説明

新規な抗微生物薬



本発明は、式Iの新規なフェニルオキサゾリジノン化合物、その製薬学的に許容される類似体、互変異性型、立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物に係わる。本発明は、式Iの新規な化合物もしくはその製薬学的に許容される類似体、互変異性型、立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を合成する方法にも係わる。本発明はまた、式Iの新規な化合物を含有する医薬組成物とその使用方法を提供する。本発明の化合物は抗微生物薬として有用であり、Staphylococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Bacteroides属、Clostridium属の多剤耐性種、インフルエンザ菌、Moraxella属種、結核菌などの抗酸性生物、並びにStaphylococcus属およびEnterococcus属のリネゾリド耐性種など多くの好気性および/または嫌気性グラム陽性および/またはグラム陰性病原菌に対して有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの新規なフェニルオキサゾリジノン化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物に係わる。本発明は、式Iの新規な化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を合成する方法にも係わる。本発明はまた、式Iの新規な化合物を含有する医薬組成物とその使用方法を提供する。本発明の化合物は抗微生物薬として有用であり、スタフィロコックス(Staphylococcus)属、ストレプトコックス(Streptococcus)属、エンテロコックス(Enterococcus)属、バクテロイデス(Bacteroides)属、クロストリジウム(Clostridium)属の多剤耐性種、インフルエンザ菌、モラクセラ(Moraxella)属種、結核菌などの抗酸性生物、並びにStaphylococcus属およびEnterococcus属のリネゾリド耐性種など多くの好気性および/または嫌気性グラム陽性および/またはグラム陰性病原菌に対して有効である。
【背景技術】
【0002】
近年、抗菌薬に対する耐性が危惧されるほどに増大し、現行抗微生物薬の効かない菌株が生じている。特にグラム陽性菌に関しては治療上極度の困難を来している。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、および糖ペプチド耐性黄色ブドウ球菌(GRSA)はもはや科学的興味の対象ではなく、世界中の医師が直面する生命の脅威となっている。これらの「スーパーバグ」はすでに蔓延し、薬物耐性の拡大を防ぐ幾つかの対策に加えて、生命に関わる細菌感染を制御する新規な抗生物質の開発に協調して努力することが求められている。最近の多剤耐性の増大は、上記のような細菌を殺し、あるいはその増殖を阻害する新規な構造の抗生物質群の探求に対する関心を再燃させた。非特許文献1を参照されたい。
【0003】
オキサゾリジノンは、独得の細菌タンパク質合成阻害機序を有する一群の抗菌薬である。オキサゾリジノンは30Sおよび50Sリボソームを含むリボソーム開始複合体の形成を阻害して、タンパク質合成段階での開始複合体形成を妨げる。その独得の作用機序ゆえに、この化合物は他の臨床上有用な抗生物質には耐性である病原菌に対して有効である。
【0004】
幾つかの特許文献がオキサゾリジノンを抗微生物薬として開示している。例えば特許文献1〜29には、抗菌活性を有し、抗微生物薬として有用であるオキサゾリジノン化合物が開示されている。
【0005】
特許文献30〜36などの最近の文献にはフェニルオキサゾリジノン誘導体が抗菌薬として開示されている。特許文献7および37〜39には、複素二環式の置換フェニルオキサゾリジノンが抗菌薬として開示されている。特許文献40および41には二環式オキサゾリジノンが抗菌薬として開示されている。特許文献42にはピリドアリールフェニルオキサゾリジノンが抗菌薬として開示されている。特許文献43〜46には、細菌感染の治療に有用なビシクロ[3.1.0]ヘキシル−フェニル−オキサゾリジノン誘導体が開示されている。特許文献47には抗菌活性を有するジカルボニル化合物が開示されている。最近の中国特許出願である特許文献48には、抗菌活性を有するグリシニル置換フェニルオキサゾリジノンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第93/09103号
【特許文献2】国際公開第00/29396号
【特許文献3】国際公開第01/94342号
【特許文献4】国際公開第02/81469号
【特許文献5】国際公開第02/81470号
【特許文献6】国際公開第02/02095号
【特許文献7】国際公開第03/072553号
【特許文献8】国際公開第03/006447号
【特許文献9】国際公開第03/07870号
【特許文献10】国際公開第03/08389号
【特許文献11】国際公開第03/97059号
【特許文献12】国際公開第04/056817号
【特許文献13】国際公開第04/056818号
【特許文献14】国際公開第04/14392号
【特許文献15】国際公開第04/009587号
【特許文献16】国際公開第04/018439 A1号
【特許文献17】国際公開第05/058886号
【特許文献18】国際公開第05/082897号
【特許文献19】国際公開第05/116024号
【特許文献20】国際公開第05/116021号
【特許文献21】国際公開第05/082900号
【特許文献22】国際公開第05/003087号
【特許文献23】国際公開第06/043121号
【特許文献24】米国特許第6,689,779号
【特許文献25】米国特許第5,565,571号
【特許文献26】米国特許第5,801,246号
【特許文献27】米国特許第5,756,732号
【特許文献28】米国特許第5,654,435号
【特許文献29】米国特許第5,654,428号
【特許文献30】国際公開第07/114326号
【特許文献31】米国特許出願公開第07/0155798号
【特許文献32】国際公開第07/040326号
【特許文献33】国際公開第07/095784号
【特許文献34】国際公開第07/000432号
【特許文献35】国際公開第07/004037号
【特許文献36】国際公開第07/093904号
【特許文献37】国際公開第06/109056号
【特許文献38】国際公開第06/035283号
【特許文献39】国際公開第03/064415号
【特許文献40】国際公開第96/35691号
【特許文献41】国際公開第00/073301号
【特許文献42】国際公開第02/064547号
【特許文献43】国際公開第04/033451号
【特許文献44】国際公開第04/089943号
【特許文献45】国際公開第05/005422号
【特許文献46】国際公開第05/005399号
【特許文献47】国際公開第07/082910号
【特許文献48】中国特許出願第101434584号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Antibiotic Resistance,” Chemical Reviews, 105(2), February 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
公的認可を受けた最初のオキサゾリジノンであるリネゾリド(商品名Zyvox(R)の下に市販)は、MRSAおよびVREなどの多剤耐性病原菌によるものを含めた重篤なグラム陽性菌感染の治療において重要な臨床的選択肢の一つとなった(国際公開第95/07272号参照)。オキサゾリジノンは抗生物質としての潜在能力が高く、作用モードが独得であるにも拘わらず、オキサゾリジノンに属する分子でリネゾリド以外に臨床使用可能なものは得られなかった。しかも、抗生物質に対して耐性が現われるのは不可避であり、リネゾリドも例外ではなかった(Mutnick, A.H.; Enne, V.; Jones, R.N., Ann. Pharmacother., 37, 769−774, 2003参照)。また、骨髄抑制を起こすため、リネゾリドは長期治療には好適でない。ただし、リネゾリドを2年より長期にわたり投与されている患者に重篤な副作用が認められない事例も存在はする(Hutchinson, D.K., Expert Opin. Ther. Patents, 14, 1309−1328,2004参照)。リネゾリドとその類似体(第1世代オキサゾリジノン)は通常抗微生物スペクトルがグラム陽性病原菌のみに限られている。グラム陰性病原菌に対して活性を有する、より新しい第2世代オキサゾリジノンは、スペクトルが広がり、効力が増したことにより病院内環境を越えて市中感染の治療にまで利用できるようになった。従って、より有効かつ安全な化合物の開発は依然として必要とされている。本発明の化合物は新規であり、そのいずれの形態もこれまで従来技術において報告されたことはない。本発明による式Iの新規化合物は改善された効力を有し、細菌感染に対する活性が特に向上しており、バイオアベイラビリティが高く、伴う副作用が少なく、十分に可溶性であり、かつ容易に製剤化可能である。
【0009】
本発明は、式I:
【化1】

の新規なフェニルオキサゾリジノン、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物に係わる。
【0010】
上記式中、「−−」は独立に単結合を表わすか、または結合の不在を表わす。
「−−」が単結合を表わす時「A」は炭素原子であり、「−−」が結合の不在を表わす時「A」はCHまたはNである。
YおよびY’は同じであるかまたは異なり、かつ独立にOまたはSである。
【0011】
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHC(=Y)R、−(CHYR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OR、−OC(=Y)OR、−SR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)−C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0012】
または、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と共に、部分不飽和または飽和の3〜10員単環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のへテロ原子を有し得、またこの環は、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および単環式ヘテロアリール環を含む群から独立に選択された1個または2個の環と縮合し得、かつ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0013】
は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHYR、−(CHC(=Y)R、−(CHNR、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、または−(CHN(R)C(=Y)NR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0014】
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−C(=Y)NR、−C(=Y)OR、−NR、−NRC(=Y)R、−C(=Y)R、−OC(=Y)R、−OC(=Y)OR、−OC(=Y)NR、−OR、−(CHOR、−SR、−NO、−N(R)C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0015】
ZはC1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N、−(CH−NCS、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−(CHYR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)R、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHNRC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)NR、または−(CHNRS(O)(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
T、U、VおよびWは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素またはハロゲンである。
【0016】
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、C3−8シクロアルキル、C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ、C2−12ハロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−CN、OR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、または−P(=O)Rにより任意の可能な位置で置換され; または、RおよびRはこれらが結合するへテロ原子と共に、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を付加的に有し得る複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環は場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−CF、−OCF、−CHCF、−CFCF、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)Rおよび−P(O)Rの中から選択された1個以上の置換基により置換され、またこの環はさらに、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得る不飽和または飽和3〜7員環と縮合し得、その際縮合環は場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0017】
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C1−12ハロアルコキシ、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、−P(O)R、−(CHCN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−(CHNR、−(CHN(R)C(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)Rおよび−(CHP(O)Rの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−NR10、−N(R)C(=Y)R10、−N(R)C(=Y)OR10、−N(R)C(=Y)NR10、−C(=Y)R、−C(=Y)NR10、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR10、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR10、−NRSO10、−OP(=O)R10、−NHP(=O)R10、−P(O)R10、−(CHCN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−(CHNR10、−(CHN(R)C(=Y)R10、−(CHN(R)C(=Y)OR10、−(CHN(R)C(=Y)NR10、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR10、−(CHNRSO10、−(CHOP(=O)R10、−(CHNHP(=O)R10および−(CHP(O)R10の中から選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置で置換される。
【0018】
およびRは水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびRはこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換される。
【0019】
およびR10は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびR10はこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換される。
【0020】
aおよびa’は同じであるかまたは異なり、かつ独立に1、2、3、または4である。
mは1、2、3、または4である。
m’は0、1、2、3、または4である。
nは1、2、3、または4である。
dは1または2である。
ただしRおよびRが共に水素であり、YおよびY’が酸素であり、Rが水素であり、Aが窒素であり、「−−」が結合の不在を表わし、aおよびa’が共に2であり、Tがフッ素であり、W、UおよびVが水素であり、mが1であり、かつm’が0である場合、Zは
【化2】

