説明

新規のβ−ラクタム抗生物質、その製造方法、およびその使用

本発明は、β−ラクタム誘導体ベースの新規の抗生作用物質に関し、この物質は、まずフリーラジカルの作用下、公知のβ−ラクタム誘導体と、ポリフェノールオキシダーゼの基質との反応によって、そして第二に任意のβ−ラクタム誘導体と、ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩との塩形成により製造される。これらの新規の化合物は、抗生物質として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−ラクタム誘導体ベースの新規の抗生作用物質、および抗生物質としての該物質の使用に関する。
【0002】
従来技術
β−ラクタム抗生物質、とりわけセファロスポリンは、最も適用される抗生物質に属する。セファロスポリンは、構造的に非常に近い関係のカルバセフェムやペニシリンのように細菌の細胞壁の合成を妨げ、かつ細菌の成長相においてのみ殺菌性に作用する。セファロスポリンの抗生物質群は、熱心に取り組まれている。臨床的に使用される誘導体は通常、7−アミノセファロスポラン酸のベース体から誘導することができ、この際ベース体での変更を、7位でのR1置換として、3位でのR2置換として、ならびにセファマイシンの場合は7位における付加的なメトキシ基により行なった。
【0003】
セファロスポリン、およびカルバセフェムは、セファロスポリン誘導体を多数合成することが実証されているペニシリンよりも、構造的な修正、および作用の最適化のためのよりよい可能性を提供する(Graefe U.Biochemie der Antibiotika.Spektrum Akademischer Verlag Heidelberg,Berlin,New York,1992)。
【0004】
β−ラクタム抗生物質の群にはその都度、多様な作用と薬動力学特性のため特定の指示薬に好ましい、有効性が実証された物質が存在する。
【0005】
これまであらゆるβ−ラクタム誘導体は、汎用的に使用可能とみなすことはできなかった。従って、企図する使用に適した誘導体を手に入れるために、多面的な分子デザインが必要不可欠であった。
【0006】
しかしながらまた、当初は有効なこれらの抗生物質に対して、とりわけブドウ球菌において耐性が判明している(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌種=MRSA)。臨床的な分離片における耐性菌種の割合は、高度に工業化されたすべての国々において恒常的に増加しており、アメリカ、日本、および中国では目下その割合は70%超である。複数耐性獲得ブドウ球菌による院内感染は、免疫力の弱まった患者の場合はますます抑制するのが困難である。従って、複数耐性獲得ブドウ球菌に対して有効な抗生物質の開発が非常に重要になる。
【0007】
セファロスポリンのカルボキシル基のエステル化が、従来技術に相応する。例えば:M.Murakami;M.Haijima;F.Takami;M.Yoshioka(Heterocycles,1990,31,2055〜264)。このエステル化がとりわけ、より吸収性の高い誘導体につながる。この際、穏やかな条件での反応を可能にするために、酵素を利用することができる。リパーゼは基質の幅広いプレートによるエステル化を触媒作用する(Ching et al.,Angew.Chem.101,711〜724,1989)。
【0008】
式1
【化1】

のポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリドが殺菌剤として公知であり、Vantocil IR、ポリヘキサニド、Lavasept R、またはPHMB−HClという名称で殺菌と防腐において実際に導入されており、かつ特に創傷用消毒剤として使用され、さらに急性の、および慢性の骨部感染、および軟部感染の外科的な手当における、創傷処置のための補助剤として使用される。これは異なるモル質量範囲のポリマー混合物であり、その分離は従来クロマトグラフによってしか証明できず、事前には実施できなかった。従って公知の殺菌作用は常にポリマー混合物に関連し、かつ最適化されていなかった。医療においては今日まで、補助単位の数が異なるポリマーから成る混合物のみを塩酸塩として使用している。これは通常、4〜7の単位と、900〜1300g/molの分子量とを有するポリマーである。純粋なポリマーフラクションの獲得は、これまで達成されていない。医療適用という目的のためのポリマー混合物の精製は、困難であり、かつコストがかかる。
【0009】
β−ラクタム抗生物質と、ポリヘキサメチレンビグアニジドとの組み合わせは、これまで公知ではない。
【0010】
従ってまとめると、β−ラクタム抗生物質の最大の欠点は、制圧すべき細菌の耐性獲得により、その効果がますます減少していることであると確認することができる。獣医学においても、複数耐性獲得ブドウ球菌による家畜の感染は、ますます増えている。
【0011】
ますます増加している耐性の問題により、公知の作用物質によっては満たされていない、新規の抗生作用物質の需要がある。
【0012】
本発明の課題
従って本発明の課題は、新規の作用物質を提供することである。本発明はとりわけ、細菌が従来の抗生物質に対してますます耐性を発展させていることにより存在する、ヒト医学、および獣医学における需要を、構造的に変化させた、および作用を変化させた抗生物質(この物質は臨床的に有効性が確認された作用物質から誘導される)により満たすという課題に基づく。
【0013】
課題の解決
この課題は、特許請求項の特徴に従って解決された。本発明により、β−ラクタム抗生物質の群から得られる、新規の、従来知られていない作用物質が提供された。その上、それ自体作用特性のあるカチオンでβ−ラクタム抗生物質の塩を形成させることにより、ならびに引き続いた化学反応によりこれらの作用物質をさらに展開させることによって、新規の化合物を製造した。
【0014】
図式4、7、および8には、本発明による新規の作用物質が描かれている。
【0015】
本発明の対象はまた、中間生成物を含む、本発明によるβ−ラクタム抗生物質の製造方法である。課題の解決のために、本発明に従って有利に組み合わせることができる2の異なる方法を提案した。
【0016】
方法1:
意外なことに、アニオン成分X-として6−アミノペニシラン酸の誘導体、もしくは7−アミノセファロスポラン酸の誘導体と、およびカチオン成分としてポリヘキサメチレンビグアニドの誘導体とから成る、図式3によるβ−ラクタム抗生物質は、効果が高いことが判明した。本発明による作用物質は、試験されたすべての複数耐性獲得細菌において、塩酸塩としてのカチオン性作用物質も、アニオン(すなわちカチオン成分の無い抗生物質)も効果がない菌種においてさえ、阻害作用を有する。
【0017】
微生物学的な調査において、制圧するのが非常に困難であり、かつ病院でしばしば問題となるMRSA病原菌さえも、この新規の作用物質により不活性化されることを示すことができた。従って本発明による式3の作用物質は、洗浄吸引ドレナージへの、および体腔の抗感染性洗浄への適用を含む、急性の、および慢性創傷の抗感染性創傷治療に適している。
【0018】
また、図式3または7に記載の、従来知られていない化合物において、β−ラクタム抗生物質の優れた殺菌特性と、実地に対して非常に興味深い他の作用とを組み合わせる。式4〜9、ならびに式を有する反応式10と11は実施例の前にある。界面活性作用のあるカチオンとの組合せにより、病原体は利用可能な場所を得るのが非常に困難になる。式7に記載の本発明による化合物においては、親水性のグアニド基およびβ−ラクタム基が、親油性の炭化水素鎖に向き合っており、これにより新規の作用物質の界面活性特性が説明される。この界面活性特性を理由として、本発明による化合物は菌膜においても作用し得る。
【0019】
このタイプの化合物は、これまで記載されていない、図式2に記載のポリヘキサメチレンビグアニドの炭酸水素塩から得られる。この際、炭酸水素塩が市販の塩酸塩よりもずっと水に溶けにくいことを利用する。この際にまず、ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリドを水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩と反応させて、式2
【化2】

