説明

新規な化合物、医薬組成物及びその使用

【課題】先行技術文献記載の化合物では、DHODHに対する阻害作用を十分発揮することができないという技術的課題を解決すること
【解決手段】2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−フェニルアセチルアミノ−フェノキシ)−安息香酸等の化合物、並びに、これ等と薬学上許容し得る無機カチオンと結合した塩から選択される化合物を用いて、自己免疫疾患、炎症性疾患、臓器移植拒絶反応及び悪性新生物の臨床治療に有効な化合物、医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自己免疫疾患、炎症性疾患、臓器移植拒絶反応及び悪性新生物の臨床治療のために使用されるジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)の強力な阻害剤である新しいアントラニルに関する。本発明のこれ等の化合物および医薬組成物は急性及び慢性の炎症、慢性関節リューマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、移植片拒絶反応及び悪性新生物性疾患の予防および治療のために特に有用である。本発明は、用途として慢性関節リューマチ及び移植片拒絶反応の治療に適する新規誘導体に関する。そして、本発明は、特に、これらの一つの化合物及びその薬学上許容し得る無機カチオンと結合した塩から選択される化合物、医薬組成物及びその使用に関するものであって、更に、この化合物を含む医薬組成物、及び、この化合物を前記した疾患に使用することを特徴とするものである。
【背景技術】
【0002】
慢性関節リューマチ(RA)は先進国の人口の0.5〜1.0%に生じている慢性の炎症性及び葉改正の関節疾患である。RAは多発性関節炎であり、そして疾患においては実質的に全ての末梢関節で発生する。更にまた、関節外の関与もRAの別の特徴であり、そしてこれはリューマチ様の結節から致命的な血管炎に渡る。RAの原因は未知のままであるが、自己免疫がその慢性化と進行に中枢的役割を果たしている(Barneveld,1998)。疾患の発生に関与する多くの経路が認識されており、その一部は原則の試験の治療上の証拠により重要であることが明確になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第0497740A1号公報
【特許文献2】欧州特許公開第0815087A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RAの維持は完治が不可能であるため大きな問題となっている。RAの薬物療法は2つの主要な方法、即ち非ステロイド抗炎症剤(NSAID)および疾患修飾性抗リューマチ剤(DMARD)による対症療法に基づいている。NSAIDは炎症カスケードの小セグメント(プロスタグランジン生成)にのみ干渉するが、伏在する免疫炎症事象には干渉しない。一方、DMARDは全てのこれ等の点において疾患の仮定を修飾する。DMARDは小分子と生物学的薬剤に分割できる。
【0005】
多くの生物学的物質がRAの臨床治療のために近年認可された。これ等の薬剤(蛋白、例えばモノクローナル抗体)は一般的にプロ炎症サイトカイン、特にTNF−アイソフォームおよびIL−1がその受容体と相互作用するのを防止する。
【0006】
多くの小分子DMARDが今日のRA治療に使用されている。実際、メトトレキセートはなお最も一般的に使用されているDMARDであり、そしてスルファザラジンは1990年代に欧州で使用された2番目に最も一般的なDMARDである。即ち、多くの薬剤が開発され、疾患の発生にとって重要な特定の経路を各々ターゲティングしているRA療法において使用されている。
【0007】
最近追加された小物質DMARDのグループはレフルノミド(Merck Index 13th ed. No.5451)である。
【0008】
【化1】

【0009】
レフルノミドはインビボで急速に代謝されて活性代謝産物A771726となり、これは新規ピリミジン合成に中核的に関与する酵素であるジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)を阻害する。この酵素の阻害は(病理学的に)急速に増殖する細胞の成育を抑制する。免疫応答において最も重要な細胞型であるリンパ球はその生育のためにピリミジンの合成を排他的に使用し、そして特にDHODH阻害に対して反応する(Batt, 1999;Chewinski et al.,1995)。リンパ球の生育を抑制する物質はRAを含む自己免疫疾患の治療のための重要な医薬である。DHODH阻害レフルノミドはRAの治療のための化合物のこのクラスの最上位の医薬である。RA治療におけるレフルノミドの薬効は多くの第II相及び第III相の臨床試験において検討されている。レフルノミドは作用機序の概念の臨床的証拠を与えているが、その副作用、例えば肝以上及び生殖性に対する影響のために、RAの治療のための適切なものとは遥かに隔たっている。
【0010】
前記特許文献1は、下記一般式(A)のベンジルオキシフェニル誘導体を開示している。
【0011】
【化2】

【0012】
該特許は抗増殖亢進/抗炎症性及び抗癌活性を有する化合物に関する。化合物の好ましい群において、R1及びR3はメトキシであり、そしてベンジルオキシ部分はR6に対してメタ位にある。R6はカルボキシまたはエステル基であり、R5はヒドロキシまたはアセチルアミノ、特にヒドロキシである。
【0013】
前記特許文献2は、下記一般式(B)のトリ置換フェニル誘導体を開示している。
【0014】
【化3】

【0015】
該特許は炎症性及び増殖性の皮膚疾患及び癌の治療のための化合物に関する。化合物は局所的または分割用量で1日4回まで投与される。最も好ましい化合物においては、R1及びR2はメトキシであり、WはCH2CH2であり、そしてR3とR4はフェニル環と一緒になって縮合環系を形成する。
【0016】
研究論文1998, 409(5月)、p561−P562(No.40953)は下記一般式(C)の天然産物のラベンダスチンAの合成類縁体を開示している。
【0017】
【化4】

【0018】
R1およびR2が同じかまたは異なっていてアルコキシ、アルキルまたはアルケニルオキシであり、R3は特にアルコキシであり、そしてR4は特にアシルアミノである化合物が開示されている。
【0019】
Gennari et al., (1994)は化合物Dを与える例えばアシフルオルフェン(Merck Index 13th ed.No.111)のような除草剤として使用される2−ニトロフェノキシ酸の土壌中の嫌気的分解を報告している。
【0020】
【化5】

【0021】
医薬品としての化合物Dの使用を開示する参考文献は存在しない。
【0022】
下記一般式(E)の対称アントラニル酸は例えば高温耐性ポリ複素環として使用されることが文献において報告されている。
【0023】
【化6】

【0024】
下記式(F)のアントラニル酸の合成をSevbo et al.,(1976)が報告している。
【0025】
【化7】

【0026】
化合物Fは2−アミノ−3−フェノチアゾン誘導体の製造における合成中間体として使用される。医薬品としてこのような中間体の使用を開示する文献は存在しない。
【0027】
本発明の目的は構造的に新規なアントラニル酸誘導体を提供することであり、これはその薬理学的側面及び実験モデルにおける高い力価及び低いレベルの副作用のため、自己免疫疾患、炎症性疾患、臓器移植拒絶反応及び悪性新生物の治療において価値あるものとみなされる。特に本発明はDHODHを阻害する新規化合物、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物、及び、疾患の治療及び防止のためのその使用、特にDHODHの阻害に利点のある疾患における使用に関する。また、本発明に係る化合物は例えば急性及び慢性の炎症、慢性関節リューマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、移植片拒絶反応及び悪性新生物性疾患の予防および治療のために使用するに適切である。特に、本発明は慢性関節リューマチ及び臓器移植拒絶反応の治療に適する新規化合物、医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、前記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、下記物質:
5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−安息香酸;
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−フェニルアセチルアミノ−フェノキシ)−安息香酸;
及びこれ等の薬学上許容し得る無機カチオンと結合した塩から選択される化合物、
及び、請求項2記載の発明は、薬学上許容し得る賦形剤と連携して活性成分として請求項1記載の化合物を含んでいる医薬組成物、
及び、請求項3記載の発明は、0.005mg/kg〜10mg/kg体重の一日当たり用量が投与されるような量で化合物が存在する請求項2記載の医薬組成物、
及び、請求項4記載の発明は、0.025mg/kg〜2mg/kg体重の一日当たり用量が投与されるような量で化合物が存在する請求項3記載の医薬組成物、
及び、請求項5記載の発明は、経口投与用の溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、カプセルまたは粉末、非経口的に用いられる滅菌溶液、直腸投与用の座剤または局所用製剤の形態の請求項2、3、または4記載の医薬組成物、
及び、請求項6記載の発明は、急性及び慢性の炎症、慢性関節リューマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、移植片拒絶反応及び悪性新生物性疾患から選択される病状の治療に使用される請求項1記載の化合物を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
(1)本発明は、化合物として、最も好ましい物質であるところの、
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−フェニルアセチルアミノ−フェノキシ)−安息香酸;
及びこれ等の薬学上許容し得る無機カチオンと結合した塩から選択される化合物であり、酵素DHODHに対する強力な阻害作用を発揮することができるものである。
(2)そして、本発明は、急性及び慢性の炎症、慢性関節リューマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、移植片拒絶反応及び悪性新生物性疾患から選択される疾病の治療に適切な化合物を提供することができる。先行技術文献開示の化合物においては、T細胞の増殖抑制に対し弱い抑制作用を示したのに対して、本発明においては、好都合な薬物動態特性及び高い経口生体利用性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は下記式(I):
【0031】
【化8】