でない。
【0021】
別の態様において本発明は、式Iの新規な化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を製造する方法を提供する。
【0022】
別の態様において本発明は、式Iの化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を製薬学的に許容される1種以上のキャリヤーと共に含有する医薬組成物を提供する。
【0023】
別の態様において本発明は、特に微生物感染に起因する1種以上の疾病/障害の予防、改善および/または治療といった管理に本発明の式Iの化合物、または式Iの化合物を含有する組成物を使用する方法であって、前記管理を必要とする被検者に式Iの化合物、または式Iの化合物を製薬学的に有効な量で含有する組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0024】
別の態様において本発明は、式Iの化合物を、Staphylococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Bacteroides属、Clostridium属の多剤耐性種、インフルエンザ菌、Moraxella属種、結核菌などの抗酸性生物、並びにStaphylococcus属およびEnterococcus属のリネゾリド耐性種など多くの好気性および/または嫌気性グラム陽性および/またはグラム陰性病原菌に対して有効な抗微生物薬として使用する方法を提供する。
【0025】
さらに別の態様において本発明は、哺乳動物のグラム陽性および/またはグラム陰性病原菌感染を、式Iの化合物または製薬学的に許容される塩を治療有効量で投与することにより治療する方法を提供する。
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグおよび活性な代謝産物も包含する。
本発明の他の態様は下記に示され、またその一部は下記から明らかとなり、あるいは本発明の実施によって理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、式I:
【化3】

の新規なフェニルオキサゾリジノン、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物に係わる。
【0027】
上記式中、「−−」は独立に単結合を表わすか、または結合の不在を表わす。
「−−」が単結合を表わす時「A」は炭素原子であり、「−−」が結合の不在を表わす時「A」はCHまたはNである。
YおよびY’は同じであるかまたは異なり、かつ独立にOまたはSである。
【0028】
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHC(=Y)R、−(CHYR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OR、−OC(=Y)OR、−SR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)−C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0029】
または、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と共に、部分不飽和または飽和の3〜10員単環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のへテロ原子を有し得、またこの環は、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および単環式ヘテロアリール環を含む群から独立に選択された1個または2個の環と縮合し得、かつ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0030】
は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHYR、−(CHC(=Y)R、−(CHNR、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、または−(CHN(R)C(=Y)NR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0031】
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−C(=Y)NR、−C(=Y)OR、−NR、−NRC(=Y)R、−C(=Y)R、−OC(=Y)R、−OC(=Y)OR、−OC(=Y)NR、−OR、−(CHOR、−SR、−NO、−N(R)C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0032】
ZはC1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N、−(CH−NCS、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−(CHYR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)R、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHNRC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)NR、または−(CHNRS(O)(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
T、U、VおよびWは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素またはハロゲンである。
【0033】
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、C3−8シクロアルキル、C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ、C2−12ハロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−CN、OR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、または−P(=O)Rにより任意の可能な位置で置換され; または、RおよびRはこれらが結合するへテロ原子と共に、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を付加的に有し得る複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環は場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−CF、−OCF、−CHCF、−CFCF、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)Rおよび−P(O)Rの中から選択された1個以上の置換基により置換され、またこの環はさらに、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得る不飽和または飽和3〜7員環と縮合し得、その際縮合環は場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0034】
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C1−12ハロアルコキシ、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、−P(O)R、−(CHCN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−(CHNR、−(CHN(R)C(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)Rおよび−(CHP(O)Rの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−NR10、−N(R)C(=Y)R10、−N(R)C(=Y)OR10、−N(R)C(=Y)NR10、−C(=Y)R、−C(=Y)NR10、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR10、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR10、−NRSO10、−OP(=O)R10、−NHP(=O)R10、−P(O)R10、−(CHCN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−(CHNR10、−(CHN(R)C(=Y)R10、−(CHN(R)C(=Y)OR10、−(CHN(R)C(=Y)NR10、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR10、−(CHNRSO10、−(CHOP(=O)R10、−(CHNHP(=O)R10および−(CHP(O)R10の中から選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置で置換される。
【0035】
およびRは水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびRはこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換される。
【0036】
およびR10は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびR10はこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換される。
【0037】
aおよびa’は同じであるかまたは異なり、かつ独立に1、2、3、または4である。
mは1、2、3、または4である。
m’は0、1、2、3、または4である。
nは1、2、3、または4である。
dは1または2である。
ただしRおよびRが共に水素であり、YおよびY’が酸素であり、Rが水素であり、Aが窒素であり、「−−」が結合の不在を表わし、aおよびa’が共に2であり、Tがフッ素であり、W、UおよびVが水素であり、mが1であり、かつm’が0である場合、Zは
【化4】

でない。
【0038】
本発明の一実施形態は、式Ia:
【化5】

〔式中、R、R、R、R、Y、Y’、A、T、U、V、W、Z、m、m’、aおよびa’は本明細書中に規定したとおりである〕の化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を提供する。
【0039】
本発明の別の実施形態は、式Ib:
【化6】

〔式中、R、R、R、R、T、U、V、W、Z、mおよびm’は本明細書中に規定したとおりである〕の化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を提供する。
【0040】
本発明の化合物の一実施形態において、RおよびRは水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C3−8シクロアルキルおよびアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、または、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と共に、部分不飽和または飽和の3〜10員単環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のへテロ原子を有し得、またこの環は、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および単環式ヘテロアリール環を含む群から独立に選択された1個または2個の環と縮合し得、かつ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0041】
本発明の化合物の別の実施形態において、Rは水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニルおよびC2−12アルキニルの中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
本発明の化合物の別の実施形態において、Rは水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0042】
本発明の化合物のさらに別の実施形態において、Rは好ましくは水素、C1−12アルキル、−CHOH、アリール、C3−8シクロアルキル、
【化7】

〔式中、R11は−H、−CH、−OH、−F、−Clまたは
【化8】

であり、R12は−H、−CH、−OH、−Clまたは−Fである〕の中から選択される。
【0043】
本発明の化合物の別の実施形態において、T、U、VおよびWは同じであるかまたは異なり、かつフッ素または水素であることが好ましい。
本発明の化合物の別の実施形態では、TおよびWが独立にフッ素であり、UおよびVは共に水素であることがさらに好ましい。
本発明の化合物の別の実施形態では、mは1または2であり、m’は0または1である。
【0044】
本発明の化合物の別の実施形態において、ZはC1−12アルキル、C1−12ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−OC(=O)OR、−(CHOR、−(CHOP(=O)R、−(CHOC(=O)R、−(CHOC(=O)OR、−(CHC(=O)R、−(CHC(=O)NR、−(CHOC(=O)NR、−(CHC(=O)OR、−(CHNR、−(CHNRC(=O)R、−(CHNRC(=O)OR、−(CHNRC(=S)R、−(CHNRC(=S)OR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)の中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換される。
【0045】
本発明の化合物のさらに別の実施形態において、Zは好ましくは−CHOH、−CHF、−CHF
【化9】