に記載のポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩にし、そしてこれから酸を用いて式3
【化3】

に記載のポリヘキサメチレンビグアニド誘導体を形成する。
【0020】
この沈殿を炭酸塩もしくは炭酸水素塩の部分的な添加によって徐々に行う場合、より高分子のフラクションが最初に沈殿する。この原理は一方ではモル質量範囲でビグアニドを分離するための方法につながるのだが、これに対しては本特許出願により同様に保護を申請する。ポリマー混合物をモル質量範囲の異なるフラクションに分離することは、多くの適用範囲にとって有利である。
【0021】
この原理はとりわけ、従来記載されていない新規のβ−ラクタム抗生物質誘導体の製造において有用である。まず炭酸水素ナトリウムによる分別された沈殿により、そしてその後β−ラクタムの置換によって、生じる生成物を異なる適用の要求に適合させることができ、とりわけ分散性を体系的に変えることができる。β−ラクタムの置換によって分散性が変化し、ひいてはlogPの値が変わる。適用例に相応する、パラキノイド型置換基(logPの値は<0、または>0)を抗生物質(logPの値は<0)に導入することは、分散係数の増大と結びついている(logPの値は>0)。
【0022】
請求項に記載のアニオンとしての、図式2に記載の難溶性炭酸水素塩の有利な適用、および/またはこの塩から得られる、抗菌作用のある脂肪酸誘導体および/またはβ−ラクタム抗生物質を有する図式3に記載の塩の有利な適用は、創傷被覆材の吸収性芯材の装填において得られる。図式2に記載の物質を0.01〜0.03%の濃度で、特に有利には0.02%の濃度で有する吸収性芯材を装填する場合に生じる特別な利点は、殺菌が吸収性被覆材に限定されていることである。これにより、抗菌性装填物にも関わらず、医薬製品としての分類に制限されることがない。
【0023】
創傷被覆材内部で、およびその下部で病原菌の成長が完全に抑制されるが、従来記載されていない図式2の物質の難溶性のため、創傷への浸透は起こらない。しかしながら、0.93±0.73mm(n=7)の阻害域(Hemmhof)しか観察されなかった。すなわち、創傷被覆材の範囲における浸透は最小限であった。>0.04%の濃度になって初めて、創傷への激しい浸透が始まる。
【0024】
このようにして、被覆されていない吸収性創傷被覆材において、および吸収性芯材を有する創傷パッドにおいて現れる問題が解決される。創傷被覆材において、およびとりわけ吸収性芯材においては、治癒工程を危うくし、かつ病原菌の伝染にもつながり得る、病原菌の激しい増殖が起こる。
【0025】
ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩と、6−アミノペニシラン酸誘導体、もしくは7−アミノセファロスポラン酸誘導体との反応によって、これまで知られていなかった高い抗生作用のあるアニオンを有する多くのヘキサメチレンビグアニド塩が、事前に容易な方法で利用可能になる。この際、多様に使用可能な抗菌性のある化合物が得られる。
【0026】
方法2:
その一方で、ポリフェノールオキシダーゼ、とりわけ有利には式6または式9に記載の基質を、フリーラジカルの作用下、β−ラクタム抗生物質、とりわけ有利には式5に記載の誘導体と結合させれば、一般式4または8(請求項1)に記載の、新規のβ−ラクタム抗生物質が得られる。ポリフェノールオキシダーゼの基質のヒドロキシ基は、式6、および式9に記載のようにパラ位、またはオルト位に配置されていてよい。
【0027】
新規の作用物質の合成のためにとりわけ好ましいのは、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体を、ラッカーゼEC1−10.3.2.(国際酵素命名法による分類;Enzym Nomenclature,academic Press,Inc,1192,24〜154p)によりアミノ化することであり、このアミノ化が幅広い誘導体の可能性につながる。
【0028】
カテコールによるアミノ化は、本発明により式8に記載の作用物質に限定されている。
【0029】
本発明による作用物質は、新規の置換基が、官能基に影響を与えることなく適用特性を変化させることによって特徴付けられる。従って本発明による作用物質は、これまで公知のβ−ラクタム抗生物質のように、すなわち比較的低い毒性で高い殺菌作用という利点を有する。
【0030】
本発明による新規の作用物質の合成に必要となるラジカルは、生物学的方法、化学的方法、および/または物理的方法により生成することができる。特に好ましくは、リグニン溶解性菌類の上澄み液、および/または上澄み液から単離した、ラジカルを形成する酵素の使用により生成するラジカルである。好ましくは、分類EC1.10.3.2のラジカル形成性酵素、および分類EC1.11.17のペルオキシダーゼ、EC114.99.1のモノフェノールモノオキシゲナーゼ、および/またはEC1.10.3.3のアスコルビン酸オキシダーゼを使用する。例えばホウロウタケ属のラッカーゼを、新規の作用物質の合成のために使用することができる。
【0031】
式4および8に記載の新規の作用物質から出発して、従来技術から公知の、カルボキシル基のエステル化により、さらなる新規の抗生物質を得ることができる。穏やかな条件(低温、常圧)での反応を可能にするために、この際に酵素(例えばリパーゼ)を利用することができる。
【0032】
極めて意外なことに、図式4と8に記載の新規の作用物質の保護作用は、黄色ブドウ球菌敗血症マウスモデルにおいても見られた。生存実験においては、マウスの腹膜感染により、効果的な処置無しで100%のマウスが死んだ。これに対して、本発明による作用物質を30分後、および6時間後に二度適用すると、認識可能な残存障害もなく、マウスの完全な健康につながった。本発明による抗生物質を6時間後、および20時間後に投与しても、同一の治療成果が得られる。本発明による新規の抗生物質により、細菌感染治療における治療可能性が広がる。と言うのも、複数の耐性を獲得した病原菌に対する効果もまた、証明することができたからである。
【0033】
一般式3、4、および8の作用物質は、単独でも、また他の作用物質との組み合わせでも使用することができる。
【0034】
この場合には複数耐性獲得病原菌に対して非常に効果的な化合物が得られるため、一般式7の新規の作用物質を使用すれば、特別な利点が達成される。
【0035】
それに加えて本発明により、ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリド(図式1)を水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩により沈殿させ、この沈殿物を母液から分離し、そして塩酸を用いて図式1に記載の精製された生成物に再度移行させることにより特徴付けられる、ポリヘキサメチレンビグアニドの精製方法が利用可能になる。
【0036】
さらなる新規のポリヘキサメチレンビグアニド塩を製造するためには実質的にすべての無機酸と有機酸が適しており、これらの酸強度は、炭酸水素塩の酸強度を上回る。こうして、さらなる適用を開発する。
【0037】
抗生作用のある脂肪酸誘導体、および/またはβ−ラクタム抗生物質を有する図式3に記載の作用物質のアニオンとしての適用は、局所的な適用の際に特別な利点につながる。とりわけ有利には、乳房炎予防のためにウシの乳房に適用する。乳房での適用のための調製物での使用により、乳房炎を治療することができ、かつ/またはブドウ球菌感染の伝染を妨げ、ひいては牛乳の汚染を避けることができる。
【0038】
局所的な適用に適したさらなる調製物は、新規のβ−ラクタム抗生物質を脂質と混合し、そしてスリット式高圧均質化によりマイクロ粒子、およびナノ粒子にすれば得られる。
【0039】
要約的に、本発明をもう一度簡単に説明する。
【0040】
アニオン成分Xとして6−アミノペニシラン酸誘導体、もしくは7−アミノセファロスポラン酸誘導体と、カチオン成分としてポリヘキサメチレンビグアニド誘導体とから塩を形成することによって得られる、図式3に記載のβ−ラクタム抗生物質をまず製造した。そうして、図式5に記載の市販の作用物質から図式6に記載の作用物質との反応によって得られる、図式4に記載のβ−ラクタム抗生物質を製造した。さらに、図式5に記載の市販の作用物質から図式9に記載の作用物質との反応によって得られる、図式8に記載のβ−ラクタム抗生物質が、本発明の対象である。
【0041】
ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリドを水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩により沈殿させ、この際にこの沈殿を部分的に、かつ段階的に行い、そしてこの際にポリマーの狭いモル質量範囲への分別を行うことを特徴とする、モル質量範囲へのポリヘキサメチレンビグアニドの分離方法を記載する。図式3に記載の作用物質は、ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリドを水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩によりポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩に分別して沈殿させ、そして沈殿生成物を、酸強度の点で炭酸水素塩を上回る抗生物質と反応させることにより特徴付けられる。アニオン成分が抗生作用のある脂肪酸であることもまた、可能である。作用物質の溶解性と分散性は、カチオン成分の分別された沈殿により変えることができる。本発明の対象はまた、ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリド(図式I)を水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩により沈殿させ、この沈殿物を母液から分離し、そして塩酸を用いて図式1に記載の精製された生成物に再度移行させることを特徴とする、ポリヘキサメチレンビグアニドの精製方法である。こうして、ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩を無機酸もしくは有機酸と反応させることにより、新規のポリヘキサメチレンビグアニド塩が得られる。
【0042】
本発明による使用は、難溶性ヘキサメチレンビグアニド塩を用いた装填物を浸漬、および/または吹き付けにより行うことを(この際に濃度が維持され、ビグアニドが創傷へと浸透しない)特徴とする、吸収性創傷被覆材の抗菌性装填物である。
【0043】
構造式と実施例を手がかりに、本発明をより詳しく説明するが、これは本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ}−デスアセトキシセファロスポラン酸 1aの安定性を示す。
【図2】3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1iの安定性を示す。
【図3】3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル)−アセチルアミノ}−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1mの安定性を示す。
【図4】濾過試験構成の図式的な説明である。
【0045】
実施例
共通部分:
実施例1〜36の構造分析と対生物作用試験は、式10に相応して構成要素の特徴、ならびに物質の特徴に基づく。
【0046】
実施例1
7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ}−デスアセトキシセファロスポラン酸 1a
一般式5(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の作用物質と、一般式6の物質(R4=CONHCH2CH2OH)との反応により、作用物質を得た。
【0047】
構造分析:
300MHz(1H)と、75MHz(13C、およびDEPT−135)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0048】
安定性の実証
新規の作用物質は、>60日の期間にわたって貯蔵安定性であることが実証された
。図1は、7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ}−デスアセトキシセファロスポラン酸 1aの安定性を示す。
【0049】
実施例2
7−{2−(2−カルバモイル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1b
一般式5(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の作用物質と、一般式6の物質(R4=CONH2)との反応により、作用物質を得た。
【0050】
構造分析:
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0051】
実施例3
7−{2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−メトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1c
一般式5(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の作用物質と、一般式6の物質(R4=COOCH3)との反応により、作用物質を得た。
【0052】
構造分析:
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0053】
実施例4
7−[2−(2−エトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1d
一般式5(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の作用物質と、一般式6の物質(R4=COOCH2CH3)との反応により、作用物質を得た。
【0054】
構造分析:
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0055】
実施例5
式4に記載の新規の化合物の、生体外での抗生作用
手法:
試験システム1(抗生作用)
予備培養
試験用病原大腸菌(Escherichia coli)SBUG 1135、および巨大菌(Bacillus megaterium)SBUG 1152を、一晩にわたって(37℃で17時間)5mlの栄養ブイヨンIIの中で育てる。培養は、撹拌式インキュベーター(INFORS AG CH 4103,Bottmingen、スイス)内で180rpmの撹拌頻度で行う。
【0056】
17時間の培養時間後、大腸菌は、約2.4×1010細胞/mlの細胞密度に、そして巨大菌は、約2.1×108細胞/mlに達していた。
【0057】
栄養寒天培地への接種
寒天への細菌の播種は、培養後に密度が高いが、各コロニーが非融合的に発展するように、選択する。
【0058】
以下の量を使用する。
【0059】
巨大菌:10mlの栄養寒天培地中の希釈していない一晩培養物(UeN)0.1mlは、106の細胞数に相応する。
【0060】
大腸菌:UeNを1:100で生理食塩水により希釈し、ここから0.1mlを栄養寒天培地10mlに移す。これは、106の細胞数に相応する。
【0061】
接種された栄養寒天培地を無菌のペトリ皿に入れ、そして乾燥するまで数分静置する。
【0062】
抗生作用の試験
試験物質を段階付けした量(10μg、50μg、100μg)で作用物質担体(センシ・ディスク)に施与する。このために試験物質をメタノールにまたは蒸留水にその溶解性に従って溶解させる。接種された板すべてを、3枚の試験板で覆う。
【0063】
37℃で20時間培養後、生育阻害域をそれぞれの試験板について測定することができる。生育阻害域の直径は、mmで記載する。
【0064】
試験システムII(複数耐性獲得病原菌に対する作用)
この試験のために、細菌をMueller−Hinton II寒天培地プレート上で培養する。
【0065】
生理食塩水1〜1.5mlにより、細菌懸濁液をマクファーランド0.5(これは150×106病原菌の細菌密度に相応する)で製造する。その後、無菌のガラス棒を用いて細菌懸濁液の小さな一滴をMueller−Hinton寒天培地プレートに入れ、そして3つの平面(垂直、水平、そして斜め)で伸ばした。この後、センシ・ディスクに新規の半合成的な試験物質を塗布する。被覆されたプレートを18〜20時間、37℃で培養する。培養後、抗菌活性作用の基準として、生育阻害域の直径を読み取る。
【0066】
結果:新規の作用物質は、強力な抗菌作用を有する(表1)。
【0067】
実施例6
生物学的要求への、請求項2に記載の作用物質のカチオン成分の適合、例えば分別された沈殿による抗生作用
市販により得られるポリヘキサニド(Freiburg在、Dr.Trippen GmbH社製)を炭酸水素ナトリウムで分別させて沈殿することによって、ポリマー混合物の個々のフラクションへの分離体が得られ、この分離体はその溶解性と分散性において脂質−水(Lipid−Wasser)と相互に明らかに区別される。
【0068】
本発明に相応する手法
アニオンがアモキシシリンである一般式2の作用物質の抗生作用
手法 実施例5参照
結果:新規の作用物質は、市販製品Lavasept(登録商標)(Desomed AG)の作用をかなり上回る(表2)。
【表1】