【0032】
式中、
XはCH2、NH、O、S、CH=CH、C≡C、NHCH2またはOCH2、ここで窒素または酸素原子は環Aに結合しているもの;CH2OまたはCH2S、ここで酸素またはイオウ原子は環Bに結合しているものであり;
Yは水素、直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルまたは製薬上許容しうる無機のカチオンであり;
R1はエチルまたはシクロプロピルであり;
R2およびR3は同じかまたは異なっていて、そして水素、直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルチオ、NHR4、NR4R5、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、NHCOR6、フェニル、フェノキシ、フェニルチオまたはフェニルアミノであり;ここでフェニル部分は場合によりフルオロでモノ置換されており;
R4及びR5は独立して水素または直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルであるか;または、
R4とR5はそれらが結合している窒素と一緒になって下記:
【0033】
【化9】

【0034】
の5または6員環を形成し;
ここでZはCH2、O、NHまたはNCH3であり;そして、
R6はC1−C3アルキル、フェニルアミノまたはC1−C2アルコキシまたはフルオロでモノ置換されたフェニルであるが;
ただし、XがOCH2である場合はR2とR3は共に水素ではないところの化合物に関し、これは意外にも、DHODHおよびリンパ球増殖の阻害剤として有効である。
【0035】
Yが製薬上許容しうるカチオンである場合、それは例えばLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+およびZn2+から選択してよい。Yが2価のカチオンである場合は、塩は各カチオンにつき2つのアントラニル酸誘導体部分を含有してよい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態においては、
XはCH2、O、S、CH=CH、OCH2、CH2OまたはCH2Sであり;
Yは水素、直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルまたは製薬上許容しうる無機のカチオンであり;
R2およびR3は同じかまたは異なっていて、そして水素またはNHR4、NR4R5、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオおよびフェニルアミノから選択される2、3または5位の置換基であり;ここでフェニル部分は場合によりフルオロでモノ置換されており;そして、
R4及びR5は独立して水素または直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルである。
【0037】
本発明のより好ましい実施形態においては、
XはO、S、OCH2、CH2OまたはCH2Sであり;
Yは水素または製薬上許容しうる無機のカチオンであり;
R2は2または3位の置換基であり、そしてNHR4、NR4R5、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;
R3は水素であり;そして、
R4及びR5は独立して水素または直鎖または分枝鎖のC1−C4アルキルである。
【0038】
本発明の他より好ましい実施形態においては、
XはO、S、OCH2、CH2OまたはCH2Sであり;
Yは水素または製薬上許容しうる無機のカチオンであり;
R2は2位の置換基であり、そしてn−プロピルアミノ、ジ−(n−プロピル)アミノ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;そして、
R3は水素である。
【0039】
本発明の更に好ましい実施形態においては、
XはOCH2であり;
Yは水素または製薬上許容しうる無機のカチオンであり;
R2は2位の置換基であり、そしてトリフルオロメチルであり;そして、
R3は水素である。
【0040】
本発明の更に好ましい実施形態においては、
XはOであり;
Yは水素または製薬上許容しうる無機のカチオンであり;そして、
R2およびR3は3および5位の置換基であり、そしてトリフルオロメチルである。
【0041】
式(I)の最も好ましい化合物は下記物質:
5−ベンジル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸;
5−フェニルエチニル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェノキシメチル)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルスルファニルメチル)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピオニルアミノ−ベンジルオキシ)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピオニルアミノ−フェノキシ)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピオニルアミノ−フェニルスルファニル)−安息香酸;
2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル−ビニル]−安息香酸;
5−(2−フェノキシ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;
5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シクロプロパンカルボニルアミノ−安息香酸;
5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;および、
5−(2−ジプロピルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸、
である。
【0042】
式(I)の化合物は意外にも酵素DHODHの強力な阻害を示した。結果は予測できなかった構造−活性の関連正を意外にも示しており、これは酵素との特異的な相互作用を反映するものであった。カルボン酸基に隣接するアシルアミノ基がヒドロキシ基で置き換えられている式(I)の化合物はDHODH阻害を示さなかった。アシルアミノ部分がアセチルアミノである化合物においてアセチルアミノ部分とプロピオニルアミノまたはシクロプロピルカルボニルアミノとを交換すると阻害作用は10倍高値まで上昇した。しかしながら嵩高なものを更に付加させるとDHODH阻害は急激に低下し、サイズ依存性の酵素ポケットとの特異的な相互作用を反映していた。XがO、S、CH=CH、OCH2、CH2OまたはCH2Sである式Xの化合物はDHODHの阻害剤として特に強力な力価を示した。R2/R3置換基の型及び位置は強力なDHODH阻害にとって必須であることが解った。R2/R3が0.5〜2の範囲の高いπ値を有する親油性置換基である化合物(Kubinyi, 1993)は最大阻害を示した。更にまた、モノ置換、即ちR3が水素であることはジ置換より優れていた。モノ置換の位置は作用のために重要であり、即ち、オルト置換はメタ置換より優れており、そしてパラ位における置換より遥かに優れていた。R2/R3置換基の型及び位置はまた薬物動態の側面にも影響していた。
合成操作法
式(I)の化合物は以下の方法により製造してよい。
【0043】
方法A
【化10】

【0044】
式(I)の化合物は知られた方法、例えばアセトニトリルのような適当な溶媒または非プロトン性の溶媒、例えばDMF中、ニトロ活性化フルオロ誘導体(II)の芳香族親核置換により製造してよい。適当な反応体(III)は例えば炭酸カリウムまたはセシウムのようなアルカリ塩の存在下のアリールチオール及びフェノール(W=OHまたはSH)である。得られたニトロ誘導体から相当するアミノ誘導体への還元は室温においてエタノール中、無水酢酸銅(II)活性化ナトリウムボロハイドライドの使用により達成してよい。この還元剤はMathis et al.(2003)の記載したイオウ含有ニトロ誘導体の還元のために特に有用である。得られたアミノ誘導体はアシル化により標的化合物(I)に容易に変換してよい。適当なアシル化剤は例えば無水物および酸クロリド(Method J)である。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性の官能基が得られる。
方法B
【化11】

【0045】
式(I)の化合物は例えばChan et al., (1998)の記載した操作法を用いてフェニルボロン酸(V)を用いた置換アニリンまたはフェノール(W=NH2またはOH)のNおよびOアシル化により製造してよい。収率は一般的に5〜80%の範囲であり、オルト置換アリール化合物の場合は更に低い収率となる。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法C
【化12】

【0046】
芳香族親核置換はまた2置換アミノ誘導体の製造において適用してよい。反応条件は方法Aの条件と同様であり、中間体ニトロ誘導体は良好な収率となる。次にこれを相当するアミノ誘導体にまで還元してよく、これを方法Bに記載したとおりフェニルボロン酸誘導体と反応させるか、または、方法Dに記載する還元的アルキル化を介してアルキル化してよい。
【0047】
R2がNH2である式(I)の化合物はそのアシル化により更に変換してよい。適当なアシル化試薬は例えば無水物及び酸クロリドである(方法J)。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法D
【化13】

【0048】
X=NHCH2の化合物は還元的条件下芳香族アルデヒドに式(IV)(W=NH2)の化合物を反応させることにより製造してよい。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法E
【化14】

【0049】
X=CH2の化合物(式(I))はFreitag(1970)の記載した方法に従って製造してよい。即ち、メチルアントラニレートは加熱下に適切なベンジルアルコールと縮合させてよい。収率は一般的に低値である。形成された5置換アントラニルエステルを次にアシル化し、場合によりエステルを加水分解する。
方法F
【化15】

【0050】
式(I)の化合物はまた、Wが親核性の基である式(IV)の化合物または相当する酸をAが脱離基、例えばブロミド、クロリド、メシルオキシまたはトシルオキシであるベンジル性の試薬と反応させることにより製造してもよい。置換はアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウムの存在下、適当な溶媒中、例えば極性非プロトン性の溶媒、例えばアセトンまたはDMF中で実施してよい。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法G
【化16】

【0051】
X=CH=CHまたはC≡Cである化合物はパラジウム触媒を用いてスチレン(Heck反応)またはフェニルアセチレン(Steveb−Castroカップリング)に式(IV)(W=Br)の化合物を反応させることにより製造してよい。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法H
【化17】

【0052】
式(I)の化合物はまた、フェノールまたはチオフェノール(A=OHまたはSH)に式(IV)(W=CH2Br)の化合物を反応させることにより製造してもよい。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法I
【化18】