の中から選択される。
【0046】
定義
本発明のオキサゾリジノン化合物に関する記述には以下の定義が該当する。
本明細書中に用いた「アルキル」という語は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状炭化水素を意味する。アルキルの例にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、およびt−ブチルが非限定的に含まれる。アルキル基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アジド、シアノ、アミノ、ニトロ、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基によってさらに置換されてもよい。
【0047】
本明細書中に用いた「アルケニル」という語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味し、この基は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状炭化水素であり得る。アルケニルの例にはエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、および2−ブテニルが非限定的に含まれる。アルケニル基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アジド、シアノ、アミノ、ニトロ、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基によってさらに置換されてもよい。
【0048】
本明細書中に用いた「アルキニル」という語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分枝鎖状炭化水素基を意味し、この基は1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり得る。アルキニルの例にはエチニル、プロピニル、およびブチニルが非限定的に含まれる。アルキニル基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アジド、シアノ、アミノ、ニトロ、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基によってさらに置換されてもよい。
【0049】
「アルコキシ」という語は、先に定義されたアルキル基であって、当該分子のその他の部分に酸素を介して結合しているものを意味する。このような基の非限定的な例に、−OCHおよび−OCが含まれる。
「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のことである。
【0050】
「ハロアルキル」という語は、先に定義された「アルキル」基であって、その1〜12個の炭素原子のいずれか1個以上において先に定義された「ハロゲン」基1個以上により置換されているものを意味する。ハロアルキルの代表例にはクロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、およびジクロロエチルが非限定的に含まれる。
【0051】
「ハロアルケニル」という語は、先に定義された「アルケニル」基であって、その炭素原子のいずれか1個以上において先に定義された「ハロゲン」基1個以上により置換されているものを意味する。ハロアルケニルの代表例にはクロロエテニル、2−フルオロエテニル、トリフルオロブテニル、およびジクロロプロペニルが非限定的に含まれる。
【0052】
「ハロアルキニル」という語は、先に定義された「アルキニル」基であって、その炭素原子のいずれか1個以上において先に定義された「ハロゲン」基1個以上により置換されているものを意味する。ハロアルキニルの代表例には2−フルオロエチニル、トリフルオロブチニル、およびジクロロプロピニルが非限定的に含まれる。
【0053】
「ハロアルコキシ」という語は、先に定義された「ハロアルキル」基であって、当該分子の主部に酸素原子を介して結合しているものを意味する。
【0054】
「シクロアルキル」という語は3〜20個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味し、この基は別様に定義されないかぎり単環構造かまたは縮合多環構造、例えば縮合環系またはスピロ環系構造の形態を取る。このようなシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルなどの単環構造、アダマンチルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの多環構造、およびアリール基が縮合した環状アルキル基、例えばインダンなどが含まれる。シクロアルキル基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アジド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基によってさらに置換されてもよい。
【0055】
本明細書中に用いた「アリール」という語は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、アミノ、アリールオキシ、CF、COOR(Rは水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり得る)、シアノ、ニトロ、カルボキシ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキルおよびヘテロアリールアルキルの中から非限定的に選択された1個以上の置換基によって場合により置換された炭素単環または多環式芳香族基、例えばフェニル環やナフチル環を意味する。アリール基は、場合によってはシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、または別のアリール基と縮合する。縮合基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシアルキル、アジド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置でさらに置換されてもよい。
【0056】
「アリールオキシ」という語は、先に定義されたアリール基であって、当該分子のその他の部分に酸素を介して結合しているもの、例えば−OPhなどを意味する。
【0057】
特に断らないかぎり、「ヘテロアリール」という語は、N、OおよびSの中から独立に選択された1〜4個のへテロ原子を有する完全または部分不飽和の単環式または多環式芳香環構造を意味する。ヘテロ原子としての窒素は場合により酸化する。窒素原子が四級化する場合も有る。「ヘテロアリール」には二環構造や三環構造も非限定的に包含され、それらにおいてはヘテロアリール環が、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および別の単環式ヘテロアリール環から成る群から独立に選択された1個または2個の環と縮合している。ヘテロアリール基の例にはオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、チエニル、イソキサゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾ[1,2−α]ピリミジン、およびイミダゾ[1,2−α]ピラジンが非限定的に含まれる。二環式または三環式ヘテロアリール環はヘテロアリール基自体か、または縮合したアリール、シクロアルキルもしくはヘテロシクリル基を介して結合し得る。ヘテロアリール基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシアルキル、アジド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキニル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置でさらに置換されてもよい。
【0058】
特に断らないかぎり、「ヘテロシクリル」という語は、N、OおよびSの中から独立に選択された1個以上のへテロ原子を有する完全または部分不飽和の単環式または多環式シクロアルキル基であって、芳香族でないものを意味する。ヘテロシクリル環は、別のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環と縮合してもよく、場合によってはベンゾ縮合または縮合した5員もしくは6員ヘテロアリール環であり、および/または場合によっては置換され、その際置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アシル、カルボキシ、アリール、アルコキシ、アラルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの中から非限定的に選択される。ヘテロシクリル基の例にはモルホリニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロベンゾフリル、アザビシクロヘキシル、ジヒドロインドニル、ピペリジニル、およびピペラジニルが非限定的に含まれる。縮合基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシアルキル、アジド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アシル、アシルオキシ、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールの中から非限定的に選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置でさらに置換されてもよい。ヘテロ原子としての窒素および硫黄は場合により酸化する。窒素原子が四級化する場合も有る。
「ヒドロキシ」もしくは「ヒドロキシル」とは基−OHのことである。
【0059】
「保護基」もしくは「PG」という語は、保護される部位において望ましくない副反応を排除するべく変換された形態で存在する基を意味する。特に断らないかぎり、保護基という語はヒドロキシ、アミノ、カルボキシといった基名と共に用いられ得、保護される基の例は、援用によりその内容が本明細書に含まれるT.W. Greene et al.,“Protecting Groups in Organic Synthesis,” 3rd Ed., Wiley, New York中に見出される。いずれのカルボキシ保護基、アミノ保護基またはヒドロキシ保護基を採用するかは、得られる誘導体部分が後に生起する反応の諸条件に対して安定であり、かつ当該分子のその他の部分を損なわずに除去可能であるかぎり重要でない。好適なヒドロキシおよびアミノ保護基の例にはトリメチルシリル、トリエチルシリル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブトキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルが非限定的に含まれる。好適なカルボキシ保護基は、ベンズヒドリル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、2−ナフチルメチル、アリル、2−クロロアリル、ベンジル、2,2,2−トリクロロエチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、2−(トリメチルシリル)エチル、フェナシル、p−メトキシベンジル、アセトニル、p−メトキシフェニル、4−ピリジルメチル、t−ブチルなどである。
【0060】
「被検者」にはヒト、ヒト以外の哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ)、および哺乳類以外の生物(例えば鳥類)が含まれる。
【0061】
「治療有効量」という語は、疾病を治療する目的で被検者に投与される化合物の、当該治療の達成に十分な量を意味する。「治療有効量」は、諸要因の中でも特に化合物種、疾病の種類と重篤度、治療される被検者の体重、体調および感受性次第で変動する。
【0062】
「製薬学的に許容される塩」には塩の形態で用いられる本発明の化合物が包含され、特に遊離時や異なる塩形態の時と比較して改善された薬物動態特性を化合物にもたらす塩はいずれも包含される。
【0063】
本発明の化合物中には不斉中心が存在し得る。式Iの化合物は1個以上のステレオジェン中心を有し得、その結果光学異性を示し得る。式I化合物の鏡像異性体、ジアステレオマーおよびエピマーを含めた異性体はいずれも本発明の範囲内に含まれる。しかも、本発明はそのような化合物を単独の異性体(R体および/またはS体)としても、ラセミ化合物を含めた混合物としても包含する。所望であれば、本発明の化合物のラセミ混合物を、個々の鏡像異性体が単離されるように分離することも可能である。この分離は当該技術分野で周知の方法によって行ない得、例えば、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を作製し、その後分別晶出やクロマトグラフィーといった標準的手法で個々のジアステレオマーを分離する方法などを採用し得る。各立体化学反応の出発物質は市販品であってもよいし、本明細書に記載され、かつ当該技術分野で周知の技術により改変された方法で製造してもよい。複数のジアステレオマーを独立に合成したり、クロマトグラフィーにより分離したりすることは、当該技術分野で公知の方法を適宜変更して用いることにより可能である。
【0064】
式Iで表される化合物のなかには、異なる水素結合位置を有し、一つ以上の二重結合シフトを伴う互変異性体として存在し得るものも有る。それらの互変異性体も、単独であれ混合物としてであれ本発明の範囲内にあると見なされる。
式Iで表される化合物のなかには多形体として存在し得るものも有る。
本発明は、式Iの化合物の幾何異性体とその混合物も包含する。
【0065】
本発明の化合物の特に有用な例には、表1から選択される化合物が非限定的に含まれる。
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
【表8】

【0073】
【表9】

【0074】
【表10】

【0075】
【表11】

【0076】
本発明の化合物は、本明細書中に述べた合成法の一つ以上に従って調製することができる。出発物質はいずれも市販されているか、または有機化学分野で通常の技量を有する者に良く知られているような手順で製造可能である。
「L」は適当な離脱基を表わし、それがどのようなものかは実際に用いられる反応条件次第で替わり得る。離脱基の典型例としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、トシル、メシル、トリフルオロメタンスルホニルなどを挙げることができるが、これらに限定されると解釈するべきではなく、当業者にはほかにも多くの離脱基が良く知られている。
【0077】
【化10】

【0078】
式Iの化合物は、合成法1に従い式IIの化合物から製造することができる。式IIの化合物中のアミノ保護基を、標準的な脱保護試薬、例えばトリフルオロ酢酸や、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテルおよびジオキサンなどを溶媒としたHCl(g)飽和溶液を用いるか、適当な極性溶媒中でPb/Cを用いて水素化を行なうか、またはピペリジンなどの塩基性アミンを用いることによって脱保護し、式IIIの化合物を得る(得られる化合物は、保護基および対応して用いる脱保護剤の種類に依存して遊離アミンかまたは塩の形態を取り得る)。次に、式IIIの化合物と式IVの化合物とのカップリングを標準的なペプチドカップリング条件下に、例えばEDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)もしくはDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、またはHATU[O−(7−アザベンゾトリアゾル−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート]/HOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)を用いて行なうか、またはDMF、DCM(ジクロロメタン)、THF、もしくはこれらの混合物といった適当な溶媒中でNMM(N−メチルモルホリン)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、トリエチルアミンといった適当な塩基の存在下にクロロ蟻酸エチルまたはクロロ蟻酸メチルを用いる混合無水物法によって行ない、式Vの化合物を形成する。この化合物中のアミノ保護基(PG)を、標準的な脱保護試薬、例えばトリフルオロ酢酸や、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテルおよびジオキサンなどを溶媒としたHCl(g)飽和溶液を用いるか、適当な極性溶媒中でPb/Cを用いて水素化を行なうか、またはピペリジンなどの塩基性アミンを用いることによって脱保護し、式VIの化合物を得る。トリエチルアミン、ピリジン、NMM、DMAP、DIPEAといった適当な塩基およびDMF、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、またはこれらの混合物といった適当な溶媒の存在下、式VIの化合物を式VIIの化合物と、EDC、HOBtなどの存在下に反応させて式Iの化合物を得る。
【0079】
【化11】