表2 複数耐性獲得細菌に対してX-としてアモキシシリンアニオンを有する式2に記載の化合物の抗生作用、Lavaseptと比較して(物質量は0.09μmol)
【表2】

表3 複数耐性獲得細菌に対してX-として6−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ}−ペニシラナートを有する式3に記載の化合物の抗生作用、6−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ}−ペニシラン酸と比較して(物質量は0.09μmol)
【表3】

【0069】
新規の作用物質は、試験した複数耐性獲得細菌類すべてにおいて阻害作用をもたらし、またカチオンも、カチオン成分不含の抗生物質も効果のない細菌類においても、阻害作用をもたらす(表3)。
【0070】
実施例7
それ自体作用物質特性のあるカチオンを用いた塩の形成による、新規のセファロスポリンの製造
実施例6に記載のフラクションを7−アミノセファロスポリン酸、式4に記載の作用物質(R1=OH、R2=H、R3=CH3、R4=CONHCH2CH2OH、X=S)、および式5に記載の作用物質(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)と反応させた。この際に強力な抗生作用を有する生成物が得られた。
【0071】
実施例8
式7に記載の物質(実施例7)の、生体外での抗生作用
手法
一連の希釈試験を行った。絶対的な成長阻害作用をもたらす質量パーセントでの濃度(最少阻害濃度、MHK)を測定した。
【0072】
結果
式7に記載の作用物質は、多様で幅広い病原菌に有効である(表4)。
【表4】

【0073】
実施例9
局所的な適用における、実施例6に記載の化合物の抗生作用の実証
手法
「マウスの耳試験」モデルで実証を行った。
【0074】
マウスを殺した後、マウスの耳を切断し、そして特別な保存装置に挟み込む。耳の汚染は、1:10で希釈したMRSA菌類(北ドイツで流行した菌種)の懸濁液5μlにより、マクファーランド標準0.5に相応する最適な濃度で行う。30℃で1.5時間培養後、実施例6に記載の本発明の作用物質による処置を耳の半分に行い、残りの半分は処置を行わない。成長する細菌コロニーの評価は、37℃で24時間培養の後に行う。
【0075】
結果
処置しなかった耳では、1,000〜10,000の数の病原菌が観察された。これに対して、実施例6に記載の調査された作用物質においては、病原菌の成長が完全に阻害されていた。
【0076】
実施例10
脂質への作用物質の混合、およびマイクロ粒子とナノ粒子の製造
手法
調合