【0053】
式(I)の化合物はまたHutchinson et al., (1996)の記載に従って、Aが脱離基、例えばブロミド、クロリド、メシルオキシまたはトシルオキシであるα, ω−二官能性アルキル部分(n=1,2の場合Z=CH2;またはn=2の場合Z=NH、NCH3、O)を用いたアニリンのN−アルキル化により製造してもよい。エステル官能基の単純なアルカリ加水分解により酸性官能基が得られる。
方法J
【化19】

【0054】
N−アシルアントラニルエステル(IV)は市販の無水イサト酸から、または、市販の5置換アントラニル酸をホスゲンと反応させて無水イサト酸を形成することにより製造してよい。少量のナトリウムメトキシドの存在下の無水イサト酸と無水アルコールの反応により相当するアントラニルエステルが良好な収率で得られる(Staiger and Miller, 1959)。アントラニルエステルをアミド(IV)に変換するための適当なアシル化試薬は例えば無水酸及びアシルクロリドである(Aが脱離基)。
【0055】
方法K
【化20】

【0056】
式(IV)の化合物はまた市販の5置換アントラニル酸から製造してもよい。このような酸のチオニルクロリドの存在下の無水アルコールとの反応により得られたアントラニルエステルを、次に方法Jに従ってアミドIVとすることができる。
方法L
【化21】

【0057】
式(IV)(W=CH3)の化合物は1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを用いて相当する5−ベンジルブロミドに変換してよい(Patil et al.1989)。
【0058】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明の範囲を制限する意図は無い。
【0059】
以下の実施例において、AutoNomStandardを用いて化合物名称を作成した。
【0060】
一般的に核磁気共鳴データはBrukerARX400分光光度計を用いて400MHzで記録した。スペクトルはCDCl3、CD3OD及びDMSO−d6中で獲得し、シフトスケールは0.00ppmと定義したTMSを比較参照物質とした。NMRスペクトルの説明で使用した略記法はs=1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、m=多重線、b=ブロード、bs=ブロード1重線、dd=二重2重線、および、dt=二重3重線とした。
【実施例1】
【0061】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−安息香酸
5−フルオロ−2−ニトロ安息香酸(1.9g、10ミリモル)、2−(トリフルオロメチル)チオフェノール(2.0、11ミリモル)、ヨウ化カリウム(0.8g、5ミリモル)及び炭酸セシウム(6.5g、20ミリモル)の混合物を10分間アセトニトリル(60mL)中に還流下で加熱した。次に、反応混合物を冷却し、沈殿物を濾取した。この物質を1MHCl(20mL)及びCH2Cl2(50mL)で後処理し、有機層を塩水溶液(20mL)で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、蒸発乾固し、2−ニトロ−5−(2−トリフルオロメチル)−フェニルスルファニル−安息香酸の黄色固体(3.0g、8.7ミリモル)が残存した。この粗生成物を無水酢酸銅(II)(1.7g、8.7ミリモル)と一緒にエタノール(50mL)中に溶解した。次にナトリウムボロハイドライド(3.4g、87ミリモル)を10分間かけて少しずつ添加した。1時間後、溶媒を蒸発させ、残存物を冷0.5MHClで処理し、混合物を酢酸エチルで抽出した。収集した黒色の有機層を乾燥し、シリカゲルの短カラムを通して濾過し、溶媒を蒸発させ、2−アミノ−5−(2−トリフルオロメチル)−フェニルスルファニル−安息香酸の黄色固体(2.1g、6.8ミリモル)を得た。これを無水プロピオン酸(20mL)で処理し、静かに加温し、1時間後、攪拌を維持しながら熱水(100mL)で処理した。冷却後、標題化合物が灰色結晶2.5g(総収率67%)として沈殿した。
1H NMR (CDCl3)δ 1.30 (t, 3H), 2.53 (q, 2H), 7.13 (d, 1H), 7.29 (t, 1H), 7.36 (t, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.80 (d,1H), 11.9 (bs, 1H).
本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記の化合物を得た。
【0062】
2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−安息香酸
1H NMR (CDCl3)δ 1.30 (t, 3H), 2.53 (q, 2H), 7.43 (m, 4H), 7.66 (d, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.82 (d, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(3−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−安息香酸
1H NMR (CD3OD)δ 0.99 (m, 4H), 1.75 (m, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.41 (t, 1H), 7.49 (t, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.77 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.66 (d, 1H).

5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3)δ 1.24 (d, 6H), 1.28 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 3.53 (m, 1H), 7.13 (t, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.30 (m, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.72 (d, 1H), 10.87 (bs, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.87 (m, 2H), 1.08 (m, 2H), 1.22 (d, 6H), 1.62 (m, 1H), 3.51 (m, 1H), 7.09 (t, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.41 (dd, 1H), 8.06 (d, 1H), 8.64 (d, 1H), 11.42 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニルスルファニル)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.30 (t, 3H), 2.54 (q, 2H), 7.04 (d, 1H), 7.16 (t, 1H), 7.25 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 8.29 (d, 1H), 8.82 (d, 1H), 11.01 (bs, 1H).
【実施例2】
【0063】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェノキシ)−安息香酸
5−ヒドロキシ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(1.0g、4.5ミリモル)および炭酸カリウム(0.62g、4.5ミリモル)の混合物を10分間DMF(5mL)中に攪拌した。次に2−フルオロニトロベンゼン(0.63g、4.5ミリモル)を添加し、1夜室温で攪拌を継続した。水(10mL)を添加し、得られた沈殿物を濾取し、水で洗浄し、真空下に乾燥し、2−プロピオニルアミノ−5−(2−ニトロ−フェノキシ)−安息香酸メチルエステル(1.16g、3.4ミリモル)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.30 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 3.92 (s, 3H), 6.97 (dd, 1H), 7.22 (dt, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.52 (dt, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.97 (dd, 1H), 8.80 (d, 1H), 10.99 (bs, 1H).

この物質をメタノール(50mL)に溶解し、10%Pd/C(116mg)を添加した。次にフラスコをH2でフラッシュし、1気圧で室温で攪拌した。還元5時間後、触媒をセライトを通して濾去した。触媒を慎重に洗浄し、合わせた濾液を蒸発乾固し、灰色固体(0.97g、3.1ミリモル)として、純粋な2−プロピオニルアミノ−5−(2−アミノ−フェノキシ)−安息香酸メチルエステルを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.29 (t, 3H), 2.48 (q, 2H), 3.89 (s, 3H), 6.72 (dt, 1H), 6.80 (dd, 1H), 6.84 (dd, 1H), 6.99 (dt, 1H), 7.21 (dd, 1H), 7.64 (d, 1H), 8.71 (d, 1H), 10.91 (bs, 1H).

この物質(200mg、0.636ミリモル)、プロピオンアルデヒド(33.3mg、0.572ミリモル)及び酢酸(1mL)を0.5時間メタノール(20mL)と一緒に攪拌した。次に、ナトリウムシアノボロハイドライド(94.3mg、0.954ミリモル)を添加し、混合物を室温で1夜攪拌した。飽和重炭酸ナトリウム水(2mL)を反応混合物に添加し、メタノールを蒸発させた。水層をエーテルで抽出し、エーテル層を飽和重炭酸ナトリウム水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(3:1)を用いたクロマトグラフィーにより純粋なエステル生成物(110mg)を得た。これを1夜メタノール(3mL)及び1MNaOH(1.5mL)中に加水分解し、0.5MHClで酸性化し、生成物を濾取した(90mg、総収率54%)。
1H NMR (CDCl3) δ 0.98 (t, 3H), 1.28 (t, 3H), 1.66 (m, 2H), 2.48 (q, 2H), 3.14 (t, 2H), 6.77 (t, 1H), 6.79 (m, 2H), 7.07 (t, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.67 (d, 1H), 10.78 (bs, 1H).

中間体2−プロピオニルアミノ−5−(2−アミノ−フェノキシ)−安息香酸メチルエステルまたは5−(2−アミノ−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(実施例17)を実施例6に従ったボロン酸または上記の通りのアルデヒドと反応することにより、下記の化合物を得た。
5−(2−フェニルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, 3H), 2.49 (q, 2H), 6.8-6.9 (m, 2H), 6.99 (t, 1H), 7.06 (m, 1H), 7.16 (m, 2H), 7.26-7.33 (m, 3H), 7.40 (dd, 1H), 7.75 (d, 1H), 8.75 (d, 1H), 10.77 (bs, 1H).

5−[2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−フェノキシ]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CD3OD) δ 1.24 (t, 3H), 2.45 (q, 2H), 6.87 (m, 1H), 6.92-6.99 (m, 3H), 7.02-7.09 (m, 3H), 7.14 (dd, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.60 (d, 1H), 8.48 (d, 1H).

5−(2−エチルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CD3OD)δ 1.23 (m, 6H), 2.43 (q, 2H), 3.19 (q, 2H), 6.61 (dt, 1H), 6.78 (m, 2H), 7.02 (m, 2H), 7.65 (d, 1H), 8.47 (d, 1H).