【0080】
式Iの化合物は合成法2によっても得られる。EDC、HOBtなどの存在下に式VIIの化合物を式VIIIの化合物と反応させることによって式IXの化合物が得られる。この反応は、トリエチルアミン、ピリジン、NMM、DMAP、DIPEAといった適当な塩基およびDMF、トルエン、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、またはこれらの混合物といった適当な溶媒の存在下に生起させ得る。当業者に良く知られた標準的な脱保護試薬を用いて、式IXの化合物を式Xの化合物へ変換する。式Xの化合物と式IIIの化合物とのカップリングを標準的なペプチドカップリング条件下に、例えばEDC[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド]/HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)もしくはDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、またはHATU[O−(7−アザベンゾトリアゾル−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート]/HOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)を用いて行なうか、またはDMF、DCM(ジクロロメタン)、THF、もしくはこれらの混合物といった適当な溶媒中でNMM(N−メチルモルホリン)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、トリエチルアミンといった適当な塩基の存在下にクロロ蟻酸エチルまたはクロロ蟻酸メチルを用いる混合無水物法によって行ない、式Iの化合物を形成する。
【0081】
式IIの化合物は当業者には容易に製造可能である。例えば、合成法3に従って式II(式中Aは窒素であり、「−−」は結合の不在を表わす)の化合物を製造することができる。米国特許第6,051,716号、国際公開第2003/097640号、または同第2004/113329号に報告された手順を踏襲しても、式II(式中Aは炭素原子であり、「−−」は単結合を表わし、またはAはCHであり、「−−」は結合の不在を表わす)の化合物を製造できる。
【0082】
【化12】

【0083】
適当な塩基および溶媒の存在下に式XIの化合物を式XII(式中T、U、VおよびWは先に規定したとおりであり、Lはフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードといった適当な離脱基である)の置換ニトロベンゼン誘導体と反応させることによって式XIIIの化合物が得られる。適当な溶媒の例にはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、二塩化メチレン、ジクロロエタン、DMF、DMSO、およびこれらの混合物が含まれる。適当な塩基の例にはトリエチルアミン、炭酸カリウム、ジイソプロピルエチルアミン、およびKOHが含まれる。二塩化メチレン、クロロホルム、THF、またはこれらの混合物といった適当な溶媒、およびトリエチルアミン、重炭酸ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下に式XIIIの化合物を、当業者に良く知られた標準的なアミノ保護基(PG)のうちで好適なものと反応させて式XIVの化合物を形成する。この式XIVのニトロ誘導体を、活性炭上のパラジウム、白金またはルテニウムといった適当な触媒を介しての水素化などにおいて、当業者に良く知られた様々な還元剤によって還元するか、またはFe/HCl、SnCl/HCl、NiCl/NaBHもしくはFe/NHClとの反応などの化学的手法によって還元して式XVの対応するアミノ化合物とする。得られたアミンXVを水およびアセトンの存在下にクロロ蟻酸ベンジルまたはメチルおよび重炭酸ナトリウムで処理して対応するカルバミン酸ベンジルまたはメチル誘導体XVIを形成し、これを次のステップで、n−ブチルリチウムなどのリチウム塩基を用いて脱プロトン化し、次いでジエチルエーテルやテトラヒドロフランといった適当な溶媒の存在下に酪酸グリシジルを添加してオキサゾリジノンXVIIを得る。ヒドロキシ基(式XVII)はZ(式II)へ変換する(Zは先に規定したとおりである)。この変換に用いる試薬の種類は所望のZの種類に厳密に依存する。例えば、所望のZが−(CH−NH(C=O)CH基である場合はヒドロキシ基をまずアミノ基へ変換し、このアミノ基を無水酢酸、塩化アセチルといった適当なアシル化試薬の存在下にアシル化する。所望のZが−(CH−O−ヘテロアリールである場合は、ヒドロキシ基をまずメシラートその他の適当な離脱基へ変換し、この基を、水素化ナトリウムおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの適当な塩基および溶媒の存在下に適当なヒドロキシ含有複素環と反応させる。特定のZ基に適した条件および試薬は、当業者には容易に選択可能である。
【0084】
本明細書中、構造式Iの化合物への言及は、その化合物の製薬学的に許容される塩のみならず、遊離化合物やその製薬学的に許容される塩の前駆体として用いられるか、または他の合成操作で用いられる場合には製薬学的に許容されない塩も含めての言及であると理解される。本発明の化合物は製薬学的に許容される塩の形態で投与され得る。「製薬学的に許容される塩」という語は、製薬学的に許容される無毒の塩基または酸から製造された塩を意味し、前記塩基および酸には無機または有機の塩基および酸がそれぞれ含まれる。塩は、化合物が最終的に単離精製される際に製造されてもよいし、塩基または酸付加塩として別個に製造されてもよい。本発明の塩基性化合物の代表的な塩は、遊離塩基形態の該化合物を適当な酸と反応させることによって製造することができ、その中には酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベシル酸塩、酪酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジフルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、ニコチン酸塩、蓚酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、グルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、およびリン酸塩が非限定的に含まれる。本発明の酸性化合物の代表的な塩は、遊離酸形態の該化合物を適当な塩基と反応させることによって製造することができ、その中にはアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩、一級、二級および三級アミン、ならびに天然物を含めた置換アミン、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、リジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プリン、トリエチルアミンの塩が非限定的に含まれる。カルボン酸(−COOH)基またはアルコール基を有する本発明の化合物とその製薬学的に許容されるエステル、すなわちカルボン酸のメチルエステルおよびエチルエステルなどや、アルコールのアシル誘導体、例えば酢酸エステルなども使用可能である。塩基性窒素原子を含有する本発明の化合物は、ハロゲン化アルキル、硫酸アルキルなどで四級化させてもよい。上記のような塩は、水溶性および油溶性両方の本発明化合物の製造を可能にする。遊離塩基や遊離酸の形態は典型的にはそれぞれの塩形態と、極性溶媒への溶解性などの物性において幾分相違するが、それを除けば塩形態と遊離形態とは本発明のためには等価であると見なされるべきである。
【0085】
「製薬学的に許容される溶媒和物」とは、水を用いて得られる溶媒和物(すなわち水和物)または製薬学的に許容される溶媒、例えばエタノールを用いて得られる溶媒和物のことである。
本発明は本発明の化合物の「プロドラッグ」も包含し、プロドラッグはin vivo投与時、代謝過程により結合の開裂を受け、それによって活性な薬理学的物質となる。通常、プロドラッグは本発明の化合物の官能基の誘導体であり、in vivoで容易に本発明の化合物へ変換され得る。好適なプロドラッグ誘導体を選択し、製造する従来方法は、例えば“Targeted prodrug design to optimize drug delivery,” AAPS PharmaSci (2000), 2(1),E6に記載されている。
本発明は、本発明の化合物の活性な「代謝産物」も包含する。
【0086】
本発明の一部を成す一般式Iの化合物の様々な「多形体」は、式Iの化合物を異なる条件下に結晶させることによって製造し得る。例えば、通常用いられる溶媒または溶媒混合物で異なるものを再結晶時に用いたり、異なる温度で結晶させたり、結晶化の際の冷却モードをきわめて急速な冷却からきわめて緩慢な冷却まで変動させたり、化合物を加熱し、もしくは融解させた後徐々に、または急速に冷却したりすることによっても多形体を得ることができる。多形体の存在は、固体プローブ式NMR分光法、IR分光法、示差走査熱分析、粉末X線回折法その他の方法で確認され得る。
【0087】
本発明は、本発明の化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を場合によっては1種以上の製薬学的に許容される添加剤および佐剤を含めたキャリヤーとの組み合わせで含有する医薬組成物も提供する。この医薬組成物は錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、溶液剤、および懸濁液剤など、当該技術分野で公知であるいずれの剤形を有してもよく、固形または液状の適当なキャリヤーもしくは稀釈剤中の矯味剤、甘味剤等を含有する形態や、適当な滅菌媒体中で注射用の溶液剤または懸濁液剤となる形態であり得る。このような組成物は典型的には、製薬学的に許容されるキャリヤー、稀釈剤または溶媒と場合によっては組み合わせられた活性化合物を含有する。
【0088】
本発明の医薬組成物は当該技術分野で周知の方法、例えば通常の混合、溶解、乾式製粒、湿式製粒、糖衣丸形成、研和、乳化、封入、捕捉、凍結乾燥または噴霧乾燥によって製造することができる。本発明の化合物、または該化合物を含有する医薬組成物はいずれの医薬製剤の形態でも投与され得る。どのような医薬製剤とするかは活性化合物の種類および投与経路に依存する。用いる投与経路に制限は無く、例えば経口投与、口腔内投与、肺内投与、局所投与、非経口投与(皮下、筋肉内および静脈内投与を含む)、経皮投与、眼球(眼内)投与、吸入投与、鼻腔内投与、経粘膜投与、埋め込み投与、または直腸内投与が用いられ得る。好ましくは、本発明の化合物は経口的、非経口的または局所的に投与される。
【0089】
一実施形態において、本発明の医薬組成物が含有する、式Iを有する本発明の新規な化合物の量は、治療する障害、その重篤度、患者の体重、剤形、選択された投与経路、および1日当たりの投与回数など既知の要因次第で大幅に変動し得る。典型的には、本発明の医薬組成物中の式I化合物の量は約0.01mgから約5000mgまでである。一実施形態において、式Iを有する新規な化合物を含有する組成物の毎日の用量は該組成物の投与を必要とする被検者の体重1kg当たり約0.01〜約100mgであり、この量は一度に投与されても複数回に分けて投与されてもよい。
【0090】
一実施形態において、式Iを有する本発明の新規な化合物は、特に急性の疾病や障害で、短期間だが穏やかに、乃至適度に行なわれる治療を必要とする疾病や障害、さらには式Iを有する新規な化合物や該化合物を含有する組成物に対して好ましく応答するか、またはそれらにより緩和される幾つかの慢性的な症状の治療に特に有用である。式Iを有する新規な化合物を含有する組成物は、予防または治療しようとする病的状態次第ではその予防または治療に有用である。
【0091】
本発明の化合物は、Staphylococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Bacteroides属、Clostridium属の多剤耐性種、インフルエンザ菌、Moraxella属種、結核菌などの抗酸性生物、並びにStaphylococcus属およびEnterococcus属のリネゾリド耐性種など多くの好気性および/または嫌気性グラム陽性および/またはグラム陰性病原菌に対して有効である。
従って本発明はまた、その一実施形態において、細菌感染の予防、改善および/または治療を、それを必要とする被検者、好ましくはヒトを含めた哺乳動物に施すための医薬の製造に式Iの化合物を使用する方法を提供する。本発明の別の実施形態では、細菌感染の予防、改善および/または治療といった管理を、それを必要とする被検者、好ましくはヒトを含めた哺乳動物に施す方法であって、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法が提供される。本発明のさらに別の実施形態では、式Iの新規な化合物を含有して製剤化された組成物を疾病/障害の治療に使用する方法であって、製薬学的に有効な量の該組成物を、前記治療を必要とする被検者に投与することを含む使用方法が提供される。
【0092】
本発明の化合物を細菌感染の予防、改善および/または治療に用いる際、複数の有効成分の併用がそれらの有効成分のいずれを単独使用するより安全もしくは有効である場合、または別の有効成分を加えることにより式Iの化合物の用量低下が見込める場合には、キノロン、β−ラクタム、例えばセファロスポリン、ペニシリン、ペナム、ペネムなど1種以上の他の有効成分と組み合わせてもよい。
【0093】
in vitro抗菌活性:
本発明の化合物のin vitro抗菌活性(表2に示す)を、臨床・検査標準協会(CLSI)の定めたガイドラインに従いブイヨン微量稀釈法で測定した。この方法は、援用によりその内容が本明細書に含まれる“Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically; Approved Standard−Seventh Edition,” CLSI Document M7−A7, Vol.26, No.2に記載されている。最小阻止濃度(MIC)は、細菌の増殖を目視可能に、もしくは肉眼で見えるように阻害する検査化合物の最低濃度と定義される。この検査は寒天稀釈法でも可能である。
本発明の化合物を、ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)から得た一組の標準微生物、およびリネゾリド耐性株(LRSA)すなわちPTCC 100(パナセア・タイプ・カルチャー・コレクション)に対する効力について検査した。PTCC 100は、インド国モハリ所在のパナセア バイオテック リミテッドが検査化合物の検査に用いる自社開発の臨床分離株、細菌分離株などの分離株の保存および管理用に創出したリポジトリ(repository)である。いずれの検査においてもリネゾリドを対照化合物として用いた。
【0094】
【表12】