【0077】
脂質を50℃の温度に加熱し、そして引き続き使用する実施例1の作用物質をそこに分散させる。ここから分離した水性乳化溶液を相応する温度(50℃)に加熱する。この後、両方の相を所望の均質化温度で一つにした。引き続きこの混合物を、Janke und Kunkel GmbH&Co KG社(ドイツ、Staufen在)のUltra Turax T25を用いて、乳化工程において一分あたり8000回転、そして持続時間30秒で加工する。
【0078】
その後、この懸濁液をフラスコ分岐付きの高圧ホモジナイザー、Micron Lab40(APV−Gaulin,Luebeck)によって500barの圧力、および50℃の温度で4回均質化する。生成する調製物を実施例9に記載したように抗生作用について皮膚への使用において試験した。
【0079】
結果
処置した皮膚上では、病原菌の成長は完全に阻害された。
【0080】
実施例11
式4に記載の新規の物質(実施例1〜実施例4)の生体内での抗菌作用
黄色ブドウ球菌感染マウスのモデルによる生体内作用のための手法
マウスの前処置:
0日目では、試験物質(表8)もしくは対照群あたり少なくとも3匹のBALB/cマウスを、シクロホスファミド(250mg/kg)により、PBS250μlで腹膜に(i.p.)前処置する。
【0081】
2日目、マウスにもう一度100mg/kgを、腹膜に与えた。
【0082】
細菌培養:
2日目に、試験用病原菌のコロニーを、一面に覆われた寒天板(Mueller−Hinton寒天培地、Beckton Dickinson社)からCASOブイヨン(CASO−B、ダイズペプトン−カゼインペプトンのブイヨン、SIFIN、30g/l)10mlのあるフラスコに移し、そして37℃で一晩にわたり、250回転/分の撹拌頻度で培養する。
【0083】
3日目に事前培養物(Vk)を1:50でCASO−Bにより希釈し、そして約2時間、媒体における吸光率が、波長550nmで0.6に達するまでさらに培養する。この後、1倍のPBSにより室温で洗浄し、そして吸光率0.6にあらためて調整する。
【0084】
感染:
試験物質もしくは対照群のための少なくとも3匹のマウスを、吸光率0.6(約1010〜1012CFU、Colony forming units)の細菌懸濁液の、体重1gあたり10μlの洗浄した病原菌を用いて腹膜に感染させた。
【0085】
試験物質:
変法1:
約30分後マウスに対して、DMSO3%を有するPBS200μlの体積で抗生物質溶液を腹膜に注射する。6時間後に、二回目の抗生物質注射を同一の濃度で行う。
【0086】
変法2:
6時間後と、20時間後にマウスに対して、DMSO3%を有するPBS200μlの体積で抗生物質溶液を腹膜に注射する。
【0087】
結果
「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルでは、効果的な処置をしないマウスは、100%死ぬ。式4に記載の本発明の作用物質による治療後、マウスはすべて生き残る(表5)。
【0088】
表5
感染モデル「黄色ブドウ球菌感染マウス」における、活性作用物質の生体外での効果
【表5】

実施例12
ラジカルを介した新規置換基の導入による、市販の抗生物質Cefadroxil(式5、R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の親油性の適切な向上
親油性表面での充分な固定を達成するには、パラジヒドロキシ化された置換基をラジカルを介して導入することによって、市販の抗生物質Cefadroxil(式5、R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)の親油性を適切に向上させるのが望ましい。最初に、水相と親油相の間のCefadroxilの分散性を以下の方法で測定した。
【0089】
手法
HPLCを用いたDnovanらによる手法(Journal of Chromatography A,952,2002,47〜61)に従った、logP値の測定による、分散性の計測
クロマトグラフィー条件:
・稼働温度18〜24℃
・流量1.5mL/分
・9.4分でメタノール10%から100%への直線的な勾配(メタノール/リン酸0.1% pH2)、2サイクル間に平衡化時間6分。
【0090】
試料の準備
標準溶液(メチルフェニルスルホン440mgと、トルエン380μLとをメタノール150mLに入れたもの)0.5mlに、分析物を約0.5mg加える。この試料溶液2μLを注射する。
【0091】
算定:
各々の試験と同時進行する、双方の標準の分散係数が公知のため、分析物の分散系数は分析物/標準の保持時間の比から算出することができる。
【0092】
結果:
市販の抗生物質Cefadroxil(式5、R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)のlogP測定値は、−3.50である。親油性をもたらすマトリックスへの充分な結合を達成するためには、親油性を適切に高めるのが望ましい。
【0093】
本発明によればこの課題は、実施例1に相応する2,5−ジヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド(logPの値=−1.21;式6、R4=CONHCH2CH2OH)との、実施例2に相応する2,5−ジヒドロキシベンズアミド(logPの値=−0.4;式6、R4=CONH2)との、および実施例4に相応する2,5−ジヒドロキシ安息香酸エチルエステル(logPの値=2.65;式6、R4=COOCH2CH3)との、ラジカル介在反応により解決された。
【0094】
抗菌活性維持のもと(表1)、明らかにより高い親油性を有する抗生物質(表6)が得られた。
【表6】

【0095】
実施例13
7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル−アセチルアミノ}−デスアセトキシセファロスポラン酸 1e
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式6の物質(R4=CONHCH2CH2OH)との反応により得られた。
【0096】
構造分析
300MHz(1H)と、75MHz(13C、およびDEPT−135)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0097】
実施例14
7−[2−(2−カルバモイル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1f
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式6の物質(R4=CONH2)との反応により得られた。
【0098】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0099】
実施例15
7−[2−(2−メトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1g
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式6の物質(R4=COOCH3)との反応により得られた。
【0100】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0101】
実施例16
7−[2−(2−エトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−デスアセトキシセファロスポラン酸 1h
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式6の物質(R4=COOCH2CH3)との反応により得られた。
【0102】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0103】
実施例17
式4に記載の新規の化合物(実施例13〜16)の、生体外での抗生作用
手法は実施例5を参照。
【0104】
結果:
新規の作用物質は、強力な抗生作用を示す(表7)。
【0105】
実施例18
それ自体作用特性を有するカチオンを用いた塩形成による、新規のセファロスポリンの製造
実施例6に記載のフラクションを、7−アミノセファロスポリン酸、ならびに式4に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、R4=CONHCH2CH2OH、X=S)、および式5に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)と反応させた。この際に、強力な抗生作用をもたらす生成物が得られた。
【0106】
実施例19
式4に記載の新規の物質(実施例13、実施例14)の、生体内での抗生作用
手法は実施例11を参照。
【0107】
結果
「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルでは、効果的な処置をしないマウスは、100%死ぬ。式3に記載の本発明の作用物質による治療後、マウスはすべて生き残る(表8)。
【表7】

表8 「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルにおける、活性作用物質の生体外での効果
【表8】

【0108】
実施例20
ラジカルを介した新規の置換基の導入による、市販の抗生物質Cefalexin(式5、R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)の親油性の適切な向上
親油性表面での充分な固定を達成するため、市販の抗生物質Cefalexin(式5、R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)の親油性を、パラジヒドロキシ化された置換基をラジカルを介して導入することにより適切に向上させるのが望ましい。まず、水性相と親油相との間のCefadroxilの分散性を測定した。
【0109】
手法は実施例12を参照。
【0110】
結果:
市販の抗生物質Cefalexin(式5、R1=H、R2=H、R3=CH3、X=S)のlogP測定値は、−2.63である。親油性をもたらすマトリックスへの充分な結合を達成するためには、親油性を適切に高めるのが望ましい。
【0111】
本発明によればこの課題は、実施例13に相応する2,5−ジヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド(logPの値=−1.21;式6、R4=CONHCH2CH2OH)とのラジカル介在反応により解決された。
【0112】
抗菌活性維持のもと(表7)、明らかにより高い親油性を有する抗生物質(表9)が得られた。
【表9】