5−(2−ジプロピルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.81 (t, 6H), 1.27 (t, 3H), 1.46 (q, 4H), 2.48 (q, 2H), 3.18 (t, 4H), 6.91 (d, 1H), 7.03 (t, 1H), 7.11 (m, 2H), 7.18 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.68 (d, 1H), 11.29 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェニルスルファニル)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6)δ 0.78 (t, 3H), 1.10 (t, 3H), 1.46 (m, 2H), 2.36 (q, 2H), 3.06 (bt, 2H), 5.33 (bs, 1H), 6.62 (t, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.29 (dt, 1H), 7.35 (dd,1H), 7.40 (dd, 1H), 7.65 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 11.01 (bs,1H).
【実施例3】
【0064】
5−(2−ブチリルアミノ−フェノキシ)−2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−安息香酸
CH2Cl2(1.5mL)中の5−(2−アミノ−フェノキシ)−2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−安息香酸メチルエステル(50.0mg、0.153ミリモル、実施例2に従って製造)及び塩化ブチレル(23.3mg、0.184ミリモル)の混合物を10分間110℃で電子レンジ中に加熱した。反応混合物を室温に戻し、溶媒を蒸発により除去した。粗製のエステル化合物を1夜メタノール(2mL)および1MNaOH(1mL)中に加水分解し、1MHClで酸性化し、生成物を濾過により単離した(18mg、総収率31%)。
1H NMR (CDCl3) δ 0.91 (m, 2H), 0.99 (t, 3H), 1.12 (m, 2H), 1.64 (m, 1H), 1.75 (m, 2H), 2.38 (t, 2H), 6.79 (d, 1H), 7.01 (t, 1H), 7.13 (t, 1H), 7.29 (dd, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.73 (bs, 1H), 8.42 (d,1H), 8.76 (d, 1H), 11.09 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から以下の化合物を得た。
【0065】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピオニルアミノ−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.26 (m, 6H), 2.47 (m, 4H), 6.79 (d, 1H), 7.02 (t, 1H), 7.14 (t, 1H), 7.31 (dd, 1H), 7.33 (m, 2H), 8.45 (d, 1H), 8.80 (d, 1H), 10.86 (bs, 1H).

5−(2−ベンゾイルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 6.84 (d, 1H), 7.07 (t, 1H), 7.20 (t, 1H), 7.37 (dd, 1H), 7.49 (t, 2H), 7.56 (t, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 8.51 (bs, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.82 (d, 1H), 10.84 (bs, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−[2−(4−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−フェノキシ]−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.86 (m, 2H), 1.05 (m, 2H), 1.60 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 6.85 (dd, 1H), 6.98 (dd, 1H), 7.01 (dt, 1H), 7.11 (dt, 1H), 7.15 (dt, 1H), 7.27 (dd, 1H), 7.46 (dt, 1H), 7.71 (d, 1H), 8.24 (dd, 1H), 8.66 (dd, 1H), 8.68 (d, 1H), 10.70 (bs, 1H), 11.43 (bs, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−[2−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−フェノキシ]−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.91 (m, 2H), 1.12 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 6.84 (dd, 1H), 7.07 (m, 2H), 7.19 (dt, 1H), 7.38 (m, 3H), 7.44 (bs, 1H), 7.76 (d, 1H), 8.49 (bs, 1H), 8.59 (dd, 1H), 8.78 (d,1H), 11.05 (bs, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−フェニルアセチルアミノ−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.87 (m, 2H), 1.11 (m, 2H), 1.62 (m, 1H), 3.70 (s, 2H), 6.84 (d, 1H), 7.02 (m, 2H), 7.12 (t, 1H), 7.17 (m, 2H), 7.25 (m, 3H), 7.40 (d, 1H), 7.66 (bs, 1H), 8.27 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 11.33 (bs, 1H).
【実施例4】
【0066】
5−[2−(3−フェニル−ウレイド)−フェノキシ]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
CH2Cl2(10mL)中の2−プロピオニルアミノ−5−(2−アミノ−フェノキシ)−安息香酸メチルエステル(50.0mg、0.153ミリモル、実施例2に記載の通り製造)およびフェニルイソシアネート(21.0mg、0.175ミリモル)の混合物を2時間室温で攪拌した。溶媒を蒸発により除去し、粗製のエステル生成物を1夜メタノール(1mL)および1MNaOH(1mL)中に加水分解した。反応混合物を1MHClで酸性化し、生成物を濾取した(54mg、総収率80%)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.40 (t, 3H), 2.66 (q, 2H), 6.67 (d, 1H), 6.94 (m, 2H), 7.05 (t, 1H), 7.17 (t, 1H), 7.29 (t, 2H), 7.43 (d, 2H), 7.68 (bs, 1H), 7.95 (bs, 1H), 8.42 (bd, 1H), 8.52 (d, 1H), 10.94 (bs, 1H).
【実施例5】
【0067】
5−(2−ピペリジン−1−イル−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
この化合物を本質的にHutchinson等、1996による記載の通り製造した。DMF(30mL)中の5−(2−アミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(1.26g、5.00ミリモル)、1,5−ジブロモ−ペンタン(1.38g、6.00ミリモル)及びエチル−ジイソプロピル−アミン(2.60mL、6.00ミリモル)の混合物を16時間100℃で加熱した。反応混合物を室温に戻し、酢酸エチル(100mL)を添加した。有機層を飽和NaHCO3水及び塩水で洗浄し、次にMgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(4:1→1:1)を用いたクロマトグラフィーにより得られた粗生成物を溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(19:1→4:1)を用いたクロマトグラフィーに再び付し、純粋なエステル生成物(304mg)を得た。これを1夜エタノール(2mL)及び1MNaOH(2mL)中に加水分解し、1MHClで酸性化し、生成物を濾過により単離した(132mg、総収率7%)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.29 (t, 3H), 1.53 (bd, 1H), 1.94 (bd, 2H), 2.01 (bd, 1H), 2.50 (q, 2H), 2.79 (bd, 2H), 3.83 (bs, 2H), 3.88 (bd, 2H), 6.83 (d, 1H), 7.16 (t, 1H), 7.33 (m, 2H), 7.82 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.86 (d, 1H), 11.08 (s, 1H), .12.99 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から以下の化合物を得た。
【0068】
5−(2−ピペリジン−1−イル−ベンジルオキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−ピペリジン−1−イル−フェノキシメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−ピペリジン−1−イル−フェニルスルファニルメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[(E)−2−(2−ピペリジン−1−イル−フェニル)−ビニル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−ピペリジン−1−イル−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−モルホリン−4−イル−ベンジルオキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−モルホリン−4−イル−フェノキシメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−モルホリン−4−イル−フェニルスルファニルメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−(2−モルホリン−4−イル−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.29 (t, 3H), 2.49 (q, 2H), 3.17 (bs, 4H), 3.88 (bs, 4H), 6.94 (d, 1H), 7.06 (t, 1H), 7.11 (d, 1H), 7.18 (m, 2H), 7.67 (d, 1H), 8.71 (d, 1H), 10.08 (bs, 1H).

5−(2−モルホリン−4−イル−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[(E)−2−(2−モルホリン−4−イル−フェニル)−ビニル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−{(E)−2−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−ビニル}−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルオキシ]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェノキシメチル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルスルファニルメチル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェノキシ]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

5−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルスルファニル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
【実施例6】
【0069】
5−(2−フェノキシ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
CH2Cl2(50mL)中の5−ヒドロキシ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(2.2g、10ミリモル)、(2−フェノキシ)フェニルボロン酸(4.3g、20ミリモル)、無水酢酸銅(II)(1.8g、10ミリモル)及びピリジン(4.0g、50ミリモル)の混合物を5Å粉末モレキュラーシーブの存在下に72時間室温で攪拌した。次に反応混合物をセライトを通して濾過し、シリカゲル上にクロマトグラフィー(Rf=0.11、CH2Cl2)に付し、中間体メチルエステルを得た。これをメタノール(5mL)及び1MNaOH(5mL)の混合物に溶解し、1時間60℃で加温し、次に1MHClでpH3に酸性化した。冷却後、純粋な標題化合物を濾取し、乾燥し、灰色固体(0.34g、収率9%)として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.27 (t, 3H), 2.48 (q, 2H), 6.90 (d, 2H), 7.03-7.10 (m, 3H), 7.11-7.19 (m, 3H), 7.28 (t, 2H), 7.64 (d, 1H), 8.69 (d, 1H), 10.7 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0070】
2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.25 (t, 3H), 2.48 (q, 2H), 7.22 (d, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.30 (dd, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.56 (t, 1H), 7.72 (d, 1H), 8.63 (d, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.29 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 6.04 (bs, 1H), 6.96 (t, 1H), 7.19 (d, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 8.74 (d, 1H), 10.8 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 6.89 (d, 1H), 7.19 (t, 1H), 7.30 (dd, 1H), 7.47 (t, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.78 (d, 1H), 10.8 (bs, 1H).