【0095】
ブイヨン微量稀釈法では、化合物をジメチルスルホキシドに溶解させ、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて二倍段階稀釈を行なった。活発に増殖するブイヨン培養物の濁度を調整することにより接種原を用意し、これを上記プレートのウェルに添加して最終菌数を2〜5×10CFU/ウェル以下とした。マイクロタイタープレートを35±2℃で16〜20時間インキュベートし、その後目視で読み取った。様々な式I化合物のMIC値(μg/mL)を表2および3に示す。
【0096】
表2: in vitro抗菌活性―MIC値(μg/mL)
【表13】

【0097】
【表14】

【0098】
【表15】

【0099】
【表16】

【0100】
自社LRSA株(PTCC 100)の開発
PTCC 100は、Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 52:1940, 2008に引用されたのと同様の手順で開発した。自社で繁殖させたスイスアルビノマウスの雌(18〜22g)にS. aureus株ATCC 29213を接種し、かつリネゾリドを用量5mg/kg/p.o.で経口投与した。翌日20〜22時間後にマウスを殺して腹腔内分泌液を拭い取り、これを、4μg/mLおよび8μg/mLのリネゾリドを含有するミュラー・ヒントン寒天プレート上で画線培養した。4μg/mLおよび8μg/mLプレート上に得られたコロニーをプレートから選択してマウス(SAM)に継代接種し、このマウスにリネゾリドを用量7.5mg/kg/p.o.で経口投与した。マウスを殺して腹腔内分泌液を、より高濃度、すなわち16μg/mLおよび32μg/mLのリネゾリドを含有するプレート上で画線培養し、このようなプロセスを、マウスにおけるリネゾリド濃度を10mg/kg/p.o.まで段階的に増やしながら繰り返して、最終的に64μg/mLのリネゾリドに対して耐性のS. aureus株を得た。分離したコロニーに対する最小阻止濃度(MIC)をブイヨン微量稀釈検査で測定し、リネゾリドのMIC値64μg/mLを基準にして自社LRSA株すなわちPTCC 100の開発を確認した。
【0101】
表3: in vitro抗菌活性―S. aureus PTCC 100(LRSA)に対するMIC値(μg/mL)
【表17】

【0102】
【表18】

【0103】
【表19】

【0104】
in vivo効力の検討:
全身感染モデルマウス
自社で繁殖させたスイスアルビノマウスの雌の中から、体重19〜23gの個体を選択した(n=6/群)。S. aureus ATCC 29213をコロンビア血液寒天(Difco; BD)上で一晩、18〜20時間にわたり増殖させた。翌日細菌接種原を、2×10CFU/mL以下の細胞密度に相当する光学密度(OD)を有するように調製し、これを10%胃ムチン(Difco; BD)と比率1:1で混合して最終ムチン濃度を5% w/vとした。総てのマウスに0.5mLの細菌接種原を腹腔内(i.p.)注射した。以後検査化合物と呼称する本発明による化合物を0.25%カルボキシメチルセルロース(CMC)およびTween 80に異なる用量レベルで加えて製剤化し、感染の1時間後および5時間後に経口投与した。標準対照にはリネゾリドを用いた。検査化合物も標準薬物も与えない感染対照群には生理食塩液を投与した。マウスを処理後7日間観察した。各群の生存個体数を記録し、生存率50%に基づく検査化合物のED50を回帰分析により算出した。
【0105】
表4: S. aureus ATCC 29213に対するED50値(mg/kg/p.o.)
【表20】

【実施例】
【0106】
本発明を以下の実施例において詳述するが、これらの実施例は単に解説のために示されており、従って発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。出発物質はいずれも市販されているか、または有機化学において通常の技量を有する者に良く知られているような操作で調製可能なものである。溶媒は、必要な場合には使用前に標準的な方法で乾燥した(Perrin, D.D.; Armarego, W.L.F. Purification of Laboratory Chemicals, Pergamon Press: Oxford, 1988)。Applied Biosystems社の4000 QTRAP(R)を用いるエレクトロンスプレーイオン化(ESI)eVによって質量スペクトル(MS)を得た。Bruker社の400MHz AVANCE II NMR分光計でH NMRを記録した。化学シフトはδ値として、内部標準としてのTMSに対する百万分率(ppm)で示す。結合定数(J)の値はいずれもHzで表わす。
【0107】
略号
実施例中、および本明細書中では次の略号を用いる。
【表21】