【0113】
実施例21
3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1i
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)と、一般式6の物質(R4=CONHCH2CH2OH)との反応により得られた。
【0114】
構造分析
300MHz(1H)と、75MHz(13C、およびDEPT−135)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0115】
安定性の実証
新規の作用物質は、>60日の期間にわたって貯蔵安定性であることが実証された
。図2は、3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1iの安定性を示す。
【0116】
実施例22
3−クロロ−7−[2−(2−カルバモイル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1j
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)と、一般式6の物質(R4=COONH2)との反応により得られた。
【0117】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0118】
実施例23
3−クロロ−7−[2−(2−メトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1k
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)と、一般式6の物質(R4=COOCH3)との反応により得られた。
【0119】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0120】
実施例24
3−クロロ−7−[2−(2−エトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−1−チア−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1l
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)と、一般式6の物質(R4=COOCH2CH3)との反応により得られた。
【0121】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0122】
実施例25
式4に記載の新規の化合物(実施例21〜実施例24)の、生体外での抗生作用
手法は実施例5参照
結果
新規の作用物質は強力な抗生作用をもたらす(表10)。
【0123】
実施例26
それ自体作用物質特性を有するカチオンを用いた塩の形成による、新規のセファロスポリンの製造
実施例6に記載のフラクションを7−アミノセファロスポリン酸、式4に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、R4=CONHCH2CH2OH、X=S)、および式5に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)と反応させた。この際に強力な抗生作用を有する生成物が得られた。
【0124】
実施例27
式4に記載の新規の物質(実施例21〜24)の、生体内での抗生作用
手法は実施例11参照。
【0125】
結果
「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルでは、効果的な処置をしないマウスは、100%死ぬ。式4に記載の本発明の作用物質による治療後、マウスはすべて生き残る(表11)。
【表10】

【0126】
表11 感染モデル「黄色ブドウ球菌感染マウス」における、活性作用物質の生体外での効果
【表11】

【0127】
実施例28
ラジカルを介した新規の置換基の導入による、市販の抗生物質Cefaclor(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)の親油性の適切な向上
親油性表面での充分な固定を達成するには、パラジヒドロキシ化された置換基をラジカルを介して導入することによって、市販の抗生物質Cefaclor(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)の親油性を適切に向上させるのが望ましい。最初に、水相と親油相の間のCefaclorの分散性を以下の方法で測定した。
【0128】
手法は実施例12参照。
【0129】
結果
市販の抗生物質Cefaclor(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=S)のlogP測定値は、−3.28である。親油性をもたらすマトリックスへの充分な結合を達成するためには、親油性を適切に高めるのが望ましい。
【0130】
本発明によればこの課題は、実施例21に相応する2,5−ジヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド(logPの値=−1.21;式5、R4=CONHCH2CH2OH)とのラジカル介在反応により解決された。
【0131】
抗菌活性維持のもと(表10)、明らかにより高い親油性(表12)を有する抗生物質が得られた。
【表12】

【0132】
実施例29
3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1m
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と、一般式6の物質(R4=CONHCH2CH2OH)との反応により得られた。
【0133】
構造分析
300MHz(1H)と、75MHz(13C、およびDEPT−135)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0134】
安定性の実証
新規の作用物質は、>60日の期間にわたって貯蔵安定性であることが実証された
。図3は、3−クロロ−7−{2−[2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ]−2−フェニル)−アセチルアミノ}−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1mの安定性を示す。
【0135】
実施例30
3−クロロ−7−[2−(2−カルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1n
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と、一般式6の物質(R4=CONH2)との反応により得られた。
【0136】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0137】
実施例31
3−クロロ−7−[2−(2−メトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1o
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と、一般式6の物質(R4=COOCH3)との反応により得られた。
【0138】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0139】
実施例32
3−クロロ−7−[2−(2−エトキシカルボニル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ]−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1p
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と、一般式6の物質(R4=COOCH2CH3)との反応により得られた。
【0140】
構造分析
300MHz(1H)で、アセトニトリル−d3においてNMRスペクトルを測定した。

【0141】
実施例33
式4に記載の新規の化合物(実施例29〜実施例32)の、生体外での抗生作用
手法は実施例5参照
結果
新規の作用物質は、強力な抗生作用をもたらす(表13)。
【表13】

【0142】
実施例34
それ自体作用特性を有するカチオンを用いた塩形成による、新規のセファロスポリンの製造
実施例6に記載のフラクションを7−アミノセファロスポリン酸、式4に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、R4=CONHCH2CH2OH、X=CH2)、および式5に記載の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と反応させた。この際に強力な抗生作用を有する生成物が得られた。
【0143】
実施例35
式4に記載の新規の物質(実施例29〜実施例32)の、生体内での抗生作用
手法は実施例11参照。
【0144】
結果
「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルでは、効果的な処置をしないマウスは、100%死ぬ。式4に記載の本発明の作用物質による治療後、マウスはすべて生き残る(表14)。
【0145】
表14 感染モデル「黄色ブドウ球菌感染マウス」における、活性作用物質の生体外での効果
【表14】

【0146】
実施例36
ラジカルを介した新規置換基の導入による、市販の抗生物質Loracarbef(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)の親油性の適切な向上
親油性表面での充分な固定を達成するには、パラジヒドロキシ化された置換基をラジカルを介して導入することによって、市販の抗生物質Loracarbef(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)の親油性を適切に向上させるのが望ましい。最初に、水相と親油相の間のLoracarbefの分散性を測定した。
【0147】
手法は実施例12参照。
【0148】
結果
市販の抗生物質Loracarbef(式5、R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)のlogP測定値は、−3.13である。親油性をもたらすマトリックスへの充分な結合を達成するためには、親油性を適切に高めるのが望ましい。
【0149】
本発明によればこの課題は、実施例29に相応する2,5−ジヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド(logPの値=−1.21;式6、R4=CONHCH2CH2OH)とのラジカル介在反応により解決された。
【0150】
抗菌活性維持のもと、明らかにより高い親油性を有する抗生物質(表12)が得られた(表15)。
【0151】
【表15】