5−(ビフェニル−2−イルオキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.27 (t, 3H), 2.48 (q, 2H), 6.98 (d, 1H), 7.18 (dd, 1H), 7.22-7.40 (m, 5H), 7.47 (dd, 1H), 7.53 (d, 2H), 7.66 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 10.8 (bs, 1H).

2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.87 (m, 2H), 1.09 (m, 2H), 1.62 (m, 1H), 6.86 (d, 1H), 7.15 (t, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.44 (t, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 8.70 (d, 1H), 11.3 (bs, 1H).

5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (m, 2H), 1.08 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 7.24 (dd, 1H), 7.32 (s, 2H), 7.54 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.76 (d, 1H), 11.4 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.13 (t, 3H), 2.41 (q, 2H), 7.14 (d, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.42 (t, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.55 (d, 1H), 8.50 (d, 1H), 11.0 (bs, 1H).

5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6)δ 1.12 (t, 3H), 2.41 (q, 2H), 7.47 (dd, 1H), 7.63 (s, 2H), 7.68 (d, 1H), 7.85 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 11.05 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニルアミノ)−安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ 1.30 (t, 3H), 2.50 (q, 2H), 5.89 (bs, 1H), 6.86 (m, 1H), 7.15 (d, 2H), 7.25 (d, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.72 (d, 1H), 10.93 (bs, 1H).
【実施例7】
【0071】
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸
0.5MKOH(158mL、79ミリモル)およびアセトン(200mL)中の2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−ヒドロキシ−安息香酸(7.0g、32ミリモル)及び臭化2−(トリフルオロメチル)−ベンジル(9.09g、38ミリモル)の混合物を還流下に加熱した。4時間後、アセトンを蒸発させ、得られた混合物をさらに水で希釈し、CH2Cl2で洗浄した。水層を1MHClで酸性化し、得られた固体を濾取した。メタノール中に再結晶化してオフホワイトの粉末(6.0g、収率50%)として生成物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.80-0.87 (m, 4H), 1.66-1.74 (m, 1H), 5.30 (s, 2H), 7.27 (dd, 1H), 7.52 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.73 (t, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.33 (d, 1H), 11.1 (bs, 1H).
13C NMR (DMSO-d6) δ 7.4 (2 x CH2), 15.6 (CH), 66.5 (CH2), 115.6 (CH), 118.3 (C), 120.7 (CH), 122.2 (CH), 124.2 (CF3, q, JCF=273.9 Hz), 126.1 (CH, q, JCF=5.5 Hz), 126.8 (C, q, JCF=30.4 Hz), 128.7 (CH), 130.3 (CH), 132.8 (CH), 134.6 (C), 134.7(C), 152.7(C), 168.9 (COOH), 171.2 (C=O). MS-ESI: m/z 380 [MH]+.

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0072】
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.84 (m, 4H), 1.70 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 7.29 (dd, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.65 (t, 1H), 7.71 (d, 3H), 7.78 (d, 1H), 7.82 (s, 1H), 8.31 (d, 1H), 10.98 (bs, 1H), 13.62 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.08 (t, 3H), 2.33 (q, 2H), 5.22 (s, 2H), 7.23 (dd, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.53 (t, 1H), 7.74 (m, 3H), 8.35 (d, 1H), 10.8 (bs, 1H), 14.1 (bs, 1H).

5−(ビフェニル−2−イルメトキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.08 (t, 3H), 2.20 (q, 2H), 4.92 (s, 2H), 7.10 (dd, 1H), 7.36 (m, 9H), 7.57 (dd, 1H), 8.25 (d, 1H), 10.76 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジルオキシ)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.12 (t, 3H), 2.37 (q, 2H), 5.16 (s, 2H), 7.29 (dd, 1H), 7.44 (t, 2H), 7.52 (dt, 2H), 7.66 (d, 1H), 8.37 (d, 1H), 10.79 (s, 1H).
【実施例8】
【0073】
2−プロピオニルアミノ−5−(3−プロピルアミノ−ベンジルオキシ)−安息香酸
1,2−ジクロロエタン(15mL)中の5−(3−ニトロ−ベンジルオキシ)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(196mg、0.54ミリモル、実施例7に従って製造)及びヒドラジン水和物(0.81mL、1.62ミリモル)の混合物を5℃に冷却した。ラネーニッケル(50mg)を慎重に少しずつ添加した。添加後、反応混合物を室温に戻し、2時間攪拌放置した。触媒を濾去し、有機層を水で洗浄し、Na2SO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。粗製のアミン、トリアセトキシナトリウムボロハイドライド(241mg、1.10ミリモル)、プロピオンアルデヒド(1,2−ジクロロエタン中の1M溶液0.54mL、540ミリモル)及び酢酸(0.43mL)を10分間室温で1,2−ジクロロエタン中に反応させた。反応混合物をシリカゲル60を通して濾過し、次にCHCl3で洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、純粋なエステル生成物を得た。これを1夜エタノール(3mL)および1MNaOH(1mL)中に加水分解し、pH6まで1MHClで酸性化し、生成物を濾去した(83mg、総収率43%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.92 (t, 3H), 1.11 (t, 3H), 1.54 (m, 2H), 2.37 (q, 2H), 2.95 (t, 2H), 4.99 (s, 2H), 6.50 (dd, 1H), 6.57 (d, 1H), 6.62 (s, 1H), 7.06 (t, 1H), 7.25 (dd, 1H), 7.51 (d, 1H), 8.36 (d, 1H), 10.83 (s, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0074】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−ベンジルオキシ)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.94 (t, 3H), 1.12 (t, 3H), 1.56 (m, 2H), 2.37 (q, 2H), 3.07 (t, 2H), 5.03 (s, 2H), 5.08 (bs, 1H), 6.58 (t, 1H), 6.62 (d, 1H), 7.15 (dt, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.29 (dd, 1H), 7.56 (d, 1H), 8.36 (d,1H), 10.82 (s, 1H), 13.61 (bs, 1H).
【実施例9】
【0075】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−安息香酸
5−アミノ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(100mg、1.12ミリモル)、2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(196mg、1.12ミリモル)、酢酸ナトリウム3水和物(305mg、2.24ミリモル)及び酢酸(2.7mL)の混合物をメタノール(9mL)及び水(7mL)の混合物中に10分間室温で攪拌した。ナトリウムシアノボロハイドライド(98mg、1.57ミリモル)を少しずつ添加し、その後混合物を30分間室温で攪拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ込み水溶液を2MNaOHで塩基性pHにした。アイスバス中に混合物を冷却し、得られた純粋なエステル生成物を濾取した(330mg)。エステルを1夜メタノール(19mL)及び5MNaOH(0.5mL)中に加水分解し、2MHClで酸性化し、生成物を濾取した(265mg、総収率64%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.09 (t, 3H), 2.30 (q, 2H), 4.42 (s, 2H), 6.44 (bs, 1H), 6.74 (dd, 1H), 7.12 (d, 1H), 7.37 (t, 1H), 7.62 (m, 2H), 7.77 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 10.54 (bs, 1H), 13.21 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0076】
2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.09 (t, 3H), 2.30 (q, 2H), 4.36 (s, 2H), 6.41 (bs, 1H), 6.80 (d, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.59 (m, 2H), 7.66 (d, 1H), 7.73 (s, 1H), 8.09 (d, 1H), 10.48 (bs, 1H), 13.26 (bs, 1H).
【実施例10】
【0077】
2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−安息香酸
5−ブロモメチル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(250mg、0.83ミリモル)、3−トリフルオロメチルフェニル(149mg、0.92ミリモル)及び炭酸カリウム(173mg、1.25ミリモル)の混合物を18時間アセトン(6mL)中に還流下に加熱した。反応混合物を室温に戻し、次に激しく攪拌しながら水(20mL)に注ぎ込んだ。水性の混合物をCHCl3(40mL)で抽出し、有機層をNa2SO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(4:1)を用いたクロマトグラフィーにより純粋なエステル生成物(239mg)を得た。これを1夜エタノール(10mL)及び1MNaOH(10mL)中に加水分解し、1MHClで酸性化し、生成物を濾取した(215mg、総収率71%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.13 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 5.19 (s, 2H), 7.32 (m, 3H), 7.54 (t, 1H), 7.68 (d, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 11.18 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0078】
5−フェノキシメチル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.11 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 5.06 (s, 2H), 6.94 (t, 1H), 7.00 (d, 2H), 7.29 (t, 2H), 7.65 (d, 1H), 8.05 (s, 1H), 8.52 (d, 1H), 11.10 (s, 1H), 13.63 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.12 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 5.25 (s, 2H), 7.10 (t, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.62 (m, 3H), 8.10 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 11.12 (s, 1H), 13.64 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェノキシメチル)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.13 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 5.21 (s, 2H), 7.04 (t, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.63 (d, 1H), 8.09 (s, 1H), 8.52 (d, 1H), 11.22 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルスルファニルメチル)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.12 (t, 3H), 2.40 (q, 2H), 4.31 (s, 2H), 7.19 (t, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 8.01 (s, 1H), 8.44 (d, 1H), 11.15 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニルスルファニルメチル)−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェノキシメチル)−安息香酸