【0108】
【表22】

【0109】
出発物質の調製:
中間体I: 1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン
ピペラジン(24g; 0.28mol)および3,4,5−トリフルオロニトロベンゼン(13mL; 0.11mol)をアセトニトリル(200mL)に加えた溶液を60℃で攪拌した。反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、アセトニトリルを減圧下に蒸発させた。残留物を酢酸エチル(300mL)に溶解させ、得られた溶液を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:9)により精製して、標記化合物を橙色の固体として得た(25.8g; 92%)。
ESIMS(m/z): 244.1(M+1)
【0110】
中間体II: 4−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン(中間体I)(25g; 0.1mol)をTHF(200mL)に加えた溶液に、0℃においてBoc無水物(26.2g; 0.12mol)を添加した。溶液を0℃で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、THFを減圧下に蒸発させ、得られた固体を石油エーテル(3×100mL)で洗浄した。得られた黄色の固体(34g; 96%)を、さらに精製することなく次の反応に供した。
ESIMS(m/z): 344.1(M+1)
【0111】
中間体III: 4−(4−アミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アルゴン雰囲気下、4−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体II)(30g; 0.09mol)をメタノール(500mL)に加えた溶液に10% Pd/C(4.5g; 重量に基づき15mol%)を添加した。フラスコを排気し、バルーンを利用して水素を導入した。反応混合物を水素下に攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、メタノールを溶媒として用いて反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を蒸発させて、標記化合物を淡黄色の固体として得た(26g; 95%)。
ESIMS(m/z): 336.7(M+23), 314.8(M+1)
【0112】
中間体IV: 4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(4−アミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体III)(25g; 0.08mol)を1:1のアセトン:水(300mL)に加えた溶液に重炭酸ナトリウム(15.1g; 0.18mol)を添加した。得られた溶液を0℃に冷却し、これにクロロ蟻酸ベンジル(40mL; 0.24mol; 50%トルエン溶液)を滴下した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物を酢酸エチル(500mL)に溶解させた。有機層を水(2×50mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=2:3)により精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(32g; 90%)。
ESIMS(m/z): 448.0(M+1)
【0113】
中間体V: 4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−ヒドロキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体IV)(30g; 0.067mol)を乾燥THF(300mL)に加えた溶液に、窒素雰囲気下−78℃においてn−BuLi(75mL; 0.12mol; 1.6Mヘキサン溶液)を滴下した。反応混合物を同じ温度で1時間攪拌し、その後酪酸(R)−グリシジル(10.4mL; 0.074mol)を5分掛けて滴下した。反応混合物を−78℃でさらに2時間攪拌してから室温まで加温した。反応の進行をTLCで監視し、反応完了時、反応混合物を飽和NHCl溶液(400mL)でクエンチし、酢酸エチル(4×200mL)で抽出した。有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=3:2)により精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(18g; 65%)。
ESIMS(m/z): 452.7(M+39), 436.6(M+23), 414.7(M+1)
【0114】
中間体VI: 4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−メタンスルホニルオキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−ヒドロキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体V)(10g; 24.2mmol)をDCM(100mL)に加えた溶液にトリエチルアミン(10.5mL; 73mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、これにメタンスルホニルクロリド(2.8mL; 36mmol)を滴下した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物をDCM(100mL)で稀釈した。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物を褐色の固体として得(11.3g; 95%)、これを精製せずに次の反応に供した。
ESIMS(m/z): 514.8(M+23), 492.6(M+1)
【0115】
中間体VII: 4−[4−((5R)−アジドメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−メタンスルホニルオキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VI)(11g; 22.4mmol)をDMF(50mL)に加えた溶液にアジ化ナトリウム(4.37g; 67.2mmol)を添加した。反応混合物を80℃で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物を水(100mL)で稀釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をオフホワイトの固体として得(8g; 82%)、これを精製せずに次の反応に供した。
ESIMS(m/z): 439.7(M+1)
【0116】
中間体VIII: 4−[4−((5S)−アミノメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5R)−アジドメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VII)(5g; 11.4mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.3g; 12.5mmol)をTHF(80mL)に加えた混合物を室温で3時間攪拌した。水(3mL)を添加し、反応混合物を40℃で16時間攪拌した。その後、反応混合物を水(50mL)で稀釈し、酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:9)により精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(3.5g; 74%)。
ESIMS(m/z): 435.8(M+23), 413.7(M+1)
【0117】
中間体IX: 4−[2,6−ジフルオロ−4−(2−オキソ−(5R)−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5R)−アジドメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VII)(2g; 4.6mmol)をジオキサン(25mL)に加えた溶液にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン(1.9mL; 18.5mmol)を添加し、得られた溶液を60℃で8時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:20)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(1.47g; 70%)。
ESIMS(m/z): 465.7(M+1)
【0118】
中間体X: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5R)−(イソオキサゾル−3−イルオキシメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−ヒドロキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体V)(1g; 2.4mmol)を乾燥THF(25mL)に加えて攪拌した溶液に窒素雰囲気下、3−ヒドロキシイソオキサゾール(0.23g; 2.64mmol)、アゾジカルボン酸ジエチル(0.6mL; 3.6mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.94g; 3.6mmol)を添加した。得られた溶液を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=2:3)により精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(680mg; 59%)。
ESIMS(m/z): 481.1(M+1)
【実施例1】
【0119】
イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸[2−(4−{4−[(5S)−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−アミド
【化13】

【0120】
ステップ1: 4−{4−[(5S)−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5R)−アジドメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VII)(600mg; 1.37mmol)をチオ酢酸(5mL)に加えた溶液を室温で12時間攪拌した。その後、反応混合物をシリカゲルに吸着させ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:20)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(440mg; 70%)。
ESIMS(m/z): 455.4(M+1)
【0121】
ステップ2: 4−{4−[(5S)−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−イウムトリフルオロアセタート
窒素雰囲気下0℃において、ステップ1で得られた化合物(425mg; 0.94mmol)をDCM(2mL)に加えて攪拌した溶液にTFA(3mL)を滴下した。混合物を0℃で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、過剰なTFAおよびDCMを減圧下に蒸発させて標記化合物を褐色の固体として得(425mg; 97%)、これを精製せずに次の反応に供した。
ESIMS(m/z): 355.4(M+1; 遊離アミン)
【0122】
ステップ3: [2−(4−{4−[(5S)−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ステップ2で得られた化合物(400mg; 0.86mmol)をDCM(25mL)に加えた溶液に0℃において、N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(171mg; 0.98mmol)、EDC(188mg; 0.98mmol)、HOBt(132mg; 0.98mmol)およびNMM(0.22mL; 2mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物をDCM(100mL)で稀釈した。有機層を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=3:5)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(370mg; 85%)。
ESIMS(m/z): 550.3(M+39), 534.4(M+23), 512.5(M+1)
【0123】
ステップ4: (S)−2−(4−{4−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル−アンモニウムトリフルオロアセタート
窒素雰囲気下0℃において、ステップ3で得られた化合物(350mg; 0.69mmol)をDCM(1.5mL)に加えて攪拌した溶液にTFA(2.5mL)を滴下した。混合物を0℃で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、過剰なTFAおよびDCMを減圧下に蒸発させて標記化合物を褐色の固体として得(340mg; 95%)、これを精製せずに次の反応に供した。
ESIMS(m/z): 412.4(M+1; 遊離アミン)
【0124】
ステップ5: イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸[2−(4−{4−[(5S)−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2,6−ジフルオロ−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−アミド
ステップ4で得られた化合物(300mg; 0.57mmol)をDMF(10mL)に加えた溶液に0℃において、イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸(107mg; 0.66mmol)、EDC(127mg; 0.66mmol)、HOBt(89mg; 0.66mmol)およびNMM(0.15mL; 1.35mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、DMFを真空下に蒸発させ、残留物をクロロホルム(100mL)に溶解させた。有機層を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:20)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(220mg; 69%)。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 2.03(s,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.50−3.65(m,3H), 3.65−3.75(m,2H), 3.80−3.90(m,2H), 4.00(t,J=9.0Hz,1H), 4.34(d,J=4.5Hz,2H), 4.70−4.85(m,1H), 5.97(t,J=6.1Hz,1H), 7.12(d,J=10.9Hz,2H), 7.94(d,J=4.7Hz,1H), 8.09(dd,J=4.6および1.5Hz,1H), 8.22(d,J=0.5Hz,1H), 8.35(t,J=4.4Hz,1H), 9.13(d,J=0.9Hz,1H)
ESIMS(m/z): 579.3(M+23), 557.3(M+1)
【実施例2】
【0125】
イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸{2−[4−(2,6−ジフルオロ−4−{2−オキソ−(5S)−[(3−フェニル−アクリロイルアミノ)−メチル]−オキサゾリジン−3−イル}−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−アミド
【化14】

【0126】
ステップ1: 4−(2,6−ジフルオロ−4−{2−オキソ−(5S)−[(3−フェニル−アクリロイルアミノ)−メチル]−オキサゾリジン−3−イル}−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5S)−アミノメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VIII)(300mg; 0.73mmol)をDMF(25mL)に加えた溶液に0℃において、ケイ皮酸(130mg; 0.87mmol)、EDC(182mg; 0.95mmol)、HOBt(128mg; 0.95mmol)およびNMM(0.08mL; 0.73mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、DMFを真空下に蒸発させ、残留物をクロロホルム(100mL)に溶解させた。有機層を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:20)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(332mg; 85%)。
ESIMS(m/z): 543.9(M+1)
【0127】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例2のステップ1で得られた化合物をイミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸{2−[4−(2,6−ジフルオロ−4−{2−オキソ−(5S)−[(3−フェニル−アクリロイルアミノ)−メチル]−オキサゾリジン−3−イル}−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−アミドへ変換した。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 3.05−3.20(m,4H), 3.60−3.70(m,2H), 3.75−3.90(m,5H), 4.04(t,J=9.1Hz,1H), 4.33(s,2H), 4.80−4.95(m,1H), 6.48(d,J=15.7Hz,1H), 7.12(d,J=10.8Hz,2H), 7.30−7.45(m,3H), 7.50−7.60(m,3H), 7.62(d,J=15.6Hz,1H), 7.94(d,J=4.7Hz,1H), 8.10−8.15(m,1H), 8.29(s,1H), 8.40−8.45(m,1H), 9.11(s,1H)
ESIMS(m/z): 667.8(M+23), 645.9(M+1)
【実施例3】
【0128】
{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{(2S)−[(ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸メチルエステル
【化15】

【0129】
ステップ1: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5S)−(メトキシカルボニルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5S)−アミノメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VIII)(375mg; 0.91mmol)をDCM(25mL)に加えた溶液にトリエチルアミン(0.53mL; 3.8mmol)を添加した。得られた溶液を0℃に冷却し、これにクロロ蟻酸メチル(0.11mL; 1.4mmol)を滴下した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物をDCM(100mL)で稀釈した。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=3:10)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(330mg; 77%)。
ESIMS(m/z): 471.4(M+1)
【0130】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例3のステップ1で得られた化合物を{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{(2S)−[(ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸メチルエステルへ変換した。ステップ3においてN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンの替わりに(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンを用い、またステップ5のイミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸はニコチン酸に替えた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.49(d,J=6.7Hz,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.45−3.90(m,10H), 4.04(t,J=8.9Hz,1H), 4.70−4.85(m,1H), 5.05−5.15(m,1H), 5.15−5.25(m,1H), 7.13(d,J=10.7Hz,2H), 7.40(dd,J=7.8および5.0Hz,1H), 7.50(d,J=6.6Hz,1H), 8.13(d,J=7.9Hz,1H), 8.75(d,J=4.5Hz,1H), 9.07(s,1H)
ESIMS(m/z): 585.9(M+39), 569.8(M+23), 548.0(M+1)
【実施例4】
【0131】
{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{(2S)−[(イミダゾ[1,2−α]ピリミジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸エチルエステル
【化16】