【0152】
実施例37〜41の構造分析と対生物活性試験は、式11に相応して構成要素の特徴、ならびに物質の特徴に基づく。
【0153】
実施例37
7−[2−(5−メチル−3,4−ジオキソシクロヘキサ−1,5−ジエニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ]−セファロスポラン酸 1q
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式9の物質(R4=H、R5=CH3)との反応により得られた。
【0154】
構造分析
300MHz(1H)で、およびHMBCとHSQCでアセトニトリル−d6においてNMRスペクトルを測定した。

【0155】
実施例38
7−[2−(6−メチル−3,4−ジオキソシクロヘキサ−1,5−ジエニルアミノ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセチルアミノ]−セファロスポラン酸 1r
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=OH、R2=H、R3=CH3、X=S)と、一般式9の物質(R4=CH3、R5=H)との反応により得られた。
【0156】
構造分析
300MHz(1H)で、およびHMBCとHSQCでアセトニトリル−d6においてNMRスペクトルを測定した。

【0157】
実施例39
3−クロロ−7−[2−(5−メチル−3,4−ジオキソシクロヘキサ−1,5−ジエニルアミノ)−2−フェニル−アセチルアミノ}−8−オキソ−5−アザビシクロ[4.2.0]−3−オクテン−4−カルボン酸 1s
この作用物質は、一般式5の作用物質(R1=H、R2=H、R3=Cl、X=CH2)と、一般式9の物質(R4=CH3、R5=H)との反応により得られた。
【0158】
構造分析
300MHz(1H)で、およびHMBCとHSQCでアセトニトリル−d6においてNMRスペクトルを測定した。

【0159】
実施例40
式8に記載の新規の化合物(実施例37〜実施例39)の、生体外での抗生作用
手法は実施例5参照
結果:新規の作用物質は、強力な抗生作用を示す(表16)
【表16】

【0160】
実施例41
式8に記載の新規の化合物(実施例37)の、生体内での抗生作用
手法は実施例11参照
結果
「黄色ブドウ球菌感染マウス」による感染モデルでは、効果的な処置をしないマウスは、100%死ぬ。式8に記載の本発明の作用物質による治療後、少なくとも50%のマウスが生き残る(表17)。
【0161】
表17
感染モデル「黄色ブドウ球菌感染マウス」における、活性作用物質の生体外での効果
【表17】

【0162】
実施例42
図式3に記載の作用物質を有する創傷被覆材の親水性吸収性芯材の装填物
吸収性芯材の層を1cm2の大きさの1片に切り分けた。これらを図式3に記載の作用物質の、濃度の異なる懸濁液により浸漬し、そして病原菌の減少に関して寒天培地試験を行った。このために、Whitley Automatic Spiral−Plater(WASP)を用いて病原菌懸濁液を線状に培養した。こうして均一に成長した細菌(Bakterienbewuchs)を有する寒天プレートが得られる。30分後に創傷被覆材を施与すべき範囲に印を付け、そして対照面を正確に定めた。これらの範囲に、その都度25μlの食塩水を滴下した。これらの滴下液中に被覆されていないパッド材料と、本発明による物質で被覆した創傷被覆材を置き、そして軽く押さえつけた。このプレートを予備拡散のために15分間、室温で静置し、インキュベーター(37℃)に入れた。24時間後、創傷被覆材の面に印を付けた。この後、創傷被覆材の下の面と、食塩水のみを加えた対照領域における面での細菌の数を数えた。これらの創傷被覆材を新しい寒天培地に移し、場合により生存している病原菌の数を数える。
【0163】
吸収性芯材は、接種していない寒天プレートに広げる。このように病原菌数が少ない場合、その生息数は統計的な方法で数えるしかない。ポワソン分布を採用して、生き残っている病原菌の期待値mを、式
m=−ln p/po
(p=病原菌の存在証明が得られなかった試験回数、po=試験の総回数)
により計算した。
【0164】
結果
被覆されていない創傷被覆材では、予測されたように病原菌の著しい増加につながる。
【0165】
これに対して式3に記載の作用物質を0.02%の濃度で被覆した創傷被覆材においては、被覆材の下で細菌の繁殖が完全に抑えられた。しかしながら阻害域が0.93±0.73mm(n=7)だけ、創傷被覆材の周囲に観察された、すなわち創傷被覆材周辺領域への拡散は最小限であった。
【0166】
新しい寒天培地に移した後、3つのケースでは僅かに、そして7つのケースでは細菌の繁殖が全く観察されなかった。すなわち、図式3に記載の新規のポリヘキサニド作用物質がこの濃度である場合、平均で0.35のみの病原菌が生き残ると予測することができた。
【0167】
作用物質の濃度を0.01%に減らした場合、創傷被覆材の下で、統計平均で0.2KBEと予測することができた(n=5)。接種していない寒天培地に吸収性芯材を散布した後、2つのケースでは僅かに、そして3つのケースでは著しい繁殖が観察された。すなわち、この濃度では細菌発育阻止作用のみであり、殺菌作用は得られなかった。
【0168】
濃度を0.04%に上昇させた場合、本発明によれば創傷被覆材の下では繁殖が見られないことが期待された。接種していない寒天培地に移した場合、統計平均では0.22(n=5)の病原菌数が観察された。しかしながら吸収性芯材周辺の阻害域は3mmに上昇した、すなわちこの濃度では、周辺の媒体への拡散が始まった。
【0169】
実施例43
図式2または3に記載の作用物質で被覆した創傷被覆材の、濾過試験での試験
異なる創傷被覆材の様々な大きさの断片を漏斗に入れ、そして病原菌懸濁液(200000 KbE/ml)を約20滴/分の速度で滴下した(図参照)。濾液の最初の2mlを捕集した。濾液において、希釈後にSpiralplater WASPを用いて病原菌数を測定し、そして当初の病原菌数と比較した。この際に希釈はその都度、出発病原菌数に適合させた。
【0170】
図4は、濾過試験構成の図式的な説明である。
【0171】
結果
被覆されていない創傷被覆材においては、病原菌がほぼ完全に再度発見された。これに対して図式2または3に記載の作用物質で被覆された創傷被覆材においては、すべての病原菌が不活性化されており、捕集した濾液では病原菌が繁殖しないことが証明できた。
【0172】
実施例44
図式2に記載の作用物質に、様々な脂肪酸の混合物(テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、シス−9−ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、シス−9−オクタデセン酸、シス−9,12−オクタデカジエン酸、微小藻類からDIONEX ASE 200抽出機でn−ヘキサンの抽出により得られる)を加える。得られた生成物を用いて、吸収性パッドを0.01%の濃度で被覆した。
【0173】
結果
病原菌の繁殖を完全に停止させることができた。天然脂肪酸の混合物を、図式2に記載の物質の反応の際に請求項11に従って酸として使用することができる。得られる生成物は強力な抗生作用によって特徴付けられる。
【0174】
実施例45 ブタの皮膚での試験
手法
W/Oエマルションベース液に、図式1に記載の市販の作用物質であるアモキシシリン、およびアモキシシリンをアニオンとして有する請求項2に記載の塩を、その都度1%の濃度で添加混合した。
【0175】
この調製物を用いた試験は、ベトナムポットベリーピッグの皮膚に屠殺後直ちに行った。
【0176】
皮膚上に黄色ブドウ球菌(北ドイツで流行した菌種)がコロニーを形成した。この後、相応する作用物質を有する軟膏を皮膚上のブドウ球菌に塗布した。24時間後に相応する皮膚上のブドウ球菌を洗い流し、そしてその洗浄液の中の病原菌数を測定した。
【0177】
結果
単独物質の双方においてなお病原菌の存在が実証される一方、本発明による生成物は病原菌の完全な不活性化につながった。
【表18】