5−(2−ジプロピルアミノ−フェノキシメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(3−プロピルアミノ−フェノキシメチル)−安息香酸

5−(3−ジプロピルアミノ−フェノキシメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェニルスルファニルメチル)−安息香酸

5−(2−ジプロピルアミノ−フェニルスルファニルメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(3−プロピルアミノ−フェニルスルファニルメチル)−安息香酸

5−(3−ジプロピルアミノ−フェニルスルファニルメチル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
【実施例11】
【0079】
5−[(E)−2−(2−フルオロ−フェニル)−ビニル]−2−プロピオニルアミノ−安息香酸(請求項には含有されない)
DMF(20mL)中の5−ブロモ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(1.0g、3.50ミリモル)、炭酸カリウム(532mg、3.85ミリモル)、トリ−n−ブチルアミン(0.917mL、3.85ミリモル)及びPdCl2(PPh32(35mg、0.05ミリモル)の混合物に2−フルオロ−スチレン(0.50mL、4.2ミリモル)を添加した。反応混合物を150℃に加熱し、18時間この温度で放置し、その後室温に戻した。水(10mL)及び5MNaOH(2mL)を添加し、温度をもう一度150℃に上昇させた。この温度で1時間後、反応混合物を室温に戻した。水(50mL)を添加し、混合物をセライトを通して吸引により濾過した。濾液を5MHClで酸性化し、生成物を濾取し、エタノールから再結晶化した(511mg、47%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.13 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 7.26 (m, 5H), 7.79 (t, 1H), 7.89 (d, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 11.18 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0080】
2−プロピオニルアミノ−5−((E)−スチリル)−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.12 (t, 3H), 2.38 (q, 2H), 7.28 (m, 3H), 7.36 (t, 2H), 7.59 (d, 2H), 7.85 (d, 2H), 8.14 (s, 1H), 8.52 (d, 1H), 11.13 (s, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.11 (t, 3H), 2.43 (q, 2H), 7.32 (m, 2H), 7.48 (t, 1H), 7.70 (t, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.85 (dd, 1H), 8.00 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 8.58 (d, 1H), 11.16 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ビニル]−安息香酸
1H NMR (DMSO-d6)δ 1.12 (t, 3H), 2.41 (q, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.46 (d, 1H), 7.59 (d, 2H), 7.87 (m, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.54 (d, 1H), 11.21 (bs, 1H).

2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ビニル]−安息香酸
【実施例12】
【0081】
5−フェニルエチニル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
ジエチルアミン(55mL)中の5−ブロモ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(2.0g、7.0ミリモル)の溶液にPdCl2(PPh32(708mg、0.49ミリモル)、フェニルアセチレン(2.21mL、20.1ミリモル)及びヨウ化銅(I)(109mg、0.27ミリモル)を添加した。反応混合物を50℃に加熱し、18時間この温度で攪拌放置した。室温に戻した後、反応混合物を酢酸エチルと水の間に分割した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(3:1)を用いたクロマトグラフィーにより、得られた橙色の粗生成物にエタノール(50mL)を添加した。懸濁液を沸騰させ、熱濾過し、濾液をゆっくり室温に戻した。沈殿した灰色物質を濾取し、エタノールで洗浄して純粋なエステル生成物(1.20g)を得た。この一部(400mg)を1夜エタノール(10mL)及び1MNaOH(10mL)中に加水分解し、1MHClで酸性化し、生成物を濾取した(362mg、総収率53%)。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.12 (t, 3H), 2.45 (q, 2H), 7.44 (m, 3H), 7.58 (m, 2H), 7.76 (dd, 1H), 8.12 (d, 1H), 8.60 (d, 1H), 11.24 (bs, 1H), 13.96 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0082】
2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニルエチニル)−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニルエチニル)−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルエチニル)−安息香酸

2−プロピオニルアミノ−5−(3−トリフルオロメチル−フェニルエチニル)−安息香酸
【実施例13】
【0083】
5−ベンジル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
アントラニル酸メチル(30.9g;205ミリモル)及びベンジルアルコール(4.43g;40.9ミリモル)をp−キシレン50mLに溶解した。塩酸で活性化したモンモリロナイト(1.3g)を反応混合物に添加し、次に加熱し煮沸した。Dean−Stark装置を使用して反応混合物を収集する間に水が生成した。3時間後、溶媒および過剰のアントラニル酸メチルを減圧下に留去した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(19/1→9/1)を用いたクロマトグラフィーにより所望のアントラニル酸メチル5−ベンジル430mg(4.4%)を得た。
【0084】
アントラニル酸メチル5−ベンジル(300mg;1.24ミリモル)をクロロホルム7mLに溶解し、塩化プロピオニル(344mg;3.72ミリモル)を添加し、反応混合物を18時間室温に放置した。飽和重炭酸ナトリウム水(5mL)を反応混合物に添加し、その後有機層を分離し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。得られた黄色油状物をメタノール5mLに溶解し、水酸化ナトリウム水(1M、5mL)を添加した。次に反応混合物を2時間60℃に加熱した。室温に冷却後、反応混合物を塩酸(1M)20mLで酸性化した。白色の沈殿物を吸引濾過し、水で2回洗浄し、真空下に乾燥し、定量的に標題化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.09 (t, 3H, J=7.4, -CH3), 2.37 (q, 2H, J=7.5, -CH2-CH3), 3.92 (s, 2H, -CH2-Ph), 7.13-7.45 (m, 5H, -Ph), 7.44 (d, 1H, J=8.6, H4), 7.79 (s, 1H, H6), 8.39 (d, 1H, J=8.5, H3), 11.01 (s, 1H, >NH), 13.54 (bs, 1H, -COOH).
【実施例14】
【0085】
5−ヒドロキシ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル
無水5−ヒドロキシイサトイン酸(17.9g、0.1モル)を1時間メタノール(600mL)中にナトリウムメトキシド(0.5g、0.01モル)とともに還流下に加熱した。反応混合物をアイスバス上に冷却し、無水プロピオン酸(15.0g、0.115モル)を添加し、次に混合物を0.5時間還流下に加熱した。次に混合物をその元の量の約2分の1まで減圧下に濃縮し、冷蔵庫中に1夜放置した。得られた沈殿物を収集し、メタノールで洗浄し、乾燥して純粋な白色結晶(15.2g、0.068モル)として標題化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.08 (t, 3H), 2.31 (q, 2H), 3.80 (s, 3H), 6.98 (dd, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.93 (d, 1H), 9.6 (bs, 1H), 10.1 (bs, 1H).
【実施例15】
【0086】
5−アミノ−2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−安息香酸メチルエステル
無水5−ニトロイサトイン酸(20.8g、0.1モル)をメタノール(600mL)中にナトリウムメトキシド(0.5g、0.01モル)とともに還流下に加熱した。1時間後、溶媒を真空下に蒸発させ、残存物を1,2−ジクロロエタン(400mL)中に溶解し、冷水で洗浄し、MgSO4上に乾燥した。塩化シクロプロパンカルボニル(20.9g、0.2モル)を溶液に添加し、次に4.5時間80℃で加熱した。混合物を冷却し、激しく攪拌しながら水(200mL)を添加した。0.5時間後、攪拌を中断し、層を分離し、C2H4Cl2層を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、MgSO4上に乾燥した。溶媒を蒸発し、2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル(21.7g、0.082ミリモル)を得た。この物質をメタノール(500mL)に溶解し、10%Pd/C(2.2g)を添加した。次にフラスコをH2でフラッシュし、室温及び1気圧で攪拌した。5時間還元後、触媒をセライトを通して濾去した。触媒を慎重に洗浄し、合わせた濾液を蒸発乾固し、灰色固体(18.0g、0.077モル)として純粋な標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3 + CD3OD) δ 0.84 (m, 2H), 1.06 (m, 2H), 1.60 (m, 1H), 3.91 (s, 3H), 6.89 (dd, 1H), 7.33 (d, 1H), 8.47 (d, 1H), 10.9 (bs, 1H).