【0132】
ステップ1: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5S)−(エトキシカルボニルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
実施例3のステップ1に述べた操作を踏襲し、ただしクロロ蟻酸メチルの替わりにクロロ蟻酸エチルを用いて標記化合物を調製した。
ESIMS(m/z): 485.4(M+1)
【0133】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例4のステップ1で得られた化合物を{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{(2S)−[(イミダゾ[1,2−α]ピリミジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸エチルエステルへ変換した。ステップ3においてN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンの替わりに(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンを用い、またステップ5のイミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸はイミダゾ[1,2−α]ピリミジン−2−カルボン酸に替えた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.22(t,J=7.6Hz,3H), 1.50(d,J=6.8Hz,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.35−3.85(m,7H), 4.00(t,J=9.0Hz,1H), 4.05−4.20(m,2H), 4.70−4.85(m,1H), 5.05−5.20(m,2H), 7.06(dd,J=6.8および4.2Hz,1H), 7.13(d,J=10.9Hz,2H), 7.38(d,J=7.2Hz,1H), 8.32(s,1H), 8.69(dd,J=4.1および2.0Hz,1H), 9.75(dd,J=6.7および1.7Hz,1H)
ESIMS(m/z): 601.9(M+1)
【実施例5】
【0134】
{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{2−[(ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−アセチル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸イソプロピルエステル
【化17】

【0135】
ステップ1: イミダゾール−1−カルボン酸イソプロピルエステル
CDI(2g; 12.33mmol)をDCM(25mL)に加えた溶液に0℃においてイソプロピルアルコール(0.95mL; 12.33mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物をDCM(100mL)で稀釈した。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=1:10)により精製して、標記化合物を無色の粘稠な油として得た(330mg; 77%)。
ESIMS(m/z): 155.1(M+1)
【0136】
ステップ2: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5S)−(イソプロポキシカルボニルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
窒素雰囲気下0℃において、ステップ1で得られた化合物(150mg; 0.97mmol)をDMF(5mL)に加えて攪拌した溶液に4−[4−((5S)−アミノメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VIII)(400mg; 0.97mmol)を添加した。反応混合物を80℃で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で稀釈した。有機層を水(4×25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=3:10)により精製して、標記化合物をクリーム色の固体として得た(350mg; 72%)。
ESIMS(m/z): 499.5(M+1)
【0137】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例5のステップ2で得られた化合物を{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{2−[(ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−アセチル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸イソプロピルエステルへ変換した。イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸の替わりにニコチン酸を用いた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.18(d,J=6.1Hz,3H), 1.24(d,J=6.1Hz,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.50−3.65(m,4H), 3.70−3.85(m,3H), 4.00(t,J=8.9Hz,1H), 4.31(d,J=3.8Hz,2H), 4.70−4.80(m,1H), 4.85−4.95(m,1H), 5.00−5.10(m,1H), 7.13(d,J=10.9Hz,2H), 7.35−7.45(m,2H), 8.15−8.20(m,1H), 8.76(dd,J=4.7および1.2Hz,1H), 9.09(d,J=1.8Hz,1H)
ESIMS(m/z): 599.8(M+39), 583.9(M+23), 561.8(M+1)
【実施例6】
【0138】
{3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{(2S)−[(イミダゾ[1,2−α]ピリミジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−メチル−ブチリル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5S)−イルメチル}−カルバミン酸メチルエステル
【化18】

【0139】
実施例3の各ステップの操作を踏襲して標記化合物を調製した。ステップ3において(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンの替わりに(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)バリンを用い、またステップ5のニコチン酸はイミダゾ[1,2−α]ピリミジン−2−カルボン酸に替えた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.00(d,J=6.7Hz,3H), 1.08(d,J=6.8Hz,3H), 2.10−2.25(m,1H), 3.10−3.30(m,4H), 3.50−3.65(m,2H), 3.69(s,3H), 3.70−3.85(m,4H), 3.85−3.95(m,1H), 3.99(t,J=8.9Hz,1H), 4.70−4.85(m,1H), 5.00−5.10(m,1H), 5.14(t,J=6.3Hz,1H), 6.95−7.05(m,2H), 7.12(d,J=10.9Hz,2H), 8.33(s,1H), 8.69(dd,J=4.0および2.0Hz,1H), 9.74(dd,J=6.9および1.9Hz,1H)
ESIMS(m/z): 637.9(M+23), 615.8(M+1)
【実施例7】
【0140】
N−(2−{4−[2,6−ジフルオロ−4−(2−オキソ−(5R)−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−(1S)−メチル−2−オキソ−エチル)−ニコチンアミド
【化19】

【0141】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、4−[2,6−ジフルオロ−4−(2−オキソ−(5R)−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体IX)を標記化合物へ変換した。ステップ3においてN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンの替わりに(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンを用い、またイミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸はニコチン酸に替えた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.49(d,J=6.8Hz,3H), 3.10−3.30(m,4H), 3.65−3.80(m,3H), 3.80−3.90(m,1H), 3.92(dd,J=9.3および6.0Hz,1H), 4.11(t,J=9.1Hz,1H), 5.00−5.20(m,2H), 6.99(d,J=10.7Hz,2H), 7.39(dd,J=7.9および4.9Hz,1H), 7.47(d,J=6.8Hz,1H), 7.76(d,J=8.5Hz,2H), 8.10−8.15(m,1H), 8.75(dd,J=4.7および1.2Hz,1H), 9.06(d,J=2.0Hz,1H)
ESIMS(m/z): 563.7(M+23), 541.5(M+1)
【実施例8】
【0142】
N−[2−(4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5R)−(4−フルオロメチル−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−(1S)−メチル−2−オキソ−エチル]−ニコチンアミド
【化20】

【0143】
ステップ1: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5R)−(4−ヒドロキシメチル−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[4−((5R)−アジドメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体VII)(1.3g; 2.97mmol)をTHF(25mL)に加えて攪拌した溶液に0℃において、プロパルギルアルコール(0.5mL; 8.9mmol)、DIPEA(1.1mL; 5.94mmol)およびCuI(0.28g; 1.48mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物を、塩化アンモニウムを液体アンモニア(20mL)に溶解させた飽和溶液でクエンチし、水(50mL)で稀釈し、酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。有機層をブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:10)により精製して、標記化合物をクリーム色の固体として得た(1.24g; 85%)。
ESIMS(m/z): 495.5(M+1)
【0144】
ステップ2: 4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5R)−(4−フルオロメチル−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ステップ1で得られた化合物(500mg; 1.01mmol)をDCM(15mL)に加えて攪拌した溶液に−20℃においてDAST(0.5mL; 4.04mmol)を添加した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)でクエンチし、DCM(4×50mL)で抽出した。有機層を水(50mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; メタノール:クロロホルム=1:10)により精製して、標記化合物をクリーム色の固体として得た(300mg; 60%)。
ESIMS(m/z): 497.5(M+1)
【0145】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例8のステップ2で得られた化合物をN−[2−(4−{2,6−ジフルオロ−4−[(5R)−(4−フルオロメチル−[1,2,3]トリアゾル−1−イルメチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−(1S)−メチル−2−オキソ−エチル]−ニコチンアミドへ変換した。N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンの替わりに(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンを用い、またイミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボン酸はニコチン酸に替えた。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.49(d,J=6.8Hz,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.60−3.75(m,3H), 3.80−3.90(m,1H), 3.91(dd,J=9.4および6.3Hz,1H), 4.13(t,J=9.1Hz,1H), 4.60−4.70(m,2H), 5.05−5.20(m,2H), 5.43(s,1H), 5.55(s,1H), 7.01(d,J=10.8Hz,2H), 7.39(dd,J=7.8および4.9Hz,1H), 7.48(d,J=6.8Hz,1H), 7.88(d,J=2.4Hz,1H), 8.10−8.15(m,1H), 8.74(dd,J=4.8および1.6Hz,1H), 9.06(d,J=2.0Hz,1H)
ESIMS(m/z): 595.9(M+23), 573.6(M+1)
【実施例9】
【0146】
炭酸3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{2−[(イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボニル)−アミノ]−アセチル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5R)−イルメチルエステルエチルエステル
【化21】

【0147】
ステップ1: 4−[4−((5R)−エトキシカルボニルオキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2,6−ジフルオロ−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[2,6−ジフルオロ−4−((5R)−ヒドロキシメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−フェニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体V)(500mg; 1.21mmol)をDCM(20mL)に加えた溶液にトリエチルアミン(0.7mL; 4.85mmol)を添加した。得られた溶液を0℃に冷却し、これにクロロ蟻酸エチル(0.23mL; 2.42mmol)を滴下した。反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行をTLCで監視した。反応完了時、反応混合物をDCM(50mL)で稀釈した。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; 酢酸エチル:石油エーテル=3:10)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(470mg; 80%)。
ESIMS(m/z): 508.1(M+23), 486.4(M+1)
【0148】
実施例1のステップ2〜5に述べた操作を踏襲して、実施例9のステップ1で得られた化合物を炭酸3−[3,5−ジフルオロ−4−(4−{2−[(イミダゾ[1,2−α]ピラジン−2−カルボニル)−アミノ]−アセチル}−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−(5R)−イルメチルエステルエチルエステルへ変換した。
H NMR(400MHz, CDCl, δ): 1.32(t,J=7.1Hz,3H), 3.10−3.25(m,4H), 3.55−3.65(m,2H), 3.75−3.85(m,3H), 4.06(t,J=9.0Hz,1H), 4.23(q,J=7.2Hz,2H), 4.30−4.45(m,4H), 4.80−4.95(m,1H), 7.14(d,J=10.9Hz,2H), 7.93(d,J=4.7Hz,1H), 8.09(dd,J=4.7および1.6Hz,1H), 8.22(s,1H), 8.30−8.40(m,1H), 9.13(d,J=0.8Hz,1H)
ESIMS(m/z): 586.4(M−1)
【0149】
実施例1〜9に述べた操作を実質的に踏襲して、表5および6に掲げた化合物を調製した。
【表23】

