪に噴霧塗布する方法を例示することができる。
【0042】
ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーの一回の吐出工程により吐出される量は、所望の効果が十分に発揮される量であれば特に限定されないが、毛髪に対して垂れ落ちずに広範囲に均一塗布し、且つ、べたつき感なく整髪できる観点から、0.05〜1.0mL/1回の範囲の量とすることが好ましく、より好ましくは、0.15〜0.5mL/1回である。
【0043】
また、用いられるポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーは、ミスト状に吐出する機能を有するディスペンサーであり、一般流通しているものであれば特に限定されない。具体的には、ポンプ式ディスペンサーとしては、吉野工業所社製のY-150(1プッシュ約0.15mL排出)、三谷バルブ社製Z-155(1プッシュ約0.15mL排出);トリガー式ディスペンサーとしては、吉野工業所社製のM3−M(1回約0.5mL排出)、三谷バルブ社製のZ-305、T-305(1回約0.3mL排出)などを例示することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
【0045】
(試料の調製1)
表1〜表4に記した組成に従い、実施例1〜8および比較例1〜7の各2層式組成物を調製し、下記評価に供した。結果を表1〜表4に併記する。尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。また、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0046】
(試験例1:再分散性の評価)
調製した各実施例および各比較例の2層式組成物を、120mL容の透明ガラス容器に充填した。次いで、25℃恒温槽で3日間静置保管し、3日後から毎日、下記操作を繰り返し、粉体の分散性について確認試験を行った。
【0047】
恒温槽より試料を取出し、直ちに上下に5回振盪させ、振盪直後の粉体の分散性について目視確認した。確認後、各試料を恒温槽に戻し、毎日、朝1回同様の試験を実施した。この操作を、1ヶ月間繰り返し実施して、分散状態を下記の基準に従い評価した。
【0048】
<再分散性の評価基準>
○:試験期間中、振盪直後に底に粉体の塊が残ることはなく、完全に分散している
△:試験期間中、振盪直後に底に若干の粉体の塊が残るものの、さらに5回振盪すれば分散する
×:試験期間中、振盪直後に底に明らかな粉体の塊が残り、さらに5回振盪しても分散しない
【0049】
(試験例2:吐出形態の評価)
調製した各実施例および各比較例の2層式組成物を、ポンプ式ディスペンサー(Y−150,吉野工業所社製,吐出量0.15mL/1プッシュ)を備える50mL容の容器に充填し、40℃の恒温槽に保管し、毎日、下記操作を繰り返し、吐出(噴霧)形態の確認試験を行った。
【0050】
恒温槽より試料を取出し、直ちに10回、吐出(噴霧)した。吐出(噴霧)後、各試料を恒温槽に戻し、静置した。前記試験を1週間毎に4週間繰り返し実施し、噴霧状態を下記の基準に従い評価した。
【0051】
<吐出形態の評価基準>
○:観察期間内に吐出(噴霧)状態に異常は見られず、ミスト状の形態を維持している
△:観察期間内に吐出(噴霧)状態がやや弱くなるが、ミスト状の形態を維持している
×:ミスト状の形態で吐出(噴霧)できない、又は、観察期間内に全く吐出しなくなる
【0052】
(試験例3:塗布性の評価)
調製した各実施例および各比較例の2層式組成物を、ポンプ式ディスペンサー(Y−150,吉野工業所社製,吐出量0.15mL/1プッシュ)を備える容器に充填した。次いで、官能評価パネル20名により、ウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)を用いて、実際に毛髪に噴霧塗布してもらい、「塗布性」について、下記評価基準に従って官能評価した。
【0053】
<塗布性の評価基準>
○:20名中16名以上が、広範囲に均一塗布することができると回答
△:20名中10〜15名が、広範囲に均一塗布することができると回答
×:20名中9名以下が、広範囲に均一塗布することができると回答
【0054】
(試験例4:整髪時の評価)
試験例3の評価後、同パネル20名により、毛髪をすり合せるようにして整髪を施してもらい、整髪時の「べたつき感」および「整髪力」について、下記評価基準に従って官能評価した。
【0055】
尚、「整髪力」の評価は、毛髪をすり合せるよう立ち上げてもらい、整髪を施していないウィッグの毛髪と対比して、ふんわりとボリュームアップされているものを整髪力が高いとして評価を行った。
【0056】
<べたつき感の評価基準>
○:20名中16名以上が、べたつき感がないと回答
△:20名中10〜15名が、べたつき感がないと回答
×:20名中9名以下が、べたつき感がないと回答
【0057】
<整髪力の評価基準>
○:20名中16名以上が、整髪力が高いと回答
△:20名中10〜15名が、整髪力が高いと回答
×:20名中9名以下が、整髪力が高いと回答
【0058】
(試験例5:再整髪時の評価)
試験例4の評価から1時間後、同パネル20名により、再度、毛髪をすり合わせるようにして整髪を施してもらい、「再整髪性」について、下記評価基準に従って官能評価した。
【0059】
<再整髪性の評価基準>
○:20名中16名以上が、思い通りに整髪し直すことができると回答
△:20名中10〜15名が、思い通りに整髪し直すことができると回答
×:20名中9名以下が、思い通りに整髪し直すことができると回答
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
表1〜表4に示された結果から、各実施例に記載された本発明の整髪剤用ミスト化粧料は、(A)成分である無水ケイ酸の再分散性に優れることから、長期使用でも吐出口の目詰まりがなく、ミスト状の吐出形態を維持し続けていることが分かる。更には、広範囲に均一塗布することができ、べたつき感なく整髪することができることから、無水ケイ酸の優れた整髪力を十分に発揮させることができ、再整髪性にも優れた効果を奏していることが分かる。
【0065】
これに対し、本発明の構成を充足しない比較例1〜5では、粉体成分の分散性に劣り、広範囲に均一塗布できないことから、本発明特有の整髪特性を十分に発揮できていないことが分かる。また、粉体成分の分散性に劣ることから、長期使用した場合、吐出口の目詰まりが生じ易くなり、ミスト状の吐出形態を維持することができてないことも分かる。また、(A)成分を他の粉体へ置き換えた比較例6〜7では、本発明特有の整髪特性を十分に発揮できていないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、内容物がミスト状で吐出されてなる整髪用ミスト化粧料であって、該内容物が、(A)無水ケイ酸、(B)エタノール、(C)水、並びに(D)多価アルコールおよび/又は(E)界面活性剤を含有し、下層粉体層と上層液状層からなる2層式組成物であることを特徴とする整髪用ミスト化粧料。
【請求項2】
前記(A)成分が、吸油量100〜1000mL/100gを満たすことを特徴とする請求項1に記載の整髪用ミスト化粧料。
【請求項3】
前記(A)成分と、前記(B)成分との質量含有比が、(A):(B)=1:1〜1:50の範囲を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の整髪用ミスト化粧料。
【請求項4】
前記(E)成分が、非イオン性界面活性剤および/又は陽イオン性界面活性剤である請求項1〜3の何れかに記載の整髪用ミスト化粧料。

【公開番号】特開2013−63918(P2013−63918A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202241(P2011−202241)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】