本質的に同様な方法で、相当する出発物質から下記化合物を得た。
【0087】
5−アミノ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル
1H NMR (CDCl3) δ 1.27 (t, 3H), 2.45 (q, 2H), 3.64 (bs, 2H), 3.91 (s, 3H), 6.92 (dd, 1H), 7.34 (d, 1H), 8.53 (d, 1H), 10.7 (bs, 1H).
【実施例16】
【0088】
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−ヒドロキシ−安息香酸
2−アミノ−5−ヒドロキシ−安息香酸(15.3g、0.1モル)を0.5MNaOH(650mL、0.325モル)に溶解した。トルエン(300mL)を添加し、混合物を4℃に冷却した。塩化シクロプロパンカルボニル(26.1g、0.25モル)を激しく攪拌しながら少しずつ添加し、攪拌を約10分間継続した。5MHClを添加後、部分的にジアシル化した生成物が沈殿し、濾取した。室温で1時間5MNaOH(150mL)中に攪拌することにより加水分解し、4℃に冷却し、2.5MHClで酸性化し、濾過及び乾燥後、明紫色固体(19g、収率86%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.73-0.79 (m, 4H), 1.59-1.64 (m, 1H), 6.90 (dd, 1H), 7.31 (d, 1H), 8.12 (d, 1H), 9.5 (bs, 1H), 10.9 (bs, 1H).
【実施例17】
【0089】
5−(2−アミノ−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル
酢酸エチル(5mL)中の5−(2−ニトロ−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(110mg、0.31ミリモル、Sevbo等1976に従って製造)及びPd/C(10%、25mg)の混合物を2時間室温で水素雰囲気下(1気圧)に攪拌した。触媒を濾去し、溶媒を蒸発により除去し、定量的に標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, 3H), 2.47 (q, 2H), 3.93 (s, 3H), 4.28 (bs, 2H), 6.80 (m, 2H), 7.25 (m, 2H), 7.45 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 9.24 (d, 1H), 10.97 (bs, 1H).
【実施例18】
【0090】
5−ブロモメチル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル
2−アミノ−5−メチル−安息香酸(23.58g、156ミリモル)をメタノールに溶解した。溶液をアイスバス上で0℃にし、塩化チオニル(46.3mL、636ミリモル)を30分間滴加した。添加後、反応混合物を18時間還流し、次に室温に戻した。溶媒を蒸発させ、残存物をCH2Cl2(500mL)と飽和NaHCO3水(500mL)の間に分割した。有機層を追加の飽和NaHCO3水500mLで洗浄し、MgSO4上に乾燥し、蒸発乾固した(16.59g、64%)。
【0091】
2−アミノ−5−メチル−安息香酸メチルエステル(8.00g、48.4ミリモル)をCHCl3(275mL)中に溶解し、塩化プロピオニル(12.6mL、145ミリモル)を10分間滴加し、その後反応混合物を72時間室温で攪拌放置した。飽和NaHCO3水(400mL)を激しく攪拌しながら慎重に添加し、これ以上ガスが放出しなくなった時点で、有機層を分離し、MgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した(10.06g、94%)。
【0092】
Patil等1989により記載の通り、基の臭素化を実行した:CHCl3(500mL)及びCCl4(500mL)の混合物中の5−メチル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル(8.85g、40ミリモル)及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DDH)(5.72g、20ミリモル)を還流下に加熱した。60分毎に過酸化ジベンゾイル50mgを6時間添加し、次に反応混合物を1夜還流下に放置した。次に室温に戻し、溶媒を蒸発により除去した。シリカゲル60及び溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(18:2→17:3→16:4)を用いたクロマトグラフィーにより、純粋な標題化合物(6.40g、53%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.26 (t, 3H), 2.48 (q, 2H), 3.95 (s, 3H), 4.47 (s, 2H), 7.55 (dd, 1H), 8.04 (d, 1H), 8.72 (d, 1H), 11.06 (bs, 1H).
【実施例19】
【0093】
5−ブロモ−2−プロピオニルアミノ−安息香酸メチルエステル
2−アミノ−5−ブロモ−安息香酸メチルエステル(6.37g、27.7ミリモル)をCHCl3(140mL)中に溶解し、塩化プロピオニル(4.81mL、55.4ミリモル)を10分間滴加し、反応混合物を1夜室温で放置した。飽和NaHCO3水(150mL)を慎重に添加し、混合物を2時間激しく攪拌放置した。有機層を分離し、MgSO4上に乾燥し、濾過し、蒸発乾固した(7.54g、95%)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.26 (t, 3H), 2.42 (q, 2H), 3.91 (s, 3H), 7.62 (dd, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 11.02 (bs, 1H).
【0094】
薬理学的方法
DHODH活性の阻害試験
組み換えヒトDHODHの阻害はジクロロインドフェノール(DCIP)のジヒドロオロテート(DHO)誘発の還元により試験した(Bruneau et al., 1998)。標準的な試験混合物は0.4μg/ml組み換え蛋白、50mMトリスpH8.0、100μMデシルユビキノン、1mMKCN、200μMDCIP及び0.1%トリトンX−100を含有するものとした。阻害化合物は10段階の異なる濃度で添加し、そして酵素反応は500μMのDHOを添加することにより開始した。反応を10分間継続させた後に、DCIPの還元を650nmにおける吸光度の現象としてマイクロプレートリーダーにおいて測定した。各化合物のIC50値(50%阻害に必要な阻害剤の濃度)が得られた用量応答曲線から計算した。
【0095】
T細胞増殖の抑制
T細胞増殖の抑制は機能的試験において調べた。ヒトTリンパ芽球細胞系統(Jurkat)をDHODH阻害化合物の存在下及び非存在下において培養した。Jurkat細胞をウルトラグルタミン、10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、10mMHEPES及び0.1mg/mLゲンタマイシンを添加したRPMI1640生育培地中5x105個/mlの密度でマイクロプレート中に播種した。阻害剤の10段階の異なる濃度の連続希釈物をウェルに添加し、プレートを3日間細胞インキュベーター中に保持した。最後の4時間の開始時に、培養物を10μl/ウェルの0.1Ci/mmolの3H−TdRでパルスし、次に濾紙上に回収し、βカウンターを用いて計数した。各化合物のIC50値を得られた用量応答曲線から計算した。50μMウリジンをウェルに添加することにより機序の特異性をモニタリングした。これはピリミジンの外部の原料を用いてDHODH酵素をバイパスすることにより抗増殖作用を逆行させる。
【0096】
ラットにおける移植拒絶反応の抑制
純系のラット系統である雄性PVG(RT1c)(100〜149g)及びDA(RT1av1)(180〜240g)ラットをそれぞれドナー及びレシピエントとして使用した。異所性の心臓移植を非結紮カフス法により実施した。ドナー心臓をレシピエントの頸部の右の血管に移植し、大動脈根部を総頸動脈に、そして肺動脈を頸静脈に吻合した。移植片の血管を結紮した。移植片の生存性を1日2回モニタリングし、拒絶は触診可能な心臓移植片の拍動の停止として定義した。平行するレシピエントサブグループは連続10日間1日1回胃管供給カテーテルを用いて経口投与した。投与の初日は移植日とし、ラットには移植前数分に投与した。
【0097】
マウスにおける薬物動態特性の測定
雌性マウス(SJL/NTac)に単回静脈内または経口投与によりカセット当たり4または6化合物の混合物を投与した(名目用量:1mg/kg/化合物)。被験アイテムを生理食塩水/5%CremophorR中に調製し、終濃度は各々0.1mg/mlとした。血液試料を大静脈から採取し(終末出血)てヘパリンナトリウム処理した試験管に入れた。各化合物の投薬組成及び血漿中濃度はLC−MS/MSにより求めた。薬物動態パラメーターをWinNonlinProfessional(version4.0.1)を用いてノンコンパートメント分析により求めた。
【0098】
前記特許文献1(EP0497740)は抗増殖亢進/抗炎症及び抗癌剤として有用であるとされている化合物を開示している。最良のものとして開示された化合物は5−(2,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルである。本発明者等は5−(2,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ安息香酸がDHODH阻害剤としては不活性であることを発見した。
【0099】
該特許文献1(EP0497740)はまた化合物2−アセチルアミノ−5−(2,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)安息香酸メチルエステルを開示している。化合物2−アセチルアミノ−5−(2,5−ジメトキシ−ベンジルオキシ)安息香酸(以降化合物Gと称する)が試験されているが、表1に示す通りT細胞の増殖に対しては弱い抑制作用のみ示すことがわかった。
【0100】
前記特許文献2(EP0815087)は増殖性及び/又は炎症性の障害及び癌の治療に有用とされている式(I)の化合物に構造的に関連する化合物、例えば2−アセチルアミノ−5−[2−(2,5−ジメトキシ−フェノキシ)−エチル]安息香酸メチルエステルを開示している。2−アセチルアミノ−5−[2−(2,5−ジメトキシ−フェノキシ)−エチル]安息香酸(以降化合物Hと称する)が試験されているが、表1に示す通りT細胞の増殖に対してはきわめて弱い抑制作用を示すことがわかった。化合物2−プロピオニルアミノ−5−[2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]安息香酸(以降化合物Jと称する)が比較参照化合物として記載されている。化合物Jは表1に示す通り弱い抗増殖作用を示した。
【0101】
以下の化合物が本発明の組成物のDHODH阻害作用を説明することを意図している。
化合物K: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルア ミノ)安息香酸
化合物L: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ )安息香酸
化合物M: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオ キシ)安息香酸
化合物N: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ メチル)安息香酸
化合物O: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルス ルファニル)安息香酸
化合物P: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメチル−フェニルス ルファニルメチル)安息香酸
化合物Q: 2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(2−トリフルオロメチ ル−フェニル−ビニル]安息香酸
化合物R: 2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−2−(3−トリフルオロメチ ル−フェニル−ビニル)安息香酸
化合物S: 5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−プロピオ ニルアミノ−安息香酸
化合物T: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェノキシ)安 息香酸
化合物U: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−ベンジルオキシ )安息香酸
化合物AA: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−プロピルアミノ−フェニルスルフ ァニル)安息香酸
化合物AB: 5−(2−ジプロピルアミノ−フェノキシ)−2−プロピオニルアミノ −安息香酸
化合物AC: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル オキシ)安息香酸
化合物AD: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル メチル)安息香酸
化合物AE: 2−プロピオニルアミノ−5−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル スルファニル)安息香酸