【0150】
【表24】

【0151】
【表25】

【0152】
【表26】

【0153】
【表27】

【0154】
【表28】

【0155】
【表29】

【0156】
【表30】

【0157】
【表31】

【0158】
【表32】

【0159】
【表33】

【0160】
【表34】

【0161】
【表35】

【0162】
【表36】

【0163】
【表37】

【0164】
【表38】

【0165】
【表39】

【0166】
【表40】

【0167】
【表41】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
「−−」は独立に単結合を表わすか、または結合の不在を表わし、
「−−」が単結合を表わす時「A」は炭素原子であり、「−−」が結合の不在を表わす時「A」はCHまたはNであり、
YおよびY’は同じであるかまたは異なり、かつ独立にOまたはSであり、
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHC(=Y)R、−(CHYR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OR、−OC(=Y)OR、−SR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)−C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、または
およびRはこれらが結合する炭素原子と共に、部分不飽和または飽和の3〜10員単環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のへテロ原子を有し得、またこの環は、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および単環式ヘテロアリール環を含む群から独立に選択された1個または2個の環と縮合し得、かつ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、
は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHYR、−(CHC(=Y)R、−(CHNR、−(CHC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、または−(CHN(R)C(=Y)NR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−C(=Y)NR、−C(=Y)OR、−NR、−NRC(=Y)R、−C(=Y)R、−OC(=Y)R、−OC(=Y)OR、−OC(=Y)NR、−OR、−(CHOR、−SR、−NO、−N(R)C(=Y)OR、または−N(R)C(=Y)NRであり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、
ZはC1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N、−(CH−NCS、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−(CHYR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)R、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHNR、−(CHNRC(=Y)R、−(CHNRC(=Y)OR、−(CHNRC(=Y)NR、または−(CHNRS(O)(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)であり、これらの基はそれぞれ場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、
T、U、VおよびWは同じであるかまたは異なり、かつ独立に水素またはハロゲンであり、
およびRは同じであるかまたは異なり、かつ水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、C3−8シクロアルキル、C1−12ハロアルキル、C1−12ハロアルコキシ、C2−12ハロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−CN、OR、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、または−P(=O)Rにより任意の可能な位置で置換され; または、RおよびRはこれらが結合するへテロ原子と共に、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を付加的に有し得る複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環は場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−CF、−OCF、−CHCF、−CFCF、−NO、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−NRSO、−OP(=O)R、−NHP(=O)Rおよび−P(O)Rの中から選択された1個以上の置換基により置換され、またこの環はさらに、O、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得る不飽和または飽和3〜7員環と縮合し得、その際縮合環は場合によっては1個以上の置換基Rにより任意の可能な位置で置換され、
は水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C1−12ハロアルコキシ、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−NR、−N(R)C(=Y)R、−N(R)C(=Y)OR、−N(R)C(=Y)NR、−C(=Y)R、−C(=Y)NR、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR、−C(=Y)OR、−OC(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR、−OP(=O)R、−NHP(=O)R、−P(O)R、−(CHCN、−YR、−(CHYR、−NO、=NOR、−(CHNR、−(CHN(R)C(=Y)R、−(CHN(R)C(=Y)OR、−(CHN(R)C(=Y)NR、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR、−(CHC(=Y)OR、−(CHOC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR、−(CHOP(=O)R、−(CHNHP(=O)Rおよび−(CHP(O)Rの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C2−12ハロアルキニル、オキソ、C1−12アルコキシ、C1−12ハロアルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−3アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、C1−12アルキルカルボニル、C1−12アルコキシカルボニル、−CN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−NR10、−N(R)C(=Y)R10、−N(R)C(=Y)OR10、−N(R)C(=Y)NR10、−C(=Y)R、−C(=Y)NR10、−OC(=Y)R、−OC(=Y)NR10、−OC(=Y)OR、−C(=Y)OR、−SR、−S(O)、−SONR10、−NRSO10、−OP(=O)R10、−NHP(=O)R10、−P(O)R10、−(CHCN、−OR、−(CHOR、−CF、−NO、−(CHNR10、−(CHN(R)C(=Y)R10、−(CHN(R)C(=Y)OR10、−(CHN(R)C(=Y)NR10、−(CHC(=Y)R、−(CHC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)R、−(CHOC(=Y)NR10、−(CHOC(=Y)OR、−(CHC(=Y)OR、−(CHSR、−(CHS(O)、−(CHSONR10、−(CHNRSO10、−(CHOP(=O)R10、−(CHNHP(=O)R10および−(CHP(O)R10の中から選択された1個以上の置換基により任意の可能な位置で置換され、
およびRは水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびRはこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換され、
およびR10は水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C1−12ハロアルキル、C2−12ハロアルケニル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−アリールおよび−(CH−ヘテロアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−6アルコキシにより置換され; または、RおよびR10はこれらが結合するヘテロ原子と共に複素環またはヘテロアリール環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のヘテロ原子を有し得、それらのへテロ原子はそれぞれ場合によってはハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換され、
aおよびa’は同じであるかまたは異なり、かつ独立に1、2、3、または4であり、
mは1、2、3、または4であり、
m’は0、1、2、3、または4であり、
nは1、2、3、または4であり、
dは1または2であり、
ただしRおよびRが共に水素であり、YおよびY’が酸素であり、Rが水素であり、Aが窒素であり、「−−」が結合の不在を表わし、aおよびa’が共に2であり、Tがフッ素であり、W、UおよびVが水素であり、mが1であり、かつm’が0である場合、Zは
【化2】

でない〕の化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項2】
式Ia:
【化3】

〔式中、R、R、R、R、Y、Y’、A、T、U、V、W、Z、m、m’、aおよびa’は請求項1に規定したとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項3】
式Ib:
【化4】

〔式中、R、R、R、R、T、U、V、W、Z、mおよびm’は請求項1に規定したとおりである〕を有する請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、RおよびS異性体を含めた立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物。
【請求項4】
およびRが水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C3−8シクロアルキルおよびアリールの中から独立に選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、請求項1に規定された置換基R1個以上により任意の可能な位置で置換され、または、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と共に、部分不飽和または飽和の3〜10員単環を構成し、この環はO、SおよびNの中から独立に選択された1〜3個のへテロ原子を有し得、またこの環は、アリール環、シクロアルキル環、ヘテロシクリル環および単環式ヘテロアリール環を含む群から独立に選択された1個または2個の環と縮合し得、かつ場合によっては、請求項1に規定された置換基R1個以上により任意の可能な位置で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が水素、C1−12アルキル、C2−12アルケニルおよびC2−12アルキニルの中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、請求項1に規定された置換基R1個以上により任意の可能な位置で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素、ハロゲン、C1−12アルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C3−20シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールの中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、請求項1に規定された置換基R1個以上により任意の可能な位置で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素、C1−12アルキル、−CHOH、アリール、C3−8シクロアルキル、
【化5】

〔式中、R11は−H、−CH、−OH、−F、−Clまたは
【化6】

であり、R12は−H、−CH、−OH、−Clまたは−Fである〕の中から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
T、U、VおよびWが同じであるかまたは異なり、かつフッ素または水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
TおよびWが独立にフッ素であり、UおよびVは共に水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
mが1または2であり、m’は0または1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
ZがC1−12アルキル、C1−12ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−OC(=O)OR、−(CHOR、−(CHOP(=O)R、−(CHOC(=O)R、−(CHOC(=O)OR、−(CHC(=O)R、−(CHC(=O)NR、−(CHOC(=O)NR、−(CHC(=O)OR、−(CHNR、−(CHNRC(=O)R、−(CHNRC(=O)OR、−(CHNRC(=S)Rおよび−(CHNRC(=S)OR(各メチレン基は1個以上のハロゲン原子で置換可能)の中から選択され、これらの基はそれぞれ場合によっては、請求項1に規定された置換基R1個以上により任意の可能な位置で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Zが−CHOH、−CHF、−CHF
【化7】

の中から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

から成る群から選択される化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の式Iの化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を治療有効量で含有する医薬組成物。
【請求項15】
細菌感染の予防、改善および/または治療を、それを必要とする被検者に施す方法であって、請求項1に記載の式Iの化合物を治療有効量で投与することを含む方法。
【請求項16】
細菌感染の原因がスタフィロコックス(Staphylococcus)属、ストレプトコックス(Streptococcus)属、エンテロコックス(Enterococcus)属、バクテロイデス(Bacterioides)属、クロストリジウム(Clostridia)属の多剤耐性種、インフルエンザ菌、モラクセラ(Moraxella)属種、結核菌などの抗酸性生物、またはスタフィロコックス属もしくはエンテロコックス属のリネゾリド耐性種である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
細菌感染の予防、改善および/または治療を、それを必要とする被検者に施すための医薬の製造に、請求項1に記載の式Iの化合物もしくはその製薬学的に許容される誘導体、互変異性型、立体異性体、多形体、プロドラッグ、代謝産物、塩、またはその溶媒和物を使用する方法。
【請求項18】
前記化合物を他の治療薬と併用する、請求項17に記載の使用方法。
【請求項19】
前記医薬が経口投与、口腔内投与、肺内投与、局所投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経皮投与、眼球(眼内)投与、吸入投与、鼻腔内投与、経粘膜投与、埋め込み投与、または直腸内投与される、請求項17または18に記載の使用方法。
【請求項20】
本明細書に記載し、説明した式Iの化合物、工程、方法、および組成物。

【公表番号】特表2012−509313(P2012−509313A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537013(P2011−537013)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000658
【国際公開番号】WO2010/058423
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】