【0178】
実施例46 セルロースゲルへの添加混合
手法
アルコール不含のセルロースゲルに、図式1に記載の市販の作用物質、アモキシリン、およびアモキシリンをアニオンとして有する請求項2に記載の塩を、その都度0.1%、および1%の濃度で添加混合した。
【0179】
試験は実施例45のように行った。
【0180】
結果
本発明による調製物は安定的であった。
【0181】
単独物質とは逆に、本発明による調製物によって複数耐性獲得黄色ブドウ球菌種の完全な不活性化を達成することができる。
【表19】

【0182】
実施例47
口腔粘膜における、実施例46に記載の調製物の試験
手法
実施例45参照、ただし、口腔粘膜と咽頭粘膜を使用した。
【0183】
結果
本発明による調製物は、粘膜においても最良の効果を示す。
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

[式中、R1=H、OH
R2=H、Na、CH2OH、CHCH3OCOOC25
CHCH3OCOOCH(CH32、CH2OCOC(CH33
R3=CH3、Cl
R4=CONHCH2CH2OH、CONH2、COOCH3、COOCH2CH3、COOH、COCH3、CHO、CH3、CH2(CH20-20CH3、C(CH33、C65、Cl、Br、OCH3、O(CH20-20CH3
R5=CONHCH2CH2OH、CONH2、COOCH3、COOCH2CH3、COOH、COCH3、CHO、CH3、CH2(CH20-20CH3、C(CH33、C65、Cl、Br、OCH3、O(CH20-20CH3
X=S、CH2である]
のβ−ラクタム誘導体。
【請求項2】
アニオン成分が
a)請求項1に記載のβ−ラクタム誘導体、または
b)市販のβ−ラクタム誘導体、または
c)6−アミノペニシラン酸の誘導体、または
d)7−アミノセファロスポラン酸の誘導体、
に由来し、かつカチオン成分がポリヘキサメチレンビグアニドである塩。
【請求項3】
一般式
【化2】

[式中、R3=CH3、Cl;X=S、CH2
【化3】

R4=CONHCH2CH2OH、CONH2、COOCH3、COOCH2CH3、COOH、COCH3、CHO、CH3、CH2(CH20-20CH3、C(CH33、C65、Cl、Br、OCH3、O(CH20-20CH3
の物質であることを特徴とする、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
n=2〜5であることを特徴とする、請求項2または3に記載の塩。
【請求項5】
請求項2または3に記載のポリヘキサメチレンビグアニド塩の製造における中間生成物としての、ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩。
【請求項6】
a)分類EC1.10.3.2の酵素、および/または、
b)分類EC1.11.17のペルオキシダーゼ、および/または
c)EC114.99.1のモノフェノールモノオキシゲナーゼ、および/または
d)EC1.10.3.3のアスコルビン酸オキシダーゼ
の影響下、式5に記載の遊離アミノ基を有するβ−ラクタム抗生物質を、ヒドロキシ基がオルト位に配置されているポリフェノールオキシダーゼの基質と、アミノ基のところで置換することを特徴とする、請求項1に記載のβ−ラクタム誘導体の製造方法。
【請求項7】
a)分類EC1.10.3.2の酵素、および/または、
b)分類EC1.11.17のペルオキシダーゼ、および/または
c)EC114.99.1のモノフェノールモノオキシゲナーゼ、および/または
d)EC1.10.3.3のアスコルビン酸オキシダーゼ
の影響下、式5に記載の遊離アミノ基を有するセファロスポリンを、ポリフェノールオキシダーゼの基質とアミノ基のところで置換することを特徴とする、請求項1に記載のβ−ラクタム誘導体の製造方法。
【請求項8】
以下の工程:
・ポリヘキサメチレンビグアニドの溶解性塩と、アルカリ金属炭酸水素塩もしくは炭酸水素アンモニウムとの反応(この際にポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩が沈殿する)
・ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩と、請求項2a)〜2d)に記載のβ−ラクタム誘導体との反応
によることを特徴とする、請求項2に記載の塩の製造方法。
【請求項9】
前記ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩の沈殿を分別して行い、こうして異なるモル質量範囲のポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩を得ることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
中間生物としてのポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩の製造方法、およびモル質量範囲へのその分離方法において、ポリヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリドを水溶液中でアルカリ金属炭酸水素塩により沈殿させ、この際沈殿を部分的に、かつ段階的に行い、そしてこの際ポリマーの狭いモル質量範囲への分別を行うことを特徴とする、ポリヘキサメチレンビグアニド炭酸水素塩の製造方法、およびモル質量範囲へのその分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−516800(P2010−516800A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547694(P2009−547694)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051214
【国際公開番号】WO2008/092928
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509131362)ドリッテ パテントポートフォーリオ ベタイリグングスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】Dritte Patentportfolio Beteiligungsgesellschaft mbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Berliner Strasse 1, D−12529 Schoenefeld/Waltersdorf, Germany
【Fターム(参考)】