T細胞の増殖の抑制は機能性試験において検討した。表1は本発明を例示するものであり、その範囲を限定しない。ヒトTリンパ芽球細胞系統(Jurkat)をスクリーニングすべき化合物の存在下に培養した、各化合物のIC50値を用量応答曲線から計算した。ウリジンの添加はDHODH機序の特異性をモニタリングするために使用した。
【0102】
インビトロのT細胞増殖の抑制
【表1】

【0103】
従来技術と比較対照(本発明ではない)化合物の比較において、本発明の化合物は好都合な薬物動態特性及び高い経口生体利用性を有する。iv投与後のマウスにおける代表的化合物のクリアランス(CL)及び半減期(t1/2)を表2に示す。表2は本発明を例示するものであり、その範囲を限定しない。
【0104】
マウスにおける薬物動態特性
【表2】

a)2−アセチルアミノ−5−フェネチル−安息香酸
b)2−プロピオニルアミノ−5−[(E)−スチリル]−安息香酸
c)5−ベンジル−2−プロピオニルアミノ−安息香酸
【0105】
ラットにおける心臓移植モデルにおいて、心臓は移植後6.5日に対照群(N=6)においては拒絶された。2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−安息香酸(本発明)(N=6)または化合物S(N=6)を10日間毎日投与した後、移植片は許容され、100日超の中央値移植片生存として測定されたとおり、耐容性が誘導されていた。
【0106】
式(I)の化合物の製薬上許容しうる塩は水中、または、有機溶媒中で遊離の酸を塩基と反応させることにより製造できる。適当な塩の例はRemington's Pharmaceutical Sci
ences, 17th edition, Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p.1418に記載されている。本発明の化合物の有効量は好ましくは投与の通常の経路に従ってそのような治療を要する患者に投与され、そして、活性成分有効量及び適当な製薬上許容しうる担体を含む通常の医薬組成物において製剤される。このような組成物は種々の形態、例えば経口投与用に製造された溶液、懸濁液、乳液、錠剤、カプセル及び粉末、非経腸投与用の滅菌溶液、及び、直腸投与用の座剤、または、適当な局所用製剤としてよい。適当な医薬品製剤の選択及び製造のための従来の操作法は例えばPharmaceuticals−The Science of Dosage Form Desig, M.B.Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0107】
自己免疫疾患、炎症性疾患、臓器移植拒絶反応及び悪性新生物から選択される疾患の治療において使用するための適当な一日当たり用量は、治療すべき特定の状態、特定の患者の年齢及び体重、および医薬に対する特定の患者の応答に応じて、0.005mg/kg〜約10mg/kg体重、特に0.025mg/kg〜2mg/kg体重の範囲である。厳密な個体別の投薬並びに一日当たり用量は医師の指示の下に標準的な医療原則に従って決定される。
【0108】
参考文献
Batt, DG, ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの阻害剤 Exp. Opin. Ther. Patents, 1999, 9 (1):41-54.

Breedveld FC, 慢性関節リューマチの発症の新しい洞察 J. Rheumatol. Suppl., 1998, 53:3-7. Review.

Bruneau JM, Yea CM, Spinella-Jaegle S, Fudali C, Woodward K, Robson PA, Sautes C, Westwood R, Kuo EA, Williamson RA, Ruuth E, ヒトジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの精製及びレフルノミドの活性代謝産物であるA771726によるその阻害 Biochem. J., 1998, 336 (Pt2):299-303.

Chan DMT, Monaco KL, Wang Ru-Ping, Winters MP, フェニルボロン酸及び酢酸銅を用いた新しいN及びOアリール化 Tetrahedron Letters, 1998, 39 (19):2933-2936.

Cherwinski HM, Cohn RG, Cheung P, Webster DJ, Xu YZ, Caulfield JP, Young JM, Nakano G, Ransom JT,免疫抑制剤レフルノミドはピリミジン生合成を抑制することによりリンパ球増殖を抑制する。J. Pharmacol. Exp. Ther., 1995, 275(2):1043-9.

Freitag, D., DE 2064305 (A1) 1970.

Gennari M, Negre M, Ambrosoli R, Andreoni V, Vincenti M, Acquati A, 異なるリッチ化培地によるアシフルオルフェンの嫌気的分解 J. Agricultural and Food Chemistry, 1994, 42(5):1232-6.

Hutchinson JH, Cook JJ, Brashear KM, Breslin MJ, Glass JD, Gould RJ, Halczenko W, Holahan MA, Lynch RJ, Sitko GR, Stranieri MT, Hartman GD. 非ペプチド糖蛋白IIb/IIIa拮抗剤。11.3,4−ジヒドロ−1(1H)−イソキノリノン系の拮抗剤及びエチルエステルプロドラッグの設計及びインビボの評価 J. Med. Chem., 1996, 39:4583-91.

Kubinyi, H. Chapter 3. Parameters. 医薬品化学の方法及び原則におけるパラメーター、分析及び関連方法 Mannhold, R., Kroogsgard-Larsen, P., Timmermann, H., Eds.; VCH: Weinheim, 1993;pp21-27.

Mathis CA, Wang Y, Holt DP, Huang GF, Debnath ML, Klunk WE, アミロイド画像化剤としての11C標識6置換2−アリールベンゾチアゾールの合成及び評価 J. Med. Chem., 2003, 46 (13):2740-54.

研究開示 1998,409(5月), P561-P562(No. 40953)

Patil SD, Jones C, Nair MG, Galivan J, Maley F, Kisliuk RL, Gaumont Y, Duch D, Ferone R, 葉酸類縁体.32。2−デスアミノ−2−メチル−N10−プロパルギル−5,8−ジデアザ葉酸及び関連化合物の合成及び生物学的評価 J. Med. Chem., 1989, 32:1284-89.

Sevbo DP, Ginzburg OF, 2−アミノ−3−フェノチアゾン誘導体III、メチル2−アミノ−3−フェノチアゾン−1−カルボキシレート Zhurnal Organicheskoi Khimii, 1976, 12 (8):1819-25.

Staiger RP and Miller EB, 無水イサト酸IV。種々の親核物質との反応 J. Org. Chem., 1959, 24:1214-1219.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記物質:
5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−2−プロピオニルアミノ−安息香酸;
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−イソプロピル−フェニルスルファニル)−安息香酸;
2−(シクロプロパンカルボニル−アミノ)−5−(2−フェニルアセチルアミノ−フェノキシ)−安息香酸;
及びこれ等の薬学上許容し得る無機カチオンと結合した塩から選択される化合物。
【請求項2】
薬学上許容し得る賦形剤と連携して活性成分として請求項1記載の化合物を含んでいる医薬組成物。
【請求項3】
0.005mg/kg〜10mg/kg体重の一日当たり用量が投与されるような量で化合物が存在する請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
0.025mg/kg〜2mg/kg体重の一日当たり用量が投与されるような量で化合物が存在する請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
経口投与用の溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、カプセルまたは粉末、非経口的に用いられる滅菌溶液、直腸投与用の座剤または局所用製剤の形態の請求項2、3、または4記載の医薬組成物。
【請求項6】
急性及び慢性の炎症、慢性関節リューマチ、多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、移植片拒絶反応及び悪性新生物性疾患から選択される病状の治療に使用される請求項1記載の化合物。

【公開番号】特開2012−144548(P2012−144548A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54181(P2012−54181)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2006−551856(P2006−551856)の分割
【原出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(511071197)チェルシー サラピューティックス インク. (1)
【Fターム(参考)】